俺mutter

どっちにしても、確かにあのときあの瞬間、俺はショックを受けていたんだ。

なんで？

それが自分でもわからない。

何で自分がショックを受けているのか、わからない。

だってそうじゃん。
ショックを受ける理由なんてないし、
俺がショックを受けるいわれはないんだから。

「私」になんか避けられてるなぁって思ったのは割と前で、
「私」に嫌われてるらしいって思い始めたのは最近だった。

嫌われるの、嫌だ。

何だろう、このカンジ。

「僕」とか「君」とかが嫌だ、って言うのとはなんか違う。
違うけど、嫌だ。

「私」が俺を嫌うのは当然で、
むしろ当たり前のことなのに。

今まで人に嫌われた経験しかなくて、

どんなに感情がわからなくても、嫌悪、だけはわかった。
というか、肌で覚えていた。から、「僕」や「彼」に俺が向けるべき感情もわかった。

俺は人に嫌われてきたって自信がある。

嫌いなんだよねー、とか、
扱いにくいよねー、とか、
邪魔なんだよねー、とか、
話したくないよー、よか、

散々言われてきて、でもショックなんて受けなかった。

それが当たり前だったし、それが日常だったから。

なのに、なんで「私」にはショックを受けてるんだろう。

本気でわからない。

俺が「私」に嫌われる理由は数えきれなくて、
でも俺がショックを受ける理由は一つもなくて、

なのに俺はショックだった。
嫌われているかもしれない、って思ったら、なんか嫌だった。

すごく久しぶりだ、このカンジ。
自分を持て余してる、とでも言うのかな。

あるはずのない感情に振り回されてる感じ。

ずっと、「嫌い」の一言で済んでいたから。

ねえ、「私」
俺の何が嫌いなの？
いや、わかってるけどね。大丈夫、俺のマイナスポイントなんてわかってるから。

今更なおせるものじゃないって、知ってるけど。

嫌いでもいいよ。
うん、嫌いでもいい。
たぶんそのうち慣れると思うから。
他の、俺が嫌いだった人たちみたいに、何とも思わなくなると思うから。

でも出来れば、あからさまに避けるのはやめてほしい。かもしれない。
何でかわかんないけど、何となく、息苦しくなるから。

酸素が足りてないのかな？

全身人形みたいに、指一本すらまともに動かせなくなるから、

だから、避けるのはもう少し、わかりにくくやってほしい。