主 2013-08-21 03:00:05 |
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優弥…すみません、少し慌ててしまって(もう一度ゆっくり主の名を呼ぶ、優弥だから機嫌を直してくださいという思いを込めて。俯いてしまう主の姿に庇護欲を掻き立てられポンポンと手のひらを軽く撫でる。)大丈夫じゃないです、ほら、口を開けてください(頑なに逃げようとする主を捉え、その強い眼差しを変えることなく顎を手で支え促す。)
……ん(相手の言葉に、納得したように頷くと、再び相手の顔を見上げて。自分はその存在をよく理解していないが、世の親というのは、こういうものかもしれない、などと思ってしまった。)分かった、ほら(先ほどの相手の行動もあり、少しリラックスした様子で、小さく口を開けた。しかし、やはり他人に口の中を見せるというのはあまりに恥ずかしく、顔を赤くして、なるべく相手の顔を見ないようにした。)
落ち着きましたか?(頷いている主に静かにそう尋ねる。じっとこちらを見上げることを不思議に思いながらも落ち着いたなら食べましょう?と述べた後先ほどの自分の発言に思い当り私もご一緒いたしますのでと微笑みを向ける。)大丈夫ですね、よかったです(怪我がなかったという安心からか強張っていた肩の力を抜き、落ち着いた様子を見せる。そこで主の赤くなった顔に気づき次は気を付けてくださいね?とその赤い頬をさらりと一撫でした。)
あぁ(柄にもなく拗ねてしまった己を誤魔化すように、相手の問いかけには短く答えた。その後の相手の言葉には、僅かに目を見開き、それから頷く。)だから言っただろうが(吐き捨てるように言うと、開いていた口をぎゅっと閉じた。頬を撫でられれば、「うわ?!」と、今朝と同じように驚きの声をあげて。)は、早く食うぞ(相手から視線を逸らして箸を取れば、そういえば、箸が一膳しかないことに気がついた。「ほら」卵焼きを一つ取ると、相手の口元に差し出して)
(/眠いようでしたら、どうぞ気にせず寝てくださいね!)
え、私ですか?(慌てるように繕う主にくすりと微笑みを向ければ、突然目の前に卵焼きをだされたことに驚き尋ねる。幼少期から執事の教養を教えられてきた自分にとってそういった行為は初めてであり不思議な気持ちにさせた。)ありがとうございます(少し照れ笑ったようにそう告げ、パクリと卵焼きを口に含むと柔らかな甘みと卵の味が口に広がる。ではお返しに私がと小さく呟けば箸を主の手から掬い取り、同じように卵焼きを一つ取り上げ、口元に寄せた)
(/眠くはないんですがほかのこともしながら覗いているので遅かったらごめんなさい^^;)
(相手が素直に受け取ったことに、満足したように微笑む。が、次には、己がしたのと同じことを相手にされ、どうすればいいのか、わずかに戸惑った。数秒、差し出された卵焼きを見つめてから、意を決したように目を固く閉じて、口で受けた。)美味い(先ほども食べたはずなのに、その時とはまた違う味がするな、などと考えて。そして、そうされることを気に入ったのか、今度は自ら口を開け、相手の行動を促した。)
(/いえいえ、お気になさらず。 此方も、本を読みながら、のんびりやらせていただいてます!)
よかったです(まるで雛鳥のように口を開け促す主が可愛く思えてしまい、くつりと喉の奥で笑う。今朝感じたようなこのお方に触れてしまいたいという感情がゾクゾクと背筋を這い上がってくるのを感じながらもそれとはまた別に、もっと心を開いてほしいという庇護欲にも父性にも似た感情もあることに気づきつつ、可愛らしい口を開けて待つ主におかずを差し出してゆく。)次は何がいいですか?(重箱の中を眺めながら微笑み、問いかける。)
(/ありがとうございます^^私も優弥様とお話しするの楽しいので!!)
