みゆ 2014-01-26 21:22:05 |
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【タイトル】
空からのラブレター
【キャラクター設定】
主人公
向井葵
金髪の腰までのストレートでよく三つ編みにしている。身長158。顔は色白で中の上くらい。瞳は大きく茶色いが、何時も青色のカラーコンタクトをしている。目が悪く、黒い眼鏡をかけているときもある。
高校1年生。
春浪一希
葵の幼なじみ。でも、学校が違う。
さらさらの黒髪に涼しげなブルーの瞳。顔は適度に日焼けしている。結構モテル。身長176センチで成長期真っ只中。
高校1年。
春…
これから春を迎えようとしていた。
あんなことが合ってから1年。
たった1年しかたっていないんだ…
助けてよ…
どうしても忘れられないよ…
一希…
桜吹雪降ってくる。
少し暖かいその風は私の長い髪を揺らした。
隣にいるのは一希じゃない。
誰もいない。
なんだか寂しいけど、もういないとは思えなかった。
いや、思いたくなかった。
そんな現実から目を逸らすようにスマホにイヤホンをさし、少し大きめの音量で音楽を聴き始める。
周りの音も、歩いている同級生や先輩、入学してくる後輩からも目を逸らし、ただスマホの画面を見つめていた。
腕時計を見ると少し時間が危ない。
足早に校門に向かう。
そのとき、誰かにぶつかった。
「うわ…っ」
ぶつかって、驚いて視線を移動させると同時に私の尻に鈍い痛みが走った。
スマホは私の手から滑り落ち、それとともにイヤホンも抜けていた。
私がぶつかった相手は始めてみる男の人だった。
制服を着ている為学生だということは直ぐに分かった。
「ごめん、大丈夫?」
手を差し伸べられて、こんなことをされたのも初めてでどうしていいのか分からず、謝罪だけを述べて自分で立ちあがった。
「大丈夫です。怪我、ありませんか?」
今度は私が相手に聞く。でも、大丈夫そうだと思った。
背も高くて、体つきもスポーツ選手のよう。
結構ゴツイ手から大丈夫なのは確信した。
「俺は大丈夫。それより、歩きスマホは危険って聞いたことない?」
突然保護者みたいなことを言い出した相手を見て私はムッとした。
それくらい知っている。
こういう相手は好きではない。
落としたスマホを拾って何も言わず歩き出した。
入学式のため仕方なく体育館へ向かう。
あたりには知らない学校から来たと思われる沢山の面子。
小さくため息を吐いて自分たちのために準備された椅子に座った。
あとからも続々と新入生が入ってきてつまらなくてそれを見ていた。
「葵、顔が怖いよー」
後ろの席に座っていた親友、大沢尊が顔を覗きこんでくる。
それから目を逸らすように瞳を伏せると
「何かいやなことあったんでしょ?」
いつもの通りお見通しで苦笑した。
話していると教頭の声が響いて、入学式を開会すると告げた。
起立を言われて仕方なく立ち、着席といわれて仕方なく座る。
まるで操り人形のように私は動いてた。
「なあ、ひまわり」
私のことをあだ名で呼ぶバカは1人しかいない。
樺沢悠馬。
声の聞こえてきたのは右隣で、今まで全然気づかなかった。
「何?」
「サボろうぜ」
「正気?」
「ん、マジ」
悠馬は椅子から下りてしゃがむとそろそろと歩いて行く。
先生たちも前にいるため悠馬には気づかない。
仕方なく私も悠馬と同じようにしゃがんで歩いた。
体育館から出ると悠馬は立ち上がって一目散に駆け出した。
私もあたりを見回し、確認してから走り出す。
「悠馬まって」
叫ぶが相手の耳には届いてない。
体育館は静かで逃げ出したことは気づかれてないみたい。
逃げ出してきたことに苦笑しては相手を追い続ける。
悠馬は教室に入った。
「遅かったな」
クスクスと笑い声を上げる悠馬。
ムッとして相手から背を向ける。
「体育館にはもどれねぇだろ」
仕方なく私は自分の席に座った。
そして、分厚い本を鞄から取り出すとしおりの挟んであったページを広げる。
ちょうど半分くらいの場所。
何も言わずに読み始めると悠馬が後ろから覗き込んでくる。
「何読んでんだよ?」
「小説」
「俺、暇なんだけど」
「構ってチャンとかキモいから」
「俺、構ってチャンじゃねぇし。てか、お前が本読むんなら体育館に居ても暇なの同じじゃね?」
「んー、そうだね。じゃあ、戻れば?」
そう言いながら小説を読み進める。
ちょうど面白いところに入ると廊下がざわめきだす。
皆が返って来たんだと察して、私は教室を飛び出し、トイレへ隠れた。
「あれ、誰か入ってる」
暫くして女子がトイレに入ってきた。
女子トイレに入ってきたからそれは当たり前なんだけど、知り合いの声。
出るにも出られなくて暫くジッとしていることにした。
直ぐにチャイムがなって、学級活動の始まりを告げた。
私はトイレからでると教室へ入った。
「遅れてすみません」
「どうしたの、向日さん。体育館にも居なかったでしょ?」
「おなかが痛くて…」
私は軽くいいわけをして席へと戻った。
悠馬の席に悠馬は居らず、きっと生徒指導室だろうと思い心の中で小さく笑みを浮かべた。
