矢谷啓 2014-05-13 19:43:45 |
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いいじゃないですか、無駄にヘラヘラしてるより。
(無駄にヘラヘラしてる、とは自分のことだがそれ以上に完全に無表情を繕った方が楽だろうな、と考えてしまい。仕事柄、笑ってなくてはいけないような気がしていつも貼り付けた笑みを浮かべているが、どうもそれが辛く感じる時というのがやはりあって。「気持ち悪いってなんですか、もう…」気持ち悪いといわれ、何だか拒絶されたような気分になる。拒絶されるのは慣れているが、あまりにも久しぶりに拒絶されたのでそんな反応をしてしまって。相手を待たせないように、と料理を出来るだけ早く正確に進めて
俺たち似たもの同士ですね。でも俺は先生のその顔も悪くないと思いますけどね
(そう言われてなんと相手に声を掛けていいのか迷う。無理して笑わなければいいと言うのが普通なのかもしれないが無意識に貼り付けた笑みを浮かべてしまうのならそれはそれで良いし無理してその笑みを作るなとは言えない。自分も無表情なのは無意識で感情がどうしようもなく乱されたとき繕おうとはするがその感覚はほぼなく今は一人で居るときでさえ表に感情を出すことをしていない気がする。結局、同じなのかもしれないと思えば自然と声には出さないと思っていた言葉が漏れていて。しかし素直に好きですと言わないあたりはやはり捻くれていると思う。「すみません。あなたのことじゃないから」自分に対する言葉を口に出してしまったことを誤解だと謝れば、再び相手のあの笑顔のことを考えてしまう。彼は夜、一人でいるときあの貼り付けた笑みさえ消して、もしくは自嘲気味に笑んで生きることに絶望しているのだろうか。一瞬脳裏を血にまみれた彼女が過ぎり気付いたときには料理をする彼の後ろにいて拒絶などしていないと言うようにそっとその体を抱き寄せる。数年前自然にできたこの甘ったるい行動は正直悪寒がするほど気持ち悪くどうかしているし自分を見失っていると思う。その上、相手には邪魔で気色悪いと思われ、もしかしたら彼女と重ねてしまったことを勘付かれるかもしれないが今は我が儘になりたい気分で
そう、ですか…なら…いいかな
(誰に聞かせる訳でもなくそんな言葉を呟いてしまう。相手が言うのなら自分では吐き気さえ出てくるこの笑顔も悪くないと思えるだろう。吐き気さえも愛おしく感じる。相手は無表情でいるときなにを考えているのだろう。何を思って体裁を繕っているのだろう。本当は泣きたいのではないのだろうか。思わず笑ってしまいそうになってしまうのではないのだろうか。でも自分が笑ったり泣いたりするのは誰かが許してくれないと決めつけてわざと無表情になってるんじゃないか、と。「はは、拒絶されるのは慣れてますよ?」謝罪した相手に素直に気にしなくていいと言えないのはやはり捻くれた性格のせいだろう。しかし、相手が何だかいつもと違うように見える。現に今、後ろから抱き締めているのは先程までの相手だろうが、意味もなくこんなことをする人ではないだろう。相手の表情は汲み取れないが回された腕にそっと自分の手を添えて、「大丈夫ですよ」なんて。こんな時でも自分の手は冷たい。まるで死人のようじゃないか、と自嘲してしまいそうになる。相手は誰と自分を重ねているのだろう。誰でもいいが、これで相手が少しでも楽になるのならそれでいい、とでさえ考えて
慣れてる…。俺が貴方を突き放しても同じこと言えますか
(相手の素直ではない物言いに随分自惚れたことを言っているのは分かっていたが、もし自分が相手を拒絶したときあの貼り付けた笑顔で慣れてるからなどと言われたら腹立たしいし此方まで避けられたように感じてしまう。そう思うと、自分の一線を越えないにしても踏んでいる相手は確実に他人とは違う存在なのに、相手の中で自分はそんなものなのかと女々しいことまで考えはじめる。無感情になれたらどれほど楽だろうかと思う半面、こういう心の葛藤なら悪くもないと思う自分もいて。そして相手の酷く冷たい体温が伝わってくると腕の中にいるのが彼なのだと認識させ、なぜか妙に安心してしまう。この世に存在するのか疑うほどのその冷たさは恐怖でもあるが、その冷たい体温は無表情の自分を受け止めてくれるようで心地よい。もっともそれが相手だからなのだろうがそれを認めるには自分はまだ幼いようで「…ここは笑い飛ばすところじゃないんですか」と初めて保健室で話した時の彼なら間違いなくそうしていたであろうことを自分の気持ちをはぐらかすように言えば手を握り返し相手から少し身を離して横から相手の顔を見るようにして
