主 2013-06-22 18:50:00 |
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(彼が出掛けてから暫くして、旅行中の両親に一応報告をと思い足を怪我してしまったこと、そのため友人宅に世話になることをメールで伝えて。しかしそれが終わってしまえばあとは相手の帰りを待つにしてもただ座っていることくらいしか出来ず。他人の家を勝手に歩き回るのも何だか不躾だし個々に所謂家ルールのようなものもあるのかもしれないと思えば適当に辺りを整頓することも出来ず。手持ち無沙汰に耐えきれず別に今する必要などはないのだが鞄から部屋着を出して恐らく食事の後になるだろう風呂の準備を整えれば暇そうにソファの肘置きに持たれながらぼんやりと外の風景を見つめて。)
(アパートに辿り着き足早に階段を上ると玄関の扉を開ける一瞬、少しばかり緊張が走る。相手が逃げ出した可能性を疑っているわけではないが、一方的に想う側の焦りや不安というものはこんな性格の持ち主にもそれなりにはあるようで。扉を開き真っ先に目が向かうのは相手が居る筈のソファー。そこには部屋を出た時と然程変わりない状態で相手が居り安堵の息が軽く洩れると同時に、愛しい相手が己の部屋で己の帰りを待っているという事に頬が緩んでしまいそうになり)
――…言い付けはしっかり守ってたようだな。
(無茶をせず大人しく待っていただろう相手の頭をただいまの挨拶代わりにくしゃりと軽く一撫ですれば、頼まれたアイスとお釣りを手渡し。「…あとこれ、お前好きそうだと思ってよ」袋から取り出した苺のケーキをテーブルへと置いて)
言い付けって、犬じゃないんだから…まあ、お帰り。
(そろそろ戻ってこないかな、そんなことをぼんやりと考えながら小さく欠伸をしていれば調度よく相手が帰ってきたと思われる扉の開閉の音が聞こえて。そちらにぼんやりと視線を移せば何だか安堵したように息を付きながら自分の頭を撫でる彼に、何だか待てを言いつけた犬になったような気分になり。少しだけ不満げな表情をするものの心地よいその手のひらの感触は悪いものではなく、避けることはせずそれを受け入れ。)
…ッ、ふ…あ、りが…っ!
(苺のケーキ、確かにこれは自分の好みと合致するがふとこれを彼が一人コンビニで買う姿を何となく思い浮かべればそのちぐはぐな情景に思わず顔がにやけてしまい。可笑しくはないし嬉しいのも確かだが、それでもどうにも笑いたくなる気持ちは押さえきれず吹き出しかける口許を手で隠しながら何とか礼の言葉を返そうと試み。結局最後まで言い切れずに顔を逸らすと笑いにふるふると肩を震わせながら気持ちを落ち着かせようと努力して。)
…何笑ってんだよ。嬉しくねぇのか。
(何が可笑しいのか、ケーキを見るなり今にも吹き出しそうな程肩を震わせて笑いを堪える相手を怪訝そうに眉を潜めながら見やり。何か間違った選択でもしただろうかとケーキと相手、交互に視線を移して。相手だから堪えられるものの、こんな風に笑われるのはやはりいい気はしないようで。「要らねぇなら俺が食ってやるよ」などと珍しく不貞腐れた雰囲気を醸しながら、テーブル上の食べれもしないケーキを己の方に寄せればケースを開ける振りをするという子供染みた事をして)
あー、ごめんごめん食べるって!
