主。 2013-07-28 11:48:48 |
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おう。…いッて!だってお前、考えてみろよ。こんなに広い家だぜ?一人で住むのは勿体ねーし、息がつまんだろ。あの頃と比べるとお前よく笑うようになったし。それに二人で住めば家賃も家事も半分………になってねーか。
(相手の部屋で寝ると決まれば嬉しそうに笑みながら返事をし、懐かしそうに語り出す相手に頬をつねられ小さく声をあげ。流石にあれは図々しかったかと今となっては思う、しかし表面は反省してないかのようなへらへらした笑みを浮かべながら結果的に良かっただろ、と巧く丸め込むような言い方をし。とはいえ家事に関しては相手に世話になりっぱなしなのが現状で苦笑いしか溢れず、ちらりと相手の様子を窺うように盗み見て。相手の髪を乾かし終えると、手櫛で簡単に整えつつ「まぁ女ってのは噂話やら他人評価やら好きだからなー…。わざわざ本人に言わなくても、同意さえ貰えりゃそれで満足しちゃうんじゃないの」等と半分呆れたように笑みながらごく自然に口にするも、内心は可能な限り相手と女子との接触を避けたいと割と本気で思う自分がいて。そんな感情を払うように「よし、だいぶ乾いた」もういいぞと相手の肩をぽんと叩き。髪に関しての感想に己の前髪を見るように指で摘まみながら「あーまじ?お前がそう言うならこのままでいくわ」と満更でもなさそうにへらりと笑って)
ちゃんと寒くない格好でな。…えー、まー…そりゃな?…俺だってお前が居る事に慣れれば笑うし。ふは、わかってるならお前も家事をしろよ?(嬉しそうな声音に此方も緩々と頬に締まりがなくなっていくのを感じていたも相手から痛い、と声が上がればぱ、と手を離しては言葉にこそ出さないものの申し訳なさげに少し眉下げて。へらへらとした笑みで述べられる言葉には確かに思い当たる節が幾つかあり歯切れ悪い乍らも何とか言葉を返しつつも視線はふい、と逸らし。盗み見る様に、伺う様に視線投げられれば其の視線受け止め、軽く吹き出しつつもくしゃ、と髪を指で梳く様に撫でてやれば悪戯な笑みで相手に元々の約束事を今一度言ってみて。手櫛で髪を梳く感触は珍しいものではあるが心地良いのか目を細めつつ、「まぁ確かに女の子はおしゃべりだもんな。…俺は直接聞きたい」相手から紡がれる言葉に一つ頷き納得した様な表情浮かべたも、相手の言葉から不意に頭の中を過ったのは相手と女が楽しそうに会話する姿に思わず何時もより早口に告げて。肩越しに相手見れば「…お前も乾かしてやろーか?」先に出た為其れなりに乾き切っているがそんな風に問い掛ければ椅子から立ち上がって首傾げ問い掛け。「髪、染めてんのかっこいい」己が真っ黒で染めた事が無いからか、多少の憧れを感じるらしく相手の髪を一房手に取ればまじまじと見つめてみて。
ガキかよ俺は。寒けりゃお前抱き枕にすっからいーし。家事はまぁ…お前にどうしてもって頼まれりゃやってやるよ。
(小さな子供にでもかけるような言葉に苦笑し突っ込むと、悪戯な笑みを浮かべて『抱き枕に』などとさらりと述べながらゆるり首を傾げてみて。くしゃりと髪を撫でられればドキリとし照れ臭げに一度は視線を逸らすも、相手に頼りにされたら断れない事がわかっている為、視線戻すとふてぶてしい笑みで上からな物言いを。普段進んで異性の話などしない相手が何故か今日は直接聞きたいと妙に拘りを見せて来る。内心面白くないが敢えてニヤニヤとからかうような笑みを浮かべれば「…なに、そんな気になんの?お前を誉めてた奴らの事」面白がっている風を装いながら探りを入れてみて。