月、夕凪、

おーい月
屋敷来いよ
リイアがお呼びだぜ
シシシ

月、ｾﾚｰﾈ、お前に言いたい事は一つだけ
私の目の前から消えてくれ

…分かった。
虫が目の前を飛び回っていたらうざいもんね。

もう夕凪の言葉に言い返すことはないよ
全部正論だから。
返すのは言い訳か嘘になってしまう。

桜を見習わないとね。
理由はどうであれ約束はきちんと守ってる。

今までごめんなさい、そしてありがとう。
どちらも言うなって言われてたけど、馬鹿な私の頭ではその言葉しかでないの。
ｽｸｱｰﾛとﾎﾞｽと皆にも言わないといけないんだけど
屋敷に言ってそんなこといったらまた迷惑にしかならないから止めておく。

構ってくれる相手が出来たから消えるわけか？
なら二度と屋敷に戻って来るな

隊長とﾎﾞｽに何も言わないのは迷惑とかじゃなく自分を否定されるのが怖いだけだろ？
結局お前は自分しか考えないんだよ

自分を否定しない聞き上手な同性なら誰でも良かったんだろ？
その言動では否定は出来ないだろ


お前から貰ったこの怒りは何処に矛先を向けるべきだろうな…

夕ちゃん、そこまでで終わりにして

私がそう言ったからいいの
夕ちゃんが怒りたくなる気持ちもわかるけど、これ以上話をしても結果は見えてるから…

言いたいこと沢山あるのはわかるし解決しないまま出ていかれるのもイラつくだろうけど…
この件はこれでおしまいにしよう

…ダメかな？

桜が言ってたことが分かったよ

ﾘｲｱは好きなようにすればいい
隊長やﾎﾞｽもきっとそう言う
ﾘｲｱが無理をしなければ私は反対しない

でもね月は出て行く旅にﾄﾞﾛﾄﾞﾛしたものを残していくの
絡みついて纏わりついて許すことも出来ず殺ることも出来ない

月は幸せになればいい
居場所を見つけて楽になればいい

だったら私は桜の言う通りの道しか進めないだろうな
ﾎﾞｽにはいざという時は私を殺ってくれと伝えてある

もういい
本当に月には疲れた

ﾘｲｱとも話さないよ
後ろに月がいるなら尚更ね
ﾊﾞｲﾊﾞｲ

そうだよ、その通り。

ただ誰でも良かったってところだけは反論したいけど
今は何を言っても説得力がないよね…。

私とここで言い合って
その怒りが収まるのならいくらでもするんだけど
それは違うよね。
むしろ怒りをどんどんと増やしてしまう…。

ともかく、これで私と夕凪が言い争う理由はなくなった。
いや、言い争うっていうのはおかしいね。
夕凪は優しさで私は我儘なんだから、夕凪が話を聞いてくれる理由はなくなった。
って言う方が正しいかな。

もういいんだよ。
夕凪が思っていることはほとんど合ってるし
それに反論する気もない。

なら
ﾘｲｱの前からも消えろ
私にとって仲間は自分と等しい大切な存在だ

隊長とﾎﾞｽを苦しめ私を苛つかせ、他の当時の皆にも嫌な思いを残しておいて
ﾘｲｱまで苦しめんな

私たちとは関わるな
消えろ

ﾘｲｱも月も勘違いしていないか？

私が止めてとお願いしたとき月は止めたか？
ﾎﾞｽが少しは退いた方がいいと月に言ったとき退いたか？
隊長が許したとき月は裏切りで返しただろ？

だったら私も月と同じ事をしてやるよ
お前がみんなにしたことを私がみんなにしてやる

自分に執着する一人の女のせいで大好きな仲間が苦しめられる様を見る事がどんなに辛かったか
のこのこ戻ってきて一人聞き上手をさらって行くような月に分かるはずも無いけどね

…夕ちゃんが月さんにいう言葉は正しい、けど自分がとるべき行動は違うんじゃないかな？
なんで消えるの？もう、嫌だから？疲れたから？
消えちゃいけない、辛くて苦しいと思うけどボスも隊長も他の皆もいるんだからもう少し甘えてもいいと思うよ

