ちちおやは、いやなやつでした。
おかーさんは、癌をわずらってしまいました。
おかーさんは、それでもわたしたちをそだててくれました。
りょうしんがりこんしました。
よにんきょうだいが、さんにんきょうだいになりました。
それから、いろいろありました。
けんかもしました。
たのしいこともありました。
癌はあっかしていくばかりでしたが、おかーさんは、大丈夫大丈夫っとわらってくれました。
それでも、だんだんうごけなくなっていきました。
でも、わたしがおとなになるまではいきるとやくそくしてくれました。
みんな、それくらいいきれるとおもってました。
わたしのじゅけん、ごうかくはっぴょう、そつぎょうしきに来てくれるとやくそくしてくれました。
おかーさんが逝ってしまいました。
じゅけんまで、あといっかげつ。
わたしたちは、がっこうでした。
よびたされて病院にいきました。
そのとき、みんな、へらへらしていました。
ついさいきんも、ようだいがわるくなってよびだされてもすぐげんきになってかえってきたからです。
きょうも、すぐなおるだろうと。
いま、あの時の自分の首を絞めてやりたいです。
びょうしつにはいって、おかーさんのようすがおかしくてもすぐなおしてもらえるとおもってました。
でも、けっきょく、ひとことも。一言もはなせないで、そのままおかーさんは、逝ってしまいました。
何も言ってもらえなかったかわりに、ぴーーー、ときかいおんだけがなりました。
ごりんじゅうです、といわれて、よくわかりませんでした。
いもうととおとうとは大泣きでした。
必死に、おかーさん、おかーさんと呼んでいました。
わたしは、なきませんでした。
これからは、いもうととおとうとを私が守らないといけないから、わたしがないたらいもうととおとうとは不安になります。
がんばってなきませんでした。
きれいにしてもらった後、べっとにゆかたをきせられて、しろいぬのをかけられたおかーさんをみてました。
ほんとうはねているだけなんじゃないかと、なんかいもぬのをとったり、さわったりしました。
でも、だんだんつめたくなっていくからだと、いろがかわっていくからだをみて、でも、でもとあたまのなかでないていました。