少年は幼い頃、一人の人物に出会っていた。
『ずっと生きてたいなぁ』
その人物に幼い頃の少年は言った。
なぜそんなことを言ったのかは、当時の少年にもわからない。
しかし、それを聞いた人物は微笑んだ。
『いつか叶えてあげる』
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それから何年か経ち、少年はその願いはおろか、その人物のことすら覚えてはいなかった。
そんな少年の背後からしてきたのは、部屋の窓ガラスの割れる激しい音。
部屋でゲームにいそしんでいた少年はその動作を咄嗟に止めた。
その音に弾かれたように振り返ると、そこには小学生程度と思われる幼い子供の姿。
運がよかったのだろうか、窓ガラスを割って部屋に飛び込んだというのに目の前の人物にはまったくとして外傷が見られない。
突然の出来事に驚く少年に、その人物はゆっくりとした動作で起き上がって少年を見据える。
少年と目が合うと、その人物は微笑んだ。
その唇が孤を描き、次の言葉を放つ。
「――――久しぶりだね。願いを叶えにきたよ」
そうしてその人物は少年に覆い被さる。
唇の距離、数センチ。
相手の吐息すら感じられるその距離はまるで、恋人がキスをするような、そんな距離で……。
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