如月 蓮斗 2013-03-02 16:10:48 |
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(相手を見つめて、縮こまる背中をゆっくりとさする。外見には何も傷が無い、だとすると、精神的な言葉を罵倒として浴びせられたか、と苛めの方の推理を進めて、「...ね、凛音、落ち着いてからでいいから、聞かせて?」と続けて、相変わらず頭を撫で続ける。窓の外は、今と良く似合う、猛吹雪。
煩わしい風音に、少し眉を寄せて彼女をゆっくりと抱きしめる。「...大丈夫だからね、、大丈夫。」と続けて、元々、雨や悪天候が苦手な彼女、安心させる様に抱きしめて。/)
...告白する前に、失恋。した。 ( 小さく、小さく詞を吐き出す。同時に亦涙の膜を張って瞳を揺らす。其れを零さないように、唇を噛み締める。何度も言われた大丈夫、という詞は彼女を安心させる。
何も考えられないまま、相手の背中にゆっくりと、震える手を伸ばす。そして肩口に顔を埋める。表情は見えないが、きっと泣いているのだろう。嗚咽とともに鼻を啜る声が聞こえる。外からの騒音が大きくなる度に、びく、と肩を揺らして、 /、
(吐き出された言葉に、少し目を見開いた。それと同時に、少し悲し気に目を伏せて、 ゆっくりと背中をさする。安心して、安心して、と言葉を続けつつ、少し思考を走らせた。小さな頃から好きだった相手が、好きだった人がいた。という事実に、少し溜め息を吐き出すと、「..そっか、つらかったね、大丈夫、もう大丈夫だからね。」と続けて、相変わらず彼女を強く抱きしめて。徐々に酷くなる吹雪は、音も激しい。彼女の頭を撫でつつ、大丈夫、と続けて。/ )
だっさいな-、 私 ..。 ( 目を擦れば紅くなった目を細めて自嘲的に詞を紡ぎ、自虐的な笑みを零す。まさか彼が自分を想っているなんて気付く筈も無く、彼に身体を預ける。心地好い。ゆっくりと目を閉じて撫で受ける。「もう大丈夫だよ、...心配させて御免ね、」と詞を続け、苦笑交じりの笑みを浮かべる。だが、感情など無いようだ。どれだけ相手の事が好きだったんだろうか。表情は笑っていても、未だに泣いてるようにも見える。彼女は相手の肩に、顎を乗せて何と無く、窓の外に視線を移す。雪自体は嫌いでは無いが、今の気候は彼女の気分と重なって最悪だ。思わず表情を消してしまう、 /、
(思わず唇を噛み締める、どんどん溢れる気持ちに蓋をすると、彼女の頭を撫でつつ、自虐的な彼女を慰めるように、安心させる様に強く抱きしめる。「...ださくなんか、全然ないし、、、あーあ、うっらやましーな、そいつ。」とか続けては、小さく溜め息。本音が口を突き破って出てしまった。
相変わらず頭を撫でつつ、背中をさする。慣れてしまった所為だけれど、何か、違う感情が籠もっていて。そう、湧き上がる嫉妬。
嫌になる、なんて悲観的に考えては、どれだけ彼女が好きだったか、なんて一目瞭然に分かってしまうだろう。
酷くなる猛吹雪は、止む事を知らない。
泣き止んでいる彼女の心の中の様だ。)
.. 羨ましいって、 何が ?、 ( 相手の発言を不思議に思い、訊き返す。感情など籠っていない声で、だ。ぎゅう、と珍しく、自分から彼に腕を回し、抱き締める。彼の胸に顔を埋めると、肺一杯に空気を取り込むと同時に、匂いに酔いしれる。久し振りの感じに、思わず頬を緩めてしまう。
「蓮斗、ありがと。」とか言って顔を上げる、満面の笑みだ。だが、無理に作ったようにも見えてしまう。ふと、彼の表情を見て首を捻る。..何で、そんな表情してるの、等思考をめぐらしては、 /、
