主 2013-06-22 18:50:00 |
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ああ…待ってる。
(無事にメールが届いた事を見せられた画面から確認すると後で番号も知らせるという相手に笑みながら携帯をしまい。と、その時相手の口から溢れる期待と独占欲を煽るような言葉にドキリと胸が弾み、更には宝物でも抱えるかのような可愛らしい仕草が添えられれば簡単に相手の意図に嵌まってしまい。「だったら最初で最後にしてやるよ。」などと性懲りもなくベタな台詞を吐くも、やはり本人に自覚はないのか自信に満ちたような得意気な笑みを浮かべていて。再び帰路につくと「方向、こっちでいいのか?」自宅まで送るつもりなのか道案内を求め)
…ふふ、それはどうかなー?
(ベタな独占的な台詞だが得意気にそれを語る相手を見ていると何だか胸の辺りがきゅ、と締め付けられたような感覚になり。これが俗にいう"きゅんとする"ということなのだろうか、などと考える頃には男相手にきゅんとしているという可笑しな自分自身のことはもう気付いておらず。そんな相手の言葉をするりとかわすようにくすくすと笑いながら言葉を返すと両手を背中で組んで。どうやら自分を送ってくれるらしい相手に何だか大事にされてるな、などと思いながら「うん、そっちの方だよ。この辺りに郵便局あるの、分かる?私の家、そこからすぐなの。」と目印を交え家の場所を説明し。)
するっつったらするんだよ。
(くすくすと笑いながら可愛らしい仕草を施す相手に巧くかわされているような、からかわれているような気分になり。本気だと言わんばかりに熱が入り子供染みた物言いをしてしまえば羞恥に顔を逸らして。相手を前にするとどうも調子が狂うのはこの慣れない感情のせいだろうか。そういえば相手に気持ちをハッキリとした形で伝えていなかった事を思い出し、不意に相手を回り込むよう前に立ち)
……いい加減察しただろうが俺はお前に惚れてる。あの日からずっとお前の事が頭から離れねぇ。会いたくて堪らなかった。…俺はお前が欲しい。必ずお前を手に入れる。逃がさねぇから覚悟しろよ。
(相手を真っ直ぐに見詰めれば若干鈍感な雰囲気がある彼女でも今度こそ理解せざるを得ないようにストレートに伝えるものの、自尊心が高い性格故、告白なのか脅しなのかわからないような言い振りで。とはいえ表情に威圧感のようなものはなく、上がる口角こそ偉そうではあるも向けられる眼差しは相手への愛しさから滲む柔らかなさも帯びていて。自宅の説明に「了解」と笑むと一度くるりと背を向け、相手の歩調に合わせるようゆっくり歩き始めて)
…わ、たしは…私は、上原くんが思ってるような子じゃない、よ…。そういうこと、言われるべきじゃ、ない…だって…ーー。
(これまでのように避けようのないストレート過ぎるほどの純粋な相手の思いを打ち明けられ今までで一番ずきりと胸が痛み、自分に合わせるようにゆっくりと歩いていく相手を尻目に告白された辺りから立ち止まったままで。なぜこんな状況になってしまったのか、なぜ再会したあの時に断っていなかったのか、なぜ無駄な期待ばかりさせるような行動を取ってしまったのか。そんなことを考えていれば後悔と自責の念に苛むと同時に、ただ断った時の相手が怖いからといった思いの裏に自分でも気付いていなかった別の思いがあることを感じ始めていて。)
…ごめんね、やっぱり送ってもらわなくて大丈夫。ここで、もういいや…じゃあ、ね…。
(ずきずきと痛みをます胸を押さえながらこれ以上相手と共に居ることを苦痛に感じ、先を歩いていた相手を小走りで追い越しながら持ってもらっていた鞄を半ば強引に取り返すとくるりとその場で振り返り。周りの音に紛れてしまいそうな程の酷くか細い声で別れを告げると苦しさと後悔と、どこから来たのか分からない強い悲しさにまるで泣き出しそうな表情のまま再び相手に背を向けると一刻も早く相手の目の届かない場所へ逃げ込みたい一心で自宅へは少し遠回りとなる薄暗い路地の方へと逃げるように駆け出していって。)
(/何だか終了レスのようになってしまいましたが此方としては追ってきて欲しい、的な少々女々しい気持ちで書きました/←/勿論この先の行動はそちらにお任せしますのでここでこの場面を終息させても構いません。前者に書きましたものは言わば私の軽い希望ですので、お好きなように行動して下さいませ。
これだけ伝えたかったので本体で出させて頂きました、それでは再び本体は引っ込みます/礼)
(前をゆっくりと歩き出すが相手が着いてくる気配がなく、不思議に思い振り返ろうとした瞬間耳に届いたのは何処か悲しく辛そうな相手の声。何を言い出すのかと僅かに眉を寄せ相手の真意を探ろうとじっと見据えれば不意に走り出した相手に鞄を奪われて。「おい…」送らなくていいと訴える相手、その表情は悲しみを宿し今にも泣き出しそうで。相手をこんな風に追い詰めてしまった理由が分からず混乱すると同時に、相手のその表情が己の胸を切なく締め付けて)
――…っ、待てよ…!
