零零機工斗 2013-11-15 09:41:13 |
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プロローグ
限り無く広がり、無数に存在する複数の『世界』。
それらを全て管理し、中心に存在する世界が『神世界』。
この世界の住人は神とよばれる種であり、世界管理を務めるこの神世界において異世界に関する職業に就いているのが主である。
世界を創造する者、世界を管理する者、悪影響のある世界を消す者、自ら降り立って周囲にその存在を悟られぬように手助けする者、あるいは他の世界と全く関係のないことをやる神達。
そんな社会の中で、一人。
全ての世界を管理する『世界管理会』に就職したばかりの少年神様がいた。
彼の名はキクト。
彼は『宇宙』という世界の、地球という星のほんの一部、『日本』と呼ばれるエリアを管理する神様の助手をやっていた。
今日も彼は己の中途半端な注意力に負けず、役に立つ一心で頑張っていた。
「お茶ー」
「はい!」
「そこ掃除しといて」
「はい了解しました!!」
「ちょっと助手くん、ゲームしたいからちょっとモニター見てて」
「はい!」
そんな彼にも一つ、疑問があった。
――――あれ、僕って助手というよりただのパシリじゃ……?
反抗心が沸きあがる胸を押さえ、彼は冷たい視線で『日本管理モニター室』を見わたした。
ポテチの袋やお茶のコップ、更にはお酒のビンまで床中に散らばっており、掃除するのにも一苦労だ。
一つの地域を『管理』する者としては、あまりにも雑なのではないか。
命ある場所を『管理』する権利を与えられているということは、上に信頼され、その地域を任されているということなのに。
この人達はサボってばかりではないか。
自分の理想と現実はどこまでも違うということに呆れながらも、キクトは再び掃除にとりかかった。
「あ、全く、こんなところにコントローラをほったらかしに……」
モニターの下に転がったゲーム機のコントローラを拾おうと、屈みこむキクト。
しかし、踏み込んでしまった先に、コントローラから伸びたコードがあった。
「ふぎゃっ」
すってーん、と、豪快に後ろ向きに身体を投げ出されるキクト。
ゲーム機は上へと飛ばされ、見事に着地した先を見たキクトは思わず声を上げた。
「キーボードがぁぁぁ!?」
――――コントローラは、モニター管理の操作を成す、キーボードに直撃したのだった。
直後、モニターにアラート表示が出現する。
『ゲート設定を変更しますか?』
モニターに表示されたその文字の羅列を、理解するのに時間がかかって硬直するキクト。
「ゲート、って、何だ?」
とりあえず『NO』を選択してアラート表示を消さねば、と彼はキーボードに手を伸ばす。
しかしまだコードが足に絡まっていて――――。
「ああああ!?」
バランスを崩して指をキーボードに叩きつけてしまった。
『座標、『紅陽町』。ゲート設定、変更します……』
モニターに表示されたそれらの文字を見て、キクトは再び口をあんぐり開けて固まってしまった。
これは最初に投下した、キクトのエピソードを少し改変しただけです
いつも通りの日々。
そんな日常を過ごしているつもり、いや、確かに過ごしていた。
しかし今日、俺の日常は音も立てずに崩れ去ってしまった。
「おい、ここはどこだ。」
「あ、あの、銃刀法違反で捕まりますよ」
「質問に答えろ」
「せ、せめて刀を下ろして……」
気持ちを落ち尽かせて、改めて今俺が置かれている状況を整理しよう。
俺は今日もいつも通りの朝を向かえ、いつも通りの通学路を歩いていた。
そして突然視界が光で眩んだ。
何を言っているのかはわからないと思うが、確かに目の前に光の柱が突如現れたのだ。
そして光が収まると、目を見開いて酷く驚いた表情をした男が立っていた。
服装もなんだかおかしい。
現代的な格好ではなく、着物に似たような、布で作られた服みたいだ。
というか鞘に納まった刀を腰に着けているのが何より怪しい。
混乱していたのか、男は辺りを見回し、俺を見つけるなりズカズカと歩み寄ってきた。
そして気づけば早口で質問されながら、日光に晒されて光り輝く綺麗な|刃《やいば》が俺に向けられていた。
銃刀法違反なんてまるっきり無いかのように堂々と刀を構えている彼は何者なのか、俺には予想すらできない。
現状整理終わり。
……俺は夢でも見てるんじゃないだろうか。
そんな悠長に考えていられるほど、現実は甘くなかった。
刀が喉元に突きつけられたのだ。
「最後に問おう、この辺で姫を見なかったか?」
「は、はあ?」
「さっさと答えろ」
「いや、姫って誰だよ」
「はあ!?この国の姫の名前くらいは知ってるだろ、国民なら!」
「いや、日本は王政じゃないから姫とかいないし」
「はああ!?なんだよニホンって、川に落ちて別の国に流れ着いたとでもいうのかよ!」
突然ハッと気づいた様な顔で、男は下を見る。
そして、何度も歩道の地面を踏んだ。
「なんだ、地面が、黒い……?あと、妙に硬い……」
「そりゃ、コンクリートだから当たり前なんだけど……」
「……さっきからお前は何言ってるんだ」
それはこっちの台詞だ、と言うのをこらえた。
おかしな人でも見る様な目で見られても困るんだけど。
今時コンクリートを知らない人がいるのか?この21世紀に。
というかさっきから変だぞ、この人。
タイムスリップでもしてきたのか?