(伝えて満足出来る、なんて言う欲望の無い男ではない。告白して、付き合って、キスをしてー..、なんて色んな欲望が溢れてくるのは、男だから、仕方ない。そう、彼女を愛しているから。相変わらず、唇を噛み締めたまま、少し自傷気味に微笑むと、「んー、何もないよ。落ち着いたなら、良かった。」と続けて彼女の頭を撫でる。
有難う、という感謝の言葉に、小さく頷けば、彼女の背中をさする。「...無理して、笑わないで。...辛いんでしょ?」と続けて、彼女を強く抱きしめた。悪天候は次第に酷く。湧き上がる嫉妬心の様に。嗚呼、抜け出せないね、抜け出せないよ。もう、彼女が好きになってしまったのだから。/)
.. 蓮斗、 嘘吐いちゃだめ、 だよ。 ( む、と眉寄せて彼に顔近づけると頬に手をそっと添えた。「私には分かるし、..何年一緒だと思ってるの、」と言い乍くすり、と小さく笑みを漏らす。次いで教室の時計に視線を遣る、...7時、か。そろそろ帰らなきゃな、とか考え乍相手の頬をゆっくりと撫でてみる。
「辛い、けど。..強く、ならないとね、」と言って、また笑う。強く何てなれないと、分かっているのに。笑っている彼女の表情は自信に満ち溢れ、そして脆くて儚いものにも見える。彼の優しさに身を委ね乍、此の人に思われてる仔は幸せだろうなぁ、なんて考えて、 / 御飯食べてきます、ノ。
(彼女の言葉に、小さく苦笑を漏らせば、頬にある、彼女の手の平を強く握る。恋愛なんか、したくなかった。好きになっても叶わないから、なのに、諦めれないのは、その分、感情が重たいから。大好き、愛してる。自分とは程遠い言葉が脳によぎる。特に言えそうな言葉なんか、脳には出てこなくて。結果的に出てしまった言葉、「本当に、何もないよ?、ほら、もう遅くなる、帰ろっか。」と続けて彼女の手を握る。彼女の強がりは本当に分かり易い。ふ、と小さく苦笑を込めると、「...んーとさ、今日、俺の家、誰もいないんだよねー、」と続けて、どうせなら、励ましを手伝いたい。彼女の手を握り、立ち上がれば、良かったら、ご飯作ってくんないかなー、とか続けて、にへら、と頬を緩めた。風音を鳴らし、猛吹雪が降り積もる校庭、それと同時に嫉妬が積もって。何がしたいのか、なんて意図、今じゃあもう掴めない。/行ってらっしゃいノシ。)
.. 何かあれば、 私に相談していいからね。 ( 目を細めれば、にこ、と口許を緩める。彼女の中で彼は、大事な人だ。きっと恋愛感情を抜きにして、だろうけど、大切には変わりない。自分に出来る事を、彼の為にしてあげたい。そんな気持ちで一杯になる。此の距離が、一番心地好い物だ。壊したくない。一生このままなら好いのに、この関係が、彼とは丁度いい。なんて、思う。
思考をめぐらしている途中、彼の言葉にはっ、と意識戻し。「..大変じゃん、私行こうか?、」と、首を傾けるも次の彼の発言に数度目を瞬かせる。料理なんて出来ないのだけど。どうしよう。と内心汗をだらだらと流すも表面上では任せて、と云わんばかりに胸を張る。何処まで見栄をはるつもりだろうか、 / 只今です。 ノ、
(縮まりたい距離、縮まらない距離。幼なじみという肩書きは、一番近くて、一番遠い。それなら、幼なじみになんかなりたくなんかなかった。溢れる嫉妬、溢れる好感。どんどんと暗闇に飲み込まれていくような感じだ。鈍い頭痛が続く中、ゆっくりと貼り付けた笑みを浮かべる。「うん、有難う、」アリガトウ、何に対して、なのか自分でも良く分からない、明けない暗闇は身を滅ぼす。「うん、御飯作ってくれないかな、」と続けては、一際、自分より小さな手を握る。この重ねた手の様に、彼女の心を読み取りたい。なんて、願いが大き過ぎる。しんしんと降り積もる雪は、彼の心さえも溶かして。/お帰り-)
