永音 2012-11-21 18:41:17 |
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ま、君らに俺のことはわからない
俺も君らのことはわからない
それでいいよね♪
難しく考えるのはやめようか
わかりたいと思えないことを無理にわかろうとする必要はないよね?
俺はこのままでいいよね?
われは酒屋に一人の翁を見た。
先客の噂をたずねたら彼は言った――
酒をのめ、みんな行ったきりで、
一人として帰っては来なかった。
幾山川を越えて来たこの旅路であった、
どこの地平のはてまでもめぐりめぐった。
だが、向うから誰一人来るのに会わず、
道はただ行く道、帰る旅人を見なかった。
われらは人形で人形使いは天さ。
それは比喩ではなくて現実なんだ。
この席で一くさり演技をすませば、
一つずつ無の手筥に入れられるのさ。
われらの後にも世は永遠につづくよ、ああ!
われらは影も形もなく消えるよ、ああ!
来なかったとてなんの不足があろう?
行くからとてなんの変りもないよ、ああ!
土の褥の上に横わっている者、
大地の底にかくれて見えない者。
虚無の荒野をそぞろ見わたせば、
そこにはまだ来ない者と行った者だけだよ。
君も、われも、やがて身と魂が分れよう。
塚の上には一基ずつの瓦が立とう。
そしてまたわれらの骨が朽ちたころ、
その土で新しい塚の瓦が焼かれよう。
地の表にある一塊の土だっても、
かつては輝く日の面、星の額であったろう。
袖の上の埃を払うにも静かにしよう、
それとても花の乙女の変え姿よ。
雲は垂れて草の葉末に涙ふる、
花の酒がなくてどうして生きておれる?
今日わが目をなぐさめるあの若草が
明日はまたわが身に生えて誰が見る?
新春ノールーズ雲はチューリップの面に涙、
さあ、早く盃に酒をついでのまぬか。
いま君の目をたのします青草が
明日はまた君のなきがらからも生えるさ。
川の岸べに生え出でたあの草の葉は
美女の唇から芽を吹いた溜め息か。
一茎の草でも蔑んで踏んではならぬ、
そのかみの乙女の身から咲いた花。
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