学級活動では学級組織を決めるようだった。
私の一番嫌いなことのため寝ようとするが、隣の男の子が
「大丈夫?」
と、心配そうに見てくる。
何回もその言葉に反応して頷くが流石にうざくなってきてシカトしはじめる。
その間にどんどん組織が決まっていく。
私は一番楽な図書委員になり満足でそのまま眠ってしまった。
何か夢を見ている。
目を開けたとき瞬時に理解した。
どこかと見回してみればどこかの草原。
優しい森の香りが鼻に届いた。
「ようこそ」
突然私の前に現れ、綺麗にお辞儀をする同い年くらいの男の子。
少し長めの黒髪に片方の目に眼帯をつけている印象に残りやすそうな男の子。
服装は私とは違い、アニメで見たことのある王子様が着るような服。
「…誰?」
沈黙を破って声に出した言葉はあまりにも小さかった。
自分の周りに広がっている大きな自然が声を吸い取っていくようだった。
「僕はディディアン。よろしくな」
「わ、私は向日葵」
「葵ね」
無理やり私と手を握る相手。
無理やりな相手に溜息を吐くとディディアンは指を鳴らした。
指がなると相手の隣に白馬が現れた。
「乗って、葵」
であったばかりなのに馴れ馴れしく下の名前で呼ぶ相手。
ここにいても何処か分からないために私は馬に乗った。
ディディアンは私の後ろから手綱を握って走らせた。
「ねぇ、ディディアンってさ、外国人なの?」
「外国?此処には外国なんてないんだ。1つの国なんだよ」
そういって後ろで笑う声が聞こえる。
溜息を吐くがなんだかいいなとおもった。
「へぇ。で、ディディアンは王子様なんだ?」
「よく分かったね。でも、僕は王にはならないから」
「なんで?」
私は相手を見た。
少し複雑そうな顔をして私を見つめ返してきた・
「自由がなくなるのが嫌なんだ。ただでさえ王子だから普通の子みたいに遊んだりできない」
「そっか」
妙に納得して頷いた。
そして前に向き直ると大分進んだためか大きな町のようなところが見えてきた。
私たちはそのまま無言で馬に乗って進む。
「ねぇ、ディディアンって言いにくいんだけど?」
「僕もそう思うよ。じゃあ、ディディーと呼べばいいよ」
私は頷いた。
短くなっただけのような気がしたけどそこは気にせずにおいた。
突然馬が加速した。
どうしたのかと思い相手を振り返るとなにやら深刻そうな顔をしていた。
「クソっ、また争いか」
そういってディディーは指を鳴らした。
すると突然光に包まれ、なんだか浮遊感があった。
目を開けると大きな建物のようなところの中だった。
「葵、気持ち悪いとかない?」
「大丈夫」
頷くと少し安心したようにホッと息を吐いた。
相手は直ぐに深刻そうな表情に戻ると馬から下りた。
そして私に手を差し出し、下ろしてくれた。
「…さっき、何があったの?」
「…葵は知らないほうがいいよ」
そういっておくに歩いて行ってしまう。
はぐれてしまうと困るため私は駆け足で追いかけた。
ディディーが立ち止まったのは大きな扉の前。
不思議に思っているとディディーは軽くそのドアをノックした。
そして慎重にドアを開けて入っていった。
その隙間から見えたのは厳格そうな王冠を被った王様だった。
私は残り、そのままディディーが出てくるのを待っていた。
でも、全然出てこなくて、暇になりあたりをうろつくことにした。
凄く広いところで迷子になりそうだったがいろいろなものがあって楽しかった。
でも、いざ帰ろうと思うと全然場所が分からない。
困っていると私に声をかけてくれた人がいた。
「侵入者か?」
その言葉にイラッとしたがきっと侵入者だろう。
何も言えず黙っているとその男の人は薄く笑みを浮かべた。
「父上に報告だな」
そういって突然腕をつかまれ、連れて行かれた。
父上というだけあってこの人も王子みたい。
連れて行かれた場所はさっきの場所だった。
その部屋の前では困ったようにディディーがキョロキョロとしていた。
私を見つけると駆け寄ってきた。
「大丈夫、葵?」
「い、一応」
苦笑するしかなく苦笑していると私の腕を掴んでいた人が手を放した。
そしてディディを見ると見下すような目で見ていた。
「ディディアン、コイツの知り合いか?」
「そうです」
「何でコイツを城にいれた?」
「…それは…」
「応えろ」
「さっき争いがあったんです、花見崎草原で」
「それでこの女を城に入れたと?」
「はい」
「ふざけるな!」
そういって男がディディーの腹を蹴った。
「うっ」
ディディーは座り込んだ。
腹が痛いようで両手で押さえている。
「葵を離せー!」
ディディーが叫ぶと先ほどの大きな扉から先ほどの王様が出てきた、
そして、ディディーを一瞥するような目で見た後もう一人の方を見た。
「何があったんだ?」
「ディディアンがこの女を連れ込んだようです」
「…それで、何故ディディアンは腹を押さえてうずくまっているんだ?」
「それは…」
「そいつが、ディディーの腹を蹴ったんです!」
私は男を指差して言った。
王様は小さく頷くと男の方をにらみつけた。
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