... 2014-07-16 19:12:49 |
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─よいしょ。ありそうな場所かぁ。
(彼の呼ぶ声に己も続いて廊下へと。周りに光照らし状況確認。次いで上記を伝え。若干半歩下がると、トンと彼の身に当たってしまいちらりと見上げる。まさか近くに居るとは思わなかった故に数回瞬きするが、そのうち察する。怖いのだろう。思わずふっとした笑みをこぼし「怖い?...」なんて比較的小さな声色で彼に問い掛ける。己も怖いといったら怖いが、述べた通り彼ほどではないし何より怯える彼が可愛いくお化け役として活動したいくらいとでさえ思っている。そんなこんなで活発的な女子が口開く『あー、案外さ。うちらの教室とか、図書室とか音楽室にありそうじゃない?』「やっぱそこらへん?...じゃあ順に見ていこう。それからついでに、此処から近いし保健室寄っても良い?」『おっけー。うぅっ、こわ!』会話を繰り返しながら、保健室へと向かうべく足を進めるが、無論彼の様子をちらちらと見ながらで。先に何か無いかと光を向け)
(黒い封筒の在りかを皆で検討中、男はあまり行きたくない場所について考えていた。勿論、夜の学校自体、出来れば行きたくないのだが。既に取り込まれている矛盾の中、トンと彼の体がぶつかった。思考途切れ、反射的に「あ、ごめん」と短く告げるも、縮めた距離は無意識故、離れずそのままに。思考を再開し掛けた刹那、己の心を見抜くかのような彼の声が、男の双眸に驚きの色を差す)
――う、煩いっ……。
(視線を逸らし、彼にしか聞こえないくらいの音量で短く返した。怖いのは怖い。そして、それが情けない。そんなアンビバレントな狭間にいる男に、あまり余裕は無いようだ。そんな男の小声を掻き消すかの如く、女生徒が口火を切る。彼との会話で、ポンポン決まる行く先。残念ながら、男の希望は叶わず、いかにも、な場所が羅列された。僅かに眉間に皺寄せるも、男のプライドから文句は言わず、黙って共に保健室へ進む。こちらをちらちら確認する彼の視線に気付かぬほど、男もきょろきょろと硬い表情で周囲を確認しつつ歩いていく。勿論、彼の斜め後ろに、ぴったりと距離を詰めて)
てか、いつも思うんだけど学校って何でよく出るって言われてんの。人がいっぱい居てなんか、怨念とか色々こもってるから?それともまた別?
(彼の表情は強張っており矢張り落ち着きがない。そしてぴったりと己に距離詰めている。相当苦手なのだろう。そこでふと疑問抱いていた事を口にする。後ろにいる女子は何でだろうねー、と不思議そうにしつつやがて保健室へ辿り着く。後ろを振り替えれば、矢張り開けるのは己しかいないかと吐息を漏らす。己も一応怖いといったら怖いのだ。扉の前にて少しばかり止まっていると「開けるよ。」ガラリと響き渡る音と共に、室内を光で照らす。入る前に状況確認は欠かせない)
(ベッドの方を照らすと、カーテンが閉められている。照らす限り影は出来ていないから、誰も居ないだろうと中へ足を踏み入れた。特に何も思うこと無くカーテンをシャッと開け、中覗くと思わず目を丸くして硬直数秒間)
──。
(ベッドのシーツが血だらけになっており、髪の毛が散乱している。そしてくしゃくしゃになった紙が置いてある。漸く我に返り触りたくは無いが、置いてある紙を手に取り片手でうまく広げる。文字が見える様に紙へ光集中させると「うっわぁ...えげつないわ...」と吐息混じりに呟きつつ彼へそっと見せた─そこには『ノロッテヤルキエロノロッテヤルキエロ』と何度も重ね書かれた殴り書きの字が)
(懐中電灯の明かりを頼りにして、周囲に気を配りながら進んで行く。ふと前方の彼が皆に疑問を投げ掛ければ、男は心を落ち着かせるため、徐に口を開き)
昼間に人――特に子供が集まる所だから、明るい「気」が溜まるらしいよ。夜になると、それに霊が寄ってくる、て聞いたことがある。……あとは、誰かしら人がいる場所なのに誰もいない、ていう真逆さ――非日常感が怖いんじゃないかな。
(趣味の一つは読書でもある彼。声を出せば多少落ち着くのではと上記を話す。が、その口元は些か硬かった。話し終わる頃、保健室へと到着。後ろを振り返る彼と視線が合えば、「……お願いします」と目で伝える。静かな夜の学校に、扉の開く音が響いて――)
(恐る恐る踏み入った室内。懐中電灯が照らす限り、特に変わった様子は無さそうだ。すると、その明かりがベッドの方へ、次いでカーテンを開く音がした。彼が居なければ周りが暗くてよく見えない。男はベッドへ向かった彼を追って)
久城、先に行くなって――、……っ!
