主 2013-06-22 18:50:00 |
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…はあ?何それ、つかなんでいきなり怒ってんだよ。
(珈琲好きに対しては良くないであろう行為をしたのは確かに自分だがどうやら相手の口振りから読み取るに怒りの矛先はそのことに対して向いているようではなく、何か別のことに対して怒っているのだろうとは分かったがだからといって何故いきなりお気楽などと言われなければならないのか少し理不尽だと思う節があり。不満げないつもより幾らか低い声でぽつりと呟くと不審がるような目付きでじろりと相手を見て。しかし見たからといって彼は怯えないだろうし何故かという理由を口にすることもないだろう、早々にそう諦めると視線を手当て中の傷の方に移し。)
――…。
(わけがわからないと彼が訝しげな視線を向けてくるのも当然だろう。具体的な対象や出来事があるわけでもないのにあれこれ気を揉み、下らない嫉妬と独占欲で自分の首を絞め、勝手に苛々している己が酷く馬鹿馬鹿しく思える。不機嫌な雰囲気を放ちながら無言で手当てをする最中、一度相手を軽く睨むように一瞥しては再び黙々と手を進め。この後相手がまたあの連中といつものように馴れ合うのを考えると、邪魔な理性などはね除け今此処で襲ってやろうかと思う程苛立ちは増し。しかしそれでは今まで何の為に堪えて来たかがわからなくなる。沈黙の中包帯の交換が終わると平静を取り戻すべく息を逃がし「さっさと用意しろ」と相手の額を軽く後ろに押し)
ッわ、かってるって…荷物は纏めてるし、身仕度終わればすぐ行ける。
(彼の態度に多少なりとも腹が立っているのか睨むように一瞬向けられた視線にも応じないようにと直ぐ様ふい、と視線を相手から逸らすと手当てが終わるまでじっと待ち。それが終わるなり与えられた僅かながらいつものやり取りのような軽さを感じられる額へのちょっとした悪戯に相手もこの悪い空気を変えようとしている姿勢が伺え、ならばこちらばかり拗ねていても仕方がないと割り切り少しだけ困ったように眉を寄せながらも薄く笑みを浮かべたような表情で立ち上がるとやれやれといった調子で言い返し。それから鞄より身仕度に使うらしい歯磨きセットやら洗顔用のタオルやらを取り出すと「じゃ、ちょっと洗面所借りるぞ。」などと一声掛けてからぺたぺたとリビングを出て洗面所に向かって。)
(此方に向けられる相手の困ったような笑みの可愛さに苛立ちも大分引いていき。洗面所を使うという相手に「ああ」と一言返すと、子供のような足音を立てながら洗面所に向かう相手の後ろ姿を見送りながらクク、と小さく吹き出してしまい。テーブルに残った食器と救急セットを片付け、学校へ向かう準備をある程度整えると相手に続いて洗面所へと向かって。余り広くもない洗面台は相手が未だ使用中。腕を組んだ姿勢で壁に寄り掛かり相手が使い終えるのを待つ間、洗面台の鏡に映る相手の顔を改めてまじまじと見つめる。彼に想いを寄せる事になった切っ掛けが“一目惚れ”というだけあって、綺麗に整った顔立ちはいつ見ても目を奪われてしまう。一つ一つのパーツをとってもどれも魅力的で、鏡越しに見つめる眼差しは次第に熱を帯びてきてしまい)
――…やっぱ男にしておくの勿体ねぇな。
(相手のその風貌に完全に魅了されたようなぼんやりとした面持ちで思った事をぽつり口にするも、ほぼ無意識だったのかハッとしたようで。自覚せざるを得ない程急速に熱を持ち始める顔、僅かに瞳を泳がせた後、相手に気付かれないように顔を逸らし)
(顔を水で洗いタオルで顔を拭いてから目を開けると洗顔している間にやってきたのか背後に相手の姿を見つけ。自分を待っているらしいその様子から早急に支度をしてしまわないと、とある程度髪を撫で付けて整えると歯ブラシを用意し。そうしてせかせかと急いで支度を進めていれば背後の彼からか呟くような一言が聞こえ。)
ーー…そんなに、俺の顔好き?
(そもそもの出会いが相手の一目惚れだったことは自分も忘れていない、けれど彼の言葉を聞くとどうしてももしかして自分は顔だけで好かれているんじゃないかなんて不安が込み上げてきてしまい少しだけ悲しがるように眉を寄せながら薄く笑みを浮かべるとぽつりと呟き。男を好きになるなんて非常な状況下なのだから顔だけ好き、なんて状態の方がまだ魔性のゲイなんてものよりもマシじゃないか。そうやって考えることで自分を落ち着かせようとはするもののどうも心がざわついてしまう、そんな心を静めるために今は早く彼と距離を取らなければと思い歯ブラシに歯磨き粉を付けて一旦洗面所から離れようと相手の横を通り過ぎようとし。ただ通りすぎればよかっただけだったのに、落ち着かない心がそうさせてしまったのか過ぎる瞬間「…なら、さ。わざわざ男なんか口説かないで、顔がいい女とでも付き合えばいいだろ…。」などと囁くようなか細い声で呟くと歯ブラシを口にくわえリビングへ足を向けて。)
(そんなに顔が好きか、と問う控え目な声に背けていた顔をそちらに向ければ、浮かべられたその笑みは何処か悲しげな色を帯びていて。彼が今どんな思いでいるかその問いと表情だけで察する事ができ。壁に預けていた背を離せば弁解でもするつもりなのか組んでいた手を下ろし、「椿…」相手の名を呼びゆっくりと歩み寄ろうとし。此方が声を掛けるより先に横を通過しようとする相手から発させたのは、案の定とでもいうべき言葉で)
――…本気でそう思ってんのかよ。
(リビングに向かおうとする相手の腕を咄嗟に掴めば、落ち着いてはいるが真意を探るような強めの声を掛けて。彼と接して来て、女装した“棗”ではなく“椿”としてのありのままの自分を見て欲しい、そんな切なる思いがこれまでの相手から感じられ、彼が放った言葉が本心でない事くらいは解る。しかし己が見ているのは彼自身で、彼そのものが欲しいのだと何度も伝えて来たにも関わらず、相手に少しでも不安や疑念を与えてしまう事は己にとって不本意でしかなく。ならば相手がそんな考えを起こさなくて済むように思い知らせる伝える必要があると考え。掴んだままの腕を引き寄せ、壁に背を預けさせるように押し付けては正面から相手を見据え。「椿…、お前今日休め。俺がお前の何処にどう惚れてんのか一日掛けて解らせてやるからよ」誤解されたままでは気が済まず、持て余している感情をぶつけるのに良い機会だとばかりに真顔で無茶な事を言い出して)
(咄嗟に出たという感じにいきなり自分の腕を掴んだ彼の真剣さを帯びた声での一言、きっと自分がこんな顔をしていればそうして真面目に尋ね返してくると初めから分かっていた。しかしそんな言葉に答えられる自信は今は自分になくてだからこそ口を封じるようにくわえた歯ブラシに手を掛けるとふい、と相手から視線を逸らしながらしゃこしゃこと控え目な音を立てて歯ブラシを動かして。そうして自分が黙ったままだったからか、乱暴ではないものの男としての力強さを感じるような手付きで壁へとなすがままに押し付けられて。)
…むり、らって。んな個人的な理由で受験生が休めないらろ。
(自分の不安を取り除こうとしてこうやって彼は言い出してくれたのかもしれないが自分にとって相手と共にいるのは「彼」という同性を見つめ直すことと同意、今は不安を除くどころか自分からしてみればどんどんその不安が膨らんでしまうような気がして。そうなると正直彼と今一緒にいるのは怖い、そんな感情がぽんと心の中にひとつだけ目立って感じられてしまう。どうにか避けなければと思ったのかわざわざ受験生だからなんて建前にしか聞こえないような、しかし自分たち高校生にとってはそれなりの強制力のある言葉で断ろうと思い歯ブラシを突っ込んだままの少しだけ呂律の回り辛い口でもごもごと答えて。こうしているうちにもじわじわと滲み出るような感覚で心に不安が溜まっていく、そんな感覚に耐えかねて彼に掴まれたままの腕を軽く振り払うように動かすとこの場を離れたい意思を示すように無理矢理壁際から出ようと体を動かして。)
…お前は何をそんなに怯えてるんだよ。何がお前を不安にさせる?
(相手の言い分は無理矢理こじつけた建前にしか聞こえない。彼が己を受け入れる事を戸惑うのは自分の気持ちに未だ確信が持てないとか、そういう理由とは別に何かがある気がしてならない。彼は根が慎重で繊細な性格なのだろう、物事を深く考えてしまいがちな面が時折垣間見えるものの、その胸の奥に何を抱えているのかまでは読めず、己が軽く動きを封じている事で行き場を失った目の前の相手の胸の内を探るようにじっと見据えて。しかしこのやり方で彼が大人しく語り始めるとは思えず、暫し黙って見つめた後、身動ぎする相手を静かに解放してやり)
見た目だけならもっと別のやり方でとっくに迫ってるよ。こんなまどろっこしいやり方でいつまでも執着してねぇ。
(何処か危うげで不安そうな表情を滲ませる相手を直視したまま、相手は聞き飽きただろう相手への思いを伝え。「……俺が欲しいのは外見がいいお前じゃない、お前自身だ。その辺はいい加減理解しろよ」僅かに視線を伏せ最後に指先でそっと相手の左胸付近に触れればそこを軽く押し、すっと相手から離れては洗面所に向かって)
(口を歯ブラシで早々に塞いでおいて良かった、そう思ってしまうほど相手の言葉の其々は答え辛く何より胸に刺さるような強い力があり。拘束を解放されるなりまだやや覚束なさのある足取りでその場を後にし、リビングのソファの一番隅の方に腰掛けると膝を抱えて小さく蹲り。彼が自分を顔だけで好いているだなんてこれっぽっちも思っていなかったのに、相手の一言一言が自分の中で強く響き不意に不安の種を芽吹かせる。ずきずきと鼓動に呼応し体全体に痺れのように広がる胸の痛み、そんなものただの気のせいで本当に胸が病気な訳でもないのに恋という痛みはどうしてこうも苦しいのだろう。くわえた歯ブラシをがり、と噛み締め蹲った胸をきつく握るとこんなことで泣きそうな程に哀しくなってしまう脆くなった自分自身を押し留めようとし。それでも頭の中で響くのを止めない反論、言い訳、泣き言。仕方ないだろう、同性なんだから。女にいつか負けてしまわないか、不安なんだから。心だけの繋がりじゃ、心細いんだから。いつまで一緒に居られるかも分からなくて、怖いんだから。そんな言葉ばかりが頭の中を反響し思いばかりが詰まっていくことに体が追い付けなくなった瞬間、膝を抱えて伏せた顔からソファの布地へとぽたぽたと滴が染みを作って。)
(洗面所に戻ると歯磨きを済ませばしゃばしゃと顔を洗い始める。己の言動に一々ビクついていた頃と比べれば彼は随分慣れて来た。己との事を真面目に考えていると言っていた事からも、それなりに好意を持ち始めてくれているのだとは思う。ただ彼の中に彼を悩ませる迷いのような物がある事も確かで、それを取っ払ってやらない限り安心して己に委ねる事が出来ないのだろう。しかし恋愛経験など無いに等しい己がその辺の繊細な心情を読み取る事は難しい。相手が語ろうとしないなら尚更。己に寄って来る物好きな女を憂さ晴らし等に使った事はあっても、愛だとか恋だとかそういう感情を前提にした純粋な付き合い方は初心者同然で。初めての感情に困惑するばかりで何が正しいかなど自分でもわからないというのに。タオルで顔を拭き適当に髪を整えた後リビングに戻る。ソファーの隅で膝を抱え俯いている相手、先程己が発した言葉がまた彼を苦しめているのだろうか)
――…椿。
(近くへと歩み寄り、俯いたままの相手に声を掛けながら髪に触れる。未だ歯ブラシをくわえたまま蹲る相手が泣いている事を察すると、小さく息を吐き出しながら隣へと腰を下ろし。相手が泣く原因は己の先程の言葉にあるのだろうが、どれがどう彼を傷付けたのか、或いは苦しめているのか、追い詰めているのかさえ分からなくて。頭を片手で抱えるようにそっと抱き寄せると、「言いたい事があるなら遠慮なく言えよ。お前のタイミングで構わねぇから」とだけ伝えておき。何にしても途中のままの歯磨きを済ませるのが先だろうと、抱き寄せた相手の頭を軽くぽんぽん、と撫でてからソファーから立ち上がれば制服に着替えに自室に足を向けて)
ーー……ッ、!
(一人いじけたようにソファの上で踞っていれば少ししてから傍に人の気配を感じ、相手が自分を心配してくれて来たのだろうと涙を拭いて顔を上げようとし。しかし相手の何気ない溜め息にびくりと震えると、まさか女々しくめそめそと悩む姿に呆れられてしまったのではと一瞬にしてどっと不安がまた込み上げてきてしまい。結局顔を上げられないまま彼の一挙一動に酷く怯えながら注意をこらす、そうしていれば不意に頭を引き寄せるように抱かれ。僅かに触れ合う体温は過剰に不安になった心をゆっくりと落ち着かせ、気が付けばぼろぼろと零れていた涙すら止まっていて。彼が去った後撫でられた部分の髪をくしゃりと握り何かが相手の言葉で踏ん切りがついたのか何だか決心がついたようなすっきりした表情で顔を上げると歯磨きを終わらせるため洗面所に向い。そうして口の中を綺麗に濯いでからリビングへ戻ると彼が戻らないうちにさっさと着替えてしまおうと着替えのシャツを取りだしごそごそと服を脱いで。その際ぺたりと自分の左胸に手を当て暫く動きを止めるが、それほど長く固まることもなくすぐまた着替えを始めるとすぐに制服に身を包み直すことを完了し。それから荷物を完全に纏め、それを背負って立ち上がるとそろそろ相手も戻る頃だろうと思ったのかそのまま立った状態で彼を待って。)
(寝室にて制服に着替えながらまた軽い溜め息が漏れる。相手の涙を見たのはもう何度目になるのだろうか。好きだという感情を伝える事でこんな風に何度も相手を泣かせる事になろうとは。ずっと下らないと思っていた恋愛というものは想像以上に厄介で難しい。彼は未だ泣いているだろうか。次はどんな言葉を掛ければいいかさえ分からず荷物を持ちリビングに向かうと己を待つかのように立つ相手、その表情は心なしか先程のものとは一変し、清々しささえ感じられて)
……行くぞ、泣き虫。
(小さく笑みを浮かべるとそちらへ歩み寄り、相手の髪をくしゃりと撫でるように触れてから玄関に向かい。一見貶すような言葉も、そんなお前も好きだという愛しさを込めたもの。相手がこの部屋に再び来る日は何時になるのだろうか。たった一晩という短い時間は己にとってかけがえのないものとなり、様々な思いが胸に広がっていく。名残惜しさを感じながら玄関の扉を開けては相手を待ち)
(扉が開く音に弾かれたかのような速度でそちらに目をやるという少々過剰に反応を見せ。リビングにやってきた彼は早々に自分の心情の変化に目敏くも気付いたらしい、小さく笑みながらくしゃりと自分の頭を撫でる彼にほのかに口許を緩めると撫でられた部分を押さえるように頭に手を当て。)
ーー…うっせ、ばーか。
(彼らしい少しだけ意地が悪い響きではあるものの優しさを感じさせるような柔らかな空気を纏った言葉、それに僅かに苦笑するもののそんな言葉にめげるほどもう柔ではないと先程との自身の違いを見せようとしてか応酬のような乱暴な言葉で返して。それからリビングを出る相手についてこちらも部屋を後にしようとする、扉を通る前に一度だけ名残惜しむかのよいに少しだけ眉を寄せながら部屋を振り返り。短い時間だがそうしていつもの現実に戻ってしまうことを僅かに惜しんでから相手の待つ玄関に行き少々靴を履くのに手間取るもののそうして玄関を出ると自分を待っていてくれた彼の方をちらりと一瞥、薄く微笑みながら口を開くと「…ありがと、色々と助けてくれて。」と、か細い声で呟き。その"色々"が泊めてくれたことに対してなのか先程のやり取りのことを言っているのかは定かではなあもののすっきりした表情でそう呟くとお礼と言うには実にぞんざいだがポケットからだしたガム一枚を相手のスラックスのポケットにぐいと押し入れるようにして突っ込んで。)
(返された言葉は少しばかり乱暴なものではあるが普段の相手らしさを思わせるもので、調子を取り戻した事にほっとしたのかくすりと笑みが零れ。扉を開いたまま少し視線を落とし靴を履く様子を見守り、立ち上がる相手と同時に視線を上げては相手を先に外に出してから扉を閉めて。鍵を掛けている最中向けられたのは、控え目な笑みとか細い声音ながらも素直な言葉。同時にポケットに突っ込まれた物に一瞬きょとんとするも、直ぐにふっと笑みを浮かべて)
んな大した事してねぇよ。下心もあったしな。
(礼など要らないといった調子でさらりと述べ、相手も何となく気付いていただろう事を最後に添えれば軽く悪戯っぽい視線を向け。「待ってろ」と一声掛けた後、彼の友人から借りていた自転車を取りに向かい)
ッお、ま…そういうのは一応黙っとけよ…。
(相手の立場上確かに下心という言葉はつっかかりなく受け入れられる言葉だが、彼の親切をその言葉で表すのは何だか少しだけ下品じみている気がして思わず口を出すと僅かに顔を歪め微妙そうな表情をし。それから自転車を取りに行く相手を軽く手を振り見送ってから壁に凭れるように寄り掛かるとそっと顎に手を当て何やら考え始めた様子で動きを止め。先程の彼の慰めというか気遣いというか、リビングで言われた言葉がまだ頭を回っているのか悩むかのように僅かに視線を揺らしながら唇をきゅ、と噛むと深いため息をついて。そろそろ答えを出しても良いんじゃないか、そうでなくともせめて彼に自分が悩む理由を伝えるくらいしても良いんじゃないか。打ち明けることについて気持ちは前より少しだけ上向きになり、何より彼に胸のうちを話した上で卑怯かもしれないが頼らせて欲しいなどという思いが生まれており。)
…大丈夫かよ、また難しい顔してるぜ。
(いつの間に自転車を取ってきたのか相手の目の前に立ち表情を覗くようにしていて。何やらまた難しい事を考えていると思わせるような表情を浮かべている相手の眉間を軽く指で後ろに押し。相手がこんな表情をする時は大抵己との事を考えている。自惚れているわけでもなく、一緒に居れば自然と解るようになってしまった事。己が相手の事で悩むように相手も己の事で悩んでいる。彼の不安や迷いを直ぐ様取り払って安心させてやりたい、しかし此方の言いたい事は大方伝えた故、今は相手が答えを出すまで待つべきなのだろう。行くぞ、というように相手の肩を軽く叩くと、近くに停めていた自転車に跨がり相手が後ろに乗るのを待ち)
ッ、うお…俺、そんなに難しい顔してたか?
(ふと視線を上げた時には既に目の前には彼が戻っており、何か声を掛けようと思ったときにはもう相手の指に押されることにより上体を少しだけ後ろに仰け反らせていて。驚いたような小さな声を漏らしながら体勢を立て直し、軽く眉間を押さえたまま緩く首を傾げて尋ねると恐らく自分のいつもの長考してしまうところを緩和しようとしてくれた眉間への行為が少しだけ不服だったのか、僅かに唇を尖らせていて。しかしながらそれほど気にとどめることもなく自転車に跨がる相手の後ろに特に反発することもなくすとんと腰掛けると、行きで訪れた時より少しだけ体の密着を強めるようきつめに抱き付いて背中に額をくっつけ。「…今日、放課後空けといて。…そ、の…話したいこと、あるから。」どうやら漸く彼にも話してみようという踏ん切りがついたらしく密着した体勢のまま小さな声で呟くと少しだけ力を緩め。さあ行けとばかりに数回軽く相手の背中を叩くと強引に約束を取り付けようとしてしまったことが自分にしては中々大胆な行為だったこと、何よりその内容自体が自身にとって気恥ずかしいと感じぜざるおえないものだったためか彼の背中に凭れるように寄り掛かりほのかに赤くなった頬をくっ付けると少しだけ恥ずかしそうに眉を寄せて。)
(後ろから抱き着くように回される腕に行きと同じように心臓が反応し、ハンドルを握る腕に無意識に力が入る。慣れるどころか相手への想いに比例するように騒ぎ出す心臓、己の意思に従わないそれを煩わしく思うも、今更隠すつもりもないのかそのままの体勢で小さく呟かれる相手の声を聞き)
……例えどんな用事があろうがお前を優先してやるよ。
(了承の意味でそう返すと、行けとの合図のように背中を叩かれるがままにペダルを踏み走り出し。話の内容がどうあれ、放課後少しでも相手を独占出来る事の嬉しさに薄く笑みを浮かべながら、背中に感じる相手の温もりに意識を集中させ自転車を走らせて。やがて学校近くになり登校中の生徒達がちらほらと見えてくれば、周囲の目を気にする相手を気遣ってか緩くブレーキを掛けて止まり「…降りるか?」と、そちらを振り返りつつ訊ねてみて)
(後ろから抱き着くように回される腕に行きと同じように心臓が反応し、ハンドルを握る腕に無意識に力が入る。慣れるどころか相手への想いに比例するように騒ぎ出す心臓、己の意思に従わないそれを煩わしく思うも、今更隠すつもりもないのかそのままの体勢で小さく呟かれる相手の声を聞き)
……例えどんな用事があろうがお前を優先してやるよ。
(了承の意味でそう返すと、行けとの合図のように背中を叩かれるがままにペダルを踏み走り出し。話の内容がどうあれ、放課後少しでも相手を独占出来る事の嬉しさに薄く笑みを浮かべながら、背中に感じる相手の温もりに意識を集中させ自転車を走らせて。やがて学校近くになり登校中の生徒達がちらほらと見えてくれば、周囲の目を気にする相手を気遣ってか緩くブレーキを掛けて止まり「…降りるか?」と、そちらを振り返りつつ訊ねてみて)
(自分の合図で相手が自転車をこぎ始めれば風を切るたびに風で髪がさらさらと靡き、それが大分薄くはなったものの仄かに感じる自分と相手の同じシャンプーの香りを自身の鼻腔に届け。その香りが一夜限りの泊まらせてもらった記憶を鮮明にさせると共にただ同じ香りというだけだというのに言い知れぬ気恥ずかしさを感じさせて。そんなくすぐったいような思いを抱えたまま暫くすれば前方の彼からの一言が。)
ーーあ、ああ…そうだな、ありがと…。
(相手がこんなことを言い出したのは自分が他人の目を気にしているから、それを気遣ってのことだと分かってはいる。発端は自分の言動にあるのだと理解しているもののもう彼の背中から離れなければならないと思うと寂しさとは違うのだが名残惜しさに近い微妙な切なさのようなものを感じ。しかしここで断るのも可笑しいだろうと自分を叱咤するとゆっくりと自転車から降りて相手と並走するかのようにその傍に立ち。)
(/そろそろ大分前にお話しさせて頂いたモブ子の登場が近付いてきましたかね。モブ子の操作についてなのですが言い出しっぺの私がロル内ででも操作しましょうか?その際例えばモブ子から上原くんを呼び出す、だとか原田抜きでのアクションを取る際にだけモブ子用の単独レスをさせて頂くことになるかと思いますが…。どういたしましょう?)
(/本体のみで失礼します。そうですね、モブ子をこう動かしたいというお考えがあるでしょうからモブ子操作についてはお任せ致します。単独も勿論です!此方の動きに何か希望がありましたらその都度何なりとどうぞ。
それからこの後の動きはどうしましょう?取り敢えずこのまま門に向かえばいいか自転車を置いて昇降口や教室方面に向かえばいいか等、お答えをお聞きしてからレスをお返ししたいと思います^^)
(/ありがとうございます!モブ子は基本的に一人でがつがつアタック仕掛けるようなタイプの子にしようかな、と思っているので基本的に上原くんは自由に動いていただいて構いませんよ。まあがつがついく、とのことで色々と強引になるやもしれませんがそこはご容赦を。
そうですね、出来れば人の多い校門あたりでモブ子に大々的に告白してもらってという風にしたほうが後々原田を追い詰めてやりやすいかと…/←/
それとモブ子についてですがさすがになんの特徴もなしに始めるのも辛いかと思いますので軽いプロフィールみたいなものを下記に載せさせて頂きますね。
名前:茂庭 舞(モニワ マイ)
容姿:茶髪にハーフアップ、綺麗めな容姿で所謂女子高生らしい適度な着崩しや化粧も少々。かといって華美ではなく清楚なイメージ。
性格:それなりに明るくクラスの中心に立つようなタイプの少女。漫画なんかのヒロインらしいというか、マドンナ的な人柄のためそれなりにもてる。)
浮かねぇ面だな。あのまま離れたくなかったか?
(相手がゆっくりと自転車を降りれば己も降り、ゆっくりと自転車を押しながら並んで歩き出し。しかし相手の表情には心なしか切なさを含んだような翳りが垣間見え、己と同じく名残惜しさを感じているのではないかとどうしても自惚れてしまう。今までのやりとりからしても大方否定されるだろうと想定しながらも、彼の慌てる反応見たさに少しの笑みと横目を送りながらからかってやり)
(/おお、ご親切にモブ子のプロフまで有難うございます!ちなみにこの子の学年なんかはお考えですか?マドンナ的存在という事ですが、上原は他人に興味が無いのでこの子の存在を知らなかった事にしても差し支えないでしょうか?プロフを拝見しましたところ雰囲気がちょっと棗ちゃんに近い気もするので、展開によっては椿君を追い詰めるのに使えるのかな、と/←)
…かーもな。もしそうだったら、あんたはどうしてた?
(浮かない気持ちに少しだけ背中を丸めて歩み始めれば隣からからかいじみた言葉、思いっきり否定するだろうと予想しての言葉だろうがそんなからかいが今は何だか小さな苛立ちに火を着けてしまい。むっとする程度のそれだがここで怒ってしまえば正しく相手の思惑通りだろう、そう考えれば笑みをたたえる相手の肩をばしっと軽く叩いてから少し先に駆け出し。ある程度の距離を取ってから頭の後ろで腕を組み少しだけ唇を尖らせると、拗ねたような調子が伺えるいつもより幾らか低めの声で呟いてやり。)
(/出来れば上原くんと同じクラスに入れたいですかね?勿論顔見知りである必要はありません。クラスで孤立する上原くんをモブ子は一方的にずっと見ていて、対して上原くんの方はそんな彼女を顔すら覚えていないというような感じだと良いかと…。分かりましたか、やっぱり女の子を出すからには徹底的にわが息子を潰さん勢いでやってやろうと棗に似せさせて頂きました/←)
そんなの言うまでもねぇだろ。お前が望むなら直ぐにでも実行するぜ?
(返ってきたのは己の予想とは別の言葉で自転車を押す速度が僅かに緩くなるも、昨日からの相手を見ていればそこまで驚くような答えでもなく、相手らしさが滲む細やかな仕返し染みた言動にふっと口許を緩めて。相手を離したくないという思いは此方の方が遥かに強い筈、離れるのが惜しいと相手が望むなら己が取るべき行動など一つしか無く。歩調を速め相手に追い付けば顔を近付け、正面から視線を絡めつつクスリと笑んで。そうしている間に校門近くまで差し掛かっており「…どうせならもう少し早く聞かせろよ」と、残念だといった調子でクツクツと笑いながら相手の頭を軽く撫でると、他の生徒達に混ざり門を潜ろうとして)
(/ですね、関係性はそれでいきましょう!あ、やはり故意にでしたか。では折角ですから大いに活用させて頂きましょうかね/←)
ッばっか、お前…っ!
(勝手に反撃を食らわせたつもりになっていたが良く良く考えれば先程のような答えをしたところで相手を多少驚かせることは出来ても困惑、焦りなどをさせることは出来ないと分かり。しかしその理解も少しばかり遅かったために相手の行動に対処することが出来ずせいぜい取れたアクションといえばその場で固まってしまったことくらいで。別に嫌なわけではない、それでも今自分達がいるのは人の多い校門付近。照れ臭さは勿論恥ずかしさを感じることはもはや必至で、頬をかああっと真っ赤に染め上げると不満を口にしようと、調度相手の方を見上げようとしたところで前方から近付く影に気付き)
『あの、上原くん。ちょっと今、いいかな?』
(目の前に現れたのは確か相手のクラスで人気の少女、ふっくらとした頬を仄かに染めながら相手を呼んだ彼女はちらりと自分の方を一瞬気にするように見るもののすぐに視線を相手に合わせ。それだけなのに、何だかとても嫌な予感を自分に与えた。邪魔してはいけないような雰囲気にどうしようか迷うもののこのまま立ち去るのもまるで引き下がるような感じがして嫌で、こちらも相手を伺うように視線を向けると微かに困惑したような表情を浮かべて。)
(/了解です、ご賛同ありがとうございます。モブ子の操作についてですが取り敢えず分かりやすいように彼女の台詞には『』を付けさせて頂きました。こうした二人分の操作は初めてでして、色々と不手際な部分もあるかとは思いますがどうぞよろしくお願いします。)
そういう反応されると今すぐ連れ去りたくな――…、
(先程と似たような反応を返されるかと思いきや今度は頬を染めながら反発でもするような勢いで見上げてくる相手、やはりこの反応は何度見ても悪くない。人通りが多い場所にも関わらず触れたくなる思いに抗えず、相手の頬へと伸び掛けた片手は己を呼ぶ声によって遮られ。声の方向を振り返れば見知らぬ女。隣から感じる視線にそちらを見やると困惑したような表情の相手と視線が合う。しかし目の前の女に声を掛けられるような覚えなどない故、俺にもわけがわからないと言いたげに相手に小さく首傾げてみせた後、彼女へと視線を戻し)
――…何だよ。
(短く答えると怪訝そうな表情で彼女を見つめ。初対面の筈だがよくよく見れば何処かで会ったような気もする。が、今はどうでもいい。気になるのは居心地悪そうに隣に佇む相手。彼の事だから話が少しでも長引けば余計な気を回し一人で去ろうとする可能性が十分ある。それを回避するべく、用事があるならさっさとしろとばかりに眉を寄せながら彼女を見据えて)
(/いえ、とても分かりやすい構成で流石です。展開を楽しみにしつつ一旦引っ込みますね。またお聞きする事があるかもしれませんがその際はお願いします!)
…あ、のさ…俺、先に行って…ーー
(少しだけ恥ずかしそうにもじもじとしながらも視線を相手から逸らさない彼女、他から見れば自分はどう考えても邪魔者とされるだろうし自分自身気を使うべきだろうと感じていて。タイミング的には遅いかもしれないがそれでも今からだって居座っているよりかは立ち去った方が良いだろう、そう思いそっと相手にだけ聞こえるような小さい声で囁こうとすれば調度その言葉に被るように彼女がまた口を開いて)
『…ッ、私!上原くんのこと、ずっと好きで…私で良かったら付き合って貰えませんか!』
ーーッ、ぁ…、え……?
(彼女の口から発せられた言葉は緊張に僅かに震えながらもその想いを伝えようと一生懸命なところが伝わってくるような正に恋する乙女そのものといった言葉で。頬を染める彼女を暫く時間が止まったかのようにぴたりと静止したまま見つめ、そうして体はおろかその頭すら暫しの間全く正常に働かなくなってしまい。しかしすぐにはっとしたように意識を取り戻す、そうすれば例え理解したくなくとも彼女の言葉を頭が勝手に理解していき。此処に来るまで彼と一緒で浮かれていた頭を冷やす彼女の言葉は今の自分の相手に対する異常な恋愛的な感情とは違い、世間一般の青春らしい正しい恋愛を目の前で見せつけられ、立ち去ろうとしていた先程よりも明確に"逃げたい"という感情が生まれる。かたかたと歯が音を立ててしまうのを唇を血が滲みそうなほどに唇を噛み締めることで抑え込み、それから2、3歩後ずさってから足にぎゅっと力を込めるとそのまま走り出してしまおうと身を捻って校舎の方に向かい。)
(/了解しました、ではこちらもこれにて一旦引っ込みますね。)
(見据えた先の彼女の口から溢れたのは己に対する想い。突然の告白に眉間に寄せた皺を更に深めながら此方を見上げてくる彼女をただ見つめて。彼女の言葉からすると以前から己を知っているようだが心当たりはなく、己の良くない噂を知りながら告白なんて物好きな女もいるものだと呆れ半分に息をつくと、さっさと断るべく口を開く。と、同時に己の隣から後退するや否や駆け出す相手を咄嗟に呼び止め)
―――椿……!
(何か勘違いしたのかマイナス思考にでも陥ったのか逃げるように走り去る相手を直ぐ様追おうとするも、気付けば周囲から注目されており。目の前の彼女を放置し相手を追いたい気持ちは山々だが、自転車を投げ置いてまでその行動を取るのは己の想いを自ら公にしているようなもので。己の気持ちを他人に知られようが構わないが相手に迷惑が掛かる事だけは避けたい。校舎の方に掛けていく相手を拳を握り締めながらただ見送る事しか出来ず、暫く立ち尽くした後彼女に向き直り。「…無理だな、諦めろ。そもそも俺はお前なんか知らねぇよ」淡々とした口調だがきっぱりと言い放てば彼女をその場に残し自転車を押し始め)
『…なら、これから私のこと知ってもらいます。私、まだ諦めませんから!』
((少し悔しそうにするもこう発言すると相手の背中見送り))
ーーーーーーーーーー
ーー…俺、何してんだろ…。
(あの場に居るのが辛くなり思わず駆け出した後、結局こんな気持ちのまま教室に入るのも何だか気が進まなかったためにひとり鍵が開けっぱなしになっていた使われていない空き教室に身を潜めていて。誰も来ないようにと引き戸式の扉に適当に放置されていたほうきを立て掛け簡易的にながら扉を開かないようにする。それから扉にもたれ掛かるようにしてずるずると床にへたりこむと顔を両手で覆いながら一言呟き。今度こそ自分の気持ちをきちんと相手に伝えようとそう思った矢先の出来事、異性恋愛の場においては闘争心の火種にもなったかもしれないが自分の場合は燃え始めたところに大量の冷水を浴びせられたに等しいもの。悶々と迷い直させるだけの物事に気圧される以上に妙に泣きたくなってきてしまう。同性の分際で相手に独占欲やら嫉妬やらを抱くなんて図々しいにも程があるというのに、押し込めようとすればするほど気持ちは倍に膨れ上がって自分の心を圧迫していき。やっと答えが出たはずだったのにその答えを見失うあまりか、余計に深い難題に飲み込まれていることすら今は自覚できずに、一人きりの教室で今はただただ込み上げてくる悲しさを押し込めるように嗚咽が漏れかける唇をきつく噛むことしか出来ずにいて。)
(背中越しに彼女の声が聞こえるが振り返ろうともせずそのまま自転車を押す。先程の出来事を目撃していたのか此方をちらちらと見て来る連中から「まじで?羨ましー…」「茂庭を断るとかどんだけだよ」「勿体ねぇ、代わってくれ」との声が次々に溢れる。その煩わしさに睨み付けてやれば忽ち己から視線を逸らし去っていく。奴等の話から察するに彼女は男から見て目を引く存在なのだろう。整った顔立ちに加え明るくも女らしさを失わない雰囲気は確かに男受けするのかもしれない。椿以外興味はないとはいえ、ああいうタイプは嫌いではない。初対面の筈だが何故か既視感を覚えたのはその辺にあるのかもしれない。…が、何故このタイミングなのか。少しずつだが己に打ち解けてきた椿、二人の関係性は悪くない方向に確かに進んでいた。まさにこれからだという時に。タイミングの悪い先程の彼女、騒ぎ立てる連中、そして思うまま追う事の出来なかった己に次第に苛立ちが増し舌打ちを一つする。借りた自転車を乱暴に停めれば不機嫌そうに校舎内へと向かって)
――……何処行きやがった…
(逃げるように走り去った相手の様子が気にかかり、先ずは彼のクラスへと足を向け教室を覗くもそこに姿はなく。思い当たる場所を順に当たってはみるがやはり見付ける事が出来ず苛立ちは増すばかりで。気付いたように携帯を取り出せば“棗”として会っていた際に教わった番号を表示し呼び出してみて)
、ッ…ーー!
(高ぶりすぎてこのままでは我を忘れかねない程に興奮してしまった自分の感情を必死で抑えようとしていればそんなところに場違いな明るいメロディの着信音が鳴り響き。ポケットから携帯をつまみ出し画面を見れば自分が先程の彼女と置き去りにしてきた彼からの着信、その名前の表示を見た途端収まり始めていたはずの思いがまたかあっと熱を上げながら自分の胸に込み上げてきて。なんで今自分に電話を掛けてくるんだ?あの女の子はどうしたんだ?折角マトモな恋愛になりかけていた筈なのに、なんで自分を探す?…あの時は追い掛けて来なかったくせに、今更何の用だ?そんな一方的で押し付けがましくて、ガキ臭い嫉妬に身を焦がされたその瞬間に理性が焼け切れてしまったのか後のことなど考えずに手にした携帯を思いっきり教室の隅に向けて叩きつけるように力強く投げつけると塞きを切ったように瞳から大粒の涙がぼろぼろ溢れだし。朝にした相手との放課後の約束も漸く話そうと決めたはずの答えも、何だかもうどうでも良くなってしまった。相手の女の子だって美人だったし、何より異性だったし、自分にまで彼を好きという気持ちが伝わってくるほどの想いを持っていたし、きっと付き合えばお似合いなんだろうし、そうすれば彼だって自分のことなんてすぐに忘れるだろうし。思考はマイナスに傾くのを止めることはなく、膝を抱えて小さく丸まる背中はまるで殻にでも閉じ籠ろうとするように頑なで。)
(呼び出してみるもなかなか電話に出ない相手、簡単に応答しないだろう事を予想していたとはいえ自然と溜め息が溢れ。次は屋上の方へでも行ってみるかと思った次の瞬間、直ぐ近くで何か小さな物音が耳に入り。その方向へ視線を向けると使われていない空き教室。確か普段は扉が開放されていた筈だが何故か今日に限って閉まっていて。まさか、と扉に手を掛け開けようとするも中から鍵でも掛かっているのか開く事なく。力を加え何度か試している内、鍵ではなくつっかえ棒のような物で開かなくなっている事を悟り。中に居るのは恐らく椿で間違いない)
―――…おい、開けろ椿。居るのは分かってんだよ。
(ノックとは掛け離れた強さで何度か扉を叩き、中に居るであろう相手に声を掛け。昨日一緒に過ごしただけで、彼が今どんな体勢で何を思いこんな場所に閉じ籠っているか何となく察しがついてしまう。「まさかとは思うが…お前、下らねぇ誤解してんじゃねぇだろうな。さっきの女なら直ぐ様断ってやったよ。…聞こえてんだろ?さっさと開けろ、話はそれからだ」こうなると頑固な相手の事、取り敢えずの不安を拭ってやらなければ扉を開かないだろうと考え、先ずは先程の経過について報告すると相手の反応を待ち)
(背凭れにしていた扉を叩く大きな音にびくりと体を震わせればその瞬間ばかりは涙も止まり、そのまま床を這って扉から離れ何事かとでも問いたげな疑念の表情でそちらに目をやり。聞けば相手は自分を探しに来た彼らしい、彼が自分を追ってきてくれたのは嬉しかったのかそのままゆっくり立ち上がり一度は扉を開こうかとつっかい棒代わりのほうきに手を掛けたものの、次の相手の一言で動きは固まってしまい。)
ーー…何それ。下らない誤解って何、さっきの告白について?誤解なんてしてないよ、ちゃんと正しく認識してる。そんなことわざわざ言いに来たなら、苛つくから今は教室行ってくんね?
(誤解、彼はそれを解くために此処に来たらしい。その言葉はまるで付き合っている彼女に告白現場を見られた彼が言い訳をしにくるような、そんな情景を彷彿させると同時にその情景と明らかに違うこと、つまりはその彼氏彼女にあたる自分達が同性であるという違和感を際立たせてしまい。異性なら例えまだこちらが返事をしていないにしてもそれなりの言い分をもって一言二言刺して終わりなんてことも出来たかもしれないが自分はどうだろうか、男が女に告白されるのは普通のことだしそれを男の自分がどうこう言える筋合いなんてない。きっと彼はそんな当て付けめいた考えなどなくただ純粋に自分を心配して来てくれたのかもしれないが、卑屈な考えに支配された脳みそにそんな言葉が染み入る訳もなく代わりにただただ何とも言えないような苛立ちと憎々しさと、少しの悲しみが増長されただけで。こんな状態で扉を開けることなど出来るはずもなく苛立ちを露にするように握った拳を扉に一回強く打ち付けると額をこつ、と扉に当てない交ぜになった負の感情から酷く低い声で言葉を返せば先程驚きで止まった涙がまた流れ出すのを頬を伝う感覚で感じて。)
(中に居るのはやはり相手で間違いない。しかし返されたのは普段よりもずっと低い声とまるで苛立ちをぶつけるかのように扉を強く叩く音で。優しく繊細な心を持つ相手だからこそ持つ高い感受性から深く悩み、時に卑屈な考えに至ってしまうような部分がある事を何となく感じるようになって来た。扉の向こうの相手は少なくとも傷ついているだろう。そんな相手にどう接すればいいか、己の中の答えは一つしかなく)
――…正しく認識してる…?何をだよ?誤解してねぇなら何でこんな場所に閉じ籠る?お前は俺がさっきの女に靡くんじゃねぇかと少しでも思ったんじゃねぇのか?自分よりお似合いだとか、俺はどうせ男だからとか下らねぇ事考えて一人で卑屈になってるんじゃねぇのかよ?告白されて浮かれて受け入れるとでも思ってんならてめぇ…ふざけんなよ。俺が好きなのはお前だ、お前しか見てねぇ。誰に何を言われたところで揺るがねぇ。これだけはっきりしてんのに他に何が要る?……椿…、お前は何にそんなに怯えてんだよ…?
(扉に腕を置くと極力感情的にならないように努めつつ、扉越しに感じる相手の気配を便りに言葉を投げ掛けて。例えそこに相手を逆撫でするような言葉が含まれようとも、己の中にある正直な気持ちを口にしなければ何も伝わらないと思う必死さが普段より幾分早口にさせ。何度か訊いたが未だに答えが曖昧なままの問いを再度静かに口にし)
(これ以上相手に余計なことを言いたくなくて、重たい感情を吐露したくなくて帰れと言ったというのに追求を続けてくる彼のその言葉ひとつひとつに感化される如くどくどくと鼓動がどんどん早くなっていく。そうして何度目かももう分からない相手からの問い掛けを切っ掛けにぷつりと何かが切れてしまったのかいきなり顔を上げるなり拳を振り上げ八つ当たり紛いに思いっきり扉を殴りつければけたたましい音と、少し遅れてつっかい棒代わりになっていたほうきが先程の衝撃で床に倒れる軽い音が響いて。)
煩い、煩い煩い煩いッ!!人の気も知らないで、馬鹿みたく好き好き言って…っ、どうせ、大した覚悟もないくせに!何に怯えるだ?何もかもに決まってんだろ!?お前を好いてる女も、クラスメートも、親も、社会も、何もかも…お前、も…自分自身だって、全部…ッ!
(正に吐き出すようにという言葉が見あうほどの勢いで悩み溜め込んだ言葉をずらずらと並べ立てるとぐしゃぐしゃと頭を掻き乱しながら顔を両手で覆って。自分勝手な汚い感情をとうとう相手にぶつけてしまった、そんな後悔とこのあとのことを考えれば考えるほど沸き上がるほの暗い恐怖にみっともなく体を震わせながら涙するとそのままずるずると床に座り込んで。もうこんなに悩むほどに相手を好いてしまっている、自ずと表れる自覚は既にこの先のことを想定している。今でさえこんなになっているのにもし付き合ったら?大人になったら?社会に出たら?もし、いつか別れが来たら?そんなもの耐えきれないと思ってしまうほどにもうこの感情は十分過ぎるほどに重たく成長してしまっていて。)
(静かに問い掛けた後、扉への衝撃と共につっかい棒となっていた物が床へと倒れる音がし、空かさず扉に手を掛ければ勢いよく開けて。まさに勢い任せに言葉を放ちながら頭を掻き乱す相手を目の当たりにし、小さく目を見開いたままその動向を眺めていたが、相手が一通り口にし終えれば教室に足を踏み入れ静かに扉を閉め。相手の正面へと屈み、手で覆われたままの顔を見据えながら、ぽんと頭に触れれば軽く髪をわしゃわしゃとし)
――…やっと吐き出したか。お前がそこまで真剣に先の事を考えていたとはな…。元々俺が一方的に惚れたんだ、お前の言う通り覚悟なんてもん正直考えてなかったよ。お前さえ手に入ればそれで良かった。俺にとっては体裁なんざ大した問題じゃねぇからな。…けどお前は違った。
(相手が不安だったのは直ぐ目の前の問題だけでなく、関係を続けていく当たって避けて通れない、普通に考えればこれから悩まされるであろう問題。想いをぶつけるばかりで相手の心の奥の気持ちを理解してやれなかった事を悔やみながら、相手の髪に触れていた手を後頭部に回せばそのまま軽く抱き寄せて)
お前は俺の気持ちに真剣に応えようとする余り、知らず知らずプレッシャーになっちまってるんだよ。お前が心を決めるまで待つつもりが…結果的に負担をかけちまったのは悪かった。けど先の事ばかり考えてたら何も出来ねぇだろうが。そんなに他人の目が気になんなら欺いてでも隠し通せ。俺から逃げたくなったら逃げろ。投げたくなったら投げ出せ。罪悪感に堪え切れなくなったら俺にぶつけろ。その時その時お前がしたいようにすればいい。…今もそうだ、俺の想いに応える気がねぇなら振り払ってでも蹴り飛ばしてでも拒め。体裁云々は知ったこっちゃねぇが…お前に惚れた時点でお前を受け止める覚悟くらいは持ってんだよ。
(己とは何もかも違う彼と解り合うのは容易な事ではないだろう。相手を救ってやりたい気持ちはあるのに今もほぼ己の考えを押し付けているだけに過ぎない。それでも言葉にしないと伝わらない思いもあるとばかりに小刻みに震える身体を抱きながら落ち着いた声音で諭すように告げて)
(いつの間にか彼の腕で抱かれるだけで酷く落ち着くようになってしまった自分、それだけ彼に変えられた以上この感情は恋以外の何物でもないと自覚したのだがしたらしたで重たくなる一方になってしまった自分の感情が自分自身でも上手く制御できなくてこんなことになってしまった。しかし相手はそれを責めることもなくただただ自分を優しく抱き締め諭すように真剣な言葉で返してくれて、そんな真摯な態度を見れば彼の言う通り自分のしたいままにすれば、なんて甘えが生じ。今はその言葉に甘んじて少しだけ駄目な自分をさらけ出してみよう、そう思えるようになったのか目の前にある相手の胸板に額を擦りつけるように寄せ、軽くしわのよったシャツをぎゅっと片手で掴むと残りの床についた手でかり、と床に爪を立てて。)
ーーそ、なこと…言われたら、本気にするぞ…?…お、れ…初めて、だから、どこまで好きでいいのか分かんないし…絶対、重くなると思う。付き合ったりなんてしたら、きっと…一生、あんたのこと離せなくなる…それでも、俺のこと受け止めてくれんの…?
(今でさえ相手が誰かに告白されただけでこんなに大騒ぎしていて、少なくともこれから相手への思いが重くなることはあっても軽くなることはないだろう。そんな重苦しい自分をいつか投げ出されないか、ずっとその重さに拘束されていいのか、相手にはずっと聞きたかった。けれどもし拒否されたらなんて思ったら告白の返事をすることも、この質問をすることも怖くなって一人で溜め込んでしまっていて。この極限状態になってやっと吐き出したそれに相手がどう答えるか、甘えを出そうと決めたところでそれが怖いことには変わりはなくどんな答えが返ってきても大丈夫なようにと耐えるように下唇をきつく噛み締め、瞳を閉じて相手に寄り掛かるとほんの少しだけ相手に擦り寄るように額を動かして。)
(/すいません、何だか急展開を迎えたお蔭か大して茂庭さんを出さないまま原田に腹を括らせられそうですね;;変に場を長引かせるのもアレですから、このまま流れに任せてしまおうと思います!まあそうなると茂庭さんの出オチ感がはんぱないんですが…まあ、彼女にはその内また活躍してもらうと言うことで!←
一応流れが変わってしまい、所謂嫉妬もやもやというのが無くなりそうですがそれでもこちらは大丈夫ですよ、ということだけお伝えに顔を出させて頂きました。)
――……俺だって他人にこんな感情持った事ねぇよ…。この感情が何処まで許されるのか…何処までが限界なのかすらわからねぇ…。…けど俺はお前が欲しいと思った時からどんなお前も受け止めるつもりでいた。
(抱き締めた身体から伝わっていた小刻みな震えはいつの間にか落ち着いていた。己の言葉が届いたのかシャツを掴み胸元に額を擦り寄せてくる相手の愛しさに抱く力を込めると、片手を相手の髪へと移動させ慈しむように撫でながら落ち着いたままの声音で言葉を紡ぎ。所謂心で感じるような恋愛に関しては己も初心者同然、最初は相手への感情に戸惑ったのも事実で。慣れない感情に苛立ちながらも彼を手に入れたい思いが急速に強くなっていった。相手が口にした戸惑いは己にも言える事。今でさえ本気なのに加減無く思うがまま腕の中の相手を愛してしまえばどうなってしまうのか。愛してやまない存在をいつか壊してしまうのではないかという不安と恐怖が無い訳ではないが、先々に怯えてじっとしているのは先ず自分が堪えられない。「だから…、いいんじゃねぇか、答えなんかわからねぇ者同士無我夢中で馬鹿みてぇに溺れてみんのも…」誰にともなく許しを請うような台詞を吐き出せば、相手と視線を合わせるべく胸元からそっと離させようとして)
(/うわあああ…すみませんすみません完全に此方の落ち度です。茂庭さんとのシーンを重ねる内に椿君の嫉妬等が爆発して…みたいな展開にと話し合っていたのに…。凄く迷ったんです、今後の展開を考えたら椿君を見つけられないまま放課後まで持って行くべきなのではと。けど…けど…やっぱり放っておけなかったorz 必死過ぎる余りやらかしました(反省…)
折角素敵キャラな茂庭さんなのでまたの機会を楽しみにしております。いやきっと直ぐ登場する機会があるかと。この二人、恋人同士になったとしても様々な波乱があるでしょうから…/←/流れに合わせて頂き申し訳ない限りです…;;)
(今は深いことなんて何も考えずただ無我夢中に溺れてみる、そんな選択肢などはじめの方に投げ捨ててしまっていた。いつのまにか今の彼ではなく今後の遠い未来の姿ばかりを見てしまっていた自分にとって、そんな言葉は酷く新鮮に聞こえて。優しく髪を撫で付ける手や額に当たる相手の温もりで涙も止まり、目の前には相手が与えてくれた新しい答えがある。ならば、自分を受け止めてくれるという相手を信じて溺れてみたっていいんじゃないか、そんな明るい思想が漸く自分の中に生まれればもう告白の返事を留めておく理由なんて何処にもなく。)
ーー…ちゃんと、受け止めてくれんなら…お前となら、溺れても、良いよ…。
(胸元からそっと体を離され、それと一緒に視線を上げて相手と目を合わせると漸く心のもやもやが取れたのか安堵にも似た安らかな表情でぽつりと呟いてみて。それから少しだけ間を開けて「…だから…これ、も…受け止めて、な…。」などと、少しだけ視線をさ迷わせながら呟くと床に手をついて軽く身を乗りだしそのまま相手との距離を縮めるとそっと、というかほんの一瞬だけ相手の唇に自分の唇を重ねて。勿論すぐに退き再び相手の目の前に腰を下ろすと「…さっきの告白…嫌、だったから…その、埋め合わせ…みたいな。」と一言。溺れてみると宣言した途端何だか素直に行動が出来るようになったような、そんな気がしての少々大胆な行動だったが体は自由でも心の方はまだまだ素直になりきれないのか、"好き"の一言を結局言えていないのは勿論のこと自分から行動しておいて段々後から羞恥が追ってきたのか少しだけ俯き加減になるとじわじわと熱くなる頬と後悔のような気持ちに何とも微妙な表情を見せて。)
(“受け止めてくれるなら溺れてもいい”それはずっと彼なりに悩み迷い苦しんでいた中、漸く見出だした答え。胸から離れた相手と視線が合った瞬間胸に染み渡っていく想いに瞳が揺らいだ間もなく、相手との距離が縮まったかと思うとほんの一瞬触れ合った唇に忽ち愛しさが溢れ返っていく)
――……そんなんでチャラに出来るのか?
(告白の埋め合わせだと告げる彼に向ける眼差しは既に熱を帯始め。一度己から離れた相手との距離はいつの間にか詰められており、緩く相手を捕えると同時に今度は此方から柔らかく唇に触れて。重なり合った唇から熱を感じ合う間もなく離すと至近距離のまま見詰めて。「…椿」相手への想いの全てをその一言に変えたような切なくも甘い声音で愛しい名を紡げば再び相手を求め唇を重ね。今までの奪い押し付けるような乱暴なものとは打って変わった優しく緩やかな口付けを与えるも、膨らみ過ぎた想いを解放するかのように相手を抱く腕には次第に力が込められ、角度を変えながらの口づけもそれに比例するように愛でるような愛撫を加えたものに変化していき。相手の柔らかな唇の感触を散々堪能した後、濡れた唇の隙間を割るように舌を侵入させようとして)
ッえ…ーー!
(彼の言う"そんなん"は今の自分からしてみれば大分頑張った行動だった、しかしそれにも関わらず返ってきたその言い草に思わず間の抜けた声を漏らし。それからそっと顔を上げてみればすぐ傍にある相手の顔、更には優しいながらも自分を捕らえるように添えられた手に流石に何をされそうなのかを察したのか僅かに驚いたように目を開くと羞恥を感じているらしくふるふると唇を震わせ。もう拒む理由なんて何処にもない、ならば高ぶる思いのままに彼に身を委ねてみようかと決心したように唇が触れ合う寸前瞳を閉じるとその口づけを受け入れ。拒んでいたのは自分なのだが、それでも想いがきちんと伝わりあった後の口付けは以前のものよりも愛しさの込み上げてくるようなものとなり、自身を抱く彼の腕が強まり始めるころそっと相手の首に腕を回すとワイシャツをぎゅっと握りながら腕を引き体を密着させて。そうして慈しむような口づけに酔いしれること暫く、不意に唇を割り開こうとする舌の動きに気付くと思わず体を固くし。嫌なわけではないが、恋愛なんてしたことがない自身からすればこの先待ち受けるであろうものは漫画やらドラマやらの世界でしか見たことのないほぼ未知なるもの。流石に不安だったのか未だ微かにに涙の残る睫毛を震わせ薄く瞳を開くと不安からか彼の首に回した腕を僅かに強め、しかしそれでも相手の想いを受け入れたいと言う気持ちから恐る恐るといった至極ゆっくりな動作ながら唾液に濡れた唇を薄く開いて。)
(此方の想いや口付けに応えるように首に腕を回し引き寄せるような行動に益々深まっていく愛しさを抱えながら暫しその行為に酔いしれていたが、唇を割ろうとした瞬間相手の体が硬直したのを感じると、大丈夫だと宥めるように髪を撫でながら唇の隙間を自然に作らせるような動作を優しく施しつつ相手の反応を待ち。やがて控え目ながら己を受け入れるように唇が薄く開かれれば密着を深めるべく相手の頭を引き寄せ、侵入させた舌先で相手の舌を軽く刺激した後、深く絡めるように掬い。想いが先走り性急で荒々しいものにならないように努めながら口付けを深めていく最中、扉の向こうから相手を探しているらしい友人の声が聞こえれば口付けの動作を緩めて。未だ相手は解放しないまま閉じていた目を薄く開くと声の方向に視線を向け様子を窺い)
(慣れない此方に気を遣ってくれているのだろう、深く濃厚なはずなのに慈しむような優しさを感じさせる口付けは初めてでこんなことを考えるのも何だかアレな気がするが酷く心地好くて思わず酔いしれたようにうっとりとして。薄く開いていた瞳を閉じ慣れないなりに相手の先導に沿うようにそっと舌を動かしそれから暫しの間何とも言えないこの甘ったるい空気に身を投じて。そうしてぴっとりとくっついた体から伝わる熱に体を委ね始めた頃、不意に相手の口付けが緩やかになったような気がし再び瞳を薄く開きながら周りに意識を向けてみれば聞き慣れた友人の声が聞こえ。前ならば此処ですぐに離れてしまったかもしれない。けれど今は、そんな状況すら仄かな背徳感をぞくぞくと感じさせることで気分を高めてしまい。まあだからといって何時までもこうしている訳にもいかないという分別位はつくのか、名残惜しむようなゆっくりとした動きで相手の肩を押し離れると「…そろそろ、探してる、から…。…あ、とで…また、とか…駄目、か?」と呟き。)
(廊下から届く聞き慣れた声に相手も気付いたのだろう、拒むのでは無くゆっくりと制止を掛けるような動作で肩を押される事に気付くと、名残惜しさと留まったままの熱を残しながらもそっと離し。控え目な様子で一時の解放を願う相手が妙に可愛らしく見え、ふっと笑みを浮かべては「…それはこの続きを期待していていいって事か?」と少しばかり意地悪い問いを投げ掛けながら、深い口付けを堪能した後の相手の濡れた口許を指先で軽く拭ってやり)
ーーう、ん…。…帰り、教室まで迎えに行く…から…。
(唇に触れる指先に微かにぴくりと震え、戸惑うような恥ずかしがるような複雑な表情で視線を揺らすものの確かな意思を持って頷くと最後には相手ときちんと目を合わせて。それから帰りのことを一言、囁くような小さな声で呟くとゆっくりと立ち上がり荷物を手に扉の方へ歩いていって。迎えに行くといったのも例え相手がどれだけ自分に好意を示してくれていてももしかしたら今朝の茂庭のような女子生徒が他にも居るかもしれない、そう思ったら欲張りかもしれないがなるべく相手と一緒に居たいなんて思ってしまい。それ故の言葉、その後扉の前まで行くと一度振り返り「…じゃあ、放課後また。」と呟くと扉に手を掛けて。)
(/一先ず原田に漸く踏ん切りをつけさせることができました、ありがとうございました!このあとの展開なんですが、ひとつやってみたいものがありまして。時期は少し過ぎてしまったんですが文化祭ネタをやりたいな、なんて思っています。そこで久しぶりに棗ちゃんに扮装させたくて←/勿論トピ主様の方針があるのでしたらそちらを優先的に進めさせて頂くつもりですが、もし特にやりたいものがないということでしたらこちらを取り上げて頂けませんでしょうか?)
…あぁ、わかった。待ってる…。
(唇に触れた指先をそのまま頬に移動させれば優しく包むように触れ、愛しげに見つめた後にそっと離し。その場に腰を下ろしたまま扉へと移動する相手を視線で追うと、呟きに対して薄く笑みを浮かべ軽く頷き。相手が部屋を後にした後、未だに残る相手の声や感触の余韻、そして想いが伝わった幸福感に浸るように壁に後頭部をコツ、と預け、暫しそのままぼんやりとしていて)
(/お返事遅くなりましたorz
そうか…世間は文化祭シーズンだったのですね。特に方針も無かったのでその案でいきましょう…!何だか男子が棗ちゃんに群がって上原が大変な事になりそうですが…/←/具体的にどう進めたいとかどんな展開にしたいとかありましたら教えて下さると助かります!棗ちゃんに扮装するのはどういった経緯から…など、お考えにある限り何でも結構ですので!)
ーーッあー、疲れた…。何だって三年の文化祭であんなに力入れるんだか…受験しろよ、受験…。
(相手と別れたあとは友人たちにもそれほど追求されないまま授業に参加することが出来、気が付けば約束をした放課後まで時間が経っていて。彼との関係をきちんと整頓できたことに現を抜かす余裕もなく次は文化祭、と気合いを入れるクラスメート達に散々こき使われたのか廊下を歩く姿は何処から見ても疲れた様子が見受けられ。こきこきと固まった肩を解すように骨を鳴らしながら相手の教室の傍までくれば、HR中かもしれないからか静かにそっと教室の後ろの扉から中を覗き込んで。)
(/大丈夫ですよー!もし余程長期、例えば二週間だとか空ける際くらいにご連絡頂ければ大丈夫ですから。
んーっとですね、一先ず今回は上原君と茂庭ちゃんが同じクラスというのも絡めて構成を考えたいと思っています。まあ文化祭ですから、ベッタベタ感はありますが所謂喫茶店なんかのメイドさんでもやらせられたら、と。ここで上原君のクラスと原田のクラスの出し物が飲食系で被っておりそちらは茂庭ちゃん、こちらのクラスはまた適当なモブ子が客寄せパンダ的な存在だとしますね。しかしモブ子が当日になって欠席、どうする?となったところで友人に進められた原田が茂庭ちゃんへの闘争心的な後押しもあり代役を務める、という流れは如何かと。出し物については似通った雰囲気というところで上原クラス→和風の茶屋、原田のクラス→英国風のカフェ程度でいいかな、と考えています。
色々と雑な部分もある設定ですがいかがでしょうか?全体的に何ともホモ独特のお約束感が強く、かつ何となく原田が女々しさを発動しそうな感じになってしまいました;;細かいところはやってみて決めていく、みたいな感じになってしまいますが…何か不明瞭な点や気乗りしない部分など、ありましたらどうぞ遠慮なくおっしゃってくださいませ!)
(早く放課後にならないかと逸る気持ちを抑えながら乗りきり、漸く迎えたHR。もうすぐ解放されるかと思いきや文化祭の出し物について盛り上がるクラス内。…正直どうでもいい。文化祭なんてまともに参加した事もない。何でもいいからさっさと話を纏めて解放しろ。苛立ちが小刻みに膝を揺らさせ、何度目かわからない舌打ちを放ち。先程から廊下を行き交う生徒達の話し声が聞こえる辺り、他のクラスは既に終了したのだろう。後ろの扉にふと視線を向ければ教室を覗く数人の生徒達。その中に放課後迎えに来ると言っていた相手の姿を捕えれば視線が合うのを待ってから笑み掛けて)
(/了解です、有難うございます!仕事が忙しい時期に突入しまして…落ち着くまで暫く間隔が不規則になりますが必ず来ますので…!
おお…とても面白そうな案じゃないですか!やりましょうやりましょう。文化祭イベントに関して出来る限りそちらのお考え通りに動きたいと思いますので、要望などその都度何でもおっしゃって下さいませ。)
(教室の中を覗いていれば相手を発見すると同時にぱちりと合った視線、瞬間笑いかけてくる相手に何とも照れ臭いようなこそばゆい気持ちになり。少しだけ視線を揺らしてからもう一度相手に目を合わせ、軽く微笑み返しながら相手が理解してくれるかはさておき口パクで"待ってるから"とだけ伝えると扉から離れ、壁に背を凭れかけたままずるずると床に座り込んで。まだ少し時間が掛かりそうな話し合いの様子にやれやれと肩を軽く竦めながら何となくその話し合いに耳を傾けてみると、計画段階とはいえ自らのクラスと何となく被ったその内容に思わず苦笑を漏らして。)
(/了解致しました、お仕事頑張ってくださいね!レスはこちらもゆったりで問題ありませんしきちんとお待ちしますので、どうぞお体には気を付けてくださいね。お仕事でお疲れの時は無理に返そうとしなくても大丈夫ですから!
こんな提案に乗っていただけるとは、嬉しい限りです^^今回は今までとは違い多数の視線のある文化祭というイベントでの女装というこですから、出来ればちょっぴり嫉妬しちゃう上原くんやコスプレ…は、着てくれるか分かりませんがそんな非日常的な上原くんが見てみたいなー、なんて思ってます←/しかし基本そちらで動いていただいて構いませんのでお任せいたしますよ!)
(視線が合った途端一度は逸らされたかと思えば照れたように笑み掛けてくる様子にふっと笑みが溢れ。その唇の動きから言葉を読み取れば小さく頷き、彼が視界から外れたのを確認すると再び前を向き面倒な話し合いに軽く溜め息を洩らして。文化祭の催し物は和風喫茶という方向で一先ず話が纏まり、漸く解放されると荷物を手にし相手の元へと向かい。廊下に出れば待ちくたびれたのか壁を背に座り込んでいる相手。声を掛けようにも先ずは周囲を気にしなければならない。周囲に疎まれつつある己がごく普通の明るい生徒である彼にどう声を掛ければ不自然にならないか、気持ちが通じた後はどうしても今まで以上に悩んでしまい。一見無表情ながらも何処か困惑を滲ませた表情で見下ろしながら、何かの合図のように無言で相手の頭を軽く小突き)
(/優しいお言葉有難うございます…!!色々後回しにしてでもお返事したい気持ちはあるのですが、少しでも足を引っ張らないようなレスを考えるのに時間も頭も要するのも現状ですorz
勿論嫉妬はしまくりますよb 冷めた振りして実は激情型な上椿君にベタ惚れなんで/←/コスプレというと…茂庭ちゃんは浴衣とかになるんでしょうか?上原は着なそう…というか文化祭自体興味無さげですが、何だかんだで椿君の言う事は聞く筈です/笑/では一旦引っ込み、また何かあれば確認等させて頂きますね!)
ッ、て…たく、もうちょっとマシな呼び方ないのかよ…。
(ぼけっと廊下を行き来する生徒達に目を向けているうちに大分意識があらぬところに飛んでしまっていたらしく軽く小突かれただけだというのに思わずびくりと肩を大袈裟に震わせてしまって。すぐ驚いたようにばっと顔を上げると何となく困惑の色を浮かべた表情で此方を見つめる相手と目が合い、困ったような安心したような微妙な表情を浮かべゆっくりと立ち上がると気を抜いていれば周りの喧騒に紛れて聞き取れない位の小さな囁き声で相手に不満をこぼすと共に仕返しとばかりに相手の腹部を軽く肘で小突き返して。待っていた相手が現れた以上長々と人の多い廊下に居座る理由もなくなったため腹部を小突いた後それとなくくい、と相手のシャツを引っ張るとそのまま手を離しついて来るようにと合図する如く僅かに視線を動かすと先導するように先に歩き出し始めて。)
…あの場で下の名前呼ばれるよりはマシだろうが。下手に声掛けりゃ俺にシメられると思われる可能性もあるしな。
(仕返しとばかりに腹部を小突き返されるも特に言い返す事もやり返す事もせず、相手の合図に従うように歩き出す際周囲の声に巧くかき消されるくらいの小声を返し。人気が無くなるまでは念の為ある程度の距離を取りつつ相手の後を着いていき)
…まあ、そうかもしんねぇけどさ…。
(徐々に人気も薄れ始め帰宅の生徒がちらほら見える程度まで落ち着いた昇降口まで辿り着くと漸く小声程度の音量で話し掛けることが可能になり。その言葉に続けて僅かに拗ねたように唇を尖らせながら「…なんつうか、さ。分かってはいたけど甘さの欠片もない下校イベントだな、と思って。」と呟き。あれだけ付き合うにいたるまでうだうだと悩み続けたわりに何だかんだ言ってそういう恋人らしい甘さに多少の憧れもあるらしく、そんな文句を口にすると慣れた手付きで外履きのスニーカーに履き替えて。)
…は、それで拗ねてんのかお前は。イチャつきながら下校してぇならこれから女装グッズでも持って来りゃいいだろうが。
(多少の照れがあるのかと思いきや甘い雰囲気を得られない事に対し拗ねていたのだと察すると、無性に可愛く思え思わずふっと吹き出してしまい。割と真剣に呟いたであろう相手に向かい思い付きの案を軽々しく口にしながら靴に履き替えれば玄関を出て。「…俺はそのままでも構わねぇけどな」同性である相手と人目につく場所で恋人同士のように接する事は無理だと解ってはいるも己にしてみればそんな事は関係無く。相手さえ望むなら何時でも何処でも要望に応えられるという事を知っておいて欲しいという思いからか、ぽつりと付け加えながら笑み掛けて)
ッい、イチャつきながらがいい、とかそういう訳じゃ…ない、けど…。
(自分の要求したことは確かに相手の言う通り"イチャつきながら"というものに当てはまるのかも知れないがそこまで言葉ではっきり表現されると照れ臭さやら何やらでどうしても否定したくなってしまい。「ただ、なんつうか…ほんとに付き合ったのか、みたいな感じになったっていうか…さ…。」などと言い訳に聞こえても仕方がないような台詞で誤魔化すようにすると相手に続いてこちらも昇降口を出て。以前まであまりベタベタくっついているような男女の恋人たちを見るとやる気を吸いとられるような、何とも言いがたい気分になって嫌だったというのに、当事者となった今何だかんだ言って自分もそれを求めてしまっていると自覚すると妙に恥ずかしいような気持ちになり。正直相手が冗談で進めてくれた女装を一瞬でもアリかも、と思ってしまった自身を自嘲するように苦笑いを浮かべると「…まあ、くっついてばっかいるのだけが恋人たちをらしいって訳でもないしな。」などと自分に言い聞かせるように呟いて。)
だったら何を求めてんだよ。愛されてるっつぅ実感が欲しいならいつでも与えてやるぜ?お前のその身体に。
(先程から隣で何やら煮え切らないような発言ばかり溢している相手を何処と無く楽しそうに見つめながら歩き出し。恋人同士になったからといって彼のような下校時等の拘り云々はないものの、学校内で好きに接する事が出来ない不便さは確かに感じていて。彼が言いたい事を何となくは理解している為、元気付けも兼ね顔を覗き込みながら意味深な笑みと言葉を向け。何だかんだでやはり相手の要望は可能な限り叶えてやりたいという思いはあるようで「…まぁお前の理想を実現するつもりなら冗談抜きで女装するなり遠出するなりすべきだろうな。」と真面目に考えた事を口にして)
ッそ、ういうこと軽々しく言うなよ!真っ昼間から何脳内ピンク色にしてんだ、この変質者っ!
(どれだけ恋に初であろうと所詮は青春真っ只中の高校生、相手の言葉から連想されるべきであろう情景も知識としてだけは何となく分かっていたのか恥ずかしいような、困ったような微妙な表情を浮かべてこちらを覗き込む相手と自分との間に制止するように自らの手を差し込むと若干戸惑ったような早口で言い返して。自分が発端とはいえ、どうにも健全な高校生がするには些かハイレベルな会話となってしまったような気がする。話しにくいこの話題を避けるように「あー…そういえば、お前のクラスも文化祭の話してたよな。出し物何か決まったのか?」などと若干無理矢理ながらも話題の転換を試みてみて。)
…あ?俺は本気だ、昼だろうが夜だろうがお前が目の前に居る限り関係ねぇ。今朝も俺がどれだけ堪えてやったと思ってる?
