─　Love at first sight　─【BL】

(自分の予想通り先程の己の言葉を聞いて彼が振り返ったであろうことを微かに聞こえた布が擦れる音で理解し。小さな足音と共に徐々に近寄ってくる相手、もしかして先程の言葉が相手の気に障ってしまったのではと枕をきつく抱き締めることで身を固くするとそつと頭に触れた手の感触に思わずぴくりと震えてしまい。先程の相手の独り言はリビングから此処へ移動する間に恐らく自分が何か仕出かした故の言葉だったはず、にも関わらず自分へ謝罪をする彼に首を振るように僅かに頭を動かす。そうした後ぎしりと小さく軋むベッドと共に体が僅かに相手のいる方に沈む感覚を感じると愛しさに熱を帯びたような声で呼ばれた自分の名を耳にし。)
ーー…お、やすみ…。
(すごくどきどきした、その一言で全て片付いてしまう程に胸が高鳴った。名前を呼ばれただけなのに、手を握られただけなのに、子供をあやすような優しい口づけを受けただけなのに。相手の行動の全てがまるで自分の胸の中で別の生き物か何かが暴れているんじゃと思うほどに動悸を速め息を短くさせ、どうしようもないほど嬉しい気持ちを掻き立てる。もう足掻きようのないほどに体は彼への好意を主張してくるのに、建前と理性がそれを邪魔する。微かに震える声で挨拶を返し、彼が部屋を出ていった途端に握られていた手をもう片方の手でぎゅっときつく握り。もう知らん顔など出来ないくらいに焦がれる思いに反応してか触れられただけの手は酷く熱く、もうどうしたらいいのか分からなくなってきてしまった感情がそうさせるのか無性に泣きたくなってきてしまい。風邪でもないのに火照って仕方がない顔を枕に埋めじわりと浮かぶ涙さえ無視すると、そのまま早く眠ってしまおうと体を縮こまらせたまま瞳を閉じ再び眠気に身を委ねて。)

(寝室を出てリビングに戻ると取り敢えずソファーに腰を降ろし、未だ鼓動を刻む速度を落とそうとしない心臓を落ち着かせるように息をつき。僅かでも気を抜けば切れてしまいそうな理性を己にしてはよく保ったと思う。懸命に悩み答えを出そうとしている相手を待とうという思いに反し、強引に捩じ伏せてでも欲しいという思いも確かにあって。今日は偶々幾つかの条件が重なり一緒に過ごす事になったが、明日からはまた互いに元の生活に戻る事になる。相手の事を考えれば学校での接触は出来る限り控えなければならず、相手を独占出来るのは今だけ。そう考えた途端異なる二つの思いがせめぎ合い、先程とはまた少し違った意味で再びドクンドクンと心臓が騒ぎ始め)
――…ッ、
(その感覚にじっとしていられなくなりソファーから突如立ち上がると、外気でも浴びて少し頭を冷やそうとリビングからベランダに通じる窓を開け部屋の外に出て。湿り気を含む夏特有の風も夜になれば心地よさも感じられ、手摺に腕を掛け凭れてはそこから見える風景にぼんやりと視線を置き。と、不意に何故か無性に切なさが襲う。例えるなら相手と二度と会えなくなるような、何の根拠もないそんな感覚。いよいよ頭も心も本気で壊れたのではないかとさえ思え、思わず自嘲の笑みが零れ。「面倒くせぇ…」今の自分に対し吐き捨てるように洩らし、眠気が訪れるまでそのまま夜風を浴びる事にし)

