零零機工斗 2013-11-15 09:41:13 |
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ジョシュアさんの書いたSS
響く剣戟の音は高らかに、しかし不規則でありそれは不協和音であった。
剣で奏でられる演奏会の舞台は石垣の上に建てられた城だった。赤を基調に造られたそれだが、いまでは血の赤に染まっている。
「姫様、離れるなよ!」
兵士たちの怒号に負けないように声を張り上げるのは、セイ・テンフー。黒髪に長身の男。大永国が誇る戦士の一人だった。
左手に持つ片刃剣を翻し、目の前の敵を引き裂く。悲鳴をあげる間もなく死に絶える敵兵士を一瞥することもなく、テンフーは少女の手を引いた。
「しかし、どちらへ!?」
少女は大永国の珠玉と称えられる姫、クーフェイだ。戦の時とあって、動きやすい衣服を身に纏っている。
テンフーは刃を油断なく構えながら物陰に潜み、周囲の敵を配下の兵士に相手させ、時間を稼ぐ。
「裏手の川を使う。下っていけば姫様の叔父殿の領地だ。それまで辛抱しろ」
テンフーは本来、姫殿下相手にこのような口調で話せるほど位は高くない。いや、そもそも一国の姫へ粗暴な口調で話しかけて良いはずがない。
だがテンフーは大永国の名家セイ家の生まれであり、幼い頃からクーフェイと共にいたことがあり、二人でいる時や緊急時は素の口調で話すことを許されていた。
「ふざけないでください!」
クーフェイは、姫という立場らしからぬ大きな声で言った。
「私は誇りある大永国の姫。我が身を守るために兵が戦うならば、それを見届ける責務があります! ましてや、逃げるなどと!」
「確かに、民なき国はあらずと言う。だがな、主なき国もまたないぞ! お前の責務は国を導くことだ! 自らの死で道を示せると思うな!」
相反する二人。だが、彼らは今までもそうして互いの関係を築いてきた。知勇のセイ・テンフー、慈愛のクーフェイ。知を支える二人が国に居れば安泰とすら言われた。
しかし、時は二人が成熟することを待つことなく災厄を与える。隣国の度重なる侵略に、ついに王都へ攻め入られた。
配下がまた一人と倒れ、テンフーはこの場にいるのも限界だと考える。
「姫様、まだ負けてない。我が国はまだ死んではいない!」
「何を……」
「大丈夫だ。――オレがいる。叔父殿も助けてくれよう。姫様がいれば、また民は集まってくるだろうよ」
テンフーはクーフェイを片手で立ち上がらせる。そして手を引くと、配下へと命じた。
「我らの行く手を死に物狂いで開け!」
応、と答えた彼らはすぐに行動した。強引に敵を倒して行くまでもない。ただひたすらに、自らの仕える主君のための道を切り開く。
相手の剣を受け止めては押し出し、主君の歩むための地を生み出す。
テンフーはその先頭に立ち、敵兵を右へ左へと薙ぎ払っていく。
クーフェイは黙ったきりだった。己の進言は、戦時には効果がないことを心得ている。また、テンフーの言葉が正しいと、本当は理解していた。
だからクーフェイは、己ができることをする。自らの居場所を示さぬように、声を上げない。自らを守るために散って行く英雄たちを、瞬きもせずに見届ける。
「貴様、セイ家の!」
そう叫ぶ、装備の整った敵将兵がいた。テンフーを見て家柄を判断したことから、学があるか、または戦場で会ったことがわかる。
だが、それだけだ。テンフーにとって、敵が何者であるかなどと関係ない。ただ、強者か弱者か、自らの歩みを阻む者か、それだけだった。
「覚悟!」
振り下ろされた一撃を刀で防ぐ。力の乗った、重い一撃。なるほど、この者は強者であることは、腕の痺れが教えてくれる。もし自分に姫を守る大任がなければ、さぞ心躍ることだったろう。