(確かに元気付けも兼ねての発言だったが軽々しい気持ちは微塵もないようで、心外だというように眉を寄せると元の体勢に戻りながら反論し。相手とは性格が異なる故、価値観の違いが生じても可笑しくはないとは思うものの、愛しい相手に触れた際のあの情動を理解して貰えないのかと思うとつい熱くなってしまう己がいて。しかしその反面彼を大事にしたいと思うのも本心で、これ以上この話を続ける事でまた体が目的だのと誤解されては困ると感じ、息を逃して冷静さを取り戻し。「あぁ…興味ねぇから半分聞き流してはいたが、和風喫茶がどうのっつってたな。…お前は好きそうだな、文化祭だのその手のイベントは」HRでの話し合いを思い出して答えると、相手に横目を向けながら思った事を述べて)
あー…聞こえない、聞こえない聞こえなーい。
(こちらの反応が不服だった様子で反論してくる相手の言葉にまともに対峙してはうっかりそのまま懐柔されてしまいそうで、恐らく相手の不満を増長してしまいそうなことも承知でわざとらしく棒読みで声を遮ると両手で耳を覆い。下校に"恋人らしさ"なんてものを求めておいて何とも身勝手なのは分かっているがやはり一気に相手に溺れてしまうのは正直怖い、相手にとっては生殺しのような歯痒い思いをさせているやもしれないと理解していてもこればかりは恋愛初心者としての理性がブレーキとなってしまいどうにも叶えてやることは出来そうになくて。話変わって文化祭の話題となったが予想通り何とも気だるげな相手に思わず苦笑をもらし。「…お、うちはメイドカフェ的なのやるらしいからライバル店って感じだな。元々イベントは好きだけど、やっぱ今年は高校最後の、ってことで余計気合い入ってんだよ。」相手の予想通りと言うべきか、イベント好きというのはやはり当りらしく楽しげな様子で応えると"高校最後の"と言ったところで少しだけ寂しさのような思いが胸の奥の方で燻ったような気がして僅かに眉を下げて。)
椿、てめぇ…
(此方が真面目に語っているにも関わらず都合の悪い事は流すかのようにわざとらしい物言いで耳を塞ぐ相手にカチンと来たようで、耳を覆う指を不意に舐めたかと思うと間髪入れずじゃれるかのように噛みついてやり。そして何事もなかったように離れれば、文化祭について楽しげに語る相手を前に取り敢えず今年は参加するのも悪くないか等と思案し出した最中、その内容にピクリと反応を示し。「メイドカフェ…、それはお前も女装したりするのか?」脳内では早くもメイドに扮した相手が登場しあらぬ妄想が繰り広げられつつあるようで、突如腕を掴むと変に熱が入った様子でじっと見据え)
ッぅ、ひ…!おま、いきなり何…ーー普通にしねぇよ、馬鹿。男はウェイターか調理、メイドは女がやれば十分だろ。
(少々蔑ろにし過ぎてしまったかと己の反応を反省し始めた頃、不意に指にぬるりとした感触を感じそちらに目をやると僅かな痛みと共に自分の指を噛む相手の横顔を捉えて。思わず口から漏れた奇妙な声を遮るように口許に手を当ててから、相手が仕出かした事を理解し始めると共にじわじわと襲い来る羞恥に仄かに頬を染めて。そうして何をするんだと反論しかけた時再びの相手からのアクションに腕を取られたかと思えば何故か妙に熱の入った言葉、しかしその内容はといえば正直どんな顔をしてやるべきかと悩むようなもので。深呼吸をひとつし気持ちを落ち着けると困ったような呆れたような、微妙な表情で相手を見つめながら淡々とした口調で答えて。)
…てめぇ、期待させんじゃねぇよ。メイドに扮したお前を連れ出して普段味わえねぇ楽しみ方をしようと思ったのによ。
(勝手な期待を持ち一人盛り上がり掛けていたにも関わらず返って来た言葉にあからさまに舌打ちすれば、何処まで本気かわからない事を真顔でさらりと口にし掴んだ腕を解放して。「文化祭か…面倒臭ぇな。気乗りはしねぇがお前が居るなら今年は適当に参加してやるか」全く興味がない己からしてみれば高校最後の文化祭という事で妙に気合いが入っているらしい周囲が鬱陶しく感じてしまい、今後の準備やら何やらを思うと面倒臭さに溜め息しか零れず。しかし文化祭を楽しみにしている相手を間近で見ていたいという気持ちも沸いたようで)
…お前がちゃんと文化祭参加すんなら、もしかしたら俺もメイド服着るかもな。
(相手の高校生らしいといえばらしい所謂フィクションでよくありそうな願望に思わず突っ込みそうになるもののそれをぐっと堪えると何となく可哀想なものをみるかのような同情めいた視線でそちらを見つめ。しかしその後の相手の言葉を聞くとここで少し考え込む。自分が出るなら文化祭の参加を考えるという相手、先程の落胆した様子、他にも今までの相手と過ごした日々で大分理解した相手の性格。これらを考慮した上で条件のような曖昧なほのめかし方で先程まで着ないと言っていたメイド服について、ぼそりと一言呟くと様子を伺うようにちらりと相手の方を見つめながら緩く首を傾げ。折角の高校最後の文化祭、恐らく今までまともに参加してこなかったであろう相手にも今回くらいはきちんと参加してほしい。そんな思いで口にした条件が相手にどんな影響をしてくれるか、そちらを見つめたまま上手く乗っかってくれることを願って。)
――…っ…、
(呟かれた言葉にぴくりと小さく反応しそちらに視線を向ければ此方の様子を窺うような相手と視線が合う。元々彼に惚れた切っ掛けとなった女装、それもメイド姿に扮するとなれば心揺さぶられないわけがない。先程想像したような展開が脳内で繰り返し再生され、彼と視線が絡まったまま逸らせなくなり。しかし此処で少し冷静さを取り戻し考えてみれば、彼の女装はそうメリットばかりではない。気持ちが通じ合った事で柄にもなく浮かれ忘れ掛けていた、元々中性的でありよく整った彼の顔立ちがどれだけ魅力的かという事を。男子高校生らしい普段の馴れ合いに因んだ表情のせいか幸い余り広くは知られてはいないようだが、文化祭で女装するとなれば一気に注目を浴びる事は間違いない。そんな彼の魅力に今まで気付かなかった連中が急にちやほやして来る姿が浮かべば、彼の指摘通りピンク色だった脳内は忽ちどす黒い独占欲に支配されていく)
――…着なくていい。むしろ着るな、絶対着るんじゃねぇ。
(先程とは違う強さで不意に腕を掴むと、眉間に皺を寄せながら突如意見を翻して)
ッえ、あれ何でだ!?
(女装で一応彼氏(彼女?)にあたる相手の士気を上げるというのも何だか複雑な気持ちだがそれで少しでも相手の高校生活が楽しいものになるのなら、と提案していたはずなのに先程の様子とはうって変わって渋い表情で拒否を示す相手に思わず驚いたように目を見開くと動揺を隠すこともせず何故と口にして。自分の発言が一体どんな変化を遂げれば相手の態度をここまで翻らせるのか、困惑したような表情のままそちらを見つめ考えていたが取り敢えず自身の女装が彼にとって不利益を成すということだけは理解した様子で。別に進んで女装したがるような変質者に成り変わってしまったつもりはないが、こうも拒否されると何だか複雑な気持ちになってしまう。若干不服なような、何とも言いがたい思いを内包したまま「…まあ、お前が着るなって言うなら着ない…けど、さ…。」と歯切れの悪い言葉で返すと強く腕を掴む相手の手を外そうとするようにそっと空いた方の手を相手の手に重ねて。)
……てめぇで考えろ。
(己の発言は相手の予想に反していたのか明らかな動揺が見られ。多感な癖に自分の魅力には全く気付いていないらしい相手が少しだけ憎らしく、何処か恨めしげにじっと見据えた後短く返し。感じたままの気持ちを包み隠さず告げ、お前は俺の物だと解らせてやるのは簡単だが、自分がどれだけ目を引く存在か少しは自覚して欲しい、そんな思いが己の口を閉ざさせて。何か言いたげに見つめていたがやがて掴んだ腕をそっと離すと、相手から外した視線を前方へ向け暫し無言で歩き)
…まあいいや。そういう訳で今年の文化祭は気合い入れるから、終わるまでちょっと忙しくなるから。…お前んとこもだろうからわざわざ言わなくてもとも思ったんだけど、まあ…一応な。
(相手の心配を他所に前提として男の女装に群がるのなんぞ興味本意の女子か物好き程度、という認識を持ってしまっているためか彼の考えを恐らく一ミリも理解出来ていない様子で不審げに首を傾げ。先を歩く相手の斜め後ろを着いていきながら文化祭までのこれからについて一言残すと少しだけ気まずそうに頭を掻いて。漸くお付き合いなるもののスタートを切った矢先に距離が出来るのは自分としても本意ではないが、それでもクラスメートの面々のことも考えると手伝わない訳にもいかず。「…なんつうか…その、ごめんな…。」と申し訳なさそうに僅かに眉を下げながら謝罪を口にすると様子を伺うかのようにそっと相手の背中を見つめて。)
………。
(歩みを進めながら斜め後ろから聞こえて来る声を無言で聞き。まともに参加していなかったとはいえ文化祭の時期の活気や慌ただしさは理解している。高校生活最後となれば今まで以上に気合いも入り忙しくなり事は予想の範疇で。しかし彼と接する機会が少なくなる事については勿論の事、己が知らない場でクラスの連中と同調し絆を深めていく事が気に入らない。今まで感じた事がない嫉妬心や独占欲に自分自身驚くと同時にこの女々しい感情が許せず、やり場のない感情を圧し殺すように奥歯を噛み締めて。次に届いた申し訳無さそうな謝罪の言葉に歩みを緩めて振り返れば、何とも情けない表情をした相手。相当困らせてしまっていた事を察するとふっと控えめな笑みを浮かべ。「…楽しみにしてるんだろ?悔いがねぇようにやれよ。後で埋め合わせはきっちりして貰うけどな。」その表情を和らげたい思いで相手の髪をくしゃりと撫でて。手に入れた事で欲ばかり先走ってしまっていたが、相手の笑顔を見る事に喜びを感じる事を思い出すと、軽く背中を叩いて並んで歩き出そうとし)
…おう、ありがとな。…埋め合わせ、も…どうするか、とか一応考えとく…。
(相手の無言の背中から何となく重いというか暗いというか、そんな雰囲気がひしひしとこちらに伝わってくる。相手のこれまでの言動諸々からいえば恐らく自分と友人が相手よりも近付くことをあまり良く思っていないのだろう。もう一言くらい詫びを重ねてみるべきか否か、と考え始めた時視界の隅で捉えていた相手が不意に振り返ったのを感じそろりと視線を上げ。すると今までの重い雰囲気を払拭してくれるような言葉と共に髪に触れる相手の慣れた手のひら、許しを貰えたことは勿論だが漸く見えた相手の笑みに酷く安心し頬を緩めると緊張が薄まったいつも通りの声色でそっと応えて。同じ速度、隣を歩き始めて暫くするとそろそろ自宅の付近となる辺りまで歩みを進め「…じゃ、この辺で。また明日…に、なるかは分かんねぇけど。」との言葉で立ち止まり、もちあげた手のひらを軽く振り。)
(/そろそろ帰宅となりますが文化祭までの準備期間的なものはどうしましょうか?どうしてもレスが細切れになってしまうと思われるので、私としてはある程度こういう流れで進んだ、的なお話さえ本体同士で出来ればこのまま当日まで飛ばしてしまっても構わないのですが。)
(埋め合わせを、と告げる相手は緊張が緩んだのか普段と変わらない声音と笑顔で。埋め合わせ云々よりもその事が嬉しく、心温まるような感覚を覚え返事代わりに笑み返し。それから暫く歩調を合わせて歩みを進めればあっという間に相手の自宅付近に差し掛かり。ほんの一時別れだというのに無性に切なくなるのは相手が隣にいる感覚を知ってしまったからだろうか。一、二歩と歩み寄ると、返す言葉も出ないまま不意に相手を抱き締めてしまい。幸い人通りも少ないとはいえ注意を欠き過ぎだとは思う、しかし衝動に抗えないのも事実で。相手の前では感情のコントロール等意味を持たなくなる事を改めて思い知らされつつ暫しそのまま抱き締めては「…顔くらい見に行かせろ。じゃねぇと発狂する」解放する前に反発するような台詞を吐き。自分でも呆れる程餓鬼臭い事を言っているのは理解しているが、強ち嘘でもない。例えこうして触れる事が出来なくても、会話すら出来なくても、せめて顔を見るだけでもと切に願ってしまう。そんな己を内心自嘲すれば「…またな」一言挨拶と共に笑みを残して踵を返し)
(/ですね、そうしましょうか!次レスでこのまま当日に進めてしまっても構いませんし、何かありましたらレスを残してから移って頂いても構いませんので!ただ、もしも当日を此方から始める場合、どんな展開から入っていいか…そちらの都合があると思いますので、その際は教えて頂けたら助かります^^)
ッ、…俺も、大分毒されてきたな…。
(別れ際の抱擁に一瞬頭の中が真っ白になったのちに恥ずかしさなのか嬉しさなのか、もはやどちらとも判断する余裕がなくなるほどの熱い何かが込み上げてくるとともにどくどくと心臓が煩いほどに鼓動を繰り返し。結局彼が殆ど見えなくなるくらい離れるまで動作は完全に停止したままそちらを見つめていたが、暫く経って漸く一言声を漏らすと耐えきれなくなったようにしゃがみこみ。)
ーーーーーーーーーーー
ーー…あんなこと言っといて、結局当日までろくに会えないとか…俺、結構最低な彼氏だよ…な…。
(先日の別れから日が過ぎ今日はとうとう文化祭当日、朝早くから割り振られた店番のお蔭で朝すら相手と共にすることも出来ず開会式までまだ時間があるというのに己は既に教室にスタンバイさせられてしまっており。今朝も共に出来ないことを旨とした送信済みのメール画面を眺めながら恨めしげに一言呟くと、最近ろくに会えなかった彼のことを思い。何はともあれそんな日々も今日で一先ず終わるのだから、と自身を奮い立たせ指定された衣装を手に取ると、制服のままのシャツと黒のスラックスの上から羽織るだけの後ろが燕尾服モチーフに伸びたベストと襟を飾る白いスカーフ、それを押さえるためのブローチをするするとその場で身に付けて。)
(/時間があったので最終レスと文化祭の開始レス、どちらも返してしまいました!←/流れとして当日まで結局ろくに会えなかったような描写も追加させて頂きました、その方が原田のヤキモチ的なフラストレーションも溜まるかな、と思いましたので。何だか私の要望ばかり聞いていただいてしまっているようですみません;;そちらはご意見、ご不満等何かありますでしょうか?)
(相手が言っていた通り彼のクラスは相当気合いが入っているのだろう、下校はおろか登校すら一緒に出来ない日が続く中文化祭当日を迎え。己は頼まれた仕事しか携わっていなかったとはいえ此方のクラスも気合いは十分のようで。早々と衣装に着替えを済ませるクラスメイト達をよそに携帯のメール画面を開くと、思わず溜め息が溢れるような内容のものが今日までに何件も溜まってしまっている事にまた一つ溜め息が漏れ。少しでも会えないか、せめて姿を見れないかと制服姿のまま教室を抜け相手の教室へと向かう途中、クラスメイトに呼び止められ。“開会式が始まるから早く着替えてくれ”との事。思うようにならない苛立ちから舌打ちするも、相手が楽しみにしていた日に問題を起こすわけにもいかない。「…行けばいいんだろ」苛ついた口調ながら返事をすれば、渋々諦めて教室へと引き返していき)
(/有難うございます!椿君の様子や心情がわかるのは嬉しいです!不満なんてとんでもない、此方の要望はもう十分過ぎる程叶えて頂きましたので、意見や要望などどんどん仰って下さるとやりやすいし嬉しいです^^此方も何か要望等あればご相談させて頂きますのでご心配なくb
それで一つ確認なのですが、此方のクラスの衣装というか茂庭ちゃんの衣装なのですが…浴衣と解釈して宜しいんでしょうか?取り敢えずお返事頂けるまでは上原には制服姿のままうろうろさせておきます/笑)
ーーやっと抜けられた…後であいつらに礼言っとかないとな…。
(開会式が終わればあれよあれよとしている間もなく地域の人々やら他校生やら、慌ただしく動き回る生徒達で校舎内はごった返しになり。そんな中人の波を掻き分けながら衣装のベストを身に纏ったまま一人廊下を進んでいればどうやら短い間ながらもシフトとして割り当てられた時間から友人の手助けにより抜け出すことができた様子で。自分が抜けずとも大変であろう中送り出してくれた友人に後で礼を言わなければと感謝の念と共にぽつりと呟くと、それから少し急ぎ足で相手の教室に向かって。この大変なタイミングで行動を起こしたのも訳があり、彼に何らかの用件を伝えたい様子ながらも混雑のせいで携帯が繋がらないといった状況がそもそもの元凶で。楽しいことは楽しいがこればっかりは文化祭の賑わいを少しだけ恨みながら、漸く彼の教室までたどり着くと恐らく店の何処かにいるであろうその姿をそっと扉の陰から探して。)
(/そうですね、和風の喫茶店という設定ですから女子は浴衣に腰に巻くタイプのエプロンだとか、そんな感じでしょうか?もしくは女学生風の袴にエプロンなんてのも可愛いかもしれませんね。まあこちらについてはどっちでも大して変わりませんからお好みの方をお選び下さい/←/
上原くんにつきましてはやっぱり着てくれるのならば浴衣が見たいですかね!夏も終わってしまい浴衣を見る機会もなくなってしまいましたし…。
ついでにお話ししようかと思うのですが原田が着る予定のメイド服はどんなものにしましょうか?これに関してはやはり上原くんの好みを反映してしまったものにしたいな、と思いまして。)
…冗談じゃねぇ。
(開会式が終わればあっという間にごった返す校内。まともに参加するのは今回が初、盛り上がるとは聞いていたが想像以上の人混みに圧倒され。人混みは好きではない故早くも抜け出したい思いに駆られ、不快そうに眉を寄せながら独り言を溢し。あれから指定された浴衣に渋々着替えたはいいが、何せ初めての文化祭。てきぱきと機敏に動く周囲とは真逆に何をしていいかすらわからず、その辺のクラスメイトを掴まえては仕事を訊ね、面倒ながらも黙々とこなしていて。不意に騒がしさを増すテーブルに視線を移すと、一人の女子に男子が群がっている光景。囲まれて困った様子ながらも笑顔を絶すことない彼女こそ以前校門付近で己に声を掛けて来た人物で。あれから彼女が同じクラスであり、相当な人気だという事を知った。どうやらその恵まれた容姿からも今回クラスの客寄せ的な存在として期待されているらしい。彼女が絡まれていようとも己には関係なく放っておけばいいのだろうが、彼女目当てで屯している連中のせいで席がなかなか空かずに行列が出来ていく始末。クラスメイト達も次第に困り始めたのを切っ掛けに、この現状を打開すべく仕方ねぇなと立ち上がり。その時扉から此方の様子を窺う会いたくて止まなかった相手の姿を視界に捕えてしまえば、当初の目的など忘れたかのように足は恋人の方へ向かってしまい)
(/なるほど、袴も可愛いですね!茂庭ちゃん似合いそう!でも浴衣で。/←
メイド服ですが上原の好みとしましては、清楚系でも女の子らしい甘さがある感じが好きな方向で来てしまいましたので…フリルやレースは外せませんね。丈は膝上でニーソとかだと相当喜ぶかと/笑/デザインや色等はお任せ致しますが、上原の好み通りにしなくても椿君のメイド服というだけでもうアレですよ/←)
…お、こっちも大分繁盛してるみたいだな。やっぱ茂庭…さん?のお蔭って感じで…。
(そらそろ店の邪魔になってしまいそうだし仕方無いが出直そうかとため息をついた時、前方から近付いてきた陰に顔をあげると漸く発見できた、というか向こうから発見してくれたのだが何にせよ巡り会うことの出来た目当ての彼の姿に安心したようにへらりと笑って。話はじめにと挨拶代わりといった感じで店のことを軽く話してみたのだが、視界の端にちらついた先日の彼女の影にただ褒めるだけの話だったはずなのに何だか彼女を気にしているような風になってしまい。実際気にしていない訳がないし強ち間違ってはいないが、それでもこんな話し方をしてしまえばまた彼の心配を煽ってしまうだろう。そう危惧し彼女から視線を逸らすようにぱっと別の方向に視線を向け「あ、のさ…その、後夜祭とか、どうしようかと思って…。」と元々本題として話に来た内容をくちにするとその内容柄少しだけ照れ臭がるかのように襟足辺りを軽く掻いて。)
(/浴衣ですね、了解しました!ではその様に考えさせて頂きます。
メイド服に関してのお返事ありがとうございます。まだ何となくのイメージでしかありませんが取り敢えず上原くんのご要望に見あうようなものを考えさせて頂きますね^^
ではでは、また何かありましたら発言させて頂きますので今は一先ずこれにて失礼します。引き続きお相手お願いしますね!)
…らしいな。結局着なかったんだな、メイド服。これはこれで様になってんじゃねぇか。
(時間が取れずこうして会う事も中々許されなかった手前、第一声は不満をと思っていたが、最初に向けられた笑顔に忽ち相殺されてしまう辺りどれ程彼に惚れているのか思い知らされ、悔しく思うと同時にやはり隠せずにいて。相手は彼女を気にしているようにも取れるが、既に全意識は目の前の相手に向けられているらしくそちらには見向きもせず。言い付け通りメイド服は自重したらしい相手をからかうような口調で誉め、襟を飾るスカーフを軽く引っ張りながら笑み浮かべ。しかしやはり顔立ちが良い彼は何を着ても目を引く辺り内心胸騒ぎは拭い切れず複雑な心境で。そんな中照れ臭そうに後夜祭の話を持ち出す相手、後夜祭というものがあるのは知っていたが、毎度不参加な身としてはその具体的な内容を全く把握しておらず。「何だよ、どうするっつぅのは……一緒に居れるって事か?」照れる理由すらよくわからないものの、訊ね方からすれば取り敢えず一緒に居れる事は間違いないのだろうと思いながら不思議そうに訊ねて)
(/有難うございます!でも本当に上原はそんな椿君が見れるだけで喜びますし好み等関係なくお任せしますので!喜ぶ暇なく嫉妬で忙しそうですが/笑
では此方も一旦失礼します^^)
…ん。お前こそ、こうやってると大分マトモに参加してるようにみえるな。
(本題ではなくあくまでおまけみたいなものとして今の格好を相手に見せに行きたいと思った節も認めたくはないがなかったとはいえず、そんな感情を抱えていた中こうして誉めてもらえるのは純粋に嬉しく思えふにゃりと頬を緩めながら返事を返すと共に相手の浴衣の合わせを軽く引っ張ってみて。その行動はスカーフを引かれた報復という訳ではなく、正直衣装など着ないと思って安心していた彼がまさかの浴衣で登場したことへの動揺を隠すこと、それ以上に自分と同じく彼の珍しい異装にどこか浮き足だった様子でちらちらとこちらを見ている女子生徒達からなるべく彼の肌の露出を避けるためのものであり。出来うる限り相手の浴衣のはだけを直してから手を離し僅かに視線を足元に落とすと小さく頷いてから「…キャンプファイアーとか色々あるらしい、から…その…一緒に回れないかと思って…。その…面倒、とかならいいんだけどーー…だめ、かな…。」などと誘っている癖にどこか遠慮がちなはっきりしない様子で呟き。後夜祭といえば高校生達の考えそうなことだが所謂カップルなんかがいちゃつき易くなる場、所謂そんな下心も半分だがそういった場だからこそ後夜祭をあまり知らない彼がうっかり茂庭やらの誘いに乗っていかないようにという防護策の意味合いもありこの行動に至って。)
まぁな。お前が居なかったらこんなクソ面倒なもん参加なんか――…、…っ
(元々興味もなく面倒な部類の行事に参加した理由など相手が居るからの他に何もない事を伝えようとするも、相手の嬉しそうな笑顔に見惚れ言葉に詰まり。更には浴衣のはだけを直して来る相手の隠された意図など知らないものの、その然り気無い行動が無性に己の心をくすぐり一気に高ぶらせ。今直ぐ抱きすくめたくなる感情をどうにか押し殺すも緩んでしまう頬を抑えるのは困難で、顔を背けながら腕で然り気無く口元隠す事でやり過ごし。「お前に会いたい一心で来てんのに断る理由が何処にあんだよ。けど、いいのか?んな大っぴらな場で俺と一緒に居ても。」後夜祭がカップルにとっては特別なものだという事を知る由もなく、相手が未だ戸惑いがちにしている事を不思議に思いながらも、相手と過ごすのは当然だとばかりに遠慮がちな相手の額を軽く小突いてやり。後夜祭が行われる頃周囲は大分暗くはなっているのだろうが、あくまで学校行事の一貫である事に変わらないと思い、相手の立場を気遣うような言葉を掛け)
…ん。ほんとは控えた方がいいんだろうけど、さ…やっぱり、こういうのに参加して付き合ってる、ってのを確認したいっていうか…。
(軽く小突かれた額を指先で擦りながら小さく頷き答えると、こうして自分のことを気に掛け確認するように尋ねてきてくれるのは確かに有り難いのだがそれでも自分の相手への好意を発信しているかのような、何度も行きたい旨を伝えるというのはこれといったイベントに限らずどこか恥ずかしさを感じてしまい拗ねた時とはまた違うが少しだけ唇を尖らせ言葉尻も尻すぼみになってしまい。しかし今回は今までにない広い人々と関わるような学校での行事、言葉を重ねることで言い訳がましく伝えていてはきっと彼はこちらを気に掛けるばかりで結局埒があかない結果となりそうな、そんな予感を感じればどうやら腹を括ったのかぐっと奥歯を噛み締め浴衣の袖から覗く相手の手の親指に周りに気付かれないよう十分気をつけながらそっと人差し指を絡ませ指一本だけを軽く握るとほんのり桃色に染め上げた表情でじっとそちらと目を合わせ「…こ、んかい、は…その、俺が一緒にいたいと思ったから誘ってるんだよ…。さ、誘った時点で気付けよ馬鹿…。」なんて悪態混じりの言葉ではあるものの、比較的素直な言葉で"行きたい"との旨を伝えて。)
て…めぇ、この状況でそれは反則だろうが。
(学校でも恋人らしい事をしたいという願望が相手にあるらしい事は理解していたし此方としても一緒に居れるのは願ったりだが、やはり相手の立場を思うと慎重な行動は不可欠で。己なりに気遣っての言葉だったが、そんな必要はないとばかりに己の親指に指を絡ませてくる相手にドキリと心臓が跳ね。仄かに頬を染め上げながら此方を見上げる彼にどれ程駆り立てられ急激に上昇していく熱や心拍数を感じても、こんな人目につく場所では無闇に触れる事が出来ない。やり場のない衝動を必死に抑える表情は例によって眉間に皺が刻まれているものの、何処か困惑しているようにも見え。「っ、行くに決まってるだろ。お前が行きてぇ場所、片っ端から回ってやるよ。」親指に絡んだ人差し指をきゅっと握り締めながら、消化出来ない欲望を吐き出すかの如く少々自棄気味に発して)
…よかった、ありがとな。
(反則、というのは指を絡めたり等の接触のことだということはどれだけ恋愛に疎い自分でも分かるし、むしろわざとやっているのだから今の相手のような反応が返ってきてくれないと困ってしまう。たまにはこんな報復も挟んでいかなければ此方だってやられっぱなしでは腑に落ちない。彼に無駄な我慢を強いてしまったのは悪いと思うがそれでもこうして我慢していても感じ取れる相手の好意が自身には酷く心地好く、以前なら怖いとしか感じなかったであろう我慢する彼の表情も大分恋に毒されてきたのか今では何だか可愛らしく見えてしまい。何はともあれ了解の返事をもらえたことは彼が恐らく断りはしないと思っていたがそれでも嬉しくて、絡ませ合った指先を見つめながらふわりと表情を和らげると満足そうに一言呟き。用件は済んだことだしあまり何時までも彼の教室にいるのも迷惑だろうと察し、浴衣の合わせを崩さないように軽く引いて相手の上体を引き寄せるとそのまま目前に近付いた耳元に「ーー浴衣、似合ってるけどあんまり女の子に囲まれないようにしろよ。…それと、終わったら裏庭のベンチんとこで待ってる。あんま遅くなるなよ?」などと囁き掛け。それからすぐに掴んでいた浴衣を離し相手から距離を取るとにい、と嬉しげに口角を上げた表情でひらひらと手を振りながら人混みの中へと戻っていき。)
(/一先ず一旦この辺りで切らせて頂きますね、後続のレスはそちらの判断で新規場面に飛ばすかどうかお決めくださいませ。次の場面辺りではそろそろ女装云々を始めたいかな、と思いますので時間帯的には昼頃から始められたらと思っております。)
…っ!おい、つば…き――……、
(不意に近付いた距離に驚く間もなく耳元で囁かれた言葉にドクンと心臓が脈打ち。ここ数日ずっと我慢を強いられていたせいか、彼との距離や言葉に必要以上に反応してしまい、返事をする余裕さえも失っており。離れていく相手を咄嗟に呼び掛けるもその嬉しげな笑顔にきゅっと胸が締まり、続かなくなる言葉に情けなくも見送る事しか出来ずにいて。彼の姿が人込みに紛れ見えなくなっても未だ呆けたように立ち尽くしていたが、“囲まれないように”という彼の台詞から漸く浴衣を直された真の意図を汲み取って。その瞬間どうしようもなく込み上げる嬉しさにいても立ってもいられなり視線が泳ぎ。「…ッ、くそ…」まるで恋する少女のような反応を示してしまう己を受け入れる事など出来る筈がなく、自嘲の念から悔しげに吐き出しながら乱暴にかき上げた前髪をわしゃわしゃと乱し。長めに息を吐き出す事でどうにか平静を取り戻すと、早く約束の時間にならないかと逸る気持ちを抑えつつ教室内へと戻っていき)
(/上原…椿君に惚れ込みすぎて何だかぐだぐだになって来た感が否めない所ですが、取り敢えず続きを。お昼頃という事で了解です!文化祭に関しての区切りはそちらから始めて頂いた方がイメージが掴めてやり易いですね^^)
(/此方からの再スタートというのは了解したのですが、少々ご相談したいことがありましたのでレスの前に発言させて頂きました。昼頃からメイドネタをけしかけるというのは大丈夫なんですが、それをどこから開始するかというのが問題でして。一応クラスの女子が休みで目玉がいない→誰が着る?→原田に白羽の矢が当たる、という流れではありますがそれを女子が休みだという所から開始しますと暫くの間上原くんが丸っきり会話に参加出来なくなりますよね。それまでの流れをロルでの補足で宜しいのでしたら良いんですが、一応確認をと思いまして。加えて、上原くんとの遭遇に至るまでも軽く話し合わせ出来たらと。)
(/あ、そうか…なるほど。椿君が女装に至るまでの経緯を簡単にロルで説明して頂けるのでしたら、勿論それで十分です^^
遭遇の仕方は…どうしましょう。メイド姿の椿君と偶然ばったり鉢合わせてしまった方がいいか、発見したものの直ぐには近付けず隙を見計らって連れ出して話を聞く感じにするか、何かお考え等ありましたら…!)
(/了解しました、ではメイドまでの経緯につきましてはそのように対処させて頂きます。だらだらと長ったらしい説明調になるかとは思いますがお付き合い下さい。
そうですね…前者ですと一先ず原田が全力で逃げるのは確定しそうですね/←/後者でしたらその隙を見つけるまでの間にも色々とフラグが挟めそうで中々楽しそうかと。どちらかというと、程度ですが私としては後者の方が個人的に好みですかね、悶々と考えてる上原くんも見てみたい気がしますし!)
(/とんでもないです!そちらの長文を拝見するのはいつも楽しみでなりませんので、お好きな風にして下さいませ^^
では後者な方向でまいりましょうか!…となると、メイド姿にならないと言っていた筈の椿君が既に取り囲まれ、ちやほやされている所を目撃してしまう感じになりますかね?/笑)
ーーなあ、これ何時までやってりゃ良いん、ッ!…良いのかしら?私、やっぱりあまり長い時間こうしているのは辛いのだけれど…。
(教室まで押し掛け彼氏といえば良いのやら彼女といえば良いのやら、そんな関係の彼に約束と釘を差すことに成功してから教室に戻ってみれば何でも体調不良により店の目玉とする予定だった女子生徒が早々に早退してしまったことを知らされ。困っている他の女子や代わりを探そうとしだす他の生徒、それらに触発されたらしい友人たちに押し切られ気がつく頃には代役に仕立て上げられてしまった自身は現在宣伝として廊下を回っており。
此方の思いを察してか実行委員の女子生徒にだけ女装の旨を伝え対外的には代わりに無理矢理引っ張ってこられた"原田家の又従兄弟棗ちゃん"ということでクラスに迎え入れられた後、早退した彼女が着る予定だったタックの沢山寄ったレース飾りのシャツに黒いパフスリーブの半袖ミニワンピース、その上からお決まりのフリルエプロンと胸元に赤いリボンを着せられ。おまけにスカートはパニエとやらでふわっふわ、黒のニーハイソックスとメイドカチューシャに合わせ以前女装に使った茶髪のウィッグを赤いリボンで高い位置のツインテールに結い上げてしまえば自分でも気持ち悪くなるほどのメイド娘が完成しており。
かくしてそんなメイド姿で看板片手に廊下を友人たち執事を引き連れ練り歩く羽目となった訳だが、流石に上原との約束の手前引き受けて今更かと思うもののやはり少々気まずく。明確な期限を伝えられなかった以上文化祭中ずっとこの姿なんてことも想像でき、友人に素で訪ねかけるも背中から中々の強さで小突かれ言葉を直し。何時までこの姿かは分からないが一先ず先決なのは何より彼に見つからないこと、そのため笑顔を振り撒きながらも周りに気を回し常に辺りを見回すよう努め。それでもじわじわ増え始める周りの客たちに笑顔がひきつりそうになるのを堪えながら、宣伝のため歩みを進め。)
(/ですね(笑)上原くんのヤキモチ展開楽しみにしていますね!
お褒めいただけて本当に嬉しい!…のですが、本当に長ったらしくなってしまったorz取り敢えず一応幾つか行を変えてみたりとしたのですが、私の文才ではここまでしてやっと説明がなりたつ程度…申し訳ありません;;場面的に絡み辛い等ありましたらお声がけ下さいませ!)
(/本体のみで申し訳ございません!とても読みごたえのある素晴らしい文でございました。まさに上原だけでなく自分にもドストライクな衣装で、そんな椿君に興奮の余り(←)前代未聞の長文になってしまいまして…すみませんorz
明らかにレスを分けるようになってしまうのですが宜しいでしょうか…という許可を頂きに参った次第であります/←
椿君を見た反応のみにすれば何とか一度で収まるのですが、それだと心情ばかりになりそちらもお返事がしにくいと思いますので、反応+行動を取り入れてみたのですが…。もしレスを分けても宜しければ後ほど投稿させて頂きますね!)
(/勿論大丈夫ですよ、ただそうなりますと同じだけの分量の長文で返すことは此方の力量的な問題で難しくある程度簡素なお返事になってしまいそうですが;;それがもし不愉快でなければこちらとしても長めの重みのある文章を読むのは好きですし、より上原くんの思いを読み取ることが出来て嬉しいですから!こちらは長文で返していただいても全く問題はありませんよ。)
…?
(交代で昼休憩を取り終え持ち場に戻る途中、賑やかだった廊下が先程とは違ったざわつきを見せており。耳に届くのは主に男子生徒の興奮の色が混じる誉め言葉。既視感を覚え首を捻れば、本日似たような現場を目撃したばかりだという事を思い出して。校内でもアイドル的存在らしいクラスメイトの茂庭、その浴衣姿を目にした時の周囲の反応がまさにこんな感じだった。しかし今回の反響はその時を超えるもの、大抵の人間ならば興味を掻き立てられるだろう。とはいえ、人込みを掻き分けてまで話題の人物を見ようなど面倒な考えは起こらない。何より己にとって椿以上に魅力的な存在など、後にも先にも存在しないのだから。周囲の生徒達とは真逆に然程興味も示さないまま、取り囲まれるような状態でまともに先に進めていないその集団を横切る際、何と無しにちらと視線を移す。と、不意にその中の一人に一瞬にして視線が奪われてしまい。「―…っ!」その瞬間、貫かれたかのようにドクンと大きく跳ねる心臓に一瞬呼吸が止まる。己の視線を釘付けにするのはメイド姿に扮した恋人の姿。傍に居たなら直ぐに抱きすくめてしまっていただろう程に愛くるしいその姿は想像していた以上の完成度で、思考は完全に停止し、瞬きすら忘れて見惚れてしまい。その間も異常なくらいの勢いで刻み続ける鼓動に息苦しささえ覚え。彼に一目惚れした時の事を頭の片隅で思い出しながら暫し意識を奪われていたが、不意に軽く腕を引かれる感覚に現実に引き戻され。そちらに視線を向ければ見覚えのあるクラスの女子。店が混雑して来たらしく、休憩中の数人を呼びに行く途中、己の姿を発見し声を掛けたらしい。「あぁ、わかった」これから持ち場に戻るつもりではいたので了解を伝えるものの、メイド姿の彼を目撃してしまった以上気にならないわけがない。再度彼の方に視線をやれば相変わらず男子生徒に囲まれている様子。先程はうっかり見惚れてしまったが、徐々に冷静さを取り戻すと、もやもやとした感情に支配されていく)
(/続きますorz)
(――…何故アイツはメイド姿に扮し、大勢の前でその姿を晒しているのか。確実な約束をしたわけではないが、メイド服など着ないと言っていた彼を信じていたのに。やむを得ない事情があったのだろうが、だからといって直ぐに己の感情を沈められる程出来た人間ではない。先程までの甘い感情は忽ちどす黒い嫉妬へと変わっていき。“てめぇら馬鹿か、そいつは男だ”今すぐ大声で暴露してやりたい。“クソが、そいつに近付くんじゃねぇよ”邪魔な奴等を今すぐ蹴散らしてかっさらってやりたい。騒ぎ立てる連中に殺気を含んだ視線を向けつつ握る拳にぎゅっと力が入る。しかし彼の為にも此処はどうにか堪えなければない。思い通りにならない悔しさに奥歯をぎり、と噛み締めていると、戻ると返事をしたにも関わらず一向にその場を動こうとしない己に痺れを切らしたのか、「――ねえ、聞いてるの上原くん」横から再度腕を引く女子の強めの声が掛かる)
ッ…、煩ぇよ…!
(その瞬間、積み重なった苛立ちを散らすかのような怒りを帯びた声を発すると同時に、腕を引く女生徒を押し払ってしまい。小さく悲鳴のような声を発したその生徒は勢い余ってよろけ尻餅をつき、驚きと怯えの色を含んだ瞳で此方を見上げて来る。何だ何だとざわめく周囲に視線を回した後、面倒臭そうに舌打ちすると短く息を吐き出し。騒然とした現場の発端が己だという事に彼も気付いてしまっただろう。彼が楽しみにしていた文化祭で騒ぎなど起こすつもりはなかった。呆れている、もしくは裏切られたと悲しい気分になっているかもしれない。何となく彼の事を見れないままゆっくりと女生徒の前に屈むと、「…悪かった。立てるか?」先程とは一変した落ち着いた物腰で労るように声を掛けると、彼女の腕を取って立ち上がらせ。未だ動揺が隠せないのか僅かに震えながら控え目に頷く彼女と共にその場を後にして)
(/許可を頂いたので2つに分けさせて頂きました。何かもう…ウザい事この上ない文章と内容で申し訳ございませんとしか…orz
勿論そちらのお返事は短くて構いませんので!返しやすいように、またお好きな展開で進めて下さいませ!必要でしたら時間を飛ばして下さっても^^)
ッ、やべ!
(何となく気持ち悪い笑みを浮かべながらじろじろと見られることにそろそろ嫌気が差し始めた頃、自らの周りに出来た人だかりの向こう側で何やらざわつきが起こったのに気付き。そっと人の間を抜けそちらに目を向けてみればまず飛び込んだ相手の姿に思わず焦りの声と共に傍に居てもらっていた友人を盾にその背に隠れて。そうしながら恐る恐るといった様子で相手がいったい何をしているのか、そう様子を伺ったとき漸く床に座り込む女子生徒に気付き後れ馳せながらここで事態の概要を何となく把握し。此処はバレて怒られるのを覚悟で助け船を出すべきだろうとそちらに近寄っていこうとした時、彼が自身の力で解決しようと動き出したのを目にし思わず動きを固めてしまい。以前の彼であれば女子生徒など知らん顔で何処かに行ってしまっても可笑しくなかった、時間と共に成長したらしい相手の対応に本来嬉しいはずなのに何故だか妙に胸の辺りがもやもやしてきて。彼にとってこの成長はプラスになるものでありこうして成長を重ねていけばもっとクラスにだって馴染めるはず、それなのにいざそれを目にすると彼が自分だけの彼では無くなっていくことが酷く苦しく感じ。何処か悔しさの残るようなこの感情に奥歯を噛み締めながらぎゅっとエプロンの裾を握り去っていく彼の背をぼんやりと見つめていた中、気をきかせて先を急ごうと声を掛けてくれた友人に一言も発さないまま小さく頷くと相手の行き先とは反対方向へと廊下を進んでいき。)
(/時間を飛ばしてみようかとも思ったのですがヤキモチ焼きの原田が上原と女子生徒のこんな小さなやり取りにも反応してしまい…(←)一先ず場面はここで切れるようにこちらも対応させて頂きましたので、次の開始をそちらに委ねても大丈夫でしょうか?また文化祭途中でも、はたまた終了してしまった後でも飛ばす時間は特にこだわっていませんので、お好きな程度の場面からお願いします。)
(彼女が人手を求めて呼びに来ただけあって、それからか少しの休憩を取る暇もない程忙しく、次から次へと出入りする客に対応する接客係からは心なしか次第に笑顔が薄れており。裏方中心だった己もまた休む事なく黙々と動いてはいたが、その間も先程の場面やその時の感情が頭の中から消える事は無く。終了時間を間近にした頃漸く客足も遠退き、不要な物からぼちぼち片付けを始める周囲の目を盗み、やっとの事で教室を飛び出し。向かったのは言うまでもなく彼のクラス。何故メイドに扮していたのかなど、もうこの際どうでもいい。今己の脳裏を占めているのは、そんな彼の姿に魅了された連中に絡まれていないかという事のみで。言い様のない焦燥感に襲われながらやや乱暴に人込みを掻き分け、彼の教室へと急ぎ)
(/あああ嫉妬描写有難うございます…!一応終了間近にしてみて、取り敢えず椿君の教室へ駆け付ける感じにしましたが、台詞無しすみませんorz
あ、椿君の居場所は教室でなくても構いませんし、状況もまたお任せします。ただ欲を言えば…メイド服はまだ着ていて欲しいです。←)
ーーあ、の…そろそろ一般の方はお帰りになられた方が…。
(彼を目撃した後一通り宣伝で校舎内を回ってからは店の接客に戻っていたらしく相手がこちらの教室に向かっているその時も目的地である教室におり。そろそろ一般の方への帰りの呼び掛けが放送で流され始める中、どうにも中々帰りだそうとせずに教室に居座る他校の少々チャラついた柄の悪い三人組だけが一向に帰りだしそうになくて。男子は商品出しが一人二人いる程度で残りは皆片付けに回りはじめてしまったため残った女子生徒達も怯えてしまっており、気まずい雰囲気が教室に立ち込めていて。しかし何にせよこのままでは不味いと思ったのか、女子に行かせることも出来ないため僅かに強張った笑みを浮かべながらその集団へと近寄っていくと軽く会釈をしてから声を掛け。危ないとばかりに向けられる女子生徒達からの心配の視線を背にひしひしと感じながらも然り気無く水のコップを下げるべくそれを手にすれば、どうやら声を掛けたのが気に障ったのか何なのかじろじろとこちらを見ていた他校生の一人にがっと手首を掴まれ、そこからどうにも動けず思わず固まってしまい。)
(/ご希望とのことでまだまだメイド服ターンを続行してみました^^
なんといいますか、上原くんが来てくれることを分かっているからなんですが何とも終了フラグめいた他校生を配置してしまいました;;何だか少女漫画のような流れですみません、リアリティがどんどんなくなっていってしまい…orz
廊下を駆ける王子さま(←)こと上原くんの到着をお待ちしてますー!)
(辿り着いてすぐに彼の教室を覗けば、己のクラス同様閉店の雰囲気を醸し出しており。相手を探す間もなく視界に飛び込んだのは、柄の悪い連中に絡まれている恋人の姿。途端かっとなる感情を抑え、心配そうに彼を見守る女子達を掻き分けるようにしてそちらへ近付けば、彼の手首を捕える男の腕をがっと掴んで)
――…放送、聞こえませんでしたかね。そろそろお引き取り頂けませんか。
(突然の事に驚いたらしいたらしい男の隙をつき相手から手を離させると、直ぐ様庇うように己の背後へと押しやり。他校生に向けた口調自体は普段に比べたら随分丁寧、とはいえ明らかに威圧を含むものと取れ。男の腕を掴んだままの手に力を込めながら睨みつけてやれば、「てめえ…上原か」その人物が眉をしかめて低く呟く。その顔自体に見覚えが無いが、己を知っているという事はその辺で絡んだ事があるのだろう。此方に覚えが無いという事はそれ程大した事のない奴等だったのだろうが。「…だったら何だ、さっさと失せろ」掴んでいたその腕を払い言い放てば、己の言動が癪に障ったらしく罵声を浴びせながらガタリと立ち上がるその男。テーブルや椅子等を蹴り倒す暴挙に周囲の女子達の悲鳴が教室に響き渡る。次の瞬間胸ぐらに掴み掛かってくるが、此処でやり合う事の愚かさを理解している為此方から仕掛ける事はせず。胸ぐらを掴まれたまま鋭い眼差しでただ静かに目の前の相手を見据え、いざという時は何より先に背後の彼を守れるように、そのまま向こうの出方を窺っていて)
(/メイドターン続行という我儘を聞いて下さり有難うございます…!
面白そうなのでその少女漫画的な展開に乗っかってみたものの、この流れでどうやって後夜祭まで持っていこうという…/←)
ッ、う…え、はら…!
(いっそのこと一か八か言動共に強気に出てみようか、いやしかしそれでは男とバレる可能性も、などと悶々と考えていた最中救世主と言っても過言ではないほどのタイミングで現れた彼に思わず目を丸くし。一瞬今の格好のことをどう弁解すればよいか、などという小さなことが頭を過るものの未だ続く険悪な雰囲気、他校生達の罵声や乱暴な動作にそんなことはすぐ掻き消されてしまい。この一言では周りには大して分からないであろうが動揺から出たのか恐らく素の言葉を小さな声で呟きながら不安げに相手の服の背中を軽く摘まむよう掴めば、こんな場面に遭遇すること自体稀なこともあってか徐々に体を支配する恐怖に僅かに身を震わせていて。逆上した他校生が彼の胸ぐらを掴みそのまま殴りかかろうと拳を振り上げたその時、どうやら店から離れていたクラスメートの一人が先生を呼んできたのか、廊下から女子生徒の甲高い声が聞こえ。それに流石にまずいと思ったらしい他校生の面々、こんなことで停学は食らいたくなかったのか掴んでいた胸ぐらをばっと離し小物らしい"覚えてろよ"なんて捨て台詞と共に窓からベランダづたいにさっさと逃げていき。教室中がほっと息を吐かんばかりに安心した最中、ここであることに気がつく。喧嘩があると呼ばれた先生に不良と知られている彼が見つかれば助けてくれたにも関わらず相手に濡れ衣を着せてしまう。そう判断するなり相手の腕をぎゅっと掴み「先生来る、一旦逃げよう!」と一言掛けると腕をぐいと引きながら廊下に飛び出し先生が来る方向とは逆の方へと人混みを掻き分けながら急ぎ進んで。)
(/一先ずかませの不良さんたちには後退出頂き(←)後夜祭に向けて教室を脱出させていただきました!取り敢えずこのまま約束の裏庭にでも逃げようかと思うのですがいかがでしょうか?一度逃げてからならある程度自由にこの先展開しやすいですし、後夜祭にも繋げやすいかと思いまして。)
(背後の相手が服を握って来るその手から微かな震えが伝わり、早急にこの場への適切な対応が求められている事を察し。しかし事態は最悪の方向へと思わせるかのように振り上げられた拳を背後の彼を庇いながら回避しようと構えたまさにその時、廊下がバタバタと騒がしくなり。途端に捨て台詞を吐きながら立ち去る連中にほっと息をつく間もなく彼に腕を引っ張られ。状況は此方も把握出来ているようで、彼に腕を引かれるような形で人混みを掻き分けながら廊下を駆け抜け、そのまま校舎の外へと出て。先程の連中が未だその辺を彷徨いていないかどうか窺いながら、いつの間に逆になったのか相手の腕を引きながら中庭の方に逃げ込み)
――…おい椿、大丈夫か?
(緩い着こなしをしているとはいえ浴衣というものは走りにくい。辿り着いた中庭で校舎から死角になるように隠れれば、多少乱れた呼吸を整えながら着衣を簡単に直し。相手を気遣う間もなく一気に走って来てしまった事を気遣うような言葉を掛けつつ相手に振り返れば、間近で見るその姿にまたもドクンと鼓動が鳴って)
(/物分かりが良い不良さん達で良かったです/←/巧く繋げて頂き有難うございました!此処まで来たら暫く二人を見守る感じで大丈夫でしょうか。取り敢えず本体は失礼しておきますね^^)
ッ、は…はぁ……っお、前さ…意外と体力あんの、な…。
(一応彼に助け船を出すような気持ちで少々強引ながらも相手を教室から連れ出したはずが体力の差が起因してか気づけば自分が手を引かれるような形で中庭に逃げ込むこととなっていて。それなりに体力があるとはいえど慣れない格好やら色々な"何時もと違う状況"に気を取られて無駄に体力を消費したのか立ち止まる頃には最早息は切れ切れになっていて。大丈夫かとの問いにこくこくと頷いてから少し息を整え、それから明らかに自分よりも息切れの少ない相手に苦笑混じりに言葉を掛けると走り回ったお蔭で暑くなりきっちりしめたシャツのボタンが首に苦しいのか軽くリボンを緩めてからボタンをひとつふたつ外し。ここで漸く視線を上げ相手の方に視線を向けてみればばちりと合う視線にメイド服云々の問題を思い出し、着ないと言ったのに違う現状に相手が内心はきっと怒っているのだろうとでも思ったのか気まずそうに眉を下げながら胸の前で指遊びのように両手を合わせると「…え、っとさ…その、この格好にも色々訳があってな…。」と歯切れ悪くも話し出し。)
(/きっと彼らも根はいい子なんですよ(←)
了解です、ではこちらもこれにて失礼しますがまた何かありましたらお気軽にお声掛け下さいね^^)
まぁ…あんな連中と知り合いなくらいだからな。
(他人に興味がない故、自ら喧嘩を売るような事はないが、何故か日頃から他校の連中に絡まれやすい。結局彼等といつ何処でどんなやり取りをしたのか思い出せないまま、体力くらいないとやっていけないとばかりに軽く流して。何より今はメイド姿の相手を前に、壊れたかのような速さでその音を刻む鼓動に自分でも戸惑いを隠せずにおり、折角重なった視線を珍しく己から逸らし。再度ちらと相手を見遣った際に視界に入った、ボタンを幾つか外すという然り気無い行為にさえ異常な程に反応してしまって。彼を問い質し、多少乱暴になろうが、やり場のなかった嫉妬や独占欲を存分にぶつけてやろうとしていたにも関わらず、最近まともに顔を見る事すら叶わなかった事も重なり、己の中を占める感情に微妙な変化が生じ始め。…これだから一目惚れから始まった恋というものは厄介だ。視線を逸らしたまま気を紛らわせるように若干乱暴に頭を掻くと、感情を沈めるように息をつき。「…お前の事だからどうせクラスの連中にそそのかされて断れなかったとか、そんなとこだろ」今の己に強い刺激を与える彼の姿を極力視界に入れないようにしながら、多少不機嫌とも取れる声音で返し)
まあ、それも確かにあるんだけど…その、怒んないで聞いて貰えるとありがたいんだけどさ…。
(約束を破った罪悪感こそあれど二人きりの中何時もとは異なる所謂コスプレ的なメイド服を着ている以上、少し位はこちらを意識して貰えるのではという期待があったのだがその願いに反しどこか不機嫌そうな声色でこちらを見ようとしない彼にそんな浮わついた気持ちもすぐに萎んでしまい。勝手に期待を募らせていただけではあったがこの反応は流石に少々堪えたのかしゅんと下がった肩に申し訳なさよりもどことなく寂しげな様子の強い弱気な表情で言葉を返すと続く言葉が只の言い訳にしか過ぎないこともあり言いづらそうに言い淀み。ふらふらと視線をさ迷わせながらも胸元に留めていた手を下ろしがてらそのままエプロンの裾をぎゅっと握りしめると居心地の悪さに耐えかねたように相手に背を向け。)
…その、さ…茂庭さん、浴衣とか着て可愛かっただろ。お前もそんな格好してるから普段何ともない女子もそわそわしてる、し…そういうの、なんかもやもやして…っ、負けとか無いけどさ、なんか悔しくて…。…だから、その…約束、破ってごめん…。
(しどろもどろ、歯切れも悪く酷く聞きづらい声ながらゆっくりと気持ちを吐露してみれば自分で口に出していても何とも女々しく情けない言葉にどんどん気持ちが落ち込んでいき。彼に褒めてもらいたくて、自分自身周りに気後れしないだけの自信が欲しくてしたはずの行動が相手を不機嫌にしてしまったのではという自責の念にぎゅっと胸が痛くなり喉の奥がつんとする。この場に留まることに無理を感じたのか、最後の謝罪より暫しの沈黙を挟んだのち「…これ、着替えてくる…な。」との呟きを漏らすと歩き出そうとゆっくり足を踏み出して。)
…っ、おい待て…!
(今にも消え入りそうな程弱々しく、戸惑いながらも語られる真実は己の予想とは異なるもので。大方周囲に面白がられ断りきれなかった末の女装だと思い込んでいた故、彼の言葉に心を強く揺さぶられ。それが嫉妬や不安から生じた、彼なりの対抗心だと気付かされた瞬間、込み上げる思いに去り行く彼を咄嗟に追い、背後から抱き竦めて)
馬鹿かてめぇ…普段俺の何を見て何を聞いてんだよ。俺はお前しか見えてねぇっつってんだろ。他の連中なんざどうでもいい。俺がどんな思いで奴等に囲まれるお前を見てたと思って――…
(はだけた浴衣を然り気無く直して来たその意図を知った時、心が震える程感じた嬉しささえ忘れてしまう程、嫉妬と独占欲に支配され我を見失っていた。冷静に考えれば、女装に至った経緯に込められた心の内にも気付いてやれたかもしれないのに。不安等の負の感情を拭ってやりたくて、そして溢れる愛しさを伝えたくて、強く抱き締めたまま気持ちを伝え。この姿の相手に魅了されていく生徒達を前に、己がどんな思いでいたか吐き出そうとするも、胸に込み上げる熱いものに言葉に詰まってしまい。「…まだいいだろ、こののままで。俺も今のお前をよく見たい」着替えると告げた相手を逃がさないとばかりに抱く腕に力を込めると、何処かねだるような甘さを含んだ声音で囁きながら、ツインにした髪を避け目尻付近に口付けて)
ッ、…!…お前はどうでもいいのかもしんないけど、周りの女子はそうじゃないだろ…。お前が、俺が他の奴に囲まれてた時と同じの…俺だってお前に対して思ってたんだぞ?
(背後から回された力強い腕と目尻に込められた可愛らしい程度の口付けにきゅう、と胸が詰まるような感覚を覚えると共に大分びっくりしてしまい、思わず一瞬固まり。彼なりの言い分は分かるもののそれはこちらだって抱いてきたもの、話終わって少ししてからエプロンを握りしめていた手を外し回された相手の腕にそっと掴まるよう添えると僅かに唇を噛んでからゆっきりと口を開き。同じ思いだということを伝えてから小さく息をつくと、相手のこれまでの思いを聞いたことで少し落ち着いてきたからか先程までの悲しい気持ちが萎んでいくと同時に、不謹慎ながら自分と同じように嫉妬してくれていたらしい彼に対する愛しさが急激に胸に込み上げてきて。まだこの格好のままでいることを望む相手の甘えるような声に小さく頷いてから僅かに首をひねり相手の方をちらりと見ると少しだけ照れ臭そうに頬を染めながら言葉を続けようとし。)
…あのさ、ちょっとだけ腕緩めてくんね?俺だって…その、ちゃんと抱き付きたい、し…。…それと、着替えはまだしないけどこれだけ取っちゃ駄目か?…ほら、このままだとぱっと見お前が女子抱き締めてるみたいで…なんかむかつく、し…。どうせなら、ちゃんと"俺"のこと見てて欲しいから…。
(最近忙しくてめっきり相手に会えていなかったこともあり、フラストレーションが溜まっていたのかもしれない。学校で、終わりかけとはいえ文化祭の最中で、それなのに今はそんなこと構わずに彼に甘えたくなってしまっていて。あまり言えないような甘えた言葉と共に小さなお願いを口にすると、"これ"を指すものなのか結い上げた人工の髪をさらりとながしてからもじもじと微かに体を揺らし、戸惑いがちに目を伏せて。「…俺からこんなこと言い出したんだから、まさか人目が、とか言わないよな?…嫌、とかなら…その、断ってもいいけど、さ。」勢いづいて甘えてしまった反面やり過ぎたかと僅かに後悔、思わず付け加えるように半ば逃げ腰の弱気な発言を呟くと落ち着きなく視線をふらふらとさ迷わせ。今更ながら大丈夫だろうか、だの甘えすぎたか、なんて不安が込み上げてきてしまい少しだけ表情を歪め、忙しなくそんなことを考えながらもどっちにしろ彼の返事は気になるのかぎゅっと相手の腕に添えた指で浴衣の袖を引きながらその返事を待ち。)
(/だらだらと纏まりなく長くなってしまいすみません、それと某トピでもわざわざあんな呟きをフォローして下ってありがとうございました。これからもどうぞ末長くよろしくお願いいたします。)
…っ、知るかよそんなの…。俺はお前の事しか頭になかった。そんな奴が居た事すら全く気付かねぇくらいお前で一杯だった。――…堪えられねぇんだよ、例えお前にその気が無くても、あんな目でお前を見る奴等が居るってだけで…。…本気であの場から連れ去ってやりたかった。
(彼の言葉を聞き彼も同じ思いをしていたと気付かされ、はっと胸を打たれるものの直ぐに突っぱねてしまい。本気で相手の事しか頭に無かった自分は、己に興味を示すような人物が居た事など全く気付きもしなかった。仮に気付いたとしても脳内を彼が占領する割合は全く変わらなかっただろう。囲まれている彼を目にした時の切なさや悔しさを含む嫉妬心を思い出すと眉根を寄せ、彼を抱き締めたまま握る拳にぎゅうと力を込めながら情けないと思う程の本心をさらけ出してしまい。首を捻って此方を見る相手と目が合えば、嫉妬まみれのこの表情を見られたくない思いから彼の肩に顔を埋めるようにして最後の言葉をぼそりと付け加え)
…馬鹿かお前は。どんな格好してようがお前はお前だってずっと言ってるだろうが。逆に聞くが…本当に外しちまっていいのか?俺はその方がそそられるけどな。
(腕を緩めて欲しいとの要望とその理由を聞くとピクリと指先を動かし、言われるがままに抱く腕を緩めながら埋めていた顔を上げ。女を抱き締めているみたいで…と述べる相手は、棗の時と同様未だに変な誤解をしているのだろうかと疑惑が沸き出して。ウィッグを外したありのままの自分を見て欲しいと彼は言うが、それは端から見たらこてこてのメイド服を着た“原田椿”そのものであり。そんな魅力的過ぎる姿を見る事も、羞恥にまみれるだろう彼を見る事も願ってもない事で、早くも緩んでしまう頬を隠し切れないまま相手から腕を外し、対面するようにぐるりと此方を向けさせれば、先ずは完璧なその女装を目に焼き付けて)
(/うわ…それを此処で言っちゃいますか。←
また思うことがあればいつでも何でも言ってやって下さい。直ぐに駆け付けますから…!!!← では逃走。)
…ごめんな、変な心配させて。
(自分が彼に抱いたのと同じくらいの嫉妬や心配を彼も抱いていた、彼の場合自分が"着ない"と約束していた以上余計に困惑や動揺も大きかったことだろう。いくらこちらが嫉妬していたとしてもそれで彼に心配を掛けてしまったのは間違いだったと自覚し、肩に顔を埋めた相手の頭を宥めるように優しく撫でると謝罪の言葉を囁きかけ。)
ッそ、そ…られ…っ!…棗の方がとか、そういうことはもう思ってない、よ…。それでも、お前に抱き締めてもらうのは"女装した俺"じゃなく、"素の俺"の方が良い、なって…思って…。
(相変わらず相手の時々口にする雄らしさというか、何となく生々しさを感じるような言葉には慣れられないのか目を丸くしながら魚の様にぱくぱくと口を開閉するとじわじわと羞恥に顔を赤く染め上げながら言葉を復唱し。相手と対面できたのは良かったのだが目に焼き付けんとするばかりに注がれる視線は居心地が悪い以上に今更ながらどうにも恥ずかしくて、ばさりとウィッグを外すと同時にそれを顔の前に掲げて照れからくる困ったような情けない表情を隠すと微かに震える声で言葉を続けて。言葉を終える頃には酷くか細い声になってしまったが何とか彼からの言葉に応えきるとそこで漸くウィッグを微かにずらして顔を覗かせ目前の相手と目を合わせると、数歩前に出ることで相手の胸に軽く顔を押し付けそのまま少しだけぼそぼそとくぐもった声で「…もう、抱き締めてくんないの…?」と呟き。)
(/すみません、ご本人だとは分かっているのですが何の確認も無しに信じきってしまうのも何だか怖いなと思ってしまい…!
そう言って頂けると心強いです、ありがとうございます。では此方も逃走←)
…ッ、そん…なの…言うまでもねぇだろうが…っ
(彼がばさりとウィッグを外したその瞬間、思わずごくりと喉が鳴り。本来の彼のままメイド服を身に纏う彼が、恐らく羞恥や戸惑いから顔を隠すその姿は己の心臓を瞬時に射抜き、体温と心拍数を上昇させていく。彼と視線が合いドクッと心臓を跳ねさせた次の瞬間、甘えるように己の胸へと顔を寄せる彼。か細くもねだるようなその台詞を聞いてしまえば、周囲を警戒する余裕も無く抱き締めてしまい。間近で顔が見たい、そんな思いに埋められた顔をグイと上げさせると、久々に捕えるその表情に、込み上げる切ない程の愛しさを覚え目を細め。満足に会えない間堪えてきたものをぶつけるかの如く食い付くように口付ければ、まともに息継ぎをさせる間もないくらい激しく、けれど愛情はしっかり伝わるような愛撫を与えつつその柔らかな唇を貪って。「…椿…、てめぇ可愛すぎんだよ…」唇を浮かせた僅かな合間に言葉にならない程の思いを絞り出すよう口にすれば、逃がさないとばかりに彼の頭や腰を抱く腕にぐっと力を込め、休む暇など与えない程独善的とも取れる口付けを与え続け)
ッ、え…ーーっ!
(身に浴衣のせいか何時もとは少し感じが違うもののそれでも変わらぬ心から安心できる彼の温もりに心地良さそうに目を細めると胸元に外したウィッグを抱えたまますり、と目前にある相手の首筋に頭を擦りよせるようにしてくっつけ。しかしそんな和やかな時間も束の間、彼のこれまでの我慢の度合いを把握しきれていなかったことが原因か不意に顔を上げさせられたかと思えばそのままこれまでの我慢してきた欲望やら感情やらをぶつけてくるような荒っぽい口付けを抵抗どころか反応すらできないまま流されるように施され。さすがに驚いたのか持っていたウィッグをとさりと軽い音を立て地面に落としそれにより空いた両手を相手の胸に添え。息継ぎも与えぬような、しかしそれでいてじりじりと思考回路を徐々に焼き落とさんとしてくるような焦がれるほどの愛情を感じるそれに、少しだけ戸惑いはしたものの徐々に此方からも応えていけば何だかんだでこちらとて我慢を重ねていたためか何時しか息をすることも忘れ口付けを繰り返していて。そうして彼が何かを口にしたような、そんな頃には半ば酸欠気味で意識も大分朦朧としていたのか苦しさに滲んだ涙を浮かべる瞳は相手を映してはいるものの既にどこか遠くなり始めており、辛うじて彼の腕が腰に回っていたお蔭で体勢を保ててはいるが己の膝などこの時にはもう役に立たず、かたかたと震える膝で何とか相手にもたれ掛かっているような状況になっており。時折唇から漏れる吐息に熱っぽさが混じり唇そのものも唾液でてらてらと艶めく中、朦朧とした意識のまま彼の首へと腕を引っ掛けると口付けの合間にほぼ吐息といっていいような囁き声で「ッず、さ…かず、っさ…!」と稚拙な発音ながら彼の名をうわ言のように繰り返して。)
っ…
(此方の独り善がりな口付けに最初は戸惑いを見せるも、いつだって懸命に応えようとする彼が愛しくて、口付けは深さと激しさを増すばかりで。まるで会えない間の分まで埋めるようなそれは彼の行為からも伝わり、触れ合う唇から全身へと熱を帯びていく。互いの愛情を注ぎ合うその行為を無茶で繰り返す中、重心が次第に己に預けられている事から彼の限界を悟りそろそろ解放を考えた時、恍惚とした意識の中、吐息混じりのうわ言を耳にし。それが己の下の名だと認識した途端、はっきりと感じ取れる程ドクッと脈打つ心臓に閉じていた瞼をピクリと震わせ。解放してやろうという考えは熱っぽく名を囁かれただけで一気に消し飛んでしまい。貪り尽くした唇を漸く解放したかと思えば我を忘れたように相手の首筋に顔を埋め、間髪入れず吸い付いて。痕がつく程強くはないが、もどかしい程優しくもない程度に吸い付くような口付けを何度も首筋へと落としながら背中のファスナーに手を掛け途中まで下ろし掛けた時、後夜祭の準備の為外へ出て来たらしい生徒達の声にピクリと反応し、動きを止めて)
ッ、は…っは、ぁ……ッ、い!
(酸素の回らない脳みそがそろそろ限界を訴えてきたのかくらくらと世界が回っているような、酔いにも似た感覚に薄く瞳を開くと溜まった涙でぼやけた視界の中彼を見つめ。こちらの現状を察してくれたのだろうか、唇を離す相手がすかさず自身の首筋に顔を埋めるのと同じようにかくかくと足腰立たない体を支えるべく彼の肩に顎を置きぎゅっと密着するように抱き付きながら荒い呼吸を繰り返し。やっと頭が回るようになってきた頃、不意に首筋への微かな痛みにぴくりと体を震わせれば、同時に下ろされようとしている背中のチャックにも気付き。この歳にもなればこの行動が何を求めんとするものなのかくらい流石に分かったのだが、こんなところでだとか初めてなのにだとか、何より男同士等々の考えが浮かぶよりも早くこの時ばかりは彼に身を委ねてしまってもいいかな、などと思ってしまい。抵抗するつもりもなくわずかな不安から相手に少しだけきつく抱き着き事の成り行きを伺っていたその時、後夜祭に集まろうとする生徒たちの気配をこちらも感じ取り。このことで漸くマトモな理性が働いてくれたのか流石に不味いと思ったらしく「ッ、か…ずさ…見られんの、流石にやだ…。」と、散々口付けたせいか少々痺れて回らない舌で稚拙な発音の言葉を呟くと嫌々と言うように相手の肩に額を押し付けるようにしながら首を振って。)
…っ…心配すんな。こんなお前、他の奴等になんか見せるわけねぇだろうが…
(他の生徒達の気配に加え、相手の訴えが決定的な歯止めとなり、散々愛撫を施した首筋から顔を離すと、下ろし掛けた背のファスナーを元に戻し、頭をくしゃりと軽く撫でながら告げて。あのまま邪魔が入らなければ最早理性を繋ぐ事は不可能だっただろう。もしも此処が二人きりの空間だったなら、制止を掛ける事無く己を受け入れようとしてくれたのだろうか。呼吸を整えつつ未だ熱が冷めきらない頭の片隅でぼんやりとそんな事を考え。足腰がまともに立たないのか己に縋るような相手を支えながら、いつの間にか地に落ちていたウィッグを拾い上げ。着替えに戻る筈だった相手にウィッグを被せ直し簡単に整えてやれば、リップ音を小さく響かせ唇に軽い口付けをして。未だ収まりそうにない動悸を落ち着かせるよう息を吐くと、相手の頬を片手で包んで見つめ。元々整った彼の顔は色気を伴い普段以上の魅力を放っており、いとも簡単に己の心を奪っていく。見惚れるような熱っぽい眼差しを向けながら「…一先ずお預けだな」と、何処と無く複雑そうな笑みを浮かべて)
ん…ちゃんと覚悟は出来てる、から…そういう時が来たら、な…?
(相手の熱っぽく欲求する様子からもしかしたら止まってくれないんじゃ、などとも思ったがそれは杞憂だったらしい、此方の気持ちも酌んでくれたのか未だどこか冷めきらない様子を見せてはいるものの安心させるように頭を撫でながら身なりを整えてくれる彼にほっと一息つき。こんな寸前で制止を掛けるのは自分も男であるから酷だとよく理解している、しかしながら物事にある最適な時というのは今ではない。複雑そうな表情の彼に少しだけ気の毒な思いを抱きながらも頬に添えられた手に軽く擦り寄るとあくまで此方が嫌だ、ということで止めたのではないことを言葉で伝え。足腰は正直余韻が残っているのか未だに不安定で自力で立つには心許ない、そういう立場であるからという甘えもあってかはたまた先程までの行為で勢いがついたのか普段あまりないほどの甘えっぷりがまだ続くのかそのまま"抱っこ"とばかりに身を寄せると「…こっからどうする?…今一応"棗ちゃん"だし、牽制していいんならするんだけど…。」などと呟き。牽制、というのも言わば今日の影響で今後女子生徒に目をつけられるであろう彼に棗としてくっつくことにより周りを威嚇する意味をもちたいらしい。棗として彼と居るのも正直あまり本意ではないがそれにより周りを牽制出来るならそれも我慢できる様子、至近距離のまま彼を見つめそう呟くと悪戯っぽく笑みながら緩く首を傾げてみせて。)
…お前、その言葉忘れるなよ。こう何度も待てをかけられちゃその内本気で暴走するぜ。
(適した状況であれば先程のような流れに委ねていたと取れる発言を聞き、己との関係についてあれ程思い悩んでいた彼の覚悟を嬉しく思うと同時に再び高揚してしまいそうになり。中々冷め遣らぬ熱をもて余しているのか、甘えるように擦り寄ってくる相手をしっかり抱き受けながら、瞼や頬、唇の端など、あらゆる場所に柔らかな口付けを落としながら念を押して。抱っこの如く体を預けてくれる彼を抱いたまま頭を撫でていれば、ふと悪戯な笑みを向けられ。牽制などと相手は言うが、己の中に彼以外が入り込む余地など何処にも無い故にその必要はないと判断し。「んなもん必要ねぇよ、俺はお前しか見てねぇんだから。…椿、元に戻れ。ありのままのお前に。」相手の麗しいメイド姿は十分堪能させて貰った。今度は飾らない素の自分を見て欲しいという拘りを持つ相手の要望に応える番だと思い。可愛くて仕方がないというように、依然彼の髪や頬などに必要以上にべたべたと触れながら至近距離で笑み掛けて)
ーー…着替え、連れてって。旧校舎の空き教室なんだけど、誰かさんのお蔭で足腰がっくがくで歩けそうにないんで、ね?
(先程までのいけないことをしているような何処と無く艶を感じるような触れ合いとはまた違う、この戯れのような可愛らしい甘え合いもなんだか心地が良くて心が満たされていくような感覚を感じる。念を押す彼がこの甘ったるい雰囲気のせいか要求そのものは大分アレなものなのに妙に子供っぽく可愛らしく感じてしまい困ったようにふ、と笑みを浮かべるとこくりと頷き応えて。牽制など必要ないと答える彼の続く言葉はこちらの想いを酌んでのものか、どうやらメイド姿には満足したらしい相手ににい、と嬉しそうに微笑むと首に回したままだった腕を再度きつめに引き寄せ直し相手の肩に頭を倒すような形で乗せると本来の自身の姿へ戻りたいということで一先ずとばかりに着替えを要求し。咎める意思はないものの軽く先程までの彼の行動について刺すような少々意地の悪い台詞と共に伺うように相手を見つめるとそろそろ人目を本格的に気にしださねばならなくなってきたか、僅かなざわつきの声を校舎の方から感じながら相手の返事を待って。)
お前…この程度で足腰立たなくなってたらいざって時どうすんだよ。次の日学校無理なんじゃねぇの。
(まるで縋るように抱き着かれているような体勢に只でさえ頬の緩みを抑えるのが必死だというのに、まともに歩けないから着替えに連れて行って欲しいとの可愛らしくも嬉しい要求にとどめを刺され。今まさに余裕がない情けない表情をしているだろう顔を隠すように相手の肩に埋め。どうにか落ち着いてから顔を上げると、直ぐ間近にあった耳元に唇を寄せ、唇が動く度ごく僅かに触れる程度の距離で意地の悪い事を囁いてやり。それが何を意味するかは流れ的に理解出来るだろうと、ふてぶてしい表情で試すように顔を覗き込み。そうこうしてる間にも生徒達のざわつく声は先程より大きくなり、早急にこの場を離れるべきかと判断し。一先ず指定の旧校舎へと移動しようとするも、差し迫ったこの状況で相手の反応を楽しむかのように口角上げては「抱き上げられるか背負われるか、どっちか選ばせてやるよ」と、この際どちらでもいいだろう事を悠長に言っていて)
ッう、るさ…っこの変態!