... いっつも助けてくれる、お礼。 ( 御礼、...御礼なんて、出来ていないだろう。何を言っているんだ自分は。ふ、と小さく息を吐くとにこり、頬を無理矢理に緩めさせる。我侭を言って、嫌われたくない。今迄もそう思って強がったけど、全部彼には分かってしまう。悔しい。こんな醜い自分を彼が知っているのが、気にくわない。嫌われる?、怖い、壊れてしまうような気がして。此れが何という感情なのかは彼女には分からない。けど、嫌われる事を一番恐れる。そんな自分を客観的に見て、一人、思わず苦笑を零してしまう。「御飯、...、」小さく声を漏らすと頬を引き攣らせる。料理なんて、生きていて自分一人でした記憶が無い。亦役に立てないのか自分は。情けない。ふと、彼と自分の手に視線を移す。小さい頃は一緒くらいだったのに、と思い乍彼女は手を握り返す。冷たい彼の手を、温めてあげられないだろうか、なんて考え乍。...何て自分は、汚い人間なんだろう。/、
(ほら、また辛そうに笑う、そんな所がいけない、駄目、でも、其処が大好きで、離したくなくなる、嗚呼、依存しているんだな、彼女に、彼女自身に。心身共に全てが。今すぐ唇を重ねたい、彼女にキスをしたい、なんて事、思ってしまう、暴走してしまう。駄目だ、一瞬の感情に身をとらわれては、「助けれてるのかな、僕は。」ふと呟いた言葉、口で留める事を知らず空気に吐き出した。嗚呼、もう嫌になる。何故、何故、こんなに嫉妬深い男になったのだろう、青いマフラーに顔を埋めつつ、小さくため息を吐く。いまここで言っても、何も変わらない。彼女を、困らせて、泣かせてしまうだけ。繋がれた左手は、何よりも暖かくて、温まらない手の平を、少し嘲笑って、「...嘘、ご飯作れないの、僕知ってるから、」ふ、と顔を緩めて、頭を撫でる。御飯を作って、なんていう口実は駄目だったかもしれない、なんていう後悔はもう無くなった。嗚呼、冷たい、この心も、雪も、そして、世界も。/)
助けてくれてるよ、 ... 昔から 。 ( そう言って繋がれた手の指を絡める。狡い、卑怯だ、何でこんな卑怯なんだ自分は。何処かで期待とかしているのだろうか。馬鹿じゃね-の、って思う。笑いたくても、嗤う事しか出来ない、醜い醜い醜い。何でこんなに汚い人間が、彼のような綺麗な人間と関わっていられるのだろう。不思議に思う。高校に入って、苛められる事も減って、彼と話す事も極端に減ったのに、其れでも助けてくれる。何でなの、不思議で堪らない。だがそんな事を考えるのすら、馬鹿らしいと思う。「..やっぱり?、御免、」苦笑する。この表情をするのは何度目だろう。下らない。指を絡めて繋がれた己の右手は暖かい筈なのに、彼の左手は冷たいままだ。其の事実に少し悲しくなって、誤魔化す様に視線を落とした。 /、
(校舎を出て、何時も通りの通学路を歩く、繋がれた手は暖かい、のになんで、己の心はこんなにも醜い。最低だ。最低な人間だ。彼女に恋をしてしまって、それが過ちなのか分からない、だって、こんなにも愛してるから、好きという感情が大きいから。「....有難う、俺も、...いっぱい助けられてるよ、」助けられているのは己ばかり、何もない、純白な笑顔が、俺を、救ってくれた。なのに、そんな綺麗な彼女に、こんな醜い思い、最低だ、消えて、俺が消えてしまいたい。降り積もる雪は、どこまでも白くて、全て、音もたてずに追いつくす。「気にしないで、」ゆっくりと吐き出した息は真っ白く、息を止めてしまいたかった。舌を噛み千切って消えてしまいたい、なんて、汚い自身の思考さえも、消してくれるだろうか。/)
