... 2014-07-16 19:12:49 |
通報 |
(キッチンから漂う朝の気配――、腹の虫を目覚めさせる焼き鮭の匂い。その匂いに誘われたやって来たのは、寝ぼけ眼の母親。一時間ほど前に帰宅して寝たばかりであったが、匂いには敏感のようだ。明るい茶色に染まった髪は腰まで長く、アイロンで巻かれている。化粧だけ落としてすぐに寝たらしい。30歳前後に見えるが、高校生の息子がいることを考えれば、実際は30半ばくらいか。『おはよ~う……』と、緩慢な寝起き声を向ける先には、既に食事を終え、後片付けをしている息子の背中)
――あ、おはよう。母さん。お帰りなさい。――寝てていいのに。飯あるから、食べたい時に食べてね。
(朝に似合う爽やかな声が言う通り、テーブルには母親の分の食事が配膳されていて。「じゃあ、行ってきます」と、食器洗いを済ませば、鞄を肩に掛ける。そこへ緩々とした足取りで母親が寄れば、『いってらっしゃい。気を付けてね』と背伸びをしながら、男の頭を優しく撫でる。生活時間の違う親子の数少ないコミュニケーション。男は小さく苦笑しつつ、母の思いを汲んで、甘んじてされるがままにしていた)
(男はいつも早めに登校する。母親の時間に合わせているのもあるが、もう一つは登校時に注がれる女性達の視線等、注目を避けるため、通学(通勤)ラッシュを敢えて外している。それでも、それを計算して合わせてくる兵もいるのだが――。学校へ到着し、上履きへ履き替えようと靴箱を開けば、一枚の封筒が。可愛らしいピンクのそれ。このような事が初めてではない男は、何となく察しがつくか。近くに人がいない事を確認すると、封を開け、中の便箋を開いた。『鮫島くんへ 昼休み 駐輪場に来てください』――目を通すと、また封筒へ戻し、鞄の中へしまった。鼻から一つ呼気が漏れる。上履きに履き替え、教室へと歩を進める)
――おはよう。久城がこんな時間にいるなんて珍しいね。
(教室へ入れば、この時間帯には珍しい人物が。彼へと言葉を掛けながら、取りあえず荷物を置くべく自席へ向かう。途中、過ぎる席に座る生徒へ同じく挨拶を。次いで委員長からも声が掛かれば、「おはよう」と、朝に似合う爽やかな声で返し)
(万が一の万が一、そのようなことになりましたら、ちゃんと申し上げますので、ご安心くださいませ。そのようなことは億に一無いと思われますが^^ 何故なら、私も大概危険思考でございますので(←)。ご遠慮なく、自制はお外しくださいませ! 本当に大丈夫&ウェルカムカムですので~^^)
─。
(暫く会話をしていたが、やがて終了するとお互い目の前の物に集中し始める─が、突如携帯が鳴る着信音。電話に出る。どうやら姉の様だ。『ゴメン!弁当作ったやつ渡すの忘れてた、今から届けに行きたい所なんだけど...大学の方にもレポート出しに行かなきゃいけなくて..』「あ、俺も忘れてた。まぁ、良いや。なら、購買でパンとか買って食うし。」淡々と告げつつ、やがて会話を終えピと切る。次いでガラリと開く扉から現れるのは彼。挨拶交わす彼に視線向ければ片手をひらりと振りつつポケットへ端末機仕舞う。もしも相手と今日も弁当を共に食べるとするならば、購買へ行く事を伝えねば─と思考回路巡らせるもふと思い出す。そういえば弁当を作ってくれるだとか何だとか。いつ作るかは定かでは無いが、今日はさすがに無いかと内面昼飯講義。取り敢えず一旦その事を置いておき)
御早うー。今日いつもより早く起きちゃったから、そのまま来たんだよ。(俺も珍しいと思うわー、なんて付けたしながら笑み浮かべつつ立ち上がれば彼の席まで移動する。また彼の前の席の椅子を片手で引き、向かい側になる様跨がって腰掛ければ背凭れの上に両腕置いて彼見据え)まさかと思うけど、鮫島っていつもこの時間?
(うわぁあ、ありがたいです。(ほくほく
何ですと...いえでも自分にはかなわないでしょう。(←)
感謝いたします、では此方の子に任せます。(( 返事無しでいいですよっ!)