髪を乾かす事を申し出る相手、気持ちは嬉しいものの実質既に殆ど乾いてしまっている。普段ならば大丈夫だと軽く断っていただろうが、心の何処かで彼との接触を望んでしまっている己に気付き、一瞬返事に迷い。口を開き掛けた時、伸びてきた手に髪を掴まれ縮まる距離に心臓が高鳴り始めてしまい。これ以上の反応を阻止すべく然り気無く相手の手を掴み外させると、「髪はいーわ、もう乾いてるだろ?サンキュな。それよりほら、湯冷めしねーうち寝ようぜ。」取り繕うように両肩を掴むとくるりと方向転換させ、相手の自室へ移動しようと半ば無理矢理歩き出し)
抱き枕にされるぐらいなら俺がお前を抱き枕にする。…ふは、頼まれないとやってくんないの?(どきり、と一気に加速し始めた心音を誤魔化す様に返事返せばにぃ、と口角あげてみせ。ふてぶてしい笑みに上からな口調、其れなのに怒りより先に湧き上がる感情は相手らしい、なんてもの。とことん自分は相手に弱い事を確認してしまえば己に対する呆れから小さく笑い声漏らせば僅かに甘える様な声音で問い掛け。からかう笑みを横目に捉えれば一瞬少し前の自分に後悔の念が湧いてくるも今更嘘です、とも言えないし何より相手が女と話すなら己が、と思ったのも事実、「…そりゃ多少は気になるだろ。そんぐらい別に普通だろ?」嘘でも本当でもないが当たり障りない返事返せば首傾け問うて。相手の髪の感触を楽しんでいれば外された己の手、髪を触られるのが苦手なのだろうか。そんな風に思考巡れば大人しく其の侭に手を下ろし。「なら、また機会があればしてやるな。ん、布団運ぶの手伝うぞ?」肩に乗った手に少々無理矢理な行動、しかし其れを気にする程柔な神経でもない上相手が相手と言う事もあり頷けば其の侭自室へと足を運びそうになるも相手が己の部屋で寝る、と言っていたのを思い出せば首だけで振り返って。
そこ対抗すっとこじゃなくね?…っ、頼まれた方がやる気が出んの、俺は。
(抱き枕云々について負けじと主張してくる相手に軽く吹き出すも、僅かながらも甘えるような声音には言うまでもなくドキリとし、一瞬言葉に詰まり。実際相手に弱い自分、お願いという形で頼まれた方が断然やる気が出るのも事実。高鳴りを見せる胸にふいと視線を逸らしながら答えて。女子が自分を誉めていると分かれば大抵の男ならば気にならないわけがない。しかし相手は己のように軽々しく女性の話を口にするタイプではなく、その手の話は余り聞いた事がなかった事を思うと胸の辺りがもやもやとした感情が湧き。「ふーん…何だかんだでやっぱお前も男だな。結構可愛い子だったぜ?」しかしそんな感情を必死に誤魔化し、からかうような表情で普段通りの対応に努め。布団運びを手伝ってくれると振り向く相手に「おう、サンキュ」と笑み掛けるも、先程の件で未だ胸が落ち着かず普段より笑顔が何処かぎこちなくて。此処まで来て今日の自分はおかしいという事に気付かない筈もなく「先行ってるわ」相手の肩から手を外す際ぽん、と叩き軽く笑むと、先に階段を上っていき)
や、なんかさらっとそう云う事言うから…。ふは、わかった。なら今度から全部「お願い」って言えばいいんだな。(相手の言葉は尤もなのだが反論した理由としては軽い調子で人をときめかせる様な事ばかり言うのが悔しかったからで。それを曖昧なニュアンスで述べたも、言葉に詰まるの横目で捉えれば不思議そうに見つめていたも続いた言葉につい吹き出して。扱いやすい、単純、今の発言からその二つの単語を連想してしまえば当てはまる様で当てはまらない相手の性格と比較し緩々と口許綻ばせれば悪戯に微笑みかけ。からかうような表情は相変わらずで其の笑みから目を逸らし乍ら「そりゃ俺だって男だよ、見たまんま。可愛いのかー…」何だかんだ、と言われる程己は男っぽくないのだろうか。童顔の自覚はあるからか己の頬に手を当てれば首傾げたりしつつ、相手からの女の子の情報に適当な相槌返して。此処まで半ば無理矢理に押してきた癖に先に上がると云う相手、思わず小さく吹き出せば「俺ももうあがる」とすたすたと追い掛けて。
