もも太 。 2014-06-10 23:49:09 |
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「 初恋日記 」
- 主な登場人物 -
相田 柚奈 ( あいだ ゆずな )
南高の3年生 。
皆から置いていかれていた中、理人に出会って一目惚れする。
田辺 理人 ( たなべ りひと )
東高の3年生 。
彼女は途切れないとの噂 。
有馬 悠斗 ( ありま ゆうと )
南高の3年生 。
サッカー部で何気に人気らしい 。
坂口 花 ( さかぐち はな )
柚奈の親友 。
年上の彼とお試しで付き合うことに 。
森原 梨香子 ( もりはら りかこ )
柚奈の親友 。
最近彼氏ができる 。
■偶然の中で■
私は今。
お祭りに来ているのだが。
周りにいる人の中でほとんどがカップルだらけ。
正直、目障りだ。
まあ自分に彼氏がいないからそう思っちゃうだけだけれど。
「ユズナ?どうしたのボ ーっとして?」
しばらく周りを見ていたから、不思議に思ったのかリカコが尋ねてきた。
「あ、ううん。なんでもないよ」
「ユズナってば、今そこら辺のカップル見てたやろー!ハナ見たでっ」
「そうなの?」
見られてたか。
ここで見てないよって嘘つく理由もないから。
「うん、爆発すればいいのになあって思って…」
「ユズナ怖い」
「もしかしていつも私たちのこと見て爆発しろって思ってた…?」
「ハナとリカコは別だよ」
ハナとリカコは、さいきんつきあいはじめて。
まあハナはお試しってだけらしいんだけど。
今日だって、本当は私となんかじゃなくて彼氏と来たかったはずなのに。
今日は無理なんだって〜!
なあんて嘘言って一人ぼっちの私と祭りに来てくれた。
優しくて大事な友達。
一生一緒にいたいと思えた友達だから。
大切にしなきゃな。
「よかったあ!」
「ハナは橘さんとお試しだから、付き合ってるって自覚あんまないわー!」
「橘さんは………大人すぎだよ」
「でもねでもね!年齢だけって感じしてきてん。中身はなんか。意外とアホっぽいって言うか」
「ハナは好きだねえ、橘さんのこと。でも私も分かるなあ!」
「いいなあ、好きな人がいて」
2人の話を聞いてたら、なんだか彼氏が欲しくなって。
素直に羨ましいなあって。
私もいつか好きな人ができるかな。
こうしてみんなと惚気れるかな。
「大丈夫だよっ、ユズナにもきっと現れるよ。大事な人が!」
「そうやで!会わなきゃいけない人には絶対会えるから」
ハナの声が天国にいるお母さんと重なった。
お母さんも言ってたから。
「会わなきゃいけない人とは絶対会えるのよ。神様はね、気まぐれだから。だからみんなよりちょっと遅れているだけよ。大丈夫。ねえ柚奈?これから出会った人を大事にしなさい。そしたら自然と自分も大事にされるから。出会った人って言うのは、数え切れない人の中で、神様が選んだ出会うべき人なの。出会う運命。だから、お母さんと柚奈がこうして家族になれたのも、神様のおかげだね」
って。
周りに置いていかれて喉に何も通らないくらい悩んでた時に優しく教えてくれた。
だから今大事な友達と一緒に居られるのは神様のおかげで。
そしてみんなは神様に選ばれた人なんだって。
思うようになれた。
「そうだね。…ってごめんなんか。屋台見に行こっか」
「うん!ハナ、りんご飴食べたい♪」
あ。って。
ハナより先に視線に気づいたのは私で。
… 橘さんだ。
そしたらリカコも気づいていたみたい。
「ハ、ハナ。橘さん…」
「え⁉︎………あ!橘さん‼︎」
「…ごめん。来ちゃった」
「あ、でも私いま…」
