主 2013-06-22 18:50:00 |
通報 |
まぁあれきりってのは正直惜しい気もするな。
(女性かと見紛う程に完璧だった相手の女装、二度と見れなくなるのは純粋に惜しい。率直な感想をぽろり溢すも、ぶっきらぼうな返答からするに本人は気乗りしないのだろう。元々の女装も不本意だったらしい事から当然と言えば当然だろうが。その場に座り込む相手を見下ろせば機嫌を損ねたのか膝を抱えており。本当に解りやすい奴だ、と口許に笑みが浮かび、頭を撫でてやりたくなる衝動に従い軽く撫でたかと思うと「そうだな…お前の女装っつぅよりは女装したお前が羞恥する姿が見たい」と、あくまで今の相手に興味がある言い振りで口端上げては、相手をそのままに外へ向かって)
っ、な…~ッ早く行ってこい馬鹿!
(不機嫌に身を任せあからさま過ぎるほど感情を外に露呈していれば頭に柔らかな手の感触、続いて掛けられた明らかに自分の心情を分かっていての言葉に察されていたこととその台詞そのものと二重の意味で恥ずかしくなり声を上げ。撫でられた感触を消すようにくしゃくしゃと自分の髪を掻き乱すと羞恥に顔をしかめながら相手を急かすようにしっしっ、と手を追い払うように外に向けて払い。こんな女々しい感情を相手に簡単に悟られてしまった、それが何より自分の気持ちを乱し悶えるように頭を抱えたまま膝に顔を伏せ相手を待って。)
(外へ向かうる際、まるで犬でも追い払うような仕草を向けてくる相手に首だけ振り返ればクスリと笑いそのまま立ち去って。指定された場所から自転車を運び出すと昇降口に戻り)
――…まだいじけてんのか。割と根に持つタイプだな。
(そこには先程と然程変わらない体勢で己の帰りを待つ姿があり、軽い溜め息と共に首を傾げながら声を掛け。正直“繊細”という表現の方がしっくり来るのだが、今の相手に少しでも女性を連想させるような刺激はタブーと判断しこれでも言葉を選んだようで。自転車の後ろに乗せるべく先ずは相手を立ち上げようと腕を掴み)
っいじけてねぇよ、あんたが…ッ!
(戻ってきた相手の言葉がかちんときたのか立ち上がらせようとしてくれているその腕に掴まり体を起こしながら実際の顔を伏せていた理由を答えようとし。しかし途中まで言いかけてこのまま素直に話すのはただの墓穴にしかならないことに気付き「ッ、あー…もう、何でもねぇよ…。」とごまかすためにわざわざ諦めたような気だるげな様子を装ってこの話を終わりにしようとし。相手の力を借りて立ち上がれたため次は、と今しがた彼が持ってきた自転車の荷台に少しだけぎこちない動きで跨がり腰掛けると相手も早く乗れ、と急かすように無言で前の座席のサドルをぱしぱしと叩いて。)
…行くぜ、落ちるなよ。
(言い掛けた言葉の続きを促すように見つめるも先を話す気はないのか話を中断させる相手に肩を竦め。無言とはいえ急かすようなその行動にふ、と軽く笑みを溢すとサドルに跨がり。背後の相手に一言掛ければゆっくりとペダルを踏み出し、先ずは相手の自宅がある方向へ進路をとって)
…暴れないから、ほんとに落とすなよ?