(じゃあね、という別れの挨拶に何故か胸がざわめく。此処で手放したらもう二度と会えないのではないかという予感に暗い路地へと駆け出していく相手を咄嗟に追い。再び相手の前に回り足止めれば両手で肩を掴み、強く真剣な眼差しで相手を捉え)
…言ってる意味がわかんねぇよ。俺はお前に理想を抱いているわけじゃねぇ…印象なんか幾らでも変わっていくと言った筈だ。どう変わっていこうがお前はお前なんだよ。……そんな下らねぇ理由で俺から逃れようとすんじゃねぇ。お前へのこの感情、今更無かった事になんか出来るかよ…
(どんな言葉にすれば目の前の相手に伝わるのか、解って貰えるのか。言葉を選ぶ余裕等無く、短時間でこれ程までに膨らんでしまった相手への想いをぶつけるように言い放てば襲い来る切なさに瞳を細め、不意に抱き寄せてしまい。らしくもなくこれまで慎重に接してきたのは、怖がらせたくない、嫌われたくない、大事にしたい、今まで感じた事が無かったそんな純粋な想いからで。本気だからこそ抑制していた行動も今は止める術がなく、逃がさないというように抱く腕に力を込めて)
(/ご親切に有難うございます…!例えお望みでなくとも和瑳なら追わずにいられない筈。
ちなみに当初考えていた設定としてはこの辺までですので、今後の展開は自由な感じといいますか、そちらのお好きなように動いて下さって構いませんので。その都度ご自由に時間を飛ばして頂いても結構です。ご要望御座いましたら何なりと。
これまでストーリーに忠実に添って頂き有難うございました。本体様の技量といいますか、全てにおいて本当に尊敬するばかりです。引き続き宜しくお願いします/礼)
(早く相手から離れなければ無様に泣き出してしまう、そう思って駆け出したにも関わらず女物の靴では大した速さは出ずすぐに相手に掴まり。真剣に思ってくれるその言葉が結局は自分ではなく架空の人物である棗に向けられていることが、その純粋過ぎる言葉が、一番自分を苦しめることなど知りもしない相手が理不尽だとは分かっていても酷く腹立たしく思えてきて。自分を抱き寄せる相手の腕を拒むように握り締めた拳をその胸にどんと打ち付けると俯いていた顔を上げ。)
…"お前はお前"…?ッじゃあ、あんたが言う"お前"って一体誰だよ!?可愛くて女らしくて、いつも笑ってる妹の棗!?それがもうあんたの理想だろ…そんな奴に好きだの何だの言われて、俺にどうしろってんだよ!!
(拳を打ち付けた瞬間今まで留めていた色々なものが溢れ出てきて、ぼろぼろとこぼれ落ちる涙で頬を濡らしながら妹としての口調も仕草も何もかも投げ捨てて喚き散らすと止めていた拳を再度相手の胸に打ち付け、また反対の手でと繰り返し相手に八つ当たりをし。そうしてずっと堪えていたものを洗いざらい吐き出すようにわんわんと酷く子供じみた声を上げて泣き出してしまえば、もうこのあとどうこの問題を取り繕うかも今後の学校生活をどうするかも何もかも考えることを放棄しただただ今のこのどうしようもない感情を吐き出す以外何も出来なくなっていて。)
(/了解致しました。私の考えもまだまだ甘いところがあるため時折何となくマンネリとした場面に直面してしまうこともあるかと思いますが、その時はどうぞ主様の知恵をお借りさせて頂くかと思います。何とぞこれからもどうぞよろしくお願いいたします。)
――…ッ、
(相手を腕の中に捕らえたと思った瞬間胸に入る強い衝撃、それは女性とは思えない程の力で。相手を己から離せば次々と溢れる涙で頬を濡らす相手と視線が合い、短く息を飲む。その表情も、声も、言葉遣いも、己に向けられる力も、もはや先程までの彼女のものではない。今起こっている出来事から真実を見出だすように目を細め、相手の悲痛の叫びを胸に刻み、ただ力無く攻撃を受けながら混乱している頭の中を必死に整理しようと試みて)
――……お前…、椿…か。
(目の前で泣きじゃくる相手を茫然と見詰めている内、一つだけはっきりした事を言葉に変え。――何故今まで気付かなかったのか。己の間抜けさを嘲笑うような乾いた笑みが零れる。人見知りだという棗、己と会うのに抵抗があり代わりに椿を寄越した?いや、そもそも棗という人物は最初から存在しなかったのではないか。だとするとあの日、一目見るなり強く惹かれて止まなかった相手というのは――…、考えれば考える程混乱を増す頭に片手をやればくしゃりと髪を握り。先ずは事実を確認しなくてはならないと息を逃すと、目の前で泣きじゃくる相手からそっと離れ脱力したように背後の壁に凭れ、相手を見据えれば静かに訊ね)
――…あの日歩道橋で俺と会ったのはお前か?