(此方としては多少の甘えた気持ちはあれど故意に彼を誘おうとした考えはなかったため、不意に仕掛けられた囁きにびくりと肩を震わせると恥ずかしさはもちろんのこと擽ったさやら何やらがない交ぜになってとんでもない羞恥心が身を襲うのか困ったように眉を寄せるとじわじわと耳を赤くして。先程まで生々しさすら感じるやり取りを重ねていたため勿論そういったことも想像してはいた、しかしながら行為が終わった後というのもまた少し違った恥ずかしさが残ることだろう。そんなことまで想像していなかったためか今更ながら照れ臭くなってしまい、先程までその時が来たら受け入れる、というような言葉を交わしあったばかりなのに逃がしようのない羞恥に体を小さく震わせると久しぶりとなるであろう悪態をつきながら首に回していた手で届いた相手の肩甲骨辺りを握った拳で叩いて。そのまま赤い顔を隠すべく彼の体に顔を埋めたまま僅かな沈黙を挟み、それから漸く口を開くと先程の彼からの質問への答えか「…抱け。わざわざ背中に回んの面倒臭いし…そ、の…どうせなら、もうちょい抱き着いてたい…。」と、くぐもったような小さな声で囁いて。)
てめぇが俺をそうさせるんだろうが。いつもいつも無責任に誘うような事しやがって…
(久々であり相変わらずな悪態もまた愛しさ感じる要素でしかなく、相手からの反撃を受けながら誰のせいだと咎めて。彼にそんなつもりは無くても、些細な仕草や表情までもが己を煽る事を恐らく気付いていないのだろう。結局は先に惚れた方が負けなのかもしれない、そう悔しく思いながら歯を噛み締め。そんな悔しさを発散させるかのように、赤みを帯びた耳を今度は直接、軽く唇に含めば舌先で擽ってやり。そんな戯れをしている間にも再び熱を持ち始める己の体を察知すると、自制するように唇を離して。抱け、などと命令して来たかと思えば、次の瞬間にはまた可愛いらしい事を口にする相手についふっと笑みが溢れてしまい。「…了解。」緩んだ表情のまま両腕で横抱きに、所謂お姫様だっこで相手を抱えれば旧校舎へと向かって歩き出し。しかし自制をかけたとはいえ密着したこの状況で完全に欲を収めるのは困難のようで、確実に怒りの声が飛ぶだろう事を予想しながらも、膝下へとくぐらせていた腕で短めのワンピースの裾から覗く太股を軽く撫でるように触れて)
ッぅ、ひ…っ!?お、ま…仕方ないだろ、仮にも恋人、なんだ、し…。甘えたりとか…か、かわいい、とか…思われたい、し…。
(自身の主張に反論する彼に更に此方からも反論しようとした瞬間耳の一部を柔らかな唇で食まれ、それだけでも擽ったいというのにそのままぬるりとした温かい舌先で擽られてしまえばぞくぞくと何かが背筋を通り過ぎるような感覚に小さな声を漏らすと共に顔を染めるばかりで反論などままならず。彼が唇を離した瞬間はっとしたように身を引き耳を片手で覆うと恨めしげな視線を送った後すぐに居心地悪そうに目を逸らし、それから眉を寄せながら漸く出遅れた反論を口にして。今までの行動をすべて意識の下行っていた訳ではないが、口にした通りの甘えや願望を密かに抱えていた以上完璧に無意識だった、とは言えない様子で。抱き上げられてからも先程の彼の行動から警戒してか首には腕を掛けたままそれなりの距離を保って体を寄りかからせていれば、またもや意識していなかったような部分からの微かな刺激に困ったように眉を寄せると共に少しだけもじ、と体を揺らして。体勢のため下方より見上げるような形でどこか不満を訴えるような視線を投げ掛ければ「…お前だって、よくこういうことするじゃん…さ、そうって言うの?…俺だって男なんだから、こういうことされると、さ…ほら、分かるだろ?」と呟き。もやっとした曖昧な言葉ながらこれと訴えるのは太股辺りで動く彼の手のことか、煽られているのはお前だけじゃない、と暗に伝えようと言葉にしたようで。)
誘う…?俺はお前を前にするとコントロール利かなくなんだよ、お前こそその辺は身をもって解ってんだろうが。抱きたいから抱く、触れたいから触れる、抑えなきゃならねぇ必要があるから止めてるだけで、別に煽ってるわけじゃねぇ。…お前と違ってな。
(セクハラ紛いの事をしたのだからてっきりまた“馬鹿”だの“変態”だのという言葉や攻撃が飛んでくる覚悟はあった。しかし少し身動ぎしただけで己を責めるわけでもなく、似たような気持ちだとでもいうかのような台詞を向けて来る相手に意外そうに視線を下げれば、何処となく不満げなその瞳とぶつかって。彼は此方が誘っているかのような物言いをするが、実際煽る余裕すらない事が多い己は彼をただただ求める行動を取っているだけに過ぎない。甘えたりねだったり、胸が高鳴るような可愛らしさの中、官能への刺激を欠かさない誘い方をする彼に翻弄され悔しい思いをするのはいつも己ではないかと思い、眉間に皺を寄せながら反論するかのように言葉を並べ。それでも何処か拗ねた調子で最後に付け加えては、太股を撫でた手を元へと戻し。「まぁお前もその気になってるって事がわかったから許してやるよ」何を許すというのか定かではないが彼の言葉に満たされる部分があったようで、何処か満足そうな笑みを浮かべては言っている傍から額へと短い口づけを落とし。「…で、何処の教室だ」旧校舎へと足を踏み入れると、抱き上げたままどうにか相手の靴を脱がせ、空き教室の詳しい場所を訊ねて)
…三階の一番端。絶対人来ないようなとこじゃないと安心して着替えらんなかったから…。
(此方の欲望を煽っていたかのような彼の行動は"煽る"という故意が含まれたものではなく相手が相手の思うがままに動いた結果、それは分かってはいたがどちらにせよこちらとしては煽る意味とは違えど興奮を高めるような行動であったため反論したが勿論のようにその言葉は相手の反撃にあっさりと打ち返されて。正直これに関しては言い返す言葉も見つからずもやもやを抱えたまま眉を寄せ相手を一瞥するとまたふい、と目を逸らし。どう言えばこの想いを彼に納得させることが出来るだろうかなんて長考し掛けたとき、額に触れた軽い感触に一瞬遅れてからばっと顔を相手の方に向け目を見開くとあれだけ先程散々口付けを交わした後のこの隙をつくような可愛らしい口付けに思わず照れてしまったのかわなわなと唇を震わせながら額を片手で押さえて。ほんのりと染まる頬、にやけそうになる口許を堪えながら相手の質問に答えると旧校舎に入ったことでもうそろそろ誰にも見られる心配はないと践んだのかもぞもぞと軽く身じろぎながら頭のウィッグを外して。)
――…此処でいいのか?
(軽い口づけを施した後の、動揺や照れを含むような相手の一連の反応を目にすれば、その可愛さやら嬉しさやら様々な感情が入り交じり、ふっと頬が緩み。階段を上り長い廊下を歩き指定された三階奥の教室まで来ると、相手の物らしい着替え等があるのを確認してからゆっくりと下ろしてやり。着替える為だけに使われた空き教室は言うまでもなくがらりとしており、人目を気にする事なく触れ合うにはまさに絶好とも言える場所であり。先程まで散々抱き合っていたにも関わらず、二人きりというこの環境に色々駆り立てられるものでもあるのか、またもドクンと脈を打つ感覚に思わずごくりと口内の唾液を飲み。会えない期間が長かったせいか、最近やたらとそんな事ばかり考えてしまう己に内心苦笑しながら相手へと視線を向けた先、窓から差し込む夕陽に照らされる彼の髪や横顔が酷く綺麗に映り、何故か無性に込み上げる愛しさと切なさに目を細め。「……椿」不意に、しかし中庭でのような性急さを思わせる事無く背後から優しく腕を回すと、他に何をするでもなくただ彼の存在を確かめるように抱き締めて)
…ん、ありがとな。後はこれ着替えるからちょっと後ろでも向いて…ーーッ!
(人目になるべくつかないところとして選んだはずの教室だがそれ故にそこまでの距離が長く運んでもらっている身としてはそれが少し申し訳なくて、下ろしてもらった後流石にそろそろ何とか立ち直れたらしい足腰を確認するようにとんとんと軽く足を床に打ち付けてから顔を上げると眉を僅かに下げ少しだけ何処か申し訳なさそうな表情で礼を口にし。それから早速着替えるつもりで相手に背を向けながら同性である故に恥を感じることなどひとつもない筈だが、それでも今の格好が格好のため何だか見ていて欲しくなくて出来るだけそんな動揺を悟られぬよう平然を装った声色で声を掛ければ言い終わるのも待たずに差し出された彼の腕に抱き寄せられてしまい。呟く彼の声に先程のような切羽詰まったような雰囲気は感じられないものの触れあうだけでどきどきと胸が高鳴ってしまい、そんな優しい雰囲気もいずれ先程の性急さに飲まれてしまうのではという懸念を感じさせ。何より彼はともかく此方がもうそろそろスキンシップの過剰投与でくらくらしてしまいそうなのだ、熱が出ているんじゃないかと思うほどに顔は熱いし切なさがきゅ、と苦しい感覚を喉から胸に訴えかけている。うっかり清く正しく、などといった交際の先を求めてしまいかねないくらいに既に想いの熱が高められてしまっていることに流石に不味いと思ったのか嫌がる、という程ではないもののそれとなく解放を求めるように僅かに身を揺らしながら胸のリボンに手を掛けると「…き、替え…しないと…。それに、その…そろそろ本当に、色々ヤバくなってきた、から…その…。」としどろもどろといった表現が正に合致するような情けない話し方で彼の説得を開始し。)
わかってる…。
(抱き締めるだけでは済まないだろうと先を読んだかのように然り気無く制止を掛けてくる相手に、感情を抑え込むような声音で答えて。彼を抱き締めていた腕を頭の方に移動させると、ゆっくりとした動作で撫で下ろしながら髪に擦り寄るように頬や唇を寄せ、髪の柔らかな感触にさえもいとおしそうに目を閉じ。暫しそうして相手の存在を感じた後、漸くそっと解放してやり「…後ろだけな」背中は一人では少々やりにくいだろうと、誤解を生まないよう断りを入れた後、ファスナーに手を掛け静かに下ろしてやり。そのまま相手から離れ窓際へと向かい彼に背を向ける形で適当な机に腰掛けると、着替えが済むまで大人しく待つつもりなのか窓の外に視線を置き)
ッ、…ありがと、な…。
(制止に対し分かってる、との返事を絞り出す彼からは己を押さえ込もうと堪えているような雰囲気が自然と伝わってきて、だからこそ相手がその後取った動作には過敏に反応することもなく受け入れるような姿勢にてじっとしていて。そんな相手の覚悟が見えずとも子供がぬいぐるみにすがるような情景を彷彿とさせる彼の慈しむような腕から逃れることなど相手に惚れ込んでしまった自身に出来るはずもなく、ただ少しだけ擽ったそうに身を縮こまらせたりするだけで。背中のファスナーを下ろすときだけ彼に警戒した訳ではなく首の温かい部分にそこよりも冷たい相手の手が触れたことに驚きびくりと肩を跳ねさせ。そのあとは自分が要求した通りこちらから視線を反らす彼の背中にほのかに口許に笑みを浮かべながら礼を言うと、着なれない服だということもあってか少しだけたどたどしい手つきでもそもそとメイド服を着替え始めて。)
――…思ったよりばたばたと忙しいもんだな、文化祭ってのは。
(背を向け幾ら視界に入れないようにしていても、着替えの際に生じる小さな音が背中越しに耳に届いてしまえば、意識はどうしてもそちらに向かってしまう。窓の外に置いていた視線が僅かに泳ぎ出すも、相手からは見えないのは幸いで。先程までくっついていたせいか脳内はあらぬ妄想で支配されそうになり、動揺からか無意識に前髪を掻き上げて。出会ってから日に日に彼への想いが募っていく実感はあったものの、会えない時間はこうも抑えられない激情を生み続けるものなのだという事を知り、他人になど一生興味を示す事がないのではないかとさえ思っていた己の本性のようなものを思い知らされる機会となった。本気で彼の事しか頭に無いと断言出来てしまうような己に思わず小さく溜め息を溢せば、妄想を掻き立ててしまうようなこの 空間を打開すべく、後は後夜祭を残すのみになった文化祭について話題を切り出して)
そりゃそうだろ、なんたって祭だからな。…でもまあ、お前もそれなりに楽しかっただろ?
(同性がいる教室で着替えている、というただそれだけなのにその同性が相手だというだけで柄にもなく恥ずかしくて、多少手間取りながらも急ぎ着替えを終わらせると制服のシャツのボタンを閉めながら相手の質問に耳を傾け。彼のいう通り文化祭というものは酷く慌ただしく労力を費やすものだがそれこそが学生生活の楽しみのひとつと考えており、相手からの言葉にふ、と笑みをこぼすとウィッグで少し蒸れ痒みを感じるうなじを掻きながら傍に歩み寄んで答え。彼からしたらそんな暑苦しいのはあまり好まないかもしれないが行事への参加が乏しかった彼に少しでも楽しんでもらえたのではないかと思い、軽く屈み相手の顔を覗き込みながらにい、と笑みを浮かべると楽しかっただろうとの問い掛けを口にし。)
まぁな…悪くなかった。お前の貴重なメイド姿も見れたしな。…想像以上に可愛くて、惚れ直した。
(着替えを終えたらしい相手が此方に近付く気配を感じて直ぐ、顔を覗き込んでくる相手と目が合えば、此方もふ、と笑み返しながらそれなりに楽しめた事を伝え。途中、制御困難な嫉妬や独占欲に悩まされたが、日頃話す事のないクラスメイト達ともそれなりに会話する切っ掛けになり退屈はしなかったし、何よりこの機会に彼との間で得たものも多く、素直な感想が自然と口から零れて。しかし、ここで重大な問題に気付くと不意に眉を寄せ。メイドの正体を大々的に知らしめてはいないのだろうが、知っている奴は知っているし勘づく奴は勘づくだろう。今後相手を狙ってちょっかいを出して来る奴も居る筈、そう思うと黙ってはいられず「椿…お前、明日から気を付けろよ。あれがお前だって勘づく奴は勘づく。何かおかしな真似されたらすぐに言え。」真剣な眼差しを向けつつ相手の腕を掴み、注意するように伝えると同時に、何かあれば直ぐに頼るよう約束させようとし)
ッお、う…そりゃあ良かったわ…。お前も中々男前だったぞ?俺もああいうので締めたかったんだけどなー…。
(相手の返事からは世辞や嘘のような取り繕った堅さがなく本心から楽しんでもらえたのだろうということが伺えそれがとても嬉しく思えたのだが、そこから続いた言葉に思わず動揺して少し鈍めの反応を返してしまい。今に至るまで今回のことに関わった友人やら客やら、勿論彼にだって何度かもらったはずの誉め言葉だというのに服を着替え所謂スイッチを切り替えるようにいつもの姿へと戻しただけで漸く慣れ始めたような可愛いだのの言葉が妙に擽ったくなってしまい、少しだけ困り顔ながら微笑むと僅かに頬を染めて。此方からも賞賛をと結局女装込みの参加となってしまった文化祭への未練も少々交えながら言葉を返し。やれやれとばかりに頭の後ろで組もうと上げた腕をここで不意に掴まれ思わず目を丸くしながら相手に視線を向けると真剣な顔で忠告する瞳とかち合うが、いくらそれなりに出来のいい女装が出来たからといって笑い半分にばらされることならあれど恐らく彼の想像する"可笑しな真似"をする輩が果たして居るだろうかと疑問に思い。しかし此処でそう否定しても今までの付き合いから彼が退かないことは明白で、ため息にも似た深めの息をひとつ吐くと苦笑いを浮かべながら「わかったわかった、気ぃ付けとく。それより、そろそろ校庭行こうぜ?もう後夜祭始まっちゃうだろうし。」と承諾もそこそこに次の別のものへと話題を振り、視線を窓の外へ軽く散らして。)
てめぇ、過去形かよ…。
(誉めて来るのが相手だというだけで柄にもなく照れ臭くなり、視線を泳がせた後にふてぶてしい表情で不平を放ち。かと思えば顔を見合わせ、ふっと笑みを溢して。そろそろ後夜祭に、と告げる相手に従って掴んでいた腕を離し机から腰を上げるも、己の忠告をはぐらかされたような気がして、何か言いたげに口を開くものの、言葉を発する事なくそのまま飲み込む事にし。此方が本気で心配しているというのに、彼には危機感がないというか、少しばかり軽く捉えている気がしてならない。目の前の彼を信じてはいても、彼にそういった目を向ける人間が存在するというだけで嫌で仕方がない。そんな此方の心情など知る由もなく、後夜祭が楽しみでならないというような表情で窓の外を眺める相手の横顔を何処と無く恨めしそう見つめている内、再び沸き起こる独占欲から自然に相手の方へと伸びた手が相手の手を捕まえて。俺のものだというように、相手を見据えたままぎゅっと握れば「…行くか」と一声かけ、手を握ったまま教室を出ようとして)
ごめんごめん。大丈夫、お前は何時でも格好いいよ。まあ、だから若干心配でもあるけど。
(不平を訴えた彼に思わずふ、と笑みが零れてしまい宥めるように手をかざす仕草を見せながら言葉を付け加えると、我ながら惚気ているななんて少しだけ照れ臭く思い。立ち上がった相手を見てそろそろ行くのかと扉の方に体を半身向けた辺りで不意に手を掴まれ、少々驚き彼の方をもう一度見れば独占欲が燃えているような何とも言いがたい瞳で此方を見つめられ思わず動きを固めてしまい。彼が心配してくれるのは何だかんだ言っても嬉しいし、依存が見てとれるのは何とも心地よい感覚だ。しかし無闇に彼の心配を煽るような行動を自分がしてしまっているのかと思うと少々悪いような気もしてしまい、困ったように僅かに眉を下げて。人がいないとはいえこれから大勢の生徒が集まるところに行くとなるとこの手もほどいた方が良いのかもしれない、と一瞬頭で考えてみたものの今の彼にそんなことを強いるのは何とも申し訳ない。「…手、校舎出るまで…な。」小さな声で呟いてからぎゅっと相手の手を握り返すと先に歩きだした彼の斜め後ろ辺りをついていくように教室を出て。)
心配なんかする必要なんか何処にあるんだよ。俺はお前しか見ない。見れるわけがねぇんだよ…
(己の心に彼以外が入る余地など何処にもないというのに何を心配しているのかと、腑に落ちない表情で見つめ、杞憂だとはっきりと告げ。しかし、かくいう己も相手に好意を寄せる存在があるだけで取り乱してしまう辺り、似たような思いもあるのかもしれないと思いながら彼の手を引き階段を降り。繋いだ手は校舎を出るまで、との約束に応える代わりに黙ったまま力をきゅっと込め、歩む速度を少し落として。ふと横顔を横目で盗み見ている内、彼とこうしている事さえも未だに夢のように思えて来てしまう。そんな不思議な感覚に陥る中、出会ってからを振り返る内に胸に熱く込み上げて来るものがあり、視線を外して。胸が一杯で何も言葉を発せないまま昇降口へと辿り着いてしまえば、握っていた手をそっと解放し)
…なら、そのままずっと俺のことだけ見てて。…ずっと、ずっとずっと見てて…。
(ゆったりとした時間の中で告げられた言葉は自分を安心させてくれるような内容のはずなのに、そんな言葉を聞くたびにどうしてか何時までこんなことを言ってもらえるんだろうなんて真逆のマイナスな想いまで一緒に浮かんできてしまい。それだけ彼を愛せていると誇れるようになれば良いのだろうがまだ未熟な心ではそんな考える必要すらない気持ちにすら苦しさを訴え、その不安から来るのか少しだけ相手の腕に身を寄せると小さな声で念を押すように囁いて。昇降口に着きするりと離れていく手に自分から言い出した提案だというのに僅かにぴくりと身を揺らすと一瞬離れた手を追いかけそうに動いた手を少しだけさ迷わせてから戻し。微かに唇を噛んでから先程の行動を誤魔化すように「…校庭、そろそろキャンプファイア始まってるだろうな。早く行くぞ!」との言葉と共に一瞬腕の時計に目線を投げ掛けると、軽く相手の方を見てにい、と笑みを浮かべてから昇降口から外に出ていき。)
――…おい待て椿…!
(懇願するように囁かれた言葉は、“何も心配要らない”と抱き締め、せめて今だけでも安心感で包んでやりたくなる程に不安や切なさの色を帯びていて。けれど相手は既に始まっているだろうキャンプファイアーに気を取られているらしく、そうする事も叶わないままさっさと外へ出ていってしまい。やり場のない感情をもて余しつつ相手の背に声を掛けるも、後夜祭に胸踊らせる彼にまともに届く事もなく。「ずっと見ててやるよ…ずっとな…。」離れていくその背を愛しげに見つめながら誓いのように呟くと、彼を追い掛けて。途中己が未だ浴衣のままだった事に気付くが、今更着替えにいくのも面倒になり。そのまま彼へと追い付けば、遠目に見えるキャンプファイアーの炎を眺めながら彼の少し後ろを歩き)
ーーお、フォークダンス?っつうのかな。去年とかはあんまちゃんと見てなかったけど、やっぱカップル多いな。…ああ、あとはふざけてる奴等か。
(後ろの方で相手が何かを呟いたような気がしたが、鮮明に聞き取ることは出来ずまた目の前の後夜祭のことに浮わついていたからかその時は特に追求もせず流し。赤々とした炎を揺らすキャンプファイアの囲いの周り、危なくないようにと教員が引いたと思われる白線の外側を囲みフォークダンスを踊る男女に視線を向けながら人波より少しだけ離れた校舎の壁に寄り掛かると楽しげな声で呟き。色めきだった空気が離れていても伝わってくる男女の中に混ざり男同士でふざけて踊る数人がいて、その中に何気に混ざっている友人達を見つけ苦笑まじりに言葉を付け加えるとそんな友人達に向け軽く手を振って。そんな中、不意に視線を周りに向けると此方に向かって歩いてくる一人の女子生徒、先日彼に告白を決めた茂庭がいて。平然を装おうとするのにどうしても表情は強張ってしまい、それを彼女にも傍にいる彼にも気付かれたくなくて挙げていた手をそっと下ろすと少しだけ俯き加減になり。)
『…上原くん、ちょっといい?』
(/文化祭ターンが続きそろそろ単調になってしまいそうかな?と思いましたので勝手ながら久々に茂庭ことモブ嬢を登場させて頂きました!勝手にこんな登場をさせてしまいましたから、今後のことで何かありましたらどうぞお聞かせ下さい。)
…混ざらなくていいのか?本当ならお前もあの中に居たんだろ。
(普段見る事もないキャンプファイアの影響が強いのか、慌ただしかった文化祭後の後夜祭の独特な雰囲気に圧倒されるように、赤く立ち上がる炎や、曲に合わせ周囲で踊る生徒達をただぼんやりと眺めており。隣で呟かれた言葉に現実に引き戻され、ふざけて踊っている仲間に向かって手を振る相手を横目で捕えながらふっと笑みを浮かべ、からかうような台詞を向けて。その時、己を呼ぶ女子の声にそちらに視線向ければ、本日彼女のお陰でクラスの催し物が大盛況だったと言っても過言ではない程活躍していた茂庭の姿があり。先日の件もありいい気分はしないだろう彼の手前、本来なら素っ気なく返していただろうが、文化祭の後という事でその件に関する用件かもしれないと考え。「…どうした」隣で俯き加減の相手を気にしつつ、一応は問い返して)
(/はい、あの…お、遅くなりました…orz←
お、丁度そろそろ彼女の出番になるのかなと予想していたところです/笑/何かご希望の展開なんかはありますか?ありましたら是非是非!特になければ流れに任せてしまいますが…)
『えっとね、折角だし上原くんと踊りたいなって思って。最後の年なんだし、記念に…ね、駄目かな?』
((胸の前で指を組みながら控えめに一言、女の子らしいくりくりとした瞳でちらりと相手を見上げるような角度で首を傾げて。))
…あー、うん…その、なんだ…邪魔しちゃ悪いし、俺あいつらんとこ混ざってくるわ…。
(自分達の前に進み出てきた彼女は記念だと言うが、勿論それは好意あってのものなのだろう。それでも此処で不自然に自分がそれを遮るようなことはたとえ彼女が誘っている相手である彼と自分が恋仲であろうとするべきではないとさとり。彼女含め外では最近仲良くなった程度のただの友人というポジションからこの場に居座るのも些か不自然だ、そう判断するなり先程の相手の言葉を聞いて思い立った風に少しだけ気まずさを感じたような苦笑を滲ませながらぼそりと呟くと頭を軽く掻いてからそっとその場を離れ。正直に言えば彼女が相手を誘った時点で駄目だと二人の前に出てしまいたい位には不満を抱いている、しかしそれを表に出すのは得策ではないし何よりそんなことをしでかした時点で彼との関係を露見すると同時に彼を信じきれていない自分を出してしまうことに直結し。相手は自分を好いてくれている、女の子よりも自分を愛してくれている、そうして自分に言い聞かせても不安になってしまう自分が恨めしくて逃げるようにその場を後にし仲間達の元へと加わるともやもやとしたこの想いをどうにか掻き消そうと踊る彼らの手を取れば、そのまま二人の姿から目を逸らすように踊りに意識を向けて。)
(/大丈夫ですよ、年末年始はやはり忙しくなってしまうのは必至だとこちらも分かっていますから!まあそんな中予定もない私は何時も通りですが…orz
特に希望はありませんから、どうぞお好きなように動いて下さいな^^原田は既に勝手に仲間のところに駆け込んでしまいましたが…もしそちらのご要望がありましたら嫉妬に任せて上原くんを強奪に戻ることも可能ですよ/←/
そちら様も何か流れ的にこういうフラグ立てたいな、みたいなものがありましたらどうぞおっしゃって下さいね。)
おい…!
(恐らくはいたたまれなくなったのだろう、引き止める間もなく離れていってしまう相手を視線が追い掛けるが、周囲の目もありそれ以上どうしようもなく。仕方なく隣の彼女へと視線を戻すと、邪魔をしている事を全く気にしていないのか、はたまた何かに勘づき故意にタイミングを見計らって来ているのか、無邪気な愛らしい瞳で己を見上げながら期待に満ちた笑顔を浮かべていて。不安で一杯だろう彼が気になり、正直フォークダンスどころではない。今直ぐ追いかけ、心に落とした影を払ってやりたい気持ちは山々だが、彼女の台詞からするに彼と同様、高校生活最後のこのイベントを楽しみにしていたのだろう。学校行事に参加して来なかった己にはこのイベントがどれ程重要なものかわからないが、準備も本番も頑張っていた彼女を思うと無下にも出来ず。仲間達の元で踊る彼にもどかしげにもう一度向けた視線を彼女へと戻せば、「…少しだけな。それから、期待はするなよ。踊りにも、今後の俺にもな。」彼女の気持ちに今後も応える気はない、そう取れる発言をしては渋々といった調子で了承し)
(/追いかけたいです…追いかけたいんですが、予定していた椿君の嫉妬のターンが必死な上原によってなくなってしまったのと、此方としても椿君の嫉妬が見たい…!ということで、まんまと茂庭ちゃんと行動する事にさせて頂きました/←
有難うございます。そちらも要望など、その都度どんどんお申し付け下さいね!)
『ふふ、分かってるよ。でも、追い掛けるだけなら私の自由でしょ?』
((相手の返答に嬉しそうにぱあっと笑顔を輝かせるとやったとばかりに小さくこぶしを握り。念を押すように掛けられた相手の言葉に軽く笑むと何処か挑発的な瞳で相手を見上げ、それからそろそろ躍りの輪へ相手を誘うように軽く相手の袖を引いて。))
ーー…へえ、乗るんだ…。
(友人たちとの馬鹿騒ぎに身を委ねているうちに段々と心のざわつきも落ち着いてきて、次第に笑みを浮かべられるようになってきたのだが不意に視線を外に向けたとき丁度嬉しげに笑みを浮かべた茂庭の姿が見え。めらめらと燃える炎以外の灯りが最小限に抑えられている中相手である彼の表情は暗くて見えづらいが彼女の表情からしてOKを出したのだろう、そう認識した途端やっと上向きになりだしたというのにいきなり胸に重石を落とされたような苦しい感覚を覚えると友人と手を取り合ったままにも関わらずぽろりとまさに溢した、というような軽さながらも恐ろしく低い声色で一言呟いて。さすがにそれに驚いたらしい友人にはっとしすぐに「ッ、あ…ごめんごめん、何でもねぇから。」とフォローをするものの視線はちらちらと相手の元へ、笑顔を取り繕うとはするものの先程と比べて明らかにきつくなってしまい。気を遣って場を離れはしたものの彼ならきっと断るだろうと心の何処かで思っていたのだろう、受け入れたという事実が酷く苦しくて同時に"なんで"という苛立ちを生み。唇を噛むことでそのもやもやをどうにか消そうとするもののどうにも上手くいかず、それ以上二人の並ぶ姿を見たくないとばかりに瞳を軽く伏せて。)
(/今度はこちらの嫉妬ターンという訳ですね、了解しました!ただうっかり嫉妬が行きすぎかねない所がありますので、もしこれは無いだろ…というようなレベルになってしまいましたらどうぞご指摘下さいませ;;
それと今回はこちらが嫉妬をする流れということで、もしそちらに余裕があればなのですが茂庭の操作を委ねた方が展開しやすいのでは?と考えています。なんといいますか、嫉妬の原因を嫉妬する側のこちらが起こすというのはそちら本位になれずいまいち楽しめないのではと思いまして…;;そちらで嫉妬させる加減?を調節できた方がやり易いかと思いましたので提案させて頂きました。
もし難しかったら今まで通りこちらで操作することも全然大丈夫ですから、ご希望を自由にお聞かせ下さい。)
わからねぇな…無意味だとわかってんなら何で………
(脈がないと解っていても気にする様子なく強気な笑顔を見せる彼女に眉を潜めながら言葉を返す途中、ある事に気付く。半ば強引に己の手を引き炎を囲む輪へと誘う彼女は、少し前の己と一緒なのだと。椿を追い掛ける己もまた、想いを伝えたい一心で必死に追い掛けていた。例え限りなく可能性が低くても、日に日に大きくなる想いを抑える事など不可能で、目の前に愛する彼がいる限り諦めたくないという思いに強く動かされながら。決定的に違うのは、彼女に気持ちが向く可能性はこの先もゼロに等しいという事。そう言い切れる程に彼に惚れ込んでしまっている自覚があるからこそ、僅かに前を行く健気な彼女の姿から視線を伏せ。輪の中に入り、己に笑顔を向ける彼女と視線が合っても笑みを返す事すら出来ず。複雑な思いを抱えながらただ見つめ返せば、曲に合わせて踊り出す彼女に情けなくもリードされるような形で踊り出して。こういった経験がなく、ぎこちなさを残しつつ見様見真似で踊る己とは違い、彼女の軽やかな動きは流石なもの。見る者を魅了するような笑顔を振り撒きながら楽しそうに踊る彼女に、自然と小さく笑みが溢れて。やがて一曲終わると小さく息をつき、「流石だな…。…もういいだろ」労いの言葉を掛けた後繋がれたままの手をほどこうとするも、まだ離さないとばかりにきゅっと力を込められてしまえば、「おい…」話が違うとばかりに眉を寄せ、目の前の彼女を見据えて)
(/大丈夫です、嫉妬で行き過ぎと感じる事はないです。むしろ…、ここでは多くは語りませんが…/笑/それに上原も嫉妬深い奴なんでb
あと茂庭ちゃんの操作ですが、此方女の子の操作というものをした事がなく…あんな風に可愛らしく動かせる自信がないので、仮に会話とかさせたら台無しになる恐れがあるので、勝手ながら行動のみ少しだけ加えさせて頂く事にしました。やりにくかったらすみません…!状況を見ながら操作を加える事があるかもしれませんが、そちらも椿くんも茂庭ちゃんもお好きに動いて下されば…と思います。)
『…記念、もうひとつだけ頂戴?大丈夫、みんなお祭り気分でうっかりしちゃったと思ってくれるだろうから…。』
((相手に逃げられてしまわないように握った手を軽く引きながらゆっくりと背伸びをして相手との距離を詰めると、回りに聞こえないような囁き声で呟きながら相手の頬辺りへ向けてかそっと唇を寄せようとしてみて。))
ーーッ、は…何、笑ってんの…?なんで、そんな…っ!!
(目を伏せ見ないようにと自分で律せども二人を見る回りの生徒のざわめきが気になりどうしても完全に無視することが出来ずにいて。彼は優しいから、と自分で相手の行動を納得しようと言い聞かせてもそれを上回る範囲でじりじりと胸が焦がされていくような感覚が広がっていき。無視を決め込もうとするのが苦しくなり始めた頃不安げに眉を下げた情けない表情のままそっと二人の方に目を向けてみればタイミング悪く彼が彼女に笑いかけているような、その小さな微笑みを目にしてしまい。嫌々でも彼は優しいから断れなかった、そう自分に言い聞かせていたのにそれを打ち破るような光景に思わず踊りも忘れその場に棒立ちになるとそれを不審に思い声をかけてくれている友人の声すら耳に入らないまま呆けた表情でぽつりと呟き。曲が終わっても手を握りあったまま、お互いを見つめあうように見えたその情景でとうとう頭の何かがぶつんと切れてしまったのかかたかたと歯を震わせながら自嘲の混じったような笑みを薄く浮かべると回りにいた友人やら他の生徒やらを押し退けそのまま旧校舎の方へと走っていってしまって。)
(/茂庭ちゃんの件了解しました!ではまあ、あれですね。嫉妬に拍車を掛けるべく何だかすごくラブコメチックになってしまいましたがどうぞお付き合い下さいませ;;
一先ずお互いに茂庭ちゃんを動かしていくということで分かりましたので!
では本体はこれにて失礼します。何かありましたらどうぞ気兼ねなくお呼び下さいな。)
おい…いつまで――……ッ、
(いつまで経っても解放される事のない手をほどこうとした時、不意に詰まる距離に自ずと彼女を警戒した身が強ばり。その言動から次の行動を何となく察し、彼女が触れてくる前に咄嗟に肩を掴み己から引き剥がして。「てめぇ…話が違うだろ。期待するなと言ったのがわからねぇのかよ」咎めるような眼差しを向けながら非難した時、視界の端に暗闇の方に駆けていく相手の姿を捕えはっとして。一部始終とまではいかないにしても、彼は此方の様子を気にしていたのは確かな筈。状況を素早く把握し、背後から己を呼び止めてくる彼女に構わず、気付けば彼を追いかけ走り出していて。「――椿…!」キャンプファイアの輪から大分離れた辺りで彼の名を呼ぶも、彼の足は決して遅くない上、やはり浴衣姿では走りにくく、容易に追い付く事が出来ずに焦れったそうな舌打ちが零れ。彼と同じように文化祭に特別な思い入れがあった彼女、その思い出作りに軽い気持ちで協力してしまった事でどれ程彼を傷付けてしまったのか。今更ながら事の重大さを感じつつただ夢中で彼を追いかけ)
(/早くも茂庭ちゃん操作破棄して置き去りに…。仕方ないですよね、椿くん放置出来るわけないですし。←
勿論どんな展開でもお付き合いします!いつも有難うございます。今年も息子共々宜しくお願いします^^では此方も一旦引っ込みますね。)
ーーは、やく…早く、家帰って…頭、ちゃんと冷やさないと…早く…。
(後ろから相手が追ってきてくれていることに最後まで気付かないままその足で旧校舎の着替えに使った例の教室へと飛び込むとそこに置いていた荷物やら衣装やらをばさばさと焦った手つきでまとめ始めて。このまま学校にいれば気持ちが落ち着くどころかきっとそのうち切れて怒鳴りだしてしまうかもしれない、早急に頭を冷やさないと自分だけじゃなく相手にだって迷惑を掛けてしまうかもしれない。ここまで考える間にも彼を思い出すだけで浮かんできてしまう先程の情景に苛立たしそうにがしがしと頭を乱雑に掻き乱しながら小さく唸るときつく唇を噛み締め、漸く纏まった荷物を肩に背負えばこのままさっさと家まで帰ってしまうつもりなのか小走りで室内を移動すると立て付けの悪さからがらがらとけたたましい音を立てながら教室の扉を開け。)
(旧校舎へと向かった相手を追い己も飛び込むように入ると、上の階から聞こえる足音を頼りに階段を駆け上り。彼が向かったのは恐らく先程着替えに使った教室だろうと直感し、そのまま三階の教室を目指して走り。すると前方に丁度部屋から出ようと、立てつけの悪さから少し重めの扉を開ける相手の姿を捕えて。「椿…!」相手の名を呼び駆けつけると、案の定このまま帰ろうとしていたようで荷物を肩に下げており。傷付いている筈の彼をこのまま帰すわけにはいかず、咄嗟に扉に手を掛けては逃がさないとばかりに相手の前に立ち塞がり。明かりのない部屋で彼の表情こそはよく見えないが、疑惑や怒り、悲しみ、不安等で一杯であろう相手を見つめれば「待て椿…話くらいさせろ」と、弁解の機会を求め、なるべく落ち着いた声を掛けて)
ッ!…いや、だ…今日疲れてるんだよ、話ってどうせ弁解か何かなんだろ?だったら土日明けた後でいいじゃんか。…だから、さ…ほら、もう帰るとこなんだし…。
(自分の名前を呼ぶ声にびくりと肩を震わせれば、その声により暗闇の中に相手が居たことを知り。どう逃げようかと思考を巡らせていればその考えを先読みでもしたように入り口を塞ぐ彼に反射的ともいえる早さで後ろに飛び退くと気まずそうに視線を落とし、鞄の紐をきつく握りしめながらその後の相手の言葉を一先ずは大人しく聞いていて。彼としては自分の悲しさだとか怒りだとかをどうにかするために追ってきたのかもしれないがそんな心遣いこそがじりじりと胸を焦がすようなほの暗い想いを増長させていき、落ち着きを取り戻そうとするように深めの呼吸を繰り返しながら不要な感情を排除したような素っ気ない言葉で拒否を示し。「…ほら、早く通せよ…。」何時までもこの場で彼と一緒にいてしまえば折角静めた想いを吐き出しまた相手を傷付けてしまうかもしれない、そんな思いから早くこの場を立ち去りたいのか触れようとはしないものの焦れったがるように僅かに体を揺らすと空いた方の手を胸元にやり制服の胸をぎゅっと握りしめながらぽつりと呟いて。)
弁解しようとして何が悪いんだよ。逃げたって事は何かしら思う事があったんだろ?何にせよお前をこのまま帰すわけにはいかねぇ。
(時間が経過してからの弁解では遅いと開き直るかのように突っぱねると、塞いでいた入り口の扉から手を外し、中へと入り後ろ手で扉を閉めてしまい。暗がりの中で焦れったそうに身を揺らす相手は早く帰りたがっている、正確に言えば一刻も早くこの場から逃げたがっている事が感じられ、決して逃がしてなるものかと相手の行動を注意深く見つめ。相手に視線を向けたまま何から説明すべきかと思考を巡らせた後、静かに口を開き)
…茂庭の誘いに応じたのは、あいつもお前と同じ様に文化祭に思い入れを持っていたからだ。文化祭ってもんがどれだけ重要なもんか俺にはよくわからねぇが、お前があれだけ楽しみにしてた事を思ったらな……奴の気持ちに応える気はないのを前提に、少しだけ付き合ってやってもいいかって気になった。
(告げた言葉にやましい思いも嘘もない。物事の原点になるのはいつも目の前の相手で、彼が己との時間を割いてまで今日の為に準備に励み、本日己に見せた笑顔からも、どれ程楽しみにしていたかが窺えて。だからこそこの日が特別なものだと知り、今日だけは彼女の気持ちを無下に出来なかったのだが、此処で重要な事に初めて気付き、はっと息をのみ。どんな言い分けを並べたところで、それ程楽しみにしていた彼を一時的にでも放置し、彼にとって今一番気になる人物だろう茂庭の相手をしてしまったという事実は動かない。己の浅はかさに気付き悔いた時にはもう遅く、「…っ、悪かった」どれ程傷付けてしまったのかと思うと胸に響く痛みに自然と瞳が伏せられ、不甲斐なさに握った拳に力を込めながら謝罪の言葉を紡ぎ)
ッ、だから…俺、そういう話聞きたくないんだって…。さっきから、散々やだって言ってんだろ…っ!
(するりと体を滑り込ませ教室内に入ってきた相手と自然と距離が近付いてしまい、その近付いた分だけそっと後退し距離を取ると弁解を口にし始めた相手から聞きたくないとばかりに顔を逸らしながら眉を寄せ不快そうな表情を浮かべて。案の定ダンスを申し込んできた彼女の意思を無下に出来なかったらしい相手の説明に別に乗り気でいた訳ではないと分かりほっとした反面、嫉妬ですっかり熱を持った頭にはそれ以上に結局それだけその瞬間自分以外の人間、それも相手に好意を抱く少女に目を向けていたという事実が怒りに更なる燃料を足してしまい。謝る相手に不安そうに表情を歪めながら顔を向けると僅かな時間彼を見つめるもののすぐに目を伏せれば、取り繕うのももう忘れ始めているのか怒りを隠そうともせず酷く低い声でぼそりと呟き。次第に強まる胸を刺すような痛みに胸元を握っていた手を更に強めながらぎり、と歯を噛み締めるとじわじわと瞳に滲み出す涙を鬱陶しいとばかりに乱暴に拭い。「…正直、今はお前と居たくないんだよ。…だから、ほんとにそろそろ帰らせて…。」やはり彼の弁解を聞こうとも一度燃えだした嫉妬の怒りは中々収まりそうもなく、微かに震えた声でとうとうはっきりと相手を拒絶するような突き放した台詞を吐き出すと相手の立ちはだかる扉を避け教室後方にあるもう片方の扉の方へと急ぎ気味の足取りで歩んでいって。)
…だったらどうしろっつぅんだ。説明しなきゃしねぇで、てめぇはまた勝手にあれこれ考えて不安になって悩むんだろうがよ。今だって――……、ッ…
(言い分けなど聞きたくないという相手、その普段とは異なる低い声音にも彼の怒りは滲んでいて。しかし言葉にしなければ真実が伝わらない事もある。強気な癖に繊細な心を持つ彼だからこそ、今回の件が思わぬ方へと転び、別れたいだのと言い出されたら堪らない。申し訳無さから伏せていた視線を上げると再度視界に相手を捕え、彼が欲する答えを求めるかのように静かに反発し始めるが、暗がりの中目元を腕で拭う仕草を目にした瞬間、言葉は勢いを失って。微かに震える相手のその声から感じる拒絶が己の胸を鋭い痛みで貫く。逃げるように去る相手を追う反応が一瞬だけ遅れるも、「おい待て椿…!」ガタガタと邪魔な机を押し退けるようにして即座に後を追えば、腕を掴んで乱暴に此方に引き、半ば無理矢理対面させようとして)
―…なぁ椿、お前が俺から逃げる理由は何だよ。俺に対する怒りだけじゃねぇよな…?他にあんだろ、俺と一緒に居たくねぇ理由が。一人にならなきゃいけないと思う理由がよ…。言ってみろよ。
(己を避けようとする理由に確かに怒り等の感情もあるだろう。けれどそんな単純なものではなく、もっと深く、複雑な部分にあるという事をこうして何度もぶつかり合う中で学び、どんな相手でも受け止めようと誓った。逃げないように捕えた彼を真っ直ぐに見据えながら、彼の真意を聞き出そうとして)
ッさっきまで他の女の手握ってたくせに、んな手で気安く触んな!!
(彼の反応が遅れたことで多少無理矢理にせよこれでやっとこの場を去ることが出来ると一瞬気を抜いてしまったのが悪かったのか、予想外の早さで自分を捕らえた腕を感じれば相手と目が合うか合わないか程の瞬間に抑えていた熱いものがかあっと込み上げてくるのを感じ。この手が自分以外の人間についさっきまで触れていた、異性同士だというのにしっかりと握りあっていた、そんなことが頭に浮かべばかっとなった勢いに任せ手酷いと感じるほど力任せに掴まれた腕をほどくと怒りと悲痛とも取れる大きな怒鳴り声で拒絶し。しかしすぐにはっと自分がしたことを認識すると一瞬戸惑ったように瞳を揺らした後涙を堪えるように悲しみにぎゅっと顔をしかめて。)
ーー…ご、め…。…今、どうしたって冷静になれなくて…酷いこと、簡単に口走っちゃいそう、で…だ、から…ッ!
(二人が踊っている時も、逃げ出して追いかけられていた時も、これだけ言及されるまでずっと我慢出来ていたのに触れられたというほんの些細なことで酷く相手を傷付けるような言葉を吐いてしまった。そのことが自分自身ショックでその切っ掛けから塞きを切ったようにぼろぼろと瞳から涙の粒をこぼし始めればくしゃりと歪んだ表情を隠すように軽く俯きながら片手を鼻の辺りに添え。泣くことでヒューヒューと鳴る喉が声を震わせるのか、極力それを抑えたような酷くか細い声でぼそぼそと相手からの問いに応えるとその言葉を最後に止まらなくなったように嗚咽を繰り返しながらぐずぐずと泣きじゃくり始めて。)
…っ、
(腕を捕えた途端、放たれた悲痛な叫びと共に物凄い力で振り払われ、息を詰めて。こうなるだろう事を頭の片隅で想定していても愛する存在からの拒絶が堪えないわけがなく、細めた瞳を密かに揺らしつつ行き場を失った腕をゆっくりと下ろし。それでも解って欲しい、どんな相手も受け止める覚悟が己にはあり、それ程相手が大切で譲れないものだという事を。「椿……」泣き出す相手をどうするでもなく静かに声を掛け。暗がりの中、俯いてしまっている表情は此方からはよく見えないものの、張り詰めていたものがぷつりと切れたように嗚咽を漏らしながら泣きじゃくる相手がどうしようもなく愛しい思いが溢れ)
――だからそれを我慢しねぇで言えっつってんだよ。今、俺にぶつけなくていつ誰にぶつける?お前の事だからこんな事言ったら俺を傷付けるとか、嫌われるんじゃねぇかとか、ごちゃごちゃ思ってるんだろうが…そんな事で面倒になるような生半可な気持ちじゃねぇって何度言えばわかるんだ、てめぇはよ。冷静になんかならなくていいだろうが。俺はお前の前で冷静でいれた事なんか一度もねぇよ…。
(どうすればこの思いの全てが伝わるのかわからない。もどかしい気持ちが、極力勢いを抑え落ち着いて発するよう努めていた声を次第に荒げていき。瞳は依然相手を捕えたまま、ただ真剣に相手と向き合おうと必死で)
…お前なら、そう言うって思ってた…。…それ、でも…お、俺が嫌なんだよ…好きな奴に、汚いところなんて見せたくない…!…わ、がままな、こんな面倒臭い奴になんてなりたくない…!
(優しい彼なら、心の中で傷付いてもきっと結局は自分を尊重してくれるのだろうとこれまでの関わりから何となく分かっていた。現に相手は自分が怒りに任せて口走った言葉さえも拒否なんてせず受け止めてくれている、それでも愛しい相手に自分のどろどろとした汚い部分を見せたくない気持ちが心に強くあることで衝動に駆られて口走ってしまわない限りはやはり極力口をつぐんでいたい思いがあり。一気に気持ちを放出したお蔭か深すぎる嫉妬に涙自体が止まることさえないものの次第に高ぶったような嗚咽は落ち着いていき、頬に伝った幾重もの涙の筋道を袖でごしごしと拭き取りながら俯いていた顔を僅かながら上向かせれば自己嫌悪の念からかぎゅっとしかめられた表情のまま少しずつ話し出し。)
…ほんとは、お前のこと無理矢理うちに連れて帰って、そのまま暫く俺だけのにしたい、とか…そんなこと考えるくらいに嫉妬してるんだよ…。…でも、そんなこと出来ないし、もしかしたらお前は受け入れてくれるかもしれないけど…そういう、汚い自分が俺自身お前に見せたくなかったんだよ…。…ずっと、ずっとずっと…俺の中の綺麗なとこだけ見せてたくて…。
(愛とはお互いに全てをさらけ出すものだとしても、自分一人の自己満足でただのエゴでしかないことでも、それでもそうして見せたくない部分を隠していたいという程には相手によく思われていたかった。結局は吐露してしまった部分こそあれどそれは今も変わらないのか、それ以上の感情の露出を抑えるために気持ちを落ち着かせようと深い呼吸を繰り返すと鼻から口許にかけてを軽く片手で隠しながら小さく唇を噛み締めて。)
……俺がそんなお前を見たいっつってもか?お前が汚いと思うお前も、面倒だと思うお前も…
(堰を切ったように次から次へと溢れ伝う涙を必死に拭いながら心の内を懸命に言葉にする彼を目の当たりに、苦しい程に胸を締め付ける言葉にならない程の愛おしさに喉の奥が熱を持つ。相手の頬に触れようと伸びた手は、他の女に触れた事を理由に一度拒否された事で一瞬戸惑いを見せ、頬には触れずそのまま相手を抱き寄せて。相手からは見えない表情が真剣でいて何処か懇願するようなものである事はその声音にも滲んでおり、相手の全てを求めるように、逃げ出してしまわないように、しっかりとその腕でかき抱いて。“好きな相手に汚い部分は見せたくない”、元々彼はそういった思考を持つタイプなのかもしれないが、此方の一目惚れから始まってしまった事もあり、彼の中で尚更譲れないものとなってしまっている可能性も否めない。もしそれがプレッシャーになっているのなら大きな間違いだという事を伝えたく、頭をゆっくりと一撫でしては口を開いて)
椿…お前は汚くなんかねぇよ。上手く言えねぇが…お前の気持ちを聞いて、益々お前が愛しくじたのは確かだ。これからもお前を知る度、この想いは強くなっていく気しかしねぇ。お前がその汚ぇと思う部分を幾ら隠そうとしても、俺はきっと無理にでも見ようとする。お前を愛しているからな…。
(必死に隠していた部分を知っても尚、彼は己の中でずっと綺麗なままで、これからもそれは変わらないという確たるものがある程、腕の中の彼が愛しい。抱き寄せた頭に頬を軽く擦り寄せるようにしながら、己でも驚く程穏やかな声音で思いの丈を語り。幾ら愛しているからだといって、彼の本意ではない事までしようとする己の方が余程汚い人間だという自覚を持ちながらもそうせずにはいられず、頬に触れる髪に唇を寄せて)
ッ、…!
(堪えようと抑え込んで居たのにとうとう言ってしまった、隠しきりたかったはずの感情を相手に伝えてしまったことが今更どうにも出来ないくらいの大きな不安や後悔となり背骨を伝ってくるようにぞくぞくと全身に広がり。嫉妬の感情を抱く本人が女であればやきもちなんて可愛い言葉のように愛らしいものだっただろうが男がそれを抱けばただの独占欲とどろどろに煮詰めたような重たい感情としか自分ならば思えず、そんな考えが尚更自己嫌悪に拍車を掛けて。悶々と思い詰め始めた最中不意に傍に感じた相手の匂いと、それに混じって仄かに感じた甘ったるい女が好みそうな香りに顔を上げると今度は逃げられそうもないほどにしっかりと相手の腕に捕らわれ思わず息をつめ。)
…どんだけ、重たくなっても…周りが引くくらいの酷い嫉妬になっても、それでもちゃんと愛してくれんの…ッ?
(恐らく香水か何かの移り香なのだろう、予想するまでもない甘ったるい香りの持ち主のことを考えまたしても腕を突っぱねようかとした時、彼の口から放たれた嫌悪など欠片もない真摯な言葉に抵抗を忘れ。先程嫌がったばかりの手で撫でられることも気にならなくなるくらい、強く温かく胸に響いたその言葉にやっと収まり掛けていたというのにまた目の奥が熱くなるのを感じると浴衣の合わせから覗く相手の首もとに鼻先を埋めるように密着し。自責の念に駆られ暗く落ち込んだ心を温めてくれるような彼の行動にぼそぼそとした小さな声で言葉を返すと胸に当てていた手をそっと相手の胸板に滑らせ、しがみつくと言うのが憚られる程の弱々しい力で浴衣の一部を握り。)
当たり前だろうが…お前の嫉妬や独占欲を感じる程、お前が愛しくなる。俺だって自分の貪欲さに驚いてんだ…お前と同じなんだよ…。だからもっと…もっと俺を必要としろ。
(己の思いが伝わったのだろうか、抱き締めた瞬間彼が息を詰める様子は感じたものの、抵抗らしいものは見られない。首の辺りに埋められるように触れてくる彼の鼻先、戸惑いがちに胸元付近の浴衣を掴む手、 涙を堪えるようなか細い声、どれもこれもいとおしく、言葉にならない愛しさが鼻の奥をつんとさせて。掠れてしまいそうになる声を気遣うように、所々言葉を途切れさせながらも強い意思を感じさせる声音ではっきり伝えれば、未だ迷いを見せる相手に安心して縋って欲しい一心で、抱く腕に力を込めて。好きな相手に己を良く見せたいという思いはわからなくないが、相手に晒す自分を悠長に選択している余裕など己にはない。狂おしい程に膨らんだ想いを正確に伝える事すら困難で、相手を腕に抱く今でさえもどかしい思いに駆られ。「椿…」自然と溢れてしまう声からは溢れる感情をもて余すようものが感じられ、愛しい存在の温もりをより感じようと抱き直して)
ーー…今日、うち泊まってって。…茂庭さんとくっついてた罰、明日まで俺とだけ居て…。
(相手の嫉妬や独占欲が自分にとって心地好いように、自分が汚いと苦々しく思っていた想いも相手にとっては愛しいものだった。そのことが深い安堵と共にとてつもなく嬉しくて、こんな気持ちすらも愛してもらえることがこの上なく幸せで浮かべた涙が頬を流れ落ちていく中深い幸福感に顔をくしゃりと歪めながら笑みを浮かべて。控え目に胸板に滑らせていた手を両手とも相手の背中に回しぎゅっと抱き締めると安堵から漸く安らいだような笑顔になれた瞳を相手に向けると、にっと控え目に歯を見せながら悪戯っぽい要求を口にして。相手が自分を受け入れてくれたのは勿論嬉しいがそれにしたって茂庭との一件はそんなに聞き分けよくなかったことになんて出来ないくらいのもので、八つ当たりとまではいかずともじゃれるように相手の頬骨にわざと頭を当てぐりぐりと押し付け。「…断ったら、お前のこともう二度と名前で呼んでやんねぇから。」子供じみた報復に過ぎずともこれでも自身の中では中々の勇気を出した行動であり、言ってから段々と不安が込み上げてきたのか最後に少しだけしおらしくなったような、小さな声でぽつりと呟くとどうするとばかりに相手を見つめて。)
は、そりゃ願ってもねぇ罰だな…。言われなくとも今日はお前を一人にするつもりなんか更々ねぇよ。お前を連れて帰るのが無理なら、お前の家に押し掛けるつもりだった。
(罰という名の甘い要求は、此方の望みそのもので。しっかりと背に腕を回された上での、ねだるような甘えるような物言いに柄にもなくときめきを覚え。己に向けられた安堵と幸福感に満ちた笑顔は一際綺麗に見え、頬を伝った涙の跡が尚更愛しさを掻き立てる。濡れた頬を優しく拭ってやりながら真意を伝える最中、頬骨の当たりに可愛らしくも地味に痛い攻撃をくらうも、ろくに抵抗を見せずにそのまま話を続けて。と、不意にしおらしさを垣間見せる相手が発した言葉にぴくり、と小さな反応を示せば「……何だよ、また呼べよ」今度は此方が戸惑ったように眉を寄せ、珍しく拗ねたようにも取れる声音と同様の表情で相手を見つめ。これまでまともな人付き合いをして来なかった故、下の名前で呼ぶような存在など身内くらいなもの。愛しい相手に初めて名を呼ばれた時の、あの何とも言い難い衝動と胸の高鳴りが蘇れば忽ち胸がざわめき出し。「…っ」再び相手の頭を抱き寄せる事で、余裕のない表情を隠そうとするも、加速し始めた鼓動まではどうする事も出来なくて)
ーーかず、さ…すごく、嬉しい…。…親、今日と土日使って旅行いってるから。
(優しい手付きで頬の涙の跡を拭ってくれたりと随分大人びた対応をしてくれたかと思えば、自分が用意した名前を呼ばないなどという報復に拗ねた様子をみせたりと茂庭には見せないような様々な表情を彼が自分だけに許してくれているという優越感に思わず頬を緩め。本格的に拗ねてしまったのだろうか、自分の頭を抱き寄せ表情を隠してしまった彼にくすりと小さく笑むと首を緩く捻って相手の顔の方を向けばそのまま軽く吸い付くように相手の頬へと口づけて。少々の照れ臭さに頬を仄かに染めながら小さな声で彼の名前を呼ぶと今夜自宅が空いていることを伝えると共に未だ身に纏ったままの浴衣を軽く引いてから「…これ着替えて、早く帰ろう?…ちゃんと、俺らしか居ないとこで甘えたい、から…。」などと漏らして。)
っ…お前、少し大人しくしてろ。俺がもたねぇ…
(ある程度落ち着くまで抱き締めたままやり過ごそうとしたが、余裕を欠いた己に追い討ちを掛けるように頬へ施された感触がそれを妨げて。顔を上げたそこには、はにかんだ様子で己の名を口にする相手。甘えるように浴衣を引きながら可愛らしい口調で“帰ろう”と促されれば言い様のない愛おしさに襲われ、いてもたってもいられなくなり、眉を潜めたまま視線が泳ぐ。自分でも手に追えない程に突き上げる感情を必死に消化しようと、まともに思考が回らない頭で全く会話になっていない言葉を吐きながら再び強く抱き締めて。暫しそのままでいる事で漸く落ち着いて来たのか、相手を抱く力を緩めると「――…そういや…、」と、何かを思い出したように口を開いて相手を解放し。己にとって罪に値する程の可愛らしさに取り乱していたせいで先程は反応出来なかったものの、“両親は旅行中”と、彼の口から聞いた気がする。思ってもみない好機ではあるが、相手の家に押し掛け一泊する気でいた故、両親にもそれなりの挨拶を…と本気で考えていた分拍子抜けしてしまい。「さっき親は留守って言ったか…?」念の為確認しながら、取り敢えず教室を後にしようと、暗がりの中誘導するように然り気無く相手の手を引いて)
…ごめん。…まだ、ちょっと収まってないとこあるみたいで…。
(切羽詰まったような言葉や泳ぐ視線、強く自分を引き寄せてくれる腕を含めた彼の態度全てが自分を好きだといってくれているようで酷く心地よく、彼の愛情で己の欲望を潤すどころかまるで浸されているような強すぎる充実感にきゅう、と胸が苦しくなり困ったように眉を寄せながらも口許を緩め。何時もより彼に甘えてしまっている自覚はあれど未だ燻る嫉妬心がそれを止めることをよしとしないのかどうにも自制が利かず、半ば言葉ばかりの謝罪と共に自制がままならない様を伝えて。暫くして離れたことで密着していた体に夜の冷たい空気を感じると温かかった相手の体が早々に恋しくなってしまい、我ながら毒されてきてしまったと自嘲の笑みを漏らして。「…ああ、元々土日家族旅行の予定があったんだけど、もしかするとクラスの奴等と打ち上げとかするかもしんねぇからって断って…だから、うちの両親日曜の昼頃までは出掛けてるんだよ。」手を引かれながらの質問に顔を上げ答えると、彼が自分の両親が居るか居ないかなどということにこうも聞き返す理由が分からず思わず緩く首をかしげて。思い当たることが全くもってないという訳ではないが、そのひとつの理由が彼を動かしているのなら正直自分としては寂しいの一言に尽きてしまう。自分でも悲観的に考えすぎだと分かっているが一度そんな考えが出てしまうと彼の否定を持ってしか絶ちきるのは難しく、妙に甘えたくなっている心情が後押ししてか相手の手をそっと握り返し、少しだけ困ったような笑みを浮かべながら視線を落とすとゆっくりと口を開き。)
ーー二人っきり、嫌…とかじゃ、ない…よな…。
嫌なわけねぇだろうが。
(ゆっくりと確認するように問われた声には戸惑いや不安が感じられ、真顔で見つめつつはっきりと即答する事で否定し。己を見失う程惚れている相手と二人きりという状況を嫌だ等と思う筈が無い。むしろ自制を緩める事が許される状況で彼と過ごすという事で別の懸念が生じ、己を戸惑わせ。以前一晩共に過ごした時とは明らかに違う今の状況で、己を部屋に呼ぶという事を彼がどう捉えているのかまでは知る由もなく、変に警戒させるような事を口走ってしまわない内に口をつぐめば、繋いだ手から伝わる温もりを大切そうに握り締めながら暗い階段を降りていき。彼の家庭の事情は把握したものの、やはり打ち上げという言葉が引っ掛かる。己が茂庭の誘いに応じさえしなければ彼はこの後クラスの打ち上げに参加していただろうと思うと、己の浅はかな行いが彼の楽しみの一つを奪ってしまった事に負い目を感じ、静かに視線を伏せたまま沈黙し。少し思考の後伏せていた視線を上げ相手の方に向けながら「…打ち上げ楽しみにしてたんだろ。参加して来いよ。帰る時に連絡寄越せば迎えに行ってやるからよ。」と、会うのはその後で構わない事を口では伝えるものの、このまま独占していたいという思いが握った手に無意識なきゅっと力を込めさせて)
ーー出来るだけ、早めに抜けてくるから…。
(彼の愛を疑うような意味ではなかったが、何やら考え事をしているような相手を見ていると少しだけ不安が募り、身勝手にもそんな不安を解消して欲しいためだけの問いを彼に伝えれば、そんな思いを一瞬で払うような素早い回答に深い安堵を覚え仄かに口許を緩めながら小さく息を付いて。暗い階段を下りる中鞄の中で携帯が震えたのを微かに感じとれば恐らく打ち上げに早く来るようにとの催促であろうその連絡に彼との時間の終わりを感じ少しだけ寂しさを感じ。確かに打ち上げは楽しみだったが相手と離れがたいという新たな思いもあり一瞬だけ"サボってしまおうか"なんて不誠実な考えが浮かんでしまい。そんな思いを感じ取ったかのようなタイミングで掛けられた相手の言葉に顔を上げそちらを見つめると言葉とは裏腹に握った手に入る強い力に思わず小さく笑ってしまい、彼なりの葛藤があっての気遣いを無下にしないようにと返事を口にするとぎゅっと手を握り返しながら柔らかな笑みを浮かべ。そのまま暫くして漸く昇降口までたどり着くと名残惜しさに少しだけ寂しいような、困ったような複雑な表情を浮かべながらもそっと相手の手を離すと「…また女子に捕まんないようにな。…今度捕まってたら、本気で拗ねるからな。」と少々悪戯っぽい口調で釘を刺すと軽く手を振ってから若干急ぎめの小走りで昇降口を出ていき。)
…アホ、要らねぇ心配してねぇでさっさと行って来い。
(手をほどこうとする相手に従い握る力を緩めるも、掌から相手の指先がすり抜けていく最後の瞬間まで名残惜しそうにし。気兼ねでもしているのか何処か戸惑いを含んだ表情で此方を見つめる相手の背を押すような言葉を掛けるその裏側で、押し寄せるもやもやとした感情を懸命に鎮めようと、つい先程まで繋がっていた手を拳にしてきゅっと握り。この手や腕をほどいて離れていってしまうのは、いつだって彼の方で。彼にとって今日のイベントがどれだけ重要なものか理解していたつもりでも、その何処かでは今の彼なら己を選んでくれるだろうと期待していたのかもしれない。仲間達への元へと走り去る相手の後ろ姿を見つめていた瞳を静かに伏せては軽く奥歯を噛み、制服へと着替える為に校舎へと向かい歩き出し。いつの間にかキャンプファイアを囲んでいた人だかりも大分捌け、盛大に行われたイベントのフィナーレを告げており。そちらを横切る際勢いの弱まった炎に視線を向け、暫し眺めている内早くも彼が恋しくなり。視線を外すと僅かに歩みを早め、校舎内へと向かって)
(/一旦別行動ということで、取り敢えず上原はこのまま自宅にて一泊の準備をしながら椿君の連絡待ちという形になると思いますが、そちらは何処からどんな風に始めて下さっても構いませんので!状況によって合わせますね^^)
ーーお前、もう二度とあのチョコ食うなよ…。弟くん来たら、さっさと預けて俺は帰るからな。
(何時も学校で一緒にいる友人と他数人のクラスメートの女子を交えてのホームパーティーじみた打ち上げは夜遅いこともあり数時間でお開きになり、会場として自宅を貸してくれた友人に別れを告げると途中まで同じ方向へ帰る面々と帰路を共にし。しかしながら高校生の若気の至りというべきか、ちょっとしたゲームの罰として課せられた某製菓会社の所謂アルコール分を含んだチョコレートを多量に口にした友人一人が自宅までたどり着けそうにないことを危惧しジャンケンで負けた自身も共にその彼の弟が迎えに来るのを傍のコンビニ前で待っており。元よりアルコール耐性がないのだろう友人を鞄と妙に乙女チックな紙袋を抱えたまま肩を貸す形で支えていれば、ぐちぐちと不満と忠告を聞かせながら彼の迎えを待ち。時間の経過も関係しているだろうが、彼ほどではないにせよ同じチョコレートを幾らか口にしたためか少しだけ気が大きくなっており相乗的に自分の帰りを待つ相手に会いたい思いがどんどん強まるのを感じれば体勢が体勢のため少々きついものがあるものの何とか荷物と友人を抱えたまま携帯を手に取ると力の入り過ぎか小刻みに震える手で相手に電話を掛けて。)
(/上原くんの居ない打ち上げをだらだら流すのもどうかと思いましたので打ち上げの概要のみぽつぽつロルに残して後は割愛させて頂きました(←)
結果的に上原くんの方にも時間を進めていただくような感じとなるかと思いますが、もしやり辛いようなことがありましたら書き直しをしますので遠慮なく仰ってくださいね^^)
――遅ぇな…。
(相手と別れてから数時間後。自室のベッドの上、腕を枕がわりに仰向けに寝た状態でぼんやりと天井に視線を向けていて。連絡が来たらいつでも彼を迎えに行けるよう、帰宅後直ぐに外泊に必要な最低限の物の用意を済ませておいた。後は彼からの連絡を待つのみ。打ち上げというからには二次会や三次会がある事も予想されるが、彼ならきっと早目に抜け出してくれるだろうと信じているせいか、ひたすら連絡を待つだけの時間が酷く長く感じられ。メールや電話をしてみようかと、もう何度目になるか定かではない頻度で携帯を手にするも結局は踏みとどまり、頭を乱暴に掻けば再び携帯をその辺に放り。羽目を外したクラスの連中に迫られたりしていないだろうかと思うとどうにも落ち着かず、何か飲もうと起き上がったその時、ずっと沈黙したままだった携帯が震えだして。咄嗟にそれを手にし、通話状態にするや否や「椿か…?今何処だ」と、電話に出ながら早くも上着を着込み。携帯片手に荷物を手にすれば、直ぐ様玄関へと向かって)
(/有難うございます!此方も自宅を出て直ぐ向かいます。後はなりゆきで大丈夫そうですかね^^それでは背後は一旦引っ込んでおきますね。)
お、早いなー。もしかして携帯持ったままずっと待ってた?
(電話特有の受信側が取るまで流れる電子音が一回分も終わらないうちに取られた電話に少し驚いてしまい、思わず目を丸くしながら返事をするとあまりに早かった相手につい悪戯っぽいからかいを口にして。自分の願望混じりというか、そうであれば良いなと思って口にした冗談に反応してか誰だとばかりに顔を上げる友人に少しばかり声をひそめこちらのお迎え相手であることを伝えると漸く恋しく思っていた相手の声を聞けたこともあってか自然に緩んだ表情を浮かべていて。呂律の怪しい言葉で恋人かとからかってくる友人を宥めながら再び携帯を耳元に当てると「今駅前のコンビニんとこ。何時もつるんでる…背無駄にでかいやつ、菅野っつうんだけどさ。そいつがチョコ何かでぐでぐでになっちゃって、だからこいつの迎え来るまでって今一緒に居るんだよ。」と今居るところから一緒にいる友人のことまで、どうでも良いこともつらつらと口にし。何だかんだでアルコールを摂取した手前自分も結構効いてきているのか何が可笑しかった、という訳でもなくなんだか気分が高調してきてしまい妙にふにゃふにゃと笑ってしまっていて。)
…持ってねぇよ、馬鹿。
(携帯越しに届く数時間振りの相手の声に、恋しさから胸がきゅっと鳴る。握りしめていたわけではないが連絡を待っていたのは事実、しかしからかわれる事に慣れていないせいか羞恥を覚え、小さく舌打ちすれば普段より子供染みた言葉で反発し。隣に誰か居るのかひそひそと話す相手に眉を潜めれば、内容を聞き取ろうとつい耳を澄ませてしまい。次いで伝えられた説明から状況については把握したものの、相手の様子が何処と無く可笑しい事を直ぐ様察知する。いやに饒舌というか陽気というか、ふわふわとしていてしっかり地についていないような不安定さ。打ち上げ会場が何処かは聞いていないものの、先程の相手の発言の一部に引っ掛かるものがあり。「……てめぇ、まさか酔ってんのか?」放たれたのは心なしか普段よりほんの少し低めの声。高校生にアルコールを提供する店はないだろうが、会場がクラスメイトの自宅であればその可能性も否めない。一緒に居るのが幾ら友人といえども酔った者同士、その上時間も時間と来れば様々な懸念から胸がざわめき出し。念の為通話を繋いだままの携帯を片手に駅前のコンビニに急いで)
ーー…え、いやそれはねぇよ。ちょっとアルコール入ったチョコは食ったけど、その程度で酔うほど弱くないって。
(小さく聞こえた舌打ちや幼さの残る言葉の応酬から彼が実際待っていたのであろうことや、少なからず羞恥に心を揺らしているのは分かり。こうして時々彼が不意に見せる子供っぽく可愛らしい一面に所謂きゅんとすると言うべきか、胸がときめくのを感じるとにやにやと緩みきっただらしない笑みを浮かべて。あちらから聞こえる物音から察するに恐らくもう移動し始めているのであろう、さすがに携帯を手にしたまま急がせるのは少々危ないと思い通話を切ることを提案しようと思った矢先、まるで怒っているかのように妙に低い声で呟かれた言葉に思わず目を丸くして。確かに火照るような体の熱や少しだけふわふわと気分が高調しているような気はしているが、だからといって"酔った"などと称されるほどではないと思っているし、何より若さゆえの可笑しなプライドが認めるのを拒否し。何故だか機嫌が急降下したような相手の声色に焦ってか冗談っぽく笑いを交ぜながらも相手を宥めようとするような説明がちの口調で返事をすると少しだけ困ったように眉を下げて。)
少量でも入ってんじゃねぇか。……まあいい、もう着く。このまま切るなよ。
(笑いながら弁解してくる口調の中に僅かな焦りや誤魔化しを感じた気がして、つい不機嫌さを纏った声音で突っ返してしまい。相手がどの程度酒に耐性があるかどうか知る由もないが、アルコール入りのチョコを少量摂っただけで普段より浮き立っているのは明らかで。相手に関してだけは過保護で心配性、そして時に幼さを感じさせるような格好つかない態度を取ってしまう自分に自覚はあり、やり場のない悔しさに眉を寄せては今更ながら取り繕うように流してしまい。小走りで来たせいで思いの外早く駅前の通りに辿り着くと、夜風で乱れる前髪を邪魔そうにかき上げ。少し乱した呼吸を整えながら通話状態を保ったままでいるように念を押せば、そのまま目先に見えるコンビニを目指して)
…う、ん…分かった…。
(彼に心配を抱かせたい訳ではないのに今回もしかりだがどうしても時折ふとした瞬間に気を抜いて、それが彼の心配を煽るような結果に繋がってしまっている。不機嫌さの滲んだ彼の声を聞いているとそのことが色濃く自身の中に影を落としてしまい、電話を掛けた辺りまでの思いは何処へやら、急激に気持ちが萎んでいくのを感じればしゅんと気落ちした様子が表れたような小さな声で返事を返し。そんな中、どうやら彼よりも先に友人の引き取り手の方が先に到着したらしい。傍に駆け寄ってきた身長はかなりのものだが表情にまだ幼さを残した高校一年生位の少年、と言っても友人の弟なのだが、その弟が到着したため携帯を少し離しながら「…久し振りだな、菅野弟。悪いんだけど、そろそろ結構足にキてるから早めに受け取ってもらえるか?」などと軽く笑みを浮かべて話すと、久し振りでどうやらテンパっているらしい彼の方に抱えた友人を差し出して。)
着いたぞ、何処――……、
(コンビニへと辿り着く間近でそれらしい姿が視界に入ったと同時に電話越しの相手の声が少し遠ざかり、発した言葉を途切れさせ。此方からは顔がよく見えないものの、相手に話し掛けてきたらしい背の高い男と何やら会話をしているようで。その瞬間、相手が友人を隣に抱えているという事も、その友人が迎え待ちだという事も吹き飛んでしまったのか、瞬時に感じた危機に通話を強制的に終了させれば近くまで掛け寄って。「おい…!」眉間に皺を寄せながら強めに声を掛けたタイミングで友人を男に引き渡そうとしている光景を目にすれば、そこで初めて状況を把握するも既に手遅れで。彼等からしてみれば突然不機嫌そうに絡まれる意味がわからないだろう。何とも気まずい雰囲気の中、早とちりした己の間抜けさを恨みながら“何とかしろ”と、フォローを求めるような視線を相手へと向けてみるも、堂々と関係を晒せない以上、相手も咄嗟なフォローなど苦しい筈。視線を若干泳がせた後「…悪い、人違いだ」やむを得ずそう一言残しては踵を返し、取り敢えずコンビニの中へと入り。何事もなかったかのような澄まし顔で雑誌コーナーに立ち寄れば適当な雑誌を広げるも、間抜けな事この上ない状況に込み上げる羞恥を隠せず、やり場のない屈辱感に奥歯を噛み締め)
ーーえ、あ……そ、そっすか…。
(ちょっとした雑談もそこそこに、さて友人を受け渡そうと菅野弟に友人の腕を支えて貰った丁度その時電話を離しているというのに非常に近距離から彼の何処か不機嫌そうな声が聞こえ。驚いて顔を上げればすぐ傍に何故だか先程の声と反して驚いたような、それこそ"しまった"とばかりの表情を浮かべる彼と視線が合い。客観的に考えてみると恐らく彼はまた自分がどこぞの男に絡まれていると勘違いをしたのだろう、それ自体は何とも可愛らしい間違いのように思えたが状況が状況なだけあってフォローしてやることも出来ず、誤魔化す相手に合わせる形で苦笑いを浮かべて。友人を弟に受け渡し彼らの姿が大分見えなくなってから荷物を抱え直し、それからゆっくりとした歩調でコンビニに入っていくと雑誌を広げてはいるものの恐らく内心は勘違いした羞恥やらにうち震えているであろう相手の隣に立ち。辺りに人が疎らなのを確認してから相手の足元を軽く痛みも感じない程度に蹴り「…ばーか。俺だってそんなしょっちゅう男に絡まれる訳ないだろ。」と口にすると、相手の横顔を如何にもからかいたがっているようなにやにやとした笑みで見つめて。)
黙れ、お前は自覚が無さすぎなんだよ。俺がお前に惚れた理由、忘れたわけじゃねぇだろ。
(興味もない雑誌を開きながら外の様子を気にしていれば、やがて友人達と別れたらしい相手が店内へとやって来るのが見えて。隣へと並び足元へ軽くちょっかいを出して来る相手の表情には案の定というべきか、己の羞恥を煽るような愉快気な笑みが浮かべられており。軽く睨み付けては、持っていた雑誌を棚へ戻す前に相手の額をそれで小突きながらいて言葉を放ち。他人に惹かれた事などない己をほんの一瞬で落とす程の風貌を持つ相手が、贔屓目無しにしても人目を引く存在だという事は、今日の文化祭の一件でも証明済みで。なのに当の本人はいつまで経ってもこの調子で、全く危機感というものが見られない。先程はたまたま友人が隣に居たからいいものを、もし一人だったら…と考えると、忽ち焦燥感に襲われ、眉間に皺が刻まれると共に相手を見つめる瞳が細められ。しかしその魅力については相手に言ったところでどうしようもない事を理解している為か、軽く息を逃しながら視線を外して。「…で、何か必要な物あるか?」あればついでに買い済ませてしまおうかと、気を取り直すように確認をし)
ーーないよ。ないから、さ…。
(軽く睨むように向けられた視線は相手が不良と呼ばれてきただけあってかそれだけでも中々の凄みがあり、思わず背筋がぞくりとしてしまい少しだけ肩を竦めるとふざけていた表情を消し。続けられた彼の言葉は今までも何度も繰り返された忠告なのだが、心配を掛けたいという訳ではないのにその言葉を聞くたびに胸がきゅう、と甘く痛みもっと言って欲しいだなんて不謹慎な願いが浮かんでしまい。時々もしや自分自身気付いてないだけで被虐欲なんてものがあるんじゃないかと思うほど、相手に嫉妬して欲しい、独占していて欲しい、なんて思いが旨を燻り何とも言えない気持ちになる。普段ならそんな思いを彼に悟られないように取り繕うくらい出来たのだろうが今日は少々摂取したアルコールに気分すら酔い気味に浮わついてしまっているのか、仄かに口許を緩め嬉しさに目をそっと伏せると視線を外した彼の小指の付け根辺りに軽くすり、と自分の小指を擦り寄せ、どこか急かすようなはっきりしない言葉を漏らすと早く帰りたいとせがんでいるつもりか、相手の小指にそっと自分の小指を絡めるときゅっと緩く握りながらちらりと相手の方を見て。)
――じゃあ…行くか。
(不意に小指に緩く指が絡まる感覚にぴくりと反応すると、外していた視線を相手に戻し。控え目ではあるが早くとせがむように此方に向けられた視線や声は、微酔いのせいか何処か甘美さを漂わせ。大きく脈打つ心臓に時が止まったように相手から目を離せずにいたが、不意に瞳を揺らすとその手をきゅっと握り直し軽く此方に引き寄せ、触れる程近付いた距離で小さく一言返して。外に出ようと視線で合図を送れば念のため一旦そっと手を離し、先に出口へと向かって歩き出し。冷たい外気に目を細めながら相手が追い付くのを待つと、相手の様子を窺うような、それでいて漸く二人になれた高揚感をもて余しているような調子で相手を見つめ。「…どうだったんだよ、打ち上げは」大いに盛り上がっただろう打ち上げで羽目を外した連中に変な絡まれ方をされてはいないかという事が気になるらしく、それとなく探るよう訊ねてみて)
…やらしー目。二人っきりになれたからって、家までは大人しくしてろよ?
