アネモネ 2013-06-08 00:29:33 |
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「…好きだー…」
あなたから囁かれた一言が頭から離れなかった。
凄く、凄く大好きだった。
もう、あなたからその言葉は聞けないなんてー。
思っても見なかった。
17の夏ー。
15歳夏ー。
『暑いーっ』
あたしは暑いのが大の苦手。もうやだぁっ。夏なんて早く終わっちゃえ!!
高校に入学して、初めての夏。ちょっとは何か変わるのかな?そう思っていた。
ー…。はぁ…何も変わらないじゃん!!
そんなことを思いながらあたしは幼馴染みに電話をした。
…プルルルルル
《はい。もしもし?夏音?》
『帝ぉーっ!!久しぶりー』
《…いや。昨日会ったでしょ…》
『まぁ、そうだっけ?ねぇ。今から行っていい?』
《いーけど…学校は?》
『わーい♪じゃあねー』
ブチッ
学校の事を聞かれたあたしは帝の話を無視した。
今から行こう…
今13時だから…。21までに帰るか。
ピンポーン
「…来るの早くない?ってか学校…」
『お邪魔しまーす♪』
帝は目にかかった赤い前髪を上にかきあげながら困った顔をした。
帝の部屋に入ると、沢山のぬいぐるみが置いてあった。
『どーしたのこれ!!!』
いいなぁ、可愛いいなぁ…。
「あぁ、瑠宇達にもらった。」
帝はそう言うと、「なんか飲む?」と聞いてきた。
『超高級ロイヤルミルクティー!!』
「そんなん無いよ…お茶ね?はい」
『ありがと…』
お茶ペットボトルだし…。しかもこのお茶…あたしの好きなやつだし…!!!
『覚えててくれたんだ?』
「何年幼馴染みやってると思ってるんだ?」
『15年!!』
「せーかいです。」
やっぱり何年たっても帝は変わらないなぁ…
変わったのは、あたし。
『瑠宇…なんか言ってた?』
「夏音ちゃん元気?って。たまには遊べば?3年ぶりにでもさ。あいつらも一応幼馴染みなんだし」
そう。あたしには、幼馴染みと呼べる人が3人も居たのだ。帝、瑠宇。それから、零次。
零次と瑠宇と遊ばなくなったのは、3年前の12歳の時だった。
あの時あたし達はかくれんぼをしていた。
当時あたしは瑠宇が大好きだったがその反面、零次の事が好きだったあたしは瑠宇に嫉妬していた。
瑠宇と零次は付き合っていたから。
だからあの時あたしはー。「あれー?零次君どこだろー?」
その言葉にありもしない嘘をついた。
『瑠宇…あっちだよ、』
「本当?夏音ちゃんありがとう!」
あたしが指差した方向は道路だった。瑠宇はあたしなんかにお礼を言うと走って道路に飛び出していった。普段は車が全く来ないためあたしは大丈夫だろうと思っていた。
キキーッッ
「え?」
瑠宇は事故に合った。全治5ヶ月の重症だった。その傷を負わせたのはあたし。それ以来全く話していない。
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