跡部くん、キミの事が知りたいんだ。【BL】千石×跡部 〜庭球〜

その楽しみとやらが、女漁りってか。ハッ、図々しいのも程があんだろ（　相手の不自然な様子など、自分からしてみればこれ程分かりやすいこともなくここまで計算付くだと異性に対する執着心は強いものだと示しているも同じである。寧ろ笑えてすらくるのであろう、半分は皮肉交じりに鼻で１つ笑い飛ばすと既に立ち上がっていく気満々という様子に「上等じゃねェか、」とこの際自分の身体能力を発揮しトレーニングも兼ねて、最高の機会だと口角上げては)

ーー女漁り？…違うよ、跡部君。俺は君と出掛けんのが楽しみだって言ってんの。( 鼓膜に届いた台詞に視線を向けては先程より幾分か低い声色で言葉を返し、皮肉めいた言葉は如何やら自分がプールへと行きたい理由を取り違えているのであろう、その様子に感情が騒つき己の後髪をくしゃりと掴むも本来の理由は口に出せない物で。傍に置いていた自分の鞄を掴み、扉へと歩みながら「夜のプールって良いね、ライトアップとかされてるの？」等と話題を振りつつ、ちらりと振り返り相手の姿を確認する様に視界へ映して )

....、それは良かったな。俺様と一緒に出掛ける事なんて滅多にねェだろうな、これが最後だと思っておけ。(相手の言葉にピクリ、と片眉上げると視線は彼へと注ぎ。しかし幾らか低い声音といつものような砕けた笑みもなくその姿にコイツ、本気か..？と疑い掛けてしまうも特に追及することはなく、いつもより何割か増しに傲慢な発言、所謂俺様という性でフッ、と鼻に通る笑みを。それからの相手の問いに「万が一事故でもおきたら、経営の存続に関わるからな。その面でも、キレイにライトアップされているはずだ」とまるで自分が経営者のような口調、しかし知っても当然だと夜のプールは足元が見えにくい分特に転倒の危険も増しそれも兼ねて、あとは自分の美意識だろう。夜景に映える、など理由は様々であるがライトアップは確かだと言い切り)

あはは、感謝してるよ。でも最後、か…その判断は君に任せるよ。本当に最後だって言われない様に今夜は頑張るけどね？( 笑みが溢れる音を聞いて此方も口許を緩ませて。最初は前々から考えていた様に相手への感情を解消させる為という相応しく無い理由だった事に対して、今は純粋に彼との初めてである遊ぶ機会を大事にしようと言う穏やかな望みのみになっており。「あー…すげぇ、早く行きたいよ！ロマンチックそうだな、男二人でそんな雰囲気は似合わないかもしれないけど、」と、小さな冗談交えつつ廊下へと出る扉を開けて腕で抑え、相手が脚を踏み出すのを待ち )

せいぜい頑張る事だな。(　どこまでも傲慢な性であるが故にこれもまた軽くあしらう様に一言を。自分はと最初こそ体力作りも兼ねて泳ごうかと考えてはいたものの、今まではというと長椅子に座り片手にはグラス。大きく言えば傍観者という立場であり、先程の小休憩を取り戻そうかと改めながらも鞄に水着とタオルを詰め込み、相手が開いてる扉に当たり前のように自分が先に出て。「アーン？文句があるなら、街にでも出てろ」と自分もまた冗談も交えてか返答をすると行くぞ、と先頭をしきり)　

相変わらず釣れないなー…まあ、それが跡部君なんだろうけどさ。( 肩に鞄を掛け直し体制を整え、相手が廊下へ踏み出した事を確認すれば腕を離してオートロックである扉は自動で鍵が閉まり。二歩ほど先を歩く後ろ姿に追い付こうと足幅を大きくして隣に並び、いかにも高級そうな絨毯が轢かれた長い廊下を渡り切れば広場に出て、其処から室内プールへと続く通路を曲がっては胸を期待で膨らませるも一つ疑問が。「あまり人とすれ違わないね、もしかしたらプールも貸し切り状態だったりして。」と、やはりこの時間だと温泉等へ流れる人達が多いのか自分達がいるエリアには人の姿が見られず )

...、(　後ろで小言零す相手に向かい特に言葉を掛けることもなく自分のペースで歩を進めていけば、何時の間にやら目の前にはプール。目的地に着くや否や人の気配は無く、二人っきりの可能性も浮上。しかし気にすることは無く、己の好きなように過ごせればよいと「貸切りでもいいじゃねェか、ごちゃごちゃしているよりかはマシだ」といつも貸切の己のとっては当たり前である、そんな育ちだからこその発言を）