んー……(与えられたおかずを咀嚼しながら、どれにしようか、と、相手と同じように重箱を眺めた。そこで、己ばかりが食べていることに気がつき、口に含んでいる物をごくんと飲み込むと、相手から箸を取った。)忘れてた(しれっとそう言うと、今度は相手におかずを食べさせていく。)明日から、ちゃんと二膳入れとくんだぞ(言ってから、明日もこうして昼休みを過ごすことが当たり前だと考えている自分に気がついた。しかし、言ってしまったことは撤回できまい。気まずそうにしながら、「いいな」と念を押した。)
(/なんと有難いお言葉……! お相手が庵さんで、本当によかったです。これからも、どうぞよろしくお願いしますね^^)
…承知いたしました(ごくんとおかずを飲み込んだ主を見つめていれば、今度は箸を取られおかずを差し出される。されるがままにそれをぱくぱくと咀嚼する。すると主の明日は箸を二膳入れてこいと告げる声につい悪戯心が働き明日も一膳にしてしまおうかという気持ちが生まれる。それに気づかれぬようまたくすりと微笑み、紅茶のお代わりを差し出した。こうして主がさも当たり前のように明日も食事を共にすることを許可していだだいていることに喜びを覚える。)
(いえいえそんな、勿体無いお言葉です…こちらこそよろしくお願いします!
ありがとう(差し出された紅茶を受け取ると、先ほどのようなことにならないよう、息を吹きかけて冷ました。そしてそれを口に含めば、すっきりとした味わいが広がって。重箱を見れば、もうおかずは残っていなかった。あんなにたくさんあったのに、二人で食べれば、いとも簡単になくなってしまうものだな、と感心さえした。普段、一人の食卓では、残ってしまうのが常だった。それに、今日のように、食事を素直に美味しいと感じたこともなかったように思う。)お前さ、家でも一緒に食えよ(名案だ、と言うように瞳を輝かせて。)
(/えーっと、この後どうしましょう? 放課後、自宅まで飛びますか?)
(紅茶を口に含みなにか考えに耽っていたようだった主が発した一言にひどく驚かされた。)ご自宅もですか…?ですが使用人が主人のテーブルになんて…(ダメですそう言おうとしたが主のキラキラとした視線に、どうも言い出せなくなってしまった。あぁ、本当にこのお方は私を絆されるのがお上手だと頭の片隅で思いながらも「そうですね、それで優弥が寂しくないのであれば」と悪戯っ子のような笑みで返した。)
(どうしましょうか?自分も考えてなかったので案があったらそれに従います^^)
(相手の言葉は、確かに肯定の意味だった。が、その内容には、不愉快そうに眉をひそめる。)別に、寂しいわけじゃねぇ……(食事が残るのが勿体無いだけだ、と付け足し、口を尖らせた。更に、相手の穏やかではない笑みを見れば、悔しそうに顔を背けて。こうも自分の心を見透かされるというのは、今までにないことだった。この男が来てから、己のペースを乱されているようで、思わず溜息が漏れた)
(/では、機を見て飛ばしますね!)
(どうも不機嫌そうな主にくすりと笑いつつ、テキパキと片付けを始める)そうですね、勿体無いですからね(と主の言葉を肯定しつつ重箱を片付け終わり「もう紅茶はよろしいですか?」とにこやかに尋ねる。バケットの中からマフィンを一つ取り出し、デザートにとハンカチをひきその上に乗せた。それは今日、たまたま時間があったため主の朝食を用意する際、厨房の者にキッチンを借り作ったものだったが、デザートどうされますか?と再び主に問いかけた。)
(はい、お願いします!)
お前、本当に用意がいいのな(ここまでされてしまうと、感心や驚嘆を通り越して、呆れさえ感じてしまう。取り出されたマフィンを見て、「じゃあ、もう一杯だけ」と紅茶の追加を頼んだ。それから、マフィンを手に取り、ほおばる。「美味ぇ」と呟けば、やはりこれも一人分しか用意されてないことに気がついて)
(/了解致しました!)