テンフーは、強者と戦うことに悦びを感じる。だが、自らの使命を忘れそれに興じるほど愚かではない。
「悪いな!」
瞬間、見えない波が敵将を襲う。その不可視の波は風ともまた違い、圧倒的な力で周りの兵士諸共吹き飛ばした。
そうして開けた道を、テンフーは今度はクーフェイを抱えて疾走する。馬の如きその速さであり、後背の配下も追いつくことができない。
だが、彼らはそれも心得ていた。主君とその護衛の背中を守るべく、敵兵の動きを止める。
それを見届けるのはこの場において、戦うことのできないクーフェイのみ。彼女は自分を守ってくれた彼らを心に刻んだ。
「歯を食いしばれよ!」
テンフーはそう叫ぶと、窓から飛んだ。恐怖からクーフェイは瞳を閉じる。
石垣に足を着け、落下の威力を減らしながらテンフーは降りていく。その離れ業を見ている者は、敵味方を問わず動きを止めた。
そして、まるで二人が来るのがわかっていたように船がそこにあった。
否、防城戦の際、逃げられるようにテンフーがそこに船を配備していたのだ。
船に乗り込むと、数名の漕ぎ手と兵士が乗っていた。二人でできること、厳密には、テンフーがクーフェイを守りながらできることには限界がある。そのための補佐役だった。
「船を出せ!」
テンフーの命令に、全員が従って動いた。幸い、敵軍はこちらの動きには気づいておらず、また気づいたとしても止められるだけの部隊が動くには時間がかかるだろう。
クーフェイは煙の上がる城を見据えていた。その顔に浮かんでいる感情は、怒りと悲しみ、悔しさがないまぜになったものだ。
「……姫様」
「大丈夫です」
テンフーが心配して声をかけるも、クーフェイは頷いた。
「いつか必ず、あそこへ帰ります。散っていった彼らのその意志を、無念と言わせぬために」
揺るがぬその気持ちに、不謹慎ながらテンフーは微笑みを浮かべた。
――だからオレは、こいつに惚れ込んだんだ。
それは忠誠心からなのか恋愛感情からなのかわからぬ感情だった。だがしかし、自分がクーフェイに仕える理由でもある。
必ず、この姫は大きなことを成し遂げる。その手の指す方へと道を開くのが、自分の役目だ。
「最後までお供させてくれよ」
おちゃらけてテンフーがそう言うと、クーフェイは年相応の、少女の笑顔を浮かべる。
「ずっと一緒だって、約束したでしょ」
その笑顔に、その言葉に、テンフーは少しだけ、安心した。何にかはわからなかったが。
そして、クーフェイに手を伸ばした、そのときだった。
「なっ!?」
船が突然傾く。投げ出される兵士たち。そして、その中に――――。
「姫様!」
非力なクーフェイもまた、川へと落下していく。彼女を助けるべくテンフーもまた、追った。
それがテンフーの最後の記憶だった。
煌星 キラさんの書いたSS
「今日はお先です! 失礼します!!」
昨年よりも少し寒さは落ち着いている冬の日……彼、宵星煌太は勤務先であるオフィスビルから出ては笑顔でお辞儀をして振り返り歩いていく…………が、少し歩いてからもう一度振り返り先程まで相手をしていた上司が居ないことを確認すると、ネクタイを少し緩めて溜め息を吐いた……
「ふぅ……疲れた…………でも、今日もまた会社に貢献した…………っと」
煌太は、先程までの笑顔とはまるで違う笑みを浮かべながら自宅のある方向へと歩いていった……
「あ、明後日は…………独り身のクリスマス……だもんな。今年も近所の子供たちにケーキを作ってやらないとな…………それに前に作って冷凍してた奴も使いきってたな……」
そう呟くと歩く方向を変えて地元の商店街の方へと向かっていった……
「こんちゃ、おっちゃん!」
「お、煌太ぁ! 今年も子供たちにケーキを作ってやるのか?」
「えぇ。ケーキの材料はスーパーで仕入れる予定ですが、今日は個人的なのですよ。とりあえずカレー作ろっかなって思ってんでカレーに入れる牛肉で旨いのありますか?」