あはは、笑えない…
(相手からそんなことを問われれば、またあの貼り付けた笑みを浮かべながら答えてしまう。昔からあいつは可笑しい、気が狂ってる、近付かないほうがいい、といった類のことを言われてきた。でもそれは、全部自分とは全く関係のない赤の他人に言われたこと。自分と話したこともない奴が見た目でそう判断したことだ。だからこそ気にすることはなかったし、拒絶されても何とも思わなかった。しかし、今目の前にいてそんな問いかけをしてきたのは紛れもなく自分が初めて弱さを見せてしまった相手。自分が弱さを見せるなんて家族であれど嫌だった。泣いたり喚いたりすることをバカバカしいと冷めた目で見てきた自分が、どうしていきなり弱さを見せてしまったのだろう。自分とは違い、ちゃんと人としての温かさがある相手の手がそこに存在している。自分に触れている。笑うところなんじゃないか、そう言われると確かにそうだ。以前の冷めた自分だったらこんなことをされては笑って欺いていたのだろう。今日は何故か違くて。相手が自分の様子を伺うように身を離すと「いきなりこんなことされて、戸惑ってるんですよ。…貴方は、誰とオレを重ねているんですか?」聞いてはいけないと思っていたことを問いかけてしまって
どういう意味ですか。ちゃんと言葉にして言ってくれないと分かりません
(笑えない、その一言で十分だったはずだが、確信が欲しくて弱い女が男にすがるような言葉をまた口にしてしまう。求め、求められることをあれだけ拒絶していた自分が聞いて呆れるだろうが確かな言葉が欲しかった。家族には恵まれていなかったせいか気付かないところで人肌を求めていたのかもしれない。ここにきてその妬ましく見にくい隅に追いやったはずの欲がじわじわとあふれ出してくるようで。しかし続く相手の言葉に何かに胸が押し潰されるような感覚に陥る。急速に何かが冷めていくが相手への嫌悪感はなくただまた見抜かれて敵わないと思ってしまう。それでも誰となどと言われたら彼女の顔が必然的に思い浮かび、また相手とそれを重ねれば何か追い求めるように相手の頬に手を伸ばしそっと髪を掻き上げるように撫でれば、女の名前を口にしようとして思いとどまり僅かに開きかけた口を閉ざす。今はまだ偽っても強い自分でなければ…と感じて「俺と、似てたから」抱きしめたのだと、この答えで相手が満足してくれることを願いまっすぐ相手の瞳を捉えて
…貴方に拒絶されたら、笑えないな、って。
(ちゃんと言葉にしないと伝われない。そう言われたことが過去に何回かあった。その度になんてめんどくさい生き物なんだと呆れていたのに、相手に言われるとどうしてこんなにも素直に答えてしまうんだろう。昔から怒る人や諭してくれる人は自分には居なかった。だけど相手は怒りや嫉妬感を出してきて、なんだ自分にもこんな風にしてくれる人がいるんじゃないか、と思ってしまった。やはり聞かない方のが良かった。そんな風に後悔してしまうが、相手が答えた自分に似てるという言葉が嘘だということはわかっていて、それでいて「そうですか…」と。それ以上問い詰めるようなことはせずに、ただ相手の瞳を泣きそうに潤んだ瞳で捉えて。泣けないのはやはり前と同じ理由で、もう問いかけることも求めることもせずに相手の瞳か見つめていて。相手と自分は確かに似ているが、大切な、今でも引きずってしまうほど想う人は自分にはいない。人肌に飢えた時にはそこらのバカな女子に媚びてその場しのぎの言葉を投げてきた。決して正しい道を歩んだわけではない。なのに相手には一度でも心から愛した人が居たなんて、嫉妬をしてしまいそうで妬みさえも狂おしく愛せそうな心をどうにか鎮めようとして
