こんな事になるとは、微塵も思ってなくて。
「嘘…だ…ろ…?」
涙で霞む世界は、腹が立つ程見えづらい。
「待って…まだ…僕は…ッ」
そう言いながら伸ばした腕は、君には届くはずがなかった。
「…う…っ…ッッ」
泣き叫ぶ声すらまともに出てこない。
18年間一緒に過ごした記憶は、雪が溶けるように一瞬にして
君の中から消えた。
…やっぱり雪は嫌いだ。冷たいし、当てられると痛いし、
君の思い出も一緒に溶かしていくから。
「…………」
伸ばした腕をもう挙げていられないほど
僕は気力を失って。
「…あーあ。記憶喪失か」
そんなことしか言えない位、
そんなことしか言うことが出来ない位、
「…笑っちゃうね」
僕は君が、大好きだった。
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>>1
>>2
>>3
レス禁