「そうか! なら、こいつはどうだ? うちの坊主も世話になってるし少しまけるぞ?」
「お、良いですねぇ! ……じゃ、ドンと1kgお願いします」
「おぉ、買うねぇその気合い気に入った! 更にまけてやるよ!」
「やったね、おっちゃん太っ腹!」
「……よし、これでまた暫くは持ちそうだな」
商店での買い物を終えた煌太は両手に袋を持って家路を急いでいた…………
はたから見れば多目の買い物袋と仕事鞄を器用に両手で持ってるスーツ姿の青年と言う異色の光景だったが……彼はそんなのはお構いなしにマンションの階段をかけ上って行った
「ただいま~…………って誰も居ないんだよね……」
二階の角部屋である自室のドアを開けながら呟く彼を待っていたのは少し大きめのテーブルと何故か店員に勧められるがままに購入してしまった2脚の長椅子のある質素なリビング……
そして左には男性の部屋とは思えないほど料理器具や調味料の類いが充実して揃えられてるキッチン……勿論、冷蔵庫も置き場所に困らないサイズながら大容量の最新鋭の奴である。
右にはノートパソコンの置かれてるデスクに、何で買ったのか分からない組み立て式のダブルベッド……他の人が見れば同棲しているのかと思われても不思議のない部屋だったが、この部屋は彼一人しか住んでいない。
「……孤児院の時みたいに帰ったらお帰りって言ってくれる人……居ねぇかな…………」
叶うはずもない願いを呟きながら食材を一度冷蔵庫に仕舞う……そしてお肉を冷蔵庫に入れ終え、私服に着替えると自室を出てケーキの材料を買おうとマンションを出ようとしたら……
「…………ん? ……にんげ…………ん??」
この時煌太は、まさか本当に自分の叶いもしない願いが叶っていたとは思いもしなかった…………
ども~。読者参加の者です~
とりあえず、ラストの謎の人物は異世界人の予定で書いてますね。
それが他の作者さんのだとより嬉しかったり(((
あ、それとSSのラスト場面の
マンションを出ようとしたら……
↓
マンションを出ようとしたら、不思議な格好をした人間が倒れているのを見付けた……
に変更でorz
>キラさん
了解しました。
一応、これらのSSは本編に載せるときはこちらで決定した文体に直すので、その時に編集するべき点、本編にあわせるために変更する点について話し合う点ができるんじゃないかと思ってます。
長谷川 レンさんがキャラ設定を変更し、更にもう一つSSを書いてくれました。
お疲れ様です。
名前:リスティア=ローラ
性別:女
世界:新緑界…………緑の森八割残りが海という森に包まれたのどかで静かな世界
種族:ハーフフェアリー(エルフと妖精の子。新緑界では血が濃く出ている方がハーフの後に種族名が出てくる)
性格:とにかく寝る子。暇があれば零コンマ秒で寝る。
一人称:リア(幼馴染につけられたあだ名を一人称にしている)
口調:命の危険がないと判断していれば基本語尾を伸ばす。「ん」の場合はその前を必ず伸ばす。キレた時は語尾に☆が付いてキャピキャピしている。
年齢:87歳(新緑界のハーフフェアリーは250歳から成人。寿命は800歳)
方針:将来的に寝ながら生活できることを目指しているリスティア。眠りを妨げる者は敵とみなし、可愛らしい口調で語尾を☆で笑いながら魔法で破壊するか半殺しにして落ち着いて寝られる場所を探して寝る。『三度の飯より睡眠』がモットーなぐ~たらハーフフェアリー。
外見:エルフの血のおかげでエルフ特有の耳と子供の人間と同じぐらいの身長(121㎝)だが、それ以外はほぼ全て妖精の血が濃く出ている。薄緑色の四枚の羽に、魔力の光が舞い散っている。体系は明らかに幼女体系で凹凸は無い。髪は金色で緑色の妖精の服を着ている。妖精の服は肩紐の無いワンピースタイプ。それとリスティアは個人的に腕を隠すために肘の部分から袖を着けている。