あなたが俺を拒絶しないかぎり、俺はあなたから離れない。
(ほぼ無理矢理言わせたような言葉なのに心にすとんと落ちてくればひどく安堵する。なんて単純なんだとまた自分が憎たらしくなるが己の我が儘に応えてくれた相手の気持ちを無駄にするわけにはいかないと思い普段の自分が言ったら嫌味としか思えない甘い言葉を述べる。その言葉もエゴでしかなく、自分でも血反吐が出るんじゃないかと思えるくらい信用性のない甘言を相手はどう受け止めるだろうか。相手の今にも泣きそうな顔に頬にあった手を僅かに上に滑らせ涙は拭うほどないが目元を親指でなぞってやる。泣いてもいい、だけど無理強いはしない。泣けるまで待ってやる、そう思えば見つめてくる相手の瞳を強く優しく受け止めて。「初山…」(呼び捨てで呟くようにそう呼べばくしゃりと頭を撫でる。相手の名前の呼び方なんて別に今まで通りでも構わない。呼び方を変えたところで何も変わらないし変える必要性もない。しかし一度でも名前を呼び合うことの心地よさを知ってしまっている自分は一線上にいる相手にそれを求めてしまう。少し心を許しただけでこうも強欲になれるなんて相当欲求不満なのか陳腐な関係に身を委ねたいのかと自分をあざけ笑いたくなる。それでも一度零れかけた欲を戻すことは出来なく、下の名前でなく苗字なのがせめてもの意地で
…本当に?
(どうしても確かめしまう。裏切られて絶望感する程信じた人など今まで一人でも居なかった。が、相手だけは失いたくない。そんな風に感じた人は初めてだろう。兄のぐちゃぐちゃの死体を見たときも、自分の血を見たときもそんなもんか、と愚かさばかり感じた。相手がもし嘘でそう言ったとしても自分のために向けられたことは確か。自分のいいように受け止めても罰は当たらないだろう。こんなに嘘でもいいと思った言葉がもし本当なら、そんな風に思うことは罪なのだろうか。昔から誰からも必要とされずに生きてきたからか、自分も誰も必要としなかった。愛することもやめ、求めることもせずに生きてきた。自分の頬に添えられた指の温かさぐらい信じてもいいじゃないか。「…笑…」自分とは不釣り合いの名前。そう呼んで欲しいとせがむように呟いてみる。いきなりなんだ、気持ち悪い、と思われようが関係なくて。一度だってそんな風に読んでくれた人は居なかった。親でさえ勝手に付けておいて読んだことのないはた迷惑なこの名前を相手は呼んでくれるのだろうか、なんて考えてしまうあたり、やはり自分は歪んでいるな、なんて
離れない。離したくない。
(二度も言わせるなと言おうとして、自分も同じだったことを思い出せば嫌な気持ちもなく自然と繰り返し甘い言葉を口にする。自分はまだ相手の闇のほんの断片しか見ていないだろう。もし相手がまた精神の異常を来してもそれは異常などではないと受け止められるし、彼が壊れかけても包み込むように支えてやりたい。まだ見ぬ相手の闇の顔があって、どれほど深いものか知らずそれを受け止めるだけの技量が自分にあるのかは分からないがそれぐらい相手の側にいてやりたいし、いたいと思う。それでも求めすぎてまた同じ過ちを犯さないように溢れ出ようとする欲を制御して。「えみ…。」相手はまるで自分望む答えを知っているようでくすぐったいような気持ちになる。今のままこの感情に身を任せば微笑みを作れる気がしたがどうしても何かが歯止めをかけてできず「笑」ともう一度名前を呼びながら相手の髪を撫でる。精神的に病んでいると思われてもおかしくないが否定はできないなと内心自嘲気味になって
…ありがとう…