「くそっ、確かに川に落ちたはず、それがどうしてこんなところに……」
「あの、場所がわからないんでしたら警察呼んできましょうか?」
銃刀法違反の人がいるので。
「こんなことしてる場合じゃねぇ、姫を探さないと!」
「……誰?」
「くそっ、ここはどこなんだ!」
俺の質問を無視しながらそう吐き捨て、男は走り去った。
――――刀を腰にぶら下げて。
……なんだったんだろう。
警察に通報しておいた方がいいんだろうか。
『刀を持った怪しい男が光とともに現れて、喉元に刀を向けてきました』
うん、だめだな。
普通にこっちの精神が疑われる。
「……いっそなかったことにするかな」
何せ数分にも満たない突然の出来事だったんだ。
疲れていて妄想に浸ってしまっていた可能性もある。
今のは現実じゃなかったと自分に言い聞かせながら、俺は再び通学路を歩き出した。
「利用できそうな人、見つけた」
微かにそんな声が背後から聞こえた。
その時はまだ空耳だと信じていたが、その時から既に俺の平和はなかったのだ。
勿論、学校は遅刻してしまった。
***
放課後のベルが校内で鳴り響き、授業の終わりを告げた。
隣で寝ている友人を起こし、俺は鞄に文房具を押し込んで教室を出た。
学校を出てすぐ思い出したのは、今朝のことだった。
授業中ずっと頭から離れなかった、あの出来事。
あれは本当に幻だったのだろうか。
いや、本当は幻なんかじゃないってわかってるんだが。
認めてしまったら危ない気がしたので俺は認めないことにした。
あれはただの夢だ。
頭の中で必死に自分で自分を説得しながら、俺は空を仰いだ。
少し曇り空だが、雨が降る気配はない。
「ただいま」
「にゃー」
|人《、》のいない家に着いて、俺は小さく呟いた。
返事をくれたのは、灰色の猫一匹だけだった。
灰色なのになんとなくクロと名付けたこの猫は、数週間前に拾った猫だ。
今までと違って、今回はちゃんと親に許可を得て飼っている。
因みに親は大抵家にいない。
二人とも仕事なので、家にいるときが少ない。
なので家に帰っても、殆どの場合は一人だ。
「……誰だ」
そう、いつもなら。
今は何故か、ダイニングのテーブルでポリポリとポッキーを咥えて座っている男がいる。
目はなんとなく眠たそうで、緑のジャージと青いジーンズを着ていた。
「あ、すいません、お邪魔させてもらってます」
「……警察呼びます」
「え、あ、ちょ!?待ってください!ちょっと話を聞いてください!」
静かに立ち去ろうとすると、男は慌ててそれを阻止しようとした。
「勝手に人の家に上がった挙句勝手に人のポッキー食べてて、怪しすぎだろ」
「ポッキーは美味しいからしょうがないとして、これには理由があるんです!」
「いやしょうがなくないだろ!それって普通に食べたいから食ってるだけじゃん!」
真顔で無茶苦茶な言い訳をする男に思わずツッコんでしまう。
「怪しい人の話なんざ聞くつもりないので、110番呼んでくる」
「すいません待ってくださいぃぃ!今朝の出来事が気にならないんですか!?」
ぴたりとスマホへ伸ばした手が止まる。
今朝の出来事?
ひょっとして見ていたのか?
知っているのか?
「どういうことだ」
「やっと聞く気になってくれましたね……説明させてください」
男は一度深呼吸し、説明し始めるかと思いきや。
「あ、猫……」
両腕にかかえていたクロを凝視していた。
「ちょっと、すいません、触らせてくれませんか?」
「は、はあ?」
「ちょっとだけでいいです、もふもふさせてください」
「説明は?」
「あとです、いいからもふもふさせてください」
「いや、だから話って……」
「そんなのはもふもふに比べたらどうでもいいです!もふもふさせろください!」
「どうでもいいのかよ!」
事情を知る前だったのに、関わってはいけないというとてつもなく嫌な予感がしていたのはこの瞬間からだった。
あれ、これはなろうに送らないのですかな……? もしかして、各自?
