紅 2014-06-20 03:49:16 |
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なんで思い出すんだろう。
いつも追いかけるのは俺だった。
いつも足りないと言われた。
本当に足りなかったのは俺だ。
待っていたのも俺。
何度わかってないって言われたかな。
君は俺をわかってくれていた?
言葉にしなかった想い。
君にごめんと言われるのが辛かった。
なのに俺はいつも君にごめんって言ってた。
それが君の求める答えじゃないってわかっていたのに。
君は気分屋で、いつも気難しかった。
何度も怒られ、罵られた。
それに心が折れれば、また責められた。
喧嘩になるのが嫌で独り耐えても責められた。
そんなこと、誰も知らなかった。
浮気されたことも。
君には振り回されっぱなしだった。
それでも良かったんだ。
君の暴言は、全部嘘だってわかってたから。
どんなに怒られても、好きだって泣かれている気持ちになった。
だけど俺は臆病で、いつも君を傷つけていたんだ。
なんで思い出すんだろう。
愛してるって言葉を使ったことがある。
たった一人だけ。
慣れない特別な言葉は、すんなりは出てくれなかった。
初めて言うまでに数年かかったっけ。
何度か伝えた言葉。
だけど口にすると、とても陳腐に思えた。
好きって言葉じゃ足りなくて、
それ以上に大切で愛しくて…
だから言葉にしたのに。
意味は合ってる筈なのに、
愛してるって言葉はどこか上辺だけの言葉のようで。
現実感が稀薄だった。
もっと違う言葉を見つけられたら、
なにか変わったのかな。
なにも変わらなかったかな。
いや、言葉で表そうと思ったことが、
そもそも間違いだったのかな。
今となっては、それもわからない。
駄目だな。
考え出したら止まらない。
あれから俺は、気持ちを言葉にするのが下手になったよ。
言葉にすると虚しく響く気がして。
今でもあの曲を聴くと君を思い出す。
いや、違うな。
君を思い出すために聴いているのかもしれない。
忘れられないとか、
もう誰も好きにならないとか、
そんなことを言うつもりはない。
それでも、俺の中のあちこちに君がいる。
こうして思い出す。
いつか忘れてしまう日が来るのかな。
我儘が許されるなら、
ずっと俺の中にいてくれるかな。
楽しかったことばかりじゃなかったけど、
俺のすべてだった。
君の中にも、欠片でいい。
残っているといいな。
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