榊 2013-07-04 19:42:18 |
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ボロボロの、築何年だと問いたくなるアパート、そこの一室に俺は住んで居る。
特に大した夢もなく、大学生になって何かやりたい事を探せばいいと思っていたけど、
まあ見事に見つからない。
なんていうか、無駄な時間過ごしてるよな…。
「…あ、つーい。」
今感じている事を適率直呟いて床に寝転び、
「……………。」
暫く考えた後、決意。
「コンビニ行こう。」
はぁ、と息を吐きジャージ姿のまま玄関に行く髪は多少ハネてたので鏡で手直し。
「…なんでもいいから、今が変わるような出会いないかね」
空虚に過ごすのも飽きてきて呟く。
(ま、今はとりあえずコンビニだ。
また後から考えよう。)
と、玄関を開けて出て行く…筈が、
「…開かない。」
グッグッ、と押してみるも開かない。
いくらボロくても玄関のドアだけはちゃんと開いてたのに、今日に限って開かない事はないだろう。
「…何か寄っかかってんな、多分。」
(大家が何か持ってきたとか、か?)
だったらこんなぴっちりドアに沿って置かずに間を開けてくれないと、と多少イラッとし
「…っん、よっ…!」
歯を食いしばり力任せにドアを押すとドアは少しずつ開いていった。
「っし、はた迷惑大家め。この調子で押せば…!」
うりゃ、と小さく掛け声し思いっきりドアを押したらドアが半開し、隙間から何かが倒れこんで来た。
「うわっ!な、んだコレ!」
ビクッと体を跳ねさせ驚きその物体を見ると
「………は?」
それはなんとビックリな事に、男の人でありました。
訳が分からない状況にある。
「………!?」
絶句しつつ考える。一応大家が何か置いた訳ではなかったようだ。
いくら不要になった物を置いて行く事はあっても、流石に人間は置いて行くまい。
「…え、生きてる…?」
心臓がバクバクいい出す。
暑さのせいも相成り、冷や汗がでる。
「………っ。」
倒れてから微動だにしないその男は生きているのかも分からない。
姿を見えているだけでいうと、服は黒いTシャツ一枚を上に着ており、下はなにやらジーパンという至極シンプルな格好。
髪は金髪であり、
「………。」
中々の美男子。多分顔から見て、年上か同年代だろう。
側におり、やはり目立つ美男子オーラ。
「…っ!じゃなくて、この状況をどう打開すれば!?」
少し見とれた事をはねのけるように半ば叫び口調で言い、わたわたと慌てながらとりあえず安否確認か、と思いつき
「…す、すいませーん…。」
手でゆさゆさと相手の肩を揺らす。
横向きに倒れているので一番簡単な方法だ。
「………コレ大丈夫じゃねぇな」
やはり微動だにしない相手を確認しふと、自分の今状況を懸念する。
(…もしコイツが何か犯罪とか侵してなんらかの組織から方法で殺されてたら…)
うおお、と唸り数歩後退り、
(も、もしくはどっかから逃げて来たどっかの重要機密人間サンプルとか…!?)
怯えつつドキドキしつつ、明らかに映画の見過ぎな考えをし、ふと気付き、
「…温かかったから…、死んではない…か…」
半ば震えた声で呟き再度側により
「………とりあえず、」
正体不明の男を見下ろし呟く。
「……家ん中で寝さしとくか…」
(…さて、まずはコイツをベッドに運ばねば。)
もしかしたら迷子かも知れないし、と自分に言い聞かせ、何か合っても自分は無関係だと言い切る事に決めた。
いや、何が何でもそれを押し通す。事実だし。
「………ん…?」
ふと、まじまじと相手の横たわる顔を見ていると、
(…どっかで見た顔…な気がする…)
何故だか何となく、見れば見る程そう思う。
だがこの男自体は全く知らない。
会った事も無いし、多分街のどこかですれ違ったかどうかだろう。
と深くは考えずベッドまで運ぶ。
「…重い。」
ぐぬぬ、と相手の両腕を引いてドアから引きずり出す。
非常に難しい上に重い。一瞬放置も考えたが、
「……このまま野垂れ死んだら俺が困るし…」
仕方ないよな、と諦めて頑張る事にした。が、先程も言ったように、意外と人を運ぶのは容易では無い為に
「…………。」
(…中々どうして俺も不器用なもので。)
と一応玄関に全身が入ってドアが閉められるといった状態で、ドアにもたれかからせるように座らせる事に成功した。
が、ベッドまではまだ遠い。
『オアシスは何時だって遠いモノである。』
フッと頭をよぎる父さんがキャバクラに行って母さんに怒られてる最中に言った言い訳の言葉。
火に油を注ぐ結果になり父さんは一週間ほど口を聞いてもらえなかった。「………いや、此処どっちかってーと地獄だぜ。」
ボロいし、壁薄いし、そね他あり、と渦巻く考え事。
「…頭が現実逃避し始めてる。」
バシンと頭を叩き、しっかりしろ、俺。と自分に言い聞かせる。
「………。」
そんな俺の心境やつゆ知らず、眠り続けるコイツを見て何となく腹が立ってきた。
「おい、起きろよ。」
さっきとは違い荒々しい口調と動作で相手の肩を揺さぶる。
「…………う。」
ガクガク揺さぶっていると相手が少し反応を見せる。
(……お、どうだコレ起きんじゃね?)
そのままガクガク揺さぶってみる
「……う、うおおおお!?」
揺さぶられて目が覚めたようで悲鳴を出す。
「よし、えーと、まずはだな、君は俺ん家の前で倒れてて…」
状況説明をしようとする俺を一瞬ポカンと見つめ、その後俺の話をぶった切って叫んだ。
「久し振り竜!ずっと会いたかったんだぞ!」
え、とポカンとする俺にいきなり笑顔で抱き付きそのまま押し倒し、
「いった!!」
押し倒された拍子に頭をガンと打ちつけジワリと痛む。
「ちょ、ちょっと誰だアンタ!いきなりなにすんだよ!」
振り払おうとしたが相手の動作が素早く、両腕の手首を押さえ込まれる。 「何言ってんだよ竜!俺、俺だよ!」
満面の笑顔、しかもちょっと涙目で言う。
何だ?最近のオレオレ詐欺はこんな境地に来てるのか!?
「…っい、ちょっと、手ェ離せよ…!」
ギリ、と何やら感極まり力が入っているようで手首が痛い。
「…ずっと会いたかった…会い……」
スルッと顔が近づいてくる。
「…は!?ちょ、ちょ何…っ!?」
綺麗な顔をしているため顔が無意識に赤くなる。 男男!コレ男だから!とハッとして思い直したが
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