新谷 2014-07-27 22:40:27 |
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ウ-9
外の様子に気付き、通りで急に湿っぽくなったような気がした、と思いました。
日は既に傾いており、近くの保育園からも誰の声も響いてこなくなっていました。
P-28
雨の中でも、僕はしばらく探し物を続けていた。でも、あちこちの店で買い物をして回ったため、荷物が重く、傘を持っていないため、雨は直接、僕に当たる。濡れた髪が肌について気色悪く、僕は段々と疲れてきた。そして、そのうち、帰りたいとしか思えなくなった。
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疲れた身体を、帰りたいという願望で引きずるように動かし、僕は帰路についた。探し物は見つからなかったが、ヒントになりそうなものを集めることはできた。僕はそのことを考えて、自分を慰めるようにした。
そんな僕を烏が嘲笑うような鳴き声で見送っていた。
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また電車に乗って、来た道を戻る。下車駅で缶ジュースを買い、それを飲みながら外に出た。歩いていると、塀の上に行儀よく座っている猫と目が合った。
猫は口を開きかけたが、僕はそれよりも早く、猫が6本足であることに気付いて、その場を離れた。荷物が重たく、急ぎ足をするのもしんどかった。
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僕は隣の部屋に住む新谷さんに挨拶をした。そして、一緒に階段を上り、鍵をあけ、ドアノブを回して自分の部屋に入った。
荷物を置いて、鞄を投げ出し、脱衣所に行って濡れた服を着替え、タオルで髪を拭った。座椅子に座り込み、煙草に火をつける。今日も探し物は見つけられなかった。次の新月は段々と近付いてきている。
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真夜中、不審な音で目が覚めた。いつのまにか布団で眠っていたらしかった。不審な音は玄関の方から響いている。
背後からは複数の視線を感じた。壁から、かけられた能面のように沢山の顔が浮き出ており、僕のことを見ている様子だった。昼間、目の合った男の顔とは違い、今、僕を見ている人面たちは、人間と同じ肌の色をしているようだったし、それが窓から差し込む月の光で青白く照らし出されているようだった。それを僕は直視はしないで、視界の端で確認したのだった。
薄暗い室内で、僕はそのまま、状況を正しく把握しようとじっとしていた。玄関の方から響いてくる音は、止む気配がない。
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そのうち、箪笥からも微かな音が響いてくるようになった。目覚まし時計の音だ。こちらの正体は分かってる。以前、そこに隠したネジが鳴っているのだろう。止めようもないはずだし、微かな音だから、放っておこうと思った。
しかし、玄関から聞こえてくる音はそうもいかない。何せ、正体が分からない。幻だろうか、それとも別の何かなのだろうか、時間が経てば、収まってくれるのだろうか。
扉を箸か何かで擦りながら叩いているような、針金か何かで引っ掻いているような、そういう音がしつこく耳に届いてくる。
《そこで僕は何をしたのか》
「元々記憶力は良くないが、この時は寝起きだったから、尚のこと記憶が怪しいんだよな」
「どうした所為で、ああいうことになってしまったのか。結果から推測できる人は予想を述べてほしい」
1)音を無視して寝たのでは
2)玄関に様子を見に行ったのでは
3)壁の人面に話しかけたのでは
4)夜が明けるまで起きたまま
じっとしていたのでは
5)いいや、どれも違う
大まかなことは最初の頁参照です.あと,補足事項が>12に掲載してあります.
引き続き,ボードの後に協力者が現れなかった場合は更新しません.
この一文…,うっかり当スレッドを覗いてしまった初見さん向けの解説なのですが,そろそろ諄いかなーと心の声(--;)
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