いえ、それは趣味で作ったようなものですから(今日厨房を借りたことを主に話しつつ、紅茶をゆっくりと注ぎいれる。美味いといわれたことが嬉しく「ありがとうございます」と微笑むが、なにやら主がキョロキョロしている様子。どうかされましたか?と尋ねてみる)
作った、お前が(相手の言葉に、目を瞬かせ、マフィンと相手の顔を交互に見て、「すげーな」と素直に感想を述べた。「弁当も分けたんだから、これも、な」相手の質問に、マフィンを差し出しながら答えた。「食べかけだけど」と付け足して、にっと笑った。同じ箸を使うのと、さして変わらないだろう、と。)
…ありがとうございます(主の行動に目を瞬かせ驚きながらもにっこりとほほ笑み差し出されたマフィンを受け取る。主が食べるのを見守っていれば「口についてますよ?」そう言いながら主の口のほとりについた欠片を指先で取り、口に含む。)
ん、……な?!(相手の礼に頷いた後、突然のことに、避けることもできなかった。顔を赤くして、口をぱくぱくと開閉させながら、信じられないというように相手を見つめた。)お、お前、何も、食うことないだろうが(ドラマの見過ぎだ、と声を荒らげて。つい、相手の口元に視線が行ってしまうのを止めようと、ぐっと地面を見つめてマフィンを食べ続けた。)
ドラマですか…見たことないのですが…(大げさな反応をする主にくすりと微笑むが、そのあとの言葉に申し訳なさそうに答える。下を向き黙々と食べる主を不思議そうに見つめながらも自分は食べ終わり、ほかの物も片付け始める)
素なのか……(ぼそり、と極小さな声で呟けば、よけいタチが悪いな、などと思い。己も最後の一口を飲み込み、立ち上がった。「じゃあ、戻るか」と相手に声をかけ、あまりに多すぎる荷物を、一つだけ持ってやる。空になったから軽く感じるが、中身の入ったこれらを持ってくるのは、大変な労力だっただろう、と思い、しかしそんな苦労など何も感じさせない相手をちらりと見て、苦笑を漏らした。)
◇
疲れた。(家へ帰ると、着替えることもせず、早々にソファへ座り込んだ。いつも、外では気を張っている分、家に帰ってくると、その緊張の糸が解けた反動が大きかった。かけていた眼鏡を外すと、テーブルに置き、そのまま横になってしまう。)
(/無理やり飛ばしました!w そして、そろそろ眠たいのでお先に失礼いたします…! また明日(今日)もよろしくお願いしますね^^ それでは…!)
ただ今戻りました。(家に帰りほかの使用人たちに声をかけ、自室に戻り執事服に着替える。やはりこれが一番落ち着くのだなと思いながらも主の待つ部屋へと向かった。)優弥様、制服をお脱ぎになられませんと…しわになってしまいますよ(失礼しますと一言かけたが返答がなかったため、ゆっくりと扉を開け中に足を踏み入れる。すると制服のままソファに横になる主を見つけ、近くによりしゃがみ込むと大きくない程度の声で着替えを促しながらトントンと肩を叩いた。)
(いえいえありがとうございます!明日もというか今日ですがよろしくおねがいします^^)
ん、おかえり……(眠気のせいか、相手の顔が近くにあるにも関わらず、そのことにはさして驚かず、うとうとと緩い瞬きをしながら、見当違いのことを言って。それから、ワンテンポ遅れて、「後ですぐ着替えるから」と言いつつ、いつ眠り込むとも分からない様子。普段から、制服にしわが寄ろうと、それをどうにかするのは家政婦であって、己には関係ない。と考えているので、こんな風に注意されるのは初めてだ。なんだか新鮮だな、と、目を瞑りながら微笑んだ。)
(/おはようございます! 次は、15時以降お返事できるかと思います。完全にキャラと昼夜逆転ですね…w)
…かしこまりました(苦笑いしながら溜息を一つつき、そのままポンポンと寝かせるように撫で。ちらりと主の顔を見て立ち上がり、風邪をひかないようにタオルケットをそっとかける。)最初はあんなに警戒してらっしゃいましたのに…(聞こえるか聞こえないか程の声で初日のことを思い出しながら微笑む。主の柔らかな黒髪にサラリと触れ、おやすみなさいませと耳元で小さく囁いた。)