あ、お願いって言えば何でもかんでもやってもらえるとか思うなよー?そんなサービスすんのはお前が倒れた時とかやむを得ない時だけだかんな。
(先に階段を上り自室まで来ると、先ずはベッドの上に散乱した脱ぎっぱなしの服をその辺に放り。後から辿り着いた相手に気付けば先程の話の続きを持ち出し、お願いされたからといって全てやるわけではないと釘を刺して。しかし実際さっきのような甘えた声を出されたら簡単に落ちてしまいそうな気がする。俺もとことんこいつには弱いな、と何処か恨めしそうにこっそり見つめた後頭を掻くとベッドの上の布団を抱え、「はい、これ頼んだ」と気を取り直すような声を掛け、にっと笑みながらぼふっと相手に押し付けて)
お前…たためよ。ふは、まぁお前にはあんまり家事とかは期待してないけどな?でも、約束したからやってもらう。(少し遅れて相手の部屋に足を踏み入れたも乱雑に投げられる服を拾い集めては溜息交じりに簡単ではあるがたたんで邪魔にならないよう部屋の隅に積みつつ相手のそばに寄り。釘を刺された言葉だが特に相手に家事を強要するつもりは殆ど無いもやはり引っかかるのは最初にした約束事、食事や掃除、ゴミ捨てに洗い物まで全て当番制にしたにも関わらず殆ど己がやっていると云う現状。甘やかしてしまっている己も対外ひどい事に気がつけば一つ溜息零しては押し付けられた布団をしっかりと抱えては「任されましたー」とふざけたような声音で述べて。
どうせまた着るやつだしめんど――…、……お前、嫁に来る?
(洗濯物でもあるまいし、一々たたむという考えがなかったのか面倒臭げに反論した時、集めたそれらを然り気無くたたむ姿が目に入り、その瞬間やたらとときめいて。胸を高鳴らせながらつい真顔で馬鹿な事を口走ってしまい。「約束…、あー…ハイ確かにしましたよ。でもお前、俺がやると二度手間になるだのなんだの言うからさ」部屋に転がり込んだ際、此処に置いてもらう条件として確かに幾つか約束事があったと思い出せば苦笑を溢し、どうにも気まずそうな口調で認めて。しかし家事に関しては己の雑なやり方が気に入らなかったのか、相手にダメ出しをくらった記憶もしっかりとあり。拗ねたように言い訳を述べながら残りの敷布団やらを抱えると、相手の部屋に移動しようとして)
面倒でも皺が目立ったら恥ずかしいだろ?…はっ!?ば、ばぁか、お前がもう殆ど嫁に来てる状態だろ?(呆れたように言葉返していたも真顔で述べられた其れに一瞬にしてかぁと頬を染めれば抱える布団を握る手に力込め直ぐに顔を精一杯相手から背ければ混乱した頭の中で考えたのは仮に嫁など云うならば今の状況なら相手が我が家に嫁いできた状況だろう、なんて馬鹿な事を其の儘伝えれば相手の部屋から出て己の部屋に向かって。「確かに。あー、ほら、まぁ今のままでも充分かも」歯切れ悪くも返ってきた覚えているの言葉に何故か覚えてたのか、なんて僅かな驚きを感じたも続く言葉には納得しざるを得なくて。確かに細かい所でぶつかる事は多々あった事を思い出せば拗ねたような声音を背中で聞きつつ感じたのは一人でない事に対する幸せ、相手が居るだけでも充分なのかもしれない。そんな思考に小さく頬緩めつつ己の部屋の戸を器用に開けては中に入って。