チラッと、こっちを見てくるもんだから。
察しなきゃなって。
「ハナ、行ってきなよ。私はリカコがいるから大丈夫!」
「でも…っ」
「大丈夫」
リカコと一緒に頷く。
さすがに彼氏と祭りを楽しみたいという気持ちは強いようで。
「ごめんみんな!またラーメンおごるっ」
「あはは。いいって」
「皆さんごめんなさい。ハナも。俺のわがままで」
「いえいえ」
「ハナは大丈夫ですよ!… じゃあ橘さん、行きます、か?」
「うん、そうだね」
私たちの姿が見えなくなるくらいまで「ばいばい」って手を振るハナをそっと見送る。
リカコも彼氏と居たかったんだろうな…。
チラッとリカコを見るとハテナを頭に浮かべ笑顔で首を傾げてきた。
「なに?どうかした?」
「え。ううん、なんにも!」
なんかモヤモヤするなあ。
なんでだろ。
やっぱりあれかな。
自分のためにわざわざ彼氏と居られる時間を潰されるのが嫌なんだと思う。
私的に。
「…ねえ、リカコ」
「なあに?」
「やっぱり、リカコも彼氏さんと回りなよ!まだ間に合うし!」
「い、いいよー。今年は友達とって決めてたし…」
「お願いー!」
「ええ。そんなに?」
「そんなにだよ」
一度決めたらすぐ行動しちゃうタイプだから。
気持ちは固い。
「待ってね…じゃあ駿くんにメールしてみるね」
「うん」
結局、駿にメールしたらすぐに返信が来て、気づいたら私一人で。
これで良いんだ。
さて。
これからどうするかが問題だ。
何もすることないし、ラムネ飲んで帰ろうか。
うわあ。
賑わってるなあ。
ふと目についた射的屋さん。
子供たちだけだと思ったけど、案外違くて。
多分ふざけ半分だろうけど、中高生も順番待ちしていた。
見る限り幼稚だし、景品もスーパーボールとか駄菓子とか私には要らないものばかり。
でも何か楽しそうで。
帰るはずの足は自然と無意識に列の1番後ろに並んでいた。
私が1人で誰とも話していないからか、私の前に並んでいるカップルの声がすごく聞こえてくる。
「リヒトぉ、本当にとれるの〜?」
「とれるって。これマジな」
「こういうの得意そうだもんねえ」
「だろ?狙って打つ系とか得意だからさ。… 自分で言うもんじゃねえけど」
なんだこのカップル。
なんか、似合ってないな…。
失礼だけど。
化粧でできてます! って感じ。
この女の人絶対化粧しない方がいいな。
なんて思っていたら、順番は早くも回ってきて、私の隣では先程のカップルのリヒトと呼ばれていた男が片目を閉じて狙いを定めていた。
この人相当自信あるようだったけど。
本当だろうか。
なんだかこっちまで緊張してきた。
次の瞬間、気づけば缶を倒していて。
うそ。
あの一瞬であんな難しいところを倒すなんて。
負けじと私も隣でやってみるがうまくは行かず、全く缶は倒れてくれない。
最後の一回になって、諦めかけていたら。
「お前、下手くそだなあ」
「な…」
バカにするかのように言われ、ムッとする。
自分がちょっとうまいからって。
しかも私たち初対面ですし。
なんですか。
ああ、もう。射的なんてやるんじゃなかった。
「貸してみろ」
「え?」
「早く」
「は、はい…」
訳も分からず渋々渡す。
あの、リヒトさん。でしたっけ。
彼女さん半ギレなんですけど。
超睨まれてるんですが。
彼女さんに苦笑いしてなんとか誤魔化そうとしていると、またさっきと同じ缶があっという間に倒された。
悔しいけど、かっこい。
「ほらよ。景品ほしかったんだろ?」
「!?ち、違いますけど!」
「あれ」
「いりませんこんなもの!」
改めて顔を見たけど、綺麗な顔立ちをしていた。
