── Dependence ── (bl/教師×生徒)

ああ、悪いな。助かる。(どうやら食器洗いをしてくれていたらしい事に気付けば一言礼を添え。入浴の準備を始める相手の元へゆっくりと向かうと、片手で頭を抱き寄せ軽く口づけ微笑んで)
…ごゆっくり。

ん、どーいたしまし…ッ、お風呂いただきます！
(スウェットと下着とを取り出し、立ち上がろうとした所で礼を言われれば振り返り答えようとするが視線のすぐ傍には相手が居て、更にその手が頭を抱き寄せて口付けられればブワッと顔に熱が集まり。不意の事に驚きと嬉しさとが混ざれば勢いよく立ち上がりリビングを出ていき)

─…わかりやすい奴。(まるで片想い中のように過剰な反応をくれる素直な相手に今でも感じる新鮮さは貴重で。そそくさと退室する後ろ姿を可笑しそうでいて愛しそうな笑みを浮かべ見送り。ソファーに戻ると再びノートパソコンを立ち上げ、仕事の続きをしながら相手を待って)

う、あぁ…なんか先生狡い…。(廊下を歩いていき、浴室は何処だろうかと辺りを見回しながら足を進めて明かりが溢れる部屋を見つけては戸を引いて中を覗き。案の定脱衣所と浴室であれば安心したように息を吐き、持ってきた下着とスウェットとを脱衣所の籠の中へと入れては着ていた服を脱いで浴室へ入り、ふとシャンプー類を持ってくるのを忘れてしまっていれば独り呟き)
あ、シャンプー忘れた…借りてもいいかな？

遅ェな…。(相手が浴室に向かった後、間パソコンとにらめっこしながら作業を進めていたが、なかなか出てこない相手の事が少々気になり。己の入浴時間が短めなだけで相手にしてみればこのくらいが普通なのかもしれないが、のぼせてはいないかと念の為安全確認に脱衣所に向かえば、扉の向こうの相手に少し大袈裟な言葉をかけてみて)
─…おい、誠。ぶっ倒れてねぇだろうな。

ッ…？！いや、大丈夫！
(湯船に浸かってボーっとしていたところで不意に声を掛けられれば驚いたように背筋を伸ばし、バシャッと水飛沫を飛んで顔に掛かってしまいながらも扉の方へと顔を向けては慌てたように返事返し。折角来てくれたのだから今の内に聞いてしまおうと問い掛け)
あ、そうだ…あのさ先生、石鹸とかシャンプーとか借りちゃっても大丈夫？

何だ、まだ洗ってなかったのか。しょうがねェな…。(相手の無事を確認出来て安堵するも、まだ洗い終えてさえいない事に少々驚きの声を漏らしつつ、何かを企んだように口元に笑みを浮かべ。シャツの両袖を捲れば不意に浴室のドアを開け勝手に侵入し、湯船に浸かる相手を見つめたまま口角上げ)
折角だから頭くらい洗ってやるよ。

え？いやいや、それだと先生濡れちゃうだろ…！
(浴室の扉が開く音がして振り返ると相手の姿があり、有無も言わせないがまま中へと入ってくれば驚いたように目を丸くさせ。まさか髪を洗ってくれる等と言ってくるとは思ってはおらず、それでも相手に洗ってもらえる機会などそうそうは無いことは容易に想像が付き、迷うように唸り)
あ…けど、うぅ…。

後から俺も入るんだから問題ねェよ。ほら、さっさと出ろ。のぼせるぞ。(驚いたり迷ったりと、くるくる表情を変える相手の心境が手に取るようにわかる気がし、何処か楽しげな様子で浴槽から出るよう顎で促して)

ちょ、待った…！出るから急かすなよ。
(早く上がれと言われども直ぐに上がるなど出来る筈もなく、慌てて手近のタオルを取れば腰に巻いて浴槽から上がり相手の前に座り)

へェ…さすが元運動部だな。(慌てた様子で浴槽から出る相手を余裕に満ちた表情浮かべつつ腕組みしながら眺めていたが、どちらかと言えば細身な彼の鍛えられた身体に思わず感嘆の声を洩らし。素直に見惚れているのか、はたまた意地の悪さからか、なかなか作業に取り掛かろうとせず、立ったままの体勢でまじまじと眺めて)