(相手からの返事へ「そうなんだ」と答えながら自席へ到着すれば、鞄を下ろすのとほぼ同時だろうか、彼が前の席を拝借し、此方に話し掛ける。椅子を引き、自身も腰を下ろしながら)
ああ、そうだな。大体これくらい。――あ、あのさ……
(向けられた質問に答えつつ、鞄を開ければ、「あ、」と小さく口が開く。ツイとその視線を上げれば、正面に彼の顔。再び視線を下げながら、上記を呟くと、暫し黙する。それは僅か数秒だったかもしれないが、男にとってはそれ以上の体感で。何かを決意したように鞄へ手を入れれば、また直ぐに出すその手に緑と紺のタータンチェック柄の巾着袋。それを二人の間で掲げたまま、何処か恐る恐るという感じで彼へ視線を向けて)
…………弁当……作った、けど……
早すぎだろー...ん?...
(毎日こんな時間に来るのは流石に己には出来ないだろう。それでも彼は毎日この時間に来るのだ。その上弁当も自分で作ってるとなればどれだけ早い時間から、起きているのだろうか。考えるだけでしっかりし過ぎて肩を竦めて告げる。やがて多少控え目な様子見せる姿に、じぃーと見つめていれば、するりと目前に出される其れに視線移す。双眸見開かせては、バッと両手伸ばして直ぐ様受けとる。)
──っ!!
─馬路で作ってきてくれたのかよ!?いや、本当って事はわかってたけど、今日だと思わなかった。俺、弁当忘れてきたし本当...助かったわ。(嬉しげに満面に笑みが溢れては、自然と目が細まる始末。両手でしっかりと持ち続けて「今日も一緒に食べても良いっ?」と何処か楽しみにそうに彼へ視線移して述べる。相当楽しみなんだろう、自然と声が弾み)
(昨日の好意的な態度があったとはいえ、はたして受け取ってもらえるのか、と何処となく緊張した様子の男だったが、そんな硬さを吹き飛ばすかのように彼は直ぐさま受け取ってくれた。此方は此方でその速さに双眸見開き、一つ瞬いて)
……いや、だって、約束したし。
(満面の笑みを一杯にする相手を見れば、自然に表情緩むも、少しくすぐったい。その気持ちを無意識に隠すよう、片手の指の関節を口元へ宛がいながら、上記紡いで。掛かる昼食の誘いに是非とも肯定の返事をしたく唇開き掛けた瞬間、鞄の中の封筒が視界に入る。逡巡する内、徐に瞬き一つ、二つ。そして、ふっと視線を彼へと戻す。口元緩く微笑んで)
ああ、勿論。――ただ、ちょっと用事があるから、それ済ませてから合流してもいい?
いや、それでも。
(薄く笑みこぼしながら呟く。彼が何を作ってきたのか楽しみだ。そんな想いを胸に秘めつつ、誘いの返事はどうかと彼を見詰める。其の言葉を聞けば、彼の所用、教師に呼ばれてるか何らかの仕事があるんだろうと深く気にする事無く頷く。「やる事あんのー?ま、了解。じゃあ先に屋上で待ってるわ。」笑み浮かべつつそう伝えて─あれから何十分経っただろうか。束の間人が集まり初めていれば、己が今現在座っている席の当本人。直ぐ様立ち上がって弁当片手に彼へ手を振る)
─んじゃ、またお昼。
(弁当を鞄に入れつつ、朝の会が始まる。─今日も一日気怠い時間が待ってる、といつもなら思う所だが今日は違った。口許緩めながらも机に両腕置き、頬杖付きながら空眺め)
(次くらいのレスにて、お昼に入ろうかと思ってます!が、どうでしょう?(←)
もしよければ、そちらが返す時点でお昼にして貰っても構いません^^)
(己の提案が快く受け入れられ、安堵の呼気と共に口元が緩む。「うん、有難う」と返せば、他愛もない話が続き――。やがて、自分の前の席に座る生徒が現れ、彼は席を立った。「おう、またな」と、軽く手を挙げ応える。楽しい約束を前に、男の声も何処か軽やかなのだった)
(鳴り響く終鈴は、=昼休みの始まり。机上を片付けると、早々に男は席を立った。廊下へと進む途中で彼の席へ寄り、軽く肩を一度叩く)
――じゃ、後で屋上な。
(そして廊下へ。幾分いつもよりペース速く進みながら、指定された待ち合わせ場所の駐輪場へと向かう)
(主さまのご提案に賛成です! こちらのレスでお昼にさせていただきました^^
引き続き、宜しくお願いいたします!/お返事無し可です^^)
─やっと、昼飯だ。...ん、了解。
