あの音は、何だったのか…今は分からない。 牢の中では、いつもの様に囚人に対して日常化した暴力が振るわれる。
元は精悍だった顔には、目ばかりが芽立ち虚空を見上げる。 彼は数年前までは確かに英雄だった。 人々の賛辞を浴び、国中の誰もが焦がれていた。
とうとう、彼は牢で最期を迎える。 誰にも見向きもされ無かった英雄… 許さない。 許さない。 許さない… 呪文の様に彼の口から紡がれる呪詛は、百年に渡って人々を苦しめる事になるのである。
「ねえねえ?…これって此処に置けば良い?」 「うん、あ…これお願いしても良い?」 可愛いらしい少女達の声が飛び交う。 賑やかな街並み。 笑顔の溢れる人々。