ーおっと、本当に貸し切りか！確かに大勢は楽しそうだけど今夜はこっちの方が嬉しいな、うん。( 自動ドアを潜り抜け脱衣所へ入室すると誰の姿も無く、綺麗に並んだロッカーの一つを開けて鞄を詰め込み。早くプールを拝見したいと気持ちは焦るが、問題は水着の着替えで。男同士なので気にする事は無いと理解してはいるものの何せ相手は麗人である跡部景吾と二人きり、流石に自分じゃなくとも一般人は少なからず緊張するであろう。上着とジーンズを脱ぎ捨てると一応ではあるが相手を見ない様に背を向け「俺、今年プール初めてだよ。いやー、楽しみだなぁ。」と語りかけながら着替えを進めており )

予想通りだな。(人の気配を感じずにいざ脱衣所へと一歩踏み入れるとやはりそこに人は居らず、フッと小さく笑うとロッカーを開き、荷物を詰めて。確かに昼間に此れだといささか景色として寂しさ感じるであろうも、夜は静かに閑静な中過ごすのも悪くはないと、相手の語りかけに「あまりはしゃぐなよ？怪我でもされたら俺が面倒だ。」と答え。ライトアップに滑り止めも付いている床と安全は抜群であるも相手なら遣りかねないと一言忠告。風呂上り、比較的ラフな格好だったためシャツの前ボタンも堅苦しい物ではなく、片手で１つ１つ外し脱いだものは全てきっちり畳んでしまい。御曹司といえども、そこらの教育はしっかり植えつけ要られているのだろう、引き続き下のジーンズも脱いで)

はは、分かってるって。プールサイドで走り回るなんかしないよ、神尾クンじゃあるまいしさ。( 温かいとは受け取り難い言葉でも彼にとって本の少しでは有るが気に掛けてくれたのかと了承する様に片手を振り、自分の記憶に染み付いている少年の名を上げれば笑顔で走り回る無邪気な姿を思い出したのかクスクスと笑みを溢し。着替えが終わり水着姿になった己の上半身を見て密かに、鍛えておいて良かった、等と一息吐きつつ脱衣所内に備え付けられているベンチへ腰掛けては「跡部くん、着替えれた？」と、未だ背を向けたままプールへと続くガラスの扉を眺めつつ問い掛けて )

どうだかな、(　相手の口から出た聞き覚えのある名前の彼と相手を照らし合わせると違和感はそう無くて一言元気な姿に変わりは無く、しかしそんな己もまた久しいプールに楽しみを見出してるのも事実でありボクサータイプの水着を着用。先に待つ彼を通り過ぎ「行くぞ、」と当たり前のように先頭仕切り扉を開けると、そこには綺麗にライトアップされたプール。分かっていたとしてもいざ目の当りにするとそれは綺麗なもので満足気にフッと笑い)

あ、ちょっと待っ… ーー…うわ…！( 横を通り過ぎた相手に続き慌てて自分も立ち上がり扉の外へ踏み出せば、視界に映る光景に思わず感嘆の声を漏らし。天井が透明のガラスになっている為に煌めく星と仄か欠けているが青白く光る月の姿が見えて、昼間の一般的な白い電気ではなく壁や床に埋め込まれたブルーやオレンジと言った幾つものライトが暗い空間を照らしており。「これは凄いな…、想像以上だ…って事で、早速！行くよ跡部くん！」一回り見渡して見惚れていたと思えば上記を叫び、先程否定したにも関わらずプールへと一直線に駆け出して勢い良く飛び込めば辺りに水しぶきが飛び散りライトと反射して。水面へ上がって来ると片手を振り「はは、最高！」と笑顔を見せて )

...(隣りで惚ける相手の横で己もまた釣られるように天井へと視線を向けると、そこには綺麗に輝く満月。そこにライトも加わり夜景の雰囲気作りとしては十分過ぎるそれに、こればかりは自然現象で今晩たまたま満月で在るのも自分の自信に繋がり。しばらく夜景を眺めていた所で、突然頬に掛かる冷たさ。それは水滴であり、先程まで隣りに居た相手も何時の間にやらプールの中、笑顔で手を振る姿に小さく溜息を吐くも、己もまだ中学生、やはり意欲は湧くのか自分もまた相手のようには行かないものの綺麗なフォームで飛び込むと水中から顔を出し濡れた髪を掻き上げ、「ッは、上等だ」空気を吸い込むと機嫌も良くなり口角上げ笑い。相手の提案無しにここまで来ることは無かったであろう。今の気分は、一言言えば最高。いつも地で炎天下でのスポーツにたまには水中での息抜きも悪くないと)

うわっ、お見事！( 華麗に弧を描き水面へと飛び込む姿はやはり彼らしく、跳ねた水飛沫に片目を瞑りつつ盛り上げる事が好きな性からか拍手を向けて。水面に上がって来た相手にもう一度賞賛の言葉を送ろうと用意していたものの、水底から浮上した目前の相手は反射した光に包まれており水が滴る髪を掻き上げる姿は甘美かつ艶やかに映り込み、掛けようとしていた言葉は喉の奥で突っかかってしまう程で。過去を振り返れば皮肉めいた笑みや不機嫌そうに顰められた表情を見慣れていた所為か、視界の中に存在する笑顔にただ何も言えず双眸を細め、「…綺麗だ、」と何の事かは伝えずに一言呟いて )