俺、嫁って柄じゃねーだろ、家事とか何もしねーし。その点お前は一通り家事出来るし、しっかりしてるし、然り気無く気が利くしな。うん、出来た嫁だ。
(己の馬鹿な発言に直ぐに顔を逸らされてしまったものの、その直前確かに照れを見せたのをしっかり目撃してしまって。こうなるとすっかり調子に乗ってしまい、ニヤニヤ笑みが抑えきれなくなるもので。日頃から思う事を正直に、しかし何処かふざけた口調で返しながらウンウンと頷き。相手の拗ねたような声音がやはり可愛く感じてしまい、密かに頬を緩めながら布団を抱え相手に続いて部屋に入れば、持っていた敷布団をベッドの横に敷いて。ベッドと床とはいえ、こうして相手の部屋にいざ布団を敷くと何だか異様な緊張感と高揚感のようなものが沸き始め。そわそわしてしまっている事を誤魔化すように「なーんか新婚初夜っぽくね?」等と更に馬鹿な発言をしては、相手を横目に悪戯げに笑ってみせ)
あー…ならお前が旦那?旦那さんなんだからちゃんと稼げよ。じゃなくて…稼いでくれる?(もう相手の言葉に一々動揺するのはやめよう、と誓うもやはり嫁だとか言い乍らではあるが褒め言葉の様なものが続けばその照れ臭さに小さく笑ってしまい。しかし其のまま相手の方見つめつつ頭の中には一緒に暮らしている今、旦那は相手なのだろうな、なんて呑気な事が巡れば楽しげな笑みと共に前者述べたもつい先程、己の頼みごとに弱いと判明した為かわざわざお願いする形に言い直してはこんなので効果があるのだろうか、なんて僅かな不安に襲われつつ相手の顔覗き込んで。敷き終えれば満足気に一つ頷いたも相手の発言に思わず間抜けな面を浮かべて見つめ。「ば…かか、お前は。早く寝るぞ」うまく言葉が出てこずつっかえつつなんとか返事返せば相手に背を向けベットに潜り込めば平然とした表情浮かべていたのを一気に崩し赤い顔を隠す様に頭からすっぽりと布団被って。
あ、お前そーゆー言い方す…っ、……稼ぎます。…ってお前、これじゃ尻に敷かれてるみてぇじゃねーか。
(しっかり稼げ、その物言いは家族を思い懸命に働く立場であれば少なからずカチンと来るものだろう。そんな心境になったつもりで反抗しようとするも、お願いする形へと訂正しながら顔を覗き込まれた瞬間、きゅんと鳴る胸に言葉に詰まり、半分真顔で見つめながら二つ返事をしてしまい。そこで初めて我に返れば、己の単純極まりない言動に対する照れ隠しなのか、相手の額を軽くぺしりと叩き取り繕うように突っ込みを入れて。相手にここまで弱いのだから、まさにその通りになるのではないかと思うと決まり悪そうな苦笑いしか浮かばず。己のふざけた発言に呆れたのかさっさと布団に潜ってしまう相手に寂しさを感じるも、布団をすっぽりと頭まで被る様子は表情を隠しているようにも見えて。あんな馬鹿な発言を少しでも意識してくれたのだろうか、そう思うとニヤニヤ笑みを抑えるのは不可能に近く。そんな相手の反応に胸を高鳴らせつつベッドの端にぎしりと腰掛け、相手の両脇に手を付き上から見下ろす体勢を取れば「あれあれ京眞くーん、寝る前にスキンシップとか何もねぇの、寂しいんだけど」何処か楽し気な声音でじゃれるようにゆさゆさと相手の体を揺すって)