(肩口を掴み、小声で彼に言う。が、彼は固まったまま、こちらを見ない。それを訝しげに思うと、男は彼の視線の先を見てしまった。陰惨な光景に目を見開き、掴む力が強さを増す。そのまま硬直する男へ彼が呪いの手紙を見せれば、端正な顔を歪めて「う……っ!」と、一歩後ずさり)
ちょっと、もう、行こうっ……!
(恐怖で鼓動が早まり、呼吸が少し荒い。肩口の掴んだ手で今度は彼の腕を掴み、出入り口へ向かおうとした次の瞬間、女子達の叫び声が響き渡る。反射的にそちらを振り返ると、白装束を身に纏い、頭から血を流した髪の長い女が立っていて)
その気に集まって、霊が来てたんだ...てか、何気に詳しいんだな。
(何気に詳しい彼の言葉を耳に何処か納得した模様。やがて先に保健室へと入っていれば、肩口を掴まれる始末。直ぐには気付かなかったが、意識が戻るのと同時に気づく。どんどん増す力に流石に痛みを覚えたのか「ちょっ、落ち着け。痛いッ」と小さく呟くのも束の間、既に腕を捕まれていれば軽くよろめきそうになる。何とか堪えて彼についていくが、それもまた急に彼が振り返り己もその声に肩跳ね上がらせつつ振り向く。其の恐ろしい姿に再び硬直しかけるも、こういう時こそ落ち着くんだと己に言い聞かせる。「とりあえず怯えてないで二人とも早く出て!!」と彼女達に告げると、大きな足音立てて保健室から出てしまう。己も後に続いて出ようとした瞬間、髪の長い女がふらり、ふらりとした足取りで此方に歩み寄る。中身が生徒会とわかっていても、矢張り周りの雰囲気で恐怖に思えてしまうのだ。捕まれていた手を柔く離させる様に振ると直ぐに彼の手をぎゅと握って「鮫島!...こっち!」保健室から走って出ていき廊下を巡る。どうやら彼女たちは何処かへ逃げてしまったらしい、姿はなく。)─ッ!