(思わず笑ってしまったがやはり相手にしてみればあまりいい気分はしなかったのだろう、どこか不貞腐れたような様子でケーキを寄せる彼が何だか子供っぽく、微笑ましく見えてしまい。困ったように謝罪を口にはするもののその表情は笑顔以外の何物でもなく、友人同士のような自然なこの戯れが心地好く感じていて。ケーキを取り返すようにそっと自分の方に寄せながら相手の厚意の現れとも言えるそのケーキにふにゃりと嬉しそうに微笑めば「…ありがと、嬉しいよ。」と礼を口にして。このまま今すぐ食べてしまいたくなるが夕飯本体がまだ残っているのだ、そのケーキを持ったままゆっくりと立ち上がり部屋を軽く見渡して冷蔵庫があるのを確認すると「…まあ、まずは飯食べようぜ。ケーキはその後、そんときはあんたも一緒に摘まんでみようよ、な?」などと、この満たされた思いを共有したいがためにあえて甘味が苦手だと分かっていながら相手も一緒にと薦めると少しだけぎこちない動作で冷蔵庫に近寄っていき少々勝手ながらそのケーキを冷蔵庫に入れさせてもらって。)
……最初からそう言え。
(謝罪しながらケーキをそちらに寄せる相手を未だ不貞腐れたような様子で横目で見れば、今度は礼と共に嬉しそうな笑顔が返ってきて。嬉しさが全面に現れたような幸せそうなその笑顔は、やはり己の胸をきゅっと締め付ける。胸に残る甘く擽ったく、何処か切なささえ感じるその感覚に未だ慣れる事が出来ず軽く眉を寄せながらも言葉を発するとそっぽを向き。ケーキを一緒に、と誘って来る相手の言葉や声音は己を宥めるようにも聞こえ、そんな態度を取ってしまっていたのかと気恥ずかしさを覚えながらそちらを見やれば、止める間もなく冷蔵庫に向かう相手。「これはどうすんだよ」近くにあったアイスを手にすると、一緒にしまうのかどうかと冷蔵庫前の相手に向かって軽く振ってみて)
あ、うっかり忘れてたわ。そっちは風呂の後食べるかなー…?
(どうやら機嫌を直してくれたらしい相手からケーキを冷蔵庫に入れている最中に一言、そういえばケーキの方に気を取られて完全に忘れてしまっていたアイスの存在を思い出し。ふらふらと何とも不安な足取りながら相手の方に戻っていきアイスを受け取ると実のところ食事後に食べようと思っていたそれをどうするか少しだけ悩み、取り敢えず風呂の後にでも、ということに落ち着けて。先程のケーキと同じくしてそのアイスも冷凍庫に入れさせてもらうとソファに戻りゆっくりとした緩慢な動作で腰を落ちつけ、「さてとー…んじゃ、そろそろ飯食べようぜ?」などと声を掛けながら袋に残った今晩の夕飯をそっと取り出して。)
(覚束ない足取りで此方に戻ってくる相手がいつよろけても対応出来るように見守っていたが、どうにかソファーに戻る様子を確認しては安堵して。夕食にしようと促されるままに「ああ」と一言返し、袋から取り出された二人分の冷やし中華の内一つを手繰り寄せ封を開け始める。しかし中に入っていたマヨネーズを見た瞬間軽く動きを止め、取り出したそれを眉を顰めながらじっと見詰め)
…おい、何だよこれ。
(暫く食べる機会がなかった冷やし中華。スープの他に添えられている辛子は理解出来る、しかし何故こんな余計な物が。理解不能と言わんばかりに言葉を発しては、説明を求めるように相手に視線を移し)
…ん?マヨネーズだろ、他に何があるんだよ。きゅうり用なのか最近付けるようになったよなー…っと。
(割りと頻繁にコンビニの冷やし中華を食べる自身にとっては冷やし中華にマヨネーズ、というのは別段可笑しなものには見えないらしくきょとんと呆けた表情で平然と答え。マヨネーズがついた理由にはいろいろなものがあるやもしれないが個人的に考える理由を彼に説明すると躊躇いなく冷やし中華のきゅうりの上にむにゅり、とマヨネーズを付けて。それから軽く全体を混ぜ混み「…よし、んじゃ頂きます。」と手を合わせるとそれほど表には出していなかったが結構お腹が減っていたのか早速、というように麺をずるずるとすすり始めて。)
その思考が俺には理解出来ねぇ…。
(全く余計な事をしてくれると溜め息混じりに不服そうに述べ。平然と答えつつ当たり前のようにマヨネーズを冷やし中華に掛ける様子を腑に落ちない表情で眺めていたが、何を思うか己の分のマヨネーズを相手の冷やし中華に残らず全部かけてはさっさと食べ始めて)
ッな、おい!…うわ、すごいマヨネーズまみれ…。
(どうやら自分と違って冷やし中華とマヨネーズの組み合わせが当たり前に感じられない彼が複雑そうな面持ちでこちらを見つめるのを横目でちらりと時折窺いながら食を進めていれば、一体何を思ったのか滑らかな動作でさりげなく自分の容器の方にマヨネーズを掛けていく相手に思わず動揺から声を上げてしまい。流石の自分でも二人分のマヨネーズは多すぎる、苦笑いを浮かべながらぽつりと呟きを漏らすもののしょうがないと諦め食べることにし。暫くし少しだけ味が濃い目の冷やし中華を胃に流し込み、唇に付着したマヨネーズをぺろりと舐めながら完食とばかりに両手を合わせるとぐっと腕を伸ばし伸びをして。)
ーーご馳走さま。…んーッ、食ったー…。
(更なるマヨネーズ投入により動揺を帯びた声が相手から上がれば密かに悪戯な笑みがふっと零れ、己は何事も無かったように食を進め。渋々といった様子ながらもきちんと完食する相手を横目で見ては頬を緩ませていたが、伸びをする相手を見やれば「デザート食うなら持ってくるぜ」怪我をしている相手に何度も立たせる訳にはいかず、直ぐに食べるならと確認しながら封を切ったままだったペットボトルを口に運び)
あ、食う食う!