.... 、 ( さくさくと、降り積もった雪を踏んで歩く。此の時期にこんなに降るのは珍しいのだろうか、如何でもいいな。...恋をしたのが、今日告白をしようとした人が、自分を苛めていた人だと知ったら、彼はどんな反応をするのだろうか。言うつもりは無いが、何と無くそんな事を思った。「...嘘は、吐かなくていいよ。」彼を助けた事があっただろうか。何時も助けられてばかりの自分が、どうやって彼を助けてあげたのだろう。記憶を辿る限り其れは零なのだが。彼を横目にぼんやりと眺め乍想うのは、今日想いを伝える筈だったあの人の事。同じクラスか、...学校に行く気失せてしまうな、とか物思いにふける。そんな事を考えていると、亦じわ、と目の奥が熱くなってきた。慌てて空いている方の手でぐしぐしと目を拭う。やだ、見られたくない、見ないで。こんなにあの人が好きだったのだろうか、と改めて実感する。どうして恋というものは、自分を惨めな気持ちにさせるんだろう。 /、
(夜空か降る雪は、白く、冷たい。それと同時に温まらない体温、小さく目を伏せた。
青いマフラーから香る、自分の家の匂い、隣から伝わる、小さな熱。もう、自分の醜い心なんか、あっと言う間に分かるじゃないか。こんな事になるなら、幼なじみという別の存在で生まれたかった。なら、嫌悪感なんか放っておいて、彼女を奪えるのだから。「いや、僕は助かったよ、君に、..凛音の笑顔が、僕の一番だから。」小さな頃を少し思い出した、りんちゃん、りんちゃん、と彼女を呼びかけていた名前は、いつしか呼び捨てに変わって、見た事の無い心に気付いて、恋だと確信した。小学生の時から、ずっと口癖のように囁いていた。おれのいちばんはりんねのえがおだよ。まるで、平仮名埋まりの様に、ゆっくりと呟いていた言葉。目をごしごしと擦る彼女を見ると、小さく白い息を吐き出して、「泣きたいとき、一人で泣かないで?、俺の腕、いつでも貸すから。」頭を軽く撫でて、にへら、と作り笑いを貼り付ける、どうせはそうなんだ、好きになってほしいから、優しくする、嗚呼、醜い、醜いよ。/)
.. 私の笑顔、 ... こう ?、 ( ふ、と頬緩まして相手を見る。一番、..本当に一番?、本当なら、いいのに。何だか心配で、不安で、ぎゅっと相手の手を握る。小さい頃にもこんな事があったな、懐かしい。あの時の自分には、彼が全てで、彼さえ居れば周りなんか如何でもよかった。確かに苛めは怖かったし、沢山傷付いた。だけど、彼の笑顔と優しさで、自分も不思議と笑顔になれた。其の時から、彼に知らないうちに依存していたのかもしれない。そんな昔話を思い出し乍、彼の横顔を見上げる。少し前までは、同じ目線だったのに。何時の間にこんな変わってしまったんだろう。其の時、彼の作り笑いに気付いてしまった。...何時も、気づいてしまう。でも、気づかないふり。彼の作り笑いは、自分の事が嫌いだからなんだ、っていう風に考えてしまいそうになるから。私も、笑い返す。「有難う。蓮斗のそういうところ、好きだよ。」なんて言ってみる。好きだ。好きだけど、...今気になるのはやっぱり、あの人の事で、 /、
(彼女の笑顔が、今すぐ彼女を抱きしめたい。なのに、それは叶わない願い、好きだよ、愛してる、なんて言う言葉はいとも簡単に口出せる、けれど、その感情を表すのは簡単な言葉じゃない。嗚呼、憂鬱だ。どうして、こう彼女の一番になりたいのだろうか。彼女の小さな手を握り、微笑む。勿論、本心からではない笑みを。「有難う、凛音、俺は、凛音に笑っていて欲しいから、」にこり、と微笑み、彼女の手を強く握る、そして、ふと思い出した。りんね、なかないで、いじめなんか、よくないよね。落ち着きも無かった頃、泣いている彼女の周りを歩き回っていた。そんな、ゆったりとした雰囲気なんか、もう造れない。相手を異性と感知した時から。「俺も、凛音の優しい所、好きだよ。」彼女に伝えたいのに、一番になれない自分が嫌いだ。好き、すき、スキ。溢れ出す感情は、彼女を制御しようと、動き回っていて、/)
