ハク 2013-03-14 23:58:24 |
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触られた部分は、石鹸で洗いすぎて溶けかけてるし、
制服も消毒液をかけすぎたせいで逆に醜くなってるし、
最近ではもう、表情筋がうまく扱えなくなってる。
なあ、どうすればいい?
おおよその人間味が欠落してきた。
部活のある日の夜は眠れない。頭が痛い。体がだるい。吐き気がする。
食事も、ほとんど食べられない。
ご飯を一口、二口。朝、昼って、そんな感じ。
もともとあんまり食べる方じゃなくてよく心配されるけど、流石にこれは、ああ少ないな、って思う。
でも、食べたくない。というか、入らない。体調不良で。
俺を心配してくれるのは、「私」と「彼」と例外的にプラス二人だけでいいよ。
でもそのうちの一人は、心配をかけたくない。っていうか、迷惑をかけたくない。
「母」達も、「君」も「彼女」もその他大勢も要らない。
群れないでよ、キモチワルイ。心配するぐらいなら、俺の前からいなくなって。「僕」と一緒に。
何なんだよもうなれなれしくするなよそもそもあだ名で呼ぶんじゃねえよキモチワルイなぁ本当に本当に本当にキモチワルイ距離感狂ってるのか狂ってるんだななんだよ精神異常者かそれにかこつけて介護でも望んでんのかよキモチワルイから離れろマジで何されたって優しくなんて誰がするか淡い期待でも抱いてるんじゃねえよあり得ないから信用とか信頼とか絶対しないから心を許したことなんて一度もないし許すつもりもないしっていうか前提として大っ嫌いだし心の中ではいつもタヒんでって叫んでるし呪ってやろうかと思ったことも少なくないし家じゃプリントにある名前をカッターで切り刻んでいるし触れられたところは石鹸手洗い→消毒→石鹸手洗い→消毒を五回以上繰り返しているしああもう本当マジ消えてよてかいつ消えてくれんのだって俺のこと好きなんだろ恋しちゃってるんだろなあだったら早く俺のためにタヒんでよ大丈夫嬉し泣きぐらいはしてあげるからあれ俺嬉しいなんて体験したこともないやじゃあきっとそれが初めての体験になるねやったね俺の記憶に残れるチャンスじゃんほら早くタヒねばいいじゃん安心しなよもし仮に俺が嬉しさを感じられなかったとしたら嘘泣きするから俺演技うまいからさぁまあ自慢じゃないけど演劇部に個人的に勧誘されるぐらいにはというより嘘泣きは得意なんだ泣けって言われたらたぶん十秒かからずに泣ける自信はあるしねまあ「僕」のために貴重な体液と塩分と水分を使うのかと思うと反吐が出るけどそれぐらいは仕方がないと思って俺も諦めるよほらなあ俺は十分譲歩しただろ十分耐え忍んできただろもう充分だろこれ以上俺に迷惑をかけんなよ本気で邪魔なんだウザいんだ冗談抜きで相手するのがしんどくて割かしマジで泣きたくなってくるし頭痛いし吐き気するし食欲ないしいつも疲労感が付きまとってくるしなあ俺科学部大好きなんだよ先輩方は優しいしかっこいいし同学年の男子は子供だなぁと思うけどそれなりに楽しめる気がするしだけど「僕」ともう一人のせいで台無しになってく気がするいや気がするじゃなくてなっていってるんだよ現状として頼むから俺の好きな場所を汚さないで穢さないで壊さないでくれこのままじゃ俺は科学部まで嫌いになるかもしれないそれは嫌だ学校なんて大嫌いだけどその中でやっと自分から作れた居場所なんだ必ずしも居心地がいいとはいえないけどそれでも大切な場所だと思っているからでも「僕」のせいでその場所が酷く歪んだものに見えてきて目眩がして空気が淀んでいるように見えてくるんだ何でだろうね「僕」がいるのかと思うと来るのかと思うと楽しいはずの時間がすごく憂鬱に思えてくるんだけど楽しいはずの時間が来なければいいと思うんだけど部活に出たくないと思うんだけどねえ何でかな俺の存在が許されている場所のはずなのになんで俺が拒絶されてるみたいなのなんで俺の体が拒絶反応を起こすのわけわかんないなんで何で何で何で何で何でなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
ごめんなさい、
俺が全部悪かったです、
心を入れ替えます、
ちゃんとニンゲンらしく生きていきます、
だからもう許して。
ねえ、もう十分に罰は受けたでしょう?
これ以上は俺の心が耐えきれないんだ。
「僕」と接するだけで、何度死にたくなったかわかる? 分らないだろうけど。
確かに「僕」は俺への制裁にはぴったりだ。
これ以上効果的かつ効率的な方法は他にはそうそう見当たらない。
なあほら、俺は反省しているよ。
お願いします、許してください。
「僕」と同じ惑星上にいることすら、もう耐えられそうにないんです。
俺を勝手に分類わけする「僕」が嫌い。
勝手に俺の友達面する「僕」が嫌い。
勝手に俺にべたべたしてくる「僕」が嫌い。
得意げに話す「僕」が嫌い。
頬ずりしてくる「僕」が嫌い。
やたらと指を触りたがる「僕」が嫌い。
教室まで押し掛けてくる「僕」が嫌い。
何かっていうと話しかけてくる「僕」が嫌い。
気分も何もぶち壊しにする「僕」が嫌い。
適当に話を合わせていることに気付かない「僕」が嫌い。
俺の演技に気付かない「僕」が嫌い。
なれなれしくする「僕」が嫌い。
偉そうに自己満足な優越感に浸る「僕」が嫌い。
自分勝手に相手のことを考えない「僕」が嫌い。
許してもいない呼び方をする「僕」が嫌い。
ゲームと現実の区別がつかない「僕」が嫌い。
俺が「僕」のことを悪しからず思っていると思い込んでいる「僕」が嫌い。
中途半端に不安げな「僕」が嫌い。
腹の中を全開にする「僕」が嫌い。
つまらない興味本位の知識をひけらかす「僕」が嫌い。
無知で無価値な「僕」が嫌い。
わざとらしい態度の「僕」が嫌い。
自分の心情を教えなければ気が済まない「僕」が嫌い。
人の話を聞かない「僕」が嫌い。
「僕」の全てが嫌い。
大嫌い。
「僕」が俺のことをたぶん大好きで、
俺が「僕」のことが大っ嫌いなこの関係が
一生、続く。
出来れば今すぐにでも「僕」を消してしまいたいけど。
「気まぐれ」だなんて誰が信じるの?
部活がなくて俺に会えないから、「気まぐれ」ってことにして会いに来てるって知ってる。
残念なことに、それが俺の自意識過剰じゃないってことも。
キモチワルイね。ストーカーみたい。
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