相当なイケメンで黒髪なところが逆に似合ってて。
THEモテ男‼︎ みたいな。
「リ、リヒトぉぉ!ちょっと。彩未の存在忘れてない⁉︎」
「あ?忘れてねえよ!」
「じゃあなんで初対面の人の…」
そう言えば、彼女さん居たんだった。
忘れてた。 これは完全に嫉妬してるパティーンだよ。
「だからあれは。この人が景品ほしくて並んでたのかと思ってそれで」
「だから違うって」
「まあいいや。リヒト行こっ」
「おう。じゃあな」
腕を組んで私の前から消えて行く2人の後ろ姿を見ていると何だか淋しくなって。
リヒトさんとまた会いたいなって。
そう思っちゃったんだもん。
名前、言ってなかったな。
名前知ってもらいたい。
ちょっと気になる人って思えたし。
ここで終わるなんて、嫌だ。
もともと走るのが苦手な私の全力で。
彼を探した。
探すもなにも、多分またこの辺にいるはずだから。
「ハァ…ハァ」
早くも息が切れそうになる。
もっと足が早ければ。
追いついたはずなのに。
> もも太 。 から !
誤字がありました!
>4の最後らへん。
「多分またこの辺…」→「多分まだこの辺…」ですね 。
ねこやなぎさん、
ありがとうございます! 楽しみにして頂いたのに、
こんなんですいません ←
◇◇◇
どれくらい走っただろうか。
こんなに必死になったことがなかったから自分でもビックリで。
賑わっていたお祭りもお開きが近づいて。
屋台もだいぶ減って。
もういるわけないかあ。
やっぱり途中休憩したのがいけなかったのかな。
休憩せずに探してたら会えたかもしれないのに。
後悔しつつ、これが現実なんだと思い知った。
そろそろ帰らなきゃな…。
時間も時間だし、近道しよう。
道は狭くて人通りも少ないけれど、家がだいぶ近く感じるんだ。
「……嘘」
奇跡が起きたって思った。
「うお、びっくりした!こんなとこ通る人いたんだな」
そこにいたのは間違いなく彼だ。
彼女さんを送った帰りだろうか。
「てゆうかお前、帰るの遅くね?… もしかしてあのままずっと1人で回ってたのかよ」
「うん。探してたの」
「誰をだ?」
「言わなきゃいけないかな…」
「いや別に。興味ないな」
興味ないって、なんか傷つく。
そりゃ、会ったばっかだし当たり前かもしれないけど。
でも会えた。
会えた、会えた、会えた。
それが何より嬉しくて。
こんなの初めてで。
なんだろこの気持ち。
恋、かな。
今なら素直に言える気がする。
「あなたを探してたの」
「はあ!? なんでだよ」
「名前、聞きたくて」
「そんだけか!?……バカなんだな、お前…」
なんて、笑いを堪えていた彼がとうとう爆笑し始めた。
こっちは真剣なのにさ。
「… んまあ、俺は東高3年の田辺理人だ」
「リヒト、くん」
「リヒトでいいよ」
「分かった。私は南高の3年で、相田柚奈だよ」
「ユズナって長いな…。じゃあユズで」
「メアド…」
「ごめん、いろいろ整理しなきゃなんだよ。だから悪りぃけどケー番でよろしく」
リヒトと繋がれるなら糸電話でだっていい。
バカかもしれないけど、異常だ。
恋の病ってこのことかな。
人のことを好きになるとこんな気持ちになるの?
私って案外惚れっぽいのかな。
これって、一目惚れ、だよね。
頭の中がリヒトでいっぱいな感じ。
やばい、 異常かも。
リヒトがほしい。
みゆさんの通学シリーズ殆ど持ってます!!!!
表紙が女優さんや俳優さんのやつですよね?
もう大好きです!なので、主様の小説も楽しみに見てます**
頑張ってください-^^
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