(早速自転車が進み始めると動き出した瞬間一瞬だけ体を強張らせて、どうやら自転車の二人乗り、というかその後ろになった経験が少なく少々の恐怖心を抱いているようで。だからか落ちるなよとの相手の言葉に念を押すように落とさぬよう注意すると、初めは相手の腰辺りに手を添えてバランスを取っていたのだがそれでも不安定な体を支えるため少しだけ気が進まなかったものの諦めて相手の腰から前に腕を回し上半身をぴったりとくっつくように少々きつめに抱きついて。)
落とされたくねぇならしっかり掴まっ──…、
(腰に緩く手を添えるだけの相手は怪我人だという事もあり、もう少し安定した体勢を取るように促そうとした矢先、ぴたりと密着する相手の身体。その瞬間ドキリと跳ねる心臓に言葉は遮られ。落ちない為のやむを得ない行為であって勿論そこに好意は無い、そう頭では理解しているにも関わらず鼓動は急速な加速を見せ、頭の奥が痺れるような感覚に陥る。相手と知り合うまで味わう事のなかった慣れない感覚に余裕を奪われていく事が悔しくて堪らない。密着した部分から今にも相手に伝わってしまいそうな心臓の音に思わず眉を寄せれば「引っ付きすぎだ、運転に集中出来ねぇ」ハンドルから片手を離し腰の辺りに回された相手の手を掴むと、もう少し緩めさせようとし)
お、っま…手ぇ離すなよ、危ないだろ!?
(相手の体越しに隙間から僅かに見えた前方の景色の端、相手が自転車のハンドルから片手を外したのを見てひっと喉を鳴らすと先程の状態でも中々の恐怖感があったのにそれ以上に心許なくなり。相手の事情など耳に入らず高校生程度なら普通にするレベルのずさんな運転を大分切迫した様子で咎めると相手の忠告とは真逆に、不安感を回避したい一心で余計に腕を強めて。その時調度耳が相手の背中にぴっとりとくっつき、相手自身危惧していた心臓の音がこちらまで聞こえてきてしまい。普段なら相手の好意を知った上でどうして動悸が速いかも理解できただろう。しかし今は焦りと恐怖でろくに頭など回っておらず曲解してしまい「あんただって心臓ばっくばくしてんじゃんか、怖ぇならちゃんと運転しろよ阿呆ッ!」などと声を掛けてしまい。)
―…ッ、…てめぇ…後で犯す。
(この動悸に気付かれてしまう前に密着を回避しようと試みたものの、ハンドルを離した事で相手の恐怖心を煽ってしまったらしい。己に回された腕は緩まるどころか益々きつくなり、密着を増す事で伝わってしまった動悸を相手に指摘されるなり屈辱と羞恥にかっと熱が顔に集中し、不覚だと悔しげに奥歯を噛めば独り言のように暴言を放つ。唯一の救いと言えばこの動悸の意味を相手が履き違えている事。普通ならあり得ない解釈だが今は相手の単純さに感謝しつつ暫し自転車を漕ぎ続けるとやがて相手の自宅前に到着し。キッとブレーキ踏めば未だ抱き付いたままの相手に振り向き、純粋に自宅まで送られただけだと思い込んでいるであろう相手に何の説明もなく当然のような言葉を向け)
…着いたぜ、必要な物持ってさっさと戻って来い。
ーー…は、え?いや、何で?