その他の細かい設定:エルフと妖精のハーフなだけあって魔法が使える。魔法は想像することでどんなことでもできるけど、例外として生命や時間に関わる事は出来ない。そしてリスティアは腕を見られることを極端に恥ずかしいと感じ(二の腕は別)、いつでも、どんな時でも隠している。妖精の服が濡れることは無い。
台詞:「ふぁぁ……むにゃむにゃ」起きてる状態→「森さん森さ~ん。気持ちがよくてのんびりできる場所って無いですか~?」「迷子ですか~? 風さん風さ~ん。この人を導いてあげてくださ~い。はい、後は風が吹く方向に進むだけですよ~」キレた状態→「リアを起こす不届き者はど~こだ☆」「リア、いっきま~す☆」
==============================
風が踊っている。木々がサァ……と音を奏でる。
まるで外の世界とは全くの別空間となったその場所の中心に、尖っている耳、金色の長い髪、四枚の薄緑色の羽の生えた人の様な姿をした子供が目を閉じていた。
一定のリズムで呼吸をし、気持よさそうなその笑顔に誰もが見とれてしまいそうだ。
――そんな少女の元に、ノイズが紛れ込んできた。
「グルル……」
ザッ、ザッと足音を立てて迫ってくるのは牙の大きく生えた獣人。その目は飢えており、牙の隙間からは涎が垂れている。
少女はそんな獣人に気がつかず、夢の世界へと旅立ったまま。
獣人はそれが好機とばかりに茂みから飛び出し、その少女の喉元へと襲いかかった。
――キィンッ。短く、そして甲高い音が鳴り響いた。
「グルァ!?」
獣人の牙が少女の喉元には届かず、むしろ少女から少し離れた場所で透明な何かにぶつかった。
甲高い音が鳴り響いたのと同時、寝ていた少女の表情から笑顔が消え、ゆっくりと体を起こした。
目を開けて、顔をきょろきょろと向けて獣人の姿を捉える。獣人はその場から動くということをせず、なぜかその場で固まったように動かない。
「リアの……」
「グア……?」
少女が呟く。その呟きに獣人が反応する。
そして、風がもの凄く強くなってくる。その異常さに気がついた獣人はなんだなんだと慌てて辺りを見回そうとするも、なぜか体が動かなくて目の前に居る少女を凝視することしかできない。
「昼寝を、邪魔する奴は……」
少女が羽を使って空中へと浮かぶと、片腕を持ち上げて獣人へと向けた。もう片方の腕は握りこぶしを作って震えている。
恐怖の震え、ではない。怒りの震え。
「消しとんじゃえ☆」
目が笑っていなかった。
次の瞬間、まるで竜巻の様な風が発生し、それが獣人へと向かって一直線に襲いかかる。
「グル!?」
その竜巻に驚いた獣人が大きく目を見開き、その竜巻がぶつかった次に目を開けた時には、大空へと体が浮かんでいた。
「ガルウウウウゥゥゥゥゥゥ…………」
吹き飛ばされた獣人は何処かへと飛び去り、この場に再び静寂が包み始める。
だけど、こんな場所ではまたも獣人や魔物などの肉食動物が来たら起こされてしまう可能性がある。
少女、つまり自分はそれが大っ嫌いであった。リアの命よりも眠りを妨げるような物が一番の嫌いであった。
「何処か、眠れる場所あるかな~」
リアはそう呟くと、目を閉じ、耳をすませた。すると、パッと目を再び開けると、四枚の羽を動かして空へと飛んだ。
「ありがと森さ~ん。行ってみるね~」
その場から飛んで、木々の葉が当たらない程度の所まで高度を上昇させた。
空を飛ぶのは気持ちがいいが、寝ることができないのでそこの所はデメリット。常に羽を動かしていたら疲れて何処かで休まなければいけない。そして、羽を動かすということは意識がある。つまり寝れない。
そんなときに、下から声が聞こえてきた。