(あの後一度はそのまま眠りについたのだが何時もより少し早く寝たせいかはたまた眠る前のあの出来事が気持ちを昂らせ深い眠りを遮ってしまったのか、空は白みを帯びてきたが未だ太陽は昇らないくらいの正に深夜という時間帯に不意に目を覚ましてしまい。寝たお蔭で大分落ち着きはしたもののまだ何だか心臓が落ち着かないような不思議な感覚がある中、取り敢えず水でも一杯飲もうかとゆっくりベッドから起き上がりリビングへと足を向けて。)
ーー…流石に寝た、よな…？
(リビングの扉を開ける前になって相手が起きていないか、という問題に直面する。もしこんなタイミングで顔を合わせたら気まずいというよりもどんな顔をしまらいいのか分からない。深夜だからといっても彼の就寝スタイルなど知らないから確証もないし、大体自分の足音なんかで起きる可能性だってないことはない訳で。しかし渇いた喉を潤したいのも事実、意を決して音がならないようにゆっくりとドアノブを捻るとそっと扉を開きまず彼が寝ているか確認すべくソファのある方にそろりと視線を向けて。)

(暫くぼんやりと夜風を浴びる事で少しは落ち着いたようで、手摺から腕を離すと再びリビングへと戻って。結局眠気は訪れないままだったが、これ以上あれこれ悩んでも仕方ないという結論に至り大人しく寝る事にしたのか、照明を消すとソファーの肘掛けを枕代わりに横たわり。言葉では表現にしくい切なさを残したままだが、揺るぐ事ない気持ちがある以上己は今後も相手を見続けるだけ。そんな事を思いながら静まり返った寝室の方に一度は向けた視線を再度外し、仰向けの状態で目元を覆うように腕を乗せて。やがて眠りに落ちていき、深夜寝室の扉が控え目に開く事に気付かず規則的な寝息を小さく立てていて)

(ソファの肘掛けと思われる部分に見えた相手の黒い髪、加えて微かに聞こえる寝息から彼が確実に寝ていることを確認できて。ほっと胸を撫で下ろしキッチンの方へ音を立てないようにそろりそろりと歩んでいき、適当に出してあったコップを使い水を一杯水道から注ぐと自分で思っていたよりも割と喉が渇いていたらしくごくごくとそれを一気に飲み干し。コップを軽く洗い使ったことは分かるようにとキッチン台のところにことりと置くと、何となく出来心で相手の寝顔でも覗きにとその傍へ近寄っていって。)
ーー…こいつ、俺が来るの読んでた訳じゃないよな…。
(寝ている時くらい気を抜いているだろうと思った予想は外れ顔を隠したような状態で眠る彼、思春期の頃は寝顔を見られたくないという感情がよく湧くことは心得ていたがそれでも少し残念で。小さなため息と共にぽつりと独り言を漏らすと起こさないように気を付けながらそっと相手の髪に指を通し、そのさらりとした感触を暫し楽しんだ後軽く相手の頭を撫でると「…ごめん、ずっと返事出来なくて。」と囁き。自分にも好意はあるしそれが所謂恋という感情だということもそろそろ自覚した、それでもこの先のお互いのことを考えるとどうしても素直に頷くことがままならず。そんな素直になりきれない想いを込めるように寝息を立てる彼の頬に微かに触れる程度の口づけをそっと贈るとそのまま彼を起こさないようにそそくさとリビングを後にし。)

(夢と現実の狭間で微かな物音を耳にした後、何かが優しく髪に触れる感覚に目元を覆った腕の下でピクリと僅かに瞼が動く。そっと髪を撫でながら“ごめん”と囁くような声は紛れもなく相手のもので、未だ目を閉じたままぼんやりとした意識の中で紡がれるその言葉を捉え。己が眠っている時にこそ伝えられたこの言葉は彼の本心なのだろう。けれど己は相手が簡単に己の想いに応えようとしない事を責めてなどいない、むしろ真剣に向き合おうとしている気持ちが嬉しくも愛しくもあるくらいで。不器用な癖に他人にばかり気を回す彼を本当に馬鹿な奴だと思う。馬鹿な奴だと思うと同時に愛おしくて堪らない、何度そう感じただろうか。落ち着いていた心臓が彼の言動によってきゅっと締まり再び高鳴りを見せる。今の台詞は眠っている己に対して向けたもの、此処は聞かなかった事にして眠りにつこう、そう思った矢先、ほんの一瞬ではあるが頬に柔らかな感触を得て。それが何か認識した途端、彼を思って出した折角の考えも一気に吹き飛んでしまい。「…待てよ」次の瞬間、暗がりの中そそくさに去ろうとする相手の腕を咄嗟に掴んでしまっていて)

