狸 2014-02-01 20:48:59 |
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いつだってあなたの一番はあいつだった。
僻みだって言われるかもしれない。
勘違いだって言われるかもしれない。
それでも、あたしはずっとそう思ってた。
何をしたって悪いことは全部あたしのせい。
褒められるのはあいつ。
それはいつの間にか当たり前のことだった。
一番になりたくて、褒められたくて、
あたしなりに出来ることは頑張ってきた。
でも、やっぱりあいつには勝てないんだ。
だから、せめて怒られないように。
真面目ないい子でいようって思った。
それからしばらく経ち、中学生になった。
普通に過ごしてきたつもりだけど、
何かがダメだったらしい、あたしはハブられた。
初めての経験。何が何だかわからなかった。
そうして、ストレス性の胃腸炎で休みがちになった。
…このときのあなたが一番好きだった。
ずーっと支えてくれたから。
「このままじゃダメだ」
だから休むのはやめた。逃げたくなかった。
学校にだって支えてくれる人がいた。
一人でも怖くなかった。
むしろ子供なんだなって思えるようになった。
辛いこともあったけど、今となってはいい経験。
少し大人になれた気がする。
そうして高校生になった。
あのときの子達も同じ学校。
あたしは明るく取り繕うことを覚え、
クラスのムードメーカーになった。
何か思ってもそれを絶対表には出さない。
…いつの間にか人間不信になってたみたいだ。
本音を言いたい。でも嫌われたくない。
矛盾していくあたし
あいつが出ていくことになった。
正直嬉しかった。
やっとあなたはあたしだけを見てくれるって。
まあ、あたしだけ、ていうのは無理だけど。
前よりもあなたはあたしを気にかけてくれた。
でも一年しないうちにあいつは帰ってきた。
あなたとすごく喧嘩してた。
あたしはそれが嫌だった。
だってそのとばっちりはあたしにくるから。
そうして何回もあなたとあいつは喧嘩した。
激しくて怖かった、だから部屋に閉じこもった。
けどとばっちりは避けられない。
結果としてあなたとあいつの仲は最悪。
必然的にあたしはあいつより優位になった。
はずだった。
しばらく繰り返した後、あの子がやってきた。
あなたとあたしでやっていた料理。
あなたの隣はいつの間にかあの子だった。
だんだんとあたしの場所はなくなっていった。
それでもよかった。
あなたがあたしを見てくれるなら。
でも違う。それもあの子だった。
それでも気丈に振る舞え。そうすれば嫌われない。
家でも学校でも、あたしはあたしを演じた。
もう何が何だかわからないけどまだ大丈夫。
けど逃げ道が欲しくて。
ここにたどり着いた。
あたしをさらけ出すことはできない。
そのまんまのあたしは人間が怖いから。
そうして、俺が生まれた。
俺はあたしであってあたしじゃない。
皆に頼られる優しい奴、それが俺、なのかな。
そんな俺でも必要とされることが嬉しかった。
あたしは俺になりたかった。
でもあたしが俺でいることで傷付けた子がいる。
俺は俺じゃないからどうにもできなくて。
ただごめん、と言うしかできなかった。
優しいから許してくれたね。
ありがとう。
けど結局。
あたしでいようが、俺でいようが
一人ぼっちであることに変わりはない。
親友に告げる?
こんなめんどくさいことに巻き込めない。
家族…言えるわけない。
むしろ何がしたいのかがわからないや。
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