雷電 2014-01-31 12:43:07 |
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二人は兵士に囲まれて、袋の鼠だった。ギーマは額から大粒の汗をポタリポタリと流しながら、サンチョに言った。「ねぇ、サンチョ。さっきみたいに風を起こして、逃げればいいだろ!」サンチョは頭をポリポリと掻きながら答えた。「無理だ。そんなに俺に魔力は無い。さっきだって、最後は技を使っていないだろう。」ギーマは「そんなぁ。」とうなだれた。そして、一人の兵士がギーマ目掛けて矢を射った時だった。ギーマは自分へ向かって飛んでくる矢に「来るなぁぁぁぁ!」と叫んだ。すると、普通なら何も起こらないところだが、今まで快晴だった空には真っ黒な雲が現れ、五束の雷を落とした。落ちた雷は周囲を焼き尽くし、焼け野原にした。しかし、ギーマとサンチョのいた所だけは何も変わっていなかった。サンチョは「すっ、凄い!これがヨセフス国九代目王子の力か!」と目をこすりながら言った。すると、サンチョは何かを思いついた。「ギーマ、魔力は残っているか?残っているなら、ジャスカワン大陸に戻れるかもしれない。」ギーマは「あぁ、残ってるよ。」と言うと、「雷撃、飛雷(とびいかづち)!」と叫んだ。そう叫ぶと、やはり空は真っ黒な雲に覆われ、青白い電撃が二人を包んだ。そして、「ズガガガァァァァァン!」という激しい音と共に、二人は大空高く飛び上がった。二人を包む電撃はロケットの如く、雷の束を放っていた。しかし、二人が行く先は予想と全く異なっていた。勢い良く雷の束を放ち過ぎた為、ジャスカワン大陸を過ぎ、ボスカ大陸へ向かっていたのだった。
それを初めに気づいたのはサンチョだった。「なぁ、ギーマ。ジャスカワン大陸はもう過ぎちゃったんじゃないか?」ギーマは答えた。「あぁ、確かにこのスピードなら、もうとっくにジャスカワン大陸に着いているはずだな。」しばらくすると、地上がやっと見えてきた。「サンチョ!やっぱり俺は間違えていなかったぞ!」ギーマは嬉しさのあまり、叫んだ。しかし、サンチョは答えた。「いや、陸の形を見てみろ。ジャスカワン大陸はさいの頭の形なのに対し、これは葉の形をしている。ほぼボスカ大陸だと思って良いだろう。」サンチョがそう言い終わった時、ギーマは体内の魔力を使い尽くして、流星のように下へ下へと落ちていった。魔力は自然に元へ戻っていくが、今回のギーマは全ての魔力を元に戻すまで、約三日間程かかりそうだ。あわてたサンチョはやっと回復した魔力を使い、叫んだ。「風来、竜巻上げ!」すると、太い竜巻が二つ現れ、ギーマの体を空高く飛ばした。ギーマはそのまま竜巻に運ばれ、サンチョの周りへ来ると、消えた。ギーマはふわりとサンチョの元へ飛ばされると、サンチョはギーマを抱き抱えた。しかし、サンチョの魔力はもう限界寸前だった。サンチョはどうにか、この状態を保とうと技を使おうとした。だが、サンチョは気を失い、大海原へと二人は落ちていった。
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