というか、ちょっと待てよ……?
「第二章」
日常編(コメディ)
これは各々のキャラの視点からみた日常シーン。
あれ……。俺普通に不審船に向かう終わり方してこの後即行で遭遇って構想だったけど、これはちょっとストーリー設定ミスったパターン……?
し、仕方ない。不審船遭遇までの間をどうにかしてコメディにするしか……(汗
>詩歌さん
あ、ありがとうございます。
あとは漢数字とかに直すなどの軽い編集をしたら投稿します。
>Skyさん
あ、えと、そうですね、すみません。
シリアスになるのは第三章からです。
タイトルは
Crossing Worlds――交差するセカイの物語
というのを思いついたのですが、どうしましょう。
あと、作者名は何にしますか?
アイデア募集中です。
自分はこんごうを含む海上自衛隊と航空自衛隊、さらに密かにですが陸上自衛隊といった自衛隊三軍が堕神の死角たちと主役たちのバックでいろいろ死闘してるって描写で構いません。
安佐山さんはどちらかというと主要メンバーの中でも数少ない大人、かつ国の御偉いさんということでそういう政府や自衛隊との連絡パイプとか、主要メンバーのサポートのほうがあってると思いますので。
あまり顔を出さずにすみませんでした!
誰か、心優しい方がいらっしゃいましたら今の流れを教えてほしいです。切実に。
プロローグ等は出来たという考えで大丈夫ですか?
>Skyさん
了解です
僕自身政治とか詳しくないのでよろしくお願いします;
>金薙さん
えっと、過去ログにプロローグと第一話を投下しました。
現在はタイトルと作者名の案を募集中です。
編集してる途中に矛盾の排除を試みて変更した結果です。
第一話が上峰とテンフーの遭遇シーン、第二話が下記に載せるシーンとします。
この後に全キャラのトリップ・遭遇シーンを一つの章として載せます。
投稿する日にちは明日でよろしいでしょうか?
真に勝手ながら、タイトルは『Crossing Worlds――交差するセカイの物語』で決定させてもらいます。
第二話(修正済み)
限り無く広がり、無数に存在する複数の『世界』。
それらを全て管理し、中心に存在する世界が『神世界』。
この世界の住人は神とよばれる種であり、世界管理を務めるこの神世界において異世界に関する職業に就いているのが主である。
世界を創造する者、世界を管理する者、悪影響のある世界を消す者、自ら降り立って周囲にその存在を悟られぬように手助けする者、あるいは他の世界と全く関係のないことをやる神達。
そんな社会の中で、一人。
全ての世界を管理する『世界管理会』に就職したばかりの少年神様がいた。
彼の名はキクト。
彼は『宇宙』という世界の、地球という星のほんの一部、『日本』と呼ばれるエリアを管理する神様の助手をやっていた。
今日も彼は己の中途半端な注意力に負けず、役に立つ一心で頑張っていた。
「お茶ー」
「はい!」
「そこ掃除しといて」
「はい了解しました!!」
「ちょっと助手くん、ゲームしたいからちょっとモニター見てて」
「はい!」
そんな彼にも一つ、疑問があった。
――――あれ、僕って助手というよりただのパシリじゃ……?