... 私を笑顔に出来るのは、蓮斗くらいだよ。 ( 目を細めて、小さく笑う。嘘だけど。本当はもう一人、居るんだけど。其れは口には出さず、喉の奥に引っ込める。彼の表情を見て、思う。今日だけで、彼に暗い処があるのを知った。前までの彼なら、誰とでも笑っている、何かの主人公のような人という印象が強かったのに。こんな表情を見せるのが、自分にだけなら。そんな最低な事を考えてしまう。そんな自分が嫌いで、心から憎くて、そして何よりも大事だった。こうして手を繋いでいると、昔を思い出す。何時も隣には彼が居て、ずっと一緒だった。「あたし、おっきくなったられんとのおよめさんになるの!」、其れが口癖だった。そんな自分に、彼は何時でも優しく笑いかけてくれた。今ではどう思われてるのかなんて、分からないけれど。
「ありがと。...照れる、」なんて冗談っぽく言って、頬を掻く。ねぇ、私、あの時みたいに笑えてるのかな。 /、
(もう、俺には彼女を愛せる義務なんか、ない。只、彼女が笑える様に、近くに、傍に寄り添うだけ。嗚呼、神は残酷だ。最低だ。何なんだ。一番になりたいと思うのはいけないのか、もう、もうやめて。心の中で渦巻く変な感情。「...そっか、」少し苦し紛れに呟いて、目を伏せる。片時も離れない、大切な存在だった。夜中も、良く、窓から彼女の部屋を覗けば、彼女も起きていて、よく話した。ねえ、りんね、きょうはほしがきれいだね、あれ、ふたござだって!!、まるで、恋人のようだった。幸せだった、なのに、それ以上を求めるようになったのはいつからだろう。中学三年の時の冬、彼女が水で濡れていて、痛々しく震える姿が目に入った。ふるりと首を降った瞬間、目前に現れたのは、そう、大きな人影。見た所、女子高生。そして同じ学校。馬鹿じゃねぇの、こいつ、調子乗ってやがんの、けらけら、と響い罵倒と笑い声に、一瞬、思考が止まった。ぐ、と足に力を踏み入れては、「どいて、邪魔。」と突き放す笑みを続けて、彼女等を押しのけると、「行こう、凛音。」と続けて、少し足早に過ぎ去った。嗚呼、また、悲劇の幕があがった。)
.. っ、え、 ..、 ( 彼女から表情が消える、そして同時に顔から色を失くす。何で此の人たちが、怖い。やだ、逃げたい。何で、足、動かない。やだやだやだ、蓮斗が、やだ、もう巻き込みたくない。やめて。
見覚えのある少女たちの顔に、吐き気を覚えた。目を大きく見開く、足ががたがた震える。...彼女等の中に、あの人の恋人が、居る。何を言いに来たんだ、私に用なのか。何ですか、帰らせて下さい。彼の手を握る己の手に、自然と力がこもる。でも手が震える、如何すればいいの、怖い。
ぐい、と引っ張られた。彼が、彼女等を押しのけて早歩きで道を歩く。ただ、其れを呆然と眺め乍ついて行く。後ろからは汚い罵倒の言葉が聞こえる。相手の後ろ姿と、段々遠くなっていく彼女等を交互に見る。此の幼馴染は亦、助けてくれたのだろうか。思考がめぐりきらない、涙が溢れそうになる。思わず、唇を噛み締めて我慢した、 /、
(道路を曲がり、路地の薄い路地裏に入り込む。彼女達は追いかける事も出来ない弱虫だ。ゆっくりと足を止めては、震える彼女の体中を見た。また、俺は守れなかった。なんで、近くにいるのに守れない、やっぱり、近くにいても存在価値なんかない。小さく溜め息を吐き出し、にへら、と頬緩めて、頭を撫でた。「大丈夫、?、手、痛かったでしょ、ごめんね?」とゆっくりと続けては、彼女の手首を優しく撫でて、落ち着かせるように、背中をさする。嗚呼、また始まってしまった。残虐な悲劇が。守らなくては、彼女をん彼女を一番に /)