(苦手だからこそ、過去に調べた事があって。「……ああ、まぁね」と短く返した。残酷な現場を前に、男の五感は視覚で一杯になり、彼の呟きは耳に入らず。振り返り、視界に飛び込む女の姿に戦慄が走る。彼の声は聞こえる。女子達の足音も聞こえる。だが、体が動かない。女は長い髪を揺らして、ゆっくりとこちらへ近付いてくる。その姿が徐々に視界を埋めていき、男は瞬きも忘れ、硬直していた。その時、ぎゅっと握る手の感触が。己の名を呼ぶ彼の声に、はっと我に返る。次いで力強く彼に引っ張られれば己の脚も動き、共に廊下へ飛び出した。女子達の姿は無い。保健室から幾分離れたところで漸く足を止め、男は壁へ背中を預けると、恐怖と急な運動で乱れた呼吸を整えるように大きく息を吐いた。繋いだ手は固く握ったまま、表情はまだ少し辛そうで)
……女子と逸れたな……――ああ、もう、嫌だ…………
─っ、はぁ。...ッ
(タッタッタッという音が廊下にて大きく響く。無論懐中電灯持つ手も自然に揺れて光がブレる。やがて足を止めると息を切らしながら肩を落とし、手を一瞥したのち彼を見上げる。憂鬱そうなその表情に一度目を伏せる。そしてぎゅと手を握り返せば、先程から堪えていたこの衝動はもう誤魔化す事は出来ない。「鮫島...平気?」と問い掛けるのとほぼ同時だろうか、スイッチ入れたままの懐中電灯をポケットに突っ込むと光漏れて、完全には暗くならないものの幾分暗くなってしまう。次いで彼に近づくと空いた手でそっと頬を撫でて小さく笑って)─そんな顔するなよ。大丈夫。ちゃんと皆で出よう。俺もこの手絶対離さないから。そばにいるから、な?
(この場に彼しか居なければ、とうとう我慢していた本音を漏らした。ただ、リタイアは禁止だ。でも、あんな思いをするのは嫌だ。どうすればいい。どうしたらいい。巡る思案にうんざりしたように項垂れると、握り返される手の感触に気付いて、そこへ視線を向けた。次いで掛かる心配そうな彼の声に、視線を持ち上げ、彼を見る。暗くなる視界に一つ瞬き、不安げに口を結びながら、近付く彼を見つめて。すると、頬を撫ぜる優しい感触。そして、優しい言葉。憂いを帯びた表情そのままに、彼を見つめ続けた。それが次第に、頬から伝わる柔らかい温もり、優しく頼もしい言葉が染み渡っていくのに連れ、少しずつ強張りが解けていく。何処か安心したように目を閉じ、息を吐くと、小さく頷いて)
うん…………何処にも行かないで……お願い……。
(ゆっくりと手を握り返す。明かりは彼のポケットに籠り、やや暗い空間。俄かに差し込む月光のせいか、男の顔はやや青白く映って)
...行かないっての。
(長く暗い廊下に二人だけの声が響く。月光により照らされた彼の顔は、綺麗だった。思わずとくん、と脈打つ。今まで綺麗な顔した女性を相手にしてきた事もあったが、この胸の高ぶり様とは全く違った。何故彼との事となるとこうも己の気持ちは乱されてしまうんだろう。肝試しなのにも関わらず今まで抱えてた事に再び悶々とする。突如頭に過った事を口に漏らしてしまう「....好き....だから...?」その直後に『キャーーーー!!』と響き渡る声。思わず肩が跳ね上がる。ぱ、と頬から手離し直ぐに懐中電灯取れば、聞こえてきたのは階段側だ。他のグループだろうか?と耳を傾けていると『ちょっ、ただの文字だよ!!あーもー、吃驚した...』比較的大きい声で話すそれは聞き覚えのある声。活発的な女の子、同じグループの子だ。彼をちらりと見て)あの二人、だよな?行く?
(目を閉じ、奪われる視界。でも、今は怖くない。頬と手から伝わる温もり、そして先程の言葉が優しい響きをしっかりと感じられるから。眉間の皺はいつの間にかなくなっていて、呼吸も安定してきたようだ。彼が居てくれて本当に良かった、と心から思う。礼を言おうと薄く唇開いた刹那、聞こえた声。「――え?」と双眸開いて彼を見るも、間髪入れずに響き渡る悲鳴に、男もビクと肩を弾ませ、反射的に声のする方向を見た。様子を伺うように耳をすましていると、それは男にも記憶にある声。彼がこちらを見れば、男も彼を見て)
――ああ、行こうぜ。
(その言葉に、もう弱さは無かった。声がした方へ共に走り出す。しっかりと、手を繋いだまま――)
(本日は、この辺りで失礼いたします^^
楽しい時間を有難うございました!
