俺mutter

自分勝手で独りよがりな、自己中心的考えにとらわれた偏見じゃなく、客観的にみなよ。

ねえ、「僕」の周囲はどんな感情を持っている？

少なくとも俺は、「僕」が嫌いだし拒絶しているし不要だし鬱陶しがってるよ。

付きまとわないでくれ。迷惑だから。

「変な人」を演じている俺だけど、

「変な人」と一緒にいる「変な人」は願い下げだ。

そんな無価値な演技は必要ないから。

俺は、俺にメリットがある演技しかしない。
それじゃあむしろデメリットにしかならない。

便利な役を、奪わないでくれ。

「変な人」の重要性を、考えたことがある？
それともそれを理解したうえで、俺から奪おうとしているのかな。

よく人と絡みたがる馬鹿は近づいてこない。
自分の情報を提示しなくてもいい。
話を適当に流しても怒られない。
ある程度の自分勝手が許される。
一人でいても誰も気にしない。
同情もされないし、好奇の目もない。

この上なく、最適な環境じゃん。

「僕」は馬鹿なの？

ああ、いや、うん。馬鹿なんだろうけど。
というより、馬鹿なんだけど。

普通、血液型を忘れると思う？　調べてない、ならまだしも。
ねえ、誕生日って分らなくなるものなの？　しかも月だけ。
小学生じゃああるまいし、自分の星座すらわからないって、そんな人存在するのかな。

全部適当に誤魔化したけど、ねえまさか信じたの？

「血液型？　えっと、あれ、何だっけ？　A、かな。うーん、Oかも。うん、とりあえず、A、B、O、ABのどれかだよ！」

「誕生日かぁ……。……いつだっけ？　あー、20日？　8日かな。あれ、10代だったっけ？　うん？　混乱してきちゃった。ごめん、わかんないや」
「月？　…………何だっけ。あははー（わざとらしい片言の笑い）」

「星座……、いや、誕生日がわけわかんなくなってる現状で、わかるほうがすごいと思うんだけど……」

信じたの？

まあ、どっちでもいいけど。

どうせ信じなくても、教えるのは嘘の情報だし。

ニセモノの情報なんて、ツクリモノの関係に相応しいだろ？

この世で真実を知っていなきゃならないのは、二人のニンゲンなんだよ？

一人は正直者。
もう一人は嘘つき。

正直者の言葉は、全てを信じればいい。
嘘つきの言葉は、全部を疑えば、それは正しい情報になる。

俺はたぶん、嘘つきだろうけど。