(相手を色んな意味で誘うことにはどうやら成功したようだ、此方を見つめたまま暫し動きを止める彼は自分の求めていたような表情を浮かべていて思わず口許を緩めると不意に体を軽く引かれ。抗うこともなく相手との距離を縮めれば心情をそのまま写し出したような熱っぽさを微かに感じる囁きに思わず背筋がぞくりとすれば、小さく頷いてから先に出た彼の後を追いコンビニを後にして。自分を待ちながら何とも言えない瞳をこちらに向けてくる彼に思わず気が緩みそうになるが、二人きりとは言えどまだ屋外であることを思い出し少しだけからかい混じりの言葉で相手と自分の自制心に釘を刺すとそのまま何処か気が大きくなっていることが感じられるような、ふわふわとまでいかなくともいつもより何となく軽い足取りで歩きだし。「…楽しかったよ、皆ハイだったし。でも男にも女にも、変に絡まれたりはしてない。…安心したか?」そろそろ彼の思考も読めるようになってきたのか、このタイミングで聞いてくる辺り恐らく可笑しなことがなかったか探りを入れにきたような彼の一言に軽く笑いながら返事をすると、この返答で満足したかとばかりに相手の方に視線を投げて。)
…っ、煩ぇよ、分かってる。いいからしっかり前見て歩け。
(からかい混じりなのだろうが、的確な指摘に思わずギクリとする。多少なりとも酔っていると思われる相手に気付かれる程、欲に満ちた眼差しを向けていたのかと思うと屈辱感に似た羞恥心に襲われ、返す言葉もないまま一度は悔しげに視線を外して。しかし歩き出した相手の足取りが軽く何処と無く危なっかしい事に気づけば、足元に気を付けるようにと注意を促し。そんな相手を見守るようにほんの僅かに後ろを歩いていると、己の心情を見透かしたような嬉しい答えが返って来て。見透かされている悔しさと、己の気持ちを理解してくれている嬉しさが入り交じる複雑な思いに戸惑いつつ、何処か悪戯っぽく笑う相手を見つめていたが、「……安心した。今頃お前が他の野郎に絡まれているかもしれねぇと思ったら気が気じゃなかったよ。早く会いたくて…仕方がなかった。」相手が無事だという事に心底安心したせいか、自分でも驚く程素直な感情が唇から溢れ。目の前の相手が己のものだと深い実感を得る為に今すぐにでも抱き締めたい思いに駆られるも、必死に堪えているのか相手に定めていた視線を伏し目がちに外し、荷物を肩へかけ直せば隣へと並んで)
…お、れも…。打ち上げはすごく楽しかったんだけど、さ…。…やっぱり、段々…その、恋しくなって、きて…。
(悔しげに視線を逸らす相手にしてやったとばかりに内心ほくそ笑みながら彼の忠告にあったように視線を前に戻しぐっと伸びをすると、澄んだ冷たい夜の空気を肺一杯に取り込むように深く息をついて。そんな時に背後から掛けられた素直というか甘いというか、会いたかったなどという所謂恋人らしい台詞を耳にし前に突きだし伸ばしていた腕をそっと下げると、ぼそりと呟くような声で言葉を返し。先程までは此方が断然上手に回っていた筈なのにいきなりのそのストレートな言葉に思わず照れてしまったらしく、ほのかに頬の赤みを強めながら隣に並んできた相手を伏し目がちにしたままちらりと視線だけ向けて見つめるようにし。その視線を向けたまま何処と無く高揚した想いがにじみ出たような正に恋をしている、という感じの何とも言えない笑みにも似た表情で相手の荷物の紐を軽く引くと「…うち行くの、ちょっとだけ急ぎたいなー…とか…思うんだけ、ど…。」と遠慮がちに声を掛け、すぐに視線を恥じらうように逸らして。その言葉が言わんとすることは勿論"早く家に帰って甘い時間を"などという乙女思考なのだが、それが相手の言葉で余計に煽られてしまったらしく焦れたように唇をきゅ、と少しきつく結ぶと意識してかはたまた無意識かじわじわと僅かながら歩調が速まっていて。)
…っ、そんなに待てねぇならもっと早く連絡寄越せ、馬鹿野郎。
(早く会いたいという思いが同じだったというだけで高まる高揚感に比例し、鼓動が加速していく。控え目な視線と共に向けられた仄かに色付いた表情を目にした瞬間、痛みと見紛う程強く心臓が脈を打って。翻弄されつつある己に更なる追い討ちを掛けたのは、荷物の紐を引くという甘えるような可愛らしい仕草。そんな一つ一つの然り気無い言動が己の心を捕え、正常な思考をどんどん奪っていき。早く帰りたいとの訴えは、例え自惚れだろうと己を求めているようにしか受け取れず、最早負け惜しみのような言葉しか返せなくなった悔しさから荷物を持つ手に無意識に強い力がこもり。本気の恋というものがこうも己を変えてしまうとは思わず、不甲斐なさや悔しさ、戸惑いなど様々な感情を抱かせ、行き場のない思いに眉を寄せながら、逸る気持ちをそのままに相手と共に歩みを速め)
だ、だってなかなか抜け辛い雰囲気だった、し…!…そ、れに…。
(自分に合わせてか歩調を速めてくれた彼と共に夜の住宅街を男二人早足で抜けていくという端から見れば中々シュールな状態で自宅へと急ぎ。きっと照れているのだろうか、何だか子供っぽさが滲み出たような不満の言葉を口にする相手に視線を逸らしたまま拗ねたように唇を尖らせ、少々言い訳臭い反論を口にすると何やら続く発言を躊躇っているかのように視線を僅かに揺らし。暫しの沈黙を挟んでから漸く決心したようにぱっと顔を上げると相手の方を見つめながら「ッ、あんまり早く連絡したら、なんか俺ばっか会いたがってるみたい、で…負けた感じして嫌だったんだよ!」と少し張った声で告げて。と言うのも相手を多少待たせることで自分にもっと"会いたい"と思わせたかったのが狙いだったらしく、そこに加わった幼稚なプライドが電話から手を遠ざけていた様子で。そんな内に込めていた思いをぽろっと溢してしまったのはやはり少しばかり気が大きくなってしまっているせいなのか、発言するなり頬をさらに紅潮させ羞恥を堪えるようにくしゃりと表情を歪ませると住宅の合間から見え始めた自宅の屋根を視界に捉えるなり荷物の紐をぎゅっと握り直し、「ッこんなことまで言わせんな、馬鹿!」などと八つ当たりじみた台詞をぶつけるとそのまま自宅の方まで走り出して行ってしまい。)
お前何言って…、俺がどれだけ――……、おい…!
(中々連絡を寄越さなかった事に何か理由があったのだろうか、口ごもる相手の真意を問うよう見つめていれば、不意に顔を上げた相手と視線がかち合う。打ち上げを楽しんでいただろう事も、抜けにくい状況だっただろう事も己なりに理解はしていた為、放たれた予想外の台詞と、羞恥を抑え切れないような反応に見事に心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥り、相手を見つめたまま一瞬歩調が止まり掛け。しかしその内容には少々心外な部分があり、それは違うと修正を加えようと口を開いた矢先、拭いきれない羞恥心からか八つ当たりのような台詞を吐いて逃げるように走り去られてしまい。相手の背に少し大きめに声を掛けるも直ぐには足が動かず、「負けも何もねぇだろうが…」その場で小さく呟いて。そういった勝ち負けや羞恥心等、所謂プライドというものを気にしている余裕がない程必死にぶつかってきた己には、相手に一目惚れしたあの時から勝算などない。けれどそれでいいとさえ思う。プライド等幾らでも捨ててやると思えるのは生涯彼に対してだけだと誓える程、この想いは本物だと、彼を知るたび思い知らされる。遠くなっていく相手の背を何処か眩しげに見つめた後、追うように駆け出し。自宅の玄関先へと先に辿り着いた相手を背後から捕らえるよう抱き締めては、走って来たせいで僅かながら呼吸を乱しつつ「…捕まえた」と、耳元に唇を寄せて)
ーーッ!…な、か…まだ入ってないよ、せっかち…。
(背後で相手が何やら言っていたような気もするが、そんなことを気にしていられるほどの心の余裕もなくいっぱいに抱えた荷物を落とさないように気を付けながら家の玄関まで走って辿り着くと乱れた息を整えようと大きく呼吸を繰り返し。軽くほろ酔い加減だったことは自覚していたがまさかこうも口が軽くなってしまうとは、そんな少々の後悔に頭をぐるぐるさせながらごつりと玄関の扉に頭をぶつけるような具合で軽く寄り掛かるとポケットに入れていた鍵を取り出して扉を解錠し。扉を僅かに開きかけた状態でそろそろ相手の様子を窺おうかと振り向こうとした丁度その時、耳元に感じる熱い息と共に体を後ろから抱かれ驚いて身を固めてしまい。そんな中抱く腕を表すように囁かれた言葉に思わず背筋をぞくりと震わせると畳み掛けてくるような羞恥心を煽る行動の数々に瞳を伏せ、どくどくと高鳴る胸の鼓動が伝わってしまわないようにと願うようにぎゅう、と自分の胸元を握り締めると何処か期待に熱帯びた掠れた声で呟いて。)
煩ぇ、これでも堪えた。会いたかったって…言ったじゃねぇか…。
(せっかちだとの言葉を突っぱねるような言葉を放つ間も、背後から相手を抱き竦めたまま耳元近くに寄せていた唇でじゃれるように相手の耳を柔らかく挟んだり、リップ音を立てながら首筋に軽く吸い付いてみたりと、我慢の限界を訴えるかのような愛撫を施して。腕をずらし自分の胸元を握る相手の片手を捕えれば、待ちきれない気持ちを表すかのように、捕えたその手を上から握ると同時に指を絡め、急かすように甘い攻撃を与え続けながら家の中へと招かれるのを待ち)
ッ、う……わ、かった…分かったから、もうちょっとだけ待てって…っ!
(此処に辿り着くまでに散々相手を弄った報いなのだろうか、まだ玄関先でそれこそご近所の知り合いにうっかり見られても可笑しくないような状態であるにも関わらず向けられる甘ったるい行動の数々にふるりと小さく震えると皮膚の薄い敏感な所ばかり狙って落とされる柔らかな唇の感覚に思わず微かな声を漏らして。はっきり突き放してしまえば解決するのだろうがそこはやはり惚れた弱味ということなのか、頭では不味いと自覚しているのにそんな甘えた行動をする彼がじゃれつく動物か何かのように思えどうにも拒むことも出来ず焦りの滲む半ば折れたような台詞と共に意を決して玄関の扉を開き。抱き着いている以上こちらが動けば着いてきてくれるだろうということでしばしばの動き辛さを感じつつもそのまま屋内へと足を踏み入れて。)
――……ッ、
(玄関が開かれ相手を抱き竦めたまま中へと入れば、扉が完全に閉まりきらない内に半ば無理やり相手を此方に向けさせ、あっという間に唇を奪って。まるで噛みつくかのような勢いづいたそれは、相手を仲間の元へ送り出してから幾度も襲い来る衝動を漸く此処で解放させたかのように、直ぐ様激しい口づけへと変わり。普段のように唇の感触や、触れ合う度に徐々に強まる高揚感を楽しむ余裕さえ欠いているのか、性急にその形の良い柔らかな唇を割り開けば強引に舌を捩じ込んで。背後に壁等の支えになるものがない故に、求めようとする勢い余って、相手を巻き込んで倒れ込むように床へと押し倒してしまい。漸く誰にも邪魔される事なく相手を独占し堪能出来るという心待ちにしていた状況が、自分でもわけがわからなくなるくらい己を昂らせる。己の意思だけでは最早制御不能となりつつあるのか、冷たい床に押さえつけたまま一度捕えた唇を解放する様子はなく、息継ぎさえも許さないかの如く口内をまさぐってやり)
ッ、んん"っ!?ちょ、まッ!
(一先ず荷物を置いてからゆっくりと彼との時間を堪能しようか、などと呑気に考えているうちに背中にへばりついたままの彼の方は我慢の限界となってしまったらしい。いきなりぐるりと体の方向を変えられ驚きにぱちぱちと瞬きをしていればそのまま有無を言わさぬ早さで唇を重ねられてしまい。いきなりのことに色気も何もないようなぐもった声を漏らした後制止を口にしようとするもののそれすら利用され口内への侵入を許してしまい、捩じ込まれた舌に己の舌を絡めとられれば最早形勢逆転などできるはずもなく。欲求を急激に放出するように口づけを繰り返す彼にそのまま床へと倒されれば多少のフォローこそあれどやはり大の男二人の体重を乗せ床にぶつかった腰はじんじんと痛みを訴え、呼吸すら許さぬ口付けも相まってじわじわと瞳には涙が溜まり始め。暗い玄関だからなのか、それとも今までにないくらい相手の欲求が剥き出しだからなのか、愛しい彼が何だかとても怖く感じてしまいふるりと体を震わすとそろそろ本当に苦しく感じ始めた呼吸に解放を求めるように相手の腕をぎゅっと握ればそのまま体を離そうと引っ張って。しかしなおも彼が動く気配はなく愛しさよりも徐々に恐怖が勝り始めた頃、薄く瞳を開き意を決したようにぐっと相手の腕を握る手を強めると歯がぶつかってしまうこともいとわずに思いきり彼の頭に頭突きをかまし。瞬間解放された口から荒い息を漏らすと少々強すぎた頭突きにずきずきと痛みを訴える頭を押さえ、じんわりと涙の滲んだ瞳のままきっと相手を見つめながら荒い口付けにより唾液で濡れた唇を開き。)
ーーッあ、せんなって…!もう、ちょい…ゆっくり、じゃ…ね、と…お、俺の方がもたない、から…っ!
――…っ!?……て、め…少しは加減しろ……!
(一方的でいて乱暴に相手の舌を捕え口内をまさぐる様は端から見れば少し異様な光景かもしれない。己の下で押さえ付けられている相手がどんな思いでいるか等考える余裕さえない程無我夢中で求める中、突如頭に走った強い衝撃に相手を解放せざるを得ず。予想外の出来事に一瞬何が起こったか分からなかったが、耳鳴りと共にズキズキと頭に響く痛みと相手の発言により状況を把握し、痛む額付近を押さえながら加減を知らない攻撃への抗議をして。とはいえ少々乱暴なその抵抗をきっかけに我を取り戻したのか、少し性急過ぎた事を今更ながら反省して。幾ら相手を求めていたからとはいえ、理性を飛ばしこんな暴挙染みた事をしてしまった自分に酷く羞恥を感じると同時に、己をこうも突き動かす目の前の相手への想いに改めて戸惑い瞳を揺らし。漸く痛みが引いてきた頭から手を外すと、申し訳なさげでいて決まり悪そうな表情で見つめながら「…やっとお前を好きなように独占出来るかと思ったらぶっ飛んだ。……悪かった」怖がらせないようそっと相手の前髪に指を通し、そのままかき上げるように優しく撫で)
ーー…そうやって、ひとりで突っ走っていくなよ。俺だって、お前のこと独占したいし…あ、まえたり、とかも…したい。だから…ひとりで行かれると寂しいし、ちょっと怖いとか思っちゃうよ。
(頭突きという何ともアグレッシブな止め方に苦言が漏れるのも最もかとやや苦笑気味に頭を掻き。しかし何だかんだで彼の方も正気になってくれたらしく、悪びれた様子で前髪に触れるその手にそっと手を重ねれば決まりの悪そうな複雑な表情の彼にふ、と笑みを漏らして。反省してくれるのは結構だが自分だって相手のそういった激情を嫌っているわけではない、むしろそんな荒々しい所すらも何だか彼の雄の表情を垣間見えたような気がして柄にもなくきゅんとしてしまうくらいだ。しかしながらそうした激情に飲まれた彼に置いていかれてしまうのは何とも寂しく思え想いがきちんと伝わり合わない状況をどうしても怖いと感じてしまう。彼が今回のことを気にしてしまうことを避けるためにそんな胸のうちをそっと口にすると前髪を撫でていた彼の手を掴んだままそっと外させ、そのままその手を自分の口許まで寄せ指先に軽い口づけを贈ってからにい、と口角を上げれば少しだけ困ったような笑みを浮かべながら「…別に、夜はまだまだ長いんだし焦んなくてもいいだろ?…ちゃんと二人で、ゆっくり過ごしたいよ。」などと口にして。)
ああ……。
(焦っていたわけではない、ただ押し寄せる激情をどうしても抑えられなかった。髪に触れていた己の手が捕えられ相手の唇へと運ばれるその一連の流れを、未だ残る余韻と自制心を欠いたみっともない己への羞恥心、そして柄にも無いときめきのようなものを抱えながら、ぼんやりと眺めていて。此方を気遣ってか柔らかく告げられた相手の心情を真剣に受け止めようとする程返す言葉が見つからず、見つめたまま了承の意味で短く返事をすると、相手の靴をゆっくりと脱がせて抱き起こし、そのまま優しく抱き寄せて。「…好きなだけ甘えろよ。俺もお前を甘やかしたい。」今度は落ち着いて抱く事で相手の温もりや匂いを感じれば、甘く切なくきゅっと胸が締め付けらると同時に安心感に包まれ、幸せな気持ちで満たされていき。自分でも可笑しくなる程甘さを帯びた声色で紡いでは、髪に擦り寄るように頬を寄せて)
ッ、…!…和瑳は、もう風呂入った…?
(相手が自分の靴に手を掛けたのに気付きその意図を汲み取ると脱がせやすいようにと軽く足を浮かせ、恋人らしさかと言えば違うような気もするが既に甘やかしにかかっているような相手の行動に擽ったいような気持ちになり。そのまま体を起こさせられると同時にぎゅっと抱き締められ、そんなこと今までだって散々されてきたはずなのに暗い玄関という状況からかそれとも自宅内というシチュエーションからか、いつも以上にとくとくと胸が高鳴っているのを感じるとそろりと両手を相手の背中に回して。先程まで感じていた恐怖などもう何処にもなく代わりに体から溢れてしまいそうな錯覚さえ感じるほどの愛しさに胸を苦しくさせれば瞳を軽く伏せ相手の首もとに頭をそっと寄せながら小さな声で呟くとちらりと相手の顔を視線だけで見上げて。言わんとしていることは勿論一緒に入らないか、という少々大胆な内容であり、これも恐らく仄かに残る酒気の影響なのだろう。正直今日一日の長いお預けを経た後でありここから片時も離れたくないなどという若干のいき過ぎたどろどろの独占欲がそんな要求の後押しをした様子で。)
いや、まだ入ってねぇが……何だよ、お誘いか?
(静寂な暗がりの中、これから二人きりの時間を過ごすという期待が相俟って、相手の温もりや匂い、吐息等がいつも以上にはっきりと感じられ。かなりの速度で刻み続けている鼓動は、向けられた控え目な上目遣いと名を呼ばれる事で尚も加速していき。相手の問いは、“入浴がまだなら先に”と、己を優先してくれようとするものなのかもしれないが、この適度な緊張感の中の甘い雰囲気がどうしても己に変な期待を持たせてしまう。相手を抱いたまま軽く額を合わせるとクスリと悪戯っぽく笑みながら冗談混じりに返すも、あらぬ妄想を掻き立てるようなその言葉にとっくに気持ちは先走ってしまっており。そんな思いに堪らなくなり、重ねていた額を外し相手の頭を肩口へと抱き寄せれば「…誘えよ」と、先に折れるかのような言葉を何処か懇願するようにぼそりと呟き)
…言われなくても、最初からお誘いのつもりだよ。風呂、一緒に入りたい。…つうか、家の中ではもう極力お前と離れたくない。
(額を合わせ悪戯っぽく尋ねてくる彼は意地が悪くも見えるのにどこか所謂小悪魔的な可愛らしさがあって最初から誘うつもりであったのに何だかどきりとしてしまい、思わず目を逸らしながら困ったように唇を結んで。仄かに熱を持ち赤みを帯びた頬をその肩口に迎えるようにぎゅっと抱き締められながら耳にした相手の声は懇願の色を強く主張していて、その声だけで求められていると強く感じると共にそんな相手の思いに密着した体から伝わってしまうんじゃないかと思うほど胸がどきどきしてしまい。甘えるようにぐりぐりと相手の肩口に頭を寄せてから少しだけ恥ずかしそうに眉を下げ笑みを浮かべると、僅かに掠れたような控えめの声で相手の耳元へと囁きかけて。離れたくない、と口にした言葉を体現するように相手の背中にぎゅっと腕を回すと、抱き起こされた後投げ出したままにしていた足をもぞもぞとゆっくり動かし相手の体を挟み込むようにして背中の方にしがみつくよう回して。)
…じゃあ一緒に入るか。
(甘えるように肩口に擦り寄ってくる可愛さと、掠れた声で耳元に寄せられた心情に、忽ち愛しさで一杯になり言葉に詰まって。ふっと柔らかく笑みを浮かべると、愛でるように髪を撫でながら願ってもないその甘い誘いに乗り。離れたくないという言葉通り、足まで使ってしっかりとしがみ付かれてしまえば、まるで駄々をこねる子供のような相手を無性に甘やかしたくなり、顔をそちらに傾けては目尻の辺りに唇を落とし、次いで唇の端にも啄むように口づけて。普段仲間達とふざけ合いながら高校生活を楽しんでいるような、ごく普通の男子である相手がこんな甘え方をするのだという発見は、優越感や独占欲を満たしていくような感覚を覚えさせ。「お前…ツンツンしてるかと思ったら意外に甘えただな」からかうような台詞とは裏腹にその声音は甘いものでしかなく。頬同士を合わせてみれば、冷たい外気を浴びて来たせいかひんやりとした感覚の中にも微かな熱を感じる事ができ、それだけで小さな幸せを感じてしまい。「…ほら、風邪引くぜ」いつまでも寒い玄関にいるわけにはいかないと、相手の背を軽く叩いて一旦離れさせようとし)
…悪いかよ。俺だって、それなりに寂しかったんだから…。…お前ばっか我慢してたと思うなよ、ばぁか。
(甘やかすような優しい手つきで頭を撫でながら告げられた了承の言葉に抱き合っていることで顔が見えにくいのを良いことにだらしなくもふにゃりと頬を緩めて。寝る前の子供に両親が贈るような、そんな微笑ましささえ感じてしまいそうな程優しく寄せられた唇に擽ったそうに顔を俯かせると僅かに唇を尖らせながら微妙な照れ臭さと共に普段よりも数割増し素直な言葉を口にして。自分でも何だか何時もより恥ずかしい台詞を口にしている自覚はあるが、どうにも自分自身でもブレーキが上手く掛けられず、そうなれば最早今まで恥ずかしいなどと考えてストップを掛けていた甘ったれた行動すら止めることが出来ず。「…やだ、俺今さっき離れたくないって言ったじゃん。動くんならくっついたままじゃなきゃやだ。」ぴとりとくっついていた頬から肌と肌をくっつけたままずるずると耳の辺りを通り首筋まで頭を落とし、もそもそと肩に辛うじて掛かったままだった鞄やらの荷物を床に落とせば再びぎっちりと相手の体にしがみついて。それから漸く口を開き正しく駄々っ子そのもののような我が儘な言葉を何とも不服そうなむすっとした表情でこぼすと離せるものなら離してみろとばかりにきつく相手に体を密着させて。)
(/久しぶりに本体で発言させていただきます!
というのも世間は卒業進級という時期、そこで今後の二人の行く末についてご相談したくなりまして。
二人とも高校三年生でスタートし、一応時系列的には現在のストーリーは秋から冬に掛けて、といった部分です。ストーリーとしては春はまだ先なのですが、実際そこまでストーリーが進んだ際そのまま大学生へと突入するのか、はたまたドラえもん方式でぐるぐる高校三年生を繰り返すのか、そこが知りたく思いまして。
個人的にはやはり時間の流れに逆らわず大学生へ、というのが理想なのですがもしかしたら主様の方は高校三年生、という年齢に何らかの拘りがあるのかも、とも考え…。今後ともお相手させて頂きたい所存であり、そうなるとどうしても訪れる部分だったので本体よりご質問させて頂きました。
私の方は強いて言うなら、程度の意見でしたので最終的には主様のご意向にそってやらせて頂くつもりでいます。
キャラのやり取りも長文気味になってきましたから、お返事に合わせずともお手が空いたときに回答頂ければ大丈夫ですので!
それではお返事お待ちしております^^)
悪くねぇよ。ただ…可愛すぎて困る。
(一見拗ねたようにも取れるが素直なその言葉にくすりと笑みを溢せば、首筋付近へと寄せられた温もりに少しくすぐったさを感じつつ本音を溢し。移動する為に一旦離れようと促すも、普段は中々聞けないような可愛らしい我儘と共に嫌だとしがみ付かれてしまえば、愛おしさにいたたままれなくなり僅かに眉を寄せながら更に強く抱く事で密着度を深めて。肝心な事には慎重な印象があったせいか、これ程素直でいて少々大胆な相手は恐らく初めてだと感じ、多少なりとも酒の影響があるのではないかと少々複雑な思いに駆られ。「やっぱ酔ってんじゃねぇのか。こんなお前も今日限りかと思うと…惜しい」そうではない事を密かに願いながら、手触りのいいさらりとした耳元の髪を耳に掛けるようにし、そこに唇を寄せ囁けば、相手をしっかりと抱いたまま己の靴を脱いで上がらせて貰い。暗がりの中、相手のしっかりとした重みにさえ幸せを感じながら、取り敢えずリビングと思われる方向に進んで)
(/そうですね、二人の気持ちの変化や成長から考えても、やはり時間の流れに添って、卒業させ大学生に…といった感じが宜しいかと自分も思います^^
卒業後はもうこの際一緒に住んでしまってもいいのでは?とも思いますし、敢えて別のままで会えない夜の切なさを楽しむのも有りなのかなとも思いますし、まぁその辺はまた流れを見ながら決めていくとして、取り敢えずは卒業する方向で行きましょうb)
ッ、…へへ、そっか。
(ただ、と彼が言葉をと切らせた瞬間ふっと後悔が身を蝕むような感覚に襲われわずかに身を固くして。調子に乗って甘えすぎて彼を困らせてしまったのだろうかと不安がよぎったがそれもつかの間のことで、続いた言葉と自身の行動に答えるように強められた腕の重さにひそかにほっと息を吐くと安心したように短い言葉を吐き出しながら頬を緩めて。「…気分が乗ったら、素面でもして…やっても、いいよ。」耳元に囁かれた男性特有の低い響きが彼の声だとさらに響くような気がしてぴくりと小さく震えると抱き上げられるままに相手の胸板に体を預け、ふと目の前に迫っていた相手の耳元にそっと唇を寄せれば照れ隠しの意も込めてか何故か少々上からの言葉を呟いて。彼の度々の行動に報いるような思いでそのまま鼻先を相手の耳の裏側辺りに近寄らせると、日中のごたごたのお蔭かほんのりと汗の匂いがするその部分をすんすんと軽く嗅ぎながら時折鼻先を擦り寄せて。)
(/そうですね、では時間はこのまま経過式で進めていきましょう!
大学生となると学部なんかの違いからすれ違いだとか、新たな友人との邂逅、また主様のおっしゃった住居問題(?)などなど…楽しそうなものが盛りだくさんですね!←
まあこの辺りはまた暫くしてからお話しするとして、進行形態につきましてはそのように心得ておきますね。
ではまた本体は沈んでおきます、ご回答ありがとうございました!)
だったらその気にさせてやるよ。俺がいなきゃ生きてけねぇくらい依存させてやる。
(甘えるような行動を取りながらも何処か上から目線な物言いはとても彼らしく、つい笑みが零れてしまう。ある種の挑発だと受け取り、口角を上げながら冗談めいた響きを含ませつつ返すも、相手へと真っ直ぐに向けられた瞳には強い願望が込められているかのようで。相手を抱えたままリビングへと辿り着き、照明を付けようと、支える片手を離そうとしたまさにその時、耳裏付近にかかる相手の吐息と、匂いを嗅ぐように擦り寄せられる鼻先と思われる部分の感触にゾクリとするような甘い刺激が背筋を駆け、反射的に相手に伝わる程身を固くしてしまい。対象が想い人というだけでこうも違うものなのかと、新たな発見に驚くより先に羞恥が沸き起こり、「…ッ、てめぇは犬か何かか」未だに残る耳元への感触を払うように軽く頭を振ると、咎めるような言葉を向け。照明をつけ損なったお陰で、微かに染まった顔を闇が運良く隠してくれていて)
(/そうか、学部とか全く考えてなかった…(汗)
取り敢えずまあ方向性は決まったので、またその都度相談しましょう。何かあればまたいつでもお申し付け下さい。返事不要ですb)
ーーじゃ、あ…。俺が、和瑳が居ないと生きてけなくなったら…和瑳は、責任取ってずっと一緒に居てくれんの…?
(自分の上から目線だった言葉への応酬、彼にとってはその程度の言葉だったのだろう。けれどその永遠的な関係を示唆するような言葉に思わず小さく息を飲むと、そのまま暫し何も考えられなくなったかのように固まって。相手が羞恥に震える様子も気づけぬ程の時間そうしていれば、ぴっとりとくっつけていた上体を離し上半身を立てることでバランスをとり。それから緩く相手の首に巻いていた腕をほどきその手をそっと相手の両頬に当て、こちらを向かせるようにぐいと顔を上向かせるとその額に自分の額をくっつけて。一言、僅かに震えているような小さな声で先程の言葉を再度尋ねると離し終わった唇をきゅっと結んで答えを待ち。何度彼に否定されようともやはり男同士というだけで別れの予感は絶えることがなくいつもどこかで考えてしまう。寂しがり屋で泣き虫で、気がつけばマイナスに考えてしまう自身だからこそその不安は度々顕著に感じられ。少しだけ気が緩んだ今だからこその追求に相手が答えてくれればそれが拘束力の低い"言葉"というものであっても深い安堵が得られるような気がして、不安と期待を半々抱きながら暗闇での微かな光によって見える彼の瞳を見つめて。)
――ああ…傍に居る。これから先、例えばお前に他に好きな奴が出来たとしても簡単に手放す気はない。仮にやむ無く離れたとして、俺はずっと忘れられねぇだろうな…お前の事を。
(隠しきれず滲む羞恥を相手に気付かれてしまうかもしれないと思うだけで落ち着かない。しかし相手が着目したのはそこでは無かったらしく、不意に頬を挟まれ対面させられたかと思うと、互いの額がぴたりとくっついて。直に感じる温もりにぴくりと睫毛を震わせれば、何処か不安を帯びた控え目な声が己に問いを投げる。至近距離で向けられた瞳は月明かりの加減でより美しく見え、吸い込まれそうな感覚に目がそらせずにいて。その瞳を見つめながら傍に居る事をはっきりと誓い、相手への想いの強さを少しでも伝えようと告げるも、いつかこの手を払って離れていくかもしれないと想像しただけで胸が苦しい程強く締め付けられ。高ぶる感情のせいで声が震えてしまわないよう堪えながら伝え終えれば、込み上げる切なさを誤魔化すように結ばれたままの唇に短く口づけ、ふてぶてしさを含んだ表情で笑んでみせ)
…こんだけ愛してもらってるのに、他に好きな奴なんて作れるわけないだろ。だから…"やむ無く"だって何だって、絶対離したりしないで。ずっと、ずっとずっと一緒に居て。
(こんな質問が何の意味も持たないことは勿論、相手を困らせてしまうだけの独りよがりで自己満足的なものでしかないことくらい自分で分かっていた。それでも少々のアルコールでいつも以上に不安定になった心は肯定してくれる言葉を渇望しているようで、呼応するかのように自然に早くなる呼吸に感情までどんどん高ぶってしまい次第に続く沈黙にすら耐えきれずにじわりと瞳に涙を溜め始めて。もう堪えきれずに嗚咽が漏れてしまいそうな、そんな時唇への軽い感触と彼の口から返ってきた言葉に一瞬息を飲んだ後、その言葉を聞けて落ち着くことが出来たのか荒くなってしまっていた呼吸も収まれば心底安心したような溜め息ののちにふにゃりと頬を緩め言葉を返して。「…ありがと。何か落ち着いた、し…充電、出来た感じする。…もう、大丈夫だから…お風呂準備してくるよ。」ぎっちりときつく抱きついていた体の力を抜きそのままそっと床に足をつけると一時甘えることに満足できた様子で、一先ずここまでというように相手から体を離すよう腕でその胸板を押せば風呂の湯を溜めてくるためにかその場を離れようとゆっくりと相手と距離を取って。)
充電はまだまだこれからだろ。どうせお前はすぐ足りなくなるんだから…。
(呼吸を荒げながら懇願するように言葉を繰り返す相手には、不確かな未来への不安が滲んでいるようで。一先ずは落ち着いたのかその緩んだ笑顔にほっとするものの、もう大丈夫だと自ずと離れていく相手を手離したくない思いに駆られ、少し出来た距離を詰めて一度正面から相手を抱くと、柔らかい声音で告げながら頭を一撫し。そのままくるりと向きを変えさせ、今度は背後から抱き締めるような体勢を取れば「…俺も離れたくねぇし離したくねぇ」ぼそりと耳元で囁きながら耳を軽く唇に含んでは擦り合わせ。そんなじゃれるような愛撫を施しながら、相手の抱き心地を堪能するように腕やら脇腹をまさぐるように撫で、そのまま風呂の準備に向かわせるべく足を進めようとして)
…何それ、人のこと燃費悪いみたいに…。
(僅かな喪失感が寂しさを主張してくるものの彼にくっつきっぱなしというのも迷惑になるだろう、そんな思いでそっと距離を取ったというのにもう一度柔らかく抱き込まれてしまえばその行動の素早さに頭がついていかず一瞬身を固くして。頭を撫でながら掛けられる優しい言葉にすぐその硬直もほどけ、相手の行動から自分が想像していた"迷惑"などといった思いが見られないことに至極安心して。彼の言葉に反論するような可愛いげのない言葉を漏らすものの表情は安らいでおり、優しいその腕に顔を埋めようと身を寄せかけ。しかしそのタイミングで相手に体を反転させられ思わずきょとんと呆けた表情になるものの続く言葉で彼の意図は読み取れ、先程までと立場が逆転したようなこの体勢に思わず笑みがこぼれて。相手に合わせるような形で歩みを進め始めるもののまさぐるかのように動いた相手の手が脇腹辺りを掠めた途端ぴくりと小さく身動ぐとどうやらくすぐったかったのか「ッちょ…和瑳、そこ擽ったい…から…。」などと詰まったような声を漏らしながらそっと相手の手を制止するように自身の手を重ねて。)
実際燃費悪ィだろ…俺もだけどな。
(背後から被さるように抱き締めたままクツクツと笑い、耳元から唇を一旦外せば首筋に軽く吸い付くように口づけて。擽ったいと腕の中で身動ぎされれば悪戯心に加え、もっと触れたいという欲が見事に刺激されてしまい。片腕で逃げられないようしっかり抱き締めたまま脇腹付近にあった手を上へと運び、シャツのボタンを幾つか外してしまえば、中に手を滑らせ直に肌を撫でて。指先や掌から直接伝わる体温と感触にドクンと心臓が大きく脈打つのを合図にするかのように、一度は押し込めたものが危うく解放されそうになり。咄嗟にシャツの中から手を引き抜き、堪えるようにぎゅっと強く抱き締めては「…あんまり長いお預け食らうと、優しく出来なくなるぜ」耳元で冗談ぽく告げるものの、吐息混じりのその声は僅かながら熱を帯びており。べたべたに甘やかすような甘く優しい時間を求めているだろう相手の要望に応えたい思いだけが理性を繋ぎ止めているようで、風呂の準備を急かして)
ーーッや、ちょっと待てって!
(軽く首筋に唇を寄せられただけなのに他への接触のせいもあってかいつもよりその感触が過敏に感じられてしまい僅かに漏れそうになった声を押し殺すように俯きながら唇を噛み締めるものの、不意に押さえるように強められた相手の腕に緩く首を傾げて。どうしたのか尋ねようか、そう思った矢先俯いたその視線の先でそっと相手の手がシャツのボタンをはずし始めたのに気付き驚いたように身を固めると、そんな自分にお構い無しとばかりに肌を撫でる手にぞわぞわと肌が粟立つような感覚をおぼえ。驚いたのは勿論、しかしそれ以上に彼にいつも触れられないような部分を触られたことが大きく影響し思わず甘さを孕んだ声を漏らし、まさかまずい方に吹っ切れてしまったのかと思い制止の声を上げて。しかし彼も自制を効かせてくれたのか声を発してすぐに手は引き抜かれ、冗談っぽさを装いつつもどこか吐息に熱を帯びた声で急かされればその様子の意味を感じてかじわじわと身を蝕む羞恥心に声を小さくしつつ「…や、さしくは…して、もらいたい…。」との言葉を漏らして。彼の気遣いを無下にしたくない思いが強いが、それに加えてまだもう少し覚悟を決める時間が欲しく、双方の想いを違えないためにも急ぎ浴室へと向かうと浴槽への湯を溜めたりタオルやらを出したりと準備を進め。)
なあ…早くお前を甘やかして可愛がりたい…。
(優しくしてほしい、そんな思いが相手の口から恥ずかしそうに溢されれば愛しさに満たされ、抱き竦めたまま密かにふっと微笑み。首筋に顔を埋めながら自分でもぞわりとする程甘ったるく、けれど確かに切実さを含んだ声音で告げて。入浴の準備をする相手の邪魔にならないよう時折腕を緩めるものの離れる事はせず、すっかり癖になってしまいそうな抱き心地をもっとその身に感じようと、腕の位置を何度か変えてみたりして。そうしている間にも愛しさは募るばかりで「……椿、」堪らず名を呼んでは、視線が合うのを待ってから軽く唇を重ね、控え目に笑みかけ)
ッ…あと、和瑳の着替えだけ…。っさ、先入ってるから取ってこいよ。な、ほら!風呂上がり裸で彷徨いたら風邪引くし。
(時々感触を確かめているかのようにもぞもぞと位置を変える彼の腕は動きを邪魔することはなくとも何ともいえない羞恥心を煽る反面、甘く囁く声と共にじわじわと染み込んでくるような幸福感を与え。甘えたい筈なのにこのまま流され彼に全てを委ねきってしまうのも堕落の一途を辿るだけになってしまいそうで不安、などと惚気にしかならないことだとも気付かずにそんなことを考えていれば不意な彼からの呼び掛けにそちらを振り返り。目が合った途端触れ合う唇に一瞬きょとんと呆けてしまうもののすぐに擽ったいような気持ちに襲われ頬を紅潮させると気恥ずかしさに唇を結んで。一通りの準備が終わりそろそろ風呂も溜まりきる頃となりこれでもう風呂に入れる訳だが、いざその時となると恋情を抱く相手に体を見られるというのが何だか恥ずかしくなってきてしまい、途中置いてきた彼の着替えを取りに行かせるという口実により相手の腕からするりと逃れると洗面所から押し出すようにその胸板を押しながら急かして。)
………わかった。
(キスの後の気恥ずかしさからか、はたまた己の前では何となく脱ぎにくいものがあるのか、腕からすり抜けていってしまう相手を名残惜しそうでいて何処か不満げに見つめ。渋々といった調子で返事をすれば、拗ねたようにも取れる表情で何か言いたげな視線を送った後、脱衣所を後にして。玄関付近に起きっぱなしだった荷物を手にし、来た道を引き返していく途中、ぼんやりと頭に浮かんだあらぬ妄想にドクンと胸が鳴り。加速していく鼓動と荷物を持つ手がじわりと汗ばむような感覚に足が一瞬止まりかけるも、平静を装おって脱衣所へと向かって)
…薄っぺらい体。
(渋々といった様子ながらもどうにか出ていってくれた相手、早速戻ってくる前に着替えてしまおうとネクタイを外すとシャツのボタンをゆっくり開けていき。露になった体は男にしては貧相で女のような柔らかさもない何とも情けない見てくれで、体目当てなんて思っている訳ではないがこんな自分でも彼は良いのだろうか、などと僅かな不安を抱くとぺたりと胸板に手を当てて。しかしそれを長く考え込む時間もなくこちらに向かってくる相手の足音にはっと我に返り荒い手つきでばさばさと残りの衣服を脱ぎ捨てると、それを洗濯かごに放り込む代わりにタオルを一枚手に取り何となく感じる気恥ずかしさを軽減するためそれを腰に巻くと一足先に浴室に足を踏み入れ流し湯もそこそこに湯船へと体を沈めて。)
――…椿、入るぞ。
(辿り着いた脱衣所に既に相手の姿はなく、代わりに浴室の方から微かな水音が聞こえ。相手が今湯船の中だという事は想像がつき、それだけで心臓が壊れたような速さで脈を刻み、極度の緊張からかネクタイやシャツのボタンを外す指先は冷たくて。身に付けていた衣類を全て脱ぎ、タオルを腰に巻き付けては、扉の前で念の為相手に声を掛けてから中へと足を踏み入れ。浴室内に立ち込める湯気が開けた扉から外へと逃げ、湯船につかる相手を視界に捕えた瞬間ドクンと大きく心臓が跳ねる。何か一言さえ言葉を掛ける余裕もなく視線を外すと、少しは落ち着かなければと無言でシャワーの蛇口を捻り、俯き加減に頭から被って)
ッお、う…。
(一足先に湯船に浸かったはいいものの彼が入ってくることを見越して体を縮めていた方が良いのか、いやいやそんな気を遣ってはまるで期待しているように見えないか、などと悶々と頭を悩ませながら膝を引き寄せたり伸ばしたりを水面下で繰り返していて。そんな中掛けられた一声に思わず背筋を伸ばして答えてしまうと、浴室内に入ってくる彼から目を逸らすようにして視線を結局両腕で抱えることになった自分の膝に落として。「ど、どうする?先にお前が体洗っちゃうか?」などと湯船に共に浸かることをそれとなく遠ざけるような呼び掛けと共に一瞬彼の方に視線を向けるものの、長く直視するのが無性に気恥ずかしくて、煩いほどに高鳴る胸を押さえながらすぐに湯船の方に視線を戻せば湯の温かさによるものではない感情的なものによって頬を紅潮させて。)
―――……お前、仮にも飲酒してるようなもんだから長湯は出来ねぇだろ。こっち来て洗っちまえ。
(シャワーを頭から被りながら相手の言葉に耳を傾け、暫し考えていて。飲酒の内に入らないとはいえ、アルコールが入った状態での長湯の危険性を配慮する裏側で、下心で埋め尽くされてしまいそうな脳内に、交替で湯船に浸かろう等という考えなど最早なく。俯けていた顔を上げ降り注ぐシャワーのお湯を一旦止めれば、濡れた前髪を撫で上げながら相手に視線を移し。同時に洗ってしまえば一緒に浴槽に入るようになるだろう事を見越し、此方に来て洗うように促して)
ッそ、れは……いや、うん。そうだよな、危ない…し、な…。
(ただ体が濡れているだけでも人によってはひどく扇情的な雰囲気を纏うというのに、場所は浴室、格好はタオルを巻いているにしてもほぼ裸同然、そんな状況を共にしていることに嬉しいやら恥ずかしいやら、何ともいえない感情が込み上げてきてしまい。冷静になろうと深く息を吐いている中そんなこちらのことなど知るよしもないであろう彼からの申し出に思わず反射的に"洗いっこ"などという考えが浮かんでしまって。ごくりと唾を飲み下してから漸く自分の不純な考えにはっとし、考えていたことが相手に悟られるのを恐れて歯切れの悪い言葉ながら了承を口にすると浴槽の縁に手を掛けてゆっくりと洗い場の方へと出て。)
――………俺が暴走しねぇよう見張ってろよ。
(羞恥からか気まずさからか、はたまた此方の思惑に勘づいてしまったのか、何とも歯切れの悪い言葉を返されてしまえば、相手の様子を窺うように見て。浴槽から出る相手は軽い目眩を覚える程に艶かしく、忽ち視線を奪われ。無意識にそちらへと伸びた手が相手の腕を捕えれば、次の瞬間此方へと引き寄せてしまい。湯船に浸かっていた事で火照った相手の体を腕の中に収めれば直に肌の感触を感じ、危うく理性を失いそうになり。堪えるようにぎゅっと抱き締め、自分自身を戒めるような言葉を口にすると、一度だけと決め軽く口づけて。収まりがつかなくなる前にそっと相手を解放すれば、「…ほら、むこう向け」と一言告げ、背中でも洗ってやるつもりなのか泡立て始めて)
ーーッ、!…っも、ばか!
(タオルを巻いたまま湯に浸かったせいで布地が太股に張り付いて何ともいえない気持ち悪さがあり、端を摘まみながらそちらに目を向けていれば不意にこちらに伸びてきた彼の腕により相手の方へと引き寄せられてしまい。お互い肌が濡れていることもあってか密着感は今までの比ではなく、かあっと体が熱くなるのを感じると思わず硬直していた隙を縫われあれよあれよと言う間に唇を奪われていて。軽いものだったにしてもこの状況で仕掛けるのはたちが悪い、少々理不尽かもしれないが艶かしいムードを加速させるような彼の行動に思わず顔を多いながら毒づいて。すぐに後ろを向き風呂用の椅子がないため床にそのままぺたりと座り込むと背を丸めたまま羞恥に掠れた声で「…ほんと、たち悪い…。お、お前が暴走する前にこっちが暴走しそうだ…もう、ばか!」などと口にして。)
っ、仕方ねぇだろうが…、この状況でよく堪えてると我ながら思うぜ…。
(早速非難の声が飛べば、これでも制御しているとばかりに即座に言い返し。愛してやまない相手が一糸纏わぬ姿で目の前に居るというのに手出し出来ないという現状は、己にとってまさに拷問の二文字でしかなく。向けられた背に目をやれば、項にかかる濡れた髪や背中を伝っていく滴さえもやけに官能的で。このまま抱き締め首筋に噛み付いてしまいたい衝動が鼓動を速く大きくさせ、やり場のない情動は悩ましげな吐息となって零れ。それでも雰囲気を大事にしたいらしい相手に所謂“待て”を掛けられた事で、必死に自制心を働かせながら、しっかり泡立てたボディタオルで相手の背を洗い始めて)
ッ、ぅ…っ!ま、前はいらないからな!自分でやる、し…だから、ほんと背中だけで…っ
(よく泡立てられたスポンジが背中に触れると緊張から神経が過敏になっているのか思わずびくりと小さく肩を跳ねさせながら唇を噛み締めて。男同士でも修学旅行なんかであればなんてことない背中流しだが、やはり相手への思いの強さが羞恥に比例してしまい。染めた顔を覆ってしまいたい衝動にかられるものの素直にそれに従ってしまえば"自分は今顔が赤いです"と公言しているに等しいと考え両手とも握りしめたまま膝に置いており、なるべく平然と、を心掛け俯くのをやめ前を見れば曇ってぼやけた鏡越しに彼の欲情を抑制しようとする表情が伺え。生々しいほどにこの先の展開を示唆するようなその光景に堪えきれない思いから小さな呻き声を漏らせば捲し立てるような早口で念押しとばかりに必要以上の接触を制止して。)
(/すみません、ちょっとした脱字が…。前回の私のロルにて「風呂用の椅子がないため」と記しましたところ正しくは「風呂用の椅子が一人分しかないため」です;;細かいところでしたので言い出そうか迷ったのですが、一応ご報告させて頂きました。
こちらについては返信不要です!)
わかってるっつぅの…。…ほら。
(理性と闘いながら背中を洗う中、絶対に手を出すなとばかりに強い制止を掛けられれば、眉を潜めると同時に瞳を細めながら返し。背中以外を洗ってしまったら最後、自制心など簡単に吹き飛んでしまうだろう事は己が一番よく理解していて。やがて背中を洗い終え、膝を抱えたままの相手の意向に従い、“他は自分で”というようにスポンジを手渡し。一部濡れている艶ある黒髪を何となく眺めている内そちらに自然と手が伸び。さらりと触れては癖になるようなその感触を確かめるように指に絡ませきゅっと握り「けどお前の髪は洗ってみてぇな…」と、ぼんやり呟いて。こうして髪に触れているだけで込み上げる愛しさに、またも背後から抱き締めてしまいそうになるものの、何とか食い止め顔を近づければ、こめかみ付近にそっと口づけを落とすのみにし)
…な、なんだよ…。
(背中を洗い終えたらしい彼からスポンジを受け取るとなるべく後ろの相手に見えないようにとまるで思春期の女の子のごとくぎこちない様子で残りの部分を洗っていき。腰に巻いたタオルをずらしながら足先の方まで洗い終えそのことにほっと息をついていると不意に髪に何やら違和感を感じ、泡を全身に纏ったまま軽く首をかしげるようにして振り返ると髪に触れているらしい彼が見え。何事にも過剰になってしまっている自覚を感じながらも疑問の声を漏らすと、それに対する彼の要求と共にこめかみへの口付けを受け。艶っぽい雰囲気になったかと思えば自制を利かせているのか急に可愛らしいふれあいをしてくる彼に何ともくすぐったい気持ちになり少々照れくさがるようにもじもじと横髪の辺りを片手で握ると斜め下の方に視線を泳がせながら「…かみ、なら…その、別にいい…けど…。」などと声を返して。)
じゃあ……シャワーかけるぜ。
(洗髪の許可を貰うと、照れたようなその仕草の可愛さに胸を高鳴らせながら一声掛けた後シャワーで髪を濡らしていき。他人の髪など洗う機会がない故に不思議な感覚に包まれる中、その指通りの良い髪に指を通しながら濡らし終えればシャンプーを手に取り、泡立てたそれで傷みのない滑らかな手触りの髪を丁寧に洗い出し。立ち込めるシャンプーの香りは普段の相手から仄かに香るものと同じもので、押し寄せる愛おしさに鼻の奥がつんとするような気がして。黙々と手を進める傍らで、何故か相手と出会ってから今日までの出来事が断片的に思い出され。“お前が欲しいのは俺じゃない”、そう悲痛な思いを訴えて来たあの日の相手を思い出せば、きゅうっと胸を締め付けられ、相手の頭を滑る指先が緩やかになってやがては止まり。少し躊躇った後、背後から回した腕で極力緩く抱くと「……俺は最初からずっとお前を見てる。俺が本気で欲しいと思うのはお前自身なんだよ」込み上げる感情を抑え切れなかったのか唐突に、今更とも思える事をぽつりと溢し)
ーー…なに、どうした。…別に、もう前みたく"俺より女の方が"みたいには…それほど、考えてないよ。
(髪を濡らすため相手がシャワーを取ったのを目にすれば流しやすいようにと顔を上げ斜め上を見上げるような風でお湯が入らないようぎゅっと目を閉じて。体を伝い流れていくお湯で軽くボディソープも流しながら地肌まで温められるような心地よい感覚に体の力を抜き。十分に髪が濡れたのかシャンプーを泡立てる相手の手付きは美容院並みだなんて言わずとも此方を気遣ってくれているような温かな優しさのようなものが感じられて心地よく軽く鏡を見上げたまま少しばかりうとうととし始めてしまい。そんな中不意に彼の手が止まったかと思えば次の瞬間緩く絡まる腕に一時はかあっと頬が熱くなるものの、からかいや妖しさの見られない彼の様子にその内情を何となく察し。あやすような優しい声で囁きながら相手の濡れた髪を軽く撫で付けてやると、それこそ今でも女に対しての色恋沙汰に関して茂庭のこともあり手放しで安心しているとは言い切れないが、彼を悩ませてしまう程くよくよなどしていないことを伝え。相手の頭に置いた手でそのまま軽く相手の顔を引き寄せると、あくまで安心させる目的で先程彼がしたようにこめかみ辺りに軽い口付けをして。)
――…ならいい。お前と出会ってからの事を思い返してたら、改めて知っておいて欲しくなった…。
(まるであやすかのような優しい響きで紡がれた言葉に安堵すると、髪を撫でられる心地よさも相まって相手を緩く抱いたまま瞳を閉じ、柔らかな声色で囁くように小さく告げて。そのまま引き寄せられる感覚に瞳を開けるや否や、こめかみ付近に優しく寄せられた唇にまたも胸が甘い切なさに締め付けられ、相手を抱く腕にきゅうっと力が籠り。そちらに顔を傾け相手の瞳を捕えては、溢れんばかりの愛しさに微かに柔らかな笑みを浮かべながら「…好きだ」と囁いて。性的な欲望というよりは純粋に触れたいという、愛しさから生まれる思いに突き動かされるまま距離を縮めれば、軽く唇を重ねて離し、至近距離のまま愛おしそうに見つめ)
…知ってる、俺も好きだよ。
(彼に抱き締めてもらうのはとても好きで、それが肌と肌の密着により更に心地よいものとなり体を包むことに深い安心感を感じていて。しかしそんな温かな触れ合いよりも強い力を持った"好き"の一言はきゅう、と胸が苦しくなる程に嬉しくて思わず涙腺が緩んでしまいそうになり。こんなことくらいで泣くなんて、と感情を抑え未だ僅かに切なげな様子を残しながら彼の言葉に返事を返して。「ッ、ん…っ?」切なさを堪えるようにぐっと奥歯に力を込めると微量ながら体を蝕むアルコールのせいか不意にくらりと目眩がして、背後の彼に体を預けるようにすると目眩が何に作用してのものなのか理解できていないのかぼんやりと視線を揺らしながら少し驚いたように首を傾げて。)
おい、大丈夫か?お前、もう出た方がいいな。流すから寄りかかってろ。
(何処か切なさを帯びた相手の声で愛の言葉を紡がれれば、襲いくる幸福感に細めた瞳を揺らしながら微笑んで。しかし相手の様子の小さな変化に気付くと、相手への気持ちばかり先走りる余り、一時的に忘れてしまっていたアルコールの存在を思い出し、我に返ったように眉を潜め。目眩でもするのか定まらない視線でぼんやりと見詰めてくる相手、早急に出て休ませるべきだと判断しては、己に寄りかからせたまま顔にシャワーがかからないよう注意しながら髪についたままの泡を流し始めて)
…まだ、湯船一緒に入ったりとかしてない、けど…。
(正直完璧に頭から抜けてしまっていたアルコールの効果がまさか今更効いてくるとは思ってもみずやってしまったとばかりに苦笑を浮かべれば、相手の言葉に甘え体を寄り掛からせたまま泡を流してもらい。しかしながらもう上がるとなると先程まで湯船に一緒に入るのか入らないのか、と悶々と悩んだ立場としてはそんなシチュエーションを逃してしまうのが惜しいような気もしてきてしまい。泡が飛ばないようにと相手側になる片目を瞑りながらそちらに軽く視線を向けると悪戯っぽく、若干の期待も込めたような様子でそれを尋ねてみて。)
馬鹿かてめぇは。こんな状態で何言って――……、
(泡を流し終えシャワーを戻すと、悪戯っぽく投げられた言葉に眉を潜めたまま呆れたように言い返すが、何処となくねだるようにも見えるその瞳と視線が絡んだ瞬間言葉を飲み。ほぼ毎日のように顔を合わせているにも関わらず、今でさえ見惚れてしまう程恵まれた容姿を持つ相手は、濡れた髪や肌、アルコールのせいか僅かに潤み揺れる瞳も相俟って何処か妖艶さをも纏っており。ドクンと大きく脈打つ心臓はやがて疼くような感覚を生み、正常に働いていたかと思わせる思考を鈍らせていき。「…っ…、お前が入りてぇなら少しくらいは…」今の相手には良くない事だと頭では理解していながらも誘惑に勝てない己を内心恨み、己の理性をいとも簡単に崩そうとするそこから逃れるようにぱっと視線を外し)
…なにそれ。俺、結構そうう期待してたんだけどなー。
(暫し見つめあったのちに目を逸らし歯切れが悪いながらも許可してくれた彼の様子から、さすがにそろそろ彼が何にほだされて意見を変えたのかくらい想像できてきて。そんな自分の考えが何だかナルシストじみて感じられて思わず苦笑を漏らすものの、彼のその返答がまだ自身として満足のいくものでなかったのか少々彼に悪い気もするがここは自身の見てくれを利用させてもらうことにして。少し拗ねたような風にわざとらしい言葉を口にすると唇を軽く尖らせ、位置関係を利用してちらりと上目気味にそちらに視線を送ると「…お前は、一緒に入りたいとか考えなかった訳?」などと呟いて。)
っ……卑怯だぞてめぇ…。
(拗ねたような声音で可愛らしい事を口にする相手にちらりと視線を戻した瞬間、その表情にドキリと心臓が跳ねる。相手にそのつもりがあってもなくても、その台詞も表情も最早誘惑にしか取れず。純粋に一緒に入る事を願っての事なのか、はたまた小悪魔的な部分が潜在するのか、どちらにしてもこれ程ほだされている相手を前に勝ち目など無く、悔しげに眉を寄せながら何のひねりもない、まさに負け惜しみそのものである台詞を吐いて。二人きりになってからというもの、此方が必死に理性を保っているかくらい相手も理解している筈。それが相手の事を思うからこそだという事も。しかし此方がどれだけ自制を掛けようと目の前の彼が故意に崩そうとしているとすれば。そう仮定した瞬間、積み重なった我慢が徐々に苛立ちへと変わり、普段の荒っぽい部分が顔を出し始めてしまったようで)
――…一緒に風呂っつったら考えて当然だろうが。尤も、入るだけで済むなんざ最初から思ってねぇけどな。…なあ、知らねぇぞ、どうなっても。
(いつの間にか据わっていた瞳で相手を見つめては、濡れた額から頬にかけて撫でるように指を滑らせ、己の唇で柔らかなその下唇を噛みつくように挟み、軽く歯を立てて。次いで上唇を舌先で舐めては至近距離で視線を絡め、「…どう考えてもお前が悪いよな」先程よりも若干低めの声で呟くよう咎め、相手を捕えるように抱き直すと同時に唇を塞いでやり)
ーー……え。
(我慢を強いてしまっている彼に対して非常に不誠実な態度をとっていることは自覚している、それでも愛情を与えられれば与えられるほどもっと欲しいと思ってしまう自らの貪欲な部分に負けこんな言葉を仕掛けてしまった。眉を寄せる相手に流石にやり過ぎたか、と僅かに戸惑いのような感情を感じるものの次に続いた自らが欲していた言葉にやったとばかりに表情を明るくすれば、そこで漸く彼の様子の変化に気付き。)
ッや、ごめんごめん!ほんと、おちょくったみたいになったのは分かってたんだけど…でもこう、ちゃんと言葉で求めて欲しかったっつう、か…ッ!?
(相手の変化に気付いた頃にはもう手遅れで、目の据わってしまった彼が施す唇への愛撫にひくりと口角を震わせると相手を制するように手を出しながら言い訳じみた弁解を試みて。しかしながら実際悪いのは自分であり相手を抑えるのは中々難しいことだろうも分かっていて、それ以上にこうして感情を剥き出しにして自分を求めるような瞳を向けてくる彼に強いいとおしさを感じてしまっていて。「……ッ!」元々形だけの抵抗は酒気を帯びた体では無力に限りなく近く、捕らえるように絡まる相手の腕にどくりと胸を高鳴らせれば近付く唇を遠慮がちながらも受けとめて。)
――…一緒に入りてぇに決まってんだろ。直にお前に触れたい、体中撫で回してきつく抱き締めて、唇塞いで貪りてぇ……そう思ってたよ。
(唇が重なる直前、言い訳のようなものが耳に入るがお構いなしに唇を塞ぎ。噛みつかんばかりの勢いは落とさないながらも施す愛撫には優しさも感じられ。僅かな間交わし合った唇を離すと、熱っぽくも何処か真剣な眼差しで見つめながら欲にまみれた心の内を包み隠さず吐露し。溢れるいとおしさを伝えるように頬や耳元近くへ小さな音を立てながら唇を落とした後、後頭部ごと抱えるようにぎゅっと抱き締め。密着した部分から確実に伝わってしまう程に騒がしく脈打つ鼓動に今更ながら少しの羞恥を感じつつ「……さっさと終わすからちょっと待ってろ」そう断ると、一旦相手を解放し背を向け、未だ洗っていなかった髪などを手早く洗い始め)
…そういうの、聞きたかった。…ふふ、優越感、みたいな。
(勢いこそあれど彼の優しさが顕著に表れた口づけは心地よいものでしかなく、酒気で仄かに潤んだ瞳を細めると濡れた相手の胸板に手をつきながら甘受して。離れる唇に些かの名残惜しさを感じつつも相手と視線を合わせるとその熱っぽい眼差しにどきりと胸を高鳴らせ。続く言葉は自分が大いに求めていた純粋な欲望に満ちたもので、強い愛しさに胸の奥の辺りがぎゅっと痛くなるほどに震えるのを感じれば返事の言葉より早く表情には歓喜の色が帯びていて。相手の言葉から得られた優越感は計り知れないもので、その後もぞくぞくと全身に帯電でもしたような余波を残し。吹っ切った彼に感化されてしまったのかこちらに向けられた背中をじっと見つめた後不意に手を伸ばしていくと、今度は明確な誘惑の意図を持ってか欲に染まりつつある瞳を向けながらつつ、と相手の背中に浮き出た背骨を人差し指でゆっくりとなぞり。)
…ッ!? な……んだよ。少し待ってろ、馬鹿。
(二人では狭い浴槽に入るという事は自然と体が密着する事は言うまでもなく、都合のいい妄想が脳内では目まぐるしく展開されており。逸る気持ちが髪や体を洗う手を自然と速め、高揚感と緊張感が入り混じったような感覚に息苦しささえ感じる中、不意に背中に這う指先の感触にゾクリとし、不覚にも大きく肩を跳ねさせてしまい。そんな失態を晒した事で表情に羞恥を滲ませながら振り向いて。己と同様に欲に染まった瞳と視線が絡まれば、ドクンと心臓の辺りが熱を持ったように熱くなり息を飲む。気を抜けば欲望のまま求めてしまいそうな情動を抑え込むように、泡がついた手で相手の鼻をきゅっと摘まみながら悪戯を咎めるような言葉を向けては、再び背を向けさっさと洗い流してしまい。そのまま無言で立ち上がり湯船に浸かれば「……ほら、来いよ」若干の照れを残しながら、相手を己の前に迎え入れようと腕を伸ばして)
ッ、あ…っちょ、何すんだよ!
(明確な意図を持って行動こそ起こしたものの相手の反応に驚いてしまい同じように小さく肩を跳ねさせると思わず差し出していた指を引っ込めて。動揺から小さな声を漏らしてしまうもののビビってしまったことに対しての気恥ずかしさを感じる間もなく相手の反撃を受ければ、その泡こそ不快だが相手の照れからきた行動に思わず笑みをこぼして。じゃれるような軽い言葉を返しながら鼻についた泡を落とすととうとう訪れた念願のバスタイム(←)にごくりと唾を飲み下し。「…お、邪魔しまー…ッ、うおぁっ!?」何処と無く場違い感のある台詞と共にゆっくりと浴槽に足を踏み入れ流石に初めから密着というのもハードかと考え彼とは反対側に背中を凭れようと体を捻ったその時、焦りや緊張に集中力を欠いていたことが起因してか足を滑らせ湯船にどぼんと沈んでしまい。)
ばっ……何やって…ッ…
(期待と緊張に心臓を煩くさせながら相手を受け入れようと手を伸ばしていたが、浴槽に足を踏み入れた相手は己の思いとは裏腹に向かい合うつもりなのか体を捻り。男二人では少々狭い浴槽に一緒に入るとなれば、密着するように背後から相手を抱く考えしか頭になかった故に不平を述べようとした瞬間、酔いのせいもあったのか足を滑らせた相手が浴槽に派手に沈んでいき。「…おい!大丈夫か!?」突然の事に慌てて体勢を変え相手の体を引き上げては、水を飲んだり頭など打ったりしていないかと、相手を抱えたまま真顔で心配そうに見つめ反応を待ち)
ッげほ!ッ、げ…ごほ…っはあ…。ご、ッめ…だいじょぶ、だから…。
(ごぼごぼと泡立つ視界に肌色がちらついたかと思えばそのままお湯の中から引き揚げられ、少々飲み込んでしまった湯に噎せて咳を繰り返すと反射的に相手にすがるように首に腕を絡めて。一瞬のことだったというのにこのちょっとした事故が大分疲労感を増幅させ、咳が落ち着いてくるとくたりと体を相手に預けてしまい。狭い浴槽だったお蔭で体も打っていなければそれこそ少し噎せただけと大事にはならずに済み、疲れたようなふにゃふにゃとした声で返事を返すと水を含んでしまった髪を鬱陶しげに片手で掻き上げて。「ごめん、なんかこう…恥ずかしいのとか色々、あって…変に考えてたら足滑っちったー…。」前髪を上げ額を出したまま頭を相手の肩に乗せるようにして体の力を抜くと、少し困ったように眉を下げながらふざけ混じりに謝罪を口にして。)
っ…椿てめぇ、焦らせんじゃね――、
(縋りつくようにしながら噎せる相手の背を心配そうに擦っていたが、それ程水を飲まずに済んだのか、冗談混じりの台詞を吐けるだけの余裕があると分かれば安堵の息をつき。一時は極限まで達した緊張が一気に解けたせいもあり、ついつい咎めるような言葉を向けるも、今の状況を改めて認識すれば忽ち別の緊張が己を襲ってきて。反射的にかもしれないが、しっかりと己の首に回された腕のせいで丁度抱き締めやすい位置に相手が居る。己にしがみついているようなその体勢は、甘え縋られているようで己を酷く触発し、身体の芯がぞくりと震えるような感覚がしたかと思うと直ぐ様それは甘い疼きへと変わっていき。「椿…」欲に彩られ始めた瞳を揺らし吐息混じりに名を呼べば、相手の体をぎゅっと抱き締め。こんな事をすれば酔いがある相手は勿論、自分まで逆上せてしまうだろう事を頭で理解はしていても、すぐ傍にあった無防備な首筋に堪え切れない様子で唇を寄せては、舌を添えて軽く吸い付いてしまい)
ッ、な…に、してんの、お前…。
(変に湯を飲み込んだせいで少しだけ痛む喉をそっと指先で押さえながら小さく咳き込んでいると、不意に密着が強まったのを感じ。それから大した間もなく妙に色っぽさを孕んだ声での名前と共に首筋への口付けが贈られ、一瞬にして変わってしまった雰囲気への戸惑いと相手の突然の行動への驚きを口にして。風呂に二人で入っているという時点で元よりシチュエーションは整ってしまっていたがその雰囲気を助長させるように艶を含み始めた相手にそれを再確認させられれば、心構えはしてきたつもりだったもののやはり気恥ずかしさが強くなってしまい。「…か、ずさ…俺…そ、の…。」意味を成さない単語をぽつぽつと漏らしながら自分の今の心境を彼に伝えようとするものの濡れた肌から伝わる相手の温もりにどくどくと脈打つ心臓がそれを阻み、頭の奥が痺れるような感覚に言葉を切らし。恥ずかしいだけで嫌ではなくて、むしろ甘えたいはずなのに上手く行動に移せない、そんな天の邪鬼な自分自身を吹っ切ろうとするように小さく首を振ると、ゆっくりと相手の胸板に体を預けるように力を抜いていき濡れた睫毛を伏せながらお返しとばかりに震える唇をそっと相手の鎖骨辺りに落として。)
……ッ、馬鹿…煽ってんじゃねぇよ。
(首筋から唇を離し見つめれば何か伝えたそうに口を開く相手と視線が合うも、その唇から意味を持つ言葉が発される事はなく。しかしそれは己も同じで、素肌の相手と密着したこの状況下、呼吸さえ苦しく感じられる程に騒がしく脈を繰り返す心臓と、最早崩れかけつつある自制心をどう保つかという事しか考えられない頭では、まともな言葉を発する事すら儘ならなくて。そんな中、不意に鎖骨付近に柔らかな感触を感じると同時にそれが何か理解すれば、戸惑いを含むような控え目なそれに胸の奥が熱を持ち、無性に相手がいとおしく感じ。顔を上げさせ咎めるような言葉を向けるも、彼を捕らえる熱を帯びた眼差しは、何かに堪えるよう切なげに細められており。近付いた距離で見つめつつ、僅かに開いたままの己の唇を相手の唇へと触れさせれば、そのまま啄むような口づけを何度か施した後離し、再び見つめて)
……あんま可愛い事すんじゃねぇよ、頼むから…。
(水気を含んだままの相手の髪に指を入れそのままとくように撫でては、懇願するように告げ。その手を顎付近へと運び、親指をゆっくりと唇へ這わせ軽く抉じ開けようとしながら「じゃねぇと…このまま此処で襲う」冗談にしてしまうには無理があるような真剣さを孕んだ眼差しと声音で忠告し)
ーーこんな状況で、まだそんなこと言うのか…?
