たこの達人 2013-09-12 18:39:01 |
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僕は人を絶望させるのが好きだった。崖から落ちるような、人生を落ちていくような、そんな顔をしながら絶望する人の顔を見るだけでも興奮した。そんなことを趣味とし、いつしか特技になっていた。そんな僕にはどうしても、どうしても、崖から落とす(絶望させる)事ができない人物がいた。
それは男ではなく。
俺を大根と例えるなら、アイツはエノキのような、可憐な女だった。
「絶弥!!!!」
カバのような婆センコーは、その汚らしい大きな口からこれまた大きな大きな声で僕の名を叫んだ。
僕の名前は、望蘭 絶弥(ボウラン ゼツヤ)
なんとも厨二臭い名前だが、
絶望が大好きな僕としては
苗字の【望】と下の名の【絶】をとり、入れ替えれば絶望と言うなんとも嬉しい名前だ。まるで、人々に絶望をあたえる為に現れた天使だとこれまた厨二臭い事を思っている。
そんな僕は崖から真っ暗な溝へ落とした子供の親が怒ったらしく。そんなこんなで毎度の事と、婆センコーに呼び出されていた。
「絶弥!!!!、貴方は何度言えば分かるのかぁあ?!」
婆センコーは、利き手を大きくあげた。
僕はコイツは大ッ嫌いだ。
コイツはゆう事を聞かない生徒。または、期待どうりにいかなかった生徒に暴力で自分の思いどうりの生徒にしようとする。
他の先生が注意するなりなんなりすればいいのだが、この婆センコーは、なかなか地位が高い。
暴力をふるわれた生徒は、またあの婆センコーのシワの多い手をくらわないかと怖がって、まるで、バンビのようにブルンブルンと震えている。
そんな奴らをみて
僕はもちろん
興奮した。
が、自分がさせたわけでわないというところに腹が立つ。
僕はシワの多い手が頬に当たる瞬間_
_目をかっぴらいてニィと笑ってやった。
カシャ カシャカシャカシャ
僕は今から始まるスリル万点の場面を考えてドクドクと興奮する自分をおさえながら言った。
「とても綺麗な写真が撮れましたね!」
婆センコーは、今起こった事に気付くのが遅れたようで、やっと気付くと、顔をゆでダコのように赤くしてフルフルと震えだした。
その写真には、婆センコーが俺の顔をぶつ瞬間がバッチリと、これまた綺麗に撮れていた。
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