ーーッ…ああ、そうだよ…。残念だったな、可愛い可愛い女の子の、"妹の棗"じゃなくて…。
(相手の腕から開放されるとそのまま相手の向かいの壁にふらふらと寄り掛かっていき、背を壁につけたままずるりとその場に座り込むとそろそろ頭が冷静になってきたのか涙を拭いて落ち着きを取り戻し始めて。相手の言葉のひとつひとつにびくりと体を震わせながらも大して強くもない虚勢を自分を保つために無理矢理作り上げれば、こうして真相をバラしてもなお棗の影を追おうとする相手に理不尽にも苛立ちが募り始めて酷くとげのある声色で言葉を返して。)
…これで分かっただろ。棗なんて妹、俺には居ない。あんたが今まで好き好き言ってた奴は居ないんだよ。…だから一時の甘い夢だったって割り切って、その無駄な恋心なんて忘れろ。
(座り込んだまま立てた両膝に腕を組むようにしてそこに顔を埋め、散々泣きわめいたせいで少しだけ掠れた声で確かな真実を相手に再度見せつけるように語り。そして相手の向かいのその恋心を絶ち切らせるべくそれを促す言葉を呟くと、それと同時に自分自身にも相手へのこの感情はただの同情と好奇心とがない交ぜになっただけのもので恋心に似ただけの別物だと、そう言い聞かせて。たった一日の短い放課後の時間を共にしただけの関係だというのに重く胸に残る相手と過ごした時間の一片一片を振り払うように小さく首を振ると最後に「…ごめん、な。気ぃ済むまで殴っていいから、さ…ほんと、成り行きとはいえ最低なことした自覚はあるんだ。…ほんと、ごめん。」と再び涙声になりそうな声を抑えながら償いをする思いでそう呟いて。)
……、
(目の前にいる相手は棗であって棗ではない。皮肉めいた言葉を向けられるものの、思いの外自分がショックを受けていない事に気付かされる。男だと見抜けず騙される己は酷く間抜けだが、此方の気持ちを知りながら騙し続ける方も質が悪く、本来なら抑えようのない屈辱感で怒り任せに殴り飛ばしていた事だろう。けれど涙で濡れた顔を隠すかのように膝に埋める相手を前に不思議と怒りが沸かないのは、相手なりに罪悪感に悩み苦しんだ事を顔を濡らす涙が裏付け、そして相手の正体を知った今も未だ消えない想いがあるから。そんな事を頭の片隅で考えながら消え入りそうな相手の方へと身を乗り出し)
――…酷ぇ面。
(伸ばした手で相手を殴る代わりに頭を掴むように半ば無理矢理顔を上げさせては、己の心を一瞬にして奪った相手の顔を改めてよく眺めて。先程までの愛くるしい笑顔は何処にもなく、涙でぐしゃぐしゃに濡れた顔を軽く鼻で笑うも何処か愛おしそうに目を細め。「夢だとか無駄だとか勝手に決めつけてんじゃねぇよ。お前はしっかり存在してんじゃねぇか…此処によ」頭を掴んでいた手を離すとそのまま頬に触れ、涙の跡を親指でそっとなぞるように拭いながら真っ直ぐに見つめ)
…確かにあの日、棗としてのお前に一瞬にして惚れたのは事実だ。けど棗に理想を重ねてるってのは違うぜ。お前の印象が変わろうがそうじゃなかろうが、そんな事はどうでも良かった。少なくとも俺が今日ずっと見ていたのは俺と一緒に居たお前だ。例え棗として接していようが、それもお前に変わりない。…わかるかよ。
(混乱から解放され冷静さを取り戻したようで、真剣な眼差しで相手を直視したままゆっくりと諭すように言葉を紡いでいき。短い時間の中己の前でくるくると変わっていく表情は、例え故意に作ったものでも紛れもなく相手のものだと強く思い。まだ伝えたい事はあるものの、一度言葉を切れば此処までは理解出来るかと確認して)
ッい…!だ、から…あんたが欲しいのは俺じゃなくて、居もしない棗で…っ!