私も王子さんも…一周年を祝うのを楽しみにしてるんだ
皆で祝いたいの、そしてこれからも楽しい思い出を作ってよ
だから、消えないで

あとね、私は苦しくなんかないよ。大丈夫。
私、見捨てれないんだ。
仲間を傷つけた人だけど月さんも人だから…

長く話してごめんね
それじゃあ、バイバイ…

この一年…

ずっと亡霊みたいに私の中から月は消えなかった
今もだ

勝手に出て行った後も近くにいる気配に私は私でいられなかった
隊長やﾎﾞｽに何を言われても月の亡霊が付きまとった

出てきたと思えば月は変わっていなかった
自分さえよければ後先考えずに言葉を発し動くようなやつだった

あの晩
隊長とﾎﾞｽは月も桜も殺るつもりだったかもしれない
でもしなかった
隊長の理由は明確ではないがﾎﾞｽは月を殺せば私が苦しむからだと言った

甘える？
月は甘え上手だね
悪いが私は甘え方を知らない

頼ってと言われたところで今の私の隣に寄り添ってくれるのはﾎﾞｽだけだ

もう他のやつはどうでもいい
とにかく月は消えてくれ
付きまとうな消えろ

桜が言ってたんだ
今月中には仲間に裏切られて壊れるって
その通りになりそうだよ

悪いけどﾎﾞｽを殺って私も消えようと思う

月が幸せならﾘｲｱも幸せだろ
隊長にだってｱﾙﾄたちがついてるから問題ない

一年たっても私の中から消えてくれないなら
私が消えるしかない

さようなら

月は約束を破るよ..
消えていないし..

月は夕凪をまだ苦しめてる..
ｽｸｱｰﾛ隊長とﾎﾞｽは殺したがってるし呆れてる..
ﾘｲｱのことも悩ませてる..
ﾌﾗﾝは同情してたけど、ﾍﾞﾙﾌｪｺﾞｰﾙとﾏｰﾓﾝは貴女の出方を窺っている..

月という一人の存在で全体が振り回されてる..
貴女はどう思っているの..？

..というのは表面上
この後起こることは月の身勝手な選択によって招かれる..
私は楽しみ..

月ありがとう..
貴女のお陰で愉快で仕方ない..

そうだね…。
夕凪には悪いけど私は消えない…。

でも、これからどうするかは決めた。

私はﾘｲｱにお世話になるよ。
例えそれでﾘｲｱが苦しむことになったとしても…。
その代わりﾘｲｱとの約束は必ず守る。

ふざけるなって思われるだろうし
ｸﾛｰﾑの言う通り身勝手な選択だけど
もう決めたから。

本当にﾘｲｱ以外から消えるなら私の声も聞き流すはず..
でも今の貴女はﾘｲｱがいないから暇を持て余してる..
だから私の声に返事をした..
貴女は誰でもいいのよ..
自分を構ってくれるなら..

暇を持て余しているのは事実だけど
構ってくれれば誰でもいいなんて思ってない。

嘘をつきまくっている罪人の言葉を信じてくれるかは
分からないし、別に信じてくれなくてもいい。

なら聞くけど何故ﾘｲｱに着いて行ったの？

私と一緒に貴女は消えたはず..
何故また現れたの？
みんなに会いたいなら何故屋敷に行かないの？
矛盾ばかり..

みんなを苦しめて楽しい？
自分が幸せならそれでいい？

屋敷には行ったけど結果が散々だったでしょ?
これ以上私が屋敷に行って何か進展することはないよ…。

だいたい想像はしていたけれど
心の何処かではまだ淡い期待を持っていたからこそまた現れた…
でも私は屋敷に戻ってはいけないってことがようやく良くわかった。

屋敷には戻ってはいけないって事実と消えたくないって感情があって
結局ﾘｲｱの優しさに甘えた…。

例えﾘｲｱが屋敷の皆の為に邪魔な私を引き剥がそうと考えてしたことだったとしても
それでも私はもの凄く嬉しかった。
なくなってしまった、自ら消してしまった居場所をまた作ってくれたから。

皆を苦しめて楽しいわけないけど
自分が幸せならそれでいいってことは完全に否定できないかもしれないね…。

屋敷来たら？

嫌。
ﾘｲｱとの約束は守るって決めたの。

貴女は誰との約束も破る