(少し恥ずかしいことをしてしまったと自覚はしていた、けれど彼が起きていては自分の感情を己のために抑えてくれている相手にあまりにも無責任な行動だと分かっていたからこそこうして寝ていた、と自分では思っていた彼にこんなことをしたというのに。背後から捕まれた腕、完璧に油断していたせいでそれだけの行動に大袈裟な程肩を跳ねさせてしまって。すぐさま振り返ることは出来ずゆっくりと、恐る恐る後ろを向けば仄かに明るいカーテン越しの窓を背に向けているせいで表情は全く分からないもののそこには確かに寝ていたはずの彼が立っていて。)
ッ、…ぁ…ご、めん…起こした、みたいで…。なんか、その…喉渇いて、水飲みにきて…そ、れで……ーーご、め…変なこと、して…。
(気付かれてしまった、恥ずかしい、きっとからかって楽しんでいるとでも誤解されてしまった、呆れられた。一瞬にして脳みそにそれだけのことが一気に巡りどんどん呼吸が短く、苦しくなっていき。今まで幾度となく適当な言い訳を紡ぎだした口がこんなときに限って震えてまともなことが言えなくて、次第に言葉が尻すぼみに小さくなっていくのと一緒にどうしても彼の顔を見れる自信がなくて俯いてしまい。恥ずかしかっただけだった先程とは違い、暴力や軽蔑なんかで得る恐怖など軽いと言えるほど相手に嫌われてしまうんじゃないかと本気で怖くなった。羞恥、後悔、恐怖。その三つの感情が思いを悪い方向で昂らせてしまっているのかもう何も言えなくなってしまった唇をきつく噛み締めると、真っ赤になった顔で瞳に涙を滲ませ。)

(腕を掴まれ肩を跳ねさせた相手がゆっくりと振り返る。白みを帯びてきた空はカーテン越しに相手の顔を照らし、僅かながら表情が読み取れる程で。しかし目を合わせにくいのか相手の顔は伏せられてしまい。か細く震える声で懸命に弁解しようとする相手、掴んだその腕に無意識に入る力が彼の緊張を伝えて来る。掴んだままの腕を此方に引き寄せれば、そのまま相手を巻き込むようにして背後のソファーに腰を降ろし、同時に相手を思いのまま抱き締めて)
――……何も聞かねぇよ。聞かねぇから……暫くこのままでいさせろ。
(己が寝ていると思ったからこそ掛けた言葉、取った行動、それは中途半端な思いでそうしたわけではない事くらい今までの彼を見ていれば解る。大抵の人間なら関わりたくないだろう己のような人物に女装していたという弱味を握られた上、告白までされ、望んでもいない無理矢理な行為を一方的に何度も与えられては、彼が困惑するのも無理はない。それでも此方の本気に真剣に向き合おうと思い悩む中、今彼に出来る精一杯がきっとそれで。そんな彼の気持ちを思えば咎められる筈などなく、己に溢れるのはただ切なく苦しい程に愛しく焦がれる想いだけで。相手を抱く腕を少しだけきつくすれば、せめて今だけはこうして腕の中の存在を感じていたい事を懇願するように伝えて)