(重なりあった唇は湿度の高い浴室にいるからかしっとりと湿っておりそれがまた酷く劣情を煽ってきて。熱く湿った空気がそうさせるのかはたまたこの雰囲気に酔わされてしまっているのか、高鳴る胸は苦しくなるほどに早鐘を打ち喉など乾いていないはずなのに漏れてくる唾液をごくりと飲み下して。此方を気遣ってくれる彼は優しいと思うしそこが彼の良いところだと思う、そもそも彼のこの慎重さは自身が多大に影響しているとも自覚している。しかし身勝手かもしれないが何とか絞り出したyesに限りない答えを再三確認されるのはもどかしさすら感じてしまい、強すぎる羞恥に半ば泣きかけのような情けない表情を浮かべると困ったような言葉に続けて唇に当てられた相手の指を舌で軽く舐めてやり「…いい、から…こういうこと、してんだよ…。」と、呟いて。)
夜は長いんだから焦んなとか何とか、お預け食らわせたのはお前だろうが…。
(柔らかな唇に這わせた親指を舐めてくる相手の艶かしさに魅了されたかの如く何処かぼんやりと見つめながらも、“どれだけ堪えているかお前にわかるか”とでも言いたげに咎めるように告げ。どくどくと高速で刻み続ける鼓動が頭にまで響いて来る気がして、ごくりと唾液を飲み込むと相手の唇から手を外し、そのままゆっくりと唇を重ね。直ぐに唇を浮かすような控えめなキスとはいえ、一度触れ合ってしまえばもう歯止めが利かなくなって。「っ、…もう知るか」相手の体調を気にしながらも投げやりとも取れる言葉を放ち、後頭部に腕を回しグイと引き寄せ。そして唇を重ねたかと思うと直ぐ様角度を変えて更に密着させ、唇を何度も食むような口づけをし)
ッほ、本音と建前!そんくらい察しろ!
(つい先刻自分が口にした言葉で此方を咎める彼の言い分は確かにその通りなのだがそれで折れられるほど素直な性格でもなく、頬をほんのりと上気させ子供がむずがる時のように眉を寄せたまま理不尽な言葉で応酬し。すると不意に唇から相手の手が離れ一瞬思わず寂しげな色を表情に出すものの次の彼の行動に気付くと安心したように眉を下げ、瞼を閉じて口づけを受け止め。程無くして衝動を抑えられなくなったらしい彼に引き寄せられれば余裕のないその仕草すら酷くいとおしくて、何度も唇を啄む相手に合わせて時折ちゅ、と唇に吸い付くと僅かに開いた唇同士の隙間から「ッ、ん…そういう…余裕なくしたとこ、すっごい好き…。」と欲に濡れたような甘い囁き声を漏らして。)
――…っ、黙れ。いいから早く…、口開けろ。
(実際指摘通り、愛してやまない存在を前にして余裕なんかある筈ない。しかしそう思われてしまう程性急だったかと思うと、込み上げる羞恥に急激に熱が集中する気がして。そんな余裕を欠いた自分が好きだと囁く相手への愛しさと、唇が重なる毎に浴室に響く小さなリップ音に駆り立てられ、唇の感触や次第に深まっていく口づけの過程、愛を語り合いながらの甘いムードを十分に堪能する間も惜しく感じる程に深く相手を欲してしまい。口づけの合間、吐息と共に熱っぽく言葉を発しながら待ちきれないと言わんばかりに唇を割るように舌先を這わせて濡らし、同時に抱く腕に僅かに力を強めて)
ッ、ん……は、ぁ…っ!
(熱に掻き立てられたように荒々しくこちらの唇を割ろうとする相手は強く雄の顔を感じさせ、自分も同じ男だというのにその力強さにきゅう、と胸がときめいてしまえばその舌に促されるようにしてゆっくりと唇を開き。相手の舌を迎えるように自身の舌を伸ばしそのまま絡めれば相手の首に掛けたままだった腕をぎゅっと引き寄せて体を密着させ、合わさった肌と肌が解け合うような火照った温かさに表情を緩め。相手との口付けを堪能しながらも転んで引き上げられたままだった下肢をもそもそと動かすと相手の膝の上に乗り上げる形で腰を落とし。なるべく密着していたいのか軽く足を絡めてしまうように太股を寄せると、煩く高鳴り続ける胸の鼓動すらもう気に止めず瞳を閉じて相手の唇を貪り。)
(/そろそろ雰囲気が危うくなってきましたので浮上させて頂きました!
これからもし規約に触ってしまいそうなレベルまで達しそうになりましたら描写回避のために所謂フェードアウトか、もしくはアクシデントでうやむやに…というどちらかの対処をとるつもりです。
上原様の方も恐らくそのつもりかとは思いますが、もしちらりとでも外部の方がこの状況を見た際に規約違反の意図があると勘違いされませんように一応発言させて頂きました。
何ともぎりぎりラインを走行している感じがバリバリありますが、どうぞこれからもお付き合い願います。)
…ッ……ん…、つば、き……、
(ゆっくりと開かれた唇から性急に舌を捩じ込んでは相手の舌を掬って絡め。一方的なものではなく求め合うように絡み合うそれに相手の愛を感じれば胸が一杯になり夢中で貪り、口内を掻き回し舌を捕えて吸い上げて。途中相手が体勢を変えた事により太股付近に感じる重みに胸を震わせては、より密着するような抱き方へと変え。直に伝わる肌の熱や感触に心地よさを感じながらの求め合いにどうしようもなく高揚してしまい、抱く腕に力が籠る。そんな感情に比例するように激しさを増す口付けの最中、吐息と共にくぐもった声を漏らしながら己の脳裏を占める相手の名を呼んで。散々貪った唇を解放したかと思うと、濡れた唇を耳元へと運び。「っ…は……、椿…」熱に浮かされたように再度その名を口にしながら耳裏を擽るように舐め、耳朶を口に軽く含んで唇で擦り。そのまま首筋へと移動させ舌を這わせては時折柔らかく吸い付いて)
(/そうですね、自分もそのような対処を取るつもりでおりましたが…どのような展開をご希望かと確認させて頂きたく思っておりました。アクシデント等でうやむやにするか、描写を避ける為に時間を飛ばすかですよね。もし時間を飛ばすとなれば、どのタイミングで…例えばこのまま飛ばしてしまうのか、また別の場所や機会でといいますか…その辺もお聞きしておきたいなと。ご希望がありましたら是非お聞かせ下さいませ^^)
ーーッ、はぁ……あ、つ…っ
(酷く官能的な雰囲気に最早流されるだけで動揺も戸惑いも感じなくなった頃、皮膚が柔らかく神経が過敏になってしまうようなところばかりを狙って口づける相手に擽ったそうに首を捻ると甘えるように相手の首筋に額を擦り付け。温かいお湯に浸かりながら非常にふわふわと心地よい感覚を感じていたが色々な要因が重なったことで感じていなかったのか、ふと気付けば熱くなっているのはお湯に浸かっているからでも彼と肌を密着させているからでもなく、自分自身が火照り始めているせいだと察し。もたれ掛かっていたお蔭で感じてこそいなかったものの体を起こそうとしてもどうにも気だるく体が重たくて、ぼんやりと靄の掛かったような視界の中ほぼ無意識的に短い言葉を漏らすと相手の肩に掛けた腕すらもくたりと力をなくして。)
(/確か外部への移動は規制されていたように思いますので別の場所で、というのは難しいかと…。一応その旨を管理者様に確認中なのでそちらは後程ご報告させて頂きますね。
さて、飛ばすかうやむやかと此方も悩んだのですが、流石に初めてがお風呂でというのも中々(←)という気もしましたので、回避の布石を打たせて頂きました。何度も上原くんに土壇場でお預けを強いてしまい何とも申し訳ないです;;)
(/本体のみで失礼します!すみません、此方の書き方が悪く誤解を招いてしまったようで…。別の場所というのは外部サイト等の事ではなく、浴室以外の場所で…という事でして。紛らわしい表記をしてしまい、ご迷惑おかけして本当に申し訳ありませんorz
今までの流れといいますか椿君の気持ちを考えますと、この状況では望むところではないだろうと勝手に解釈しておりましたので、此方もこのまま回避という形を考えてはおりました。この後はリビングか椿君の部屋に移動するなり何なりして、展開は…どうしましょう。←)
(/すいません、うっかり勘違いしてしまいました;;
そうですね…やっぱり自室でというのが妥当でしょうか。一先ず手っ取り早く原田には逆上せてもらったので(←)一時リビング等に移動して落ち着かせ、今日のところは止めておくか、と就寝してからいたたまれない思いを募らせた原田に迫らせるというのは如何でしょうか?上原くんにばかり任せてしまうのも悪いですから、そろそろ原田にも腹を括ってもらうような形にしたいなと思いまして…。
あくまで案ですので、何かこういう描写をいれたい!というのがありましたらお聞かせ頂ければ幸いです。)
――椿…?大丈夫…じゃなさそうだな。出るぞ。
(甘えるように擦り寄られる事で愛しさが増し、夢中で相手を求めていると、首に回されていた腕が不意に力無く外れていき。相手の異変に気付き、首筋に埋めるようにしていた顔を上げ様子を窺った時には、明らかに顔を火照らせぼんやりとした様子で。軽く頬を叩いても反応が鈍く完全に逆上せてしまったらしい事を察すると、溢れ出ていた情欲を一時制し、自分で歩く事も儘ならないだろう相手をそのまま抱き抱え浴槽から出て)
(/おお…なんて素晴らしい展開…是非それでいきましょう!/←
お預け食らうのは全然構わないといいますか、むしろ上原の隠れ激情型な部分を出しやすくなるので歓迎なんです/笑/椿君が好き過ぎる余りあらゆる部分において自制出来ない上原を表現し、椿君を目一杯愛せたらそれで満足なので、特別こうして欲しいという希望は現時点では特にないかなと。何かありました際はまたその都度相談させて頂きますね^^取り敢えず椿君をリビングに運ぼうと思います。)
…ご、め…。…また、おれ…。
(素早く此方の状態を察し悪化を防ぐために早々に浴槽から抱き上げてくれた彼にくたりともたれ掛かったまま小さな声で謝罪を口にすると、瞼を開いていることさえ段々苦になってきたのか気を失うようなことはないもののそのまま瞳を閉じて。今までも時折今回のように所謂"本番"を目の前にすることはあったが、いつもそれを遮るのは自分で、そのたびに彼に多大な負担を掛けていると自覚はしていて。今回も含め、毎回ぎりぎりで我慢させてばかりなのが酷く悔やまれ、先程閉じた瞳をうっすらと開きながら眉を寄せるとやるせなさから唇を噛み締めて。)
(/大分粗いというか、どことなくベタな流れですみません;;ご賛同ありがとうございます。
移動の件了解しました!先程の提案はあくまでこれなら自然かな?といった感覚で立てた筋に過ぎませんので、もし流れでこっちの方が良いかも、というようなものがあった場合はその時の流れに任せてしまって構いませんので。
では、本体はこれにて失礼しますね!)
いいから目ぇ閉じてろ、辛いんだろ。
(相手を抱え脱衣所まで来ると、壁に凭れさせる形で一旦そっと下ろして。垂れて目にかかる相手の前髪を上げる要領で撫で、手にしたバスタオルで軽く顔や体の水分を取ってやりながら心配を含む労るような声音で告げ。タオルを相手の肩に掛け、腰に巻いていた濡れタオルを外す代わりに新たなバスタオルを手早く巻きつけてやれば、立ち上がり急いで着替えてしまい。直ぐ様相手の前に屈んで抱き抱えると、取り敢えずはリビングに運びソファーの上に横たえさせて。「少し待ってろ」安心させるように近くでそっと声を掛けた後離れては、冷やした濡れタオルと水が入ったグラスをを手にし戻って来て。冷たいそれで頭を冷やすよう額に置くと「…アホ」心配そうでいて困ったような笑みを浮かべながら屈み、ひんやりした手でそっと頬に触れて)
(/いえいえ、いつもベタなのはこちらの方で申し訳ない限りです…orz
はい、そちらもまた希望等ありましたらいつでも遠慮なく仰って下さいね^^では暫し自分も見守ります!)
ーー…へへ。ありがと、な…。
(正直相手に体を拭いてもらうというのは先程のやり取りで煽られた所謂"そういう気持ち"が後をひいていることを差し引いても情けなさやら恥ずかしさやらで居心地が悪く、相手の言葉に甘え目を閉じればそんな思いを堪えるようにぎゅっと奥歯を噛み締めて。暫くして体を拭いてもらい終わるとそのままソファにて水を寄越され、湯から上がって時間が経ったことで少しずつ回復し始めたのかそっと目を開きグラスを受けとり。申し訳なさからか僅かに眉を寄せながらの言葉を口にしてから肘掛けに置いた頭を少しだけ持ち上げ溢さぬようゆっくりと水を飲み始めると、その冷たさに癒されたようにため息を漏らし。軽い悪態とは裏腹に気遣うような手つきで触れた相手の手にゆるゆると表情を和らげると片手に持ったグラスを腹の上に乗せるようにしながら空いた片手で相手の手に触れ掠れたような小さな声で「…きもちい。」と呟いて。)
気分悪くねぇか?……たく、無茶しやがって…。
(水分を取れた事や和らいだ表情にほっと胸を撫で下ろすと、頬に触れる手はそのままに相手が手にしているグラスを一旦受け取って。少なからず酔っていた事を分かっていながら、結果的に無茶させてしまう程理性を欠いてしまっていた事を今更ながら反省している割に、口から零れたのは散々煽ってくれた彼を咎めるような言葉で。それでも己に応えようとしてくれた事も、己を求めてくれた事も嬉しくて堪らず、愛おしそうに見詰めながら「お前、もうアルコール入りのチョコ禁止な」仕置きだというように、コツンと軽く額を重ねて)
…ごめん。ちょっと自分の限界図り間違えた…。
(咎める彼の言葉はお互いのことを考えたからこその言葉だと分かっているのだが、だからこそか自分の不手際が招いた結果が惜しくてならずしゅんとしおらしくも謝罪を繰り返すと彼にまで気を遣わせたくないからかあくまで軽さを持たせた調子で反省を口にし。苦笑を浮かべた表情のまま続く相手の言葉に少しだけ困ったように眉を寄せると「…ごめん、その……チョコ、いくらかもらってきちゃったんだよ、ね…。」視線を軽く玄関の方、恐らく置きっぱなしになった紙袋の方に投げ掛けながらぼそぼそと言い辛そうに話して。)
まあ、抑え利かなくなった俺にも原因あるからな。けど…あの状況で我慢しろってのは無理だ。欲しいと思ったら止まんねぇ。
(時折垣間見える相手のしおらしさにはいつもドキリとさせられ、愛しさに胸が締まる思いがする。くっつけていた額を離すと、馬鹿みたいに高鳴る胸に堪え切れず視線を外しながら己の非を詫びるような台詞を口にして。しかし直ぐにちらりと視線を戻しては、目の前の相手に情欲を駆り立てられ求めずにはいられなかった事を吐露し。こんな状況下でも未だに余韻が冷めやらない事に罪悪感を抱きつつ、湿り気を帯びたままの相手の柔らかな唇に指で触れ、熱を僅かに残した眼差しを向けながらそっとなぞり。そこで事の発端でもあるチョコを持ち帰ったと聞かされればぴくりと眉を寄せ。「次に食うなら俺と一緒の時にしろよ。あんなお前…他の野郎になんか絶対に晒したくねぇ」相手が酔うとどのようになるかは今回の事で何となく把握出来た為、嫉妬を含んだ強い独占欲が沸き起こり。唇に触れていた手を外し、相手の頬から髪に掛けて撫でた後、後頭部に腕を回し擦り寄るように抱いて)
…まあ、逆にあの状況であっさり我慢されたらされたで…こっちも複雑な気持ちになってただろう、し…。
(お互いの非は確かに少なからずあるかもしれないが此方とて抑えを利かせないつもりで相手に迫っていた、それを考えると彼の行動に咎めるようなものなど何もなくむしろあそこであっさり諦められると本気かどうか疑ってしまいそうで、何とも面倒な自分自身の感情に困ったように眉を下げれば相手の言葉に首を振ってからその思いを口にし。唇に触れてきたり頬を撫でたり、果ては嫉妬の混じったような言葉を掛けられれば強い愛しさと共に、相手がこちらを気遣ってくれているというのに情欲がまたちりちりと胸を燻り出してしまい。何処にも向けられないこのもどかしさに己を抱く相手の鎖骨あたりにこつりと少しだけ強めに額を押し付けてちらりと顔を見上げ。「…元からお前と食べるつもりだよ。ほら、その…食べさせあいっこ、みたいな?したら、楽しいかなーって、さ…。」そもそも相手と食べたくて持ち帰ったチョコを嫉妬の火種にされるのはいくらその劣情を向けられるの自体は嬉しくとも何となく複雑な気持ちで、少し拗ねたように唇を尖らせながらぼそぼそと言葉を呟くと、リラックスしたように深く息を吐いてから相手の胸にもたれ掛かって。)
…馬鹿、お前これ以上酔ってどうすんだよ。まぁ俺の前でならそれも歓迎だけどな。
(チョコを持ち帰った理由を聞くと、その思いがけなさに視線を合わせながら瞬きし。相手の考えが微笑ましく感じ、安心感と嬉しさが混じったような表情を浮かべては、拗ねる相手のいとおしさに額に口付けずにはいられなくて。委ねるように己に身を寄せてくる相手を愛しそうに抱き直した時、指先に感じる素肌を今更ながら意識してしまい、ドクンと心臓が跳ねる。着替えを済ませた己とは対照的に未だ素肌のままの彼。もしもこのまま首筋や肩、鎖骨に顔を埋めようものなら、この騒動で一度は落ち着いた筈の情欲に再び襲われ、欲望のまま容赦なく食らい付いてしまいそうで。とはいえ完全に回復仕切っていないだろう相手を襲うのは流石にまずいだろうと堪えるように奥歯を噛み、少し距離を取れば「落ち着いたなら取り敢えず着替えるか。取って来てやるよ」脱衣所に置きっぱなしの相手の着替えを取りに戻るつもりで控え目に笑み掛けて)
…う、ん…頼む、わ…。
(一旦は拗ねても彼の嬉しがってくれている様子さえ見られればそんな感情も吹っ飛んでしまい、額に落とされた戯れのような口づけに擽ったそうに口許を緩めるとそっと相手を引き寄せるように腕を伸ばそうとし。しかしその腕が相手に触れるよりも先に彼の方から距離を取られてしまえば行き場のなくなった両手を暫しさ迷わせた後戸惑いながら腹の上に重ねて。相手のいつもより控え目な笑み方から恐らく我慢を強いるための行動だと認識はするものの、それでも不意に離れてしまった体温に寂しさを感じずには居られず。歯切れの悪い言葉で相手に返事をしながらまだ動揺が収まらないのか僅かに眉を下げたまま視線をゆらゆらと漂わせていれば、着替えのためにそっと体を起こして。)
…何処にも行かねぇよ。
(返事を確認し脱衣所に向かおうと立ち上がるも、何処と無く不安そうに瞳を揺らす相手が視界に映り。着替えを取りに行くだけという僅かな間さえそんな反応を見せる彼に愛おしさが溢れ、自分でも恥ずかしいくらい優しい声色を向けては頭をそっと撫で。その場を離れ脱衣所に向かい、彼の着替えを手にし戻ろうとした際鏡に移ったのは、休む暇なく込み上げる愛おしさと、一糸まとまぬ姿の彼の艶かしさに掻き立てられつつある情欲を必死に鎮めようとする難しくも情けない表情をした自分自身で。「…っ、少し落ち着けよくそったれ」掻き上げた前髪をわしゃわしゃとし自分に苛立ったように呟くと、相手の待つリビングへ戻って)
ーー…ほんとに、どこにも行かない…?
(酷く優しい言葉を残して自身の衣服を取りに行った相手を目で追えば撫でられた髪をそっと自分の手で鋤くように軽く握り。少しでも不安な素振りを見せればこうして優しい言葉で安心させてくれる相手に不満など欠片もないのに、どうしても先程の中断されてしまった行為のことが微かに過れば自分でも何故か分からない程のほの暗い不安が胸のうちに影を落として。何度も繰り返し"男同士"であることに問題などないと断言してもらっているのに、その事実が消えないというだけで些細なことでもこうして不安感を抱いてしまう自分自身に嫌気を感じながら殆ど無意識のうちにぽろりと言葉を漏らせばもやもやとした胸のうちを掻きむしりたい衝動に耐えきれなくなったように爪先で平らな胸の真ん中をかりかりと引っ掻き。彼に気を遣わせてしまうからなるべく余計な不安など抱かないようにしたいのに、何度もやろうとしては中断になる行為への想いがどうしても不安感を増長させてしまい。異性ならもっと楽だったのでは、自分じゃなければもっとすんなり進んだのでは、このまま段階が進まなければ関係はどうなってしまうのか。こんなことを考えても彼に負担を掛けるだけで無意味だと自覚は出来ているのに不安を止めることが出来ないもどかしさに胸が赤くなり始めても掻きむしり続けてしまえば、ソファの上で膝を抱え身を固めるように体を丸め膝に額をくっつけたまま唇をがり、と噛んで。)
――…椿?どうした、気分悪い――…、……おいこら椿、また一人で何考えてんだてめぇは。
(相手の衣類片手にリビングへと戻ると、ソファの上の彼の様子がおかしい事に気付く。抱えた膝に顔を伏せ小さくなる様子を目にしては気分が悪くなったのかと心配から眉を寄せるも、いつかと似た状況を思い出せばそんな心配も直ぐに掻き消され、別の可能性が浮上して。彼が何を考えているかまではわからないが、恐らくまた負の感情に支配されつつあるのだろう。彼に向けた気遣いの言葉を打ちる代わりに、その闇から救うべく優しく咎めるような口調を向けながら頭を撫でてやり)
…ごめん。ちょっと、変なこと考えちゃってた。
(暗く沈んだ思考の中では他に向ける集中すらも欠いてしまっていたのか彼の方から頭に触れてくれたところで漸く彼が戻ってきていたと気付けた様子で。はっと我に返ったように顔を上げるとゆっくりと相手の方に視線を向け、困ったような笑みで緩く首を傾げるとまた相手に気を遣わせてしまったことに謝罪の言葉を口にして。自分自身の中でうじうじ悩むなら未だしも彼にまで心配を掛けるなどあってはならないことで、先程の思考を切り捨てるかのように小さく首を振ってからそっとソファから立ち上がると彼にこれ以上迷惑を掛けてしまわないようにと考えが働いたのか「着替え、取ってきてくれてありがとな。…あ、何なら着せてみる?」などと軽口を叩けばにい、と口角を上げ笑顔に努めて。)
……どうせなら女物着せてみてぇな。
(今まで接して来て、彼がこんな風に軽口を叩く時は大きく分けて二通りある。恐らく今は、己を気遣わせないようにと、彼の中で渦巻く感情を誤魔化す為のものだろう。彼なりの心遣いと精一杯の笑顔に胸の奥がきゅっとなり、込み上げる愛おしさに堪えられず、ゆっくりとした動作ではあるが腕の中に収めてしまう。彼を前にして今まで何度こんな衝動が走ったかわからない。相手の髪に愛しげに頬を寄せると、少しの間そのまま抱き締めて。相手の耳元近く、唇からぽつりと零れたのは行動にそぐわない冗談混じりの言葉で。言った後にふ、と自嘲めいた笑みを小さく浮かべては回していた腕をほどき。ソファの上の着替えに手を伸ばし、手にしたそれを相手の頭からすっぽりと被せてやると「は…ガキみてぇ」その様子が妙に可愛らしく、くっと吹き出してしまって)
…和瑳くんのへーんたーい。
(己を抱き寄せる相手にもしや心配を打ち消すのに失敗してしまったかと一瞬考えてしまうものの続く言葉を聞くかぎりそれは杞憂に終わった様子で、僅かにすり、と相手の首筋に頬を擦り寄せてからわざと何時もは呼ばない君付けで彼の名を呼べば可笑しそうに頬を緩めながら軽い悪態をついて。するりと離れていく相手を眺めながらもう彼の心情を気にする必要はないかとほっとため息をついたその時、急に暗くなった視界にきょとんと目を見開けばどうやら頭から服を被せられたのか首だけが服から露出した状態になっていて。吹き出す彼に思わず不機嫌になってしまったのかもそもそと両手を袖に通してから強めに相手の膝を足の裏で踏み。「…そのガキに毎回欲情すんの、どこの悪いお兄さんだっけ?」などとにいと口角を上げながら少々意地の悪い言葉を投げ掛けると、続いて下を履かせるようにとわざと煽ってやるつもりでどことなく艶を意識した仕草で片足を高めに上げて。)
…仕方ねぇだろうが。こんな風に打算的に煽ってくる性悪小悪魔が目の前にいるんだからよ。
(悪態をつきながら膝を踏みつけてくる辺り、少しは調子を取り戻したらしい事が伺え内心安堵したのも束の間、妙に艶っぽい仕草を目の当たりにすれば心臓が跳ねると共にごくりと喉が鳴り。彼の物言いや表情からも故意という事を悟る事は可能だが、目の前に掲げられた生足にどうしても気を取られ、ちらちらと視線を奪われてしまい。煽られているのを承知で自分が今どんな心境なのか、目の前の彼なら恐らく気付いているだろうと思うと、悔しさに眉を寄せながら反発して。しかし言う通りにする気はないとばかりにその片足を不意に捕らえれば、相手の体を押す事で半ば強引に再度ソファへと体を沈めさせてしまい。「考えてみりゃ着替えなんか無意味だよな。どうせ後でまた俺に脱がされるんだし」覆い被さるようにして不敵な笑みを浮かべつつその艶やかな足をゆっくりと撫でたかと思うと、捕らえたままの足に唇を寄せ、軽く吸い付いて)
ッ、うわ…ちょ、和瑳…っ!?
(悔しげに眉を寄せる相手を見れば一矢報いることが出来たのは明白で、それに思わず得意気になって油断したところを突かれたためにまともな抵抗も出来ぬままあれよあれよという間にソファに倒されてしまえば突然の変化に状況が読み込めず瞬きを繰り返し。しかし足を掴んだまま覆い被さろうと体勢を変える相手に比例し必然的に持ち上がっていく足により捲れていくトレーナーの裾に気がつくと、風呂こそ共にしたものの服を纏った状態で不本意に肌をちらつかせるのは気持ち的に何となく恥ずかしくなってしまい焦った様子でトレーナーの裾を足の間へと引き下げるよう引っ張って。吸い付くような口付けにびくりと足を僅かに跳ねさせると恥ずかしさで情けなく眉を下げる自分に対し仕返しとばかりに笑みを浮かべる相手に安易な気持ちで挑発に走ってしまった自身を恨み、朱に染まる顔を隠すよう腕を顔の前に掲げれば先程の態度などもう微塵も感じられぬ酷くか細い声で「ご、め…からかったの、悪かったから…。…ちょっと、ほんとに勘弁して…ッ」などと呟き。恥ずかしいのは勿論本当のこと、しかし惚気にしかならないがそれ以上に官能的な雰囲気で迫る彼が無性に胸をときめかせばくばくと高鳴る心臓が悲鳴を上げており、また頭がゆだって当てられてしまいそうな感覚に陥ればトレーナーを引き下げる手が震えるのも気にかけられないまま羞恥に耐えるようにぎゅ、と瞳を瞑って。)
…ほんとに悪かったと思ってんのかよ。だったら今後からかわれて悔しい思いすんのも恥ずかしい思いすんのも、お前だけでいいよな。
(己の下で羞恥に打ち震えながらトレーナーの裾を必死に引き下げる様がいやに官能的で。か細く許しを請う姿を目の当たりに狂おしい程の愛しさが沸く一方で更に苛め上げたくなってしまう辺り、やはり自分自身に歪みを感じずにはいられず複雑な思いに駆られ。顔を隠すように掲げられた腕を無理矢理退かし、その下にある羞恥に染まった表情見ればゾクゾクするような感覚に陥り。依然不敵な面構えで顔を近づけては、有無を言わさぬような雰囲気で了承を得ようとし。か細いながらも艶めいた相手の雰囲気が情欲と支配欲を掻き立てて止まないのか、ゆっくりと足を撫で上げ、腰に巻いたままのタオルの下に手を忍ばせ太股をそっと撫でると「…なぁ、もう外しちまおうぜ」トレーナーがあるならどうにかなるだろうとばかりに、口端を上げたまま意地が悪い事を耳元で囁けばタオルに手を掛けて)
(/遅くなってしまって申し訳ありません。その上、予定していた展開と離れて来てしまっているような……はい、確実に上原のせいですね、すみませんorz
さてどう軌道修正すべきかという…/笑)
ッい、かげん…調子乗んな馬鹿っ!
(自分が優勢に立とうとして起こした行動が原因でまさかここまで相手のペースに乗せられてしまうとは思ってもいなかったためそれに対する悔しさと、明らかに此方が羞恥を感じていることを理解してわざわざ煽るような行動を取る相手に次第に腹が立ってきて。この後の行動を示唆させるような艶を孕んだ声や仕草に言わば惚れた弱味ということか、虐げられているにも関わらず求められることへの高揚感から時折びくりと体を震わせながら悩ましげに眉を寄せ。腰に巻かれたままのタオルを取り去ろうとしてか手を添える相手にそこでとうとう羞恥やら悔しさやらで一杯だった頭がぶちりと切れてしまったのか、掴まれたままになっていた腕を振り相手を振り払いがてら中身が見えてしまわないようにと若干の内股気味に相手の急所を狙い蹴りをかますと罵声と共にソファから立ち上がり。行為に至りかける時はいつも優しかった相手の、例え至る至らないに関わらずそういった行為を思わせるようなじゃれあいにおいて発現された此方を弄ぶような態度に戸惑ってしまった部分が大きかったのかトレーナーをずり下げ、もう片方の手でそのトレーナーの胸元をきつく握りしめれば最早半泣きに等しい表情で相手を睨み「そ、いうこと言うなら…もうお前とこういうことしないっ!上原の阿呆、エロ!変態!」などという暴言を重ねたのち、そのままばたばたとリビングを出ていってしまい。)
(/大丈夫ですよ、こちらも時々遅れたりしていますし。余程何ヵ月もいらっしゃらないようなことがない限りずっとお待ちしていますから^^
一先ずこのまま流されてしまうのは原田の性格的にも難しいですから、修正という名の一時退避をさせて頂きました。この後はまあ…お互い頭を冷やせば自ずと原田の方からご相談した流れに乗せていけると思いますので!)
――…ッ!? て、め……待て、椿…っ、
(巻かれたタオルを取り払ってしまおうとしたその時、至近距離から容赦無しの一撃が見事急所に入れば声にならない痛みを訴えながらその場に蹲り。羞恥と少しの怒りを含んだような叫びを残し、ばたばたと走り去る相手を視界の隅に捕らえながら、調子に乗り過ぎた己を呪って。しかしこれというのも彼がどうしようもなく可愛く愛おしいからで。彼を前にして突き上げる感情と欲望を冷静に鎮める術など生憎持ち合わせていない。「クソ…」漸く痛みが和らぎ始めれば上体を起こし、脱力したように座り込んで天井を仰ぐ。彼なりの反発なのか、名字呼びに戻された事に少なからずショックを受けている自分がいて。未だ完全に引かない痛みに瞳を細めながら髪を掻き上げては、彼が走り去った方向に視線を移し、ゆらりと立ち上がって彼の姿を求めゆっくりと歩き出し。「――…おい椿、何処に隠れやがった。もう苛めたりしねぇから出て来いよ」しんと静まり返った廊下に声を響かせてみるも返事はなく。差し掛かった階段で足を止め、彼の自室があるだろう二階を見上げれば、足音を立てながら段を上っていき)
(/とても素晴らしい対応を有難うございました!椿君の暴言さえ可愛いくて仕方ないと思っているような息子なので、悪い気はしていない筈/笑
これから頭を冷やさせどうにか大人しくしてもらい、当初の予定通り事を運べるように努めたいと思いますので、引き続き宜しくお願いします!返事は結構ですので^^)
ッ和瑳の、ばか…。
(部屋を出たときの勢いを殺すことなくそのまま二階へと階段をかけ上がり自室の扉を開くとそのまま布団の中にでも籠ってしまおうかとふかふかの掛け布団に手を掛けるものの、変なところで律儀になってしまうのが己の性なのか相手が上がってきた後のことを考えてか押し入れから客用の布団を引っ張り出すと部屋の空いたスペースに畳まれたままの状態でどさりと置き。それからベッドに敷かれた自分の布団の中へと足先から頭まですっぽりと入ってしまうと、籠った中でぼそりと相手に対する不満を吐き出し。相手にとってはただの意地悪に過ぎなかったのかもしれないが何となく雰囲気で行為の時は自分が下になるのだろうと感じている分こちらには不安も多く、非常にデリケートな内容を彷彿とさせた先ほどのやり取りの中での相手の行動はたとえうっかりどきどきしてしまったとしてもその先の不安を考えれば受け入れることなど出来ないもので。受け入れたいと思っているのに土壇場でばかり結果的にこうして自分が遮ってしまう現状が何だか悲しくなってきてしまったのか、不安定な心で抑えることも出来ぬままじわじわと瞳に涙を浮かべれば枕に顔を押し付けることで涙を止めようとして。)
――おい椿…。俺も悪ふざけが過ぎた。機嫌、直せよ。
(階段を上る途中に聞こえた物音を頼りに辿り着いた部屋の扉を開ければ、どうやら相手の部屋で正解のようで。“お前は此処に寝ろ”とばかりに床に用意された客用布団一式と、すっぽりと頭まで布団を被る様子から見ても彼の機嫌が良くない事は明白で。困ったように溜め息をつくと、相手の横たわるベッドへと歩み寄り布団の上から相手の頭を鷲掴みするようにしながら、何の捻りもない謝罪を口にし。かと思えば、いつの間に手にしていたのかリビングに置きっぱなしだった相手の着替えの一部を枕元へと置き、「ほら、着替え持ってきたから取り敢えず下履いとけよ。じゃねぇと、またいつ俺が変な気起こすかわからねぇぞ」と、脅しのようで脅しにならない半ば本心を告げ、これから着替えるだろう相手に気を遣ってか、ベッドの端に腰掛け背を向けて反応を待って)
ーー意地悪なお前も、別に嫌いじゃないんだ…。…で、も…さっきのは、なんか怖く、て…。
(部屋に入ってきてから暫く、状況を把握した途端に吐き出されたように感じられた相手のため息に呆れられてしまったのかと思うと余計に涙を煽ってしまい。変に高過ぎるプライドから布団を出ることも出来ずますます気持ちが落ち込み始めた頃、頭への軽い感覚と共に告げられた言葉に小さく唇を噛み締めると枕元に置かれたらしい着替えの残りを布団から腕だけを出して回収し、そのまま布団の中でもぞもぞと着替えを完了させ。この頃には行為に至ろうとするたび怖じ気付く自分の不甲斐なさやら相手に呆れられたんじゃ、という不安感から酷く情けない表情になってしまって尚更顔など出せない状態になってしまっていて、布団越しのぐもった声でまるで弁解のような言葉を並べるとぎゅ、とシーツを握り締め。「我が儘、かもしんないけ、ど…お、女みたいで、面倒かもしんないけど…。そ、いうことする時は…優しくしてくれないと、こわい…。」"そういうこと"は行為のことを指しているのか所謂処女のいう"初めては優しくしてね"というようなお決まりの台詞に準じるような酷く女々しく感じるお願いに自分自身嫌気が差すようでとうとう布団の中でぼろりと涙をこぼし。自分自身が嫌で、意地悪な相手も怖くて、でも行為には及びたくて、それでも相手には迷惑を掛けたくなくて、けれど結局こうして迷惑を掛けてしまったことまでの全てが悪循環となりもやもやとした嫌な気持ちを高めてしまい、止めなくてはと思うのにそれがこぼれる涙を後押ししてしまい。)
――…そう…だな、悪かった…。俺も本気であのまま襲っちまおうとしたわけじゃねぇよ。ただお前が余りにも可愛いから苛め……、…構いたくなんだよ。
(背を向けたまま待っていれば、間もなくごそごそと布団の中で着替えているらしい音が聞こえ。次に耳に届いた、か細い声音での訴えにゆっくりとそちらを振り返ると、未だ己と顔を合わせる気はないのか布団に潜ったままの彼が。布団の中から発せられたくぐもったようなその声からは怒りこそ感じないものの、代わりに戸惑いや不安の色を強く孕んでいるように受け取れて。困ったように眉を寄せては本心を交えての言い訳を途中詰まりながらも伝えるが、不安で一杯だったらしい彼の感情の高ぶりが次第に涙声となって伝われば、込み上げる愛おしさが痛みと錯覚するほど胸を締め付けて。そんな彼を前にあれだけ己を苦悩させていた情欲もいつしか収まっており、ただ思い切り優しく、目一杯甘やかしてやりたいという思いだけが胸に広がっていき。布団を被ったままの相手を愛しげに見下ろすとベッドをぎし、と軋ませつつ、腰掛けた体勢から布団ごと相手を優しく抱くような体勢に変え。「……わかった、そん時はちゃんと優しくする。今日はもう怖がらせるような事はしねぇ……しねぇから、俺も此処で寝ていいか?お前をただ、こうして抱いていたい」言葉通り優しげな声音を向けながら相手に身を寄せると、回していた腕にぎゅっと力を込めて)
…今日"優しくして"くれるんなら、入れてやる。…しないなら、入れてやんない。
(布団越しに安心感のある重みが体を包むと視線を相手がいるであろう方向に向け、その声を聞き。言葉からすれば彼には今日行為に至る気はもうないのだろう、しかしその此方を思いやってであろう考えが今の自身には最も不安なものとなってしまい。今日あれだけ本気で行為に入ろうとして、それを途中で諦めて慰められて、そんな流れがこれから常習化してしまったら。今日のことを踏まえて相手が優しくしてくれたとして、それでも遮ってしまったら。不安な気持ちが凝り固まったせいか今日を逃したらもう彼と体を重ねることが出来なくなってしまうんじゃないか、そんなイメージが頭を満たしつんと鼻の奥が痛むのを歯を噛み締めて堪えるともそもそと布団を掻き分けて顔を覗かせ。暗に行為をねだるような、そんな返事と共に涙の張った瞳で彼を見ると不安げに眉を寄せながらそっと相手の首に抱きついて。)
っ…お前な…、俺は―――………、
(何度も襲い来る欲望を必死の思いで沈める事に成功し、今日はこのまま相手を腕の中に収め愛しい温もりを感じながら大人しく寝ようと決意した途端、それをいとも簡単に揺らがせるような言葉を向けられてしまえば反発の意で咄嗟に口を開き。けれど、泣き出しそうでいて何処かすがるような表情を浮かべた彼と視線が絡んだ瞬間、ドクンと心臓が跳ねその勢いを削がれてしまい。弱々しくも懇願するように首に抱き付いて来る相手は不安を抱えながらも、もっと近付きたい思いは己と同じなのだろう。深く愛されたい、己を受け入れたいという気持ちは確かにあるのに、不安や少しの恐怖が彼を戸惑わせている、そんな様子が伝わって。そんな彼を前にいとおしそうに目を細め、優しく抱き寄せては「わかった…優しくする。優しくするから……お前の全部、貰っていいよな…。」さらりとした髪に指を通し、とくように撫でながら、優しくも熱を帯び始めた声音で紡ぎ。髪を撫でる手をゆっくりと止め、埋められた顔を上げさせて。「…嫌っつってももう止まんねぇからな。お前が欲しくて堪んねぇ…」漸く落ち着かせた愛欲を取り戻してしまったかのような余裕を欠いた表情で真っ直ぐに見つめ、心の内を吐露して。普段なら返事を待たず本能のまま性急に求めているだろう。しかし優しくすると約束した手前、眉を寄せ懸命に堪えているような表情を浮かべながら歯を噛み締めて。どくどくと喧しく速まり出した己の鼓動を意識しながら相手の反応を待ち)
…分かった。和瑳に俺の全部、あげるから…和瑳も、俺に和瑳の全部ちょうだい…。
(天の邪鬼な自分の行動に相手はどんな感情を抱いているだろうか、呆れられていたらと思うと身が震えるほどの恐怖心が背中からぞわぞわと這い上がってくるようで。反発を口にしかけた相手に思わず肩がびくりと震えてしまいその震えを押さえるために意識的に体を固くすると唇を僅かに噛み締めて。やはり"さっきは拒んだくせに"と思われているのだろうか。次なる相手の言葉を怯えすら覗かせながら待つが返った言葉は酷く優しいもので、柔らかに自分を受け入れる相手の腕にきゅう、と胸の奥が痛むのを感じると相手の言葉への肯定をと小さく頷いてからゆっくりと口を開き。もう恐怖心など何処にもなくあるのは優しい安らぎと少しの期待感、情けなくも酷く安心した様子でふにゃりと頬を緩めると少しだけ強引に相手の顔を自分の方へと引き寄せ固く噛み締められた口許に触れるだけの口づけをすると「…お前が相手なんだから、嫌なんて言わねぇよ。…だから、ちゃんと残さず食べて、な。」などと暗に行為の中断を禁ずるような比喩を口にしてから体の力を抜いてベッドへと沈み。)
(/そろそろ待望の本番ですね。ぎりぎりのところまでやり取りしてから飛ばすべきか、とも考えましたがそうなるとどうしても区切りが悪そうなので一先ず原田の方はこのレスを最後に次回から描写を飛ばして朝、または事後に移りたいと思います。飛ばす前にそちらでもう一レス分挟まれても構いません。
とりあえず、飛ばした先の時間帯についてお話ししたいと思い浮上しました。事後処理終了後のピロートーク、というのでしょうか、そういった場面より始めるのか、はたまた朝にしてしまうのか。ピロートークに至っては夜なのか朝まで続けてしまったのか等々分岐出来るかと思います。此方には特に希望等ありませんので、そちら様の意見をお聞かせ頂ければと思います。)
(/本体のみで失礼します!レスをお返しする前に少し相談させて頂いた方が良いかなと思いまして。此方の希望としましては、そうですね…念願のという事で椿君の不安も解消されるかと思いますし、上原としてもまた更に椿君への愛情が深まる筈ですので、目覚めてからベッドの上での幸せそうなやりとりさえ出来れば特に拘りはないのですが…。自然にいけば朝ですかね。休日という事でのんびりとじゃれ合いのようなものが出来るかと。まあ、とにかく可愛がりたいのはあります/笑/どちらか先に目覚めてちょっとちょっかい出してる内に起きて……なベタな流れでいいかと思っていますが、何かご希望ありましたらどうぞ!)
(/そうですね、ではやはり朝起きてイチャコラする流れでいきましょうか!照れたりチョッカイ出したり、流れによっては安心して今更感涙、ということも考えています。一先ず目覚めはそのように、後は流れに任せて楽しい休日としましょう^^)
(/了解です!どちらが先に目覚める等ご希望等は?もし特になければ先程のレスの続きの描写を少しと、それから朝まで飛ばして此方が椿君を起こす形のレスでお返ししようかと思いますが…。)
(/返事が遅れていて本当に申し訳ありません…!ここ数日ハードスケジュールで…orz今日中には必ず返しますのでもう少しだけお待ち頂けたら幸いです。それから世間が夏休みに入ります頃から仕事が益々忙しく残業続きになる見込みなので、お待たせしてしまう事が少なくないかと思います。なるべくお待たせしないよう心掛けますが、遅ぇよ等何かあれば遠慮なく呼びつけて下さいね!気付き次第すっ飛んで参ります/←
此方はお返事不要です。また後程^^)
残せって方が無理だっての…。
(安心しきったように緩められた笑顔に酷く愛しさ覚え、守りたくなるような感覚がきゅっと胸を締め付けて。何度か目にしたその笑顔は温かな感情で己の心を満たしていき、目を細めふっと柔らかく笑むと、甘さを含んだ声音に乗せて相手の額や頬に慈しむような口付けを返してやり。ベッドに沈む相手を一度解放しては相手の上へと体勢を変え。再度愛しげに見詰め、ゆっくり頭を一撫すれば「――…椿、愛してる…」思いの丈をその一言に込め、囁くように告げて。優しく唇を重ねた後は込み上げる感情に素直に従い、愛しい相手の熱を感じながら行為を深めていって)
…ん……、
(数時間後。ゆっくりと瞼を上げると視界に入ったのはいつもと違う風景、しかし覚醒しきっていない頭でも状況を認識するのにそう時間はかからず。切なくも甘い幸福感に包まれた一時の後、いつしか眠ってしまったらしい。腕の中に感じる温もりに視線を移し、少しあどけなく見える整ったその寝顔をぼんやりと見つめていたが、自然と口元を綻ばせては起こしてしまわぬよう優しく抱き直し、存在を確かめるかのように愛しげに頭に頬を寄せて。ゆっくりと頬擦りような仕草を取りながら、柔らかな髪にそっと唇を落とし)
ーーっん、ん…か、ず…。
(初めての行為だったものの優しく慈しむような相手の腕に抱かれ進められた交わりは心地よい倦怠感を体に残し、幸福な気持ちで眠りにつくことが出来て。自身を抱く相手が体勢を変えたのか、僅かに体の収まり具合が変わりもう一度先程までのフィットした体勢に戻ろうと微睡みどころか殆ど眠りに意識を沈めたまま無意識的にもそもそと身動ぐと行為の証と思うべきか、鈍い痛みを訴える腰に思わずびくりと震えながら声を漏らして。不快そうに眉を寄せながら掠れた声で相手の名をこぼすとぐぐ、と伸びをするように腕を伸ばし、そのまま相手に被せるようにその腕を脱力させると極力腰の痛みを刺激しないようにゆるゆると相手に擦り寄って。)
椿……。
(彼の唇から溢れる半分寝言のようなそれと、擦り寄ってくる仕草に愛しさと幸せが胸に広がり、頬を緩めずにはいられなくて。特に意味もなく唇から自然と溢れる愛しい名の響きは幸福感をより膨らませ、何故か泣きたくなる程切なく感じ。胸の高鳴りと共に感じる甘く締め付けに、腕に抱いているだけではどうにも落ち着かなくなり、未だ相手は微睡みの中にも関わらず、顔の至るところに柔らかく食むような口付けを次々と落としていき)
ッ、んん…まだ、続き…?
(再び心地よい眠りの波に身を任せてしまいかけたとき、顔を中心に愛でるような優しい口づけが施されその擽ったさにゆっくりと目を開くとまだ少しとろんとした目で相手を見つめて。昨晩は初めてだったということもあり終わりに掛けては疲労感からろくに記憶が残っておらず、相手の口づけがまだ昨晩の延長線にあると勘違いしてしまった様子で。ゆるゆると首を傾げながら掠れた小さな声で尋ねると、勘違いではあるものの相手がその気なら、とばかりにそっと相手の頭を引き寄せれば目尻に軽く吸い付くような甘えの感じられる口づけを落として。)
いや……まだ寝てていいぜ。
(愛しさから堪らずに施したそれらでやはり起こしてしまったらしく、未だぼんやりとした瞳で此方を見詰めてくる相手の甘えるような口づけをくすぐったそうに受けて。どうやら寝惚けているらしい相手に状況を説明すべきかと考えるも、今は幸せなこの時間をただ満喫したいという思いが勝り。柔らかでいて幸せそうな笑みを浮かべると唇に軽く口づけ、いとおしそうに緩く抱き締め「…辛くねぇか」と体調を労りながら髪を撫でて)
…目、覚めてきちゃったから起きてる。
(少しずつ意識が覚醒し始めとろんとしていた目にはっきりとした感情が点り始めれば、相手の言葉に小さく首を振りながら言葉を返して。緩く自身の体を抱く相手に此方からも軽く身を寄せると緩やかに流れる幸せな時間に思わず口許を緩め、甘えるようにそっと相手の足に自身の足を絡めながら「…腰、ちょっと痛いけど…なんか、それもいいかなって感じ。だから辛くはないよ。」と答え抱き合うことで少しばかり暑さを感じ始めたためかもそもそと布団を捲り。)
…何だよそれ。まあ、休みだし今日は一日ゆっくりしてろ。
(痛みを訴えつつ“それもいい”と口にされては、何となくだがその心情を理解したのかふっと笑みを溢して。己に身を寄せ甘えるように足を絡める仕草にさえ沸く愛しさをどう解消していいものか困惑しつつ、痛むらしい腰にそっと手を添え軽く撫で。暑さを感じたのは相手だけではないものの、腕の中の相手を離したくはないらしく「…椿」小さく名を呼ぶと、再度軽く唇を重ねるだけのつもりが、啄むような口づけ二、三度繰り返す内、一人で高揚し始めたのか、唇が触れ合う間隔が次第に長くなってきてしまい)
ッ、んん…和瑳、ちょ…ちょっと、待ってって…。
(腰に触れる相手の手は心地よい温かさがあり腰の痛みを和らげ、そのことにほっと息をつきながら相手の口づけに応じて。優しく慈しむようなその口づけはきゅう、と胸に嬉しさとない交ぜになった甘い痛みを与えとても好きなのだが、徐々に高ぶりを見せ始めた相手に少しだけ困ったように眉を下げると軽く肩を押して制止しようとし。しかしそんなとき、夜の運動なんて言えば親父臭いかもしれないがそれなりに体を動かしたことが原因かきゅるる、と情けなくも腹の虫がなると思わず恥ずかしさから頬をほんのり染めながら「…ご、め…お腹、空いちゃって、さ…。」などと呟いて。)
……ん、了解。お前、動くの辛いだろ。何食いたい?
(次第に深まりつつある口づけを制止するかのようにタイミング良く鳴り響いたのは空腹を訴える音で。顔を見合せれば一瞬きょとんとするも、頬を染める相手の微笑ましさに直ぐにくすりと笑みを浮かべて返事をし。幸い今ならどうにか処理出来そうな熱や欲を散らす事に努めながら、柔らかな声色で希望を訊ね。とはいえ普段まともに料理する機会が少ない己がリクエストにしっかり応えられるかどうかは危ういところで、「無茶なリクエストは無しな」と笑みながら付け加え)
…ラピュタトースト。ほら、トーストに目玉焼き乗っけたやつ。目玉焼きにソースで文字書いて持ってきてな?
(もそもそとゆっくり寝返りを打ちうつ伏せの体勢で組んだ腕の上に頭を乗せると相手の方を見て。少しだけ考え込むような間を挟んだ後リクエストを口にすると、最後におねだりとばかりの追加注文を付け足すと悪戯っぽくにい、と口許を緩めて。「台所勝手に漁っていいから。パンはトースターの横の籠に入ってる。」卵の場所はまあ分かるとして、一応食パンの位置を伝え指示すると、まるで同棲しているかのような錯覚を起こさせるやり取りにきゅんと胸をときめかせながら軽く相手に手を振って。)
…は?ラピュ…タ…?……何だかよくわからねぇが、要はトーストに目玉焼き乗っけりゃいいんだな?
(朝食のリクエストを受けたものの、その辺の知識は浅いのか、その名称にいまいち閃かないようで。頭に疑問符浮かべつつ眉を寄せ、ゆっくり上半身を起こしては確認の為に再度問い返し。目玉焼きにソースだの文字を書けだのと個人的に突っ込みたくなる部分はあるが、そんな要望さえも甘えられているような感覚を起こさせ、嬉しさに頬が緩んでしまいそうで。彼が求めているものを頭の中で朧げながらも想像しながら前髪をかき上げてはそのまま軽く頭を掻き。「…で、何飲むんだよ」朝食時の飲み物にも習慣があるかもしれないと、視線を相手に戻しながら念の為訊ねて)
…あ、ラピュタ知らないのか…。うん、そういうことで合ってるよ。
(眉を寄せた相手にこちらも疑問符を浮かべながら緩く首を傾げると、続く彼の反応に漸く合点がいったように苦笑いを浮かべて。アニメ映画を観そうなタイプでないのは分かっていたがまさか此処までか、などという衝撃を引きずりながらも彼の言葉に頷き返事をし。「んー…ホットミルク、飲みたい。蜂蜜溶かしたやつな。」自分はあまり朝食にこれを飲まなくては、という拘りがある訳ではないが彼が淹れてきてくれるという付加価値に流され暫し考え込むと、腰の痛みを少しでも和らげてくれそうなもの、ということでどちらかと言えば寝る前に飲むイメージの方が強いであろうホットミルクをリクエストするとぐっと両手を前に伸ばして伸びをし。)
――…わかった、ちょっと待ってろ。
(二人を包む甘い空気に調和するようなリクエストを受けると、思わずふっと表情が柔らかく緩めて。相手の前で時折自然に発されてしまう、自分でもくすぐったさや戸惑いを覚える程の甘い声音で囁くように告げては、小さなリップ音と共に唇に食むような口づけを落とし。唇を離し、頭をくしゃくしゃと優しく撫でながら愛しそうに目を細めて微笑めば、そっと相手から離れ静かに部屋から出て行って)
…ん…ッ、ふふ…。
(優しく撫でられた髪の寝癖をかき回すようにそっと頭に手を当てると、やや起こし気味だった上体をぼすん、と再びベッドに沈めると這うようにして体を枕の方に寄せて。顎を置くために適当に枕を引き寄せて顔を埋めてみると相手の残り香のようなものが感じられ、彼との昨晩の行為を再確認させるようなその匂いに嬉しさが込み上げれば小さく笑みながら軽く枕に頬を擦り寄せ。「…ほんとに、したんだな…。」今更ながら本当に体を重ねることが出来たという実感がわいてきたのか、小さな声でぽつりと呟きを漏らすと感動からかじんわりと涙が滲み出し、流石にこんなことで泣くなんてと枕に目元を押し付けるようにして涙を吸わせるとふにゃりと口許を緩め幸せに浸り。)
ラピュタトースト……、…これか。
(一階に降りキッチンへとやって来ると、先ずは携帯を取り出し。名称があるのだから一応正式な作り方もあるのだろうと、彼のリクエストをそのまま検索にかけてみて。必要な調理器具を準備すれば、検索で引っ掛かった作り方を参考に携帯の画面と睨めっこしながら早速作業開始し。恋人の自宅のキッチンで一人料理をするというのは何とも不思議な感覚を起こさせる上、一人暮らしである己の殺風景な自宅キッチンとはまるで違う、綺麗に揃えられた種類豊富な調理器具や調味料等が変に緊張を起こさせて。そんな中でも部屋で己の帰りを待っているだろう彼の事を思い浮かべれば料理中も自然と頬が緩んでしまい。誰もいないキッチンに調理独特の音を響かせながらどうにか仕上げたそれを二人分皿に盛り付けたはいいものの、恐らくは彼なりの悪戯心であろう“ソースで文字を”という点で少々悩んでしまい。「…たく、俺に何を求めてんだよ」出来立てのトーストを前に難しい顔で腕を組んでいたが、溜め息混じりに呟くと諦めたように渋々、けれどやたら慎重に、彼の分のトーストの目玉焼きにソースで綺麗なハート型を描いて。相当ベタではあるが、己の人柄に似つかわしくないハート型を改めて見た瞬間、やり場のない屈辱感に似た羞恥に見舞われ小さく舌打ちし。そんな感情を振り払うように手早く彼のホットミルクと自分用のコーヒーを注げば、ホットミルクに蜂蜜を入れ甘さを添え、それらをトレイに乗せて彼の部屋へと戻っていって)
…おかえり。トースト無事出来たかー?
(廊下から戻ってきた相手の足音が聞こえ慌てて目尻に残った涙をトレーナーの袖で拭いとると枕から顔を上げてそちらを見て、からかい混じりの言葉と共に緩んだ笑顔を向けて。「…ふふ、ハート。愛されてるなー俺。」彼がわざわざ希望を汲んで作ってくれたトーストに何だかんだできちんとハートが書かれているのを見つけると余計に調子に乗ってしまい、至極嬉しそうに呟きながら頬に手を当てると体を起こそうとリラックスしきっていた体に力を入れて。しかしながら初めての行為に大分ダメージを負ったらしい腰は本人の意思に応えて動くように、とは中々いかず未だ鈍く痛みを訴えるそれに思わず僅かに顔をしかめ。「…かーずさ、だっこして。」ちらりと視線を相手に向けてから暫し考え込むような間を挟んでからゆるゆると緩慢な動きで仰向けの体勢になると、今なら何となく恥ずかしさもそこそこに甘えられそうだと践んだのか、両手を相手の方に差し出しながら甘めのねだるような声で相手を求めて。)
っ…煩ぇよ、もう絶対やらねぇ。今回だけだからな。
(ハートを描いたトーストを目にした途端、予想通り笑われてしまえば羞恥に熱が集中して来るのを感じ。不貞腐れたような台詞と共にふい、と顔を背けるという、まれに見る子供染みた言動に出ながらも、幸せそうな笑顔見たさにちらりと視線をやって。その時起き上がろうとした相手が表情に痛みを訴えた瞬間を見逃さず、はっとしてそちらに体を向ければ甘えるような声音で抱っこのおねだりをされてしまいドキッと胸が弾んで。「たく、仕方ねぇな」とは言うものの、仏頂面にもしっかりと嬉しさが滲んでしまっており。相手に近付き抱き起こすと、ベッドに腰掛け己の膝の間に相手を挟むようにして、背後からぎゅうと抱き締める事で溢れんばかりの愛しさを伝え。頬に触れる柔らかな髪が擽ったく、その匂いが酷くいとおしくて。「……甘ったれ」唇から紡がれる言葉はやはり戸惑う程に甘さを帯びているが、それが気にならない程の愛しさと幸福感に浸るように目を閉じ頬を擦り寄せて)
甘ったれで結構、そういう俺も好きだろー?
(後ろから抱き締められることで腰に掛かる負担も少し減り楽になったのかほっとため息をつき、それからトーストの皿を受け取り膝の上に乗せると首を軽く捻って相手の唇の端にちゅ、と口付けて。体を重ねることが出来たお蔭で大分気持ち的に余裕が生まれたようで、少し調子に乗りすぎかと思われるような軽口を叩いてからトーストにかぶり付くとさくさくとした軽い口当たりと少しだけとろりと半熟気味な目玉焼きの組み合わせに頬を緩めて。相手の作り方が気に入ったのかどんどんトーストを食べ進めていけばすぐに完食してしまい、唇についたソースをぺろりと舐めながら「…おいし、また作ってな。」と呟くとふわりと笑みを浮かべて。)
……ああ、好きだ。わかってんじゃねぇか。
(少し生意気そうな軽口さえも可愛くて仕方なく思え、ふっと表情緩めながら率直に告げれば口端に軽く唇が触れて。トーストにかぶりつく様子を愛しげに見つめていたが、少しすると相手を背後から抱いたまま近くのテーブルに手を伸ばし、そこに置いておいた己の分の皿を手にしトーストをかじり。あっという間に完食する相手の唇に僅かに残ったソースを指先で軽く拭った後、蜂蜜入りのホットミルクを手渡し。また作れとのリクエストは単に気に入ったからという純粋なものなのだろうが、悪戯っぽく口角を上げては「それは次回のお誘いだと受け取っていいのか?」と、試すような言い方をして)
ッばか、なに言っ…げほ、げほッえ、ほっ!や、ば…噎せ…ッげほ!
(綺麗に舐めとったつもりだった唇からソースの僅かな残りを掬い取られると何となく気恥ずかしさが込み上げてきて、それを散らすように手渡されたホットミルクに口をつければそんなタイミングで相手の悪戯っぽい問いかけを耳にしてしまい。体を重ねておいて今更な感じもするがやはりこういった言葉のやり取りには慣れず反射的に声を張ろうとしたが運悪く口に残っていた僅かな牛乳が気管に入ってしまったのか噎せてしまい、マグカップをひっくり返さないようにしっかりと両手で支えながら暫く咳を繰り返すと誤って唾が飛ばないようにと顔を俯かせたままもごもごと口を動かし。)
ーー…別に、お前が受け取りたいように取っていいよ…。まあ、そんなすぐにいいよって訳じゃないけど、さ…。
ッ、馬鹿…何やってんだ。
(多少の照れは見れるだろうと密かな期待はあったものの、不意に噎せ出す相手の過剰な反応に此方が驚き軽く背中を擦り。何とか落ち着いて来たらしい様子に安堵したところで返って来たのは割と真面目な答えで)
…すぐにはしねぇよ。お前、痛みに堪えるのに必死でわけわかってなさそうだったしな。次はまあ…幾らか余裕が出る分恥ずかしいと思うぜ。…楽しみだな。
(何となく言いにくそうに言葉を紡ぐ様子を見て愛しげにクスリと笑みを溢すと、相手の体調を気遣うような言葉を向けつつ、背後から回す腕の位置を変え優しく抱き直し。軽く頬を寄せ、相手の存在を噛み締めるようにしていたかと思えば、己の下で羞恥に悶える相手を想像し楽しむかのような悪趣味な台詞を意地悪そうな声音で添え。待ち遠しさを伝えるように近くにある耳朶を唇で柔らかく挟み、そのまま舌先で擽ってやり)
ッお、ま…やることやったら前より甘えたになったんじゃないの…?
(暫く抱き直されたり頬を寄せられたりとさながらテディベアにでもなったような感覚を味わわされた後、甘えてくるような相手の行動に口許を緩めながらホットミルクを口に含むとそんなタイミングで何時もよりどこか意地の悪い言葉と耳元へのぬるりとした舌の感触を受け取り。肌が粟立つような感覚を自分自身感じながら驚いて落としそうになったマグカップをしっかりと両手で支えるとごくりと唾を飲み下し、応酬とばかりに相手をからかうような言葉を口にするとにい、と笑みを浮かべて。「俺だって、何時までもやられっぱなしになんてなんないからな。精々上に乗られないように頑張れよ?」意地悪な相手の言葉により辱しめを受けるのが自分ばかりなんて勿論納得できず、強気を装い相手に言葉を言い返すと残りのホットミルクを飲み干し。「…で、このあとどうする?デートでもしましょうか?」お腹の辺りが温まったことと、彼に暫く抱かれていたお蔭で腰の調子も随分とマシになり、このあとの予定について相手に尋ねるとやはり昨日の今日で少し調子に乗っているところがあるのかデートなど相手に提案してみて。)
そうか…?甘やかしてぇっつぅか可愛がりてぇっつぅか…こうしてたいのは確かにあるけどよ。
(甘えたになったと相手は言うが、そういった自覚は此方にないようで。むしろ深い交わりによって愛しさが増した相手を愛でたい願望が強く、耳から唇を離すときょとんとしたような表情で見つめながら今の心境を語り。強気な発言を耳にしてはクスリと小さく笑い、相手を抱く腕を片側だけ外せば、身を乗り出しテーブルに置かれたままだったカップに手を伸ばし。此方とて主導権を渡すつもりは毛頭無いと言わんばかりに「その時は下からお前をじっくり眺めててやるよ」クツクツと楽しげに喉奥で笑っては、冷めかけた珈琲を啜って。相手からのデートの提案は、彼の体調上今日はこのままのんびり過ごすのだろうと思っていた己へのサプライズのようなもので、隠しきれない嬉々たる感情を一瞬ながら表情に浮かばせるも、直ぐに意味深に口角上げ。「このままデートしてもいいけどよ…恋人らしく堂々と振る舞いたいなら、それなりの準備が必要だよな」と、態とらしく遠回しな物言いをしつつ、言葉の意味を伝えるように服の上から太股をゆっくりと撫でてみて)
ッ、ん…はっきり言えよ、馬鹿。何が言いたい訳?
(少しだけ体を相手から離し空になったマグカップをテーブルに置いた後再び相手を背凭れにするようにして体勢を戻し、一番恥ずかしいであろう行為を済ませて一晩とさして時間が経っていないからか中々崩れてくれない相手のペースに思わず苦笑を漏らして。マウントは本当にその内取ってやろうか、などとぼんやり考えていた所にさわさわと服越しに感じた太股への撫でるような手の感触に昨晩の行為を思い出してしまったのか僅かに身動ぎつつも相手の方を振り返ると、どうやらその言葉の意味が上手く受け取れなかったのか僅かに眉を寄せながら唇を尖らせ、不満を唱えるかのような口調でその真意を尋ねると然り気無く太股にある相手の手を軽くつねって。)
要するに“棗”になれって事だよ。それなら必要以上に人目気にする事もねぇだろ。
(此方を振り向く相手の表情の可愛らしさにふっと頬を緩め。つねられれば撫でる行為自体は止めるものの、手は太股に置いたままふてぶてしい表情を向けて。初めて出会った時、己を一目で魅了したその完璧な女装、また文化祭でのメイド姿も期待を裏切らない完成度で。鮮明に記憶に残るそれらが、思い出すたび己の胸を高鳴らせて止まない。緩やかに、しかし確実に速まっていく鼓動は期待を示しているようで、回していた片手にきゅっと力を込めれば「…なあ持ってんだろ、得意の女装グッズ。着せてやるから出せよ」と、高揚感からか何処と無く艶を含んだ声音で、随分勝手な要求をして)
ッお、ま!そんなの…お、俺が男ってバレたらどうすんだよ。俺だけじゃなく、お前だって恥かくんだぞ?
(相手の言葉に一瞬理解が遅れたのかきょとんと呆けた顔をしてしまうものの、言葉を飲み込むうちにどんどん顔を赤く染めていけば相手と少し体を離すようにくっついていた自身の背中と相手の胸板との間に腕を割り入れて。感情に任せて大声を上げてしまいそうなのを抑えあくまで冷静な声色を保ちながら異論を唱えると、今までこそバレなかったものの今度もバレない保障などない上デートの最中もしバレたとすれば自分だけでなく相手にも恥をかかせてしまうため、乗り気になれないらしく赤い顔を僅かにしかめ。「…ある、けど…そんな、人を女装癖みたく言いやがって…。」バレる問題も勿論だがそれに続いた相手の言葉も不満を煽る要因となったのか、不服そうにぼそりと呟きながらじとりと相手を睨むと断固拒否とばかりに相手から顔を逸らしてしまい。)
俺にとっては大した問題じゃねぇって前から言ってんだろ。むしろお前が俺のものだって周知出来るのは好都合でもあるしな。
(みるみる変化する相手の顔色も羞恥からか己と少しでも距離を取ろうとする仕草もいじらしく見え、己を煽る要素にしかならず。細やかな抵抗見せる相手を逃がさないとばかりに抱く力を少し強めながら幾度となく言ってきた事をしれっと口にし。相手の言動からしても、女装してデートという事が彼にとってどれだけ不服か伝わるものの、“じゃあやめるか”等と引いてやる優しさなど持ち合わせておらず。寧ろこの状況を楽しんでいるかのように瞳を細めて笑うと、「何だかんだ言いながら、しっかり持ってんじゃねぇか…どういう事だ?」軽く身を乗り出すようにすれば、背けた側からその表情を間近で覗き込み、意地が悪い言葉で責めて)
…お前と歩道橋で会ったあの時以来、何かっていうと友達に女物のワンピースやら髪飾りやら貰うようになったんだよ。あと、なんか文化祭で使った道具も女子がくれた。
(女装がバレるだなんてもっての他のはずなのにしれっと好都合などと漏らす相手に影響され始めたのかうっかり相手のものになれるなら、などと一瞬でも考えてしまった自分に恥ずかしさを覚えながらそんな考えを振り払うように小さく首を振って。まだ昨日の今日で本調子とはいかない状態で相手に抵抗できるなどと本気で思っていた訳もなく力強く抱かれてしまえば諦めたようにため息を漏らしながら体勢を元に戻し。いつの間にか集まってしまった女装道具の出所を沈んだような少しだけ低めの声で応えるとちらりと横目で相手を見て、それから顔を合わせないように背中を相手の胸板に預けたまま正面を見ると体を支えるように添えられた相手の手に自身の手を重ねながら囁くような声で「…お前が、俺のお願い聞いてくれるんなら…女装してやっても、いい。」などと呟き。)
>匿名様(>608)
(/ご忠告ありがとうございます。此方としても、いつかはこういったご忠告があるかとは覚悟しておりました。
しかし弁解をさせて頂きますと、此方のトピックはなりきりカテゴリーがまだ元ネタあり、一対一、オリジナルの3つに分かれる前から存在し、その再編成から漏れてしまったトピックなのです。そのためわざわざ一対一ではなくオリジナルにトピックを立てた、ということは決してありません。
しかしながらだからといって今更一対一へとトピックを立て直すということになりますと、今までのやり取りの記録を一度清算してしまうことと同意の状態になってしまいます。非常に勝手とは思いますが、私としては此方の主様とのやり取りを積み上げていく今のままでいたいと思うのです。
セイチャットの管理人様の編成に漏れてしまったという事実もあり、正直私個人は移動という手段を取りたくないと思っております。日に何度も上がって他のトピックの迷惑になっているということでもないと思うのですが、ご容赦頂けないでしょうか?)
>608様
(/ご指摘ありがとうございます。此方のカテゴリーに何故一体一のトピがあるかというのは原田本体様がご説明下さった通りなのですが、それを踏まえた上でのご指摘でしたら申し訳ありません。
移動すべきかと考えた事はありましたが、原田本体様もお話しのように、原田様とのやりとりを積み上げて来たこの場には思い入れがあり、誠に勝手な我儘ながら立て直してやり直す事を敢えて避けてきました。やりとり自体は数日に一度程のそう頻繁なものではないので、此方のカテの皆様のお邪魔になる事もないだろうと甘えさせて頂いた部分も確かにあったかと。不快な思いをさせてしまっていたのでしたら申し訳ありません。
原田様のお気持ちも大切にしたいので、このまま此方でのやりとりを続行する事をご容赦頂けたら…というのが本音です。ですが皆様のご迷惑になってしまうようでしたら、やはりこのままには出来ない問題ですので、今後どのようにしたら良いか原田様と相談して決めていきたいと思います。ご理解頂けたら幸いです。)
原田本体様>
(/匿名様への対応、ありがとうございました。自分も原田様と同じ思いです。しかし今後もこのようなご指摘があるとすればそのままに出来ない問題ですね…。ちなみにこのトピの過去の記録を残したまま別カテに移動というのは可能なのでしょうか?)
>上原様
(/トピックの移動に関しては正直私もきちんと全てを理解している訳ではなく、消えてしまうか残しておいてもらえるかというのは分かりません。
しかしやはりカテゴリーが違うというのはもっともですし、移動についても前向きに考えていかなければとは思います。
ここで提案なのですが、一度セイチャットの管理人様の方にカテゴリーを移動して頂けないか、またそれが不可能だった場合現行のトピックを消さずに残して頂けないか意見させていただくというのはいかがでしょうか?それまでは一先ず下げ進行にてトピックを上げてしまわないよう善処する、という方針でこの問題を解決できるのではと考えています。)
それはオリキャラなりきりのルールを守っている方に失礼では?
自分たちがどれだけ頻繁にレスを上げていなくても、複数人でなりきりを楽しむ場で1対1のなりきりをされると、ルールを守らない人も増えてきます。
迷惑にはならないかもしれませんが、掲示板やチャットではその場に合ったトピを作るのが当たり前です。
あなた達が楽しんでいてても、他の方は迷惑しているかもしれません。
私にはそんなこと分かりませんが。
自分たちだけで楽しみたいなりきりなら、1対1でなりきりを楽しんでください。
此処は「複数人でなりきりを楽しむ場」です。
確かに事情が事情だけにあなた達の言い分もわからなくは無いですが上の方が言うように一つ例外を認めてしまえば、また他の例外、またまた他の例外まで認めなくてはいけなくなり、キリがなくなってしまうと私は思います。
秩序というものはみんなが守って初めて守られるものではないでしょうか?
>612、613様
(/忠告恐れ入ります、内容はもっともであり私達もこのままこのカテゴリーに居続けるのは得策でないと理解しております。現在トピックのカテゴリー移動が可能か此方で問い合わせをさせて頂いている状態です。カテゴリーのルールに反してしまっているのは重々承知しておりますが、せめて問い合わせの回答がくるまで待っていただけませんでしょうか?)
何度も匿名の書き込みが続いてしまい申し訳ありません。お邪魔致します。
お知らせの「2013年7月26日:【なりきりセイチャット】をオープンしました」http://www.saychat.jp/bbs/thread/351049/という記事に
「また、トピックのカテゴリーの移動のご希望につきましては
トピックタイトル横の通報ボタンの方からご依頼ください。
移動したい先のカテゴリーをご指定頂ければ、
担当の方で随時、トピックを移動させて頂きます。 」という記述がありますので、たぶん移動を依頼すれば内容を残したまま移る事が可能だと思われます。
新たに立て直しをする以外は運営さんのレスポンスを待つしか方法がないので、私含む匿名さんはこれ以上意見するのは控えた方がいいのではないでしょうか。
>612様
>613様
(/ご意見ありがとうございます。お二方が仰る通りでございます。なりきりを楽しんでいく上で、これも守るべき一つのルールなのだと改めて気付かされました。今回ご指摘を受け、自分達もこの件に関ししっかり向き合っていくつもりです。現在一対一への移動について依頼させて頂いております。無事移動完了するまで下げ進行にさせて頂きますので、大変恐縮ですがもう暫くお時間を頂きたく思います。
今回、私の勝手な発言で不快な思いをされた皆様にはお詫び致します。大変申し訳ありませんでした。改めましてご意見ありがとうございました。)
>615様
(/ご丁寧にありがとうございます!早速運営側の方に移動についての問い合わせをさせて頂いているところでございます。ご親切、心から感謝致します。)
>原田本体様
(/匿名様へのご対応、ありがとうございます。自分の発言でここまで事を大きくしてしまい、原田様にまでご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした。
現在、一対一への移動の件で此方も問い合わせている最中です。内容を残した上での移動依頼をお願いしてみましたが、万が一希望の形にならなくても今までと変わらないお付き合いをして頂けたら幸いです。この件が落ち着くまで、本編のお返事は控えさせて頂きますね。いつもありがとうございます。)
(/移動が完了したようで安心しました、匿名様もご忠告及び移動した旨のお知らせありがとうございます。
さて、此処から先は上原様宛の内容とさせて頂きます。今回の件は上原様の発言に始まった問題ではなく、オリジナルカテゴリーに居ながら移動をすることなくこれまで居座ってしまった私達二人の責任だと考えています。ですから、此方こそ上原様をこのような事態に巻き込んでしまったことを申し訳なく思います。
移動はトピックをそのままカテゴリーだけ編成し直すだけにとどまり、今回の問題は解決しました。しかし、この期に上原様にお伝えしたいことがございます。
なりきりという性質上突然の別れ等が多い中、こうして長くお付き合いさせて頂いていることを大変嬉しく思っています。出会いからもう何年と経ち、それでもいつも新鮮な気持ちを与えて下さるお相手様に出会えたことは私にとって大きな幸運だったと感じています。ですから、もしこれから過去のような掲示板の問題や今回のような事態に直面しても、私はずっと貴方様のお相手をさせて頂きたいです。今回こそ希望通りになりましたが、もしそれが希望通りにいかずともこの思いは変わらなかったでしょう。
正直自分でもなりきりで此処までくると気持ち悪いな、と自嘲するような感情ですが改めて伝えさせて頂きました。これからも、どうぞ末永くよろしくお願いいたします。
なんといいますか、恥ずかしいことをつらつらと長文にて失礼しました;それではお返事お待ちしてますね!)