(何だか物騒な言葉が相手から聞こえたような気がしたが、深追いしないほうが良いような気がしてあえて返事はせず。そしてようやく長い恐怖感が終わりを告げ自宅前に止められた自転車から降り、振り返って礼でも言おうとしたその時。また戻ってくるような相手の台詞に思わずぽかんと口を開けたまま静止し、はっと我に返るなりすぐに疑問を口にして。生憎この足では何処かに出かける予定もなく、ただただ純粋に訳が分からないという思いだけが胸に残り。一先ず相手の話をもう少し聞いてみようと疑念に少しだけ眉をひそめながら「…あの、つうか"何に"必要なもの持ってこいと…?」と質問を重ねてみて。)
外泊するのに最低限必要な物だ。一晩お前を預かるっつってんだよ。
(自転車から降りた相手が意味がわからないといった態度を示すのも常識的に考えれば無理はない。しかし言い出した本人の中で怪我人である相手を一人きりの家に放置するという考えは無いらしく、また別の魂胆も含まれているのか相手の意見も聞かず強引に決めつけ。「準備に手間取るようなら指示を寄越せば手伝ってやるよ。」その足では準備も大変だろうと一応相手を気遣うような言葉を掛けるも、外泊は決定事項だと思わせるような言い振りで)
……すぐ持ってくるから、家には入んな。
(相手の説明を聞けば聞くほど徐々に眉を寄せ口を曲げ正にこれがしかめっ面、というような何とも苦々しい表情を浮かべていき。しかしそれと同時に確かにこの足で一晩自力で生活するのは正直億劫、だがまた相手と一晩というのも少々危険なのでは…と、二つの思いが浮かび。どちらにせよ自分が疲れるのだが、暫く熟考したのち堂々相手の家にお邪魔するのが一番楽か、という結論に至り。その結論に不満が消えたわけではないため渋々という色が大分濃い表情で小さく頷くと、ぎこちない動きで玄関へと足を運びながら背後の相手に伝え。ここまで頑なに相手を入れたくない理由というのも自分の生活空間を見られるのが嫌ということ以上に、家中に自身(正確には特に幼少期の自身)を大分溺愛気味の両親が飾った幼い日の写真を見られたくないがためなのだが勿論此処ではそれは伏せておき。扉との間にぎりぎり自分の体を滑り込ませられる程度の隙間を開け素早く中に入り込むとすぐに扉を閉め、相手を待たせないうちにさっさと荷造りをしてしまおうと家の中をうろうろし始めて。)
…何かあったら呼べ。
(最初はぽかんとしていた表情が次第に苦々しい表情へと変わっていくのが明らかに見て取れたものの、思ったよりすんなり了承を得た事に内心意外に思い。とはいえやはり警戒心でもあるのか自宅に己を踏み込ませたくないらしい相手の意思が伝わればそう一言告げ、家の中へと入っていく相手を見送って。一人残された路上にて軽く息をつくと、自転車に跨がったままハンドルに腕を乗せだらしなく凭れる体勢で暫し相手を待ち。と、何処から来たのか足元近くに寄って来た猫に視線を落とす。暇を持て余していたのをいい事にその場に自転車をとめては猫とじゃれ始めて)
ーー…お待たせ…って、お前梅か?久しぶりだなー、一週間も何処行ってた。
(怪我で動きづらいこともあってか大分時間が経ってからスポーツブランドのエナメルバックを背負って玄関から顔を出すと、相手に声を掛けながらそちらに視線をやり。そうすると自然と戯れる猫の姿も目に入るのだが、その猫を見た途端少しだけ嬉しそうに口許を緩めながら恐らく雌であろう彼女の名前を呼んで。ふらふらと不安定な足取りながらその猫に近寄っていくとしゃがみこんで戯れる相手の横から手を出し、くしくしと耳と頬の辺りを撫でるように親指で擦ってやり。見知った猫なのかはたまた飼い猫なのか、やけに馴れ馴れしく猫に声を掛けるとふいに相手の方に視線をやりふ、と笑みを浮かべると「こいつあんまり人になつかないんだけど、あんたにはなついたみたいだな。あれかな、野生の強者への服従本能でも働いたか?」などと冗談っぽく呟いてみて。)
お前の飼い猫か?