(頭を掴まれた時髪が突っ張り痛みを伴ったのか少しだけ顔を歪めながら小さく声を漏らすと相手の手を払おうとするように軽く腕を振り、その動きでじわじわとずれてきていたウィッグがばさりと背後に落ち。それを拾おうとしたところで相手に頬に触れられてしまえば何故かそれから相手の目を見つめ返したまま身動きが取れなくなってしまい、しかし相手が放った言葉に顔をくしゃりと歪めるとそこで漸く視線を反らし少しだけ苛立ったようなきつい声で言い返し。)
わ、かんねぇ…よ…。じゃあ何、あんたは今日一日一緒にいたやつが女のフリしてた男で…騙されて、半ばデート紛いみたいなことを男とやって…そんだけ振り回されたのに、それでも何も変わんねぇって言うわけ!?
(相手の言葉を頭は確かに正しく認識しているものの感情がそれをよしとしないのか相手の手を払うようにぐい、と相手の腕を自分の腕で押し返すと酷く苦しそうに顔をしかめたまま呟いて。今まで男の自分に好きにされていた、それを理解してなお何も変わらないと告げる相手の言葉が今の罪悪感に苛む自分には同情か何かのようにしかどうしても思えず。ゆらゆらと不安げに視線を揺らしながら下方に目を向けると乱れたスカートに汚れてしまったソックスが目に入り、自分は何をやっているんだろう、そんな自らを嘲るような思いさえ芽生え始めていて。)
だったら逆に聞くが…お前、今どんな気分だよ。俺を騙して気分いいか?馬鹿みてェにお前を信じ疑わなかった俺をいいザマだと嘲笑ってんのか?だとしたらとんだ演技派だな。
(ばさりと落ちたウィッグの下の素顔はやはり屋上で会った彼そのものだが、それは既に大した問題では無くごく自然に受け入れている自分がいて。断りにくかった、或いは好奇心や興味本意、最初は大方そんな理由で此方の誘いに乗って来たのだろう。しかし騙し続ける事に対し良心が堪え切れなくなった。でなければあの涙と悲痛な訴えは何だというのか)
…そりゃ頭に来るぜ。問答無用で半殺しだ、いつもならな。けどよ…不思議とそんな気が起こらねぇ。事実を知った今もお前への感情は削がれていない。むしろ益々興味を持った。お前は俺を欺く事への罪悪感に限界を感じたから暴露したんじゃねぇのかよ。
(押し戻されるままに一度は腕を引っ込めるも眼差しは相手を捕らえたまま本音を告げ。普段ならこんな屈辱を人一倍高い自尊心が許す筈がない。けれどその辺に関しては自分でも不思議なくらい余裕があるのも事実で、危うい程の不安定さを見せる相手に再度触れたくなる衝動を今はどうにか抑え、相手を納得させる事に努め。心境を探るように不安げなその表情を見詰めれば、相手の答えを静かに待ち)
そ、だよ…俺は、あんたのこと騙して、散々無駄な期待させるようなことして…そのくせ、勝手に一人で苦しくなって、罪悪感、とか…綺麗事、言って、…ッ!