(自分の腕を掴んだ彼の手に徐々に力が入るのを感じると同時に、腕を締め付けれているせいかどくどくと速い速度で流れる自分自身の血の脈動が鮮明に分かるようになり。力が篭るその意味など考えるまでもない、きっと彼は自分の無責任な行動に憤りを感じているのだと勝手ながら推測すると報復がくるんじゃないかと無意識に全身が強張っていき。そんな中不意に腕を引き寄せられびくりと体を震わせると怯えるようにぎゅっと目を瞑り彼の行動に耐えようとし。)
ーー…、え…。…怒る、とか…ないの…？…お、れ…あんたの気持ち知ってて、こんな…ッ
(何が来るかと身構えたものの相手の行動は自分が想定していたようなものとは全く違う、酷く優しい抱擁で。未だ涙を浮かべたまま抱き寄せられるままに相手の肩に顎が軽く乗るような形で顔を寄せ胸板に体を預けると、相手が怒ってしまうのではないかと危惧していたものの思わず間の抜けたような声を漏らすと共に何故なのかと問い掛けてしまい。相手からしてみれば自分の行動は随分と不用心なものだと感じたはず、それなのに何故。別に怒られることを望んでいたわけではないがこんな行動をしても自分をこうして抱き締める彼が分からず、戸惑いから抱き寄せられたまま腕を寄せることはおろか体勢をきちんと調えることもせずに困惑したような表情で彼の顔をそっと見つめ。)

…怒られたいのか？からかってやったわけじゃねぇんだろ？
(己の行動が想定外だったのか、抱き寄せた相手から間の抜けたような声が返され。どうやら怒られると思い込んでいたらしく困惑した表情を浮かべる彼と視線が合えばふっと口元を緩め。相手の事を考え、込み上げるものを必死で抑えているのは事実、それを面白がって刺激するような真似をされるような事があれば話が別だが、先程の言動からはそういったものは感じられず怒りに触れる要素など何処にも無く。言うなればただ抱き締めたいという思いに抗えなかっただけで。抱き締めた相手を特にどうするでもなく、後頭部に回した片手で時折慈しむように相手の髪を撫でながらただ愛しい相手の温もりを感じていて)

ーー…ん。
(戸惑う自分に対して優しく髪を撫でながらちゃんと自分を理解してくれていると分かる言葉で返事をする彼、安堵と共にその自分を大切に思ってくれている優しさがじんわりと胸一杯に広がり。相手の首に軽く額を押し付けるような形で小さく頷き子供さながらの稚拙な返事を漏らすともそもそと身動ぎ、そっと彼の背中に両腕を回すと服のごく端をにぎるようにしてだが相手の行動に応えるように抱きついてみて。密着した体からとくとくと僅かに伝わる脈動が自分を酷く安心させ、その音に耳を傾けるように相手の肩に彼の顔がある方へこちらも顔を向ける形で頭を預けるとふにゃりと口許を緩めリラックスした様子でゆっくりと目を閉じて。)

……まだ眠いだろ、もう少し寝とけ。
(控え目にだが抱き着いてくる相手を優しく抱き直すと柔らかな髪に擦り寄るように頬を寄せ。預けられた体温は心地よく、その安心感と愛しい相手に身を委ねられる幸福感に目を細めて。肩に頭を預けながら此方に顔を向ける相手も心地よさを感じているのかその表情は幸せそうに見え、見ているだけで心が満たされていくような感覚につい頬が緩む。ゆっくりと相手の髪を撫でながら眠りを誘うように穏やかな声音で囁いて)

…でも、上原は…？
(今夜は少しだけ風が涼しいせいか、冷えた部屋で感じる人肌の温度は温かく心地が良くて眠りを誘うような彼の言動にも後を押されてかふわふわと眠気と現実の中で漂っているような不思議な感覚があり。相手の言う通りまだ少し眠たいためその言葉に甘えて二度寝をしてしまいたいものの、そうなると事実上自分が夜中に起こしてしまった彼はどうするのか疑問に思い重い瞼を開いてちらりと視線を上げると問い掛けて。自分は抱かれている側なためこのままの体勢でも普通に眠れるが、対して彼は自分が重みとなって正直眠るのは難しいだろう。例え自分が眠った後己を適当に寝かせてから眠るにしたってそれまで彼は起きていることになる、そうなると此処で眠ってしまうというのは彼に少々悪いような気がしてしまい。)