今でも体育館には時々練習参加させてもらってるしなー。
(流石だと言われいい気分になってくれば機嫌良さげに笑み浮かべ、上がってからというものの相手からは称賛の言葉と視線とを向けられるばかりで背後の相手が動く気配がなくいれば顔を仰け反らさせ、背後の相手見上げ)
なぁ、先生。寒くなってきたんだけど？

あぁ、悪い悪い。(此方を見上げてくる相手と視線がぶつかればそのまま顔を近付け、頬から耳にかけて指を滑らせ軽く唇重ね、瞳細めて。シャワーを手にし適温になったそれを背中にかけてやりながら「ほら、頭いくぞ」と声をかけ)

んッ…。
(寒さを訴えると謝罪してくる相手を見上げたまま、自然な動作で口付けられ。流れるようなその仕草にされるがまま受ければ一瞬何が起こったか理解出来ずにいるものの思考が追い付けば一気に赤面し。シャワーが流れる音と相手の言葉でハッとすれば見上げていた顔を前へと戻し、コクコクと頷き)

……何つぅか、おかしな感じだな。こうしてお前の髪を洗ってんのも。(相手が前を向いたのを確認後、極力顔にかからないように気遣いながらシャワーで丁寧に髪を濡らし始め。髪に触れる事自体は何度もして来たものの、こんな風にゆったりとした空間で人目気にせず愛しい存在に触れる、ましてや髪を洗うという行為がやけに不思議な感覚を起こさせ、どこか幸福感を帯びた穏やかな声色で溢して)

んん、そうかな…？
(頭にシャワーを掛けられ目に水が入らぬようにと目を閉じていて、背後から呟かれた言葉を聞いては不思議そうに首傾げるもののこうやって相手に髪を洗ってもらう機会がくるなど想像もしていなかった事を考えてみれば確かにそうかと頷き)
て、まぁ俺もまさか先生に髪を洗ってもらう日が来るだなんて思ってもいなかったけどさ。

俺も生徒を…しかも野郎に惚れちまうなんて思わなかったけどな。(十分に濡らした髪をよく泡立てたシャンプーで洗いながら、不思議そうな相手の反応に小さく笑みを浮かべ。時折保健室に訪れていた彼をいつの間にか待っている事に気付いた自分を思い返し、懐かしそうに口にし)

俺がしつこく保健室に通ったから…？
(運動部に所属している事や、普段からスポーツばかりしている為か膝を擦りむいたり等といった怪我をしてはしょっちゅう保健室に通っており、素っ気なくされようとも怪我の処置は丁寧にしてくれる相手の蔑ろにはしない優しさがとても好きで、告白も自分からしつこくアタックしたが為に折れてくれたとばかりに当初は思っていれば呟き)

確かに保健室に通う奴の中でもお前は特にウザかった。邪魔だと払っても払っても、きゃんきゃんと犬みてェにまとわりついて来やがって…うるせぇのなんの。(当時の彼の言動を思い返し呆れ半分に酷い事を無遠慮に並べるも、語る様子や表情には懐かしさや親しみ、愛しさも滲んでおり。よく洗った髪をシャワーで流す中、当時自分の中での葛藤を思い出し、口許に笑みを浮かべたまま少しの間口をつぐみ。「…まぁ、それだけじゃねェけどな」コンディショナーを指先で髪になじませながらぽつりと一言添えて)

うぐ、だって先生に毎日会いたかったし…ライバル多過ぎたしさー。
(自分のように相手に惹かれている者は沢山いて、特に可愛らしい女子が多くいれば自分など普通にしていても相手の目にすら留まる事は無かったのではなかろうかと、今にして思えば自分は体育で怪我をして相手に会ってから惹かれてしまってからというもののしつこく通い続けていたな、と思い返し。髪を洗う相手の手がとても心地好く、相手の呟きが耳に届いては顔を上げ相手見上げ)
ん？それだけって何のこと？