「お~い。リアー!」
下を振り向くと、そこではリアと同じ耳の形をした超絶美人のエルフで幼馴染のメリーティア、あだ名でメリアが手を振っていた。リアは上げていた高度を下げて行くと、メリアの前で降り立った。
今すぐにでも寝に行きたいのだが、さすがに幼馴染の話は聞こうと思ったのだ。これがメリアでなければ適当に手を振って寝に行くつもりだった。
「どうしたのメリア~?」
「どうしたのじゃないよリア。一体今から何処に行くの? って言っても寝に行くんだと思うんだけど」
「そうだよ~。森さんから日が当たってポカポカ気分で寝られる場所を教えてもらったんだ~」
リアがそういうと、メリアの拳がリアの頭に入った。
「い、痛いよメリア~。どうしてゲンコツするのさ~」
「リア? 今日の料理当番、誰だったっけ?」
そう言われて、リアは顔を青くさせた。
そういえば、今日はリアとメリアが当番だった……。
何故メリアが関わっているかというと、リアの家族とメリアの家族が一緒の家に暮らしているからだ。親同士がとても仲が良く、いっそ同じ家で暮らさないかというほど仲が良い。ちなみに名前でも似たような名前にしようと言ったようだ。
そして、料理は当番制となっており、今日はリアとメリアの料理の日になるのだ。それぞれの両親は日に一人ずつやる。
子供だから二人でやらせる。一人は危ない、という理由ではない。リア一人にすると、昼寝で料理を全く作らない日が来る可能性をそれぞれの親は考慮したのだ。
今は日の傾きからして二時ぐらいだということを知る。
「ようやく思い出したみたいね。さて、どうやって反省させようか?」
「め、メリア~? それは昼食を食べた後~、でも良い……かな~?」
メリアは優しい。きっと、食べた後でもいいはず……。
――そう思っていた時がリアはありました。
「いっつも眠りを妨げた何やらで私が魔法喰らってるもんねぇ。今日は、私が一方的に使っても、文句は言わないよね? リア?」
ゾクッ。
「あ、そうだ。今回はリアが一番恥ずかしいと感じるその腕の部分の布を取っちゃおうかなぁ。明日の朝まで」
「あ、あはははは……」
風が吹き荒れると同時、冷や汗が雨のように大量に垂れてくる。メリアが手を振り上げる。狙いはリアの両腕に着けている袖だろう。だからリアは、ダッシュで羽を使ってなるべく空高くへと逃げ始めた。
「あぁ!? 空に逃げるなんてずるいわよリア!! 大人しく罰を受けなさい!!」
この世界には魔法があり、それは心から願えばいくらでも使う事ができる。だけど、それはフェアリーから魔法の源、魔力を借りるのであり、決してエルフや人間などが力を消費するのではない。制御する精神力が必要なだけなのだ。
フェアリーはその魔法の源である魔力を盛大に蓄えており、一日中魔法を使っても朽ちることはない。フェアリーが飛ぶ原理はその背中にある羽が光の粉、つまり魔力を放って飛んでいる。
だけどフェアリー自身は魔法を使うことはできない。飛ぶことはできても魔法を使うための知性が無いのだ。それ以外は普通の人間と同じぐらいの知性だ。
それからもう一つ。フェアリーは親しくない人には決して魔力を渡そうとしない。メリアの場合、魔法を使おうとするならリアから魔力を受け取るか、もう一人近くに居るフェアリーに魔力を受け取るかしなければいけない。
そして、その魔力をすでにメリアは受け取っていると見て取れる。
「リア! これはすでにリアのお父さんから許可が出ているからねぇ!!」
そりゃぁそうだろう。許可が出ていなかったらメリアは魔力を受け取っていないハズだから。
メリアの両親はどちらもエルフ。だけど、リアの両親は違う。母親はエルフなのだが、父親がフェアリーなのだ。こういうことはとても珍しく、いくら仲良くなっても恋までは発展しないと言われているほどなのだ。