(おはようございます!ほんとにキャラと昼夜逆転ですねw15時ですね、了解しましたー)
ありがとう(タオルケットを掛けられれば、礼を言って、そこに顔を埋めた。その後の相手の言葉は聞こえず、いよいよ眠りに入ってしまうかと思った直前、うっすらと目を開く。)お前は、この後どうするんだ(己の専属執事である相手は、己が居なければどうするのだろう、と。他にも仕事はあるだろうが、自分には、相手が己のそばに居るシーンしか想像できなくて。)
(/キャラの時間帯に追いついてきました!w)
…お食事のご用意を、それまではお傍におります(眠気眼で己に問うてくる主に優しく微笑みながら傍に居ることを告げる。)お疲れなのでしょう…?さぁ少しでもお眠りになってください…(小さく語りかけるような声で囁きながら、寝かしつけるようにさらさらと頭を撫でる。)
(ですね、なんかご飯ばっか食べてるようなw)
そうか(相手の言葉を聞くと、安心したように、再び目を閉じた。己の頭を撫でるのとは逆の相手の手を、ぎゅ、と握り締めて。こんなことをするなんて、どうやら随分疲れているな、自分は、と頭の中で自嘲した。この男は、己と同い年のはずなのに、どうしてこんなに余裕があるのか。ぐるぐると思いを巡らせるうち、プツリと意識が途絶えた。)
(/ハッ……。そ、育ち盛りだから……!さて、寝てしまいました…。そして、優也くん随分弱気です。起きたら覚醒させます。えっと、この後、何か希望等ありますか!ご飯食べますか…w)
あまり油断されていますと…痛い目見ますよ(主が眠りについたのを確認し、ゆっくりと手を離す。起きないよう注意を払いながら、仕事の時とは違う低い素の自分の声で小さく告げこめかみにそっと唇を落とし立ち上がる。)では、おやすみなさいませ(扉を開け出る瞬間主を見遣りながらくすりと微笑み廊下の奥へと姿を消す。)
(/ど、どうしましょうか!ご飯でもいいですし、就寝してもいいですし!育ち盛りですからねw)
……ん(ゆっくり目を開くと、窓の外はすっかり暗くなっていた。随分長いこと眠ってしまったのだろうか、と時計を見るが、さほど時間は経っていないようだった。机の上に置いていた眼鏡をかけ直すと、大きく一度、伸びをして。それから、眠る前のことをぼんやりと思い出し、己の醜態を恥じて、頭を抱えた。数秒、そうして心を落ち着かせると、立ち上がり、制服を脱いだ。多少、シワが寄ってしまっているが、明日までに誰かが直しておいてくれるだろう、と。いつものように、白いシャツにジーンズを履くと、厨房へ向かい。予想通り、己の専属執事は、夕食の支度をしていた。)おい、何を作っているんだ(普段、自ら厨房へ入ることはしないのだが、同い年の相手が作るとなれば、興味の対象になり。尋ねると、シンクに寄りかかった。)
(/就寝となると、今度は優弥くん寝てばっかりに…!wじゃ、ご飯→お風呂→就寝と、まったり過ごしましょうか! 適当に飛ばしていきますね!)
お目覚めになられたんですね(執事服の上着を脱ぎ、エプロンをつけ厨房に立っていたところ現れた主に驚きつつ返す。シンクに寄り掛かりながら尋ねてくる主にくすりと微笑みを添えながら料理の説明をする)先ほど前菜とメインが出来上がりましたので、デザートをお作りしていたところです(そうだ、と何か思いついたように手を止め、味見されますか?と尋ね返す。)
(そ、そういえば優弥くんぐっすりw了解しました、お願いします!)
ああ(相手のエプロン姿を眺めながら、短く答えて。そういえば、この男が来てからは、こうして食事を作っていてくれたのだろうか、と考えた。その後の料理の説明を聞けば、満足げに頷いた。)ん、ああ。じゃあ少しだけ(不味かったら承知しないぞ、などと付け足して笑いながら、味見の小皿を受け取ろうと手を伸ばした。もちろん、それが不味いわけがないということは、己が一番よく知っているのだが。それを素直に言ってしまうのは柄ではない、とひねた言い方をした。)
(/がんばります!)