いて、まぁ頼りになる旦那様で安心だなー。…ふは、強ち間違ってないだろ?少なくとも俺にはそう見える(返ってきた返事に満足気に口元に笑み浮かべつつ数度頷いていれば軽く叩かれた額、不満気に唇小さく尖らしたのも束の間、直ぐに先程の真顔で返された返事思い出せば悪戯な笑み浮かべ。どうやら意識しているかしていないかは別として旦那、とか嫁、とかまるで家族ごっこでもしているかの様に交わされる会話が楽しい様で。隣で浮かぶ苦笑い横目にしつつも相手の懸念にあっさりと頷いてみせれば頭の中に浮かぶ己と居る時の相手は少なくとも己には相手が亭主関白になる様には思えず、頭の中で想像した似合わない亭主関白な姿に軽く吹き出し乍らも後者述べ。「…なんだよ、寝る前のスキンシップて…。お休みのチューでもしたらいいのかよ」ベットの端に腰を降ろしたのが振動で伝わってきては一瞬どきり、としたものの体を揺すられれば呆れた様な表情浮かべつつ布団から顔を覗かせれば片眉上げてそんな事問い掛けてみたりして。
ははっ、いいなそれ。新婚ぽくって。
(相手が顔を覗かせれば揺さぶるのをやめ、両手をベッドにつき直し、少し距離を詰めて。何やら可愛らしい相手の提案に笑みながら冗談半分に返すものの、先程から胸の高鳴りが収まらない。いつもどんな風に相手と接していたかさえ分からなくなる程緊張しているのが自分でもわかる。相手を見下ろす表情からはいつしか笑みが消えており、何処と無く緊張を含んだ真剣な顔つきで。「…なあ京眞…、マジでしていい…?」冗談とは取りにくい声音で、気付けばそんな事を口にしてしまっていて。ぎしり、とベッドを軋むませつつ相手の頬を片手で撫でるように触れれば、返事を受け取る前に、そのままゆっくりと距離を詰めていき。と、その時、不意に携帯の着信音が鳴り、びくりと動きを止めて。「…っ、お前…だよな。」焦ったように相手から退くと携帯を手にし、相手に手渡して。相手に背を向け気まずそうに頭を掻きながら相手の対応を待ち)
(ぎしり、何時も鳴っている筈の音だが相手が近寄る感覚と共に耳に届けば何故か其処からぞわぞわと何かが這い上がってくる感触に襲われ。此方を見つめる、何時になく真剣さと緊張を含ませた視線に目を逸らす事すら出来ずに固まれば息を止める様に相手見つめ。流される、一瞬頭の中にそんな事が巡ったと同時に頬に手が添えられ、更に近寄っていく距離のを感じるも抵抗なんてする気なんて全く起こらず反射の様に瞼をぎゅ、と閉じ。しかし其処で突如鳴り響いた携帯の音に相手と同じ様に体跳ねさせ。「っ、…あ、俺のだ」渡された携帯受け取りつつ一つ頷けばばくばくと煩い心臓を落ち着ける様に深呼吸した後ディスプレイに映る友人の名前確認し。大学から帰った後も一番に連絡をくれていた友人からの着信、きっと突然途切れたメールを心配してなのだろう。しかし友人には申し訳ないが今は人と落ち着いて話せる状態でない事は自分が一番わかってるらしく其の儘放置する事にしては「…びびった、お前、やっぱ綺麗な顔してんな」鳴り響く着信音の音量下げつつベットから体起こせば動揺を隠す様に小さく笑ってみせれば頭に浮かんだ事を其のまま述べてみて。
っ…、お前も逃げるなり何なりしろよ。
(背中越しに相手からの第一声が届けば再びビクッと肩を跳ねさせ。こんな時でさえ少々ずれた台詞を返してくるあたり相手らしいと言えば相手らしいが、己の言動を普段のように冗談にしてしまうにしても、激しく動揺中の今は巧く誤魔化せる自信がなく、抵抗を見せなかった相手を取り敢えず非難するような言葉を向け。尤も突然の事に吃驚し過ぎて身動きすら取れなかっただけかもしれなが。とにかくこの場をどうやり過ごすべきかと、今も落ち着かない鼓動に戸惑いながら、動揺と混乱でまともに機能しない頭で必死に考えようとした時、相手の携帯が小さく鳴り続けている事に気付き。彼が通話している間少しは平常心を取り戻せる、何かそれらしい言い訳だって思い付く、そんな根拠のない思いでも今は賭けるしかなく、少しだけ振り返ると「つーか、電話…?出なくていいのかよ」と、冷静になる時間欲しさに促して)