(は、と小さく嘲るような笑みをこぼしてから軽く自分の腕で目元に溜まった涙を拭い、それから酷く自分を卑下した言葉をつらつらと続けて。そこまで理解しているのに何故相手は殴りもしないのか、それさえ自分には辛い同情に見えてしまうのに。そんな思いをぐるぐる巡らせながら再びじわりと滲み出す涙をぐっと堪えるように歯を噛み締めるとそっと相手の手を取り、それからその取った手を自分の胸に軽く当てさせ。)
…そこまで分かるなら、殴れよ。興味が削がれないなんて同情じみた言い訳しないで、早く。自分勝手かもしれないけど、そうやって変な気ぃ遣われる方が、正直辛い、から…。
(きっと先程まで少女"棗"だったから自分に手を上げられないのだろう、そんな解釈に落ち着き。自分だから殴らないのではなく自分が棗だったから殴らない、殴れないという自分なりの解釈が何故かずきずきと酷く胸を刺して。そんな気を回されるくらいなら、と先程自身の胸に当てさせた相手の手に拳を握らせ半ば懇願するように償い代わりの暴力を求めると、その拳にこつ、と額を押し当て再び溢れだした涙に肩を震わせながら相手からの胸の痛みを凌駕してくれるであろう手痛い報復を待ち。)
同情?何でこの俺が同情だの気遣いだのしなきゃならねぇんだよ。てめぇは俺の話の何を聞いてた?未だにお前への想いがあるから殴る気にならねぇっつってんだろうが。
(導かれるように相手の胸に触れた指先から痛みを伴う感情の高ぶりが鼓動となって伝わるような感覚を覚えながら、涙を堪える仕草を見せる相手を見つめ。何故こうも同情だと決めつけ譲らないのか。己の言葉が少しも伝わっていない現状に苛立ったように眉を寄せると拳を握らされた手を強めに払い、肩を震わせて泣く相手を背後の壁に乱暴に押し付けて)
さっきから聞いてりゃ殴れ殴れって…そんなに報復が欲しいのか?だったら望み通りにしてやるよ。
(此方からは若干見下ろすような体勢で相手の顎を掴みグイと上げさせれば至近距離で鋭い眼差しを浴びせ。偽りない気持ちでぶつかろうともそれを否定し拒もうとする相手にとってそれなりの報復ともなるだろうと、殴る代わりに荒っぽく唇を塞いでやり)
ッい!…だから、それは棗に対しての想いであって俺に対しての想いじゃねぇし、殴れないのもその棗が俺だったからだろ!?
(壁に押し付けられた背中からじゃり、と服と壁が擦れる音がして。相手の言葉を聞いていると何だか自惚れてしまいそうになる言い方ばかりが目立ち、それを拒否するように相手がただ今も棗を自分に重ねて見ているだけだと主張を返し。男である自分にそんな告白紛いの主張をするなんて間違っている、そんな様子を多分に含んだ疑うような視線を相手に向ければそこでため息をひとつ漏らし。)
…あんた今自分が何言ってんのか分かってんのかよ、あんたの言い分男が好きって言ってるようなもん…ッん!?
(ぐいと強制的に上を向かされる体勢にされてもなお相手から視線を反らし疑うような言葉とともに相手を否定し。しかし次の瞬間いきなり乱暴に唇を塞がれればかあっと頬に熱が灯るとともに酷く動揺し、散々自惚れてしまわないようにと否定を続けていたのにこれではまるで愛されているような錯覚をしてしまうじゃないか、そんな風に相手への反感を胸に抱いて。とにかくこんな状態相手にも自分にも悪いと本気で払おうともがくものの相手と自分では力の差は歴然、更には心の何処かで相手とこんな風になるのを期待していた己の存在によりすぐに抵抗する力を失うとくたりと脱力した腕を相手の肩に掛け半ば相手を受け入れたように瞳をゆっくりと閉じて。)
(唇を塞いだ矢先案の定向けられる抵抗を封じるように空き手で押さえつけ、報復の如く噛みつくような口付けを角度を変えながら何度も与え。すると力の差に諦めがついたのか、これが報復ならばと受け入れようとでもしているのか、不意に弱まる抵抗力。ふと肩に相手の温もりを感じると乱暴に掴んでいた顎からそっと手を外し頬に触れ、そのままゆっくりと髪をかき上げるように撫で後頭部へと回せば荒々しい口付けを緩やかなものへと変え。その形の良い柔らかな唇の輪郭をなぞるように舌を這わせては軽く吸って解放し)
――……理解出来ねぇっつぅなら今はそれでもいい。時間を掛けてでもわからせてやるよ、生半可な気持ちで言ってるわけじゃねえってな。