そのためにリアの種族はハーフフェアリーに仕切られ、魔力も持っていれば、魔法も使えるというわけだ。耳の部分が無ければほとんどフェアリーに近いために、ハーフの後にはフェアリーが来ている。身長ではフェアリーと比べると一番高いだろう。でもエルフの中だと一番小さい。そしてエルフ特有の女性らしい体つきをしておらず、フェアリー特有の幼女体系だ。エルフもフェアリーも長寿であるし、とある年齢から外見が変わることが無くなる。
「帰ってきたら覚悟しなさいよぉ!! リスティアぁ!!」
ホント、どうしよう。帰れなくなってしまった。
リアの本名、リスティア=ローラ。姓は母親のだ。フェアリーに姓は無い。リアとは、メリアがつけてくれたあだ名であり、自分の事もそう呼んでいる。
「どうしようかな~。家に帰れないよ~。お腹すいたよ~」
空を飛びながら、森に教えられた場所に向かいながらリアは考えるが、考えがまとまらない。
とにかく、この教えられた所為で空いた空腹をどうしようかと思ったリアは、森の中へと一旦高度を下げて果物を探した。
腹が減っては寝ることすらできない。それはリアの存命の危機に関わる。
ちなみにエルフとフェアリー、どちらも肉は食べれない。結果、ハーフフェアリーも主食は果物や野菜などである。近い種族で肉が食べられるのはダークエルフである。
「森さん森さ~ん。近くに果物無い~?」
そして、フェアリーの特徴として、森の木々や、風など、自然のありとあらゆるものに話しかける事が出来る。フェアリー以外の者には何も聞こえないが、フェアリーにはちゃんと聞こえているのだ。
「え~? 何かあるからそれを見てほしい~?」
森が知らない何か、とは一体何だろう?
そう思ったリアは森に言われた場所に向かう。果物があるとかそういうことはどうでもよかった。いつも寝る場所を教えてくれる森にお礼がわりに向かうだけだ。解決できるならそれに越したことは無い。
そして、ついた場所にはただっ広い湖があり、その中心の上に楕円の空間が開いている。一体あれはなんだろう。見たこともない魔法だ。
探索魔法などでそれを調べてみるも、不明としか出なくて、それが何なのかさっぱり分からない。
森に聞いてみると、リアが近付いたら現れたらしいのだ。ますます意味がわからない。
「ごめ~ん。リアじゃわからなかったよ~」
不用意に近づくのもまずいだろう。森に謝りながら、ゆっくりと離れて行ったその時だった。
「ワオーン」
狼の鳴き声が聞こえとっさに振り向いた。すると、何処かで見たことのある様な獣人がリアへと迫ってくる。湖はさほど深く無かったのか、牙をむき出しにした獣人がもうすでに真後ろまで迫っている。
だけど慌てる事はしなかった――キィンッ。
「ガルゥ!?」
弾かれた獣人が驚く。それはそうだろう。リアは常に自分を守るために透明な防御壁の様なものを張っているいるのだ。盛大な魔力があるために一日中羽に使われる魔力と合わせても無くなることはない。それに、寝れば魔力は全回復するのだ一瞬で。
だけど、今回はその防御壁が仇となった。
「へ――?」
森に言われ、リアは後ろを振り向く。
すると、羽が空間の中へと入っている。それはもう半分以上入っている。そして動く気配がない。
「え、え~? 反動で後ろに下がって、入るなんて~……。ま、まさか取り込まれるなんて事はな――」
言葉はここまでしか続かなかった――ズズ……。
「嫌ー! 誰か、メリアーーー!!」
体が引っ張られる。誰かに空間の中に入った羽を引っ張られているような感覚だ。
羽は繊細だ。体の一部だ。魔法で治せるとはいえ、引き千切られたら卒倒するような痛さだ。
「やだー! メリアー! 誰かー!!」
顔が引きずり込まれる。その様子を歪に感じたのか、獣人が動けない事もないのに動こうとしなかった。
