御影 2013-06-23 09:09:38 |
通報 |
‐昶side‐
今日も私は図書室へ向かう。放課後しか開いていない図書室は私のオアシスでもあった。そんな図書室に非凡が訪れたのは偶然、なのかな…。
女子A「ね、また来てるよあの子。よく飽きないよね…」
女子B「流石図書室の幽霊!もう此処の本読み尽くしたんじゃない?」
女子A「しっ!聞こえちゃうよ!」
聞こえてますが、何か?
昶「…………。」
好きでそう呼ばれてんじゃ無いんですけど…。
まぁ、仕方ないか…なんて思いながらも本を読み進めると何かが挟まっていた。
引き抜いてみると、それは色褪せた写真だった。5~6歳くらいの男の子と優しそうな両親。家族写真だろうか。
男の子は何処かで見たことあるような顔立ち。
誰だっけ?ま、誰でも良いけど。
そのまま写真を挟み直そうかと思ったけど止めた。またこの本を読むとは限らないし。
私はその本と様々なジャンルの本を数冊持ちカウンターへ向かった。
写真は小さかったので胸ポケットへ。
先程まで会話していた女子生徒(多分同い年)に貸し出しカードを渡し、ぎこちない笑みを浮かべる2人を一瞥し図書室を出た。
‐昶side‐
昶は先程の写真を眺めながら歩いていた。もう片方の腕には数冊の本。借りたばかりのものだ。
その為前から歩いて来る人物に気付かなかった。
ドンッ
昶「キャッ…!」
A棟とB棟を隔てる曲がり角に差し掛かった時、昶は180cmオーバーの大男とぶつかり尻餅をついた。
昶が恐る恐る顔を上げると優しげな笑みを浮かべた童顔の青年が。同じクラスだった気がするが名前が思い出せ無い。
青年は昶に手を差し伸べ、抱き上げるように立ち上がらせ本を拾ってくれた。
昶「あ、りが、と…」
小さな声でお礼を言うと本を受け取り、もう一度相手を見上げた。
??「此…何処で?」
昶「へ?」
??「此何処で見つけたの?」
青年の目は1枚の写真に釘付けだった。先程ぶつかった時に手放してしまったようで、昶は言葉に詰まる。
??「答えて?」
青年は冷たい口調で昶に問い掛ける。昶は蛇に睨まれた蛙のように動けずに居た。
昶「…図書室の本に挟まってて…」
絞り出すように呟くと青年の周りの空気が緩んだ。
??「ごめん」
青年は申し訳無さそうに謝ると写真を胸ポケットに入れ、その場から立ち去った。
(/>1の胸ポケットを半角カナに直すの忘れてました;)
‐誓side‐
放課後になり、やっと取り巻きの女共から解放された。別に女は嫌いじゃ無いけど正直面倒だ。こっちが少しでも優しくすると直ぐに勘違いして彼女面。だから俺は遊ぶ事はあっても本気で人を好きになることは無かった。
でも一つだけ…。滅茶苦茶気になることが出来た。彼奴との出会いは偶然か、必然か。
俺は男友達が帰るのを確認し、暫くウォークマンで音楽を聴いていた。最近はBUMP OF CHICKENやUVERworldを良く聴いているような気がする。
そんなくだらない事を考えながら帰り支度を始める。もう19時か、と呟いてみたが何か寂しかった。(何かぼっちみたいでさ。)
スクールバッグの持ち手を両肩に掛け、スマホをいじりながら歩く俺は気付けなかった。前から歩いてくる女に。
ドンッ
??「キャッ…!」
相手の小さな悲鳴に気付き目線を下に下げるとスラッとした体型で…でも胸はデカい女が居た。正直俺好みの体型。顔立ちは大人びてて…でも、雰囲気的に大人しそうな奴。
普段の俺なら余裕綽々&ポーカーフェイスで対応する筈なのに。
無意識に女に手を差し伸べていた。その上女が落とした本を拾い集めていた。
女は俺が拾い集めた本を受け取ると小さく笑みを浮かべた。本人も気づかない程わかりづらいものだったけど。
??「あ、りが、と…」
小さな声だったがお礼を言う女に悪い気はしなかった。
あの写真を見つけるまでは。
ふと女の側に落ちている写真を見つけ、拾い上げると見知った顔が。そう、俺と俺の両親だ。
俺は純粋な笑みを浮かべ、ダブルピースをしていた。親父とお袋は優しげな笑みを浮かべて俺を見守っていて…懐かしくて涙が滲みそうだった。
でも此、何処で見つけたんだ?
誓「此…何処で?」
そう思って俺は女に問い掛ける。
??「へ?」
女は不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。俺はそれにイライラして冷たい口調でもう一度問い掛けた。
誓「此何処で見つけたの?」
女は言葉に詰まっていた。多分、俺の雰囲気が変わったからだろう。
誓「答えて?」
もう一度問い掛けると女は小さな小さな声で言った。
??「…図書室の本に挟まってて…」
その言葉に俺は確信した。此奴は何も悪く無いと。
誓「ごめん」
俺は勘違いした事が恥ずかしく、一言謝ると足早に昇降口に向かった。
後でもう一度謝ろう、そう己に誓って。
‐誓side‐
‐次の日‐
梅雨に入り、日も長くなった6月某日。昶は何時もより早いバスで学校へと向かっていた。
昶「おはよ…」
誰も居ない教室に入り、自分の机に鞄を置くとそのまま教室の壁へ近付いた。
壁には4月に書いたクラス全員のプロフィールが画鋲で貼られている。昶はお目当ての人物を探したが見付からない。不思議に思い隣のクラスにも行ったが、見つけることは出来なかった。
ガッカリしながら1つ離れた教室へ向かうと、机に突っ伏し寝息をたてている青年が。そう、昶が探している青年だ。
昶は無表情を浮かべ、青年に近づいた。
トピック検索 |