またよろしくお願いいたします!
ではでは おやすみなさいませ~/一礼)
──。
(大分落ち着いた彼の様子に、内面良かったと安堵する。やがて、彼の様子が少し前向きになった様な気がする。僅かに目見開くも此方もこくりと頷いて走り出す。しっかりと行く先を光で照らしながら。次いで思わず漏れてしまった言葉の後に、彼女が悲鳴を上げてくれて良かったと思った。なんて未だ目の前の事に集中しきれてないもう一人の己を払うかの如く頭を横に振った。やがて声のする方へたどり着くと階段を上がり『だっ、だれ!?今度は何!?』此方が照らす前に先に目前が眩しくなり自然と目が細まる。彼女達が照らしているようだ)っ、眩し!...俺だって。お化けなんかじゃないからな。
『なぁんだ...吃驚したー。良かった、もうどっかにいっちゃったかと思った。』
(安堵した様に光を避ける彼女。階段へ上ると壁に血に見立てる様ペンキで大きく『デテイケ』と書かれていた。その隣には黒く塗りつぶされた人の顔にも見える絵が。これ一体どうやって消すんだろう、と別の意味で心配になった。未だ彼の手を離す事なくそれを眺めていると活発的な女の子が此方を見てはにやにやとしている。不思議そうにちらりと見ては『あれれれ?二人とも手なんか繋いじゃって...まさか...そうゆう関係?』なんてフザけて言う彼女。何故かとくん、と胸高鳴らせてはば、と顔を逸らし彼連れた侭足早に階段上る)そういう関係ってなんだよ、そういう関係って...、...っ。
(いえいえ、此方こそ飽きずに長期間ありがとうございます^^
はい!おやすみなさいませー!こちらも楽しかったです!またのお時間をっ)
(彼と手を繋ぎ、走る。周りの景色は変わらないのに、何故だろう、不思議と怖くない。男の表情にもう曇りはなかった。やがて階段へ辿り着くと、逸れていた女子達と出会い――3班、無事合流)
(ほっとした様子の彼女と同じく、男も安堵したように短く息を吐いた。彼と共に階段を上り、彼女たちの元へ。ふと彼の視線の先を追えば、何とも醜悪な文字と絵が目に入り、思わず口角が引き攣る。やはり、そう簡単に克服出来るできるものではないようだ。だが、確実に負荷は減っている気がする。彼が傍に居る。手の温もりが、そのことをしっかり伝えてくれるから――。ふと、女子が戯れの言葉を掛ける。「ああ、これは俺が――」と、男が言うより早く、彼に攫われて。「ちょっ……! 久城っ」と、前のめりになる体のバランスを何とか保って付いて行きながら、踊り場まで来ると繋いだ手をこちらに引いて、彼を止めようか。そこから彼女達の姿は見えず)
待てって――! ……俺がこういうの苦手だからって、俺が頼んだんだって、ちゃんと説明するから。
(まるで子供を宥めるかのように、彼の顔を覗き込む。女子に勘違いされて彼が怒った、恥ずかしい思いをしたのではと、男は申し訳なさそうに些か眉尻を下げて。「……ごめん」と呟き、手を離そうと力を緩めて)
─ッ。
(彼を引き連れて足を進める際、突如引っ張られる感覚に自然と足が止まる始末。目見開いているうちに、視界満面に広がる彼の顔には驚かずにはいられない様だ。反射的に半歩下がる。やがて紡がれる言葉と共に緩む手。離れてしまう、そう思うとぎゅと強く握って俯いた。「違う。...そういう意味じゃないから。別に説明もしなくて良い。」とぽつぽつと告げた。顔が妙に熱い。彼女はただフザけて冗談で言ったのにも関わらず、己はこんなにも動揺している。そして再び顔を上げれば、見られる前に教室へと向かう道を歩く「それに絶対離さないって言っただろ。」と告げ、彼女達に届くよう幾分大きな声を響かせて)