(ぐっと両腕を伸ばせば欠伸を僅かに漏らす。席を立とうとした所で己の肩を一叩きする彼を見上げてから承知したかの如く片手をひらり。弁当片手に気を取り直して立ち上がると、屋上へと向かうべく廊下へ出るが不意に耳にはいる女子生徒の声。『やっぱり鮫島くん格好いいよねー!』『うんうんっ、さっきね、見掛けたよ。』『マジ!?どこに行ったの?追いかけちゃおっかなーなんて。』『わかんなーい、なんか急いでるみたいだったよ。告白だったりしてっ』笑い含んだ声色で楽しそうに話す彼女達に思わず足が止まる。仕事の用かと思っていたが、もしかしたら─)
─。
(告白だったとして、己に何の関係があるというのだ。そんな自問自答する前に踵を返して彼の行った方向へと足を進めるが教室から出る際の死角に入った時点で彼の行方はもうわからない─が足を進めて)
(昼休みにもなれば廊下を行く人の数も増える。その一人でもある男は、その中でもやや足早に先を行く。が、不意に名を呼ばれた。足を止め、声のする方向へ振り向けば、一人の男性教員で。初老の教師は、先程の授業での解答は感心しただの、大学は何処に行くつもりなのか等と話し掛ける。どうやら長くなりそうだ。だが、ここで時間を取られている場合ではない。早く話を切り上げるために愛想良く応えると)
――すみません、ちょっと友達と待ち合わせしていて。またお話しさせてください。
(「失礼します」と軽く一礼し、その場を後にした。友人との待ち合わせは屋上だが、その前にもう一つ待ち合わせがある。下駄箱で靴を履き替えると、真っ直ぐその場所、駐輪場へ。昼休みにそこへ用のある人はほぼ居らず、ただ自転車が並ぶその先に、一人の女生徒が立っていた。男、そちらへ歩を寄せて)
――ごめん、待たせたかな?
─あぁ、もう。何処だよ。何するか聞いておくべきだった。
(今朝の時は告白なんてものは全くもって考え無かったが、彼女達の言葉にて其の可能性だってある様な気がした。何処か焦燥感煽られたかの如く後頭部を片手で掻き乱せば、途中通る同じクラスの女子に声掛ける。数名掛けたが行方を知るもの無し─だったが。「あのちょっと良い?鮫島みなかった?」『へ?鮫島くん?あー、さっきそういえば靴に履き替えて外行ってたよ。多分だけど..』漸く答えが見つかった。曖昧だがそれを頼りにするしなく、目的地へ到着)
─。
(靴履き替え既に外へ出ていれば、人気の無い所を若干早足で歩き回る。やがて、壁を曲がり駐輪場へ向かうと─。男と女の姿が視界に入り、どくりと嫌な脈が打つ。此方から見る彼は背中であり、顔が見えるのは女の子の方だけ。このままだとバレてしまうと壁に身を隠し、顔を僅かに出して其の様子眺める)─、...やっぱ...告白...?
(男の問いに、『ううん、大丈夫っ』と緊張のせいか、やや早口で答える女生徒。次いで『来てくれてありがとう。あの、手紙に書き忘れちゃったんだけど、私、三年の――』と、手紙の時点から引き継いでいたのだろう緊張をそのままに自己紹介を。男は彼女と正対しながら、静かにそれを聞いていた。女子生徒は緊張を紛らわすためか、スカートの裾をぎゅっと握り、そして暫く黙った後、覚悟を決めたように顔を上げ、彼を見つめながら『私、一目見たときから、鮫島くんのことが好きでした。良かったら、私と付き合ってください!』真っ直ぐな思いを彼へとぶつけた。男は視線を逸らすことなく、同じく真っ直ぐ彼女を見つめる。そして次の瞬間、静かに頭を下げた)
――ごめんなさい。気持ちはとても嬉しいです。けど、俺、付き合うのは、自分が好きになった人、て決めてるので。先輩の気持ちには応えられません。
(真剣な気持ちには、真剣に返したい。そんな男の思いが感じられる、はっきりとした答えだった。女子生徒は実らなかった思いに自然と目が潤んで。『そっか……わかった。ありがとう。…………あの、ひとつだけ聞いてもいい? その……好きな人、いるの?』男は下げた頭をゆっくりと上げ、再び彼女と視線を重ねる)
――いません、今は。
(確りと、落ち着いた声だった。『そっか……ありがとう』と、女生徒は精一杯の笑顔で思いをきちんと聞いてくれた男へ礼を言う。その目元から涙が一粒零れた。咄嗟にそれを拭う彼女。そこへ、ふと差し出されたのは水色の小さなハンドタオル。彼女が顔を上げた先には大好きな人がいて)
……良かったら、使って下さい。返さなくていいので。