(勿論同性に興味があったわけでもなければ何時までも相手に棗を重ねているわけでもない。目の前にいる存在こそが特別だという事を理解させるにはもう暫し時間を要するだろう。分からず屋のこいつに時間を掛けてじっくり思い知らせてやるのも悪くない、そんな感情が芽生えれば自然と口角が上がりふてぶてしい表情が浮かぶ。相手の顎に手を掛ければ濡れたままの唇の質感を再度味わうように親指でなぞりながら熱を宿した瞳で捕らえるように見つめ)
(半ば諦め気味に相手の口付けを受け入れたのは確かに自分だが、それにしても自分を思わず畏縮させてしまうような激しさが相手のそれにはあり。相手が何か変わったアクションを起こすたびにびくりと小さく震えながらも何とか耐えていたのだがぬるりとした舌が唇を這った際はさすがに怖かったのか本気で食べられるのでは、なんてことを考えながらぐもった声を漏らし。)
ッ、は…やれるもんならやってみろ、この勘違い野郎。あとで間違ってたことに気付いて後悔すんのはあんたなんだからな。
(漸く唇が解放され詰めていた息を吐くとすかさず掛けられる挑戦的な相手の言葉、唇を離してもなお己の唇を弄ぶように指で触れてくるその手を払ってから手の甲でぐし、と唇を拭い。相手同様自分も相手の方が勘違いをしている、という主張を引くつもりはなく挑発的にも相手に乱暴な言葉で言い返すとそろそろ退け、とでも言うように相手の肩を軽く押して。)
大した威勢じゃねぇか。さっきまで泣き喚いてた癖によ。
(手を払われると同時に強気な発言が返れば小馬鹿にしたような物言いをするも、幾分調子を取り戻したらしい相手に“それでいい”とばかりに何処か満足ともとれる笑みを浮かべてみせ)
…しかしこうして改めて見ると酷ぇナリだな。
(肩を押される事で相手の全体を改めて眺められる距離へと戻ると、視界に入るのは乱れた黒髪に散々泣いたと思われる涙の跡、あちこち汚れた女物の制服というあらぬ誤解を生むような姿。故意に意地の悪い言葉を浴びせふっと笑うと落ちたままのウィッグを拾い上げ、ばさりと相手に被せては立ち上がり、立てとばかりに手を差しのべて)
…言っとくけど、あんたもその酷ぇナリになった一因なんだからな?
(小馬鹿にしたような相手の言葉にすかさず噛みついてやろうと顔を上げれば予想だにしなかった相手の満足げな笑みがそこにあり、その笑みを見たせいかなんだか怒るに怒れず無言で不機嫌そうに唇を尖らせるだけに留めて。それから雑に被せられたウィッグを正しくかぶり直してから相手の手を借り立ち上がると不満をぶつけるようにぼそりと呟き、意地の悪い相手の言葉に対抗するかのように「…これ、正直レイプの被害者と加害者みたいだよな。」などと冗談半分に返すとどうやら女装にかんしては完璧に吹っ切れてしまったのか悪戯っぽい笑みを浮かべながらきゃー助けてー、などと棒読みで叫んでみせたりして。)
(己も一因だという自覚はあるものの不満げな相手を前に特に何も言葉を返さず澄まし顔で肩を竦めてみせ。相手の表情やその後の棒読みな叫びからしても冗談だと取れるも、確かに第三者からすればそう見られても無理もないと考え、たまたま現場が人通りのない路地裏であった事に運を感じ)
あのまま続行して現実にしてやった方が良かったか?お前は虐げられるのが好きなようだしな。
(殴るよう仕向けようとした相手をからかうネタのつもりで口角を上げ見やるも、ふと現在地が先程聞いた自宅の方向とは遠回りになる地点になると気付くと「だいぶ道草くったな。こっちでいいのか?」と相手に視線をやり、多少遠回りではあるがこのまま人目に付きにくい通りを進む方向で良いのか訊ね)
ッ、冗談じゃねぇよ**ホモ野郎!!
(こんな下世話なネタを振ったのは確かに自分だがまさかこうして返されるとは思わず、調子は戻りはしたもののやはりこれだけ色々なことがあったため完全に相手への警戒が解けた訳ではなかったらしくからかうような言葉にどうしても過剰に反応してしまって。相手にそのような事をされる情景をうっかり思い浮かべた自分を叱るようにばし、と自分の頭を叩きながら本来の口の悪さで淀みなく言い返すと顔を火でも出そうなほど真っ赤にしたまま相手から視線を反らして。)
…そっちでいい。今大通りに出たらうちの学生だらけだろうし。
(自分で振った冗談をネタで正に返り討ちにされてしまったこと、更にはそのネタ自体の両方に酷く羞恥を感じ赤くなった頬を両手で挟むようにして冷やしながら相手の問に短い返事で答えると、どうやらまだ先程のネタが頭を過っているのかそれを早急に振り払おうとするようにふるふると小さく首を振りながらゆっくりと歩みをすすめ。)
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