(はにかむように笑いながらお礼を伝える姿はいつもの毒々しさが少しばかり抜けていて。それでもちゃんと笑えていないのか違和感は感じられる。今度は相手が話してくれたらいいな、なんて考えるもの無理矢理聞くことはせずに相手から話してくれるのを待つことに決め。自分と重ねられた誰を失ったかもしれないなんて仮説を立てては自分は居なくならないとばかりに相手の手を握り。今回は自分の存在を確かめる為ではなく、相手を安心させる為にそうして。まだ相手に言えてないことはたくさんある。だが、一度に話しては相手だって迷惑だろうし抱え込んでしまうだろう。相手の為を思い、言わないことだって一つの手段だ。「…無理に笑わなくていい。だけど、泣くことはやめてください」未だに笑えずにいる相手。自分だってちゃんと笑うことは出来ないが、相手が涙する所は見たくないという思いは本物。どうしても泣きたくなる時は自分に当たっていい。そこまでは言えずに、自分の名前を呼んでくれた相手をみつめて。今まで一人でも呼んでくれなかった存在意義をなさないこの名前。相手に呼ばれたことによって初めてその存在を確認した感覚がして
それはこっちの台詞だよ。…貴方を、笑を傷付けるかもしれないのに。すがってるのは俺だから
(どれだけ強がっても元々は弱いわりに強欲で図々しい奴で、下手したら行き過ぎてしまうかもしれないのに相手は自分を信じてくれているのか、いつもとは違うほんの少し柔らかな笑顔を向けてくれる。離さない自信も守ってやる気持ちもあるのに不安が拭いきれないのはそれだけ相手のことを想っているからなのだろう。握られた手の冷たいぬくもりが心地よく手を返し握り替えしてはこの甘い時間が続けばと願って。「分かった。そのかわりあなたの為なら容赦しませんから覚悟しておいてください」何をとまでは具体的に自分でも分からないが、相手の心休まる時まで執念深く付いていくし、虫酸が走りるような甘い言葉だっていくらでも吐いてやるつもりだ。それを口に出すまで素直になれないため、相手をあなたと呼んだのも敬語なのも照れ隠しで
いいですよ、傷付けても。受け止めるから…
(自分で傷をつけるくらいなら、相手に傷付けられた方が許せるような気がする。それは相手を想っているからか、それとも自分で作る傷はもう神経さえも麻痺させて日常となっているからなのかは自分でも分からない。それでも相手を信用し頼っているのは確かで動かない事実。相手が以前想っていた人の変わりでもいい、この人の特別になりたい。叶いもしない願いを思ってしまうほど精神的に疲れたのだろう。握り返された手を信じたい。裏切られることは慣れているはずなのに、相手に裏切られることを想像すると冷たいことに慣れているはずの体が震えそうで。「容赦しないってどうゆうことですか?オレだって容赦なんてしませんよ」言われっぱなしなんて腑に落ちない。だけど毒まで吐けないのは疲労感があるからで。自分には相手のように心を温かくするような、まるでドラマで使われそうなセリフや言葉は言えないが、自分の思いを伝えることぐらいは出来るはずで
(相手の言葉に返す言葉が見つからず、かわりに相手の腕を少し上に持ち上げるとその傷をそっと指でなぞる。傷を付けることが今の彼にとって必要なら例えそれがまやかしでも止めない。けれどいつか自分といることでその傷が二度と上書きされなければ良いと願う。そして、容赦しないとは何か聞かれれば少しからかいたくなって握る手首から首筋に手を滑らせれば「笑が俺がいないと生きていけないって泣きつくくらい想ってあげる」と甘い言葉を囁く。それは本心からの言葉で相手に気持ち悪いと思われようと、からかいを交えて言わなければとてもじゃないが言えない言葉で。今言い終わった瞬間、複雑な感情が渦巻けば相手から視線をそらし「…さ、ムードも無くなったところでご飯食べましょうか。あー、もうこんな時間か…今日、泊まっていくから」と早口で言えばまるで長年付き合っていた友人に言うようにそこまで遅い時間ではないが「今日泊まる」と言い台所からリビングへ退散しようとして
擽ったいですよ
