…練習場…

遥……(一人窓を眺めると遥の名前が出てくる自分自身でも驚きｷﾞｭｯと制服を握り絞めると周りに誰も居ないかを確認。丁度誰も居なかったようでﾎｯと胸を撫で下ろす。いつも、窓を眺めると眠たくなってしまうのだが、今日はならない。どういう現象なのだろうか、もしかしてもうすぐこの世界が終わるー…とか？そんなﾍｯﾄﾞﾌｫﾝｱｸﾀｰじゃないんだから…。ｶﾞﾀﾘと席から立てば反射で窓に写る自分の姿。黒髪でついあの二人を思い出してしまった。思い出すだけでも腹立たしい。一発机を殴るとｶﾞﾀﾝと大きな音が聞こえた。ふと時計を見るともうすぐでﾁｬｲﾑが鳴る時間「もう放課終わっちゃうじゃん…」とふいに出た言葉。私にﾁｬｲﾑは関係ない。授業に出たくないなら出ない。そんな毎日、では何故？答えは明確だ。遥に会いたいからだ。遥は毎日授業にちゃんと出席しているから私と正反対だ。私にしては珍しく席に着くと教科書を取り出して準備をする。あとで先生に病気になったか！？とか言われそう。いや実際はもうなってんだけどね、なんて苦笑を浮かべながら机に突っ伏して

おはよう、貴音(いつも通り全く反省もしずに歩いて教室の扉を開けてくる貴音に挨拶をする。最近は挨拶をしただけで頬をつねられたりと散々だ。貴音が来たということは授業が始まるということか、僕は先程まで描いていた絵を片付けると先生も煙草を止めて教科書を持ち始めた。貴音がいつも来るときには授業を始めているように見せかけているのだが貴音はそんなの全く気にする素振りを見せない。これは先生と僕で考案した貴音に遅刻させない方法その1なのだが。そういえばこの前貴音に早く学校来たら？と聞いたら頬をつねられた挙げ句「そんなの無理!!」と言われてしまった。頬をつねられた意味は何だったのだろうか。でも貴音の病気は眠る関係だから朝は正直辛いのかも知れない。でもそれなのに学校に遅刻してでも毎日来てるなんて偉いなと思ってたりする。貴音は僕になんて言われたいのだろうか、うーんと唸ってみるが全然答えが浮かび上がらない。ここは逸そ先生に聞いてみたら良いのではとのことが頭をよぎる。でもそれは止めとけと心の中の僕が言っている、僕は心の中の自分に弱いからうんと頷くことしか出来ない。それならばと自分辞典を取りだし貴音関連を選ぶ。そしてあれとこれとそれの言葉を組み合わせ…よし完璧かな。貴音に歩みより出来立てﾎﾔﾎﾔの言葉を言おうとするﾎﾔﾎﾔってお好み焼きみたい。食べたいなぁ、お好み焼き…じゃなくて!、よし言うぞと決めて口を開き「僕は貴音のこと食べたい!!」と言ってﾍﾗﾘと微笑むと貴音は顔を真っ赤にさせて怒ってくる、先生は大爆笑している。何が可笑しいのだろうか、貴音と僕の最上級の言葉「～食べたい」をくっつけて貴音を食べたいになるのだけど……、というか貴音に何度も殴られたこの腕は痣が出来ているのでは無いか。