─俺ら先に教室行ってるわー。
(彼に嫌な思いはさせたくなかった。それは、彼が居ないと肝試しを乗り切れないから、という打算的な考えではない。純粋に、彼に嫌われたくない、と思ったからだ。そのためなら、と離れようとした手を彼が強く握り、男は驚いたように一つ瞬いた。俯いたまま呟く声が届く。『そういう意味じゃない』。――じゃあ、どういう意味なのか。顔を上げる彼に尋ねようとした瞬間、彼はその顔を己に見せることなく歩き出してしまった。手を繋がれたままならば、男も背中を追うように後を付いて。と、同時に告げられた言葉。瞠目して、彼を見る。脳裏で、頬を撫ぜながら伝えてくれた、あの時の優しい言葉が再生されて――ゆっくりと浮かぶ笑顔)
――……ありがとう。
(掴まれた手を、そっと握り返す。彼が女子達に行方を告げた後、男は静かに、彼の背中へ伝えるのだった)
─? ....よし、じゃあ。
(後ろから何か伝える声がした。一度振り返るも直ぐに前を向く。近かった為かもう既に教室の前だ。扉の前にて足を止めると上記の合図と共に、懐中電灯持った手で上手くがらりと開け保健室の時で大分慣れたからだろう。慎重に状況確認をする事無く中へ足を踏み入れた。タイミングがぴったりだったのだろう。バシャン─ッポス、とでも効果音がつきそうな勢いで己の頭上から降り掛かる水と黒く長い髪。すっかり避け切れずに、被ってしまったのだ。髪やシャツは勿論の事、ズボンまで濡れてしまい、その上無造作に被さったウィッグで目に髪が掛かっている。ゆっくり振り返り彼を見ては「っ、あのっ...これ、いじめ?なんのいじめ?てか、...鮫島かかってない、よな?平気?」幾分落ち着いた声色で紡ぐが、何処か早口で驚きでぷるぷると肩震わし)生徒会ぶっつぶす。絶対ぶっつぶす。
(やがて教室へと辿り着く。彼の合図に目配せで答えれば、ガラリと開かれた扉。すると突如、勢いよく水が落ちる音がして。避ける暇なく、男のシャツ前面が半分ほど濡れ、床に当たった水飛沫でズボンの裾も濡れそぼってしまった。一瞬の出来事に2~3秒固まるも、染み込む水の冷たさに、はっと我に返って。男でこの程度なら、彼はどうか。前方の相手を見れば、この仕掛けの成功例として紹介されそうな程、頭からずぶ濡れになっている)
――だ、大丈夫か……!?
(まさかこんな事になるとは。びしょびしょの相手に男は慌ててポケットに手を入れた。「ちょっと掛かったけど、俺より久城がっ……」彼とは対照的に幾分落ち着きを欠いた声色でハンドタオルを出し、拭こうと手を伸ばすが、ウィッグ被ったまま振り返る姿に一瞬驚き肩跳ねる。しかし、彼である事が分かっていれば、それも刹那に。ウィッグを取ってやり、脇へ落として。次いでハンカチで取りあえず顔を拭いてやる)
諸に被ったみたいだな……ずぶ濡れだ。
(心配そうな瞳で見つめながら、濡れて目に掛かる前髪を直してやり。ある程度、顔を拭き終えれば、首筋へと下りて)
─ん、平気....てか、あれか。
(驚く彼の様子に参ったように苦笑するも、ふと上に視線しせん移して光当てればバケツに縄、棒で上手く作られた仕掛け。生徒会の細工も随分と手が凝ってるんだなぁとぼんやり思っていれば、彼がウィッグ落とすの同時に再び視線戻す。「俺が最初に入って良かったわ。...でも、鮫島も濡れちゃったな。」と肩を竦めてへらりと笑う。真面目に心配する彼の様子に若干驚きつつ、されるが侭でいるとゆっくりと首筋へ下りる手に「...っん。...」ぴくりと身体跳ねて反射的に懐中電灯を落とし彼の手首をぱし、と握る。やってしまった。サーッと内心焦りつつ誤魔化すかの如く言葉続けて)─お、俺は平気だから、鮫島拭けよ。夏だからすぐ乾くだろうけど、風邪引いたら大変だし!な。