れん、と、 .. っふ、 ( 我慢していたものが、一気に溢れ出す。相手の背中に手を廻して、ぎゅう、と顔を埋める。身体は未だに少し震えているものの、制服汚しちゃうな、とかいう冷静な考えは出来た。其れよりも、亦彼を巻き込んでしまう事への罪悪感や助けてもらった事に対しての自己嫌悪を感じてしまう。彼の、自分を心配する優しい声色に、ふるふると小さく首を振る。詞にしたいけど、上手く出来ない。手なんて痛くなかった、謝る必要も無い。御免なさい、御免なさい。心の中で、沢山謝る。御願いだから、嫌いにはならないで。 /、
(何も言わず彼女を抱きしめる。涙を溢れさせる彼女は、痛々しく、弱く見えた。嗚呼、本当に好きだ。彼女の頭を撫でつつ、背中をさする。慣れてなんかいない。いつも、心臓が慌ただしく鳴って、顔が暑い。彼女を見つめて、紡がれる言葉に、頷いて、ゆっくりと思考を巡らせた。彼女を、彼女だけを、愛している。好きだ。「...大丈夫、凛音は..悪くないよ。」ゆっくりと背中をさすりながら、冷たい手で彼女の背中をさする。嗚呼、もう嫌になる。何故、助けられないんだ、何故、何故。)
いっつも、 .. 巻き込、んで、 ごめ、 .. っ、 ( 嗚咽を漏らし乍、途切れ途切れに言う。ぼろぼろと、涙が溢れる。今日はどれだけ泣けば気が済むんだ、なんて思って、内心己の事を嘲笑したやった。格好悪い。何で神様は、私ばっかりをこんな目に遭わせるんだろう。そんなに私が嫌いなのか、なら彼だけは巻き込まないでほしい。お願いします。そんな風に、届かない願いを胸に抱く。一通り泣き終えるとゆっくりと顔を上げる、不細工な顔してるんだろうな、と思わず心中で苦笑を漏らしてしまう。「..いっつも、有難う、」と、眉を下げて笑った、 /、
(どこまで、相手のことを心配する、優しい気持ちを持っているのだろうか。それと遂に、こんな己がいていいのか、少し不安になる、守りきれていない己が、近くにいていいのか。相変わらず彼女の背中を撫でつつ、大丈夫、と続けた。
降り積もった雪は止まる事をしらない。それと同時に、この不幸の結末さえも。「ううん、いいんだよ、気にしないで。」彼女の発した言葉にゆっくりと続けた。
嗚呼、空がみえないよ。自分の、志は、見失ってしまった。/)
.. 泣きつかれた。 絶対目腫れてるよ明日 、 ( むぅ、と子供のように頬を膨らまして拗ねた表情を浮かべる。弱い人間だと、思われたくなくて。こんな自分を受け入れてくれる彼は、何て優しいのだろうか。目の奥が熱くなるのを必死に堪え、へらり、とだらしない笑みを浮かべてみせる。彼から離れると亦手をぎゅ、と握り、「蓮斗、お腹空いたでしょ?、早く帰ろうよ。」と、小さい頃のような無邪気な笑みを浮かべて 、 /、
(もう、全てに唖然とした。何故、彼女がこんなに辛い思いばかり、何故、彼女をゆっくりと離せば、にへら、と貼り付けた笑みを浮かべる。弱い彼女は、気丈に振る舞っている。だから、助けたい、とか、守りたい、という感情よりも、守れ無かった罪悪感が多い。「俺が凛音を守るから。」幼稚園児に戻った訳じゃない、只、自分の中の一部が整理付けた様な気がした。嗚呼、雪深い田舎は、愛しき故郷。まるで、己の愛を確かめていてくれるみたいだ。/)
もう十分守られてるって 、 ( くすくす、と可笑しそうに小さく笑みを漏らす。其れは心からの笑顔であり、何よりも嬉しかった。相手が気を遣っているのだとは思うが、上辺だけの言葉でも、嬉しかった。だから、笑えた。寒さからか否か、頬を紅くする。愛されている気がした。其れが事実だと分かれば、もっと嬉しいのに。
相手の腕を引っ張って、「早く帰ろ-よ、」と子供のように急かす。小さく、首をこてん、と傾けてみる。...可愛くないなど、分かっているのだが。 /、
(笑ってくれてありがとう、生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ、愛してる。彼女の手を繋いで、頬を緩めた。
