朔夜 2014-07-15 07:37:49 |
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【騒がしい鼓動 Ⅰ】刀剣乱舞/陸奥守吉行
どうしてこうなったのか分からない。
いつもより温かな布団の中、目を覚まし隣を見れば規則正しい寝息を立てるこの男が居た。
陸奥守「すー…すー…」
主「(え?いや違う違う!何で居んの?ここ審神者部屋だよね?ここお前の部屋じゃないよねぇええ!?)」
寝ているこの男の隣でもぞもぞと身を捩り逃げようと試みるが、何故か腕一つ動かせない。
主「へ…何で?」
陸奥守「何じゃ、主。起きてしもうたんか…?」
寝起きだからか少し掠れた低い声音にどきりと鼓動が胸を打つ。
え、何で陸奥守にドキドキしてんの!?
主「起きてしもうたんか?じゃないでしょ!?何でここに居るの、っていうか何でここで寝てるのか説明しなさ…っ!?」
陸奥守「騒がしいのう、ちぃと静かにするがぜよ…誰か来たら邪魔ぁされるじゃろうが…っ」
え、なになになになになに!?
質問攻めにしていた私の口は陸奥守によって塞がれてしまった。そう、陸奥守の唇で…だ。
主「ん…っふ」
息が続かない、長く続く深い口付け。
息苦しさと舌に絡みつく陸奥守の弾力のある舌の感触に、生理的な涙が涙が目尻に微かに滲む。
主「…んーっ…ぷはっ!」
陸奥守「主は辛抱が足らんのう」
あ・ほ・か!アホなのか!?もうアホの子なんですかぁあ!?
んな長く口閉じられて強く抱き締められてたら、嫌でも呼吸困難になるわ!
っていうか、何でキスなんか…?
陸奥守「いかんじゃろ?折角、おんしの寝とる隙に潜り込んじょったのに。添い寝位で騒ぎ立てるんじゃなかぜよ」
主「添い寝くらいぃぃ?私としては大問題なんだけど?うら若き乙女の部屋に無断で忍び込むなんて…」
陸奥守「うら若き乙女?ほんなもん何処に居るがじゃ?」
主「テメェの目の前だよ、しっかり目開けて見ろやコラ」
陸奥守「おうおう、おっそろしいのう。ほんじゃそのうら若き乙女の優しい寛大な心で、わしと添い寝してくれんか?」
はあ!?何故そうなる!?
そりゃ、私は優しくて寛大で包容力も抜群だけど ←
でも、今ちゅーした男と一緒に寝るなんて…。
【騒がしい鼓動 Ⅱ】刀剣乱舞/陸奥守吉行
陸奥守「ほう…顔が真っ赤ぜよ、主?」
主「うっさい、陸奥守のばか。それに、こんな真っ暗なのに見える訳ない」
陸奥守「見えるがぜよ、そりゃもうハッキリと。わしらは夜戦にも出るき、夜目にはちぃとばかし自信があるけんのう」
そうだった。
刀剣達は夜の出陣も多い。
そんなコイツらが見えない訳がない。
主「もう…わかったから、出てってよ」
陸奥守「そいは主命がか?」
主「む…そうだよ、主命!」
陸奥守「嫌じゃ、その主命は聞けんのう」
主「は…?何でさ?」
陸奥守「わしかて男じゃ、好いちょう女子の部屋で一緒に寝たいがは普通の事じゃろうが」
いや、そうじゃなくて…ん?
今、陸奥守…好きな女って言った?
主「へ…?」
陸奥守「なんちゅう間の抜けた顔しようがじゃ!ぶっ…はははっ!!」
主「いや、だって…そんな」
陸奥守「次は照れとるがか?まっこと主は飽きんのう、見ちょるだけでコロコロと表情が変わる…ほんに愛らしいがぜよ」
豪快に笑っているかと思えば、急に低く男を意識させる様な色気のある声で囁く。
どきんどきんと胸を激しく打つ鼓動。
もう、うるさいな私の心臓。
主「わ…かった」
陸奥守「…へ?」
次は陸奥守の番だった。
何とも間の抜けた声を出す彼に、顔は見えずともしてやったりという感情が湧く。
でも…。
主「良いよ。じゃあ、一緒に寝よ?陸奥守」
陸奥守「はぁあ!?良いがか!?わしゃてっきり」
主「ヤなの?」
陸奥守「~~~っ!!!嫌な訳、無いがじゃろっ」
その後、何時もより温かな布団の中、陸奥守という安心感に包まれて私は眠りについた。
好き、と言われて本当は嬉しかったなんて…今はまだ秘密。
隠れファン様
折角コメントを頂けていたというのに返事が一年以上も過ぎるとは、本当に申し訳ありません!
