まりも 2012-11-25 15:52:48 |
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鉄製の冷たいドアノブに手を掛け、重い扉を押す。
屋外へと繋がるその扉を開け放つと、雲一つ見当たらない青空が広がっている。
まるで私を歓迎するように。
扉を閉め、ゆっくりと目的地に歩み寄る。
私の前は2m位の、錆びたフェンスが並んでいる。
年季が入っているのか、ところどころ破れていた。
迷わず飛び越えると、いつもの見慣れた景色が現れた。
サッカーゴールにバスケットゴール、少し紅葉した木々。
今は昼食の時間のため人気は全く無い、がらんとした校庭が広がる。
私はここから飛び降りるのだ。
奴等のために、見せしめとして。
変わり果てた私の姿を見て、自分達がやったことの重大さに気付いてもらう為に。
「…ふふっ」
無性に笑いたくなった。
「あは、は」
「あはあハはあ」
「は…」
涙も溢れてきた。
悔しかった。
あんな奴等のために死ぬなんて。
死ぬしか逃げ場のない私の弱さが憎い。
どうすることも出来なかったんだ。
だから自分を、信じることにした。
フェンスに掛けていた手を離し、目を閉じた。
もう何も、見たくなかったからだ。
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