…うるせ、お前こそ俺がこういうのに耐性ないのわかってんだからやめろよ(逃げなかったのは確かな事実で。しかし其れを云うならばあんな真剣な表情で女にキスをするみたいに迫ってくる相手にも問題がある、と僅かに恨みがましい視線投げていたも相手のほうを見つめていれば頭の中に過る先程までの出来事。上手く目を合わす事を出来ず視線彷徨わせ。「…誰かさんのせいでばくばくしてんだよ」不意に問い掛けられた質問は何時もなら多少は誤魔化す事も出来たのかもしれないが頭の中にまで響くぐらい煩い心臓に見て見ぬ振りが出来る筈もなく素直にぽつりと零したもやはり電話を取らないのは失礼だと思い直したのか直ぐに携帯の通話ボタン押しては「もしもし…?おー、心配ありがと」などと一応相手を気遣ってか音量抑えつつ会話していたも其の内先程のまでの緊張も取れたのか電話越しに優しい言葉を掛けてくれる友人に小さく笑みを零して。
京眞、お前……
(ばくばくしているという事は、先程の己の行動を少なからず意識してくれたという事だろうか。彼の言葉に少し期待してしまえば、言うまでもなくドキドキと胸が高鳴りを見せ。体を捻って相手に振り返り、またも真顔で口を開きかけたその時、鳴りっぱなしだった携帯に相手にが出る事で開いた口を閉ざして。渋々体勢を元に戻し相手に背を向けるも、何となく会話の内容やその相手が気になってしまう。こんな時間に電話を掛けてくるくらいだ、相手とは親しいのだろう、そう思うと尚更で。少しだけ漏れる通話相手の声は聞いた事があるようなないような、特定するには難しいものの、内容から察するに夕食前に相手の体調を心配してメールを寄越してきた友人だろう。様子を窺うように顔をそちらに向けた時、電話越しの人物の為に零れた相手の柔らかな笑顔を視界に捕え、ズキッと胸が痛み。相手が必要以上に他人に興味を持つ事で何となく面白くないと思った事はあっても、今のような切ない胸の痛みを感じたのは初めてで、酷く戸惑いながら視線さ迷わせ。他の相手と楽しそうに話す相手を見ているのはどうにも落ち着かず、その場でじっと待つだけという行為が出来なくなり。その内ぎしりとベッドへ乗れば、相手の意識を此方に向けたいが故に背後からじゃれるよう抱き締め、耳を軽く噛んでやり)
_ん?…あ、いや、明日は行くから其処まで心配しないでい、んっ!…え、あ…ご、ごめん。今日は切るな、また明日(心配性の友人の言葉に小さく苦笑を浮かべ乍らも柔らかい声音で会話続けていたも、電話に出る直前に見えた何か言いかけた相手の事がどうしても気にかかるらしく視線は此方に向けられた背中に向けられていて。相手の影響で煩かった心臓も落ち着きを取り戻してきた訳だしそろそろ切ろうか、と会話を終わらせようとした所で先程も聞いたようなベットの軋む音。不審そうにそちらを振り返る前に背中から伝わる温もり、思わず電話をしているにも関わらず不思議そうな声あげたが、どうやら電話越しに漏れていたらしく聞き返されれば慌てて会話に集中し始めた途端、耳に走った刺激。びくり、と体を跳ねさせれば再び煩い心臓と噛まれた事を理解して顔に集まる熱で電話どころでは無くなってしまって。早口に捲し立てるよう電話の友人に一方的に別れ告げれば通話終了ボタンを押した後、後ろの相手の頭に手をなんとか伸ばさば「…いきなりどうした?」なんて先程までの焦りようとは一変、笑い含んだ声音で問うてみて。相手がこんな事をする理由は全く持って理解できていないが、どこか大型犬や小さな子供を連想させる己にじゃれつく姿が可愛らしく思えるのか相手の方に軽く凭れ掛かって。
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