こんな風にゆっくり過ぎるマイペースな主ですが、まだいらっしゃるならまた気軽に遊びに来て頂ければ幸いです。
これからも精進して参りますので、どうか宜しくお願い致します。
トフレ様
コメント有り難う御座います!しかも、全て読んで頂けるとは…光栄です。明日か明後日には更新させて頂く予定で御座います、お返事が遅くなってしまい、誠に申し訳ありませんでした。
宜しければ、また遊びにいらして下さい!
【本音は裏腹 Ⅰ】刀剣乱舞/歌仙兼定
雅じゃない。
その一言がきっかけだった。
加州「主、なーにやってんの…って、何そのかっこ!?」
主「ん?いや…昨日次郎ちゃんに見立てて貰ったんだよ。どう、似合う?着付けも次郎ちゃんにやって貰ったんだー」
加州「主は可愛いから何でも似合うよ。まあ、そんな主の刀である俺は、世界一可愛いんだけどね?」
また始まった。
いいや、放っておこう。
早く見せに行こう、あの人に。
次郎「全く、誰の為にめかし込んでんだろうねぇ?」
太郎「さあ。でも…よく似合っています」
二人が温かく見守ってくれている事なんて露知らず、私は厨へと向かった。
主「かーせん!あれ?ねえ光忠、歌仙知らない?」
燭台切「ん?今日は確か洗濯当番じゃなかったかな?おや、主…着物もよく似合うね」
主「ありがとー、いやもう着慣れなくて大変だけどねぇ」
燭台切「とても綺麗だよ」
主「はは、光忠はお世辞が上手だなぁ。じゃあ、歌仙探しに行ってくるねー!」
燭台切「お世辞じゃ…って、何だ歌仙君に見せる為か…」
外に出てみれば、洗濯を干すのに打ってつけの良い天気。
歌仙がさぞ、喜んでいる事だろう。
なんて思いながら歩いていると、其処にいたのは淡い紫の髪を風に靡かせた私の探していた人。
主「歌仙!」
歌仙「っ!?驚いた。主…大声を出すなんて、雅じゃないねぇ」
やっぱり、着物を着たって私は雅にはなれない?
主「あ…ごめん、なさい…」
歌仙「…?どうかしたのかい?って、これは…」
洗濯物を干しながら話していた彼が、漸く此方に向き直った。
目の前で黙り込む彼に、ざわざわと騒ぐ胸を落ち着かせようと目を閉じた。
歌仙「…え?此処で…かい?」
何を言っているのだろう?
歌仙「……っ」
主「…ん…!?」
不意に唇を押さえられる感覚に驚き、目を開けた。
すると、間近に見える歌仙の顔。
圧迫を覚えた唇は、彼の唇で塞がれていた。
歌仙「主…口付けの途中で目を開けるだなんて、雅じゃないよ」
主「だって…っ…歌仙が…!」
それから喋る間もなく、甘く深く口付けが続いた。
漸く唇が離れ、私は歌仙に抱き締められていた。
【本音は裏腹 Ⅱ】刀剣乱舞/歌仙兼定
歌仙「仕方ないだろう?こんなに綺麗に着飾っているんだ。その上、瞳を閉じた君の愛らしい顔を見せられてしまったら…主を我が物に、そう考えてしまうさ」
主「我が物って…」
歌仙「いつも元気で愛らしい主が、好きなんだよ…私は」
主「…!?好き…って?」
好き?好きってなに?
雅じゃないって言ったじゃない。
いつもいつも、言うじゃない!
歌仙「私は、私の言葉一つで表情を変える主が…とても可愛らしく見えているよ?」
はあ?はああああ!?
歌仙、腹黒い。
私が歌仙の事を好きだって分かってて、いつもあんな風に…。
歌仙「好きだからこそ、そう簡単には素直になれないものさ」
主「私は…歌仙が好き」
歌仙「知っているよ」
主「歌仙が思ってるより、いっぱいいっぱいいーっぱい好きなの!」
我ながら子供染みた告白だと思う。
でも、これが精一杯なの…歌仙。
歌仙「なら、私と同じだ…」
主「…っ!」
歌仙「今度は、目を開けてはいけないよ?」
そう言われたけれど、私はそっと瞼を押し上げてみた。
少し恥ずかしそうに、でも優しく微笑んでいる歌仙の顔が見えて。
私はこの口付けを再び目を閉じ、受け入れた。
…………。
主「歌仙ってさ、素直じゃないよね?」
歌仙「ああ、だから…」
゙君は本当に、雅じゃないねぇ"
そう、私の耳元で囁いた。
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