体が少しずつ空間に入って行く。もうだめかと、そう思ったその時。
「リア? こっちに居るの?」
メリアの声が聞こえてきた。
「メリアー! 助けてぇ!!」
「え? 何!?」
異常を感じたのか、メリアが走ってくる。
そして、メリアの姿が見えると同時、メリアもリアの姿が見えたのか、口元を押さえていた。
「リア!? どうしたの!?」
「助けてー! これ、抜けないのー!」
それだけで感じたのか、メリアが途中に居た獣人を魔法で吹き飛ばしてから動きずらい湖の中を進んでくる。
その時にはもう体は右腕を残して全部空間の中へと入っている。あとは、顔と腕だけ。
「待っててリア! すぐ! すぐ助けてあげるから!」
「メリアー! 後ろー!!」
「え?」
リアの声に反応したメリアが後ろを振り向き、そこに迫ってきていた獣人に魔法を放った。なんとか命は無事だ。だけど、時間を喰ってしまったせいで、リアの口元はもう空間の中へと入ってしまった。
もう声を出そうとしても聞こえない。
「リア!? リアぁぁああ!」
メリアが一生懸命手を伸ばす。だけどそれよりも先に、腕をメリアが掴むより早く……。
――リアを飲み込んだ空間は虚空へと消えてしまった。
永変さんの書いたSS
キャラ:アマネ
「ふぅ…良かった良かった。」
私は嘆息した。
見慣れた街並み。
「ようやく…帰ってこれたのか。」
オオカミだった頃の癖か体をぶるりと震わせてつぶやく。
ようやく、ようやく帰ってこれたのだ。
「それにしても途中でゲートに繋がっていて助かったな。」
道中で謎のゲートに捕まってしまった時は焦ったが無事もとの世界に戻ってこれたのだからよしとしよう。
何年ぶり、いや、何十年ぶりかも知れぬ懐かしい街並み。
私は、ようやく帰ってこれたのだ。
それにしてもあのゲート、何処かにつながっていたようだったが…
…関わると面倒になりそうな気がビンビンするな。
あっちの世界に行ってからこういうカンは外れたためしがないので放置だ放置。
そう思い私はルンルン気分で自宅へ向かい歩き出した。
これから私には楽しいゲームライフが待っている!
…といいな。
私のやつ世界の名前がひどいな…
変えるにもいいのが思いつかない…
アマリアとかか?
ミカルーフ
リドフタス
適当に変更お願いします
えっと。
ユベル、とかどうでしょう?
グーグル翻訳で「交差」をドイツ語に翻訳したらユベルケレン(発音あってるかわからないけど)って出たので、それから取ってみました。
ドイツ語つながりで、
神秘:ゲァハインム(Geheimnis)
魔法:マギー(Magie)
神聖:ハイリッシュ(heilig)
魔界:ヘゥレウ
運命:シークサェル(Schicksal)
遊楽:エァホーロン(Erholung)
異界:エイリウェン=ウェルト(Alien Welt)
漂流:ドリフテン(driften)
聖なる終着点:ハイリガ=エンポート(Heilige Endpunkt)
聖剣:ハイリガ=シュウェァート(Heilige Schwert)
とりあえず思いついたのをとにかく出してみた。センスとかは全然気にしてない。
発音は翻訳して自動音声で聞いたのをそのまま出したので俺のリーディング能力には期待しないでください。
告知。
イガイガ栗さんのキャラ名を訂正。
異世界人なので、
栗原 伊我乃→イガ
にします。
そろそろ、どのキャラがどのキャラと、どんな関係にあるかを決めないとですね。
この前自分で考えていたのを参考にしてみて、どなたか意見をください。
因みに、下記にない人物関係は思いつかなかったものなので、本人などが決めてくれれば幸いです。
キクト、上峰達也―居候、巻き込まれた一般人、**とツッコミ。
上峰達也、宮野和樹―クラスメイト/友人