反抗心沸きあがる胸を押さえ、彼は冷たい視線で『日本管理モニター室』を見わたした。
ポテチの袋やお茶のコップ、更にはお酒のビンまで床やテーブルに散らばっており、掃除するのにも一苦労だ。
一つの地域を『管理』する者としては、あまりにも雑なのではないか。
命ある場所を『管理』する権利を与えられているということは、上に信頼され、その地域を任されているということなのに。
この人達はサボってばかりではないか。
自分の理想と現実はどこまでも違うということに呆れながらも、キクトは再び掃除にとりかかった。
「あ、全く、こんなところにコントローラをほったらかしに……」
モニターの下に転がったゲーム機のコントローラを拾おうと、屈みこむキクト。
上司が日本のレトロゲー好きだからか、ファ○コンのコントローラだ。
それが災いし、踏み込んでしまった先に、コントローラから伸びたコードがあった。
「ふぎゃっ」
コードが足と床に挟まれてすべり、キクトは前方に身体を投げ出された。
衝撃を最小限に抑えるために思わずキクトは両手を前に出し、キーボードに直撃してしまった。
「キーボードがぁぁぁ!?」
――――直後、モニターにアラート表示が出現する。
『ゲート設定を変更しますか?』
モニターに表示されたその文字の羅列を、理解するのに時間がかかって硬直するキクト。
「ゲート、って、何だ?」
とりあえず『NO』を選択してアラート表示を消さねば、と彼はキーボードに手を伸ばす。
「おい!今の音はなんだ!何かしたのk――って何をしてる!!コンソールに触るな!」
「げ」
キクトがすっ転んだ音に反応したのか、彼の上司が超スピードで戻ってくる。
突然の怒鳴り声に驚いたキクトはビクッと手を震わせ、キーボード触れてしまった。
結果、画面上の選択肢で『YES』が選択された。
『座標、『紅陽町』。ゲート設定、変更します……』
モニターに表示されたそれらの文字を見て、キクトとその上司は再び口をあんぐり開けて固まってしまった。
非現実的、あるいは奇跡的とでも言うべきだろうか、そんなできすぎた事故で、全ては始まってしまった。
***
「と、いうわけなんですよ」
「なるほどわからん」
僕は物語のプロローグ風に、とてもわかりやすい説明をしてあげました。
それなのに、この高校生は全くわかってくれませんでした。
「そもそも神は信じていないわけじゃないが、お前みたいな弱そうなのが神なわけないし。賢者オーラどこだよ」
「いや、だから神は複数いて姿形はそれぞれなんですってば。あと貴方達が思うように全能じゃないし」
「それと、それがどうして今朝の変な男と関係してるのか説明になってない」
もっともなことを指摘されてしまった。
やはり物語っぽくしてみたのが逆に仇になってしまいましたか。
「えっとですね、複数の世界があるのはもう言いましたけど、地球は他の世界から関係を絶たれた、『隔離世界』なんですよ」
「はあ」
なるべく難しくならないように説明してみます。
「それで、全ての世界を繋ぐトンネルみたいなもの、ゲートというのがあるんですけど、地球の様な隔離世界だと開かないようになってるんですよ」
「で、開く様になったからあの男が別の世界から入ってきた、と?」
「惜しい!」
「じゃあ、何が違うんだ」
ここから複雑になってくるんですよね、少なくとも、僕には。
「本来、ゲートとはそれなりの設備を用意した上で開くものです。この世界のもので例えれば、旅客機みたいなものですかね。飛ぶ先は別の国じゃなくて、世界ですけど」
「とんでもない旅客機だな……」
「まあ、料金もそれなりにかかりますしね。それで、ゲートで繋いである複数の世界、『交流世界』は他の世界の存在を知ってます。世界>国>州みたいなものですかね、交流世界の殆どは社会や技術体系も地球より断然発達してるし」
おっと、少し話題が逸れてしまったかもしれませんが、まあいいです。
「隔離世界はゲートが開くことが許されてないんですよ、隔離されてますから」
「そうだろうな」
「でも、空間に負荷がかかると、強制的にゲートが開いて周囲の物体を引きずり込み、近くの世界と繋がってしまうんです。これをイレギュラーゲートと呼びます」
「ああ、なんとなくわかった」
「ゲート設定を『ゲート開門可』にしてしまったのですが、本来ゲート設定を変更するときは空間の負荷を考慮しなければならないものです。えっと、ひとつの世界をゴム膜みたいなものと思ってください。隔離されてる地球はその上に幾つもの鉄球を乗せられたまま、二枚の鉄の板に挟まれて伸び縮みを防がれてます」
「その鉄球が負荷なんだな」
よくわかりましたね、これ僕でも理解するのに時間かかったのに。
僕は再びポッキーを一本咥えて噛み砕きます。
「はい、で、急にその鉄の板が外されたらどうなります?」
「……鉄球の重さでゴム膜がトランポリンみたいになるな。跳ねまくる」
「はい、世界は複数あるので、その近くにある世界に歪んだゴム膜が触れるとイレギュラーゲートが発生し、触れた世界では小さめのブラックホールの様な実体の無い穴としてその周囲のものを吸い込むのです。たまに鉄の板の役割を果たしている隔離壁に穴を開けるほど大きな負荷がかかってイレギュラーゲートが開いた、なんてことは何回かありますけどね」
「それで?」
「僕と上司の失態で負荷を排除しないままゲート設定変えちゃったんで、上層部が急いでゲート設定を戻すまでに何人かの異世界人がここに移動、僕らの用語を使うと、『トリップ』しちゃいました」
「いや、話を聞く限り、お前がマヌケなだけだと思うんだが……」
「うぐっ」
薄々感づいていたけどはっきりと言われたくなかった!