俺は…
(閉じていた瞼を開き瞳を此方に向けながら問う相手。彼がこのまま心地よく眠りに落ちれるなら、このまま彼をこうして腕に抱いてさえいられるなら、自分の事など正直どうでも良かった。それを伝えようと口を開くも、そういった所に気を遣う彼の事、己に遠慮し折角訪れた眠気を無理に覚まそうとするのではないかと思うと開き掛けた口を噤んで。どうすれば気兼ねせず相手が眠りにつけるかを考えた際脳裏を過った案は、少し前なら確実に拒否されたであろう事。けれど今なら或いは―…。)
……一緒に寝ていいか？お前を離したくない。
(彼をベッドに寝かしつける際のあの欲に塗れた衝動のようなものは不思議と今はなく、ただ相手を抱いていたいという思い。相手を静かに見つめながら、狭いベッドで相手を抱きながら眠る事の許しを得ようと言葉を紡ぐも、絶対離さないという意思を強調するかのように抱く力を僅かに強めながら、相手の眠気を刺激しない程度に髪に唇を寄せて)

(相手の答えを予測しなかった訳ではない、一瞬はそう返されることも考えたがさすがにないだろうと考えを切り捨てていたというのに正にその回答が返ってきてしまったため僅かに目を見開いて。嫌なわけじゃないけれど告白の返事すらしていないというのにそんなことをしてもよいものなのか、と暫し考え黙り込んでしまって。しかし相手への確かな好意を自覚した今そんな理論詰めの考えなどそう役に立つはずもなく、彼自身がそれを求めてくれているのだからと自分に言い訳を重ねると相手から顔を逸らし相手の肩に額を押し付けて。)
ーーん…いい、よ…上原が良いんなら、それでも…。
(髪に寄せられた唇が触れたような、そんな気がした程度の感覚があった後額を擦り寄せるように小さく頷くと囁くようなか細い声で呟いて。しかしこれまでにないほど甘ったるいこの時間に普通に染まってしまった自身が何だか恥ずかしく、彼に見えないのを良いことに仄かに頬を染めたまま幸せそうに表情を緩ませるときっと偶然触れただけだろうと思われても仕方ない程の然り気無さで相手の肩とも首とも言い難い微妙な部分にごく軽く唇を寄せると既に寝る態勢なのか瞼は閉じてしまっていて。)

(/本体のみで失礼します。今後の展開についてのご相談なのですが…何かこうしたいとかお考えにありますか？
気持ちを自覚しつつある椿君ですが、このまま朝を迎えた後何気ない日常でのやりとりの中自然に気持ちを伝える感じで進めていくか、もしくは何か仕掛けのようなものを組み込んでこのままの関係を引っ張るか、どんな感じが宜しいでしょうか？
仕掛けというのは…例えば上原が嫉妬をするようなもの等ですかね。嫉妬した上原が暴走するのは目に見えてますが/←/あるいはその逆…といっても上原が椿君以外に目がいく事はあり得ないので、難しいかな。うーん…嫉妬とは異なりますが、上原に軽く事故ってもらって椿君に関する記憶を一時的に無くしてもらうとか？/←/…すみません、調子乗りましたorz そういった切ない系の描写が凄く素晴らしかったので言ってみただけです。
ともあれ今後どう進めていこうか考え中でして…そちらにご希望等ございましたら出来る限り添っていきたいなと思っておりますので何なりと^^)

(/そうですねぇ…私としてはそれなりの転機のようなものを組み込んでいい加減この女々しくもだもだ悩んでる原田に自覚させたいなと/←/私が何となく考えていたのは原田と関わることによって丸くなってきた上原くんに熱狂的にアプローチを仕掛けてくる女の子とかを出して、そんな一般的な高校生らしいラブコメをしている上原くん(彼にその気がなくとも女の子がくっついてくる感じで)を見て何となくもやもやしながら距離を置いてみたりして。最終的には行動で迫り出した女の子を見て我満出来なくなった原田が一般論だとかもかなぐり捨ててはっきり上原くんに思いを伝える的な…←
女の子が迫ってきても上原くんなら振り向かずとも強引に払うことも出来ないだろうし…と、まあすごく商業ホモマンガみたいな内容を考えていました。)