好きだよ、それは変わらない、何時までも、何時までも愛し続けるという自信。嗚呼、暖かい星空。空にかかる双子座。「うん、行こうか、凛音、」と続けてゆっくりと歩き始めた。/)
私お腹空いてないなぁ ..。 ( 雪が降りやんで綺麗な夜空と星が姿を現す。其れを見上げて白い息を吐き乍言葉を紡ぐと、「蓮斗。帰ったら直ぐ寝よう、」と真顔で言いだし。もういっそ泊まろうかな、とか考えつつ、相手の横顔を眺める。整ったその顔を見ては自分の頬に手を添え、ふう、と溜息を零し、 /、
(彼女を守りたい、なんていう心、曖昧な物かもしれない。でも、心はきちんとある。
好きだよ、この思いを伝える時は来るのかな、小さく息を吐き出し、握った手に力を込める。彼女の暖かい温もりが心地良い。ねぇ、俺はこんなに汚いのに、君の傍にいていいのかな。まるで、問い掛けるように、強く手を握る。空に掛かる星空の様に綺麗な存在になれたら、いいのに。
「ちゃんとご飯食べよう、?、体まで壊すよ、」とか続けて、にへら、と頬緩めて。
勿論、家に来てくれていい。一時一秒でも彼女と傍にいたい。ねえ、神様。こんな汚い俺を許してくれますか。まるで、問いかけるように、星空を眺めた。何もない、あるのは星が眩しい一等星。黄道に沿って考えると、まばやかしい双子座が見える。
/ 上げ感謝です、))
.. 蓮斗が作ってくれるなら食べる 、 ( へらり、と柔和な笑みを返す。彼の笑顔は好きだ、思わず此方も笑ってしまう。今迄ずっと隣に居たけど、此れからも居たい、なんて。叶う筈無い、のに。今日で終わったものは本当に恋だったんだろうか。目を伏せて、考える。...自分は、涅凛音は、彼の事が好きなのではないだろうか。そんな自分を認めたくなくて、ふるふる、と小さく首を振って、口許までマフラーを引き上げる。今迄も、何度かそんな風に思う事はあった。だけど、全部否定した。何故?、怖いからだ。自分に嘘を吐いて、其の嘘を隠すために亦嘘を吐く。やっぱり自分は醜いなぁ。思わず苦笑する。
そして、小さく溜息を吐く。嘘と戯言しか出ない此の口からでも、綺麗な白い息が出る。其れが消えるのをぼんやりと眺めて、視線を地面に移した。 / いえいえ、遅れてすいません、
(どこまでも続く空、曇り空から見える、星座。懐かしい、どれも思い返すと、本当に懐かしいと実感する。ねえ、俺は彼女を守れているのかな、ふと夜空に問いかけた。大好きな夜空はどこまでも続く。地球の端まで。こんな、広い世界にたった一人の人物が生まれてきて、無差別な世界を生み出す。嗚呼、人類は醜い。何よりも疎外感を感じている己が、一番醜いかもしれない。「うん、何がいい?」こくり、と首を動かすと、頭中でレシピを捲る。小さな頃から慣れっこだ。ご飯は、家事の出来ない母親の為に習得したし、洗い物や、炊事、洗濯も出来ないことはない。彼女の手を握り、ふと考えた。いつか、愛してると君に言えたら、叶わぬ願いがまた一つ芽生えた。
/返事搭載遅くなりすみません、))
蓮斗の好きなもの。 ( 何時もと同じように答える。彼を困らせる返答だとは分かっているけど、彼の好きな物を食べて2人とも笑顔になる方が、嬉しい。こうして2人きりで帰るのは何時ぶりだろう。毎日一緒に登下校をしていた頃が懐かしい。まさかこんな形で一緒に帰るだなんて、夢にも思わなかったけれど。ふと空を見上げると、双子座が見えた。嗚呼、彼は確か双子座が好きだったっけな、なんて、小さい頃の会話を思い出して、ふっと一人、頬を緩める。そしてさり気無く、彼と繋がっている右手を少し強く握った。離れないでね、とでも言う様に。この手を伝って、貴方に届けばいいのに。少し寂しくなって、ゆっくりと視線を地面に戻した。 / 大丈夫ですよ-、 ノ、