お口に合うといいのですが(言葉の裏に気づきつつも本音を伝えれない主に苦笑いをしながら、小皿を手渡す。ちらりと主を見つめ反応を伺いつつ、料理に戻る。)もうすぐ出来上がりますので、テーブルでお待ちいただいてもよろしいですよ、何かお飲物でもお持ちいたしますか?(それにここは汚れていますからと苦笑を付け足し皿に盛りつけを始める。)
ん、美味い(呟くようにそう言うと、唇をひと舐めして、小皿を置いた。これだけの物が作れるのなら、名のあるレストランで働くことさえできるのではないか、と、料理をしている相手の姿を見つめる。それから、相手の言葉に、はっとして視線を逸らした。)ああ、そうする(己がここに居ても邪魔だろう、と、素直に厨房を出ていこうと。汚れている、と言われれば、ぐるりと中を見回した。そこは、むしろ細部まで掃除が行き届いているように見える。これだけの料理をしているのに、使った道具などが散らばっていないというのも、手際の良さなのだろう。「綺麗だと思うけど」素っ気なく付け足せば、パタン、と扉を閉めた。)
ありがとうございます(主の出て行った扉に人知れずそう呟き、準備を進める。学校ではあんなに他人と壁のある主が、こんなにも素直に自分に接してくれるなんて…と嬉しく思うと自然と笑みが浮かぶ。厨房で一人にやにやしてる自分の君の悪さに気づきながらも戻らない顔を隠すように手で覆い、はやく戻れと心の中で呟いた)
腹減ったな……(先ほど、味見をしたせいだろうか。少し腹に入れてしまうと、それまで気がつかなかった空腹が、一気に感じられるようになった。十人は座れるのではないかというくらいのテーブルに、一人で座れば、頬杖を突きながら、食事がくるのを待つ。いつもはここに一人だが、今日は庵が一緒に食べると約束をしたな、と昼間のことを思い出し、僅かに笑みを浮かべた。)
優弥様、お食事ができましたよ(リビングの扉をノックし、食事の乗ったカートを運び入れる。主の前に前菜を並べ、グラスにレモン水を注ぐ。)なにか楽しいことでもございましたか?(席につき微笑む主を不思議そうに見やりながら準備を進めてゆく)
ああ(部屋に入ってきた相手を見て、姿勢を正すと、注がれるレモン水を見つめて。その後の言葉には、はてと首を傾げた。笑みを浮かべていたのはほとんど無自覚で、相手がなぜそんなことを尋ねてきたのか、分からずにいた。)楽しいことは、別に無ぇけど……(うーん、と思いめぐらせ、そういえば直前に己が考えていたことに行きあたった。)お前、一緒に食べるだろ?(己の前に並べられた前菜を見て、相手の分が用意されていないことに気がついて。忘れてやいないだろうか、と、ほんの僅か不安そうに尋ねた。)
え?あぁ…(どうやら昼食時に交わした約束を忘れていないか、と不安そうな主に言葉を濁す。確かにカートの二段目には自分分の夕食も持ち寄っていたのだが、主は本当に一緒に食べる気なのだろうか、と不安になったのだ。)本当に、ご一緒してもよろしいのですか…?(主の夕食の準備も終え、少し不安そうに眉を寄せながら口に指を寄せ聞き返えす。本当であれば使えるべき主人と使えるべき執事が食事を共にすべきではないのは分かっていながらも、主と食事をする楽しさを忘れられないのも事実であった。)
お前なー(不安そうな相手に、呆れたように大きく溜息を吐く。どうしてこの男は、自分自身が関わることに、こんなにも弱気になるのだろうか。執事だからだろうか、とも考えたが、これまで、使いにこんなことを言ったことはなかったので、その感情は、いまいち分からず。)俺が、一緒に食えって言ってんの。命令だよ、めいれー(こう言えば、相手も従いやすいだろうか、と、言葉は悪いがそう言って。)
命令でございますか…かしこまりました(命令、そう言った主の優しさに気づきながらもそれに甘え、承諾する。カートの2段目から自分の夕餉を取り出すと主の隣に並べ、さっと準備を終える。)どうぞ…お召し上がりください(彼が食事する姿を横目で盗み見ながら考える。ここ数日、主の食事姿を何度も見てきたが料理が得意としてもやはり最初の一口は心配になるのだ。)
ん、ああ(相手に促され、いただきます、と言えば、ナイフとフォークを器用に使って料理を食べていく。やはり、美味しいな、と頷けば、相手の顔を見てそれを伝えた。しかし、こういったコース形式だと、相手は準備と食事を兼ねなければいけないのだな、と、食べ進めながら考えた。しばし悩んでから、あ、と声を漏らす。)お前、和食とかも作れるのか?(期待するような目でそう尋ねれば、首を傾げた。)
(どうやら何の問題もなく食べ進める主にほっと安心の息を付きながら自分も食べ進める。時折食事の進み具合を見ながら前菜、スープ、メインと出していき飲み物を給仕する。ちらりと主を確認しているとあ、と声を漏らしどうしたのだろうかと見つめていたが次に主から発せられた質問に返す。)え?…はい、フレンチはもちろん、和食、中華にイタリアンそれからドイツ料理なども可能です(自分の料理のレパートリーをすらすらと述べながら、何か気に入らないものでもございましたか?と問い返す。)