(/上記ですが、完全なる自己満足の塊ですので本体によるお返事は不要です。というか、かなり熱く語ってしまい恥ずかしいのでさらっと流し読み程度で収めていただければと思います;;)
(/無事移動が完了したようで安心しました。今回ご迷惑をお掛けした皆様には改めてお詫び致します。そして貴重なご意見、どうもありがとうございました。今後もマナーを守りながら楽しく活動していきたいと思っております。)
>原田本体様
(/返事不要との事でしたが…此方も改めて本体様にお伝えしたい事がございます。
主という立場として、今回の件はカテゴリー分けの際にご相談させて頂くべきでした。申し訳ありません。どちらからもその旨の話が出なかったのは、同じ思いがあったからかもしれないと、今回本体様のお話を聞いて改めて感じ、嬉しく思ってしまった事も事実です。
長いお付き合いをさせて頂いている事、此方こそとても感謝しております。出会ってから長い月日が経つというのに、実際キャラ同士が結ばれたのはこれが初めてなんて、何だか不思議な感じがしますね。初めて出会った時から本体様が動かすキャラの雰囲気や表現力、ロル等に惹かれ、尊敬すると共にずっと気に掛けて来たわけですが……その間の事をこれ以上晒すと流石に引かれてしまうと思いますので割愛させて頂きますね(笑)まだ話していない事があるだけで、本当に気持ち悪いのは此方ですから。
例え離れても、なりきりを続けている限りまた何処かで会えるだろうと信じていた部分もあったのかもしれません。こうして貴方と再会し、貴方のキャラと絡める事は本当に幸せな事だと思っております。今後も原田本体様の活躍を期待すると共に、末長いお付き合いをして頂けるよう努力したいと思います。
長々とすみません、此方こそ返事は不要ですので。なるべく早目に本文をお返し出来たらと思っております。いつも遅い返事を待っていて下さってありがとうございます。そしてごめんなさい。では失礼しますね。)
ふぅん…まあお前の女装はそう簡単にはバレないと思うぜ。それに――…何だかんだで俺達の事は隠しておいた方が賢明かもな。他校の奴等にバレたら少し厄介だ。
(以前から所持さしていたのであればからかってやろうという気でいたが、それらしい理由を添えられてしまえば納得せざるを得なかったのか出来たのか相槌を打つだけにとどめ。何処か中性的で綺麗に整った元々の顔立ちに加え、その見事なまでの完成度の高さからいってもそう簡単に男だとバレる事はないだろう。現に己はそんな彼の女装姿に何の疑いも持たず一目惚れしてしまった程。しかし仮にバレて自分達の関係を公表したとして、校内の大抵の生徒達は黙らせられたとしても、他校の所謂柄の悪い連中はどうだろうか。文化祭の時のような己を良く思わない連中に相手が目をつけられてしまえば、相手を危険に晒す事になる。そういった危険も踏まえると、やはり関係性は伏せておくべきかもしれないと思い直し。あれこれ危惧していると、不意に何処と無く躊躇うような控え目な声音で“お願い”との声が掛かり。重なる手の温もりを感じつつ不思議そうに瞬きすれば「…何だよ、改まって。言ってみろ」と、後ろから相手の肩に軽く顎を乗せるようにして柔らかな響きで返し)
(/誤字だらけだったので修正しますね。申し訳ないですorz)
ふぅん…まあお前の女装はそう簡単にはバレないと思うぜ。それに――…何だかんだで俺達の事は隠しておいた方が賢明かもな。他校の奴等にバレたら少し厄介だ。
(以前から所持していたのであればからかってやろうという気でいたが、それらしい理由を添えられてしまえば納得せざるを得なかったのか相槌を打つだけにとどめ。何処か中性的で綺麗に整った元々の顔立ちに加え、その見事なまでの完成度の高さからいってもそう簡単に男だとバレる事はないだろう。現に己はそんな彼の女装姿に何の疑いも持たず一目惚れしてしまった程。しかし仮にバレて自分達の関係を公表したとして、校内の大抵の生徒達は黙らせられたとしても、他校の所謂柄の悪い連中はどうだろうか。文化祭の時のような己を良く思わない連中に相手が目をつけられてしまえば、相手を危険に晒す事になる。そういった危険も踏まえると、やはり関係性は伏せておくべきかもしれないと思い直し。あれこれ危惧していると、不意に何処と無く躊躇うような控え目な声音で“お願い”との声が掛かり。重なる手の温もりを感じつつ不思議そうに瞬きすれば「…何だよ、改まって。言ってみろ」と、後ろから相手の肩に軽く顎を乗せるようにして柔らかな響きで返し)
ーー…やっぱいい、止める。…女装も、しない。
(お願いの内容が内容だったのか、先に相手が口にした言葉に何かを言いたげにはくはくと口を緩く開閉するもののすぐに諦めたように唇を結べば視線を落とし。自分だって女装がバレたい訳じゃないものの、口にしようとしたお願いは一歩間違えれば自分が男だと知らしめる要因になりかねないもので。しかしそれでも相手がこれだけ女装を切望しこれだけそのクオリティーに太鼓判を押してくれるなら、と心を決めて思いを言葉にしようとしただけあって反動的に気持ちは一気に沈んでしまい。小さな声でお願いの件は勿論女装の件まで一方的に無しだと言い返せば自分でも幼稚だと感じつつも収まりきらない思いをどうにか消化しようとするように表情を歪めて。)
あ?何だよそれ…わけわかんねぇな。
(相手の我儘なら可能な限り聞いてやりたいと日頃から思う。より深い関係になった今、ますます愛おしさが膨らみ尚更そう思うのに。自分でもくすぐったくなる程甘い声音で問い掛けたつもりが、返された意外な言葉に疑問符が浮かび、眉を寄せながら相手の肩から顎を外し。何か不味い事を言っただろうかと己の発言を振り返ってみるが、その“お願い”が何なのか分からない以上、己のどの発言が彼の考えを変えさせてしまったのか分からず。それでも急に元気がなくなった事は明らかで気になって仕方なく。己の手に重ねられた手を上から握り、相手の頬に頬を寄せれば「なあ椿…、俺にして欲しい事あったんだろ?…聞かせろよ」聞きたいという懇願も込め、極力優しげな声色で囁いて)
ーー…女装してる時も、ちゃんと"椿"って呼んで欲しかった。…お前が散々バレないだのバレても構わないだの言うから…それならって思ったのに、でも他校にバレるのは気を付けようとか言い出すし…俺の覚悟返せ、ばか。
(案の定困ったような様子を見せる相手にも悪いなどと思うことはなく、むしろ八つ当たりじみた"ざまあみろ"などという言葉が口から零れそうになる程で。ただそんな考えも相手の懇願するような言葉の前では無力なのか頬に触れ合った心地よい感触に暫し考え込むものの結局ほだされ思いを吐露する決意を固めると、一度するりと相手の腕から抜け出し。相手と向き合うように立ってから不機嫌そうにしかめられた表情を隠すように今度は正面から相手の膝に乗り上げ顎を相手の肩に乗せてから背中にぎゅっと腕を回し。甘えたようにすり、と微かに相手の首筋に頭を寄せてからもごもごと歯切れの悪い口調で言葉を告げるとそのまま大して感情も入っていない声で"ばか"という罵りを繰り返して。)
何だよ、そんな事か…。名前くらい幾らでも呼んでやるよ。
(彼がそれを口にするのは彼なりに覚悟が必要だった事は態度から窺えて。しかし改まっての願いとはどんな事だろうかと興味と期待で一杯だった為、可愛らしいその願いに拍子抜けし、ついついクッと小さく吹き出してしまい。こういった事にこだわる辺りが相手の可愛いところだと思うと共にまたも愛しさが湧き、甘えるように抱き着いてくる相手の髪を撫でてやり)
――確かに簡単にバレるとは思ってねぇし、バレても構わねぇ。ただ…お前も薄々感じてるだろうが、俺は他校の連中から嫌われてるからな。万一お前が目を付けられたら、お前を危険な目に遭わせちまう。勿論、お前は俺が守るけどよ。
(頭を撫でていた手を緩やかに止め、ぎゅうと強く抱き締めては少しトーンを落とした声音で、先の発言について説明し。相手が何であろうと腕の中の大事な存在を守りたい思いは強くあるが、守りたい存在など持ったことがない故、大事なものを危険に晒すかもしれないという可能性が不安や恐怖心にも似た感情を起こさせ。そんな感情が相手に伝わってしまわないように一度ゆっくり瞬きした後、すぐ隣にある相手の頭に唇寄せては「学祭の時みたく怖がらせたくねぇんだよ。お前、泣き虫だしな」と、ふっと柔らかく笑み)
…ばか。何が守るだよ、ふざけんな。俺だって男なんだから自分の身くらい守れるし、お前と付き合ってる時点でそのくらいの覚悟出来てんだよ。
(相手が所謂不良と言われるものに分類されることなど歩道橋で出会うよりも前から知っていたことで、そのくらいの覚悟は付き合う上でとっくの昔に出来ていて。それよりなによりまるで自分を女か何かのように守るなどという相手がどうにも癪で、頭に寄せられた唇を拒むように相手の頬を片手でぎゅっと掴めば少しだけ鋭さのある不機嫌そうな様子で見つめて。自分はそんなに脆くはないと、暗にそう伝えるように言葉を紡ぐと頬を掴んだ手を離すと同時に軽く触れ合う程度の口づけを相手の唇に送り。口付けてしまった恥ずかしさが襲ってこないうちにさっさと相手の膝の上から退くと腕を伸ばしながら相手に背を向け「…まあ、その…なんだ。名前のこと約束したし、女装してやる。…そこ、部屋の隅っこにある段ボールに適当な服入ってるから、お前の好みのやつ選んで。」などと告げると約束は約束としてきちんと果たすつもりらしく女装の準備を始め。相手に指示を出してから紙袋に雑に入れられていたウィッグを引っ張り出すと、それを持ったままそそくさと部屋を出ていき。)
――……男だろうが女だろうが、大事な奴を守りたいと思って当然だろうが。
(そそくさと退室する相手を視線で追った後、一人取り残された部屋でぽつりと呟き。己が想いを打ち明けてから、相手がどれだけ己の事で悩んできたかはこれまでの彼を見ていても分かる。所謂問題児で同性でもある己を受け入れるのに、彼なりに相当な覚悟や決意をしただろうという事も。先程の言動からするに、言葉の意味を多少取り違えて不機嫌になっただろう事は窺えるも、此方にも譲れない思いというものはある。小さく息を逃すと、示された段ボールに視線を向け、そちらに手を伸ばし引き寄せて。箱の中にある幾つもの女物の洋服の中には、明らかに彼の女装を楽しんでいると思われる物も多く、彼の友人であるあの騒がしい連中が彼に着せようと選んだかと思うと無性に苛ついてきて。アイツ等後で脅してやろうかと本気で思いつつ、不機嫌そうな面持ちで服を選び)
ーー服決まったか…って、なんつう顔で選んでんだよ。…女装しろっつったのお前だろ、なんか不満な訳?
(散々させられてきた女装もそろそろ手慣れてきてしまったのか今日はどんな髪型にしよう、などと考えてしまった自分に気付くなり思わず頭を抱えて。徐々に侵されているような気がしつつも相手を待たせているためさっさと準備に取り掛かれば、髪の長いかつらを今日は緩い三つ編みにして縛った部分をリボンで飾り、母のメイク道具を拝借し男と分からない程度にナチュラルなメイクを施して。それから自室で待つ相手の元へと戻ると真っ先に飛び込んできたのは相手の不機嫌そうな表情で。正直彼が何を不満に思っているかなど見当もつかず困ったように眉を寄せるとその傍まで歩いていき。)
…何なんだよこれ。あの連中の趣味丸出しのもんばっかじゃねぇか。椿、お前…まさか奴等にご披露してやったのかよ。
(暫くして部屋に戻ってきた相手は髪型やメイクだけでも十分その辺の女性より綺麗で可愛らしく、己の心臓をドキリと跳ねさせるも、独占欲や嫉妬混じりのもやもやとした感情が薄れる事はなく。趣味だけでなく下心さえ含まれているのではと疑っても可笑しくない、所謂コスプレに分類されるような衣装を不機嫌そうに片手でつまみ上げては若干乱暴に戻し。眉間に皺を刻んだまま相手にじとりとした視線を向け問い質しながら、その中でも外出に使えそうな服のみ一通り取り分けて。手にした服と相手を交互に見、少し思案するような仕草を見せながら選んでいたが、「…この辺が妥当だな」やがて相手に押し付けたのは、ノースリーブで膝丈程の白のチュールワンピースと、後ろにリボンをあしらったベージュピンクのニットという甘めなもので)
んな訳あるか。そもそも、お前が嫌がると思ったからあいつらの前ではお前と会った時と昨日の文化祭でしか女装なんてしてねぇよ。…俺、結構信用なかった訳ね。
(明らかに機嫌の悪い相手がつまみ上げた所謂コスプレ衣装には正直此方もあまりいい感情は浮かばないらしく思わず苦い表情をするものの、続く相手の言葉に心外だとばかりに声を上げると少しだけ拗ねたように唇を尖らせて。勿論女装を進んでやる意思などないことは大前提だが、此方とて想う相手がいるというのに彼が気に入っているらしい女装姿を例え同性の友人だろうと易々見せるつもりなどなく、そうしてどうにか避けてきたことを疑われたことに不満と少々の悲しみが募ってしまい。ぶっきらぼうな言い方で応えてから相手より受け取った服と段ボール箱を抱えるとベッドの方まで歩いていき、相手に背中を向けるような方向でベッドの縁に座ってからばさりとトレーナーを脱ぎ去れば相手の方には視線をやらないまま「…着替えるから、あんまこっち見んなよ。」とだけ呟き着替えを始めて。)
そうじゃねぇよ。そうじゃねぇけどよ…。お前…あいつ等と仲いいじゃねぇか。
(反論して来る相手の声が悲しみの色を帯びている事に気付けば、返す言葉に思いの外熱が入り。信用してるとかしていないとかないとかそんなんじゃない。ただ、相手と彼等との間に信頼関係が築かれている事を理解している故、相手が彼等のリクエストに応える事は自然な事なのかもしれないと思ってしまう。そんな負の感情から思わずぽつりと溢れた言葉は自分でも戸惑う程酷く稚拙なもので。拗ねているとでもいうようなそんな発言に忽ち羞恥に駆られ、小さな舌打ち洩らしてはふいと顔を逸らし、羞恥に堪えるように視線を伏せて。そんなきまり悪さの中、此方を見るなと告げる相手から最初は顔を逸らしたままでいたが、やがて着替え中に生じる小さな音が耳に届く頃には平静を取り戻しつつあり。此方に背を向け着替え中の相手の背を少しの間眺めていたが、不意にそっと近寄れば「…全部見たのに今更なに言ってんだよ。見てて欲しいってことか?」と、背後から覗き込みながらデリカシーない一言を掛けて)
ッうわ!?…お前が化ける真っ最中見てても気分萎えないなら、俺は別にいいけど?
(男同士という問題に一度は悩めども結局転がり落ちる形となった自分を、もしや他の男でもイケるような所謂尻軽として相手が見ているのではと勘ぐってしまい少しばかり気分が落ち込んだものの、耳に届いた相手の半ば拗ねたような言葉に自分の考えが誤解だったことを知ると同時にうっかりきゅんとときめいてしまい。思わず緩みそうになる口許をぐっと堪えながら、先程のことは一先ず着替えを済ませてから謝ろうと思い着替えのスピードを早め。ところが偽胸のパッドが入った下着を着用するのに思った以上にてこずってしまい困ったように首を傾げてから背中を見ようとしたところ、丁度此方を覗きこんできた相手とばっちり視線がぶつかってしまい思わず驚きの声を上げ。女の化粧の最中と同じく今の自分は正直人に見せられる姿ではなくて、羞恥心云々よりそちらの感情の方が強いのか苦笑混じりに相手のからかいをかわすと寧ろ好都合とばかりに「あ、背中のホックつけてくんないか?なんか上手く引っ掛かんなくてさ。」などとお願いを口にして。)
萎えるも萎えねぇも…女装したお前だけが好きなわけじゃねぇだろうが。
(相手の心境はどうであれ、そんな事を気にする相手が可愛くも可笑しくも思え、口元に控え目な笑みを浮かべながら言われた通り背中のホックに手を掛け。その間、ふと彼の肩に残ったままの赤い痕に視線が向かえば、狂おしい程の愛しさの中幸福感に満ちた昨夜のひとときが思い出され、トクンと胸が鳴って。ホックを器用に引っ掛けた後、着替えを遮るように後ろから腕を回し抱き締めては、相手を見詰め愛しそうに笑み、心情を語る事なく柔らかく唇を食むように口付けてゆっくり離し。「――…愛してる」至近距離を保ったまま告げた言葉は、昨夜も幾度となく伝えたもの。こうして相手を見つめ、触れているだけで自然と溢れるようになってしまっている事実にまたひとつ愛が膨らんだ事を感じ、温かな気持ちに包まれて)
ッ、…お、れも…愛してる、よ…。
(背中でホックが掛かったのを感覚で察知し礼を言おうかと顔を相手の方に向けようとした時、動きを遮るように体に回された腕の感触を感じたかと思えば目前で微笑む相手と目が合って。その意味を考えるよりも早く優しく触れ合った唇に思わず呆けた顔をしてしまうものの続く愛の囁きにじわじわと羞恥に顔を染め、戸惑ったように視線を暫し揺らした後こつんと軽く額を合わせるようにすると恥ずかしさから伏せ目がちになりながらも小さな声で相手に囁き。相手からの言葉を聞くだけでも十分恥ずかしかったというのに自分からのお返しも重ねてしまえば平常心でなどいられるはずもなく、真っ赤に染められた頬を隠すように腕を振り上げがてら拒否、というよりはやんわりと逃げるような素振りで相手の腕を外すと「…も、ほんとに着替えるから…そういうの、ちょっと待って…。」などと呟いてからかばりと相手の選んだニットを少々雑に頭から被って。)
わかった。
(こうして見つめ、口付けや愛の言葉を贈ってからの彼の恥じらいや何処か嬉しさが滲む初々しい言動が彼への愛しさを膨らませる。思いのまま愛でてしまいたくなる衝動をどうにか鎮め素直に相手から離れれば、近くのベッドに腰を下ろし相手が着替える様子を大人しく眺め。男を魅了してしまうどころか、その辺の女達まで羨む程の容姿を持つ彼が一人っ子だという事を思い出し、彼の幼い頃をふと思う。「…お前、ガキの頃親に相当可愛がられただろ。こんな風に女物の服着せられたりしたんじゃねぇの」今も両親に大切にされている事が窺える相手、幼い頃は余程だったのではないかと、改めて相手に見入りながら頭に浮かんだ事を何の気なしに口にして)
…俺、産まれるまで女の子だと思われてたらしいんだよなー…。
(ニットを被ってから相手に渡されたスカートがワンピースタイプのものだったことを思い出すと間違ってしまった恥ずかしさのようなものを僅かに感じながらワンピース、ニットの順に着直して。ニットの裾をお腹の辺りまで下ろしてからほっと息をついたとき相手からの問い掛けがあり、少しだけ間を置いてから無言の肯定とばかりに深い溜め息をついて。ゆっくりとベッドに腰掛け直し寒さ対策にと用意してあったタイツを足先からするすると履いていくと、その最中漸く黙りっぱなしだった口を開き半ば言い訳のような、それでも言い訳にすらなっていないような余談を呟いて。話し終わる頃にはタイツも履き終わり、ベッドから立ち上がって少しだけ居心地が悪そうに自分の格好を見つめながらくるりと一度回ってみると待たせていた相手に視線を向け。「…どーですか。」散々繰り返した女装と言えど相手が選んだ服を着てこのままデート、というシチュエーションが照れ臭さを増させるのかほんのりと頬を染めながら表情を固くするとぶっきらぼうな問い掛けと共に緩く首を傾げて。)
(/貴方は本当に上原様ですか?なんの意図があるかは分かりませんが、私は貴方が上原様であるようには思えません。上原様であれば、例え私との関係を切る際であっても必ずきちんとお話ししてくださるはずだと思っています。悪戯か何かなのであれば、このようなことは止めてください。)
(すみません、あなたには私よりもっとお似合いで、幸せにしてくれる人がいると思ったからです。
正直いいますと、いろいろ疲れました。他の人と幸せになってください、お願いします
(/やはり貴方は上原様ではありませんね。上原様の文体とは書き方が違います。もしそれでも上原様の名を語るのでしたら、私と上原様の出会った場所について、上原様があの頃慕っていた方についてお答えください。
どんな理由に基づく悪戯であっても、こういったことは流石に傷つきます。もし私が貴方を何かの理由で傷つけてしまったようなことがあったのなら、こんなやり方ではなくきちんと仰ってください。そうしていただければ、私もそれ相応の対応をさせて頂きます。ですから、こうしてお相手様に迷惑をかけるような悪戯はやめてください。)
(文体などいくらでも変えられます。あなたに恨みなんかありません、あなたが大切で、愛してるからこそ幸せになってほしいのです。わかりませんか?ずっとあなたを見てきたんですよ。あの頃からずっと。あなたと出会ったのはここではないです。あの頃の私のお相手の名前は、すみませんがいえません。あの方も見ているかもしれないからです。あなたとは違うタイプの人でした、とだけ言っておきます。)
(/文体は確かに変えられるでしょうが、ここでそれを変える意味がどこにあるでしょうか?上原様が上原様として、この場で私に別れを告げるのであればいつも通りの文体で書くでしょう。
私の質問を濁すだけで答えようとしないことからも信用する必要はないと感じます。昔のお相手様のことを引き合いに出すのでしたら、私と上原様が出会った掲示板の名前、そこでの私と上原様のいた場所の末路をお答えいただけますか?貴方が本当に上原様だと言い張るのなら、答えてくださいますよね?
私と上原様の関係を断ちたいという貴方の意思は分かりました。しかしそれならそれでこんな悪戯めいた、上原様を損なうようなやり方ではなくきちんと理由をお聞かせください。)
(/このような事になっているとは知らず、対応が遅くなり申し訳ありませんでした。
まずは原田様、今まで書き込みをされていた方が自分ではないと信じて下さり有難うございました。とはいえ、突然の事にさぞ驚かれた事と思います。自分がすぐに気付いてさえいれば原田様を傷付ける事も無かったのだろうと思うと、悔しさと申し訳なさで一杯です。どうか自分が今まで原田様にお伝えして来た言葉を信じて下さい。大丈夫ですから。
そして今回上原の名を名乗られた方。貴方様の意図は恐らく自分達の関係を断とうというものですよね。文面を拝見する限り原田様に好意を持たれている方なのではないかと推測しますが、貴方様のされている事は原田様を傷付けるだけです。原田様の相手が自分のような者である事、また原田様への対応にご不満がおありでしたら、どうぞ遠慮なく仰って下さい。ご意見としてしっかりと受け止めさせて頂きます。ですが、貴方様がもし本当に原田様を想い幸せになって欲しいと願うなら、原田様を苦しめるような、こんなやり方をしないで頂きたい。
原田様には他のトピでも楽しむ権利があります。自分は原田様を大切に思うと共に、原田様が他トピでも楽しく過ごせますよう願っております。もし貴方様がこの先何処かで原田様と出逢う事があったとして、また原田様がどなたかと絡んでおられるのを見掛けたとして、その時はどうかこんな事をなさらず原田様を大事にして差し上げるなり温かく見守るなりされて下さい。どうかお願いします。)
>上原様
(/お忙しい身にも関わらず迅速な対応ありがとうございました。貴方様ではないと分かってはいましたが、状況が状況でしたからやはり少し不安な部分もあり、こうして早々にお返事が頂けたことで精神的にかなり助けられました。今回の件はお互いに非などなく、第三者の介入によりこじれてしまっただけのことです。ご自分を責めないで下さいませ。こうしてお言葉を頂けただけで嬉しかったですから。
お疲れの中こうしてフォローして頂きありがとうございました。お返事お待ちしていますので、そちらの余裕のある時にでもお返し頂ければ幸いです。決してご無理はなさらないでくださいね。)
まあ、今となっちゃどっちでもいいんだけどな…お前なら。
(余談を語りながら着替える相手に、何処か幸せそうな笑みと眼差しを向けながらそんな本音をぽつりと溢して。やはり気恥ずかしさがあるのか、何処と無くぎこちなさを滲ませながら普段とは違った姿をお披露目する相手が何だか無性に愛しく、沸き起こる独占欲に思わず目を細め。「…可愛いよ。」ベッドに腰かけたまま、若干見上げるような形で短くも率直な感想を微笑みと共に伝え。相手に向けたままの瞳を心なしか切なげに微かに揺らしたかと思うと、不意に相手の腕を掴んで引き寄せて)
――…あんまり可愛くて、外に出したくなくなるじゃねぇか。
(ふ、と口元緩めながら冗談ぽく口にするものの、胸を刺すような独占欲にじりじりと喉を焦がされる気さえして。今やすっかり依存してしまった腕の中の温もりと感覚に縋るように、きゅうと力を込め)
(/返信が随分遅れてしまい申し訳ありませんでした…!一先ず落ち着いたようで良かったです。改めましてこれからも宜しくお願い致します。)
…それじゃあ、何のために着替えたのか分かんなくなるだろ。
(いつの間にか本心から嬉しいと感じるようになってしまった相手からの"可愛い"の一言に少しだけ照れ臭く感じつつも嬉しさに胸の辺りがほわんと温かくなるような感覚を覚え、口許に笑みを浮かべ。そんな中不意に伸びてきた相手の腕に引かれるまま腰掛けた相手の足の間辺りに収まるようになりながら相手に抱かれれば、その一瞬こそ驚けど続いた相手の言葉に思わず軽く吹き出して。あやすような手つきで相手の頭を優しく撫でてから少しだけ困ったような声色で呟きを漏らすと僅かに相手と距離を取り、顔を合わせるような体勢でそっと相手の両頬を手で包み込むようにして。)
…俺は、お前みたいな格好いいのが俺のものだって他のやつに見せつけたいんだけど?
(/お疲れ様です、此方は正直いくらでも待てますから大丈夫ですよ^^色々と問題がありばたばたしましたが、こちらこそこれからも末長くよろしくお願いいたします!)
…今、ガキみてぇな事言ってると思ったろ。
(何が面白かったのか吹き出す相手を不思議そうに見つめるも、まるであやすように頭を撫でてくるその手と、彼の困ったような声色から、己の言動がいかに子供じみたものだったか教えられたようで、羞恥に熱が顔へ集中するような感覚を覚え。頬を包まれたまま眉間に皺寄せ抗議するも、睨むというような勢いはそこになく、どちらかと言えば羞恥に堪えるような困惑の色を浮かべており。“見せつけたい”、そう述べた相手の気持ちは己にとって嬉しいもので。嬉しさがだらしなく表情に出てしまう前に相手の両手を掴み、己を包み込むそこから逃げるように視線を外せば「…行きてぇとこ、あんのかよ」と、未だに不貞腐れたような表情で呟くように訊ね)
…ん、可愛いこと言ってるなーと思ったかな?
(うっかり吹き出してしまったことが相手の気に障ってしまったのか、羞恥を堪えているような表情すらも惚れた欲目があるにしても妙に可愛らしく見えてしまい、緩く首を傾げながら返答をし。拗ねたような素振りをしていても長い時間共に過ごしていることもあり相手が多少なりとも自分の言葉を喜んでくれているだろうことは何となく分かり、手に重ねられた相手の掌の温かさに頬を緩め「どこでも良いよ、和瑳と一緒なら。でも…そうだな、出来ればあんまり虐めるような場所は止めて欲しいかな。」などと返しながら、女装で向かうという条件上あまり此方が恥ずかしくなってしまうような、所謂女物の服屋やらといった類いは避けたい旨を告げ。)
さすがに外では苛めねぇよ。…けど、出掛けるとは思ってなかったからな…どうするか。
(不貞腐れた様子で視線を逸らしていたが、返って来た言葉は恰も自分が相手を苛めてばかりいるように受け取れる上、相手も相手で案外真面目に発言したと思われ、込み上げる可笑しさに思わずふっと頬を緩めて。昨夜の今日で相手が動き回るのは苦痛だろうと思っていた為、デートという提案自体想定外で、行き先について悩んでしまい。彼の言うように“一緒なら何処へでも”という意見に加え、“一緒に居られるならそれでいい”と、まるで恋する乙女のような思考に到ってしまう自分が酷く滑稽で、相手に視線を戻しては難しい表情で見つめ。考えてみれば人付き合いという面倒なものを避けて来た自分が、気の利いた場所など直ぐに閃く筈もない。こういう場ではリード出来そうもない自分の情けなさと格好悪さに、変に高いプライドからいよいよ堪えきれなくなり。顔を隠すように相手を抱き締め肩に顔を埋めれば「……わかんねぇよ、クソ」と、悔しさ滲ませながら拗ねたように呟いて)
ーーじゃあ、"棗"だった時にデートした喫茶店はどうだ?あそこのまわりそれなりに店あるし、行ってから適当にぶらついても楽しそうだろ?
(自分もそうだが校内外問わず不良で通っている相手にデートに行くなら、などという気回しは難しかったのだろう。拗ねた風な呟きと共に顔を隠す仕種から彼の内情が何となく読み取れてその微笑ましい様子と女性関係に疎いらしいことが読み取れたことに緩く口許を緩めると、肩に顔を埋める相手の髪に頬を寄せるようにしながら軽く抱き返して。こちらも少しばかり考えてから、かつて脅され半分に決行された喫茶店デートのことを思い出したらしく再度そこへ赴くことを提案するとそれほど昔であることでもないのに何だか懐かしい思い出にくすりと笑みを溢して。)
――わかった。
(半ば無理矢理相手を誘い出したあの喫茶店が候補として思い浮かばなかったわけではない。彼からの提案は今の状況への助け船、そして“前回のデートと同じ場所を指定したらがっかりさせるだろうか”と、少し難しく考えてしまっていた己を安心させるという二重の効果があり。相手の優しさが滲む言動に胸の奥が温まるような感覚を覚え、心地よい温もりを腕に抱いたまま素直に承諾の意を見せた後、そっと相手から離れ正面から改めて見つめては漸くふっと柔らかな笑みを浮かべ。「椿…」愛しげな声音で自然とその名を口にしたかと思うと軽く唇を重ねて。再度見つめ直せば「…じゃあ、早速行くか」と声をかけ)
…ん、行く…。
(此方も提案こそしたものの前回と同じ場所、という部分に若干の不安を抱いていたものの相手の承諾にほっと息をつけば漸く離れた相手を見つめ返して。どうした、とばかりに首を傾げようかと思ったところで相手に名を呼ばれればそのまま軽く唇を重ねられ、驚いたように瞬きをした後きちんと立ち上がり直しながら口許を押さえ。先程まで拗ねていたはずの相手からの不意打ちに思わず顔を仄かに赤らめ気まずそうに視線を揺らすと小さな返事と共に明らかに照れてしまった顔を隠すように相手に背中を向けて。)
お前のその反応…可愛い過ぎんだよ。
(背を向ける直前の相手の反応と表情の可愛さに思わずくすりと笑みが零れ。此方からの不意な口づけにいつもこんな反応をくれる相手が愛しくて堪らず、口元を緩めたまま何処かじゃれるような調子で後ろから抱きしめ、素直な感想をそのまま耳元で囁いて。まさか自分がこんな風に他人とべたべたするなんて以前は考えられなかったものの、相手に関しては片時も離したくないという思いが強く働いてしまって。腕の中の愛しい存在をなかなか手放せず頬に擦り寄るも、名残惜しそうに目尻に口づけを落とした後そっと解放してやれば、笑みを浮かべたまま部屋の外へ向かおうと顎で促して)
ッ…あんま、調子乗んな…ばか…。
(此方が照れてしまっていると分かった上でしているのか、そんな羞恥心を更に煽るような相手の行動にぎゅっと瞳を閉じたまま耐え抜くと相手が離れるなり少しばかり大袈裟に距離を置き。相手の行動が嫌だったという訳ではなく、一応此方も男としてのプライドからやられっぱなしで女のような扱いをされるのは不服なようで、赤く染まってしまった頬に両手を当てながら若干睨み気味の視線を相手に送り。鞄を少々乱暴に引っ提げ、相手の横を過ぎながら小さな呟きと共にそれなりに力のこもった拳で肩を小突くと相手よりも先に部屋を出て玄関へ向かい。)
……そんな顔見せられたら調子にも乗るっつの。
(此方に向けられるのは、抗議を訴えるかのような不服そうな視線。しかし紅潮する頬を隠すような仕草が愛おしさを煽り、どうしても“可愛い”と感じずには居られず。肩にくらった攻撃は確かに男の力そのものなのに、ただただ無性に沸き起こるのは“守りたい”、“大事にしたい”、そんな思いばかりで。先に部屋を出る相手の後ろ姿を、口許に笑みを浮かべながら眩しげに見つめてしまっている己に気付き、はっと我に返ればぽそっと独り言を呟いて。携帯と財布程度の最低限の私物をポケットに突っ込み、そのまま相手の後を追い玄関へと向かい)
ーー…なーにしてんだ、早くしろよ。
(相手が玄関まで下りてくるうちに大分気持ち的に落ち着いたのか、僅かに赤らんだままの頬にぺとりと掌を当て冷やしながら靴箱の奥の方に隠していたと思われるヒールのついた女物の靴を引っ張り出して。悲しくも女装経験が豊富になり始めたもののそれでも慣れない靴というのは居心地が悪いのか時々かくん、と踵がずれてしまいそうになる足元を不機嫌そうに見つめて。その頃漸く二階から降りてきた相手に軽い不満を口にしながらもにっと笑みを浮かべれば「…上原君、早く来てエスコートしてくれない?」などと、甘えたような声色でねだってみせて。)
お前…そんな歩きにくい靴履いてくのか?またこけても知らねぇぞ。
(少し遅れて階段を降りていくと、玄関で待つ相手から急かすような台詞が飛んできて。何処と無く顰めっ面で相手の元に歩み寄った際ふと目についたのは、相手が履いている歩きにくそうな靴。女性らしいデザインのそれは個人的に嫌いではないものの、初めて会ったあの日、歩道橋から転落しかけた時も確かこんな感じの靴を履いていた事を思い起こさせ。懐かしさにふっと笑みを溢せば、大丈夫かとばかりにからかってやり。己も靴を履くと、ヒール効果で若干目線の高さが近付いた相手の前に立ち。「どうぞ足元には十分お気をつけ下さいませ、お嬢様」と軽い会釈を添えて茶化し、玄関のドアを開ければ相手を先に通すような仕草を加え)
その時は、またお前が受け止めてくれんだろ?
(相手の言うように恐らく慣れないこの靴ではもしかすると転んでしまうこともあるかもしれない、しかしながら思い出深いあの喫茶店へデートということもあり出会った時のようにうっかり転んでしまうのもまた懐かしい頃を思い出せるのでは、などと考え悪戯っぽく笑みながらその旨を告げてみて。此方の要求を聞いてかエスコートしてくれているらしい相手のいつもと違う口調にくすりと笑みを浮かべながら開けてもらった扉をくぐろうとし、その途中で足を止め相手に向き直ると「…なら、足元は貴方が見てちょうだい?私、すぐ転んじゃうような不注意な子だもの。」なんて囁きながらするりと相手の腕に自分の腕を絡めて。)
俺が受け止めなくて誰が受け止めるんだよ。
(絡められた腕と、育ちの良いお嬢様を装ったような相手の口調に嬉しさと可笑しさが混じり合い、何処か幸せそうに笑みながらも独占欲も含んだ意味合いの言葉を告げ。腕を絡めたままの相手と共に玄関をくぐれば、相手が鍵を掛けるだろう間、隣で改めて見惚れるように見つめて。一目惚れした相手が自分好みの女装をして、己の隣で自宅に鍵を掛けるという状況は何とも言えない不思議な気持ちと幸福感をもたらし。一生を共に過ごす事は許されないとしても、近い未来一緒に暮らせたら…そんな願いを抱いてしまう自分がいて。ふわふわとした幸福感と少しの切なさに後押しされてか「…なあ、椿。卒業したらお前…俺んとこ来いよ」等と、相手を見つめたまま後先考えずその場の感情だけで口走ってしまって)
…だぁめ。
(初めの頃の自分なら恥じらったりしていただろうこんな甘えた行為を例え容姿を偽っていたとしてもこんないつ人目に晒されてもおかしくない屋外で易々と出来るようになってしまったことについて、不味いと感じつつもそれでもこんな行為を止める気も起きなくなってしまっている現状にすっかり毒されてしまったなどど内心で自嘲し。そうこうしつつも戸締りを完了すべく鍵穴に鍵を差し込んだ丁度その時、一抹の寂しさのようなものを孕んだような相手の言葉に動きを止めて。その言葉の意味を理解するのに少しだけ掛かってしまい、わずかな沈黙を挟んだのちに小さく息をつき困ったような笑みを浮かべると、言い聞かせるような優しい口調でその言葉を拒否し。彼の言葉はまるでプロポーズか何かのようでじんと胸に甘美な痛みを感じるほどに嬉しかった、しかし高校三年生の大事な時期に性急にこんなことを約束して、もしも今後の相手の人生に何らかの傷をつけるような結果を生んだらと思うと素直に頷くこともできず。「――…よし、戸締り完了っと。ほら、行こう?」自分では正しい判断の元口にした言葉で、間違っていたとも思ってはいないが相手の反応を考えると気まずさが拭えず、がちゃりと鍵を回し施錠を完了させてから出発を促すような言葉を口にすると軽く相手の腕を引っ張りながら足を踏み出して。)
(/こんばんは、今後の展開についてご相談したく発言させて頂きました!思い出の(?)喫茶店でのデートとなりましたが、そのデートの後の展開として以前上原様が仰っていた和瑳くんの記憶喪失ネタを入れ込むというのはどうでしょうか?
デートの帰りにでも出会いの場でもあった歩道橋でまたもや原田が足を滑らせ、それを庇って和瑳くんが転落、その後目を覚ますも記憶喪失に…などと言うような、ベタ展開を考えておりました;;ここから先、というかここまでも私の妄想ではありましたが、勝手なシナリオでそのまま和瑳くんが記憶喪失から回復しないまま高校を卒業し、大学を踏まえた上で就職した頃偶然職場で再会。そこで和瑳くんは記憶をなくしたままもう一度原田に恋をするものの原田は記憶喪失の原因であるため和瑳くんを遠ざけ新しく作っていた彼氏の方に…なんて、昼ドラもびっくりな商業BLみたいな妄想をしていました。
ここまで行かずとも、折角上原様が出して下さった案でしたのでどこかで入れ込みたいな、と思っており提案させて頂いた次第です。以前出していただいた記憶喪失ネタに限らず、もし何かやりたいシチュエーションなどございましたらお聞かせいただければ幸いです。)
―――………、
(いっそいつものように、冗談ぽく“嫌だ”と拒否された方が楽だったかもしれない。彼なりに真剣に先の事を考えての答えなのだろう、その宥めるような優しい声音での拒否は覚悟していた以上に堪え。胸にじわじわと広がる切ない痛みを抱えた今は、控え目な笑みを返すのがやっとで。僅かに視線を伏せた自分を救うかのように、出発の声と共に腕を引く相手に「…ああ」と短く返事を返しては、足を進めながら隣の相手をちらりと見やり。折角のデートだというのに湿っぽく気まずい空気で過ごしてはいけないという気持ちが働き、どうにか気分を切り換える事に専念すれば「…毎日お前を抱いて寝たかったのによ」等と、先程の拒否に対し今度は拗ねたような口調でぽつりと溢して)
(/おお、覚えていて下さったとは…!そもそもあの案は冗談半分でしたので、今回原田様がお考えになったシナリオに衝撃を受けました!面白そうなので、是非それでいきましょうb
ちなみに上原が記憶を無くすのは椿くんのみすっぽり忘れてしまうのか、自分以外ほぼわからない感じか、どうしましょう?社会人になって椿くんと再会、再度好きになる。しかし椿くんには新たな恋人が…という事で、切なさと嫉妬に苦しみながらも、どうししても欲しいと強引に奪いに行く勢いでいいんでしょうかね?勿論椿くんは突き放してくるでしょうけど/笑/突き放されてもしつこく追う迷惑野郎はもはや得意分野(←)になりつつあるので楽しみですが…。最終的には椿くんを思い出す感じでいいのでしょうか?その間も時々“何か大事な事を忘れてる気がする”みたいなのを取り入れていけたらと思いますが…。)
そ、れは…その、どういう意味で…。
(相手の反応を見て自分の発言が相手にどれだけの影響を与えてしまったのか再確認してしまい、こんな時こそ冗談でもいいから相手が傷つかないような台詞で返してやれたら良かったのに、なんて後悔が押し寄せて。そんな重い気持ちから何となく相手の顔が見られなくて俯きがちになりながら歩みを進めていれば、沈んだ自分に気を遣ってか発せられた相手の言葉に思わず一瞬目を見開き。というのもどうやら昨日の今日で"抱く"という単語の意味をうっかり取り違えてしまったらしく、暫し目を泳がせた後仄かに頬に赤みを点し、それから漸く口を開くと何とも言いづらそうにもごもごと問いかけを向けて。)
(/ほ、本気ですか!?(←)私の妄想に塗れた提案を気に入っていただけたなんて光栄です!
私としては上原君自身が自分のことしか覚えていないか、もしくは原田を忘れたうえで原田と茂庭ちゃんが混同しているような感じだといいのではないでしょうか?後者に関しては茂庭ちゃんをもう少し使ってあげたいのと、原田が上原君から離れる明確な理由ができるかな?と思ったため提案させて頂きました。
そうですね、社会人になった際は上原君にそういった役回りをさせてしまうことになるかと…。原田としては高校生時代にさんざん悩んで捨てた恋に揺らぎつつも上原君にはまっとうな人生を歩んでほしいという思いと、あれだけ好きあっていたのに忘れてしまった相手に対する怒りに近いやるせなさから完全に上原君を避けてしまうかと思います。どうか見捨てないでやってください;;
思い出すまでの感覚なんかはお任せしますが、我儘ですが最後はやはり思い出してほしいですね。あと高校時代について出来れば原田が折れてしまうまでいくらかレスをさせて頂ければ幸いです。
なんだか一方的な注文ばかりですみません!上原様が嫌な部分やこうしたい!という部分がありましたら遠慮せず言ってくださいね。上原様に接待じみた関係を押し付けてしまうようなことはしたくありませんので。)
お前の想像通りの意味でいいぜ。
(隣で眠る相手の寝顔を毎朝眺め、愛しい存在をこの腕に収めて眠れたら――、そんな幸せを柄にもなく夢見て溢した言葉に対する相手の反応に一瞬きょとんとするも、直ぐにどう捉えたか察する事が出来て。可笑しさと愛しさを織り交ぜたような笑みをくすりと浮かべては、相手の腰にそっと手を回して軽く此方に引き寄せ。「…なあ、どんな事考えたか聞かせてみろよ」己を喜ばせるだけでしかないその可愛らしい反応を面白がって耳元に唇寄せれば、故意に昨夜の出来事を思い起こさせるような声色で囁き)
(/まず毎度ながら返事が遅くなり申し訳ありません…!
茂庭ちゃんは系統というか雰囲気が棗ちゃんに似ているという事で、元々は上原の好みのタイプではあると思うんですよね。茂庭ちゃんの中に棗(椿)を見るというか、以前こんな子を好きになった事があるような…でも何かが違う、という感じに上手く混合できたらと思うのですが、自分の乏しい表現力ではどうなるか…orz ともかく頑張ってみます!
ちなみに記憶をなくした後、高校時代も椿君との接触はあるんですよね?社会人になって再会した椿くんに再び一目惚れ…との事でしたが、記憶をなくしていながらも高校生の椿くんとはとても初対面に思えず、何か引っ掛かって自分との関係を問い詰めるような事はあると思います。勿論お前の勘違いだとでも何とでもバッサリ切って頂いて結構ですが(笑)
それでも何故か椿くんの事が頭から離れず悶々としたまま社会人になってまさかの再会。椿君と接していく内恋心を抱き、また椿くんと新しい恋人の絡みを見て嫉妬し、一気に膨れ上がる感じになるかなと思いますが、大体こんな感じで宜しいでしょうか?勿論椿くんの容姿にも惹かれている上で!(ここ重要/笑) 気付けば見とれていたり、何やら妄想してしまっていたりと。←
社会人になり改めて一目惚れするよりは、椿くんが何故か頭から離れず、何なんだ畜生のまま再会する方が自分に合っているというかやりやすいかなと思いました(笑)椿くんと新恋人の何やらを目撃してしまってからの上原が危険ですね(笑)
椿くんに避けられるのは上原共々辛いものがありますが、先に待つ幸せのために堪えますb 此方こそ記憶を無くし椿くんを傷つけてしまったり、嫉妬で荒っぽくなってまた怖がらせてしまう恐れがありますが、愛情は常にありますので…!(笑)
此方こそ我儘を言ってしまいましたが、細かい事は相談しながら進めていけたらと思います。椿くん本体様が楽しめないのでは意味がありませんから、希望等はその都度遠慮なく仰ってくださると幸いです^^)
ッ…知らない、馬鹿!
(相手の反応により自分自身の勘違いに気付くものの、時すでに遅く。勘違いしてしまった自分が全面的に悪いのだがそれにしても意地悪くからかってくる相手にきっと睨みを利かせると腰に回ってきた相手の手の甲をぎゅっとつねりながら声を上げて。適当に相手の隙を見て少しの距離を取ると警戒した様子で相手をじとりと見つめ、先程まで相手の囁きがダイレクトに伝わってきていた方の耳をそっと押さえて。というのも頻繁に相手がこうした悪戯を仕掛けてくるうちに何となく耳元で囁かれるのが苦手というか、好きだけれどあまり人目の付くところではされたくないような、一種の弱点に変わり始めていて。暫くしてから漸く少しだけ拗ねたような様子ではあるものの空いた距離感を埋めると「…はしたないとか、思ってるだろ。」なんて呟き。)
(/大丈夫ですよ、待っている間も今までの上原様とのやり取りを思い出してみたりして、楽しく待たせて頂いていますから。それよりお返事の方を気にして無理をされていないか心配です、上原様のペースでお相手して下さればこちらは大丈夫です。
大まかな今後の流れはこんな感じで大丈夫そうですね。では長くなってしまいましたがそろそろ本体は引っ込ませて頂こうかと思います。今までより随分重めのストーリーですが、楽しんで演じていきましょう!それでは、よろしくお願いいたします。)
(結構な力加減でつねられた手を引っ込めては可笑しそうにくくっと小さく笑いを溢し。出会ってから今に至るまでもう何度馬鹿だの変態だのと言われただろうか、そんなどうでもいい事を考えるだけで幸せを感じてしまう辺り己が知る自分ではなく、距離を取って睨んでくる相手に対し何処か嬉しげに頬を緩めながらも内心自嘲せずにはいられず。やがて相手との距離が元通り埋められては、羞恥さえ垣間見える拗ねたような声音での呟きに愛しさに似た胸の高鳴りを覚え。もし彼がはしたないというのなら、この想いが恋だと認識したその瞬間から相手を思うがままに抱く空想を重ねて来た己は何なのか。普段なら懺悔にも似たそれを赤裸々に告白するのだろうが、彼を困らせるのが一つの趣味にもなってしまっているようで。浮かべていた笑みをいつの間にか消した後に「…まあ、無理もねぇだろ。今はそんななりしててもお前も男だからな」と、敢えて現実的でいて少し冷めた言葉を返してやり)
(/そう言って頂けると嬉しいです。いつもいつもお待たせしてしまい心苦しいのですが…待っていて下さって本当にありがとうございます。年末年始、そちらもお忙しいでしょうけれど、体調を崩されませんように。
細かい打ち合わせは必要に応じてその都度させて頂きたいと思います。どうぞ宜しくお願いします^^)
…今度から、こういうの…なるべく、気を付けるから、さ…。
(そもそも出会ったころを思い出してみれば所謂清純派系の装いだった棗に一目ぼれした時点で相手の趣味など何となく想像できたはず、それにも関わらず先ほどのようなことを口走った自分に相手が幻滅したのだと思い込んでしまえばその冷たささえ感じる言葉に一瞬目を見開いた後、ぎゅっと唇を噛み締めて。心のどこかで相手ならどんな自分でも受け入れてくれると思っていた反面相手の態度や言葉は少々胸に刺さるものがあり、鞄の紐を握りしめながら覇気のない言葉を漏らすと相手が今どんな顔をしているのか見るのがなんだか怖くて、俯いたまま落ち込んだように目を伏せて。)
(/お気遣いありがとうございます。上原様もお忙しいご様子ですから、体調には気を付けてくださいね。年末年始はこちらもお返事が多少遅れてしまうことが予想されますが、どうぞよろしくお願いします。
それでは本体はこれにて失礼させて頂きます。)
……そんなに嫌なのかよ、俺にはしたないと思われるのが。
(ちらりと見やった己の隣で見るからに落ち込んでいる相手。少しやり過ぎたかもしれないと感じるも、完璧な女装も相まって俯いて視線を伏せる様子が妙に可憐でいじらしく。己の一言でここまで悄気る相手に対し沸き起こるのは、罪悪感ではなく突き上げるような高揚感。相手とは比にならないだろう欲望まみれの己の心情は一先ず伏せ、その様子からしても分かりきった事を求めるがまま意地悪く訊いて)
(/大変遅くなりました…!言い訳をさせて頂くと完全に本体事情になってしまいますので省かせて頂きますね。お待たせして申し訳ありませんでした/土下座
今年はもう少しお待たせしないで済むように努力したいと思います。原田様の事ですから此方に負担にならないか等ご心配されるでしょうが、今まで負担など感じた事ありませんしこれからもまずないかと。寧ろ早くお返し出来ないのが申し訳ない思いで一杯ですし、もどかしいです。もっと沢山お話したいのは自分も同じですから。いつも待っていて下さってありがとうございます。今年も上原共々宜しくお願いしますね^^)
…好きなやつには、出来るだけ良く見られたいだろ。
(相手にとって先程の自分の発言はそれほどまでに慎みのないものにとれてしまったのだろうか、追求する相手の言葉にぎゅっと胸が締め付けられるような痛みと共にじわじわと広がる仄かな恐怖を感じると唇をそっと噛み締めて。男であると分かった上で付き合っているのにこんなことで神経質だと言い返せるほど相手が自分を好いてくれているという自信もなく、今更卑怯だとすら思える相手の態度に目の奥がつんとするのを何とか堪え声を絞り出すと俯いていては涙がうっかり出てきてしまいそうでそっと相手から視線を外したままそっぽを向いて。)
(/明けましておめでとうございます。こちらこそ何と言いますか、上原様が忙しいと分かっているのに駄々をこねるような態度を取ってしまい申し訳ありませんでした。
いつもお忙しい中お時間を割いてこうして会いに来てくださることがとても嬉しいです。あの場で言ったことは、確かに私の本心ではありませんでした。叶うなら、これからも末永くお相手させていただければ幸いです。今年もどうぞよろしくお願いいたします^^)
――…俺が見たいのは綺麗なお前ばっかじゃねぇよ。
(好きな相手に良く見られたいという相手の気持ちが理解出来ないわけじゃない。こんな風に愛らしく着飾った相手に惚れ直しているのもまた事実だが、己が真に求めているものではなくて。独り言のように、しかしはっきりとした口調で告げた後、顔を逸らしている為此方からは表情が見えない相手を見つめ。先程の彼の声色からも今どんな表情をしているかが何となく読めてしまい、己にしか見せないだろうその表情を直ぐ様独占したくなる。不意に伸ばした手で相手の手をそっと握ると、「…椿、こっち見ろよ」自分が取った態度の弁解でもするつもりなのか優しい声音で名を呼び、視線が合うのを待って)
…見たいってわりには言い方冷たかった。
(自分でもこんなことくらいでへこむなんて女々しいにも程があると自覚しているものの、一度意地を張ってしまえば引き下がれないようなプライドの高さがこんな時でさえも素直に言葉を発さない枷となってしまい。相手の声が先程までの冷たい声色とは打って変わって柔らかなものになってもそれは変わらず、相手の言葉に少々棘のある言葉で返すと瞳にうっすらと膜を張るように浮かんだ涙を手の甲で拭って。それからそっと相手の方に視線を向けると表層こそ相手を睨むような視線を保っているものの、僅かに揺れる瞳から若干の怯えの色が見え隠れしていて。)
そんなお前が見たくて敢えてそうした。
(浮かんだ涙を拭うような仕草を見せた後、此方に向けられるのは一見強気な瞳。しかしその中に弱い部分をひたむきに隠そうとする彼の繊細さが垣間見えれば、胸を締め付けるような愛おしさが込み上げ、足が自然に止まり。己にしか見せない本当の彼が見たい、そんな彼を独占したいとはいえ、こう何度も意地悪を繰り返してはいつか嫌われても不思議じゃない。それでも欲は膨らむばかりで止める事が出来ず。涙を堪えていた故に潤んだその瞳を愛しげに見つめながら、直ぐにでも触れたい思いのまま相手の頬に片手でそっと触れ)
あんな冗談に泣きそうになりやがって…どれだけ俺の事好きなんだよ。
(言葉自体は意地悪いものではあるも、僅かに掠れた声が込み上げる感情に堪えているようにも取れ。相手が想像する以上に相手を想っている事を上手く伝える言葉が見つからず、愛しさともどかしさの狭間で揺らぐ瞳を相手に定めたままぐっと奥歯を噛み締めれば、それなりに人通りもあるその場で抱き寄せてしまっていて)
…性悪。意地悪、悪趣味、鬼畜外道。
(相手の言葉に思わず目を見開き、すぐに困ったように眉を寄せると唇をきつく結んで。相手の一挙一動に一喜一憂してしまうような自分も自分だが、今回の相手の言い訳は流石に意地悪にも程があると不平を唱えたくなるもので。それを口にしようとした矢先、人目もあるというのに自分を抱き寄せる相手の腕にそれを阻まれてしまえば恨めし気に相手を見上げて。あえて人の悲しむところを見ようと行動した相手に怒りを覚えているはずなのに随分と懐柔されてしまったというべきか、それよりも相手に本当に呆れられていたわけではないという事実に心底ほっとしている自分がいて。完全に相手に主導権を握られてしまっていることへの腹いせのように着飾っていることも忘れおおよそ今の格好には不釣合いな言葉の限りの悪口を並べ立ててやり。そんな言葉の最後にそっと相手に顔を近づけこの唇を半ば噛みつくようにして奪ってやってから強引に相手の身体を引き寄せると、その耳元に「…あんまり調子乗ってると、次は俺がお前のケツ掘るぞ。」などという脅し文句を囁いてからするりと相手の腕から抜け出して。)
…酷ぇ言われようだな。
(腕の中に収めた相手から贈られたのは、清楚可憐な見た目にそぐわないこれでもかという程悪口の数々で。最低だと非難されているにも関わらず、いつしか彼の愛情表現だと受け取るようになったそれに愛しささえ覚え、クスクスと笑いが溢れてしまう。不意に彼の整った顔が近付いたかと思うと、次の瞬間には噛みつくように唇を奪われていて。受け返す間もなく向けられた脅しのような台詞は思ってもみないもので、目を丸くし数度瞬きした後に思わずクッと吹き出し。彼の発言が何やらツボに嵌まったのか、込み上げる笑いを抑えようとしながらも「楽しみにしてる。まあ精々頑張れよ」と返して)
…油断してたらほんとに夜這いするからな。
(散々からかわれたことへの報復を仕掛けたはずなのにも関わらず何故かツボに入ったのか笑みを噛み殺す相手にむっと顔をしかめると八つ当たりのように相手の肩を叩いて。今の格好でこんなことを主張するのも可笑しいが自分だってれっきとした男で、それこそチャンスさえあれば相手との立場を逆転させることだって可能であることの主張とばかりに呟きを漏らすと漸く到着したあの喫茶店に先に入っていき、店員に二名との旨を伝えると少々人目につきにくい奥の席へと通してもらって。)
夜這いは寧ろ歓迎だけどな。
(どれだけ可愛らしく綺麗に着飾ろうと、抗議を肩へとぶつけてくる相手の力は男そのもので。瞳を細めて笑いながら少しばかり不機嫌そうな相手の後を追って喫茶店へ。奥の席へ着くと、あの日と同じようにメニューを開き相手の前へと差し出し。メニューに並ぶ色とりどりのデザートの中、真っ赤な苺の乗った生クリームたっぷりのショートケーキが目につけば、あの日瞳を輝かせながらそれを頬張っていた相手の幸せそうな表情を思い出して。シチュエーションこそあの時と変わらないのに、関係性の変化により目の前の相手を見つめているだけで怖いくらいの幸福感に包まれてしまい。端から見ても相手にベタ惚れだと丸わかりだろう表情で相手をじっと見つめていたかと思うと、不意に指先にそっと手を重ね、きゅっと握って)
ッな、んだよ、いきなり…いちゃつきたくでもなったか?
(元々女性層に人気のある喫茶店なだけあり色とりどりのデザートはおいしそうであると同時にそのものが可愛らしく盛り付けられていて、少女趣味というつもりはないがそんなデザートの数々に思わず笑みが零れてしまい。いつかのようにショートケーキを食べようか、あるいは…と考えていた時、不意に指先に何かが触れたのを感じメニューから顔を上げると相手と目が合うと同時に手を握られてしまい。まるで付き合いたてで浮足立ったバカップルのようなその状態に思わず照れくささを感じながらからかうような台詞を掛けるものの、相手からの行為とあってはどんなものでも嬉しく感じてしまうのか自然に口元が緩んでしまい。しかしながらいつまでもそうしている訳にもいかないことをちらちらと注文を取るタイミングを窺うようにこちらを見ているウェイトレスが知らせていて、困ったように笑みながらそっと手を上げてウェイトレスを呼ぶとウェイトレスがやってくる前に、と相手の方に囁いて。)
…こういうの、別に嫌じゃないけどさ…流石にこういうとこではやめとこうぜ?
そういう訳じゃねぇよ。俺はただ――…、
(彼が此方からの行為を嫌がっているわけではない事も、こういった場所では控えた方が無難だという事も承知している。いちゃつきたいが故の単純な思考から至った行動ではなかった事を弁解しようとするも、オーダーを取りにテーブルにやって来た店員によって阻まれ、開きかけた口を渋々閉じて。どんな状況であれ、相手に拒まれる事に小さな痛みを感じてしまう辺り、彼と出会った事で己の中に生まれてしまった女々しい部分を嫌でも受け入れるしかなく。やや荒っぽく目の前のグラスを手にすると、やり場のない思いを落ち着けようと水を喉に流し込み。此方が彼を想う間も様々なデザートを前に目を輝かせていた本人は既に決まっているのだろうと、グラスを静かに置いて相手が先にオーダーを済ませるのを待ち)
――…じゃあ、このショートケーキひとつと…あとこれ、メロンソーダでお願いします。
(正直な話ここが公の場でなければ相手の行為は自分にとっても嬉しいものだったが人目を考えると断るのはやむを得ないことで、しかしそのことにより気分を損ねてしまったらしい相手を目にすると何だか湧いてきてしまい。少ししてやってきたウェイトレスに一先ず先ほどから決めていたショートケーキを頼み、それから飲み物のページへとメニューを捲ると、店側の所謂ちょっとしたジョークのような立ち位置にあるであろうあるメニューが目に入り。ちらりと視線を上げて相手を見てからメニューに再び視線を戻すと意を決するように小さく息を吐いてからメニューに描かれた大きめのグラスにあからさまなハートのストローなんかが指された所謂カップル向けの飲み物を注文し、気恥ずかしさからの後悔が襲ってこないうちにメニューを相手に手渡して。)
珈琲で。あとは……、
(渡されたメニューを取り敢えずは受け取るが、飲み物については前回同様決まっている為、飲み物の欄には目を向けず直ぐ様伝え。甘味が苦手な自分は正直珈琲のみで十分、しかし折角のデートであり雰囲気も重視するタイプである彼の手前、一先ずメニューに目を通してみる事にし。とはいえ、カップルでの利用が多く女性受けがいいカフェともあり、ずらりと並ぶデザートはどれもこれも己には甘過ぎるだろうものばかりで、知らず知らずのうち眉間に皺を寄せ難しい顔でメニューとにらめっこしてしまい。すぐ傍に立つオーダー待ちの店員の視線が突き刺さるようで何とも居心地が悪い中、視線のみをメニュー上で流し。苦手な物ならどれを食べたところで大して変わらない、それならば相手が苺ショートの他に悩んでいたものを…という結論に至り。目の前の相手に決まり悪そうな視線をちらりと送った後、「お前がさっき悩んでたやつ、どれだよ」と、メニューを相手にも見えるようにしながらあの日と同じように助けを求めて)
ッえ、ああ…このチョコタルトもいいかなって思ってた。上にナッツとかも沢山乗ってて美味しそうだし。
(相手の機嫌を直すため、なんて建前の元に普段の自分なら確実に出来ないような注文をしてしまった手前少々上の空になっていたらしく、相手の呼びかけに思わずびくりと肩を跳ねさせてから慌てて状況を把握するとこちらにも見える様に配慮されたメニューに視線を向けて。正直悩んでいたケーキを上げればあまりに沢山のものを勧めてしまうことになるため悩んでいたケーキの中でも比較的甘さの控えめな相手でも一口位食べられそうなものをとピックアップし、メニューの中のチョコタルトの写真を指差しながらそれを勧めればどうする、とばかりに緩く首を傾げて。自分としては先ほどの注文もあってあまりこの店員と長く接触していたくなくて、少しだけ落ち着きのない様子で視線を時折揺らすと「…ケーキ、俺に気遣ってんなら無理に食わなくても別にいいぞ?」そっと相手の方に身を近づけて囁いて。)
…じゃあそれで。
(どういうわけか上の空だった相手を不思議そうに見つめるも、恐らくは己のへの配慮も兼ねているだろう意見を迷いなく取り入れれば、長らく待たせてしまった店員に控え目に頭を下げオーダーを済ませ。店員がその場を去った後軽く息をつけば、勝手に気持ちの温度差のようなものを感じてしまった先程までの微妙な空気が継続する中、若干気まずげそうに相手を見つめ。「…お前の好みで良かったのによ」そうぶっきらぼうに言葉投げるも、己を思っての然り気無い気遣いから相手の優しさが伝わり、嬉しさと愛しさに揺さぶられ頬が緩みそうになり。“此処ではやめよう”と拒まれたにも関わらず、またも言動として溢れてしまいそうな彼への想いに堪えるように、テーブルの下で拳をきゅっと握りながら視線を窓の外に移して)
ちゃんと俺の好みですー、チョコタルトも美味しそうだったんだよ。
(自分の先ほどの態度のせいだろうか、此方を見つめる相手の視線を感じながらも気まずそうに視線を逸らしていると相手の呼びかけが耳に入り、勿論相手のことを配慮しての選択だったが別に自分の好んでいないようなものを勧めたわけではなくて、思わずむっと表情を曇らせると少し強い反論を返してしまい。口から言葉が漏れた後になってはっとしたように一瞬相手の方を見てからまたすぐに視線を逸らすと、相手と楽しい時間を過ごしたくて一緒にいるはずなのに相手を困らせてしまうような方向にばかり事を運んでしまう自分自身を呪って。そんな時、どうやらケーキの前に飲み物をと頼んだものを運んできた店員が目に入り小さく息をつくと、テーブルの下でつんと相手の足を軽く突くようにして蹴って。「…先にチョッカイ出してきたの、お前の方なんだからな。」本心を言えば人目も憚らずどこでだって相手とべたべたしていたい。自分をそんな風に変えたのも、折角我慢していたのにチョッカイを出してきたのも、全て相手が悪いとでも言いたげな口ぶりで相手に囁くと店員が持ってくるメロンソーダとハートを描いて絡み合った二本のストローが刺さった浮かれた感丸出しの飲み物を示すように顎で指して。)
ちょっかい出したわけじゃねぇっつの。お前見てたら色んな事思い出して…愛しくて堪んなくて気付いたら触れてたんだよ。
(何となくもやもやした気持ちのまま、窓の外を行き交う人々をぼんやりと眺めていると、不意に咎めるような言葉と共に足を軽く蹴られ。常日頃悪戯や意地悪ばかりしているからか、どうやら先程の行為も面白がってちょっかいを掛けたと思われているようで。此方の気持ちを理解していない相手が少しばかり恨めしく、堪らず反論するものの、先程の心情をそのまま言葉にしたそれは思いの外恥ずかしい内容となってしまい。はっとした時には既に遅し、丁度飲み物を運んできた店員が何やら気まずそうな笑顔と共にそれらをテーブルに置き、そそくさと去っていき。“聞かれたじゃねぇか”とでも言いたげにじとりとした視線を相手に投げ、テーブルの上に置かれた珈琲をソーサーごと己の方へ引き寄せた際、相手がオーダーしたらしいメロンソーダを視界に捉え。メニューのドリンク欄には目を向けなかった為、相手が選んだ飲み物を此処で初めて知る事になり。「椿、お前――…、」あれ程人目を気にしていた彼を前に意外そうな表情で瞬きするも、その意図を何となく汲み取った途端自然に笑みが溢れてしまい。「…やっぱお前可愛いよ」込み上げる笑いを抑えようともせずにくく、と笑いながら告げて)
…うるさい、ばか。人前だからって我慢してんのに、平気でチョッカイ掛けてきやがって…。
(聞いているこっちが恥ずかしくなるような相手の台詞にむず痒そうに唇をきつく結びながら視線を窓の外へを向けると、どうやら相手は店員が近づいてきていることを察せないままに先程の言葉を口にしたらしいことを知り。内心ざまあみろ、と言ってやりたい気分ながらそんな彼の台詞に負けず劣らず羞恥心を煽るようなものを頼んでしまった手前それも叶わず、運ばれてきた飲み物を見て笑みを零す相手への八つ当たりじみた言葉に留まり。拗ねたような態度でばかりいるのも餓鬼臭いと自覚したのか、漸く相手ときちんと向き合い視線をそちらに投げかけると、テーブルに頬杖をつきながらにっと口角を上げて。「…俺のこと"愛しくて堪らない"んだろ?仕方ないから一緒に飲んでやってもいいんだぞー。」お互いのためにも人目のある場所であまりはしゃぐのは、と思っていたことも徐々にどうでもよくなってきてしまったらしい。相手の先ほどの言葉で吹っ切れてしまったのか悪戯っぽく笑みながら緩く首を傾げて見せると、運ばれてきたばかりのメロンソーダに刺さった自分側のストローを指で弄び、その傍らで少々調子に乗ったような、しかしながら以前の自己卑下的思想の自分なら口に出せなかったような自信の籠った言葉で相手を誘ってみて。)
…あ?それはこっちの台詞だっつの。お前がどうしても俺と恋人らしい事したくてこんな恥ずかしいモン頼んだんだろうが。
(どうやら相手も本心では己と同じ思いを抱えていたらしい事を知り嬉しさが込み上げたのも束の間、恋愛においての感情面に危うさと繊細さを持つ彼にしては強気で自信に満ちた台詞を少々上から目線でからかい半分に返されて。彼に心底惚れている事実を最大の弱味として握られている己としては何となく弄ばれているような感覚を覚え、羞恥と悔しさから不貞腐れたような表情で大人げなく言い返してやり。その間も小悪魔のような相手の可愛らしい仕草にときめいてしまっている自分が恨めしく、何処か落ち着かないように視線を散らした後ちらりと相手を見やって。己には似つかわしくないメロンソーダを前に諦めたように溜め息をつくとこちら側のストローを摘まみながら「…たく、どんな罰ゲームだよ」と溢し、“さっさとやるぞ”とでも言うように顎で指し)
ッよく言うよ、さっきまでくそ恥ずかしい台詞ぶっこいてたのはどこのどいつだったっけな?
(自分のした行為は確かに誰がどう見ても浮かれきった恥ずかしいもので、そこを突かれるとどうにも言葉が出て来なくなってしまい。一瞬言いよどむものの反論を途絶えさせては余計に羞恥心に駆られてしまうと相手の先ほどの発言を持ち出して応戦するものの、平然とした顔を保っているのもだんだん辛くなってきたのか応酬を口にする頃には随分と顔も隠し切れないほどの朱に染まっていて。相手との所謂デートという名目に何となく浮かれてしまって、らしくもない行動を取ってしまったのは自分でも少々の後悔が募るものではある。しかしながら頼んだからには、という思いと例え自分が自分として認識されない女装姿であっても相手には自分というものがあるということを周りに見せつけたいような、じわりと滲み出た独占欲に背中を押され。合図を送るようにちらりと相手に視線を送ると昨晩の行為に比べたら一緒の飲み物を飲む程度のことなど可愛いもののはずなのに酷く緊張しながらストローに口を付けて。)
そういう恥ずかしい事も言われたい癖によ。…耳まで赤いぜ、お前。
(普段仲間達の間でツッコミ役的なポジションにいるだろう彼は流石に口が達者で。怯む事なく生意気な返しをしてくる事も、どんなに強気な発言をしたところで堪えきれない羞恥が表に出てしまう事も彼らしく、愛しさを募らせながらその可愛らしさをからかわずにはいられず。相手に倣って一見平然とストローに口を近付けるも、幾ら仲が良いカップルでさえ多少羞恥はあるだろうこの甘々のイベントを前に、妙な緊張感やプレッシャーがあるのは此方も同じで。相手に合図のようにちらりと目配せしてから意を決してストローを口にすれば、見つめ合う間もなく素早く喉に流し、ストローから口を離して即座に体勢を戻してしまい。後に込み上げるのは何とも言えない気恥ずかしさと屈辱にも似た感情で、熱が顔に集中するのを感じ。まともに視線を合わせられずそっぽを向いたまま「…これでいいのかよ」と、許しを請うつもりでぼそりと呟いて)
――ッう、ん…なんつうか、ごめん。いや、うん…結構恥ずかしいのな…。
(相手の目配せを察知しこちらも少しばかりのメロンソーダを飲み込むものの、ただ同じグラスから飲み物んを飲んだだけとは思えないくらいの凄まじい羞恥に相手同様すぐに椅子の背に体を押し付ける様にして勢いよく体勢を戻し。自分でも分かる位顔が熱くなっていて、相手の呟きにまだ収まらない動悸をごまかすようにぺらぺらと言葉を紡ぎ。ひたすらに恥ずかしくて、もう次はないと思うのになぜかそんな胸中にもほわんと心が温かくなるような幸福感も存在して、うっかりにやけてしまいそうになる顔を両手で覆って隠すとどうにか落ち着こうとするように首を軽く振って。「…うん、ご協力ありがとう。後はまあ…うん、普通に俺一人で飲むわ。」羞恥心も勿論だがこれでもう一度なんてあったら今度こそ緩んでしまう顔を取り繕える自信がなくて、顔を覆ったせいで少しだけくぐもった声で呟くとそんな最中困ったように苦笑しながら近づいてきた店員からケーキを受け取って。)
お前、こういう罰ゲーム染みたもんやるのは慣れてるんじゃねぇのかよ。
(羞恥と屈辱の余りそっぽを向いたままなかなか視線を合わせられずにいたが、確実にからかわれるかと思っていた相手から意外に素直な言葉が返され。様子を窺うようにちらりとそちらを見やれば己と同様羞恥を必死に誤魔化すような仕草が見られ、愛らしい外見にそぐわない今時の男子高校生そのものの台詞が何だか可笑しくて思わず頬が緩んでしまう。仲間内の罰ゲームで女装して外出するくらいなのだから、こんなの序の口ではと、からかい半分投げてやる中ケーキが届き。好物らしい苺ショートを前に今度はどんな表情をするだろうかと、相手の表情を見逃さず己の分のケーキ皿も相手側にすっと寄せれば「…ここまで来りゃお前が食わせてくれるんだろ?」と、先程の件で吹っ切れたのか口角上げつつ緩く首を傾げ、バカップルの延長のような台詞を吐いて)
ば、罰ゲームは慣れてるけど、さ…。
(相手の言う通りこういった手の罰ゲームは結構な頻度で巻き込まれた経験があるため慣れていると言えば慣れている。しかしながらそれはあくまで相手が友人だった場合だからこそ"罰ゲーム"という体で出来るもの、相手との先程の行為をそれに当てはめることなど出来ず、むしろ罰と言うより人目さえなければご褒美にも近いもので。そのため相手の言葉に何とも言えない歯切れの悪い言葉で応答することしか出来ずにいれば、届けられたケーキがなぜか両方とも自分の方に寄せられて。まさか一口も食べないつもりか、と困ったように眉を寄せながら相手の方に視線を向けると続く相手の言葉に暫し言葉を失い。「ッは、いや…え、何言ってんだよ。それはその、ほら…その、だな…。」先程の余波をまだ対処しきれていない自分にとっては追撃に等しいその言葉に赤らんだ顔を隠すことも忘れ呆けた表情を晒してしまえば頭に片手を当てながらどうにか断ろうとまともに回っていない頭で意味を成さない単語を連ねて。)
…したかったんだろ、デートらしい事。
(なかなかのロマンチストの癖に“人前で”という事にどれだけ抵抗があるのか、しどろもどろになる様子を笑いを噛み殺しながら眺め。これまで何度も見てきた彼の恥じらう様子はいつも己の心を擽り、愛しくて堪らなくさせる。またちょっかいを出してしまいそうになる衝動をどうにか散らそうと何気なく他の席へと視線を向けた際、少しずれたタイミングで見知らぬ男と視線がかち合い。それは直ぐに向こうから気まずげに逸らされたものの、己と視線が合う前まで男の目に映っていたものが目の前の恋人であると悟って途端、忽ちに黒い感情が込み上げて来て。恐らく彼を女だと思い込み見惚れていただろう男をそのまま威嚇するような視線で様子を探った後、相手へと視線を戻し。「――おい椿、早くしろ。しねぇならそっちへ行く」見せつける事で己のものだと知らしめる等、浅はかで子供じみていると言えばそれまでだが、一度湧き出した独占欲を器用に消化する術を持ち合わせておらず。先程のまでの何処か余裕を含んだ態度とは一変し眉を寄せて少しばかり性急に急かせば、今にも相手のすぐ隣へ移動しようとする勢いで)
え、何いきなり…ッわ、かった!わかった、やるからそこ座って待ってろ!