(不意にじんと胸が熱くなった。痛い、それは徐々に広がる鈍い痛み。心臓はまるで役目を果たさないように、血液を素早く巡回している。息は自然と乱れた、が、ふう、と小さく溜め息を一つ。やはり、彼女に思いを伝えることなど、己には不釣り合いだ。もう諦めが出てしまった。はは、と小さく苦笑を漏らすと、「うん、作るね。」少し複雑だったかもしれない。早まる動機。目眩、気持ち悪い。吐き出してしまいそうだ。嗚呼、簡単な事だった。/)
..?、 ( 彼の様子を見て、眉を下げ乍首を捻る。え、何。私何かした?、御免。嫌なら言ってよ。分からない。そんな言葉が頭の中をぐるぐる回る。彼が嫌悪感を抱いたのかもしれない。好い方に考えたくても、如何しても悪い方に考えてしまう。泣きそうに、なる。彼が如何思っているのが分からないから、辛い。視線を地面に移すと、必死に唇を噛み締めて、堪える。それを見られないように、マフラーを鼻の辺りまでぐいっと上げる。情けない。人の考えてる事とか気持ちが、分かればいいのに。そんな最低な考えまで浮かんできた。 /、
(痛い痛い、吐き出す事が出来ない。ふう、と小さく呼吸を、何か困惑している彼女に静かに心の中でごめんねと続けた。痛い、心臓が、左胸の奥が。鈍く広がる痛み。体調不良なんか関係ない、恋の痛み。ぐ、と唇を噛み締めては、「..凛音、...俺も..我慢できる部分と、出来ない部分がある..し、....その、ねえ、まあ...夜、だから...というか..うう...」頭をぐしゃりと掻けば、少し気まずく顔を逸らした。どうしようか、今改めて思い返すと、あっさり承諾してしまったが、理性が持つのか、本当に色々とヤバいかもしれない。なんて、口が滑ってもいえない。)
.. 夜、 ..?、 ( 視線だけちらりと、彼に遣る。無意識にきゅっと彼の手を握り締める。「..行かない方がいい、かな?、」と、眉を下げてゆるりと首を傾ける。訊き返すのが、狡いとは分かっていてもこうやって云えば違う、って云ってくれるかもしれない。そんな最低で醜い考えが浮かぶ。
彼の家に行ったとしても、自炊などをしない自分に何が出来るんだろうか。掃除、洗濯なら出来るが料理だけはどうも苦手だ。今迄幾度となく挑戦してきたが、どれも御世辞にも美味しいとは言えなかった。久し振りの彼の家だと浮かれていた自分を嘲笑してやった。隣の家なので何ら問題は無いけど。そう思いたい。久し振りに家行きたいんだけどな、なんて。言える筈も無い。 /、
(違う、言葉が伝わらないとはもどかしい。小さく苦笑を漏らせば、首をふるり、と降り彼女の頭を撫でた。うん、大丈夫。頑張れるだろう。理性よ保て。自分に打ち勝つんだ。へらり、と頬を緩めながら、寒さでかじかむ手で彼女の頭を撫でた。「...大丈夫、...うんん、是非来て、」へらり、と笑いつつ彼女の頭を撫で続ける。彼の漆黒な瞳は、何かを伝えたがっている。愛してるから、僕が怖いんだ。君を壊してしまいそうで、君に嫌われたくないんだ。嗚呼、自分は本当に弱虫だと思った。/)
え、 .. いいの?、 ( 目をぱちくりと、丸くする。自分の考えていた事とは違うのだろうか。う-ん、と小さく唸って首を捻る。数分して思考というものを放り捨てた。面倒臭い。其れよりも彼の家に行けるという事に、嬉々とした。嬉しい、楽しみ。思わず、顔が綻ぶ。だらしなく目尻を垂らして、頬を緩める。心地好さそうに撫で受けると、「うん、...ありがと、」と続けて彼を見上げ、にへら、と笑う。其れと一緒に、何時までも冷たいままの彼の手を握る。御飯は何だろうか、何を作ってくれるんだろうか。手伝おうかな。そんな事を考えて、また頬を緩めた。 /、
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