(出てくる料理のすべてがきれいに盛り付けられており、そのどれもが美味しくて。相手の料理の腕に驚いていれば、その後の答えには、目を見開かざるを得なかった。)ドイツ料理……(予想外の言葉に、思わず、どんな教育を受けてきたのかと問いたくなったが、ぐっと言葉を飲み込んだ。)じゃあ、今度、肉じゃがとか作ってくれよ(幼い頃から、家では一流の食事を与えられてきたが、それは“普通”とは言い難いものだと自負していた。以前、何かの雑誌で、家庭の味といえば肉じゃが、というような記事を読んだことがあった。小学校の給食で食べたことはあったが、この男が作れば、数倍美味しい物になるに違いない、と考えた。)それに、フルコースだと、準備もあるから大変だし(今回の食事も、やはり慌ただしい物だった。一緒につまめる物であれば、それも解消できるだろう、と。)
肉じゃがですか…かしこまりました(主人の突然の提案に驚きつつも、明日の献立を考える。じゃがいもと人参はあったな、玉ねぎが少なかったが明日仕入れの業者が入るはずだから行けるだろう…確か冷蔵庫に和牛が残っていたはずだからそれを使えばいいか…?野菜の彩も…とどんどん考えが浮かんでいく。)和食は割と得意なんです、母にみっちり教わりましたから(毎日いろんなことを教わったが、和食とフレンチは特に厳しかった。いつも将来みる主人のためだと、父も母も口癖のように言ったものだったのを思い出し、苦笑いを浮かべながらそう伝える。)
うん、頼んだ(そう言うと、相手の顔をぼんやり眺めた。調理のことを考えているのだろうか、真剣な眼差しは、いつも優しく微笑んでいる表情とは違い、新鮮だった。)母……(後の相手の言葉には、僅かに視線を揺らがせた。父も母も健在だが、二人共、毎日忙しなく働いているために、その姿はあまり印象に残っていない。相手が教育としてそれを教わったのだとしても、己にはとても羨ましい響きだった。自分の母は、どんな顔をしていただろうか、と考えながら、グラスの水を口に含んだ。)
…差し出がましいことを、申しました(ふと顔を上げ見つめた彼の瞳の僅かな揺れに気づき、顔を引き締め詫びを入れる。視線を揺らがせる彼の横顔に、自分を雇い入れた彼の父親のことを僅かに思い出した。彼の不器用な為人に、彼の両親がどう関わっているのか自分には知る由もなかったが、彼に仕えることで少しでも彼を支えることができればと強く思った。)明日の肉じゃが、頑張りますので…楽しみにしてらしてください(このお方のためにと強い思いをもって彼に微笑み、そう告げた。)
いや、お前が気にすることじゃねぇよ(そう言って弱々しく笑めば、立ち上がり、相手の頭にぽんと手を載せた。普段は、こうして見下ろすことがないので、なんだか不思議な感じがする。触れた髪は柔らかく、そのままひと撫でして手を離した。)ああ、頼む(後の言葉に答えると、「風呂に入る」と告げて、リビングを立ち去った。)
・・・っ(突然主に撫でられ、頭に乗る暖かい手の感触になんともいえないくすぐったさと同時に照れを覚える。高校生の平均的な身長に比べれば断然高い部類に入る自分が、まさか頭を撫でられるとは思っても見なかった。)はい、ではお着替えをお持ちいたします(風呂に入ると告げた主の背中にそう伝えかけ、食器を片付ける。主の部屋に立ち寄り着替えとタオルを持ち寄り脱衣所の扉をノックする。)
ん?(シャワーを浴びていると、微かに戸を叩く音が聞こえた。そういえば、着替えを持ってくるという執事の言葉を思い出し、ノズルを閉めると、シャワールームの扉を開ける。さすがにこのまま出て行くのははばかられるな、と考えた。「庵か?中に置いといてくれ」十中八九そうだろう、と、名前を確かめる意味もなくそう続けると、再びシャワールームの中へ入った。いちいちノックをしてくるなんて、律儀というか、真面目というか……。湯に浸かりながら、小さく笑う。)
(主の了解を得て脱衣所にタオルと着替えを置き退出する。それから自分がすべき仕事を思い浮かべながら廊下を進む。)まずは、ベットルームですね(誰もいない主の部屋にコンコンとノックをしたのち失礼しますと述べ入室する。ベットメイクをした後しわになっていた制服を回収したかわりにパリッと糊のきいたYシャツと綺麗にクリーニングされた制服をかけておくのだ、これで明日もしっかりと制服を着込んだ背筋の良い主の姿を拝見することができる。)そろそろお上がりになる時間だな…(家具を気づ付けたり仕事の邪魔になることから懐に入れている時計を取り出し見遣ると、制服を片手に主の部屋から退出した。)
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