(相手が何を思って急かしてくるかなど勿論察することもなく、急に先程までの余裕をなくした相手の変貌ぶりに少々戸惑ったように首を傾げると困ったように眉を寄せて。しかしそのままの勢いで此方にまで移動して来ようとする相手に流石に焦ったように手で制止すると先程まで相手の要求の内容に葛藤していたことも忘れうっかり勢いで了承してしまい。相手を収めるためとはいえ大分恥ずかしい要求を呑んでしまったことだったり、相手が急に急かし出したことだったり、ゆっくり考えたいことは既に山積みになっているものの早くケーキを食べさせなければ本当に移動してきそうな相手の勢いに負け漸く決心するとそっとケーキと共にテーブルに置かれたフォークを手に取り。「…あ、あーん…で、いいのか…?」相手のチョコタルトの先端、三角になった部分をさくりと刺して一口大にすると相手の方に差出し、羞恥に微かに手にしたフォークを震わせながらぎこちなくベタな台詞を口にすると真っ赤な顔のまま耐える様に唇を噛み締めて。)
お前、今自分が女だって事忘れてるだろ。
(席移動について制止をかけられるだろう事は予想出来たものの、周囲の目を気にする余裕さえない程の相手の焦り方が可笑しく、愉快げに指摘しながら一度は持ち上げた腰を大人しくその場に下ろし。彼なら恥じらいながら食べさせてくれるだろうという期待は見事に的中、羞恥に堪えるよう顔を真っ赤に染めあげフォークを向けてくるその様はぞくぞくする程可愛いと思えるもので。いっぱいいっぱいであろう相手とは真逆に満足そうに瞳を細め笑みを浮かべれば、目の前の相手を見つめたまま唇を近付け、小さくカットされたケーキをゆっくりとした動作で口に含み。しかしビターチョコとはいえ甘味が苦手な己にとってその甘さは十分堪えるものだったらしく、幾度か咀嚼した後口内に広がる甘さに僅かに眉を寄せ。それでも直ぐに表情は戻り「まあでもこのタルト部分は悪くねぇな」と、相手に食べさせてもらった効果もあるのか評価も述べ。相手の手からフォークを抜き取りそこにチョコタルトを一口乗せれば「…ほら」お前も味見してみろとばかりに相手の口許に運び、楽しげに様子を眺めて)
ッし、かたないだろ…お、お前がこんな…っ!
(こっちは相手の突飛な行動を止めるのに懸命になっていたというのに、そんな自分の様子を面白がるような相手の指摘に思わずむっとしてしまうものの、そんな思いも相手がケーキについて言葉にした感想を聞けばすぐに晴れてしまって。思わず口元がにやけてしまいそれを隠すように口元に片手を翳しているとその時不意に相手に握っていたフォークを抜き取られ、そのことに驚く暇もないまま差し出されたチョコタルトの欠片に思わず一瞬固まってしまい。「お、ま…ッな、今日なんでそんな…っ!」しかしそのことを理解するとやっと引いてきたはずの頬の熱さが一気に戻ってきて、本当に顔から火が出るんじゃないかと思うくらいの熱に両手で頬を押さえながらいまだ混乱を続ける頭でどうにか言葉を口に出すと、今日は妙に積極的な気がする相手の行動の真意を問いただし。しかしそれを答えてくれてもくれなくても、どちらにせよ相手がこの自分の羞恥心をがんがん煽ってくる行動を止めてくれることはまずないだろう。それが分かるだけに逃げられないことを痛感し一度奥歯を噛み締めると決心がついたのか深く息を吐き、ぎゅっときつく目を閉じると恐る恐る口を開け相手がタルトを運んでくれるのを待って。)
面白ぇくらいにガチガチだな。そんな緊張すんなっての。
(傍目にも分かる程真っ赤な顔をしていたかと思えば今度は羞恥に堪えながら素直に指示を聞く相手。たかが一口食べさせるだけで此処まで恥ずかしそうな反応を見せつけられてしまえば、可愛さの余りその場で抱き締めてしまいたくなる衝動が押し寄せ。余裕をかました表情でそんな相手を見つめている最中も、僅かに震える長い睫毛にさえきゅっと胸が締め付けられてしまう。不意に脳裏を過るのは昨晩己の腕の中で彼が見せてくれた表情。ドクンと大きく打つ心臓にフォークを持つ手を微かに震わせ。羞恥に堪えながら待つ相手の口に一口サイズのタルトを丁寧に入れてやっては、口許に笑みを浮かべながらじっと見つめて感想を待ち)
ッん…緊張するだろ、普通。す、好きな奴に食べさせてもらってんだから、さ…お前は、緊張とかしなかったのかよ?
(相手に聞こえてしまうんじゃないかと思ってしまうくらいにどくどくと煩いほど高鳴る鼓動に早くこの行為が終わってほしいような、それでもやっぱりこのまま恋人同士らしい時を堪能していたいような、相反する複雑な心境の間で葛藤しているうちに口の中にタルトの欠片が入れられて。すぐさまぱちりと目を開き席に腰掛け直すと正直緊張やら恥ずかしさやらでろくに味も分からないまま口の中のそれを飲み込んで。余裕のない自分とは対照的にこちらをからかうような言葉さえ口に出来るほど落ち着いた様子の彼にむっとしたように唇を尖らせると、未だ落ち着きを取り戻さない胸の高鳴りを押さえる様に自身の胸に手を当てながら、相手に質問を投げかけて。)
緊張っつぅよりは――…、
(ケーキの感想を待っていたものの、余程余裕がないのか肝心の味について述べられる事なく、その仕草からも彼の緊張が伝わればふっと笑みが零れてしまい。目の前にある珈琲が入ったカップを手にすれば、相手からの質問に対し己の心情を振り返りながら口に運び。かくいう己も少しも緊張が無かったといえば嘘になるが、それより何より目の前で唇尖らせている彼の仕草や表情に何度もときめかされ、愛しさを募らせた事の方が大きくて。愛しくて堪らない等と正直に伝えればまたからかわれるだろう事が目に見え、カップを静かにソーサーへと戻せば改めて見つめ直し。少しだけ身を乗り出し距離を詰めると、真っ直ぐ見詰めたまま「お前見てたら何かこう…むらっとした」強ち嘘でもない事実を口にしながら、“信じられない”とでも言いたげに目を見開き熱くなるだろう相手の様を予想し笑いを堪えて)
っば、おま…な、に…~ッ!…ッも、知らね…っ!
(事の発端こそ自分が恋人らしさを求め気恥ずかしい飲み物を注文したことだろうが、それでもその時のちょっとした出来心からここまで発展させられるとは思っておらず、未だ落ち着きを取り戻さない自身の内情をどうにか平静に戻すべく赤らんだ頬を両手で覆って。自分の言葉への返答を考えているのか少々の沈黙を挟んだ相手を漸く気持ち的に落ち着いてきたこともありじっと見つめて様子を窺っていれば不意に詰まった距離に思わず一瞬びくりと肩を揺らし。そんな中相手の口から告げられた言葉に一瞬意味が分からず呆けたように動きを止めるものの意味を理解するのにそう時間もかからず、次第に耳まで朱に染めると羞恥のあまり咄嗟に握った拳を相手の頭の上に勢いよく振り下ろして。理不尽な暴力を相手に振るおうともそれで羞恥心がましになるわけでもなく、キャパシティをオーバーしたかのようにまともに思いを言葉に出来ないまま赤く染まった顔を両手で覆うと小さく首を振ってから沈むように顔を俯かせて。)
…ッ…てぇ…、お前な…加減てものを知らねぇのかよ。
(呆気にとられたような顔がみるみる内に赤く染まっていく様を愉快な思いで観察していた最中、不意に頭上からの強い打撃をくらい。男の力以外の何者でもないそれに見事に耳鳴りを起こし頭を擦りながら顰めっ面で咎めるものの、予想通りの反応を貰えた事で得た満足感と何にも替え難い愛しさが勝り、ふっと頬を緩めては俯く相手を柔らかな表情で見つめて。丁度撫でやすい位置にある相手の頭に手を伸ばすと、普段とは触り心地が異なる作り物の髪をぽんぽんと撫で。「…ほら、食おうぜ。それ食って、またお前の締まりねぇ顔見せろ」脳裏に浮かぶのは好物の苺のショートケーキを口にし幸せそうに笑うあの時の相手で、温かく幸せな感覚が胸に広がれば此方も自然に微笑みが浮かんで)
…締まりない、とか…可愛い顔ー、とか言ってくれないのかよ。
(わざわざデートだからと着飾り、あまつさえ女装などという状況を受け入れてこの場にいるというのにその状況も忘れ相手に手を出してしまったことに俯いてからじわじわと後悔し始め。羞恥心で赤く染まった顔を見せられないという理由以上にそんな後悔から余計に顔が上げ辛く、頬の火照りが収まってからも暫しどうにも気まずくて顔を上げられないでいれば不意に頭に優しく触れる感覚があり。俯いていても分かる相手の微笑んでいるかのような優しい声色に促されゆっくりと顔を上げると思った通り微笑みを浮かべながらこちらを見ていた相手につられたように笑みを浮かべ。漸く羞恥心から解放され余裕が出てきたのか、悪戯っぽい台詞で言葉を返してからほったらかしにしていたケーキにフォークを突き立て、少しずつ食し始め。)
可愛いって言われて満足すんのかよ。
(愛しさに微笑みを向けていれば漸く顔を上げた相手と目が合い、その微笑みに益々緩みそうになる頬を誤魔化すように己も残りのケーキを口に運び。相手と一緒に過ごしているという幸福感からか、苦手な筈の甘いケーキも思いの外すんなりと喉を通り、たまには悪くないかという気持ちにさせてくれて。相手の冗談に可笑しそうに返せば、ケーキを頬張る様子を穏やかな眼差しで見つめながら「…今度は口にクリーム付けるなよ。拭うだけじゃ済まなくなりそうだからな」今でも鮮明に浮かぶ初デートの際の相手を思い出し、クスリと笑みを溢してからかって)
そんなの付けませんー。…まあ、私も女の子だし?
(もうずっと前のように感じられる、相手との初めてのデートの時の思い出に思わず懐かしくなりくすりと笑いながら答えるとケーキの最後のひとかけらを口に含んで。飲み物を少し口にしてから先程の相手の言葉に恐らくお互いに忘れかけていただろう今の"女装している"という状況を再確認させるようににっと笑みながら話せばするりと編んだ三つ編みを指で撫でて。流石に大きなサイズで頼んだジュースまでは飲み切れず、口元を備え付けの紙ナプキンで拭いながら少し困ったように相手の方を見れば「…まあ、十分デートって感じは味わえたかな。次どうする?」と、何だかんだでこの喫茶店くらいしか行き場を決めないまま出てきてしまったために次の行き場所についての質問を投げかけて。)
どうするっつっても俺の希望を言えばまた殴られるだろうからな。近くを適当にぶらつく感じでいいんじゃねぇか?
(口内で広がる甘味を苦味で中和させるように珈琲を飲み干すと、この後の予定を訊ねてくる相手を見つめ。本音を言えば直ぐにでも二人きりになって求めるがまま相手に触れていたいという思いが大半だが、割とムードを尊重する彼にそれしか頭にないのか等とまた怒られてしまう可能性も大いにあり、妥協案として最初に何となく話していた予定をそのまま口にし。それでもやはり目の前の愛しい相手に対し沸き起こる感情を抑え続けるのは困難で、テーブル下の相手の片足を己の足で挟むと「…少しぶらついたら帰ろうぜ」と、仄かに熱を孕んだ真っ直ぐな瞳で相手を見つめながら己の要望を伝え)
ッう、ん…じゃあ、それで…。
(ぶらつくといっても、と若干考え込むもののそれこそデートの醍醐味というものかと思い直せば相手の言葉に小さく頷き。丁度返事を口にしようとしたところで足に触れた感触に驚き微かに言葉を跳ねさせると、その行為で漸く相手が暗に伝えんとしていることが分かったのかじわじわと熱を帯びる頬を相手にあまり見られないようにと自然に顔を逸らして。あまりに真っ直ぐ過ぎる相手の瞳の熱量に目を合わせることも出来ないままその視線から逃げる様に鞄を手に立ち上がると相手の傍に寄っていき、軽く肩に触れながら「…も、出よ。結構長居したし、そろそろ店員さんの目も痛いし、さ…。」相手の少々急かすと共に、それによって多少なりとも気を紛らわせさせようと試みて。)
(/本体より失礼いたします。このデートの後に以前からお話していた記憶喪失ネタをぶち込もうという流れだったと思うのですが、それについて少し相談したいことがありまして…。なんといいますか、デートの楽しい部分をやり取りしているうちに記憶喪失→高校卒業後と飛ばしてしまうのが寂しいと言いますか、あんまりに悲しい気がしてきまして。此方から提案させて頂いた内容だったのですが、もし可能ならある程度の期間ですぐ(?)記憶を取り戻して頂く感じには出来ませんか?すごく我儘言ってしまいすみません;;
またトピ内の時間の経過についてなんですが、一応高校三年生の状態のためそのままきちんと年月を経過させるというお話だったかと思います。ですが今思うと体育祭やら修学旅行やらやり残したイベントが結構あるなと最近思い始めまして…。大分おかしなことを言っているのは分かっているのですが、出来れば今までの内容を高2段階の話ということにして、実質高3をもう一周することは出来ませんか?
久しぶりに発言したと思えばこんな身勝手な要求ばかりすみません!お返事お待ちしております。)
…ああ。今度は放課後でも寄るか。
(やはり気まずさがあるのか、そわそわしたように促す相手に対し軽く頷くと伝票を持って立ち上がり。次は彼本来の姿で学校帰りに気軽に寄れたらと希望を口にすれば頭をぽんと軽く撫で、そのまま会計を済ませ。店を出ると少々冷たい空気が身を纏い、思わず瞳を細めて。直ぐにでも彼に触れたいという煩悩を風が少しだけ冷ましてくれた気がして、“行くか”とでも言いたげに隣の相手に視線を移し。「さて…ぶらぶらしながらお前の服でも見に行くか?女用の」ふっと口許に笑みを浮かべながら語尾を強調してからかうと、相手の手を取って歩こうと軽く差し出して)
(/ご提案ありがとうございます!当初此方が希望していた内容は既に叶えさせて頂いているので、後はもう何でも歓迎です!なので椿くん本体様の案を有り難く受け入れさせて頂きたいと思います。上原は何やら好き勝手言っていますが、このまま当初の予定通り例の歩道橋に向かってしまって宜しいでしょうか?そしてもう一年高校生活をやり直すとして、記憶を無くした後どの辺りからどんな内容で始めるかも決めていかなくてはですね。)
…言っとくけど、その場合傍から見られて場違い感強いのはお前の方だからな。
(いくら人目の薄い奥の席に座っていたにしてもあの甘ったるいやり取りの数々に気付いた客はそれなりに居たようで、店から出るまでなかなかの視線を浴びながら気まずい思いで抜け出すと外に出て漸く気が抜けたとばかりに溜息をついて。漸くあの空間を抜け出せたことに安心する暇もなく相手から向けられたからかいの一言に着るかどうかはさておき、女性ものの服屋に入って悪目立ちするのは相手の方だという点を応酬とばかりに指摘すると軽く鼻で笑って。しかし何だかんだ言っても相手の好みを知れるのならと服屋に赴くこともそれ程嫌ではなくなっていて、差し出された相手の手にそっと指を絡めながらそちらをちらりと見ると「…まあ、見るだけなら付き合ってやってもいい。」なんて可愛げのない言葉でその意を示して。)
(/本当にすみません、我儘ばかり言ってしまって…寛大な本体様に頭が下がる思いです;;ではそうですね、服屋に向かうにしろ他の場所に向かうにしろ歩道橋を通りかかり、そこでがつーんと頭でも打っていただきましょう(笑)
今のトピック内の時間が大体秋の終わり辺りだったと思うので、そこから少々時間を飛ばし冬に差し掛かる位で上原君が登校できる状態まで回復する、くらいでいいのでは?何ならロマンチックに(←)クリスマスに記憶を取り戻すくらいの少女漫画展開も中々楽しそうかなと思っています^^何にせよ春が来るまでには思い出させてあげたいな、というのが此方の考えですね。上原君本体様はどうお考えでしょうか?)
恋人の服を一緒に選んでやる優しい彼氏にしか見えねぇよ。
(鼻で笑う辺り彼なりの応酬なのだろうが、自分一人であればともかく、完璧な女装をしている彼とそういった店に入るのは特に抵抗を感じず。鼻を鳴らしながら言い返してやれば、控え目に絡まる指をしっかりと握り、服屋等が並ぶ通りの方へと足を進めて。本日は己好みの服を纏ってくれている相手ではあるが、同性である彼にも女の好みというものはある筈で。隣を歩く相手をちらりと見やれば「…そういやお前は着てみたい服とかねぇのかよ。俺と居る限りは今後も使う事になるぜ」ふと気になった事をそのまま質問として投げながら今後も女装デートの機会がある事を暗に伝え)
(/我儘だなんてとんでもない。お相手して頂けるだけで幸せな上、椿くん本体様の案はいつも面白そうなのばかりですし、いつも楽しく絡ませて頂いております!ではこのまま歩道橋に向かってガツーンといって貰いましょう(笑)
ちなみにその後、冬に入り上原が登校し始める辺りから開始との事ですが…上原が記憶を無くした事を椿くんは既に知っている(記憶を無くした後絡んだ)か、登校してから(または病院で)絡んで初めて知るか、どちらの方が良いでしょうか?今までお付き合いして来て、本体様がやってみたいのは何となく後者の方ではないかと勝手に解釈するのですが(←)、やりやすさというか展開の運びやすさ等も含めて本体様的にどちらの方が宜しいのかなと。または具体的な案などありましたら従いますのでお聞かせ頂けたら嬉しいです!)
…お前、割と調子乗ってるだろ。
(暗に次の機会を仄めかす相手に困ったような呆れたような、何とも微妙な表情を浮かべながら呟きを漏らすとそんな相手をたしなめるかのように指を絡めた手の肘で軽く相手の腕を小突いて。「…まあ、別に好き好んでやってるわけじゃないし。お前が好きなの着てれば充分だろ?」女性の服の好みというものが正直あまりなくて、街を歩いてみても感じるのは色が好みか程度の情報で。そもそもそれを着るのが自分という時点で好みも何もなく、小さく溜息をついてから言葉を続けると一応相手好みらしい今のふわふわとした女性らしい服を再度眺める様にスカートの裾を軽くつまんでみて。そうして歩みを進めているうちに丁度数か月前自分と相手とが出会った歩道橋が見えてきて、普段から通らない訳ではないその道も相手と一緒に歩くと何だか感じ方も違うのか懐かしむように目を細めて。)
なんつうか、あそこさ。あんまり時間経ってるわけでもないのに、なんか懐かしいな。どうせあっち側渡るんだし渡ってみるか?
(/すみません、うっかり本体様宛の返信を忘れていました;;
ただの俺得な設定をそう言って頂けると何だかうれしいです、ありがとうございます!
名推理ですね、上原様の予想して下さったとおり、私としては学校であって初めて記憶喪失の旨を知る、といった感じにしたいと思っております。事故がデート中ということもあり病院まではついていけても、その後見舞いに来るにあたり罪悪感から顔を出せず…みたいな感じに原田をうだうださせられれば、と考えていました。
ですので大まかに流れを作るなら事故→病院→その後冬になり…くらいの飛ばし具合でいいのではないでしょうか?)
…次はドレスも着せてみてぇな。
(相手の好みに関する情報は得られないままだったが、今後も己好みの服装をしてくれるような返事が聞ければ浮き立ってしまい。スカートの裾をつまむ仕草にときめきを覚えながらも調子に乗った発言をぼそりと口にして。ふと前方に見える歩道橋に視線が向かえば相手との出会いを思い出し懐かしさに瞳を細めていると、どうやら同じタイミングで同じ想いを抱いたらしい相手からの言葉。そんな小さな事にさえ幸せを感じ、擽ったいような心が温まるような不思議な感覚に自然と笑みが浮かび。「そりゃいいけどよ、あの日みたいにこけるんじゃねぇぞ」くすりとからかいような笑みを溢しながらも彼との出会いに感謝している今、特別なあの場所を一緒に歩いてみたいという思いに駆られ、相手の手を握り直すと思い出の歩道橋へと歩みを進め)
(/了解です!では登校するようになってから絡む場面があり、そこで初めて知るような形で。椿くんの気持ちを考えると心臓が痛くなりそうですが…更なる絆を深める為にも。ちなみに当初は椿くんが他に恋人が…という話でしたが、この辺はどうしましょう?いずれにせよ上原は何故か椿くんの事が引っ掛かるので、恋人でなくとも他人との絡みにもやもやさせようかとは思いますが(笑)
それから事故後から病院までは上原に意識はないわけですよね。未熟な自分の技量では描写が難しい場面が多々あるかと思いますので、登校に至るまでは椿くん本体様が”ここは是非入れたい”と思う場面以外はどうにかうまく飛ばしながら進められたら有難いのですが…その辺はどうお考えでしょうか?)
(/お返事遅れてしまっていてすみません!ただいまGWということで実家に帰っておりまして…中々時間が取れず、今の状況に至ってしまっております。
甘えてしまっていることは自覚しているのですが、どうかGW期間中返事を暫しお待ちいただけませんでしょうか?)
…なら、ちゃんと嫁にしてもらわないとな。
(ドレスというと恋人同士という関係もあってどうにも一番に真っ白なウエディングドレスを思い描いてしまい。それを身に着けるとしたら相手の言葉からするに自分だろうということ、またそこまで想像したとしても所詮想像の域を出ることはない不可能なビジョンであることに少しだけ気持ちが沈みかけたものの、小さく息をついて気持ちを持ち直すとからかうような口ぶりで相手に言葉を返して。以前転んでしまった歩道橋、転んだからこそ相手に出会えたからといってまた転んで助けられる、なんて気はさらさらなくむっと不満げに頬を膨らしてから相手の横腹を軽く小突くと、一応用心して渡るつもりなのか軽く相手に掴まりながらそっと歩道橋の階段の一段目に足を乗せて。)
(/お待たせいたしました、レス返させて頂きます!
そうですね、ではその立場には以前当て馬になってもらった菅野くんに再登場して頂きましょうか。記憶喪失のスパンを短い期間に縮小したので恋人、というよりは慰めながら弱ったところに付け入ってくるような、またもや当て馬的位置づけに立っていただく感じで如何でしょうか?
上原君が意識をなくしている間については此方も色々と考えていました。此方としては上原君が意識を失った後、救急車を呼び一緒に病院まで運ばれる、という辺りまで此方で回させて頂きそのままフェードアウト。次レスから登校開始の冬に飛ばすといった風に出来たらと思います。上原君が行動を起こせない分此方で病院まで運ぶところまで描写させて頂きますので、それならそちらは意識を失うところまでで一先ずレスが切れていいのではないでしょうか?)
(/本体のみで失礼します!先月末から帰宅時間も遅く、ご報告頂いていたのに気付かず申し訳ありませんでした/土下座/まずはそちらを先に謝罪しておかないと気が済まず…。
椿くん本体様はいつも早い返事を下さるので、今回はGWもあるしお忙しいのだろうと解釈しておりましたが…大変失礼致しました。此方はいつもかなりお待たせてしまっておりますし、いつまでもお待ちしますよ^^ご丁寧にありがとうございます。
さて、管野くん復活という事ですが。管野くんといえば…酔っぱらって椿くんに肩を貸して貰い、ずっとひっついていた(←)あの管野くんですよね?/← …了解ですb
ではお言葉に甘えまして歩道橋から落ちた後のレスはそちらにお任せし、登校し始める辺りから開始できたら…と思っております。なるべく早く返信させて頂きますね。いつも待っていてくださって有難うございます!)
……もういっそ嫁に来いよ。絶対大事にしてやるから。
(ぼんやりと相手のドレス姿を想像していた最中、タイミング良く相手からそれらしい言葉が掛かれば、冗談だと理解していながら柄にもなくドキリとしてしまう。同じ事を夢見る幸せとやり場のない切なさを同時に抱えては、決して叶うことない願望を半分真顔で口にしてしまい、自分の頭の中には最早目の前の相手との未来しか描かれていない事を改めて思い知らされて。また困らせるのが目に見えている故、どうにか冗談を交えようと段を踏み外さぬよう己に軽く掴まる相手の腰にするりと手を回せば「そうすりゃ毎晩愛してやれるし」と耳元で囁き、罵倒されるのを予測し直ぐ様体勢立て直して)
…やぁだ、そんなセクハラばっかする旦那のとこには嫁ぎませんー。
(無理だと分かっていても望んでしまう相手との未来、そんな考えるのが少し辛くなってしまうような想像を払拭するようにうっかり口にしてしまった軽率な台詞に対する相手の酷く真面目な言葉に思わずそちらを見るものの、どう返していいのか分からず気まずそうに視線を逸らして。きっとそうして困ってしまう自分を予測してくれたのだろう、助け舟を出すように冗談じみた誘いを続ける相手に小さく息をついてから腰に回った手を軽くつねるとまだ少しだけ困惑の色が窺えるもののどうにか口元に笑みを浮かべながら言葉を返して。階段をのぼり終わり眼下を走る車を眺めながら反対側の階段の方まで歩いていくと相手から手を離し、とんとんと小さく靴音を立てながら怪談を下り始めて。)
(/すみません、またもや本体様へのお返事が抜けてしまっていました…!
報告に関しては完全に自己満足の域ですのでどうかお気になさらないで下さい。どうしても長く時間を空けるときは報告をすることでその場所が嫌になった訳じゃないのだと主張しないとそのままお相手様が居なくなってしまうんじゃないかと不安になってしまいまして。上原様とはお付き合いして頂いている期間も長いですし多少のことではきっと見捨てたりしないで下さる、と甘えた考えを持ってしまっているのですが、それでもやはり報告しておかないと気持ちが落ち着かず…逆にご迷惑をおかけしてしまったようで、なんだかすみません;;
一先ず、次のこちら側のレスでそろそろ階段を踏み外そうかと考えています。息子を庇って和瑳くんを階段から転落させてしまうと考えると何だか辛い気持ちになってしまいますが、どうぞお付き合いくださいませ!)
何言ってんだよ、愛情表現だっての。
(腰に回した手に小さな痛みが走ると、可笑しそうに笑いながら手を外し。冗談を交わす中でも相手の表情や仕草から困惑が伝われば、歩道橋から景色を眺めるその横顔を何処か切なげな笑みを浮かべながら見詰めて。やがて下りの階段へ到着する際、己からすり抜けていく相手に不意にドクンと重い鼓動が響く。「おい椿――…、」引き止めようと伸ばした手は相手に届く事なく、軽い足取りで先に階段を下りていく様子に胸騒ぎを感じ、慌てて追って)
(/椿くん本体様が無断で放棄される方だと思っておりませんので、どれだけ遅れたとしてもずっとお待ちします。此方はよく遅れてご迷惑お掛けしていますが、決して飽きたとかそういった理由ではありませんので、気になる時はどうぞ遠慮なく催促して下さいね。何かしら反応を見せにすっ飛んでくると思います(笑)
それではそろそろ上原に転がってもらいましょう。←)
なんだよ、別に置いて行ったりしない、ッて…――え。
(少しだけ沈んでしまった気持ちをどうにかいつもの通りに振る舞えるくらいまで持ち上げようと一旦相手から離れたが、それがどうやら相手に何かしらの不安を抱かせてしまったらしい。どこか焦ったようにこちらに駆け寄ってくる相手の足音に何だかカルガモの子でも連れているような気分になり小さく笑ってしまうと、安心させるようにそっと相手の方を振り返ろうとし。しかし振り返る際いつもの歩き癖だったのだろうか、爪先できゅっと振り返ろうとしたせいでヒールの部分が階段から浮いてしまい、そのことに気付けないまま体重を移動させたことにより体がバランスを崩し後ろへと傾いて。ぐらりと不安定になった身体を支えようと手すりに手を伸ばそうとするものの焦りからか上手く掴むこともできず、急に早くなる鼓動だけが嫌に大きく聞こえる中ゆっくりと動いて見える目の前が空へと傾いていき。)
(/ありがとうございます。信頼してもらえている、と感じられたことでなんだか少し気持ちが軽くなったように思います。上原様がお忙しいことも把握していますから、時間が空いたときにお相手して頂けるだけで十分ですよ。
ではではとうとう原田がやらかし新しい展開が始まりますが、どうぞよろしくお願いします!それでは、本体はこれにて引っ込ませて頂きます。)
――椿……!
(此方を振り返る相手の体がぐらりと傾いた瞬間、目を見開き息を飲み。空気を裂くような叫びと同時に、これまでにないくらい大きく心臓が脈を打つ。周囲の音が一瞬にして遮断されたような感覚を覚える中咄嗟に手摺を掴むと、仰向けに傾いていく相手の体を片腕で抱き込むように捕まえ。何とか抱えたものの相手を抱える腕に重心が集中し、恐怖に似た焦りが全身を駆け抜けぞわりと鳥肌が立つ。「─…ッ、…く」何があろうと相手だけは助けたい一心で手摺を掴む腕にぐっと力を込め、慎重に引き上げようとし。歯を食い縛り堪えながら相手の体をどうにか段に着地させた瞬間、安堵に気が緩んだのか腕の痺れに限界が来たのか、手摺を掴んでいた手がずるりと外れてしまい、そのまま階段を転がるようにして落ちていき)
――え、や…うそ、和瑳…?
(ぐらりと傾いた自分の身体を支える力強い腕の感触、それが相手のものだとは理解したものの混乱した頭ではその腕に掴まることもましてやその支えを利用して体勢を立て直すこともできず、段に下ろされたと同時に力が抜けてしまったかのようにその場にしゃがみ込むとふっと自分側に差していた影が消えたのを感じ。そのことで漸く顔を上げれば隣に居たはずの相手はおらず、大きな塊が何度も何かにぶつかるような鈍い音と共に階段を転げるものが視界の隅に移り。それが相手だと理解するのにどれくらい掛かっただろうか、短く繰り返す自分の呼吸音がいやに大きく響く中階段下まで転げていった相手に空気が漏れ出るようなか細い声で名を呼ぶとまだ思うように動かない体を支える様に手すりにつかまりながら階段を下りていき。徐々に人だかりが出来ていく中、階段下に横たわる相手の傍にへたり込み相手の身体を僅かに揺すると今更冴えてきた頭に様々な不安が過って。「和瑳…かず、さ…?…なあ…和瑳…。」ただ彼の身体を揺すり、呼びかけることしかできない自分を見かねたのだろうか、傍で誰かが救急車を呼ぶ電話を掛けている中ぼんやりと呆けた表情のままぼたりと大粒の涙を零すものの、これ以上の行動を起こすことも出来ないままその場に座り込んでいて。)
(/一先ずこのまま飛ばすにしても、最後の一言とばかりに和瑳くんが何か行動するにも大丈夫だろう感じでレスさせて頂きました。何か記憶喪失の前にやっておきたいことなどありましたらどうぞ、特になければさっくり冬まで時間を飛ばして頂いて構いません。ではでは和瑳くん記憶喪失編(←/楽しんでいきましょう^^)
――……っ、……ぅ…、
(最後の衝撃を受けた後、ゆっくりと瞳を開ければ目の前には空が広がり、こめかみの辺りから耳にかけて生暖かいものが伝う感覚がして。転がり落ちた際胸部でも打ったのだろうか、押し潰されたような圧迫感と痛みで呼吸が上手く出来ない。辛うじて繋いでいる意識の中、周囲のざわめきに混じり己の名を呼ぶ聞き慣れた声を頼りにゆっくりと顔を向け。ぼんやりと視界に映るのは、つい先程までデートを楽しんでいた愛しい恋人の姿。顔を蒼白とさせ呆然とした様子でただ己の名を呼び力なく揺すり続け。惹かれて止まないその瞳から大粒の涙が零れ落ちれば、一体何度泣かせて来ただろうかと、狂おしい程の愛しさと切なさで尚更胸が押し潰されそうになり。痛む腕は辛うじて動き、ゆっくりと手を伸ばし震える指先で頬に触れ。
──…なぁ、泣くな。笑えよ…椿…。
言葉を掛けようとするも、僅かに唇が動くだけでそれが声となって彼の耳に届く事はなく。やがて次第に閉ざされていく瞳に相手の姿を焼き付けながら意識を手放して)
(/どちらにも繋げやすくして下さって有難うございます。あのまま飛ばす事はやはり自分には無理でした(笑)
さて…ここから椿君には暫し辛い思いをさせてしまいますが、上原は上原で椿くんを思い出すまでの間苦しませておきますので。←
次の場面はそちらがお好きな場面からで結構です。また何かあれば相談しながら楽しんでいきましょうb)
――…ああ、ほんとだ。もうこんな季節なんだな。
(相手が歩道橋から落ちたあの日、自分が何も出来ないままその場に到着した救急車に乗せられ運ばれていく相手を見送る事しか出来なかったあの日から月日は過ぎ、窓の外を見ればとうとう小雪がちらつく季節となっていて。雪に声をあげるクラスメートを他所に自分が相手の病室にすら赴けないまま過ぎていった時間の流れを突きつけるようなそれに小さく呟きを漏らせば思わず窓から目を背けて。あの日から相手は学校に来ておらず、クラスに確認を取りに行っても入院しているという噂程度の情報しかえられない状態で相手のいない学校で過ごしており。恐らく運ばれた病院には目星もついているし、その場に行って看護師に事情を話せば相手の元へ行くのはきっと容易かっただろう。しかしそれが出来ないのは恋人が自分のせいで怪我を負ったという罪悪感、傷ついた相手を前にして何もできなかった自分へのやるせなさからどうしても赴くことは出来ず。慣れたくもないのに相手の居ない学校での生活への違和感が徐々に薄れてしまっている中、小さく溜息をつきながら立ち上がると沈んだ気持ちをどうにか紛らわせようとおもむろに教室を離れ、廊下を当てもなく歩き始め。)
(/早速冬の場面まで飛ばさせて頂きました。いえいえ、辛い思いも上原君との思いを深め合う手段であればなんのそのですよ!(←/
では引き続きよろしくお願いいたします。本体はこれにて一旦引っ込ませて頂きますね^^)
――邪魔だ、退け。
(退屈な授業が終了した途端に騒がしくなる教室。窓の外ではいつの間にか雪がちらつき始め、はしゃぎ出す生徒達が尚更煩わしく感じられる。静かな場所を求めて廊下に出れば、そこでも固まってくっちゃべる生徒達。よくもまあそんなに話す事があるものだとある意味感心しながら通路を塞ぐそれらに冷たく一言放ち。そそくさと逃げるように道を開けながらもちらちらと此方を気にする生徒達に煩わしそうに舌打ちすれば、また歩みを進めて。─…久々に訪れた学校は酷くつまらない印象を与えた。気が付くと病室のベッドの上にいた自分にそれまでの記憶が無く、目覚めた当時は全身を襲う痛みに堪えるのが精一杯で、自分自身に関する記憶さえ定かではなかった。ある秋の日歩道橋から転落したらしいが、事故当時誰と居たのか、何処へ向かう途中だったのかさえ思い出せず。後から聞かされたのは髪の長い女と一緒だったという事、しかしその女とどんな関係だったかさえ分からない。思い出そうとする度襲い来る頭痛に、いつしか考える事を放棄するようになってしまっていた。人を避けるように自然と足が向かった先は屋上。この天候と寒さでは他の生徒がいる筈もなく、漸く一人になれた解放感からゆっくりと息を吐き出すと、曇り空から舞い落ちる雪をただ見つめて)
――かず、さ…?
(廊下を歩けども行き場など見つからず、結局相手がよく訪れていた屋上に足が向いてしまい。相手のいない屋上など行っても意味などないというのに、それでも無意識に向かってしまうのは罪悪感からか今もくすぶり続ける恋心故か、相手はもしかしたらもう自分などどうでもいいかもしれないのにそんな自問自答を繰り返しながら屋上へ繋がる重たい扉を押し開いて。冷たい風と共に吹き込んでくる雪に思わず目を細めた先に見えた人影、こんな時期に屋上に訪れる奇特な人間が自分以外にも居たのかと目を凝らしてみれば、その姿が自分が散々心に浮かべていた彼だと分かり。具合は良くなったのか、いつから学校に来ていたのか、自分のことを怒っているんじゃないか、今までぐるぐると脳内を回っていた疑問が一気に流れていく中、どくどくと高鳴る鼓動を押さえ歩みを進めると言いたいことはたくさんあるのにどうにも上手く言葉に出来ない唇から零れたような小さな呼びかけを向けて。)
――…誰だ、お前。
(ただぼんやりと舞い落ちる雪を眺めていると、背後で扉が開く重い音がし。そちらに視線をやれば、己を見て何やら驚いたような表情を浮かべ佇む一人の男子生徒。ゆっくりと此方に近付いてくる彼はやがて目の前で止まり。視線が絡む中、形のよい唇から告げられた己の名に、何故だか一瞬胸がきゅっと締まるような不思議な感覚が起こり。しかしそれは直ぐに“何故自分を知っているのか”という疑問に変わり、訝しげに細めた瞳で相手を見据えて。下の名で呼ぶからにはそれなりに親しい間柄だったと考えるのが自然だろうが、下の名で呼ぶ事を許可する程親しかった友人が居たとは考えにくい。以前とは違う、何処か冷たさを感じさせる眼差しで相手を捕えたまま答えを求めて)
…なにそれ、ベタ過ぎて笑えないんだけど。
(やっと会えた最愛の人、その口から零れた言葉に一瞬はあの事故のことを怒っているから出た冗談か何かかとも思ったがいくら怒りを抱えていても相手がそんな冗談を口にするとは到底思えず、すぐには理解できずともその言葉から相手の今の状況を何となく推測してしまい。冷たい視線に喉の奥の辺りがつんと痛むのを感じながら、相手までは到底聞こえない様な掠れた小さな声で言葉を漏らすと上手く動かない表情をどうにか口角を上げることで笑みに近いものにすればゆっくりと相手の方に歩み寄っていき。「俺は原田椿、お前とは別のクラスだけど時々遊んだりしてたんだよね。えっと…記憶喪失?とか、って認識で合ってんのかな?お前事故に遭ったってだけは聞いてたんだけど。」あくまで自然に、心配以外の感情を悟られない様に、今までにないくらいどくどくと脈打つ鼓動を抑えながらまるでただの友人同士のように相手にだめ押しの確認を問えば、相手の視線から逃げる様に目を逸らしたまま唾を飲み下して。)
原田……椿…。…知らねぇな。
(相手の唇から紡がれた名を繰り返し口にした瞬間ズキリと襲う頭痛に僅かに眉をしかめ。しかしその痛みは一瞬で、名前の響きを頼りに記憶を引き出そうとするも無駄に終わり、小さく首を傾げながら感情のない声音で返し。大抵の連中は関わりたくないのだろう避けるように過ぎていくが、記憶を失った事を知り面白がって近付いてくる奴等もいた。見るからに問題児そのものであるあの連中と、目の前で気まずそうに視線を逸らしている相手とではタイプが違うものの、自分達が友人関係にあったという話も信憑性に欠ける。ならば相手も奴等と同じく興味本意やら冷やかしでの接触なのだろうが。己を拒むかのように逸らされたままの瞳がやけに不愉快で、退屈な学校と鬱陶しい連中の間に生じた苛立ちも相俟り、目の前の相手で憂さ晴らしをしてやろうかという思いに駈られ、すっと瞳を細め。一歩距離を詰めては“こっちを見ろ”とばかりに胸ぐらを乱暴に掴み、嘲るような瞳で見据え言葉を放ち)
…なあ、どうせお前も面白がってるんだろ?記憶喪失の奴と接触する機会なんざそうそうねぇからな。何が聞きてぇのか言ってみろよ。
…そっか。やっぱ、そんなもんか。…そっか。
(そうかもしれないと、前もって自分で予測していたにも関わらず相手の口から零れた"知らない"の一言が胸に重く響き、思わず震えそうになる吐息を堪えゆっくりと息を吐き出しながら自分を納得させるように声を漏らし。二人だけの秘密ということは誰にも知られない優越感を得る代償にその関係が酷く脆くなるもの、口外出来ない関係を結んだ時点でその繋がりの希薄さ位分かっていたはずなのにいざ今の状況に立たされると頭はちゃんと回っているはずなのに心がついていかず、呟きを漏らしたきり動かなくなっていた体を乱暴に揺さぶる手に漸くはっと気づき。もう優しい相手の手しか、出会ったばかりの頃の粗暴な扱いなど思い出せない程染みついた記憶すら壊していくような荒い手つきで胸倉をつかまれれば自然と相手と目を合わせることとなり。恋の甘さも愛情の熱も感じない相手の瞳に思わず息を飲んでから今にも泣きだしてしまいそうなほど震える心を静め胸倉をつかむ相手の手にそっと片手を重ねると最後の問いを口にして。)
――棗、は…棗のことも、覚えてないのか…?
――…だから知らねぇっつってんだろうが。自分の事すらまともに分からなかったのに、他人なんか覚えてる筈がねぇんだよ。
(乱暴に掴みあげた相手と漸く絡んだ視線に心臓がドクンと鳴る。今にも泣き出しそうな脆さと、何かに必死に堪えるような強さが混合する瞳に惹き付けられるような感覚に言葉に詰まり。己の手に重ねられた掌の温もりが何処か懐かしく感じられ、切なさに似た何かが胸の奥でざわざわとし、妙に落ち着かなくなる。正体不明の感情に覚える苛つきが目の前の相手を冷たく突き放すような言葉へと変わるも、緩やかにだがはっきりと鼓動を刻む心臓が目の前の彼との何かしら関係があった事を物語っており。─“棗”、その名にやはり覚えがないものの、何故か知りたくなる、知らなくてはいけない、そんな感覚を呼び。しかしそれが“棗”という人物に対してなのか、“目の前の彼”に関してなのかさえわからず、再びズキンズキンと痛みを繰り出す頭を片手で抱えては、「…っ、離せ…!」重ねられた手をわけもわからず乱暴に振り払うしかなくて)
ッそう、だよな…うん、ごめん。…病み上がりにちょっかい出して悪かったな。
(記憶を失っていてももしかしたら自分のことは忘れないでいてくれたら、そんなエゴにまみれた願望が叶うはずもなく無情にも言い渡された答えに頭を整理している暇もなく乱暴に手を払われるとその粗雑な扱いよりも痛みに頭を押さえる相手の方が気になってしまい思わず手を差し伸べようとし。しかし自分が相手が記憶を失った原因であること、もう恋人同士でもただの友人同士ですらないこと、乱暴に手を払われてしまったこと、その全てが相手に手を差し伸べることを邪魔し、少しだけ宙をさまよわせた後差し出しかけた手を引っ込めると困ったような、寂しいような、何とも言えない笑みを浮かべながら言葉を掛けて。もし目の前の彼の頭痛が自分だとしたら、自分との思い出を思い出すことを彼自身が拒否しているのだとしたら、そう考えればこの場に我が物顔でとどまり続けていられるはずもなく。小さな声で相手に謝罪を口にしてからそっと相手の元を離れると震える体をなんとかいなすように奥歯を噛み締め、掌に爪痕が残りそうなほど拳を握りしめながらゆっくりと歩き出せば屋上を後にしようと扉の方へと向かって。)
(/一先ず記憶喪失後の出会いとして話を進めさせて頂きましたが、この後は引き留めるなりそのまま退出させるなり上原様のお好きなように勧めて下さって構いません。この場面の後はそろそろ傷心の原田に菅野くんを投下しようかな、と思っていたのですがもし上原様の負担にならなければ軽いロルでいいので菅野くんの操作をお任せ出来たら、と考えています。というのも落ち込んでいる自分を自分が操る当て馬さんに慰めてもらう、という自慰的行為に何だか抵抗感があり…登場させるかはまた話し合いを経てから、となると思いますが仮に茂庭ちゃんを再登場させるのであればそちらは私が操作させて頂こうと思います。
あくまで余裕があればのお願いですので、難しければ菅野くんも此方で操作させて頂きます!ご返答お待ちしております^^)
…待……て、よ…。
(ズキンズキンと脈打つ痛みに堪えながら頭を抱える己の耳元に届く声は悲しみと寂しさを帯びているようで、何故だか此方まで苦しくなり。己から離れていく気配を感じればズキリと切なく胸が痛む気がして引き止めようと口を開くも、掠れたその声が相手に届く事はなく。自分でもよくわからない感情に心を揺さぶられながら、痛みによる軽い目眩で歪む視界の中、去り行く相手の背を見つめ立ち尽くし)
(/記憶喪失後の再会という事で、一先ずこの辺でとどめておく事にしました。菅野くんの操作については上原と共に上手く回していけるか自信はありませんが、椿くん本体様のご協力を得ながら出来るだけやってみますね!
ちなみに菅野くんの雰囲気というか話し方というか椿くんへの接し方的なもので希望というかイメージはありますか?簡単なロルを回すにも、もしそちらのイメージ等あれば大きく崩してしまっても申し訳ないなと思いまして…特になければないで結構です。
茂庭ちゃんですが、棗と混合している…という事でしたので、もし登場するならあの日自分と一緒に居た(恋人関係にあった)のは茂庭ちゃんかもしれない、もしくは茂庭ちゃんだと思い込んでいた方がいいのでしょうか?仮にそうだとしても上原は椿くんに対する感情を茂庭ちゃんに持つ事はないので、“何か違う”と疑問を抱くわけですが。
取り敢えず菅野くんに関しては椿くんとの絡みを目撃する事になると思うので、そんな二人を見て芽生える嫉妬が次第に独占欲に変わり、やがて記憶を取り戻すきっかけになればと思います(笑)
次の場面は合わせますのでご自由にどうぞ!)
――…ま、来たってなんも変わんないことくらい分かってるんだけどな。
(何度も夢かと思いたかったあの邂逅から数日後、学校も終わり特に用事のない中向かった先は相手と最後の"恋人同士"をしたあの歩道橋で。自分と相手とが時折共に過ごしていたことを知っていたひとりである菅野の同行を許してしまったのはこの場に一人で戻る勇気がなかったからかはたまた誰でもいいから慰めを施してくれる相手が欲しかったからか、どちらにせよ自分勝手な理由で友情から同行を願い出た彼を利用する形で共にこの場へと訪れ。階段の一番上に立ち、眼下を眺めながらそっと手すりを撫でると分かっていたというのに自ら傷を抉るような行為をしてしまったことによる痛みが胸に走り。後悔も悲しみもない交ぜになったような仄暗い思いに表情を浮かべることも出来ず独り言のような言葉を零し。しかし折角親切心から同行してくれた菅野を困らせるのは本望ではなく、どうにかぎこちないながらも笑みを浮かべると自分の背後に立っていた彼に目を向けて。)
…悪い、ちょっと被害者面してたかも。俺がこんなとこでふざけて上原巻き込んだのに、こんなの可笑しいよな。
(/菅野の操作の方引き受けて下さりありがとうございます!菅野に関して特にイメージしているものはありませんでしたが、強いて希望を言うなら茂庭ちゃんのような適度なしたたかさがある子だと嬉しいですかね。とは言え大したイメージは前述のとおりありませんから、上原様の動かしやすい子にしていただければ幸いです^^
そうですね、茂庭ちゃんに関してはそのように認識していて下されば有難いです。茂庭ちゃんは悪い子ではなくとも必要とあらばぐいぐい押していくような、気持ちの強い女の子をイメージして操作させて頂いていますので、和瑳くんの思い違いにも便乗していく所存です(笑)
一先ず場面は記憶喪失の和瑳くんとの顔合わせから少し経ったくらいの放課後にさせて頂きました。その間は原田の方から和瑳くんを避けてしまっていた、という感じが妥当でしょうかね。早速菅野くんを試験的に(?)投入してみましたので、操作してみて頂けますでしょうか?よろしくお願いいたします^^)
((夕日に染まった空の下、事故現場になったという歩道橋から眼下を眺める友人の背中をただ黙って見ていた。普段通りを努めながら語る彼の背はいつもより小さく見え、悲しみと寂しさを含んだその声は自分自身を責めているかのように響き、正直どう声を掛けていいかわからず一度視線を外して。慰めればきっと、心配かけないようにと笑ってくれるだろう。けれどどんな言葉を掛けたところで現状が変わらない限り、彼の心が晴れる事はきっとない。そんな事がぐるぐると頭の中を巡り言葉を掛ける事を躊躇わせていたが、此方を振り返り儚げに笑む彼に救いを求められている気がして――))
『――…ま、被害者面したくなるのも無理ないんじゃん?そうでもしなきゃお前ぶっ壊れるよ。…全部忘れちまったんだもんな……恋人であるお前の事まで。』
((そんな彼を受け入れるように瞳を細めてふ、と柔らかく笑みを返せば、数歩前に出て隣に並び。手摺に腕を置き少し凭れる体勢になると相手からゆっくり外した視線をそのまま前方に投げ。遠くを眺めるようにしながら、まずは同情するような言葉を掛けて))
(/二人が一緒に居る所を上原が目撃する形で二人分のロルを回そうと考えていたのですが、思いの外菅野くんが長くなってしまったので、上原は一回休みにしました。←
菅野くんについてちょっと確認したいのですが、この菅野くんはあくまで友人として椿くんを心配し慰めるような形でいいのでしょうか?それとも密かに椿くんに想いがある状態で接するのでしょうか?前者かと思ってはいるのですが、自分が操作すると菅野くんに別の感情まで含まれてしまいそうで、友情なら友情ではっきり線引きしておかないと(自分が/笑)まずいと思いました…いや、今回のような余計な描写を付けなきゃいい話なんですが(笑)
あと、菅野くんは椿くんをどう呼んでいるのかなと。仲がいいから下の名前かと思ったのですが、椿くんが名字で呼んでいたので…今後使うかどうかわかりませんが、参考までに確認させて頂きました。菅野くんは簡単なロルでいいとの事でしたのて、次からは上原と交えながら上手く回せていけたらと思うのですが、何ゆえ未熟なもので分かりにくくご迷惑かけるかと思います。すみませんorz)
(/読み返してみたら誤字だらけで申し訳ないです…!何ゆえ未熟、ではなく何分未熟、ですorz
それから今後の茂庭ちゃんについては了解です!菅野くんも茂庭ちゃんのようにしたたかさがある子に出来たら…と思っていますが、何やら既視感ある口調になってしまったような…すみません。ご希望等ありましたらその都度お願いしますね^^)
あはは…ぶっちゃけ、恋人になれたってことの方が夢だったんじゃないかとか思っちゃいそうだわ。――でも、きっとその方が幸せだったんだろうなとも思うんだよな。元々がイレギュラーだったんだし。
(普通であれば友達から"男と付き合っている"なんて打ち明けられれば引いたり嫌悪したするものを、そんな風に対応することもなくむしろ今のように自分を慰めてさえくれる友人に恵まれたことに心から感謝しながら乾いた笑い声を漏らした後、少しだけ視線を落として言葉を返し。そもそも付き合っていられたということが普通に考えれば可笑しなことだったわけで、そんな幸せに甘えてしまっていた自分を再認識すると諦めたようなセリフと共に思わず眉を寄せ困った表情を浮かべ。「――もう、俺も忘れちゃった方がいいのかもな。…ッよし!菅野、驕ってやるから飯付き合えよ。」冗談を吹かすように、しかしどこか現実味の覗く言葉を相手に呟いてからそっと唇を噛み締めるとゆっくり階段を下っていき。何か食べて忘れる、そんなことがこの場合も効果を発揮するとは自分自身思ってはいないがそれでも何かしなければこのまま沈んだままなような気がして、階段を降りたことで少し目線より上になった相手を見上げながら夕飯に誘うとにっと笑みを浮かべて見せて。)
(/そうですね…菅野くんの感情についてはそれこそ熱烈に想ってくれる、なんてものは違うと思っているのですがきちんとは考えていませんでした;;正直そんなにごろごろ同性愛者が居るというのもどうなんだろうとも思いますが、恋に恋するようなあくまで茂庭さんよりももっと淡い程度の想いならお話のスパイス程度に収められて良いのでは、と考えています。しかしここは操作をお任せしました上原様のやりやすい形を優先して下さって構いませんよ^^
呼び名に関してはやはり苗字呼びが妥当かなと思います。名前呼びというのに個人的には強い思い入れがありますし、なにより男子高校生位の年齢なら友人は苗字呼びが比較的自然かと思います。
菅野くんの操作等、我儘を聞いて頂いて本当にありがとうございます!こちらこそまだまだ未熟な面の多いロルかとは思いますが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。)
『おう!今日は飯でも何でも付き合ってやるよ。』
((冗談や諦めを織り交ぜながら呟く彼の横顔はやはり何処か辛そうで、どうする事が最善策なのかわからず、肯定も否定も出来ぬまま再び視線を前へと戻し。何となくもやもやとした感情が胸に残るまま、階段を降りていく彼に続きその場を離れ。やがて向けられたいつも通りの笑みに此方もにっと笑い返しながら快く誘いに乗れば隣へと歩み寄り。「飯のお礼に胸くらい貸してやってもいいんだぜ?」少しばかり雑に頭をわしゃわしゃと撫でるように揺らし笑いながら冗談を飛ばせば、元気付けるように背中を叩き))
───
(何となく真っ直ぐ帰宅する気分になれずあてもなくその辺をふらふらと歩く中、気付けばあの歩道橋に向かっていた。事故現場となったあの歩道橋に向かえば何か思い出すだろう、そういったものとは少し違う感覚に誘われるように。事故当時自分と一緒に居たという“髪の長い女”は依然誰なのかはっきりしない。もしも己と親密な関係にあったとすれば、何故接触して来ないのか。記憶を無くした己にもう用はないのかもしれない。以前の己なら、それはそれで構わないと簡単に割り切っただろう。なのに今回ばかりは諦めがつかないのは、思い出さなくてはいけないという直感が、その人物が己にとって大事な存在だったという可能性を示しているからで。伏し目がちだった視線を上げれば歩道橋はもう目の前。じゃれ合いながら此方に向かって来る、己と同じ制服を着た男子生徒達にふと目が向かう。その内の一人、見覚えのあるその顔は先日屋上で話した彼。どういうわけか一瞬ドクンと鼓動が震えたかと思うと、歩む足がゆっくりと止まる。視界に彼を捉えたまま、何故か頭に残っていたその名が自然と唇から零れ)
――…原田…椿…。
(/菅野くんの呼び方や感情の件、了解しました!感情面については展開に添って必要であれば若干変化させていく感じでいこうかなと思っております。此方こそ今後も宜しくお願いします。)
っばぁか、俺ソッチの気とかないから遠慮するわ。どうせなら女の子、に…――ッ!
(彼にしてみれば今の自分との会話など面倒以外の何物でもないはずなのにこうして冗談で自分をどうにか和ませようとしてくれるその気遣いが申し訳ない半分弱った心には有難くて。恋人だった彼のものとは全然違うけれど同じように自分を落ち着かせてくれる頭を撫でる手に聊かくすぐったい思いになりながらも応えて。女の子と、なんて口にしてみたものの今更異性と付き合うなんて出来るのか、そんなことを考えていた最中前の方から聞こえた自分の名を呼ぶ声に顔を上げると、そこに居た相手に思わず言葉をなくし目を見開いて。)
――…菅野、行くぞ。
(あの日あの歩道橋であの事故さえ起きなければきっと今も隣で笑い合っていただろう相手との再会、例の歩道橋からほど近い場だということもあって酷く気まずくて、ふと目を合わせない様に視線を下げてしまい。屋上で再会した時とは違い今は菅野も共にいて、ここで目の前の彼と長く話してしまうのは折角自分を気遣ってついてきてくれた菅野に気まずい雰囲気を強いることとなってしまうと判断し。先ほどまで自分の頭を荒く撫でていた菅野の腕を掴み、小さく声を掛けてからその腕を引いて彼の横を過ぎ去ろうとして。)
――…おい、
(驚いたような表情を向けてくる相手が気まずげに視線を逸らし、己の横をすり抜けようとする瞬間まで彼から少しも目を離せずにいた。擦れ違い様に思わず呼び止めてしまったはのは、“逃げるような態度を取られた事が癪に障った”、単にそれだけでは片付けられない何かが胸の奥でざわめいたからで。それは先日彼と顔を会わせた屋上で彼が去りゆく際感じた、あの切ないような胸の痛みとよく似ていて。衝動的に呼び止めてしまったものの、正体不明の感情を抱えたままではこの場に相応しい言葉を掛けられず、開きかけた口を一度閉ざし。もどかしさからか無意識に拳をぐっと握りつつ、ふと思い浮かんだ疑問を投げ)
お前がこの前言ってた――…、棗…って奴。誰の事だ?俺と関係あんのかよ。
───
『…あ。』
((じゃれ合いながら歩く中、不意に原田の様子の変化に気付き視線を前に向ければ、まさに今話の中心になっている彼が立っており、小さく跳ねる心臓と共に間抜けな声が漏れ。反射的に隣の原田に視線をやれば、やはり気まずいのだろう俯いてしまっていて。一方で、自分の事など目に入らないかのようにずっと原田に視線を定めたままの彼。その場の妙な緊張感に包まれながら視線を交互に二人にやった後、此処は二人きりにすべきだという考えに至って。隣の原田に向かって声を掛けようとした途端、グイと腕を引かれ。『え。あ、ああ…』気の利いた言葉も出ず、立ち尽くす上原の横を引かれるがまま過ぎるが、“本当にいいのか?”という思いが動きを鈍らせ。原田の横顔を見やりながら『なぁ、原―…、』口を開きかけたその時、不意に投げられた声にピタッと足を止め))
――忘れるくらいなんだから、大した関係でもなかったってことだろ。その程度の奴だったなら、今更知り直す必要もないんじゃないの?
(何も考えず、ただ辺りを歩く見知らぬ誰かとすれ違う時のように傍を通り抜ければいいだけ。そう自分に言い聞かせながら数日前まであんなにも恋焦がれていた彼の横を過ぎようとした最中思わぬ呼び止めに体を固くして。振り返る事こそしないもののその場に立ち止まり相手の声に耳を傾ければ、言葉の一つ一つが自分との関係を否定するような問いかけにすうっと頭の中が静かになり。しらばっくれることも、初めて出会ったあの日のように適当に嘘をつくことも考えられないほど静まり返った頭の中で、漸く口に出来た言葉は自分との関係を忘れてしまった相手への冷たい非難を含んだ自虐じみた台詞で。こんなことを口にする自分を関係を知る友人はどう思うだろうか、自分が腕を掴む菅野が余計なことを漏らさぬ様にと掴んでいた腕に力を込めると次第にずきずきと鋭い痛みを訴え始めた胸の辺りを空いた方の片手できつく握りしめながら沈んでいく気持ちを何方にも悟られない様にわざとらしいくらいの笑みで上原の方を振り返って。)
――忘れて、思い出せなくて、人に聞かないと存在を認識できない様な相手なんて…そんな奴、思い出す必要もないだろ。
…かもな。けどよ、お前のその言い方だと、思い出して下さいって言ってるようなもんだぜ。
(振り返った彼が浮かべる笑顔に心なしか深い悲しみを感じた瞬間、ズキリと胸に痛みが走る。彼の言う事は尤もかもしれないが本心は別の場所にある、そんな気がしてならず。――以前も自虐的な発言をする“誰か”とこんなやりとりをした事がある――、そんな感覚が生まれる中、特別な存在に拒まれる事への反発心を己は確かに知っている事を知る。その“誰か”がもし目の前の彼だとすれば、己は彼とどう接していたのだろうか。朧気に浮かぶ記憶を必死に繋げようとするが、波打つように起こる頭痛がかえって記憶を混乱させ。痛みに目を細めつつ、答えを探るように目の前の彼の瞳を見つめ。少なくとも彼が己と繋がりがあった事を確信した今、真実に触れたくなり、彼の隣で黙って動向を見守る管野に声をかけ)
おい、少しこいつ…原田を貸せ。
──
『あー…悪いけど無理だわ。俺は俺で原田に用あるし、原田の言う事も一理あるんじゃね?思い出せないなら、あんたにとって棗もこいつもその程度だって事でさ。』
((原田に掴まれたままの腕にぐっと力が加えられ、反射的にそちらを見やる。それが“余計な事を言うな”という制止の合図だと理解出来たものの、隣で笑う原田があまりに辛そうで見ていられなくて。上原との関係を知らされた時は驚いたが、なんだかんだで原田の事は応援してきた。しかしあの事件以来、自分達に心配をかけまいと普段通り振る舞おうとする原田が時折酷く寂しそうな顔をするのを見てきたからだろうか。これ以上苦しまなくていいんじゃないか、全うな恋をし幸せになるべきではないか、そんな感情が一気に押し寄せ、原田と話がしたいという上原にそう口走ってしまっていて。原田の気持ちを無視した言動、そして不良として嫌厭されてきた上原に対して向こう見ずに突っ掛かった事を後悔してしまわない内に原田の腕を掴めば「ほら、行くぞ。」と半ば強引に腕を引き、その場から立ち去ろうとし))
――ごめん…もう、そういうの無理。
(自分との日々を忘れてしまっていても相手は相手なのか、まるで此方の心を見透かしたような返答に思わずどきりとしてしまうとどうにか作り上げた笑顔が少しだけ崩れたのを自分自身感じて。早く表情を取り繕わなければと思うのにどんどん胸に広がるもやにどうしたらいいかも分からずゆっくりと顔を伏せていってしまい。そんな中突然上げられた友人の言葉に驚き顔を上げそちらを見上げると此方の不安定な気持ちを察してか掴まれた腕に強い安心感を覚えてしまい。友人の優しさが傷ついた心に効いたからか、恋人だった彼からの言葉が悲しかったからか、どちらのせいかは分からないもののじわりと目頭に熱いものが込み上げてきて。自分を先導してくれる友人の後を追いながら最後に一度振り返り相手に視線を送ると、笑っているというにはあまりに寂しげな、我慢したものが今にも溢れ出してしまいそうなのを堪えているような表情で小さな拒絶を口にして。)
…菅野、ありがと。…ッ、ふ…ほんと、お前いい奴だな…っ
(恋人だった彼に対して初めて口にした、喧嘩や嫉妬のような外的要因のない純粋な拒絶に自分まで精神的にショックを受けてしまい。彼に背を向け自分を助けてくれた菅野に礼を言うなりそれまで我慢していたものが決壊してしまったようにくしゃりと顔を歪めると掴まれていない方の手で前髪を掻き乱しながら嗚咽を漏らして。声だけはどうにか震えないように、そう思えば思うほど不安定に揺らいでしまう声で何とか言葉を口にすると瞳からぼろぼろとこぼれ出す涙を乱暴に手の甲で拭って。)
――おい…!てめぇ…っ…
(大抵の人間なら己と関わりたくないが故渋々従うだろう。相手の隣に立つ彼もまた同じだろうと踏んでいた為、思いの外強気な反発と彼を守るかのような態度に驚き、目を小さく見開き。次いで湧くのは屈辱と、言い様のない悔しさで。その悔しさは単に自分の思うようにならなかった故のものなのか、或いは自分の大事なものでも取られたかのような錯覚を起こしたからなのか。自分自身の感情がはっきりしないまま立ち去る二人の背に苛立った声を投げるも、振り返る相手の表情が余りにも儚く寂しげで。喉が焼けるような鋭い痛みを覚え、言葉に詰まってしまい。己への“拒絶”に覚えはある気がするが、それに抗う為の確たるものを持ち合わせておらず。嫉妬心と呼ぶには不確かでもどかしい感情に奥歯を噛み締めながら、離れていく相手の背をただ見つめるしかなくて)
──
『…やっべ、今頃になって心臓バクバクして来たんだけど。後でシメられっかな、ははっ』
((原田を連れ去った後、取り敢えず向かったのは近くの公園。未だ気持ちの整理が仕切れないだろう原田をベンチに座らせると、温かい飲み物でも購入しようと向かった自販機で、彼が昼休みに時折飲んでいたミルクティーを購入し。ホット缶を二つ手にし俯いたままの原田の元に戻れば、若干おどけた調子で心境を口にしながら缶を彼の手に持たせるように押し付け。記憶を失っているとはいえ、先程の言動が上原の怒りを買っただろう事は間違いない。喧嘩慣れしている上原に対し恐れはあるものの、自分がした事に不思議と後悔はなく。涙のあとを残す相手を前に心なしかきゅっと胸が切なく締まる気がし、僅かに戸惑いを覚えながらも見守るような柔らかい笑みを浮かべ隣に腰を下ろし。彼を連れ出す最中、“ありがとう”、そう伝えられたものの、彼の本意にそぐわない余計な事をしたのではないかと今頃不安になり。「なあ…これで良かったんだよな?お前的に、さ。」と、顔をそちらに向けながら何処と無く遠慮がちに探るような訊ね方をし))
(/上原と菅野くんの同時進行、思うように動かせず、わかりにくいのなんので大変ご迷惑お掛けしておりますorz 上手く合わせて下さり有難うございます!
さて、上原とは一時別行動となってしまいましたので、椿くんと菅野くんのやり取りが一段落したら、また別の場面から始めた方がいいですよね?今回の件が菅野くんに対しての本格的な嫉妬心の伏線となればと思っております(笑)またご意見等ありましたらいつでもどうぞ!)
――お前何聞いてた訳?不満あったらありがとうなんて言わないっての。
(一度は愛を囁き合った彼を振り払い逃げる様にあの場を後にしてしまったことに後悔がないかと聞かれれば自信を持って応えることはまだ難しくて、けれど連れ出してくれた菅野への感謝の思いも確かなもので。自分に気を遣ってか飲み物を買ってきてくれた相手からミルクティーの缶を受け取り冬の風にさらされてひんやりと冷たくなってしまった自分の頬に暫し当てて温まってからタブを開けると中身をごくりと飲み。温かく甘ったるいミルクティーは例えるなら相手の優しさをそのまま形にしたようで、ゆっくりと染み渡るようにして胃の中を温めていく感覚にほっと息を漏らして。久しぶりに心の底から安心できたようで、上原に会ってからずっと強張っていた体がほぐれていく感覚を感じながら相手の声に耳を傾ければ案の定口を出したことに不安げな声を漏らしていて。相手らしいと言えば相手らしいが、そんな相手に救われた身としては少々複雑で拗ねたように唇を尖らせながら言葉を返すと最後に我慢できなくなった様にふっと笑みを零し。まだ温かい缶に両手を添え冷たくなった指先を温めながら一度息を吐くと、少しだけ真面目な顔になり呟くように言葉を続けて。)
…これで良かった、とは思えないけど…それでもお前に助けてもらったのは確かだし。そもそも、関係ないお前を巻き込んじゃったのは俺だし。…お前が何言ったとしても関係ないよ、この問題は俺とあいつで解決しなきゃいけないことだから。
(/いえいえ、分かりやすく纏めて頂けてこちらとしては楽しくやり取りをさせて頂いております^^
そうですね、次くらいには一度菅野くんを外して二人で話し合うような長めの場面を組めたらと思っております。今回の伏線もありますし、そろそろ本命の上原君ときちんとやり取りしなければという感じですし(←/
ではではある程度今の場面が落ち着きましたら次こそ上原君ときちんとお話しさせたいと思います(笑)上原様にも次の場面のイメージ等などございましたらお聞かせいただけると有難いです!)
『あ、関係ないとか言っちゃう?少なくとも辛そうにしてるお前を放置出来るほど薄情でも浅い関係でもないと思うんですけどー。』
((温かい飲み物で少し落ち着いたのか、普段の原田に戻りつつあるのを見てほっとし、掌の上で缶を幾度か軽く放って遊んだ後タブを開け一口飲んで。今回の件に巻き込んでしまったと申し訳なさそうに原田は語るが、迷惑だと感じる事はなく、むしろ遠慮がちなその発言に寂しさを感じており。とはいえ、普段ふざけ合っている事が多いせいか“友達なんだからもっと頼ってほしい”、そんなストレートな言葉を掛けるのは少々気恥ずかしく、何処か拗ねたような口調で冗談半分に返してやり。そんな中彼が表情に真剣味を纏った事を察すると、耳を傾け此方も真剣に見つめて。やがてふっと控え目な笑みを浮かべながら空に視線を移し、「そっか、やっぱ避けて通れない問題だよな…」静かに相づちを打ち。解決しなくてはならないとはいえ、やはり大切な友人である彼には笑っていてほしいという思いが強く働き、余計な世話かもしれない事を口にして))
『…原田さ、上原を諦めて新しい奴見付けるって選択肢はねぇの?今度はもっとフツーの、さ。』
(/了解です!では一段落ついたら一度二人きりで話させましょうb
そうですね…、菅野くんと仲良くしているところに嫉妬して椿くんを拉致でもしましょうか。←
…なんて、実際具体的な場面は考えていなかったのですが、まだ思い出さない方がいいですかね?記憶は曖昧なまま、ただ椿くんが気になって気になって、一緒に居ると椿くんに恋をしているような感覚に陥るけど、それはないと認めたくない部分もあり葛藤中のような。上原の感情やその他展開について、本体様にご希望等があれば是非そのようにしたいと思いますのでお聞かせ下さいね^^
余談ですが菅野がチョイスしたミルクティーは、椿くん(棗ちゃん)とのカフェデートの際、椿くんがオーダーしていたので好きなのかなと、昼休みにも飲んでいた設定にしてしまいました。勝手にすみませんでしたorz)
…諦めるのは、もう少ししたら出来ると思う。…けど、新しい奴は、正直見つけられる自信ないや。普通の、女の子でも…男でも、どっちで考えても多分無理。時間が解決する、とかよく言うけど…時間なんかで忘れられるほど浅い傷じゃないんだよな。
(新しい相手を、という言葉はきっと相手でなくとも失恋をしたと言えば誰しも掛けてきただろう平凡な言葉、しかしその言葉に思わず動きを固めると深く息を吐き。自分の膝に両肘をつき、手にしたミルクティーの缶を傾けないようにしながら上体を低く倒すと少しだけ沈黙した後、ゆっくりとその言葉に応えて。きっと諦めるという行為だけならきっと上原が新しい相手でも見つければ自ずとどうにか出来るはずだと感じる反面、自分が上原以外の誰かを見つけるとなるとそのビジョンが全く浮かばずつくづく彼に毒されてしまった自分を自嘲するように笑って見せて。相手が男でも女でもきっと上原のことを忘れるなんて出来なくて、そんな中途半端な状態で誰かを愛せるほど自分は器用じゃない、だからこそはっきりと言い切る形で首を横に振りながら相手に応えると姿勢を低くしたままそちらに顔を向け。)
…まあ、だから今は取り敢えず、諦めることに全力尽くしてみる。折角俺みたいなのと離れられたんだから、あいつにはちゃんとした恋愛して欲しいし。いつまでもこんなうじうじした態度じゃお前にも悪いしな。
(/拉致ですか、とっても燃えますね(←/
そうですね…もし思い出す場面がまだ漠然としているのでしたら、原田のうじうじした建前をぶち破るようなアクションを思案中なのでそこに絡めて思い出してもらえる形に出来ると有難いです!とはいえそのアクションもまだ何となくと言いますか、原田自ら自分の汚い部分を上原君にぶつけるようなものにしたいなあ…程度にしか考えていないのですが;;
上原君については現在の葛藤している感じがとっても好みで…!認めたくない、という想いから原田を遠ざけるなり茂庭ちゃんに走るなり、何か大きな展開をひとつ組み入れて頂けると上記の原田ぶち破り計画(←/につなげて頂けるんじゃないかなと思います。
わああ!勝手だなんて、そんな注文の内容まで覚えていて下さったことがもう嬉しいです!当方高校生というと何となく紙パックにストロー刺して飲んでるイメージがありまして、お蔭さまでたった今原田の好きな飲み物がリプ〇ンになりました(笑))
(/本体のみで失礼します!返事が大変遅れていて申し訳ありませんorz
もっと早く返すつもりでいたのですが、思いの外日が経ってしまっていた事に驚いて慌てて謝罪だけでもと。出張中で帰宅時間が遅い日が続いていた所体調を崩したりとちょっとバタバタしておりましたが、漸く戻りましたので近々返させて頂きますね!毎回毎回本当に申し訳ありません。返事不要です。いつも有難うございます!)