(中々腹も満腹に近かったが所謂甘いものは別腹、というやつなのか。ぱあっと顔がワントーン明るくなったんじゃないかと錯覚しそうなほどうきうきとした様子が伝わるような明るい笑みを浮かべるとこくこくと頷きながら声を上げ。いそいそと食べ終わった空の容器を重ねテーブルの上を整頓すると待ちきれないと言わんばかりにそわそわと落ち着きなく相手の方を見つめて。)
こういう時だけ嬉しそうな面しやがって…。
(デザートと聞いただけでこの明るい満面の笑顔。相手を笑顔にさせるのはいつもデザートであり己ではない、そう解ってはいるもののその笑顔に胸が高鳴ってしまう。同時に複雑な思いに駆られ、軽く舌打ちしつつ冷蔵庫からデザートを取り出し元の場所に戻れば「俺の言動でそういう顔してみろよ」と悔しげに相手の額を軽く小突いてやり。備えのフォークを添えて相手の前に置くと、テーブルに片手で頬杖をつきながら溜め息ひとつ溢し、未だ複雑そうな表情で相手を見詰めて)
へへ、ならあんたが"そういう顔"させてみろよ。
(小突かれた額を軽く押さえながら、どうやらデザートの登場で普段よりも大分気が大きくなっているのかいそいそとフォークを袋から取り出しながらちらりと視線を相手に向ければそのフォークで相手の方を指し立場を弁えない、というか自分が被害を被るであろうに挑発的な言葉を言い返して。にい、と口角を上げて笑って見せるとそのままケーキへとフォークを突き刺し、角の方からちまちまと食べ進めればふと何か思い出したように顔を上げ。「…そういやあんたも一緒に食ってみようっつったじゃん、ほれほれ。一口食ってみ?」と、どうやら先程自分がいった言葉を思い出したらしく小さく切ったケーキの一部をフォークに刺すとわざと挑発しているのか、はたまた普段からこんなことをしているのかケーキを刺したフォークを相手の方にそっと差し出して。)
(デザート効果で浮わついているのか挑発染みた台詞を向けてくる相手を無言のまま軽く睨むような眼差しで見やり。悔しいけれど相手が此方に気を許していない今の段階で先程のような笑顔を向けてくる事はないだろう。挑発とはいえ相手は面白がっているだけで恐らく後先の事は考えていない。それでもいい気がしないのは、相手の挑発にらしくもなく熱くなりかけてしまう己が存在するからで)
“そういう顔”は今はまださせてやれねぇが……、
(食べてみろ、と此方に差し出されたのはフォークに刺されたケーキの欠片。言い掛けた言葉を止め、相手に視線を合わせたままそれを軽く口に含んだかと思うと不意に相手にのし掛かり。片手で頬を掴んで少々上に向かせればそのまま指で軽く口を開かせ強引に唇を塞ぎ、先程口に含んだケーキを半ば無理矢理相手の口内に押し込んでやり)
なに…ーーッ!