(なぞられた手首に擽ったさを感じては素直にそれを言葉にし、今はやめられるという確証はないがいつかこの自分の存在を確かめる為にしている自傷行為を辞められたらいいと感じてしまう辺り、それほど相手の言葉が響いたのだろう。病院のカウンセラーを受けても反吐しか出なかったのにこうも簡単に気持ちが切り替わるなんて、意外と自分は単純なのかもしれない。首筋に添えられた手に少しばかり体が反応しては、甘ったるい言葉を呟かれる。漫画やテレビ内でしか聞いたことのないクサいセリフに本当にこんなこと言う人がいるんだ、やっぱり侮れないな、なんて捻くれたことを考えてしまうが今はどんな言葉でも嬉しく感じる。息を吐くように放たれた今日泊まっていくから、という言葉にビックリし、相手の腕を掴んでしまう。今まで一度も人を泊めたことなどない。どんな風にすればいいか勝手がわからず、戸惑ってしまうが「枕が変わると寝れないとか言わないでくださいよ」と毒付いて
そんな子どもじゃないんだけど…。ていうか枕の心配ですか。元々そこまで寝ませんし寝ようと思えば床でも寝れるので。
(折角自分でも気色悪く感じる甘い言葉を吐いてやったのに突っ込まれたのは後に続く泊まるの言葉で、正直不満であったが否定しないということは泊まってもいいことなのだろうかと期待してしまう。しかし相手の枕の心配には正直呆れてしまい小さな溜息が漏れて。不眠症とまではいかないが普段は眠りが浅く、一ヶ月に一度ほど死んだように寝て、その時は床でもどこでも寝るという特技を持っている。これは隠すほどのものでもなくむしろ笑い話にしても良いくらいのもので。「で、泊まっていいの」と一応常識人にはなっておこうと掴まれた腕はそのままに確認してみて
床で寝させませんよ、流石に。
(相手は飽くまで来客。床で寝させるなんて無責任なことはいくら性格が歪んでいようともさせられないだろう。自分はソファーで相手にベットを使わせればいいか、そんな思考を頭の傍に起きながら元々そこまで寝ないという言葉に不眠症か何かだろう、と適当に当たりを付けて。自分は今でもたまに夢見る幼い頃から自分につきまとう悪夢さえ見なければ朝までは絶対に起きることなく寝るタイプだ。早起きは得意ではないが、寝てる時は嫌なことから離れられるので睡眠は意外と好きかもしれない。「仕方ないので泊めてあげますよ」貼り付けた笑みを浮かべながら相手の手を離しては出来上がった冷静パスタをそれっぽく皿に盛り付けてリビングのテーブルにおいて
そこは常識あるんですね。よかった。
(本当に床で寝ても構わなかったのだが分かってはいたがそこまで相手も意地悪ではないらしい。それでもいつもの調子が戻れば嫌味は出てくるわけで、どちらが本当の自分で居心地がよく自然で居られているか疑問に思うが答えは簡単で相手だからなのだが今は口にせずに。「それは、どうも。それなりに嬉しいです。…でも本当は迷惑ですよね」相手の言い方はともかく嬉しいというのは本当なのかもしない。だが今の相手の言い方が嫌味でないとしたら嫌々承諾しているのかもしれないと思えば、どこぞのしつこい女だと内心自分に悪態を付きつつ確認してみて。しかしパスタが出てこれば忘れかけていた空腹が一気に呼び覚まされ大人しく相手についていけば、滅多にお目に掛かることのない綺麗に盛りつけられたパスタを思わずジッと見て「…おいしそう、食べてもいいですか」とおあずけを食らった犬、とは全くことなるが一応作り手の相手を見ては許可を求めて
オレはソファーで寝るんでベット使って下さいね。
(来客でもあり、一応先輩であるからか一応の気配りぐらいはしておく。人を家に泊めるなんて初めてのことだからか毒付く隙もなく、お風呂洗わないと、服はどうしよう、などといった葛藤を心の中で繰り返していて。「迷惑だったらオレが泊めると思います?速攻追い返してますよ」人を小馬鹿にしたような言い方だが、これもまた自分の性格上仕方が無い。息を吐くように毒を吐くのが普通になってしまった為か、どんなに優しい言い方を心がけようとしてみても毒や嫌味が出てきてしまって。見ろ、これが元料理店でバイトしていた者の実力だ、そう言おうとしたが何だか中二病クサくなってしまうのではないかと思考すると自然とその言葉はでなくて。「食べたいですか?ちゃんといただきますしてくださいね?」からかい調子にそう述べると作っているだけで満足してしまったのかお風呂を洗いにバスルームへ向かって
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