『――…なんつーか…お前、思った以上にマジだったのな。いつの間にそんな深い関係になってたんだよ。』
((心境を語る相手の隣、黙って話を聞きながら、己が思う以上に相手にとって上原が大きな存在なのだと感じ。事故が起こる前、二人の関係を仲間内でネタにしてからかっていた事、そして今“他の相手を探したらどうか”等ありきたりな言葉をかけてしまった事。そんな浅はかとも言える言動が急に恥ずかしくなると同時に、関係の深さを匂わせる相手の発言に複雑な感情を抱いてしまう自分にもやもやして。此方に向けられている視線に気付いても何となく目を合わせられず、すっきりしない感情を払うようにミルクティーを喉に流し込めば、そこで漸く彼に顔を向け、からかい混じりに返し。普段明るく振る舞っているとはいえ、一人で抱え込む癖のある相手をやはり心配せずにはいられず、口元に笑みを浮かべたまま半分真顔で見つめて)
『…ま、お前が諦めるって言うなら止めはしねーけど、あんま無理すんなよ。無理に諦めようとすんのもしんどいもんだし、これから先何かの拍子に上原がお前を思い出す可能性だって全くないわけじゃねーんだから。何となくだけど、お前の事気にはかけてるみたいだしさ。』
(/返事が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでしたorz
此方はどんな椿くんも受け止めるつもりでおりますので、その方向でいきましょう!椿くんへの感情が特別なものだと認めたくない上原には、茂庭ちゃんに走ったり椿くんを故意に遠ざけるような真似をさせられたらいいなと思います。菅野くんへの嫉妬は本来なら椿くんにぶつけたいところですが、葛藤中はそれを茂庭ちゃんで解消しようとしてしまう恐れが…。椿くんに目撃されたら大変ですね(笑)
高校生のパックジュースは今も健在なのでしょうか。いやはや懐かしいです^^椿くんは缶やペットボトルより紙パックなイメージですよね。屋上や教室なんかで仲間たちとくっちゃべりながら昼食とってそうです(笑))
…俺的には勿論思い出してもらえたらいいんだけど、あいつからしたら…思い出さない方が、いいんじゃないか、な…。別に悲観してるつもりはないんだけど、普通に考えて男同士なんて頭可笑しい関係から抜け出せて。あいつだって元から男が好きな訳じゃないんだし、これから思い出したりしなければ普通に女の子と付き合って、普通に結婚して、普通の未来が待ってて…。
(相手はからかうような明るい調子で自分の暗い思いを払拭しようとしてくれているのに、やはりまだまだ割り切って考えることなど出来ないのか相手のきっと何気なく放っただろう言葉に思わず手にしていた缶から唇を離して。記憶喪失とはいえ永遠に戻らないこともあれば記憶が戻ることだって勿論あるだろう、しかしそれは自分にとっては良いことでも上原本人にとっては果たして良いことだと言えるのだろうか。男同士というマイノリティーに身を落としこの先も自分に付き合わせていく未来から今解放され彼は自分と出会う前のように"普通"の生活に戻りつつある。男同士で付き合うことに散々悩み、彼に諭され自分も彼との未来を選択したが、本当ならばこんな関係はそれこそ忘れてしまうことが一番だったはずで。だからこそ彼の記憶が戻るように、と手放しで願うことも憚られてしまいちりちりと頭の芯が焦されているような感覚を覚えながら抑えられない思考を言葉にして放出すると思わず手にしていた缶をぱきりと歪む音を立てるほど強く握り、一度は留めたはずの涙が込み上げてくるのを再び感じながら悲劇のヒロインでも気取ったような被害者面の、自分が一番考えたくなかった結論を漏らして。)
――…ほんとは今が上原にとって良い状況で、それに困ってごねてんの、俺だけじゃん。
(/お返事ありがとうございます、わざわざ途中で声掛けまでして下さり此方も安心してお待ちすることが出来ましたよ!
おっと、茂庭ちゃんとの絡みがあると原田も早く覚悟を決めなければ…(←/そんな状態、勿論原田にもがっちり目撃してもらっちゃいますよー(笑)
高校生のパックジュースは私の頃はまだありましたねえ…ただ物ぐさ者が多くてよく一リットルパックから飲んでる風景が目撃できましたかね…;;まあ今の高校生のことなんて分かりませんし、どうせ名がバリバリ創作高校生にしちゃいましょう!実際高校の屋上って大体入れませんしね(笑))
『…まぁフツーに考えればそりゃ女の子と恋愛した方がいいよな。長い目で見た事考えてもさ。けど…上原は本当にそれでいいのかね。』
((今、目の前の彼にどんな言葉を向けても普段の笑顔が戻る事がないのは承知の上。話を聞くだけで何もしてやれない自分の無力さに、焦りのような苛立ちのようなモヤモヤした感情を抱え、唇を噛み締めながら彼の掌の中で軋む缶に視線を落とし暫し沈黙して。─…原田の言う事は正論だ。一般的に恋愛は男女でするもので、それを未来に繋いでいく。原田を忘れたままの上原はやがてまともな恋愛をするかもしれない。しかし本当にそれでいいのだろうか。あの事故がなければ今でも原田を愛していた筈。恐らくはそれなりの覚悟を持って。脳裏でぐるぐると回る考えても仕方のない疑問は、独り言のように唇からぽつりと零れ。自分が考えなしに洩らした発言で相手を更に悩ませてしまうだろう事に気付けばはっとし、やっちまったとばかりに気まずそうな様子を見せるも直ぐ様立て直し。負の感情に苛まされているだろう相手に明るい調子で声をかけ、最後は宥めるように声色和らげて))
『それは当然だろ。仕方ねーよ、そんなん割り切れねーもんは割り切れねーんだし。俺だってお前が突然俺を忘れちまったら納得いかないし、殴ってでも思い出させようとすっかもよ?…原田はさ、それだけ上原を大事に思ってるから自分をそこまで追い込んで悩むんだろ。』
(/いつもお優しいお言葉ありがとうございます…!出来ればお待たせしたくないので、もう少し間隔狭められるよう努力しますねb
今後の上原には葛藤する中、椿くんが絡むと感情任せに動いてしまうような部分もありな感じで、流れに添って動いてもらおうかと思いますので、ご希望等あれば細かい事でも是非お聞かせ下さいね^^)
…ほんと、お前がいて良かったわ。そういう風に言ってくれる奴いなかったら、もっと駄目になってたかも。
(きっと相手がいなければ自分はもっと暗く深い思考に落ち悩まされていただろう、こうして重苦しい言葉を吐くだけにまで陥ってしまった自分にも気を遣い話を聞いてくれる相手の優しさに救われる反面、それでも抜け出せないこれからについての思いに僅かに唇を噛み締めて。もうこれ以上相手まで困らせてはいけない、そんな考えが浮かんだのか再び込み上げてきそうになっていた涙を理性で押し留め少しだけまだぎこちなく笑みを浮かべて見せると相手に礼を言い。相手なりに考えて応えてくれた言葉だとしても、それでもやはりその言葉は当事者同士の問題に介入できるほどの力はなくて、解決しなければいけないのは相手の助けを借りない自分自身だと思い直すと空になった缶を手にしたままそっと立ち上がり。「なんか、暗い話ばっか聞かせてごめん。…もう少し、自分の中で整理するよ。」励ましの言葉は再起には確かに有効かもしれない、けれど根本を変えるのはあくまで自分でこれからのことをきちんと考え直したいのかぽつりと言葉を漏らすと僅かに顔を俯かせ。自分でも気付かないうちに長く語ってしまっていたのか辺りを見渡せばいつの間にやら随分と暗くなっていて、そろそろ相手も開放しなければと先に別れを伝える様にひらりと軽く手を振ると相手に背を向けて帰路を辿り始めて。)
――…長いこと話聞かせちゃってごめんな。じゃ、また明日。
(/随分と上原君に引っ込んでもらってしまっていたことに気付き一度レスを切らせて頂きました;菅野くんでの対応も丁寧で、本当にありがとうございます!
一先ずそろそろ菅野くんと語るのも区切りにし本命本元上原君ともお話しさせたいな、と思ったのですがどう出会わせようかまだ練れておらず…もしアイディアなどございましたらお聞かせいただけると幸いです^^)
『だろ?…なんてな、俺は実際話聞いてやる事くらいしかできねーし、後はお前ら次第だもんな。』
((相手がくれる笑顔はまだぎこちなさが残るものの、“お前がいてくれて良かった”、その言葉は十分嬉しい響きを心に届け。冗談ぽく笑ってみせるものの、これ程思い悩んでいる相手に対し何もしてやれないもどかしさ、本当の意味で笑顔にしてやれない悔しさを拭えず、もやもやとしたものを胸に残したまま少し真面目な調子で続く言葉をかけ。やがて静かに立ち上がる相手の憂いを帯びた横顔にまた胸がちくりと痛み、誤魔化すように視線を逸らした後に自分も立ち上がり。普段なら何の躊躇いもなく、別れを告げるその背を追って隣に並んだだろう。けれど、向けられたその背が一人になりたいと訴えているような気がして。「おう、また明日。気をつけて帰れよ」ただ一言呼び掛け、公園を抜けていく相手の背をその場で見送った後無意識に溜め息を溢せば、手にしていた缶を空き缶入れに放りその場を後にして))
(/了解しました!次の場面については自分もはっきりとした考えがなく…ただ椿くんと本格的に絡むというか椿くんがアクションを起こす前に、他の相手と仲良くしている椿くんを見てちらっと嫉妬のようなものはしてみたいですね。上原が自分の感情にいよいよ疑問を抱くくらいの。椿くんを思い出すきっかけとなる大きな絡みの前に、椿くんと一緒にいてもまだ自制出来る段階(葛藤中)での絡みもあった方が面白いのかなと思ったのですが…今の状態で何気ない絡みを入れてしまうと不自然ですかね?例えば何かの拍子で一緒に昼休み過ごしたり下校する事になったりする中で“随分あいつと仲いいじゃねぇか”的な嫉妬心が見え隠れする事を溢すとか。それだと展開に差し支えが出てくるとかまどろっこしいようでしたら急ぎ足で椿くんのアクションまで飛ばしても構いませんし^^
此方も悩み中なので、ご希望やアイディア等お聞かせくださると助かります!)
(/絡みに区切りがついたところで、一時的に本体のみで失礼します!
そうですね…でしたら原田と他の誰かの関係を上原くんに知らせて焚き付けた(←)後、そのままその場面に茂庭ちゃんを投下し嫉妬の発散とばかりに絡んでいくのはいかがでしょうか?どこかのタイミングで茂庭ちゃんと上原くんの絡みも混ぜられれば、原田も決心がつき捨て身アクションに繋げやすいかな、と思います。
こう書くと何だかややこしいのですが、原田と他の誰かとの絡みを浅めに、実質嫉妬心を抱いたまま茂庭ちゃん介入への繋ぎと考えれば大分すっきりするのではないでしょうか?
…何だかちょっぴり迷走しているような、曖昧な文章ですみません;もう少し流れに関して擦り合わせてから本来の絡みに戻れればと思います…!)
(了解、それでOKです!その場合、椿くんと誰かの絡みというのを上原は目撃するのみで、椿くんとは絡まず茂庭ちゃんと接触するという流れになるのでしょうか?)
(/そうですね、一先ずそうして頂けると有り難いです!後は上原くんと茂庭ちゃんの状況を今度は原田に見せつければ、後は連れ出すなりして思い出させるための大きなアクションに持ち込めるかと思いますので。
何だかごちゃごちゃと分かりにくくなってしまいましたね;;ご希望だった上原くんの嫉妬増強もレストしては薄めになってしまいますが…もしそこも厚くしたい!ということでしたらきちっと原田+誰かの場面に上原くん乱入→上原くん退出→退出した上原くんに茂庭ちゃんが近付く、というようにも変えられると思います。
私ばかり希望を聞いてもらってしまっていますし、上原様もご要望がありましたら何でもおっしゃって下さいね^^)
(/いえいえ、此方の希望もしっかり聞いて頂いておりますし、椿くんのアクションに一番繋げやすい流れでいく方がいいと思いますので、そんな感じでいきましょう!)
(/では一度上原君との会話を挟んだ上で茂庭さんとの原田嫉妬フラグ(←)に向かう、という感じで理解合ってますでしょうか?此方の確認ができ次第開始レスにて上原君をおびき出すべく原田にお友達と仲良くしてもらおうと思います(笑))
(/すみません!ひとつ確認させて頂きたいのですが…上原との会話を挟むという事は、茂庭ちゃんと絡む前に上原は椿くんが仲間と仲良くしているのを目撃するのみではなく、椿くんとも絡む事になるという意味でしょうか?上原の行動についてお考えを聞かせて頂けたら幸いです!)
(/わわわっ混乱させてしまったようで申し訳ありません!此方としては原田と上原君に一旦会話をさせるか、させないまま目撃だけさせて茂庭さんに繋ぐか、というのはどちらでも構わなかったのですが…何と言いますか、勝手な勘違いで上原様が原田との会話をさせることをお望みなのだろうと解釈してしまっていました;;
此方の誤解で大分ごたごたさせてしまい本当にすみません…原田との会話の有無は上原様のご希望に添う方にしたいと考えております。)
(/そうですね、椿くん本体様が提案してくださった展開からすると、目撃するのみで茂庭ちゃんに繋げた方がすれ違い感が出せて椿くんもアクションを起こしやすいのかなと。ああいう性格の二人ですから、ある意味で盛り上がりそうですしね/笑
会話については此方もどちらでも結構ですが、なしの方向でいきましょうか^^)
(/そうですね、では原田との会話はもう暫しお預けということで!(笑)
ではそろそろレスの方に戻っていこうかと思うのですが、原田との会話自体はないとはいえ上原様の開始のしやすさ等を考えると此方からある程度原田と同級生との動向を示したレスを先に投下した方がよいでしょうか?実際会話するのではない、目撃してもらうためのレス、と考えると中々投下が難しく、どうしようかと思っておりまして…。実のところを言いますと、そのレスについて悩んでいるうちに返信がやや遅れてしまった次第でして;;
もし上原様の負担にならなければ、申し訳ないのですが開始レスを原田と友人の絡みを目撃した、という体で出して頂くことは可能でしょうか?)
(/了解しました!流れ的には椿くんと友人の絡みを目撃した事にし、もやもやとしながらそのまま茂庭ちゃんと絡むという形になるでしょうか?茂庭ちゃんとの接触にあたって、もしこういうシチュがいい、絡みやすい等ありましたら仰って頂ければそのような絡み文を投下したいと思います!)
(/ありがとうございます!まだ苦手な開始があるあたり、自らの未熟さを噛み締めるばかりです…;;
茂庭ちゃんに関しては特にシチュの指定等はありませんかね。茂庭ちゃんはふっと隙があれば突っ込んでいく、したたかな女の子で進めようと思うので恐らく絡みに関しては問題なく入っていけると思います!
では大変申し訳ないのですが、絡み文の方よろしくお願いいたします。)
(あれから数日が過ぎた放課後。これから帰宅する生徒や部活に行く生徒達の話し声で賑やかさを取り戻した教室で黙々と帰りの準備を進め。相変わらず他人と関わりを持たぬような己に帰り際挨拶して来る生徒もまれにいるが、貴重と言えるだろうそんな存在にさえも興味が湧かず、ろくに顔を見ないまま“ああ”と一言そっけなく返すのみで。荷物を持ち教室を出、他のクラスを横切ろうとしたその時、耳に届いた聞き覚えのある声にドクンと心臓が脈打つ。声の主はわかっている。視線を向けた先、瞳に映る彼は仲間たちと楽しそうに笑っていて。─…あれからというもの気付けば彼を目で追うようになっていた。皮肉な事に今や姿を確認しなくとも声だけで彼だと判別出来る。己に向けられる、あの悲しみを帯びた表情とは一変した自然な笑顔に先日の件を思わせない明るい声。此方の視線には気付かず仲間と過ごす彼は、まるで自分の居場所は此処だとでも示しているかのようにありのままに見え、きゅっと胸が締め付けられ、ドクンドクンと鼓動が加速していく。彼を囲む仲間の中にはあの日彼を連れ去った男の姿もあり、尚更胸をざわつかせる。この感情が嫉妬心と呼ぶものだと薄々気付かされてはいても、それが所謂恋心から生じるものとして結びつけるのは流石に抵抗があり。自分自身の感情を把握しきれていない今、無意識に己の拳を握りしめじっとその光景を見つめるしか出来なくて。そんな現状に無性に苛立ちを覚え小さく舌打ちすれば、彼から目を逸らして足早にその場を後にし)
(/早いお返事を下さっていた事に気付かず、今頃になってしまいましたorz/悔/本当に申し訳ないです…!
取り敢えず仲間と楽しく過ごす椿くんを目撃させ、嫉妬心に堪えきれず逃げるように去らせてみました。自然に考えればこの後昇降口に向かうのでしょうが、この先茂庭ちゃんと何処でどんな風に絡むかは椿くんに目撃させる目的もある為、そちらのお考えもあるだろうと思い固定しませんでしたので、お好きなようにして下さって結構です^^)
『――上原くん、どうしたの?すっごく怖い顔、何かあった?』
(先日漸く学校に復帰してきた彼、そんな相手を視線の先に捉え駆け寄ろうとするもののその見つめる先にあるものに気付き足を止め。相手が見ているのは何の変哲もない笑い合う男子生徒たちの姿、しかしその中にいる一人は文化祭の晩相手がその背中を追いかけて行った彼で、記憶喪失とは聞いていたものの意味深すぎるその視線に僅かに唇を噛み締め。前から薄々感じていた相手と相手が見つめる彼の関係、明らかに友人同士という括りには収まらないその気配に胸がざわつくものの、気持ちを切り替える様にぺち、と頬を打ってから口角を上げると足早に行く相手を廊下の途中で呼び止めて。彼らの間に何があるのか、否あったのか自分には計り知れない。それでもその関係が相手の記憶喪失という大きな問題により揺らいでいるのは確かで、それにつけ込むと言えば酷く自分が悪女のように聞こえるけれど好きな相手を想うことをそんな理性論で締め付けられるほど自分も出来た人間ではなくて。僅かな罪悪感こそあるものの、それでも相手を手に入れたい。そんな思いから明るく冗談じみた言葉を掛けてやれば笑って、とばかりに相手の頬を指で軽く押し上げてやって。)
(/こちらこそ大分お返事が遅れてしまいました…すみません;;
茂庭ちゃんでのロルは大分久しぶりなのでちょっぴり言い回しがイマイチなのは見逃して頂けると有難いです(汗)茂庭ちゃんも当て馬キャラではありますが、やっぱり自分の中では完全に奪いに来るような子には出来ずあくまで恋心に揺れる女の子、というスタンスで書かせて頂きました。そのため原田の存在も目視した上で、ということで廊下での声掛けになりましたがこの先はやはり昇降口へ向かうよう、あわよくば一緒に下校なんかに繋げるよう流していきたいと思います!
もし茂庭ちゃんのキャラクター像についてなど、何かありましたらお気軽にお話しくださいませ^^)
――…またお前か。…何もねぇよ。
(彼を視界から外した後も己に向けられる事はないその笑顔が脳裏から離れる事はなく、やり場のない思いをどう消化しようかと思った矢先に声を掛けられ。新たに視界に入り込んで来たのは、登校するようになってからというものやたらと声を掛けてくる同じクラスの女。他人に興味など無かったが、己に接触して来る人間など僅かな上、その恵まれた容姿と朗らかな性格故か男女共に支持のある彼女の存在は認識するようになった。真っ直ぐに此方を見つめる彼女を不機嫌そうな表情のまま見下ろせば、頬に触れてくるその手を素っ気なく払い背を向け歩き出すも、何故か今日に限って少しくらい相手してやろうかという思いに駆られ、足を止めて振り返り。「…なぁ、何で俺に構う?」─…それは素朴な疑問とふとした興味。今までどうでも良かった事が気になるのは、むしゃくしゃした感情の中に僅かでも寂しさに似た何かがあるからなのだろうか。頭には未だ別の存在をちらつかせながら、何となく懐かしさのある彼女をじっと見つめて)
(/茂庭ちゃんのスタンスやキャラクター象などはそちらのやりやすいように、つまり今のままいって頂けたらと思います!出来るなら茂庭ちゃんにも幸せになって欲しいくらい可愛い子なので、当て馬にしてしまうのが心苦しいくらいです/←
一緒に下校に繋げつつ頭には常に椿くん、そして混同する茂庭ちゃんと棗ちゃんの中に違いを見つけられたらと思います。何かお考え等ありましたらまたその都度お願いします^^)
『…気になってるから、じゃあ理由にならないかな?女の子が男の子にこんなこと言う意味、後は自分で考えてみてね。』
((記憶喪失になったとはいえ忘れてしまったのは先程相手が視線を向けていた彼のことのみ、それ以外は依然と変わらぬ彼のままで、そのことに少しだけ安堵すると共に記憶喪失という不運こそあれどやはり彼にとって大切だったということを強く主張してくる者の存在に内心苦い思いを巡らせて。変わらぬ態度、そう思っていた彼からの予想していなかった質問に思わず一瞬動きを止めるものの、にっと笑みを浮かべながら可愛らしさを意識しつつも少しだけ相手を弄ぶような、きっと男の子が好んでくれるような小悪魔めいた台詞で返答すると相手の背を追いかけて。かつての彼ならばきっと自分にこんな質問をしてきたりしなかったはず、この事実だけで相手の中で何かが揺れていることは窺い知ることが出来て。彼の中で揺れる何か、それがもし自分に与えられたチャンスの欠片なのだとしたら。脳裏の隅に相手が執心する彼を追いやって、この小さな希望に縋りもう一度だけ相手を想ってみようか、そんな思いが胸に浮かぶとそっと彼の隣に並び。))
『――…ねえ上原君、何か考え事?最近何だか様子がおかしいし…私で良ければ話、聞くよ?その代り、お茶代は上原君のおごりね?』
(/またまた本体のみで失礼します!自分、間違った解釈をしていたようで…すみません、一つ確認させて下さい。
原田様の文章を拝見する限り、上原の記憶は椿くんの事のみすっぽり抜けた感じでの解釈で宜しいでしょうか?此方は自分の事以外は曖昧な記憶しかなく、茂庭ちゃんについても記憶がはっきりしていないような感覚(記憶喪失後、よく話しかけてくる茂庭ちゃんの名を覚え、何となく懐かしさを感じる程度)でロルを回してしまったので…申し訳ありませんorz
椿くん以外は覚えている方向でいくとするならば今後そのようにロル等回していきたいと思います^^
お時間ある時に一言お返事を頂けたら嬉しいです!今回は珍しく早目にお返事出来るかと思います。)
(/すみません、完全に此方の勘違いです!恐らく随分前に記憶喪失ネタをやろう、となった際にお話ししていた時の提案内容が色々と頭の中で混雑してしまい勘違いしてしまったようで…本当に申し訳ありません;;
該当の箇所を書き直しますので少々お待ちくださいませ。)
:『…気になってるから、じゃあ理由にならないかな?女の子が男の子にこんなこと言う意味、後は自分で考えてみてね。』
((記憶喪失になりこれまでの記憶があいまいなものへ変わってしまったとはいえ日常生活の様子自体は以前と変わらぬ彼のままで、そのことに少しだけ安堵すると共に記憶喪失という不運にあってなお視線で追うほどにやはり彼にとって大切だったということを強く主張してくる者の存在に内心苦い思いを巡らせて。しかし変わらぬ態度だとばかり思っていた彼からの予想していなかった質問に思わず一瞬動きを止めるものの、にっと笑みを浮かべながら可愛らしさを意識しつつも少しだけ相手を弄ぶような、きっと男の子が好んでくれるような小悪魔めいた台詞で返答すると相手の背を追いかけて。かつての彼ならばきっと自分にこんな質問をしてきたりしなかったはず、この事実だけで相手の中で無くした記憶だけではなく、それに紐づけされた何かが揺れていることは窺い知ることが出来て。彼の中で揺れる何か、それがもし自分に与えられたチャンスの欠片なのだとしたら。脳裏の隅に相手が執心する彼を追いやって、この小さな希望に縋りもう一度だけ相手を想ってみようか、そんな思いが胸に浮かぶとそっと彼の隣に並び。))
『――…ねえ上原君、何か考え事?最近何だか様子がおかしいし…私で良ければ話、聞くよ?その代り、お茶代は上原君のおごりね?』
(/先程は大変失礼いたしました!大事な設定の根源が揺らいでしまうなんて、まだまだ私も未熟者だと再認識いたしました;;今後はこのような混乱を招いてしまうようなことがないようなお一層精進していこうと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします!)
(/お早い返事有難うごさいます!いえいえ、それさえ確認出来ればその方向で進めて参りますので、書き直さなくても大丈夫ですよ!折角の素敵な文章ですし、長文を書き直すのは大変ですし。もし原田様が訂正しておきたい部分がおありでしたらその部分のみお願いし、特に問題ないようでしたらこのまま繋げていきたいと思います^^)
(/とか言ってる間に…な、なんと!いやはや流石原田様でごさいます。完全に余計なお世話でした、申し訳ありませんorz
ご丁寧にありがとうございました!此方こそ何かと至らない部分だらけですが、宜しくお願い致します!では失礼します^^)
いや…理由としては十分だ。
(返ってきたのは思ったより素直な返事と男心を擽るような小悪魔めいた台詞。清楚で品を備えた彼女のこんな一面に惹かれる男の気持ちがわからなくはない。気になるから近付く、それはごく自然な事。日々冷たくあしらっていた己に対しめげる事なく笑顔で話しかけてくる彼女を見ていても嫌われてはいない、寧ろ好意を持たれているだろう事は確かで。口許に僅かな笑みを浮かべつつ率直な考えを述べたその時、ひとつの考えが頭を過る。歩道橋から転落したあの日、己は髪の長い女と一緒に居たと聞かされたが、その相手はもしかすると目の前の彼女ではないだろうか。先程感じた何処か懐かしいような感覚を頼りに隣に並ぶ相手を見つめては、その誘いに乗る事を決意し小さく頷き)
…いいぜ、俺も少しお前に聞きたい事がある。付き合えよ。
『ふふ、いいよー。上原君が私に興味持ってくれてるなら、特別に何でも答えてあげる。』
((目の前の相手が"聞きたいこと"は果たして自分自身のことだろうか、一瞬そんな考えが脳裏をよぎるもののすぐに相手の言葉に頷いて。例え相手が知りたいことが自分に関することではなくても、今相手が関心を向けているのは自分、それだけで恋する乙女にとっては大きな力の源になる理由となり、ふにゃりと嬉しさに頬を緩めながら言葉を続けると軽く相手の腕を引いて。「場所はー…駅前のカフェでいいかな?そこね、ショートケーキがすっごく美味しいって評判なんだよ。」結果的に相手をある意味デートの様なものに誘うことが出来た嬉しさからか、どこか軽い足取りで相手を先導するように腕を引きながらこれから行く先について話を始め。少し女性向けといった雰囲気の強いカフェではあるものの此方からすればなるべく自分を可愛く相手に見せたくて、あえてショートケーキなどといった例を口にしながら歩みを進め。))
ショートケーキ…。あぁ…あの苺の乗った、やたら甘そうなやつか。
(お茶をする事が余程嬉しいのか浮き立った様子で語る相手を何の気なしに見つめ。幸せそうに微笑む様子や然り気無く引かれる腕より気になったのは、どういうわけか“ショートケーキ”という単語。甘味が苦手な己の脳裏に浮かんだ、真っ赤な苺の乗ったショートケーキは何故かやけに鮮明で。不思議に思ったその時ほんの一瞬浮かんだのは己を掻き乱している“彼”の幸せそうな笑顔“だったような”気がするも、そう意識した時には本当に彼だったのか否か分からないくらい儚く消えており。胸に残る形を為さないもやもやした感情に、己の少し前を行く彼女の声も耳に届かなくなっていき。ひたすら胸を締め付ける正体不明の何かに堪え切れず、僅かでも吐き出したい一心で不意に彼女の腕を引けば腕の中に収めてしまい)
『ッきゃ!…上原、くん?どうかしたの?』
((相手と距離を縮めるまたとないチャンスにやや浮足立ってしまっていた中、不意に体ごと腕を後ろに引かれる感覚に思わず小さな悲鳴を漏らし。いきなりのことに転んでしまうのでは、という危惧から反射的に瞳を瞑っていたものの訪れた感触は硬いコンクリートの衝撃などではなく仄かに温かな体温を伝えてくる優しい抱擁で。いくらその対象が想いを寄せる相手だとしてもいきなりの抱擁、更に言えば記憶がないとはいえ一度振られた相手であり流石に不審に思ったのかそっと視線を相手の方にあげながらやや不安そうに言葉を漏らすと相手の背中に回した手で軽く服を引いてみて。))
――…あれ。
(放課後となり未だに少しだけ気分が落ち込んだままの自分を気遣ってか寄り道に誘ってくれた友人たちとカフェでテイクアウトした飲み物を片手に街を徘徊していると、ふと視線を向けた反対車線の歩道に見覚えのある影を見つけて。小さく言葉を漏らした瞬間先を歩いていた少女を腕の中に納めた相手に僅かに目を見開き反射的にかぴくりと小さく体を震わせるとその光景に思わず釘付けになってしまい。記憶を失ったのならばそのまま思い出さずとも、男として真っ当な人生に戻してやればいいと半ば諦めに近い感覚で今を受け入れかけていた中訪れた更なる現実を鋭く突きつけてくるような情景、どうにか諦めようとしていた身でもやはり未練はまだ色濃く胸の内に残ってしまっていて。友人たちが先へ足を進める中一人その場に立ち尽くしては視線の先にいる二人の動向を見つめて。)
(/上原君が行動を起こし始めたということでゆっくりと原田の方にも煽りを入れていきたいと思います!上原君と茂庭ちゃんの行動を見つつ適度な所で介入させていく所存ですのでどうぞよろしくお願いいたします。)
――…俺が歩道橋から落ちたあの日、俺と一緒に居た女はお前じゃねぇのか。
(突然抱き締められた腕の中の彼女は訳がわからず混乱しているだろう。しかし気持ちが追い付かないという意味では行動に出た本人も同じであり。人を抱いた時の温もりを己は確かに知っているのに、胸が締め付けられるような切なさと、心が満たされていくふわふわとした幸福感が入り交じった“あの感覚”を此処に得る事が出来ず、己が求めているものが腕の中の彼女ではない事を改めて知らされ。分かりきった事を訊いてしまうのは、きっと今も尚脳裏をちらつく彼の存在に惑わされたくないが故。失った記憶の中、取り戻したいのはあの日己と一緒に居た、恋人と思われる女ただ一人だけなのに、何故こうも彼に掻き乱されるのか。今腕の中に居る彼女こそが己が求める相手だったらどんなに楽だろうか、そう思う反面で彼を欲してしまう己にさえ苛立ちを感じ、彼女を抱く腕に無意識に力が込められてしまって)
(/どうすれば椿くんが介入しやすい展開になるか悩んだのですが、そちらにもお考えがおありでしょうし、取り敢えずこの場にとどまるのが無難かなと思い殆ど動きがないものになってしまいました。すみません。
上原は反対車線にいる椿くんに気付いてしまうとまずいでしょうか?この後どうすれば椿くんが動きやすいか等、お考えやご希望がありましたら是非お聞かせ頂けたらと思います^^)
『…私、は…――ッきゃ!?』
((相手が言っているのは記憶を失う原因になった転落事故の時のことなのだろうか、歩道橋から落ちたという情報こそ噂の様な不確定なものとして耳にしていたものの、その際女性と一緒にいたなどという話は聞いていなくて。そのことに驚いている暇もなく自分をその女性では、と尋ねてくる相手に口の中に溜まっていた唾を飲み下すと考える様に視線を彷徨わせて。もしかしたら、ここでその女性は自分だと主張すれば相手は自分を恋人として錯覚してくれるのではないか。そんな酷く自分勝手な考えが一瞬頭を過るものの、恋焦がれた相手を手に入れるためにその本人に嘘をつくことに罪悪感を感じないわけがなく。どうしたらいいか、自分の欲望と良心との間で揺れているうち不意に腕を引かれる感覚に襲われると自分を抱いていた相手の身体が離れていき。))
――…お前、何してんだよ。
(反対車線に見つけた相手と、よく知る少女の抱擁の場面。それを目にはしたものの自分と付き合っていたころよりもはるかに真っ当な光景に口を出してはいけないと自制したつもりだったはずなのに、今も胸で燻る恋心はそんな建前などお構いなしに自分の身体を操っていき。一度は見逃そうと思ったはずなのに自然と彼らに近づいて行ってしまう足、そのまま二人の元へと駆け出していき相手に抱きしめられたままの彼女の腕を掴んで此方に引くことで相手の腕の中から強引にも引きはがすとそのまま相手と彼女との間に体を割り入れて。忘れられた自分がでしゃばっていい場面ではないと頭では分かっているのに近寄るにつれて聞こえてきた相手の言葉、相手の中から記憶が消えただけでなくそこに在ったはずの真実からさえも自分が居なくなってしまうことへの強い焦燥感から低い声を漏らすと鋭く睨んでいるはずなのに、瞳には隠し切れない寂しさの様な色を灯したまま相手を見つめて。)
…別に記憶がなくなったこと責めるつもりはないけどさ、それで女の子巻き込んで困らせるってのはないんじゃねぇの。
(/色々と気を遣って頂いているうちにも、どうにも我慢が聞かず原田を突入させてしまいました;;すみません!
此処からは上手いこと茂庭さんを舞台から下ろしつつ、上原君に記憶を取り戻して頂くための原田の特攻を仕掛けていきたいと思います!そのためやや上原君を強引に連れ出してしまうような行動が目立ってしまうかと思うのですが、大丈夫でしょうか…?)
――…巻き込む…?俺はこいつに確認したい事があっただけだ。
(腕の中の彼女の小さな悲鳴と同時、強い力で互いの体が引き離されたかと思えば、目の前には今まさに頭の中を埋め尽くそうとしていた彼が居て。小さく目を見開き息を飲むと、此方を見据えるその瞳を捕らえながら己の言動を正当化するような物言いをし。此方に向けられているのは怒り、もしくは軽蔑の類いだろうが、助けを求めるかのような悲しみの色を帯びているようにも見えて。彼が視界に飛び込んできた瞬間見えなくなる周囲、面白い程加速する鼓動。特別な感情を持たずして彼女を抱き締めたのは、例え一瞬でも目の前の彼を忘れたいが為。事故後意味深に絡んでくる彼の様子からして以前己と何か関係があったのは間違いないのだろうが、彼の意図が分からない事に加え、心を掻き乱される事への焦りや苛立ち、困惑に押し潰されそうで。これ程大きな存在になってしまった彼から咎められた惨めさでカッと熱がこもり、鋭い声音で非難の言葉を浴びせてしまい)
なぁ…そもそもお前は何なんだ?この前から遠回しにごちゃごちゃと…。俺に言いたい事があるんじゃねぇのか。はっきり言えばいいだろうが。
(/いえ、全く問題ないです!二人を目撃した椿くんが万一走り去ってしまうようでしたら逃がすかとばかりに追い掛けるつもりだったので(笑)
この後は椿くんの意思で上原を連れ出してくれても構いませんし、場合によっては上原が椿くんを無理矢理引きずって行っても。上原のせいで茂庭ちゃんは大変気の毒ですが…orz
とにかく椿くんや展開に合わせていきたいと思いますので、何もお気になさらず思いのまま動いて下さいませ!)
――…お前のためだって思って言わないでおこうと思ってたけど、余計なお世話だった訳か。ならいいよ、聞かせてやる。…後悔しても、遅いからな。
(相手が一度自分との関係をリセットして、それで真っ当な人生に戻れるのならそれでもいいと思った。自分ばかりが取り残されてしまう寂しさこそあれど、相手の幸せを願うくらいの心の余裕を持っていたはずなのに、いざ自分が相手の中から完全に消されてしまうような状況になればそんな綺麗事でしかない気遣いなど出来なくなってしまって。鋭い相手の非難の声に取り繕おうとしていた自分が壊れていくのを感じればそのまま相手に歩み寄り胸倉を乱暴に掴み、そのまま自分の方に引き寄せながら傍に居る彼女に聞こえないように囁くような小さな声ながらも心に溜めた暗いものが反映されたような低い声で言葉を掛け。ちらりと一瞬だけ背後の彼女の方に目配せの様なものを送ってから引き寄せていた相手の胸倉を離すと、すぐに片腕を掴み直し引き摺るような勢いで歩き出して。自分の汚れた独占欲を相手に見せるなど昔では到底出来なかったこと、しかし最後だからと自らに言い聞かせることでその決心を固めると相手があの日転落した歩道橋へと向かって。)
『…やっぱり無理かぁ。私相手じゃ、あんな顔してくれないもの。』
((相手とのつながりが深いと、言われなくとも感じ取れてしまうような彼の登場により結果的にはデートの予定を掻っ攫われてしまった中ひとり小さく溜息をつくと先程彼から送られた目配せからこれ以上の追及は野暮だと察して。元々一度振られた身なうえかつてキスを強請ろうとアクションを掛けた時ですら靡いてくれなかった相手に対して、心の中では一部諦めのようなものも浮かんでいて。それなりに恵まれた容姿があったからこそ今まで味わったことのなかった失恋という感覚に今はまだ少し涙が滲みそうになるけれど、それでも吹っ切らなければいけない相手という存在に高ぶりそうになる気持ちを堪えふにゃりと表情を歪めると小さく呟きを漏らし。徐々に小さくなっていく二人の背中を見つめながら口元にそっと笑みを浮かべると、ひとりになってしまったけれどこの際甘いものでも食べて忘れてしまおうと目的地だった喫茶店へと緩やかな歩みを進め始めて。))
(/ではではお言葉に甘えて早速上原君を攫わせて頂きました(笑)
同時に茂庭ちゃんにも退場して頂きました。お話の流れなので仕方ないのですが、やはりサブキャラでも失恋させるというのは少し悲しい気持ちになってしまいますね。とは言え茂庭ちゃんは芯の強い子というイメージでやらせて頂いていますので、また今後も元気な姿で登場させてあげたいな、なんて思っています!
それではとうとう記憶喪失編(?)の山場に差し掛かってきましたが、この盛り上がりを無為にしてしまわないよう努力したいと思います!
新年を迎え、このサイトでのお付き合いもとうとう3年目となりましたが今なお数年前初めてお相手させて頂いたときと変わらぬときめきを感じさせて頂いております(笑)
今年もどうぞよろしくお願いいたします!)
っ…、…後悔なんてするかよ。このまま俺だけが何も知らずにいるなんて御免だ。
(不意に乱暴に胸倉を掴まれたかと思うと、一瞬にして縮まる距離に息を飲み。目の前に近付いた端正な顔立ちに惹き付けられ、こんな時でさえ胸が震え。低く囁かれたその声に威圧の類いは感じられず、翳りを孕む悲哀な響きに助けを求められているような気さえして。彼が抱える闇から救い出し、全て受け止めてやりたい─、そう強く思ってしまう事実が、互いに無関係ではない事をしっかりと物語り。己にとって特別な存在だと素直に認めてしまうには未だ抵抗もあれば確たる証拠もない。しかし彼を知りたいという欲を止める事は不可能で、もっと近付きたいと逸る気持ちが鼓動をどくどくと加速させていく。真っ直ぐに相手を捕らえたまま表向きは冷静に今の本心を返せば、少々強引に引かれる腕に抵抗見せる事なく足を進め。そこで初めて相手の背後で戸惑いを隠せずにいる彼女の存在を思い出し、相手しか見えていなかった事を改めて思い知らされ、流石に罪悪感が生まれ。「…悪かった」立ち去る前に彼女にぽつりと残した一言は、様々な意味を込めた己なりの気持ち。彼によってこれから知らされる真実が己をどう変えていくかはわからないが、漸く己と向き合おうと決意したらしい彼に、期待に似た興奮で騒いだままの胸を抑える事が出来なくて。引き摺られるような形で着いて行く内、彼が向かおうとする先を察し。常に主導権を手にしていたい質としては腕を引かれたままの今の状況が癪に障り、此処で漸く振り切ると今度こそ相手が逃げてしまわないよう暗に牽制し)
…いい加減離せ。俺はお前みてぇに逃げたりしねぇよ。
(/彼女のような恋人が欲しいと思う程茂庭ちゃんは可愛いです、ハイ。また元気な姿が見れたら救われます…!
さて…いよいよですね。努力しなければならないのは自分の方なので、そちらは思い描く椿くんをどうぞそのまま出し切ってくだされば…b
力不足で大事な所で失望させてしまう可能性大なので、此方はせめて上原の心情だけは伝わるよう必死にお届けさせて頂きますね!
此方こそ、ここまで長いお付き合いをして頂けて幸せだと深く思います。キャラを借りなければ臭い台詞は中々言えませんが(笑)、飽きさせてしまわないようにと日々悩む身としてはそのお言葉は本当に有難く嬉しいものです(感激)
これからも一緒にドキドキしながら楽しんでいけたら幸いです。今年もどうぞ宜しくお願いします!)
…お前を逃がしてやったんだよ。知らない方がいいと思ったから、思い出さない方が幸せになれると思ったから…勝手に勘違いしてんな、ばぁか。
(道中強く振りほどかれた腕、何てことない行動のはずなのに今はその荒さが寂しくて僅かに視線を落とすと静かに言葉を口にして。確かに相手から見れば自分が逃げたと取られるのが普通のこと、けれども己からすればあくまで今の相手を守るための行動で、その指摘だけには反発を露わにすると掴むものが無くなってしまった掌をぎゅっと握りしめながらそのまま相手の前を先導し。きっと行き先が分かったから腕を振りほどいたのだろうと少しだけ理性的になってきた頭で理解し、だからこそその後は振り返らないままあの歩道橋まで歩みを進めていくと一度決心したもののやはりいざその時が来ると気持ちが重たくなってしまうのかいつもよりどこか重い足取りで歩道橋の階段を上っていき。階段を上り切ったところ、丁度あの日相手が落下したところで漸く足を止め後ろからついてきているはずの相手の方を振り返ると気持ちを落ち着かせるように深く呼吸をし。汚くて、自分本位で、とても好いた相手になど話したくない想い。それを含んだ相手の記憶を明かすことは自分にとって苦しいことだけれど、それをも含めた上で決心した相手との別れを迎えるため自分の胸元をぎゅっと握りしめれば静かに言葉を零し始めて。苦しくて、言いたくなくて、それでも決心したこの言葉を諦めたような寂しい笑みを浮かべながらぽつぽつと語っていくと、緩く首を傾げながら相手の反応を求めて。)
――…あの日、此処でお前が落ちた時一緒にいた女。あれ、俺だから。…男のくせに女みたいな格好して、お前と居たの。なんでそんなことになってたのか、当ててみ?…ヒ―ント、あの時の格好はお前好みの可愛い女だった。多分、そのくらいはそろそろ何となく思い出してきたんじゃないの?
――…なるほどな…それだけ聞けりゃ十分だ。あの時俺と一緒に居た女は…お前だった。は…道理で見つからねぇわけだ。
(相手が向かった先はやはりあの歩道橋。少し距離を置いたままゆっくりと段を上る相手に続くと不意に向けられる寂しげな表情をじっと見詰め、語られる言葉に静かに耳を傾け。探し求めていた女が今目の前に居る彼だったというを事実を知っても不思議と落ち着いている自分がいて。相手を見つめたまま静かに言葉を紡ぎ最後自嘲気味に笑えば、そっと視線を外し近くの手摺に手をかけ眼下を見下ろし。先程まで忙しかった鼓動はいつしか落ち着きを取り戻し、出口のない迷路にでも嵌まったかのようなあの焦りや苛立ちも消えており。彼の告白を割とすんなり受け入れられたのは、彼の言う通りそこに何となく気付いていた他、寧ろそうであればいいと、心の奥で願っていたからなのかもしれない。自分が彼に抱いていた特別な感情は所謂恋情だったという事を此処で初めて素直に認めようという気になり。今までの言動からすると、恐らくは彼も同じように己を想っていてくれたのではないだろうか。通り行く車や人の流れをぼんやりと眺めながら暫しそのまま口をつぐんだ後、外していた視線を相手へと戻せば手摺から手を外しゆっくりとそちらへ歩み寄り。彼と共に過ごした筈の記憶こそ未だ取り戻せないままだが、悲しそうに笑う彼が今はただ愛おしく。触れたくなる衝動のまま彼を腕の中に収めてしまえば答えは見つかるのかもしれない。込み上げるものを今はまだぐっと内に閉じ込め、先ずは相手の発言に対し反論しつつ己の心境も語り始め)
…知らない方が幸せだ?てめぇの方こそ勝手に勘違いしてんじゃねぇよ。俺はあの日の真相を知りたかった…そして振り払っても振り払っても俺の中に入り込んで来るお前が何者なのかも。
…お前に教えてやるたびに、お前が覚えてないってこと突き付けられんの。俺一人しか覚えてないって、すごく不安定で。もしかしたら、全部でなくたってどこかに俺の願望じみた妄想が混ざってるかもしれなくて…たまらなく、怖く、て…。――でも、もういいんだ。お前が覚えてないってことは、俺が忘れれば全部終わりってことだし。終わらせれば、もう苦しいことなんて何もなくなるって分かったから。
(相手が自分に真実を求めるということは、つまり求めることに対しては本当に何も覚えていないのだということを改めて突き付けられるということで。言葉で記憶喪失になったと伝えられるよりもずっと鋭く残酷なことでも相手にその自覚はなくて、自分が一人で苦しんでいるだけという状況すらこの場において不安感を煽る要因となってしまっていて。自分の身体を抱く腕の感触も、服越しに伝わってくる熱も慣れたものだったはずなのに今は懐かしさしか感じられず、自分ばかりが前に進めていない事実を突きつけられる抱擁にとうとう我慢できなくなった様に声を震わせると頬を伝う涙もそのままに絞り出したような声を漏らして。しかしそれも全てこの場で終わらせる、そう決めたからこそ相手に対峙することが出来ていて、そのまま相手の頬へ、首筋へ、胸元へと指を滑らせると制服の胸元をそっと握りながら相手の唇に口づけを贈り。)
…気持ち悪いことしてごめん。嫌いになって、いいから。こんな、男同士なのにキスなんてして、女装なんかにも手出して、いつまでも未練っぽい奴なんて…嫌いになっていいから。…俺も、俺のこと忘れたお前も、俺のこと思い出してくれないお前も、嫌いになるから。俺も、嫌いなお前なんて忘れるから…次会うときは、"どうでもいい"お前に初めましてを言うよ――。
(ゆっくりと名残惜しむように相手の唇から唇を離し、囁くような静かな声で言葉を続けると取り繕ったように口角を上げて。辛い想いも、甘い記憶も、全て忘れてしまえば苦しまなくて済む。散々考えた末に出た答えを実行すべく訪れたこの場で最後の挨拶をと相手にそんな心の内を仄めかす言葉をくちにすると突然相手の胸板をどんと強く押して。その反動で揺らぐままに自分の身体を傾けていき、あの日相手が転落した時と同じように自分も記憶を投げ出せるように祈りながらその身を投じて。)
お前…何言って――……、っ…
(真っ直ぐに向けられる瞳から不意に零れ落ちる涙に心を酷く揺さぶられ、その濡れた頬に触れたくなる。しかし何故か体が動かず、彼に釘付けになったままその場にただ立ち尽くし。涙と共に彼の唇から零れ落ちる言葉には関係を断とうとするかのような響きがあり、胸に鈍い痛みと焦燥感が走り。あの事件以来、彼がずっと計り知れない寂しさと悲しみに襲われ苦しんでいた事は表情や声色からもひしひしと伝わり、心臓が圧迫されるような息苦しさを感じる他、ここまで苦しめておきながら未だ彼を思い出せない自身への苛立ちと罪悪感に襲われ。とはいえ、漸く事件の真相を知り彼に対する気持ちも自覚し始め、これからだという時に、諦めたように拒絶の文句を並べられてしまえばじっとしていられる筈がなく、反論しようと口を開き。俄に触れてくる指先にぴくりと睫毛を揺らした次の瞬間、重なる唇に鼓動が震え、小さく目を見開いて。こんな風に己に触れる指先も、唇から伝わる熱も、記憶を失った己には初めての筈なのに、懐かしさと共に胸に染み渡る切なく愛おしい思いが言葉を失わせ。触れたくて堪らない衝動に手を伸ばしかけた刹那、胸元に受けた衝撃。ぐらりと傾く相手の身。ふらつきかける足元と同時、ぞわりと全身に粟立つ感覚はいつかの恐怖心を瞬時に呼び起こす。「…椿…っ…!」悲鳴のような叫びを発したのが先か、半分宙に浮いた彼の身に手を伸ばしたのが先か。目の前の存在を失いたくない一心で、後先考えず半ば飛び込むようにしてどうにか捕らえるも、立て直す事は不可能で。最初に身体に走る衝撃に小さく呻くと、後はひたすら相手を守るように無我夢中で頭を抱きかかえながら転がるように落ちていって)
――…なん、で…ッ、なんで逃がしてくれないんだよ!もう関係ないのに…嫌い、に、ならなきゃいけない、のに…ッ!
(階段に身を投げ出した時漸く想いの重さに苦しむ日々からもきっと解放されると一種の安堵すら感じていたのに、此方に伸ばされた腕に体を包まれる温もりに頭が真っ白になり。それでも二度目の落ちていく感覚の中咄嗟に相手の頭を手で押さえ、そのまま二人共々転げ落ちていき。体こそ相手に守られまたしても大した痛みも傷もないが前回と明らかに違うのは段差やコンクリートに強く擦れたため血の滲んだ両手、鋭く神経に響くようにじくじくと熱を訴える痛みこそあれど勿論記憶を飛ばす様な痛みではなくて。記憶を失った相手にとって自分はただの同性の同級生、勝手な自分の想いの区切りとして強引な口づけまで奪った相手を守り転げ落ちた姿はやはり記憶を失う前と同じ、自分の大好きな彼のままで。嫌いだと口に出し嫌われるための口づけをしたのも結局は諦められない自分の想いを押し殺すための行為で、それなのに今更過去の面影を強く訴える相手の姿に涙を堪えることなど出来なくて。相手の腕の中から抜け出して、あの日のように地に伏せる彼の姿を項垂れ見つめながらその頬に涙を落とすと吐き出すように悲痛な声を漏らして。こんな馬鹿げた行動に至るまで相手への想いを断ち切る気持ちでいたのに記憶を失っても自分を守ってくれた相手に押し留めていた愛しさは一気に噴き出していきだからこそまた自分の行動で相手を巻き込んでしまったことへの強い罪悪感に襲われてしまい。)
――…ッ…、て…め、ふざけ…んな、よッ…、な、に…考えて、んだ…この馬、鹿…
(共に転がり落ちていく身体がやがてコンクリートに打ち付けられては低く呻き、固く閉じていた瞼をゆっくりと開いて。己と同様、此方の身を守ろうとしてくれたのか、しがみつくようにしっかりと回された腕にそっと手を添えるだけで身体に走る痛みに反射的に顔をしかめ。しかしそんな痛みよりも、彼をそこまで追い詰めてしまっていた事による胸の痛みが何倍も強く己を襲う。もしもあのまま彼を失う事になっていたら─、そう考えた途端呼吸が出来ない程に脈が上がり、ガクガクと身体が震え出し。今更襲いくる恐怖と、彼が無事だという安堵に込み上げる感情で掠れる声をどうにか振り絞って相手を咎め、己を見下ろす彼に震える指先をゆっくり伸ばし、涙で濡れた頬にそっと触れ。触れた頬は温かく、生きている証を指先から伝え。目の前の泣き顔は、あの日薄れていく意識の中で瞳に焼き付けたものとよく似ていて。狂おしい程のいとおしさが突き上げる中で、愛しい存在との思い出が断片的に脳裏を駆け巡っていく。「――…椿…、」頬を撫でながら自然に溢れる名も、彼が落ちる瞬間咄嗟に口にした名も、己にとってはかけがえのないものだと再認識する。溢れる様々な感情に目頭が熱くなり、視界が歪んでいって。「…泣くんじゃねぇって…言っただろうが…」掛けたい言葉は山ほどあるのに胸が一杯で言葉にならず、ただいとおしい存在に触れたままあの日最後に口にした言葉を震える声で紡いで)
ッ、うそ…!っ俺の、勘違いとかじゃない、よな…ッかず、さ…和瑳、和瑳ぁ…っ!
(頬に触れた相手の少し骨ばった男性的な指が涙を優しく拭った時、少しだけクリアになった視界で涙を瞳に浮かべる相手の顔と見つめ合う中口にされた一言に思わず一瞬動きを止め。相手が泣くなと口にしたのは自分の思い違いでなければ相手が記憶を失う前、最後に言葉を交わしたあの日転落直後の歩道橋の下だったはずで、混乱から上手く働いてくれない脳みそに心の中で叱咤を飛ばしながら今の状況を理解しようとし。もしも転落のショックで相手の記憶が戻ったとしたら、そんな希望交じりの偶然がこの場に起こったのだとしたら、この状況に振り切ろうとした想いをそのまま切り捨てられるはずもなく急速に胸に浸み込んでくる封じようとしていた愛しさに苦しささえ滲んだような吐息を漏らしながら言葉を零していき。記憶を失った日から呼べなかった相手の名前を感極まったように何度も何度も繰り返しながら相手に手を伸ばすと、再び引き起こされた事故に集まりだす群衆など気にも留めず相手の頭を膝に乗せそのまま腕で抱き寄せ。相手の髪に額を埋め小さく擦り寄りながら熱っぽさを孕んだ声で繰り返し相手の名を囁くと上手く表現できないくらい体の中で暴れ回る歓喜の想いから口元を微かに緩ませて。)
…一人にして悪かった…もう二度と…離さねぇから…。
(抱き寄せられる中、耳元で何度も繰り返される自分の名。愛する者に名を呼ばれる事の嬉しさと、急速に込み上げる愛しさは喉元も胸も焼き付くしてしまいそうで。歓喜と幸福感の余り上手く言葉が出ないままゆっくりと上半身を起こせば、走る痛みなど気にも止めず、腕を回してしっかりと相手を抱き締め。その抱き心地や匂い、体温が酷く懐かしく思え、恋しさに頬を軽く擦り寄せるようにしながら想いを込めて言葉を紡ぐと、いとおしそうに頬に唇を寄せ。腕の中の存在が己にとってかけがえのない存在だと再認識したとはいえ、直ぐに気持ちの整理をするのは困難で。「椿…」突き上げる強い感情をどう表現していいかさえわからず、今はただその温もりを強く感じていたく、愛しい名を紡ぎながら二度と離すまいときつくきつく抱き締め。そんな中、先程の騒ぎにがやがやとし始める周囲に漸く意識が向き。もう少しこのまま相手を感じていたいのは山々だが、いつまでも此処には居られない。「…立てるか、椿」少し力を緩め腕の中の相手を気遣うよう声をかけると、相手を支えるようにしてゆっくりと立ち上がとうとして)
ッ、ちょっとだけ…腰、打ったかも…。ある、ける…っ多分…。
(昂った感情に身を任せてしまっていたものの少しずつ落ち着きを取り戻してくると周りの状況も同時に理解し始めて、階段から転げ落ちてきた自分たちへの心配か好奇か周囲から向けられる視線によって漸く冷静さが戻り。未だどくどくと高鳴る鼓動こそ収まらないものの周りを見る余裕くらいは持てる様になり、相手に支えられながらもゆっくりと立ち上がろうと体を起こせば転がり落ちる途中で打ってしまったのか鈍く響くような痛みを訴える腰に小さく呻いて。歩けないほどとは言わないが恐らく服の下は青あざくらい広がっていそうで、僅かに顔を歪めながらも小さく言葉を口にすると緩やかな動作ながらどうにか足を立たせて。ちょっとした傷や鈍い痛みこそ抱えていても意識ははっきりしているし足腰も一応立っていて、相手も見たところ骨折などといった大きな怪我は見受けられない。そのうえ相手の記憶も戻ったとなればこんな幸運に胸が騒めかない訳がなく、こんな状況なのに緩みそうになる口元を堪えながら相手の方を改めて向くとそっと言葉を続けて。)
…早くふたりになりたい、けど…どうしよ。もしかすると救急車呼ばれてるかも、だし…。どっちにしろ、和瑳は病院行かないとだめ、だよな…。
…病院、行った方が良さそうだな。このまま俺が連れて――…、
(ゆっくりと相手を抱き起こす最中、案の定痛みを訴える声がし。必死で庇うようにしたとはいえ、あの高さから転がり落ちれば到底無傷で済む筈もなく。二度目という事で本能的に身を守ろうとする作用が働いたのか、あちこち鈍い痛みは走るものの前回程大きな外傷もなく。己に比べ辛そうな相手を病院に連れていくのが先決と考え、近くのタクシーを拾うべく視線をやったその時、誰かが呼んだらしい救急車のサイレン音が耳に届き。程無く此方に向かってくるそれが視界に入ると、その場で大人しく待つ事にして。降りてきた隊員に状況等を説明後、指示に従って救急車に乗り込み。暫し静まっていたサイレンが再び鳴り出すと、小さく息を吐いて相手を改めて見つめ。─目の前にいるのは狂おしい程愛しい恋人。ふと視線を向けた先には擦りむいて血にまみれた掌。痛々しいそれに胸が締め付けられ、言葉に詰まりながら優しくそっと手を添えて俯き。あれ程恋焦がれたかけがえのない存在を記憶から消していた事や、あんな行動に至らせるまで追い詰めてしまった己への怒りより、今はただただ彼が生きていてくれた事への安堵や嬉しさが勝り。相手もまた己を庇おうとしてくれただろう、痛々しいその手が酷く愛おしく抱き竦めてしまいたくなる。重なる手を見つめる瞳は次第に涙の膜を張り、少しでも揺さぶられたら零れ落ちてしまいそうで。俯いたまま片手で隠すように額を抱えながら相手を何度も咎めるしか出来ない一方で、隠し切れない安堵の思いを震える声で弱々しく添えて)
…っとに、お前は馬鹿過ぎて笑えねぇよ……なに考えてんだ馬鹿野郎…っ…、……お前、に…もしもの事がなくて良かっ…た…。
(/やはり処置は必要かと取り敢えず救急車に乗せてみましたが、この後お考えがおありでしょうか?此方としましては処置をする辺りは飛ばして、その後椿くんを自宅に送るなり病院に一泊するなり、少し落ち着いた辺りからまた始めるのがやり易いのかなと思いますが…何かお考え、ご希望等ありましたらお聞かせ下さいませ!
いずれにせよ互いに無理出来ない状態なので、再会(?)がどれだけ嬉しくどれだけ高揚してても、上原には色々堪えて貰わなきゃいけませんね。…無理難題ですが/笑)
…ん、馬鹿だったかもな。今思うと、やっぱり忘れるとか、嫌だなって思うから。…馬鹿、だったなぁ…。
(やはりこれだけ大きな事態だったのだから誰かが救急車を呼んでくれていたのだろう、ほどなくして到着したそれに乗せられ近くの病院へと搬送されていき。勿論傍には救急隊員がいるからこそ相手と接触することも気が引けてしまい応急処置として両手の血をある程度拭われた後視線だけ相手の方に向けようとすれば、みすぼらしい傷だらけの手にその手を添えながら此方を窺う相手が目に入り。俯いたまま口にされる言葉は安堵の色を感じさせはするものの酷く弱々しくて、自分が相手にしようとしていた所業の重さを再度認識させ。今思えばあまりに短絡的で馬鹿げた発想、相手が自分を忘れてしまったことを言い訳に自分だけが楽になることを肯定しようとした身勝手な行動に苦笑しながら呟きを漏らすと、冷静になるにつれて込み上げてくる記憶を失ってしまっていたかもしれないという恐怖感に小さく身を震わせ。それでも相手を一度失いかけたからこそ、今相手が抱えているであろう喪失への不安感は痛いほど分かり、そっと慰める様に相手の頬を片手で撫でながらその先の道中を行き。)
(/そうですね、この後はお互いそれなりに心身へのダメージも負っていますし検査を含め一日入院にでもさせようかな、と思っておりました。同じ病室にでも突っ込んでまだ全快とは言えませんが一先ず再び恋人同士に戻れたことを噛み締めさせてあげられればといった感じでしょうか?勿論お互いに我慢する部分も付きまとってきますが(笑))
(呟くような相手の声と頬をそっと撫でてくる手に感情が込み上げ、きゅっと唇噛み締めながら溢れそうになるものを堪え。優しいその手に自分の手を添え、その後は何を話すでもなくぼんやりとした頭の中で相手の存在の大きさを噛み締めながら病院に到着するのを待ち。やがて搬送先の病院で検査を受け、相手より先に病室のベッドに落ち着いて。検査を受けている内、到着した時には明るかった窓の外はいつの間にか薄暗くなっており、検査も兼ねての入院という形で今夜はこのまま病院にとどまる事になった事の他、相手と同室だという事を付き添いの看護師から知らされ。ゆっくり休むようにと告げて部屋を出て行く看護師を見届けると、軽く包帯を巻かれた腕を見つめ、ゆっくりと長めの息を吐きながら視線を天井に移し。─まだ検査中の相手は大丈夫だろうか。「……椿、」彼の身を案じる中、今日の放課後にあった出来事が脳裏で再生され、彼の表情や言葉や仕草が胸を切なく締め付け、愛しいその名が自然と唇から零れて。相手の帰りを今か今かと待つ間、一日の気疲れと安堵からか瞼が重くなり、うとうととし始めてしまい)
(/了解です!搬送され検査を済ませ病室に戻るまでの経緯を勝手ながらある程度飛ばさせて頂きました。
同じ病室という事で、一足先に椿くんの帰りを待っておりますので、やり易いシーンからお好きなように始めて頂ければと思います^^)
――…かず、さ…?…もう寝てるか。
(病院についた後相手とは別で此方も検査に回されることとなり、一応頭を打っていないかやら骨に異常がないかやら一通り調べ尽くした結果両手の擦り傷などといった外傷以外は特に問題ないだろうということが分かり。あまりの検査の多さに自分のしでかしたことをじわじわと再認識し少しだけ怖くなったものの一先ず一日入院で様子見の後帰宅しても大丈夫らしいという結果に安堵し。そうしてあれこれ調べられているうちに大分夜も更けてしまい、看護師さんに案内され病室の前まで到着すると先に入室していると聞いた相手が寝ている可能性も考えそっと扉を引いて。案の定二つ並んだベッドの片方にあるふくらみに相手が寝ているだろうという推測が立てられると時間も時間だから仕方ないとは思うもののどうしても込み上げてしまう静かな寂しさに小さな呟きを漏らして。そっと相手のベッドの方に歩み寄っていき、そのまま傍に置かれた椅子に腰かけて布団の膨らみ越しに相手を見つめると、記憶を失ったあの日もこうしてベッドに静かに横たわっていたのだろうか、なんて勇気が出ずに見舞いにも行けなかった過去のことを思わず連想しあの日の悲しみと、漸く相手の中に自分が戻ってきてくれた実感からくる嬉しさとでほろりと涙を零してしまい。)
(/少し時間を置いての入室という形にさせて頂きましたが、和瑳くんがそのまま寝てしまったかどうかという旨は流れとしてそちらにお任せしたいと思います。それでは引き続きよろしくお願いいたします!)
――…椿…。…また泣いてんのか…しょうがねぇな…。
(夢か現実か曖昧な浅い眠りの中、誰かの気配を傍で感じた気がしてゆっくりと瞳を開け。ぼんやりと視界に入るのは、漸く思い出す事が出来たかけがえのない愛しい彼。見つめ合う間もなくその形の良い瞳から涙がほろりと零れ落ちれば、切ない程のいとおしさに胸をきゅっと締め付けられながら愛しそうに笑みを浮かべて。そっと手を伸ばし、濡れた頬に触れながら紡ぐ名や言葉は甘ったるい程に優しい響きで、今まで辛い思いをさせていた分甘やかしたくて堪らないという思いが溢れており。言葉や温もりで伝えたい想いは沢山ある。しかし張り裂けそうな程のその想いを先ずはどう消化すべきかわからない。今すぐ抱き締めて思うがまま口付けて─…、それはずっと一人にしておきながら余りに勝手だろうか。触れた手で頬や唇の輪郭を確かめるようにゆっくりと優しく撫でながら、ただ愛しくて堪らないという眼差しを向けていたが、不意に我に返ったようにはっとすると一旦手を止め。「検査…どうだった、何も…なかったか?」少し不安が混ざったような真剣な表情でじっと見つめながら、今最も大事な事を問い)
…何で、触るの止めんの。もっと撫でてよ、手でも肩でも、唇でもどこでも触ってよ。
(相手が寝ているものだと思ったうえでその姿を見つめているだけでも涙がこぼれてしまったというのに、そんな彼の声が聞こえてしまえばこれ以上寂しさに頑なになっていた心を留めておくことなど出来なくて。次から次と零れてくる涙を誤魔化そうとするように何度も拭っているうちに伸びてきた相手の手の感触は酷く懐かしく感じられて、それだけ相手に触れられていなかったことを再認識すると共にこの感触が自分の元に戻ってきたことに胸が震えれば問われた検査結果の旨について小さく頷いて。しかしそこで止められてしまった相手の手に名残惜しさを感じればかつてのようにいつも触れられていた状況では我慢出来ていても漸く焦がれていた相手を取り戻したばかりの自身にとってそんな辛抱は耐えられなくて、止まってしまった相手の手に自分の手を重ねそのまま自らの頬に押し当てさせると相手の指先を絶えず零れる涙で濡らして。焦がれていたものが目の前にある状況で求めずになどいられず、我儘じゃないかだとかまずは互いの怪我の具合を見てからじゃないかだとか、頭には理性的な考えが浮かぶのにそれよりも早く口から零れた本音に任せ強請る様に相手の手に頬を寄せればぎゅっと瞳を閉じながら唇を噛み締めて。)
…だったらもっと、こっち来いよ。もっとちゃんと…お前を感じさせろ。
(壊れ物でも扱うように優しく触れた指先を相手の涙が濡らしていく。止めどなく溢れる涙や触れてほしいと懇願するような言葉、温もりを求めるように擦り寄る行為に切なさと愛しさで胸が震え、言葉を詰まらせながら瞳を揺らし。事故とはいえ、大事な存在の記憶から綺麗に消されてしまうのはどれ程深い絶望感なのだろう。目の前の相手がどれだけ苦しんで来たかなど、所詮立場を置き換えての想像でしかわからない。自分は自分で常に彼が頭から離れず悩んできたとはいえ、残された方の悲しみや寂しさや痛みに到底及ぶ筈もなく、そんな自分が彼を求めるまま触れてしまっていいのだろうか、そんな迷いが掠めて。以前の自分ならばそんな事お構いなしに欲任せに求めたのだろうが、共に過ごす内に見えてきた彼の繊細な部分を大事にしたいという思いが己を慎重にさせ。とはいえ先程から突き上げる触れたい、抱き締めたい、笑顔が見たい、そんな衝動を抑え込むのは不可能で。ゆっくりと上半身を起こせば、もっとしっかりと深く触れ合えるようベッドの上に誘おうと、やや強引に引き寄せて)
ッ、そっち、もっと寄って…。
(やや強い力で自分を引き寄せる相手の腕、こうして招き入れてくれるということは相手も自分を欲してくれているのだろう。長く寂しい時間を過ごしていた身としては言葉でも行動でも、相手が自分を求めているという実感を得られることがとても嬉しくて、ぎゅっと甘い痛みを響かせる心臓を落ち着かせるように胸元を握りしめてから導かれるままに相手のベッドに足を掛けると相手の横に並ぶような形でベッドと布団の隙間に体をすべり込ませていき。本来ならば相手の身体に乗り上げるなりして僅かな隙間もなくなるくらい固くきつく抱き合いたいけれど、どれだけ想いが熱を帯びようと今はお互い転落で体を痛めている状況、いくら我慢をしないと決めたからといってそれで相手の身体を辛くさせてしまうなんてやはり理性がストップを掛けてしまい。それでもぴったりと相手の体に横から腕を絡め、胸の辺りに頭を寄せることで服越しにも聞こえる相手の鼓動に耳を傾ければ時折すん、と鼻を鳴らしながらどこか安心したように目を伏せて。)
――…お前の夢…見てた。
(潜り込んでくる相手の身体の状態を気遣いつつそっと抱き寄せるも、甘えるようぴったりと身を寄せてくる相手が愛おしく、しっかりと抱き直しながら相手の髪に頬を擦り寄せ。久しぶりに得た匂いや抱き心地、懐かしさと恋しさに震える胸を落ち着かせようとゆっくりと息を吐き出し。相手との記憶を失くしている最中も心の何処かで求めていた、この心地よい体温や鼓動に酷く安心感を覚え、切なさと幸福感の他にひしひしと感じるのはやはり己には彼が必要だという事。伝えたい事は沢山あるのに、好きだという思いが溢れて言葉にならないまま余り意味のない事を口にするのがやっとで。自分にとって相手がどれ程大切か離れていた分しっかり言葉で伝えたいのに、寂しくさせていた分壊れる程強く抱き締めたいのに。思うようにいかないもどかしさに歯を噛み締め、首の辺りに擦り寄るよう顔を埋めながら抱く力を少しだけ強めて。首筋に寄せた唇に微かに触れる脈や温もりが彼が生きている証を伝え、トクンと深く胸に響く。“もしもあのままこいつが─…”、改めてそう考えると、相手の熱を感じたくて堪らなくなって。指通りのよい髪を撫でながら顔を上げさせれば熱と葛藤を孕んだ瞳で見つめ、心境をゆっくりと紡いでいく。「…椿…、上手く言葉が出ねぇから…お前を抱く事で伝えたい。けど…それも叶わねぇならせめて――…」しかしそれさえももどかしくなる程に彼を求め、傷付けてしまった彼を安心させたい、満たしてやりたいという気持ちが突き上げ。最後まで言葉に出来ないまま彼の額や瞼にゆっくりと唇を押し当てていき、いとおしそうに見つめては唇を重ね)
(/長くお返事が滞ってしまっていて申し訳ありません…最近といいますか、新年度が始まってから何かと忙しくお返事をきちんと考える時間があまりないのに加え、長くお付き合い頂いているからこそのマンネリに近いような、そんな考えからこのように日にちを開けてしまいました。飽き性なのか不意にお返事を考えるのに非常に時間を要してしまうことがあり、申し訳ない限りでございます。
つきましてはまことに勝手ながらもう少しだけ距離を置く、といいますか、暫くお返事をお休みさせて頂けないでしょうか。やり取りを止めたい訳ではない、この二人の物語が嫌になった訳ではない、だからこそ少し時間をおいてまたフレッシュな気持ちでやり取りに臨みたいと思った故の提案でございます。
お待たせしてしまっているのに、このような身勝手を本当にすみません。それでも、どうかご理解頂けないでしょうか。)
(/お忙しいのだろうとは思っていましたが、そんな中体調でも崩された、もしくは何かあったかと心配しておりましたので、一先ずお元気そうな姿が見られてほっとしました。同時に原田様が仰るような理由もあるのではないかとも薄々は感じておりました。此方とのやりとりを打ち切りたいにしても何にしても伝えてくれるだろうと信じておりましたので、その点に関し正直にお話してくれた事が嬉しかったです。沢山悩ませてしまったようで申し訳ありません。
原田様に飽きられないような展開を考え、少しでも見合うような文章を考える事は難しく、昔からの課題でもありましたが、とても楽しく幸せな時間でもありました。
しかし最近は特に自分の未熟さを強く感じ、不甲斐ない気持ちで一杯でした。そんな自分が出来る事は、物語の中で椿君へありったけの想いを届ける事。椿くんがどれだけ大切か、それだけは解って欲しいと、力を入れる方向に偏りが出てしまっていたのかもしれません。原田様がストーリー性を大事にする方だと知っていたのに申し訳ないです。
長い付き合いの中マンネリ感が生じるのは不思議ではない事だと思いますし、そう感じた時に打開すべく努力をするつもりでした。俺なりに真剣に向き合っていたつもりでしたが、期待に応えられずすみません。情けない気持ちで一杯です。
距離を置く事に関しては承知しました。どうかゆっくり休んでください。もしまた始めてみようかと気が向かれました時はお声掛けくださいね。その機会を頂いた時は自分もまた頑張ります。
伝えたい事は他にもあるのですが、本体からでは肝心な事が伝わらないかもしれませんね。ごめんなさい。お忙しいでしょうが、お体にお気をつけて。またお会い出来る日を楽しみにしています。ありがとうございました。)
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