(こちらを何気なく睨んでくるのはきっと差し出されたケーキを食わねばならないと思っているからだろう、そんな少しずれた考えをしていたせいで彼の動きに気付けずにいて。ケーキを口にした相手にほのかに表情を緩めていればどうしたのかこちらにのし掛かる相手、近すぎる距離を遠ざけようとフォークを持っていない方の手を後ろに着き上体を少しだけ後ろに逸らせたままに不思議そうに彼に視線を合わせ。すると次の瞬間いつぞやを彷彿とさせるような強引な口付けと共に押し開かれる唇、そしてそこから移されたケーキとクリームのぬるりとした感触や甘ったるい味に思わず嫌悪感云々など関係なくぞわりとした感覚が背筋を通って。避けようにも足は怪我で動かせないものと後ろ手についているものと同様バランスを取るのに不可欠、残った片手はフォークを持っているだけだがそれを離せば、などという考えはこの時浮かぶことなく。未体験のこの感覚にかたかたと体を震わせ最終手段としてそのまま相手から逃げるようにごろりと床に転がりその際同時に相手の肩を片手でぐいと押し返し。「ッ、ん…あん、た何すんだよ!」逃れようともがいたお蔭で唇まで無様なほどクリームまみれにしたまま相手に大声を出すと、これだけのことは流石にショックというか驚いたというか、何にせよかなり深く己の中に残ったのかわなわなと震えながら顔を真っ赤に染め上げてしまい。)
――…挑発したのはお前だろうが。俺を挑発するからにはこうなる事くらい読んでからにしろよ。
(唇を塞いだ際逃れようとする意思は見られたものの、塞がった手や怪我をした足ではやはり思うような抵抗が出来なかったのかあっという間に床に背を付いてしまう相手。そこで漸く此方を遠ざけるような力が加わればケーキを口移しするという目的を達成した唇を解放してやり。此方に向けられるのは驚きを露にした叫ぶような声、しかし当の本人は悪びれる様子もなく少々無茶な言葉で平然と返し。相手を下にした体勢のまま一度は開かれた距離を詰めては、暴れられては困ると、相手が握ったままのフォークを念の為そっと離させ、至近距離でじっと見据え。「…ケーキの味見がまだ済んでなかったな」これだけの事をしておいて今更な台詞を吐けば、次の瞬間には相手の唇に付着したクリームをゆっくりとした動作で舐めとって)
ッそ、りゃあ…挑発、したかもしれないけど…、っ!?
(挑発したかもしれないけどまさか本当に何かするなんて、そう言葉にして紡ごうとした声は彼のゆっくりと舐めとるような仕草に封じられて。顔を背ければ良いのにかたく瞳を閉じるだけでそれが出来ないのはそれだけ自分も彼に陥落し始めているということなのか、そんなことを考えながら唇を伝う生暖かい舌の軟らかな感触を耐えて。彼が顔を離すと同時に倒れた結果彼の下敷きになるようになってしまった体勢から這い出るようにずるずると抜け出し少しだけ距離を取り。震える唇を噛み締め恨めしげに相手を暫し見つめるとあんなことをされた後にまたケーキを食べ進める度胸はなく「ッ、風呂!シャワー借りるからあんたはケーキ食っとけ、いいな!」などと大声を出して用意していた部屋着を抱えると半ば抜けかけた腰のせいで先程より余計に不安定な足取りでよたよたと歩きだして。)
ッそ、りゃあ…挑発、したかもしれないけど…、っ!?
(挑発したかもしれないけどまさか本当に何かするなんて、そう言葉にして紡ごうとした声は彼のゆっくりと舐めとるような仕草に封じられて。顔を背ければ良いのにかたく瞳を閉じるだけでそれが出来ないのはそれだけ自分も彼に陥落し始めているということなのか、そんなことを考えながら唇を伝う生暖かい舌の軟らかな感触を耐えて。ぞくぞくとした感覚が背中を走れば味見という名目上仕方ないのかもしれないが味わうようなゆっくりとした動作が更にこちらの羞恥心を煽り暫くすればしつこいとでも言うようにぐい、と相手の肩を軽く押し。至近距離にある彼の顔や下敷きにされたままの体勢はどうにも妖しい想像を連想させてしまい、この体勢から脱却したいために「ッ、風呂!もう風呂行きたいから退け!」などと話すと腰が抜けていて這い出すことが出来ないからか真っ赤に染めた頬や不安げに眉を寄せたらしくもなく情けない表情を隠すように腕を顔の前に重ねたまま反撃出来ない悔しさに唇を噛み締めて。)
(/何度も書き直しすみません、中々満足いく文章を考えるのに時間が掛かってしまって;;後からこれでいいのかな?なんて不安になってしまいこういった書き直しを実行してしまいました。この前同様、新しく書き直したこちらの方に絡んで頂けるようお願いします。)
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