(思い掛けない出来事に女生徒の顔が明るさを取り戻す。そして、その優しさにまた涙が溢れる。『ありがとう』と繰り返しては、そのタオルが涙に濡れた。男はその様子を幾分心配そうに見遣り、「大丈夫ですか? 一人で戻れます?」と尋ねるも、女生徒は『……うん、本当に大丈夫。お昼の時間、ごめんね。ありがとう』と先程よりも確りとした声と、精一杯の笑顔で答えた。――<お昼の時間>。そうだ。男はもう一つの約束を改めて思い出す。再度心配そうに彼女を見つめるも、今は彼女の言う通り、幾分落ち着いた様子だ)
……それじゃあ、俺、行きます。――有難うございました。
(そうして軽く一礼すると、下駄箱がある方角へと踵を返して)
──。
(二人の会話が始まる。所々聞こえたり聞こえなかったりと曖昧な所で。きっとたった数分しか経っていないだろう。それでも己の中では、多少ばかり長く感じられた。それよりももっと己の中で渦巻くものがある──二人の様子を見るだけで、ぐるぐると何か嫌悪感抱く其れが巡る。酷く胸が痛く、苦しい。空いた片方の手で己の口許を覆いその場にずるずるとしゃがみ込む。再び見れば、彼が頭を下げている様子、暫くして最後までその様子を眺めていた。結果、雰囲気的に彼は振ったのだとわかった。心の何処かで安心するも、矢張り拭え切れない感情のがある)
─何だよ、告白されてるだけだろ...、っ...。
(低く呟きながら再び立ち上がると、口元抑える手は其の侭で俯きながら歩き出せば先程彼に告白したであろう彼女を横切ろうとした際声が掛けられる。『...あの、大丈夫?』体調不良で今にも倒れてしまいそうに映ったのだろう。僅かに顔上げ横目で彼女を見遣る。先程のシーンが脳を過れば、どくどくと嫌悪感増す脈が打たれる。彼女へたった一言告げた─というよりも、呟いた)
─苛々すんだよ....、あんた見てると。
(何処か驚いた様な彼女から視線外し、再び昇降口へと歩みより)
(気持ちは逸るが、彼女の視界に入るであろう範囲では足を速めず。それは男なりの礼節だろうか。昇降口まで来れば、そそくさと靴を履き替えながら、腕時計に視線を落とす。昼休みはまだ半分以上は残っていた。急いでいると、時間の流れは早く感じるものだ。思っていたより過ぎていないことに少し安堵の呼気が零れて。ふと、彼女は本当に大丈夫だろうか、と来た方角を振り返る。そこから女性生徒の姿は見えないが、代わりに見知った人物が一人。屋上で自分を待っている筈の彼が何故ここに……? 予想外の登場に驚き隠せず双眸見開きつつ、彼がこちらへ歩を進めているのを見て取れば、上履きで移動できる範囲の簀子の上、彼を迎えるように近付きながら声掛ける)
――久城! 何でここにいるの?
...。
(下駄箱に着き口元から片手下ろした所で、彼が此方へ向かうのが視界の端に映る。“ごめん、ちょっと色々あって。”なんてへらへら笑いながら誤魔化したい所だった。それなのに、苦しくて上手くいかない。この感情が初めてな故に対処法なんてわからないのだ。彼見ずに横切れば、靴と上履き履き替える途中で一旦手を止め下記紡ぐ。明らかに声色が普段と違って幾分ばかり低い。)
─別に。...、...屋上行って食べてても良いから。俺、今日は家で食う。
(再び手を動かすと履き替えが済み下駄箱へ靴を入れ視線を落として)
(自身の横を通り過ぎる彼に違和感を覚えながら、その後を追う。教室で別れたときとはまるで違う雰囲気に面喰らっていれば、返る声に思わず「え?」と聞き返してしまう)
――どうしたの? 久城。どこか具合でも悪いのか?
(いつもより低い声色を聞き、心配そうに肩を掴んで、相手の顔を覗き込む。「熱でもあるのか?」と眉根を寄せては、彼の額にもう片方の掌を宛がおうと)
─すぐそうやって、お前は...ッ
(此方を心底心配そうにする彼。振った彼女にもそんな風だった。何かを差し出していたのはハンカチだと気付いたのは、横切る際に大事そうに握っていたからだ。何故こんなにも胸が痛く苛々してしまうのかさえはっきりしない。ただ、はっきりとするのが彼が他の誰かに好意を持たれる事。他の誰かに好意、または優しくする事に今は腹が立つ。額に寄せられる手首をガシと幾分強く握ると、其のまま人気の無い廊下までずかずかと移動する)
─そうやって、あの女にも優しくたんだろ。...そんなに告白されて嬉しかったのかよ?(彼を壁へ押し付けてから、手首を離せば弁当をその場に落として再び彼の両腕をぐと掴めば壁に押し当てた後彼を見上げる。僅かに双眸細めながらも眉間に皺寄せて、嫌味混じり問う。自然と溢れる言葉が己でも信じ難い。)
トピック検索 |