(やがて荷物を持って出てきた相手はどうやらこの猫を知っているようで、傍で猫に触れる相手を不思議そうに見つめながら問い掛け。笑みを浮かべ冗談を向けてくる相手にきょとんとするも、己の前で固くなっていた相手を思い返してはこういった冗談も言えるようになった事を何処か嬉しくも思い、ふっと笑みが浮かび。「お前はまだなつかねぇのか?俺に」と、相手の首筋から顎に掛けてを指先でくすぐるようになぞりながら冗談半分に返してみて)
どっちかっつうと皆で飼ってる、って感じ?こいつこの辺縄張りにしてる野良でさ…。
(相手と二人きりの間に入るように現れてくれた猫に雰囲気も大分緩和されたのか固かった自分は何処へやら、冗談など呟いていて。それに続ける形で投げ掛けられた質問に軽く返しながら相手の方を向くと、不意に全く予想していなかった場所に手が伸びてきて。暫く前に首があまり強くないことが判明していたのが幸いか、反射的にぐっと唇を噛み締め接触による微弱な刺激に耐えながら相手から顔を背け。ガードとばかりに猫を抱き上げ相手との間に入るように持ち上げると顔を逸らしたまま「ッ、おれ、は…ほら、そんなに無防備じゃないし。それに、こいつよりは警戒心強いから?」などと何とか冗談っぽくそれらしいことを返してみて。冗談っぽい返事で誤魔化してはみたものの猫の陰に隠れるようにした顔は相手の言葉やら仕草やらで大分やられてしまったのか、気恥ずかしさにぽっぽっと火照ってしまっていて。)
警戒心が強い奴ほど一度なつくと離れられなくなるらしいぜ、…依存する程にな。
(猫でガードする事で然り気無く行為を遮られれば触れる対象を割とすんなり相手から猫に変えて。近所公認で可愛がっているらしい梅という名の猫が相手の膝の上でごろごろと喉を鳴らせば一時の癒しに目を細めながら撫でてやり。ふと猫から相手へと視線を移し洩らした発言は猫に関してか否か、意味深に口角を上げて。「…そろそろ行くか」相手の足の具合に暑さも重なれば長居は避けた方がいいと判断し、立ち上がる前に猫を一撫でしては自転車の方へ向かい相手が乗るのを待ち)
へ、え…そう、なんだ…。
(猫を通してこちらに語りかけてくるような意味深な台詞に思わずどきりとし、相手のいうような"依存"した状態の己を自然と想像してしまって。今までそれに値する程の強い感情など抱いたこともなく全くの想像なのだが、それでも想像上の自分は酷く滑稽な様子に思え尚更そんな状況などにはならぬようにという心持ちが強まり。相手が自転車に乗る頃にはもう触られるのにも飽きたらしい猫が自分から離れていき、ここに留まっていた理由もなくなったがために相手の言葉に小さく頷きながら素直にそちらに向かうとバッグを背中に回してから自転車を跨ぎ先程のようにもう一度相手の腰あたりに腕を回して。)
(相手が掴まったのを確認すると再び自転車を漕ぎ出し。相手の自宅から己が住むアパートまでの距離は相手を怖がらせないような安全運転に努め)
――降りろ。
(やがて辿り着いたのはそう広くはないがそこそこ新しめなアパートで。相手に振り返り降りるように告げると、近くの自転車置き場に自転車をとめ相手の元に戻り。「痛みが強くなったりしてねぇか?」怪我の具合を気にしながら荷物を受け取って。己に警戒心を持つ相手を連れ出す為一人暮らしだという事を敢えて明かしていなかったが、此処まで来てしまえばこっちのもの。今更わざわざ説明せずとも部屋の広さで同居でない事は何となく分かるだろうと考えながら、相手に肩を貸し二階にある部屋までゆっくりと歩き出して)
ーー…ん、ああ。別に大丈夫っぽい。
(安全運転を心掛けた比較的ゆっくりな速度ではそれほど恐怖感も煽られず現地まで到着することができ、相手の指示と共にゆっくりと座席から降りると自転車を置きに行った相手の帰りを待ちながらアパートの外観を見つめて。すぐに戻ってきた相手が荷物を受け取りながらこちらを心配する素振りを見せるためアパートから相手に視線を移しながら軽く答えると相手の肩を借りるため肩に腕を回し。部屋へ案内されるままに歩みを進めるうちなにというわけでもないのだが何だか妙に嫌な予感がし、そんな自分自身に首を捻りながら「…なあ、あんたの家って何人暮らし?」などと、勘づいた訳でもなくただの興味本意での質問を投げ掛けて。)
トピック検索 |