Aiku 2014-05-28 22:12:52 |
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1.『大人』 (宮本 冷夏)
私は『母』が嫌いだ。
「早く閉まってって言ったのに本当に
いい加減にしなさいよ」
そう言い放つの母。
何でそう怒るのだろうか。
制服のリボンをしまった場所を忘れただけで、
どうして、こんなにも嫌味ったらっしく
言われなければいけないのだろうか。
私が悪いとしても、必要以上に怒る。
私が反抗すると、物で殴られる。
『虐待』なんてそんな酷いことはされていない。
母が、本当に怒ったときにだけ。
私は思った事を出来るだけ口に
出さないようにする。
怒られるのが嫌だからではない。
後々めんどくさくなるだけだから、
ただ、それだけなんだ。
母は、いつだって、自分が正しいと思っているのだろう。
だから、ケンカみたいになっても、『子供』の私が
悪い。『大人』の自分は正しいと思い込んでいるんだ。
だから、翌日私が母を無視すると、
『拗ねている』とか、
『意地』をはっている。
とか思われそうで、嫌。
だから、ケンカしても翌日には、
何事も無かったように接する。
あれから私は、母に何も言わずに家を出た。
とても話す気分なんかにはなれなかった。
…それ以上話すと
イラだちが最高潮になって、
また余計なことをいってしまうかも
知れないと思ったからだ。
「あっ、冷夏ーおはよー!!!!!」
一人通学路を歩いていたら、
後ろから私と同じセーラ服を着た
ツインテールの女の子が私の名前を呼んだ。
佐藤 真弓。
私と同じ中学2年で同クラ。
一年から同じクラスで、
一番仲の良い友達。
「…おはよ。真弓!」
私も笑顔でそう返すと、真弓はニコリと優しく笑った。
…可愛い。
さっきあんな事があったせいか
真弓の笑顔が、いつもより輝いて
見える気がした。
ーーーーーーーーーーーーーー
正門まで来ると、そこには生活指導の男性教師の岡辺がいて、
思いっきり目が合ってしまった。
私はつい、「うわっ」と大きな声で叫ぶ…
それを聞いた岡辺は、私に近づいてきて、
「冷夏ぁ~お前そんなに俺と会えて嬉しいのかぁ~?」
と、嫌味ったらっしく言う。
気持ち悪っ…
私は鳥肌がたつのを感じた。
コイツは、2年女子の体育の担当教師だ。
生徒の下の名前を呼ぶところとか、
やけに女子の体を触るとかで、
あんまり好かれていない教師の一人…
現に私にイヤらしい視線を送ってきてるし…
私も目をつけられたのか会うたび何かと絡まれる。
今日は最悪…
いつもは何かと文句を言うが、
私は何も言わずに真弓の腕を引っ張り教室へと向かった。
「こーいう人がいるから、大人って、本当に嫌なんだよ…。」
私は一人、ポツリと呟いた。
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