キクト、ミナ―神世界においての同級生(?)的な存在
宵星煌太、上峰達也―上峰にとって、宵星は頼れる大人。この物語では初対面。
藍鈴鈴蘭、上峰達也―完璧が、完璧でない者に憧れ、上峰は後に鈴蘭の「完璧故の悩み」を解決。
カナチ、キクト―好奇心で行動する者同士、気が合う
アマネ、上峰達也―ゲームの話で気が合う
藍鈴鈴蘭、鳳楽―コメディ精神と超絶クールはかみ合わなかった。
鳳楽、キクト―**ツッコミ、たまに二人で暴走
安佐山謙介、キクト―キクト(やばい地球の偉い人だ) 謙介(コイツが元凶か……)
黒利健介、キクト―キクト「もふもふもふぅぅおおおおおお!」 黒利(金の成る木にゃ)
セイ・レンフー、上峰―冒頭に出会う。上峰は少し怯え気味。
セイ・レンフー、キクト―レンフー「神って強いんだろ?」 キクト「ぼうりょくはんたいガクガクブルブル」
セイ・レンフー、アマネ―「戦いは楽しいぞ?」 「あ、私はゲームしてるんでノーサンキューです」
黒利、アマネ―何故か気が合う。
臨王春、上峰―本心を話せるようになる。
臨王、イガ―友人関係。
臨王、キクト―友人関係。
アリス、上峰―上峰「この人凄い!」 アリス「アリスは貴方の言動をよく理解することができない」
アリス、キクト―キクト「その猫もふっていいですか!?」 アリス「アリスはキクトを危険人物と判断する」 キクト「危険人物じゃないですごめんなさいとりあえずその猫触っていいですか!」
ミナ、上峰―「「平和が一番」」
リスティア(リア)、キクト―リア「あとはよろしく……zzz」 キクト「寝てる!?」
リア、上峰―一度寝てる途中に起こしてしまったあとにリアが切れ、上峰にはトラウマとして残った。しかし普段は優しく接する。
黒利、宵星―お互い社会の大人同士のため(一匹は『元』社会の大人)分かり合うところあり。
まだ人物関係が決まってない人のためにそれぞれの立ち位置を下記に記します。
上峰達也―基本的にツッコミ役。振り回される。数少ない常識人。
キクト―ツッコミ+**。もふもふに暴走。神様の癖に人間以下。
宵星煌太―頼れる大人。営業マン。子供が好きだけどロリコン、ショタコンと呼ばれると慌てて否定。ツッコミ役。
アマネ―無気力系男子。とにかく平和にゲームがしたい。実は戦闘においては強いが本人はゲームがしたい。
カナチ―好奇心旺盛な、調子に乗りやすい男子。とにかくスピードを極めたがる。**もツッコミも可。
藍鈴鈴蘭―完璧超人で超絶クール。完璧故に悩んでいる。序盤では人から距離を取る感じ。
宮野和樹―面倒くさがりだが好きなことにはとことんやりこむことができる。基本的に人に頼らない、無気力系(?)。
鳳楽―プロットブレイカー兼全員を振り回す**役。(確信)←
安佐山謙介―35歳のイージス艦『こんごう』のエリート艦長。仲間思いで苦労人。政治、国際、外交関連の話題が好き。ツッコミ役。
黒利健介(上峰に拾われて以来猫名は『クロ』)―猫好きな喋る猫。相手に応じて**とツッコミをこなす。猫教の教祖で、町中の猫達の間では人気者。
セイ・レンフー―戦闘狂の節がある主人公みたいな男。ぶっきらぼうで、基本は優しい。ツッコミ役。
臨王春―天然系**役。挙動不審で、キレると怖い。ヒント:カッター常備。
イガ―植物が怖い猫獣人。ノリが軽いお調子者。
アリス―所謂『情報生命体』であり、人付き合いは苦手だけど天然**役(本人は無自覚)。物質構成ができるため、いると便利。
ミナ―創造神見習い。敬語。怠けるときが多いが言われればきっちりやる。ツッコミ役。カオスを抑えようと頑張る数少ない常識人。
リスティア=ローラ―とにかく寝る子。起こされると切れる。天然**役。
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