~prologue~
殆どの人が寝静まった深夜零時。
荒い呼吸をしながら必死に走る、貧相な身なで手足に枷を着けた女の姿があった。
とある東国にて奴隷として扱われていたが、見張りの兵の目を掻い潜り何とか異国へと逃げ出してきたのだ。
しかし途中で見つかってしまい、背後では土煙を立てながら馬で追い掛けてくる兵達は段々近付いてくる。
追われる女を助ける者は愚か目を合わせる者も居らず、全員が逃げたり道を開ける者ばかり。
このままでは捕まってしまうが、誰も匿ってくれそうもない。どうするか悩んでいると、突然腕を引かれ裏路地に引っ張り込まれた。
自国の兵に捕まったと思い抵抗しようとするが、月光に照らされた彼は兵士ではなく女と同い年くらいの金髪の青年だった。
その青年は女を自分の家に入れ、身体の傷の手当てをすると暫くの間女を匿った。
誰も助けてくれなかったのに
誰も手を差し伸べてくれなかったのに
何故貴方は…
僕を匿っている事が自国に知れたら
殺されてしまうのに--
すぐに此処から立ち去らないと彼の身が危険に曝されてしまう。
しかし、時が経つにつれ何故だか離れたくないという想いもあった。
この感情の名を、彼女はまだ知らない--
>>1 ルール説明等
>>2 主のpf