――…ああ。
(ただ抱いていたいだけ、と思っていたにも関わらず相手から承諾の言葉を得た瞬間ドクンと心臓が脈打つ。相手が承諾したのは共にこのまま眠るだけと思わせる状況だったからで。首から肩にかけての辺りに僅かではあるが柔らかな感触を感じれば偶然であろうそれさえも己には甘い誘惑となり、若干掠れたような短い返事を返すのがやっとで。落ち着きを取り戻す事に集中すべく目を閉じ一度小さく息をつくと、相手を抱きかかえそっと席を立ち寝室へと向かって。ベッドへとゆっくり相手を降ろせば相手の隣のスペースへ体を横たえ、腕を回して相手を緩く抱いて)



(/もだもだしている椿君も可愛いくて仕方ないですが/←/よし、ではそんな流れでいきましょうか。となると、朝を迎えたら取り敢えず一緒に登校する感じでしょうか。例の女子はどう登場させるか、二人は別クラスという事で学校に着いたら時間をある程度飛ばすべきか…。上原は椿君以外興味ないんで相手が女子であろうと冷たくあしらってしまうと思うのですが、そういう事でしたらそれなりに椿君を刺激するような行動を取らせようかと思います/←)

ーー…おやすみ、上原…。
(返事が返ってくるとすぐにふわりと浮く体、抱き上げられ移動しているだけだというのに僅かな揺れを含むそれは言わば揺りかごのよいに自身の眠気を増長させて。再び先程までいた寝室につき抱き締めるような形で自分の横に寝る彼に、少しだけ恥ずかしいもののお互い了承の上だという強みもあってかもそもそと僅かに身動げば相手の腕にすっぽり収まるように体を寄せ脹ら脛から足首辺りまでの足を挟むようにそれとなく足を絡ませてみて。最後に小さな声でおやすみとだけ呟くと今度こそこのまま眠ってしまうのか瞳を閉じたままリラックスするように体の力を抜いて。)

(/そうですね、一緒に登校という形をとった後学校内に所謂彼女を応援するムードを出させるための布石として結構大々的(？)に女の子を登場させたいので校門の前ででも告ってもらいましょうか←/その後適当に時間を飛ばしてみて上原くんの様子見に行ったら女の子がアッ…みたいな感じで。そうですね、原田も大分意地っ張りですから多少刺激を加えるような行動をして頂けると助かります！)

…おやすみ。
(小さく呟かれた声に一言だけ返すと、眠りに落ちていく相手の妨げにならないようにと髪に指を通しながらゆっくり撫でるだけに止め。腕にすっぽり収まる程に身体を寄せて来たかと思えば足まで絡ませてくる相手についピクリと指先が動く。彼のそれは、少しばかり肌寒さを感じる中で他意はなく純粋に体温を求めての行動。解り切っているのに、例によって待っていたかのように反応し出す鼓動に小さく息を逃し)
…………覚えてろよ。
(らしくもなく他人に振り回されっぱなしの己は酷く情けなく滑稽で、人の気も知らず気持ち良さそうに寝に入る腕の中の存在が恨めしい。なのに膨らむ一方の愛しいという感情が小さく吐き出すその声音に柔らかさを含ませ、どうも負け惜しみのようになってしまう。悔しさと愛しさが入り交じる複雑な思いを抱えながらほんの少しだけ相手をきつく抱くと、束の間の至福に包まれながら目を閉じて)



(/了解しました！では登校し取り敢えず一緒に校門辺りまで向かう感じで進めれば宜しいでしょうか。また展開の件でご相談する事があるかと思いますが宜しくお願いします^^)