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No.2
by 玲夜 2013-03-03 08:30:11
【オリジナル】
(先輩女×後輩男)
《No.2》
~零 side~
学園の屋上にある鐘が、放課後を表す音色を奏でた。
鐘が鳴り止むと同時に生徒達は教室を出て行く。
これから部活があるのだ。
とはいっても僕は帰宅部に所属していて、運動部や文化部には興味すら持っていなかった。
あの時までは。
あの先輩との出会いが僕を変えるとは思わなかった。
――――――
零:やばっ…もうこんな時間か…
僕は大慌てで帰り支度を済ませる。
本に夢中になっていたら下校時刻五分前になっていた。
学校指定の鞄に教科書やペンケースをしまうと慌てて校門へと向かった。
タンッ…パスッ…ダダンッ!!
僕は驚いて大げさなほど肩を震わせる。
音は確か体育館の方からだった。
普段なら怖がって近付きもしない僕だが、今日はそんな気持ちよりも好奇心が勝ったようだ。
足音をたてないように体育館へ向かい、恐る恐る中を覗き込んだ。
悠:ハァッ…ハッ…おっしゃ!
体育館の中では一人の先輩(らしき人)がバスケットボールを持ってガッツポーズをしていた。
名前はわからないが、茶髪で長身の美人な先輩だった。
邪魔をしないように帰ろう、と踵(キビス)を返した時―――――
ガサガサガサッ!!
零:うわぁああぁあ!!!!
すぐ側にある草むらから何かが飛び出してきた。
僕は悲鳴を上げて尻餅をつく。
小鳥だとわかった僕はホッと胸をなで下ろし、立ち上がろうと腕に力を入れた。
その時
?:大丈夫か…?
目の前に白くて細い手が差し伸べられたら。
ゆっくり顔を上げると、あの先輩が心配そうな表情で此方を見、手を差し伸べていた。