アーン？何言ってんだ、てめぇ(しばし水中での浮遊感に水面に出た時の涼しげな風の余韻に浸っているとどこからともなく聞こえてきた一言に、ライトアップの事かと視線を相手に移すもその視線は自分へと注がれていて。一瞬詰まりつつも、自信家と自意識過剰はまったくの別物だと。第一同性である自分に対しての言葉に、財閥の息子という事もあり周りの大人からは建前で言われることはしばしば。しかし、そんな様子は無くそれでも考えたくはなくて「それより見ろ、今日は七夕だろ？得意のラッキーとやらで天の川も見れたりしてな、」と相手のラッキーは全く関係が無いものの占いを好む相手であればきっと運よく、なんて心の中に巡らせ）

…んー、本当何言ってんだろ、俺。( 先程の発言は自然と口から出てしまった物で、己の後頭部を片手で抑えながら頭上を見上げ。もちろん男として女性には惹かれるが、顔付きが端麗だとしても他の男には微塵も惹かれた事が無く、目前の相手に惹かれてしまう理由は何かと考えるも思いつくのは一つしか無くて。相手を男だと再認識すればこの感情も無くなるとばかり考えていたが如何やら検討違いだった様で。次いで向けられた台詞に思い出したのか双眸を見開き視線を相手に向けて「…七夕？あ、本当だ！マジで今気付いたよ！見れるかもね、俺今日占い一位だったし。」と、再び星達が映る高い天井を見上げ )

もう１度頭冷やしたらどうだ(　曖昧なその様子はいつもの彼には相応しくなくて、しかし一旦考えることをやめて話題を掘り返すつもりもさらさら無い。何か悩み事でもあるのか、と勝手に自己解釈してしまうときっとテニスや異性関係や勉強事など相手のありうる悩みは次々と浮上しそれがまた自分の解釈への自信に繋がり。相手の頭に手を置くと思いっきり水面に押し付けるもギリギリの所で止め「頭は冷えたか？」とある意味意識ははっきりと脳も冴えるであろう、上から見下ろす姿はいつもの自分で軽いいたずらも交えていたのか悪戯気にニッと笑い。そしてそのまま上を見上げると「ほんと、てめぇはラッキーだな。」と一言。今日という１年に１度の日に、占いは１位でプールも貸切状態、それに加えて綺麗な満月ともなるとやはり相手には言葉では言い表せない特殊体質でも持ち合わせているのだろう、そこばかりは素直に認めざるを得ないと)

へ、…っうおっ！！( 頭上に置かれた手を不思議そうに見遣れば急に圧力がかかり視界は青く光る水世界一面で、叩き付けられると覚悟を決めた瞬間圧力は止まり。一体何が起きたのかと相手を見上げてみれば悪戯に輝く視線とかち合って「…うん、冷めましたとも…参りました。」と、眉を下げて笑い。己に対する言葉を発する彼の先には存在を大きく主張する月と辺りに散らばる細かい星、星座占いに関しては知識に富んでいるものの空の天体科学ともなれば一般的の常識を弁えているだけではあるが薄く色が変化した星の群れを天の川だと察し、幻想的な空間の中で見つめる夜空は日頃のものとは違う現在の状態に自然と頬が緩み相手に視線を向けてみて )

....(相手の様子に何処か満足げに視線を離すと、再び視線は夜空へと注がれる。しばらく眺めた後に、やはり彼の運が確かなものといえども自然現象までは無理な話だったかと諦めを垣間見え、それでも夜空が綺麗であることは変わりなく。そのまま視線は変えることなくて、そのまま浸るように見ている刹那、ふと其の変化に気が付くと眉を顰めジッと見つめて。数秒後にそれが天の川だと認識、先程までの夜空より幾分か増す華やかさに思わずフッ、と薄く笑い。今まで悪戯心や嘲笑、自信故など様々なものが心の内があったがこればかりは素直な感心と喜の心情で）

あー…最高！汗水流してた昼間とは別世界みたいだ。( 水を軽く掻き分けながらプール端へと歩み寄っていくと底を爪先で蹴り上げ、一度プール内から上がったかと思えば縁に腰掛けて脚のみを水中内へ。ボールを追い掛けラケットを振り、動き回ってばかりいた太陽が高い日中を思い出しては比較する様に夜空へ向けて腕を伸ばし、濡れた髪の水滴を弾く様に頭を数度振ると顎先にまで伝った雫を手の甲で拭いつつ「跡部くんも来なよ、こっち、」と、自身の隣を指差して声を掛け )