RIRIN 2013-07-17 18:10:10 |
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私は奇病に身を犯され、ただ棺桶に入っている事しか出来なかった。
私は少しずつ記憶が無くなっていく。弟の顔も忘れてしまった。そのうち弟の存在まで…
私にはもう家族は居ない。次第に皮膚が黒ずんでいく、まるで黒死病のような奇病に犯され、もう誰も寄り付かない。
私は深夜遅く、枕の羽毛を散らした。どうせもう消えゆく命だ。もうどうにでも…
私は固い棺桶の中で黒ずんだ左手を見つめた。結婚指輪が輝く。恋人はもう…
何故私はここにいるのだろう…
真昼、私は久々に棺桶から出た。私の居ない空の棺桶は、ただの虚しい空間だった。
私 が 消え
恋人に会いたい。
あ
あのぬくもりにふれたい
いやだ
あの笑顔が見たい
やめろ
…今会いに行きます
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
…ある人が、同じ時刻、同じ場所で、同じ病で倒れた。
人は1人では無く2人だった。
お互いに全く干渉していなかった。
全く違う次元の、全く違う2人の人間だった。
おわり
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