(失態だ。彼に触れられただけで鼓動掻き乱される。懐中電灯は下に落ちた侭、拾う余地もない。とりあえずと視線を控えめに彼へ向けつつ、この状況をどう切り抜けるかと思考巡らせる。彼にこれ以上触れられてしまったら、まともに対応できる気がしない。手を出してしまいそうだ。手を出す?なぜ?彼はただ拭いているだけなのに。自然と己の中では止めどなく思考が巡って)
(ポケットに手を入れる最中、彼が視線を上げ何かを眺めるようであれば、男もそれに次いで。手の込んだ仕掛けに乾いた一笑を漏らすと、すぐに視線を戻して、隠しからハンドタオルを。「いや、俺が先に入ってれば……ていうか、もっと注意してれば――」ごめん、と続けようとした刹那、男が触る濡れた体が小さく跳ねたかと思うと、光が落ち、手首を掴まれて。目を丸くすると同時、今度は男の身体がビクと震え)
…………お、おう。
(何処かぎこちない彼の言葉に取りあえず従い、彼が手首の拘束を解けば、伸ばした手を戻そうか。男のシャツ前面は、中に着る黒のタンクトップが透けるほどには濡れていて。彼に言われた通り、そこを拭いていくが、素材的に既に染み込んで拭き切れない。風を通して自然乾燥させた方が早いだろうと、男は拭くのを止め、ハンカチを手に握りながら、その指先で釦を外していき、シャツを肌蹴けさせた。風で揺れて乾くように、ズボンから裾を引っ張り出せば、そのため下方へ伏せていた視線が落ちた懐中電灯を捉える。彼に拾う気配が無ければ、上体屈めて手を伸ばし、ふと彼を見上げる。何か考え事をしているようだ。立ったまま動かない。動いているのは、彼の髪や指先、衣服から落ちる水滴だけ。電灯を小脇に挟みながら、男は徐に上体を戻し、幾分水を含んだハンカチを片手で固く握り絞ると、そっと彼の髪に触れるか)
……やっぱり拭いた方がいいよ、久城――
いや、普通に考えてこういの気付けないって。生徒会にやられたわー。
(目前にて繰り広げられる一連の所作をただ茫然と眺めていて。釦を外すにつれタンクトップの範囲外から見える肌。幾分ばかり暗い為よく見えないが、矢張り視線を逸らしてしまう。一々気にしてしまう己が嫌だ。再び此方へ手を伸ばす彼見ては、拒絶する事無くされるが侭でいるものの「平気だって。それに今暑いし丁度良かっ─。」と言葉の途中。声がした。)
(彼女達だろうか、と思い耳をそちらへ集中させては『うぼぉお...こ─感じ─見回ってれば─。』はっきりなんと言ってるかわからないが低くガサツな声色僅かに耳届く。明らかに此方を通る様子だ。「鮫島っ、多分此方に来るから、隠れようッ」息混じりにて比較的小さな声。反射的に彼の手首を握りもう片方の手で懐中電灯を小脇から取れば、光を室内にて忙しく巡らせる。隠れられるのは教卓の下、いや、二人は入らない。となると残りは掃除道具入れのロッカーしかない、足早に近寄れば指先で中を開け彼を先に入れるかの如く引っ張って誘導、手首離して己も続いて入れば戸後ろ手に閉める。光が漏れない様スイッチを切れば─狭い。そして暗い。ほうきがあちこちにあり更に狭い。そして今更の如く目前の彼と思いっきり密着している事に気付いて)─!!
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