「とにかく!異世界人に関わってしまった以上、貴方には協力してもらいます」
「はあ?別に、異世界人と出くわしたのって俺だけじゃないだろ?地球は広いぞ?」
「いえ、まあ、他の世界にある生命の住む土地に比べたら小さいですが……そこはおいといて、トリップしてきた異世界人にはこの世界の人間に干渉できないように魔法みたいなのをかけるんです。まあ、そこは神のご都合主義的な力として割合します」
「なんだそりゃ……」
まあ、いずれ説明しますけど。
ポッキーの袋が空っぽになったのでそれは一旦テーブルに置きます。
「でも、貴方は出現したばかりの異世界人と出くわしてしまった訳です。僕がご都合主義な魔法をかける前に」
「仕事しろ」
「してるよ!……コホン、それで、さっきは『地球は広いぞ?』と言いましたよね?実は、事故の範囲はこの町だけなんですよ、さっきのプロローグ風の説明を聞けばわかったと思うんですが」
「全然わかんないし、何でこの町限定なんだよ」
「そこは完全に事故です」
変な目で見られた。
別に、本当に事故だったから仕方ないというのに。
僕は深呼吸をし、彼に告げます。
「で、用件はわかりますよね?信じる信じない以前に関わってしまった以上は協力してもらいます」
少し考えた素振りをすること数秒。
上峰は笑顔で僕に返します。
「よしわかった、話は信じるがお前のことは駄神と呼ぼう」
「はあああああああああああ!?」
そこから、僕の居候生活が始まりました。
青い猫型ロボットの様に押入れで寝る訳ではないけれども。
思えば、警察に連絡されなかったことがとても不思議です。
えっと、はい、見事に作者名を書きかけのまま投稿してしまいました。
今修正してきました。
次はショートショートを一つの章にまとめて投稿し、日常/異世界人保護編開始です。
SSを少し修正します。これをコピペでプロローグに使ってください
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「こら、待ちやがれ!」
森の中で一人の少年と一匹の狐が追いかけっこをしていた。
少年は森で活動がしやすい服装をしていて、手には短い杖が握られていた。
杖を持っているが別に足をくじいたわけでもないし、それなりの速度で狐を追い掛け回しているから健康体そのものだという事は簡単に理解できる。
「この森で銀色をした狐なんて見たことがないし、なによりこの森に慣れ親しんだ僕より速いなんて。只者じゃないはずだ」
銀色の狐は魔法を使う素振りもせずに、逃げ続けていた。
この世界には魔法が存在している。そんな事は赤ん坊でも知っているし、自然に生きる動物にだって日常的に使っている。
少年の手にある杖は単に魔法を扱うための物である。
「おかしい。一向に襲いかかってくる気配がない。もしかして、ハズレモノか?だったら尚の事好都合だぜ」
別に魔法を使わなくても牙や爪で攻撃できるはずの動物だが、歯向かってこないモノもいる。そういうのは総じて仲間はずれにされて、狩りを覚えることすらできずに放り出された存在として、ハズレモノと呼ばれている。
このハズレモノは一部の愛好家どころか世界中に需要があり、かなりの値段で取引をされている。
しかも色が銀とは誰も見たことがない。少年はレア物だと判断し、追いかけている。
「まさか、今日の飯の確保に来たらこんなのが引っかかったとは、僕幸運すぎるな」
狐は精一杯逃げていたが、不幸な事に脚を木の根っこに取られて転んでしまった。
「ふぅ、疲れさせやがって。こいつを売れば僕は一躍有名人。《銀を捕まえた者》カナチとして名前が売れちゃうな」
それを取らぬ狸の皮算用と人は言うが、少年は気にしない。
そして現在進行形で足元に形成されている穴にだって気付かない。
「さて、おとなしく捕まってくれよ!?」
そして案の定その穴に落ちてしまう少年。予想以上に深かったようでなかなか底につかない。
身動きが取れないほど狭い空間。
光ははるか頭上にあり、もう夜に見える星の大きさほどでしかない。
「やばい、やばいやばいやばい!!」
あまりの恐怖に少年は気を失ってしまった。
ズダーン!
「うっ、つぅ......ここは?」
地面に墜落と言っていいほどの速度で落ちた少年は、その衝撃で失っていた気を取り戻した。
いきなり底についたようだが、先ほどまでの狭い空間はどこかに消え去り、辺りは真っ暗だが見たことのない風景になっていた。
さらに下は土のはずなのにかなり固い。そして黒い。
いつも感じている偉大な自然を微かにしか感じない。
「どこだよ、ここ」
少年は呆然としたまま動けなくなっていた。
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