ゼロ 2012-08-12 16:50:55 |
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「――――――いちゃん?」
そんま俺に届いた声は紅の物だったが、ハッキリとは、聞こえなかった。
「その顔・・・まさか・・・紅・・・?」
竜の遺伝子
第19話
前>19362
ナルク
「え、え?ど、どういう事?せ、説明を求めたいんだが?」
一人、俺が慌てていると、紅とジョーカーは二人で俺を無視し話を始める。
「そ、そうだよ。おにいちゃん。あ~、やっぱり、おにちゃんだった~」
そういうと紅は、ジョーカーに飛びつく。・・・・え?
「お、おいおい、紅。落ち着けって。俺だって、いきなりは大変なんだからよ」
「え~、いいじゃん。久しぶりなんだからさぁ」
かれこれ、20分が経過し。
「・・・で、ジョーカーさんと、紅は兄妹なんですね」
と、俺が尋ねる。
「そうだが?」
と、ジョーカー。
「そうだよ?」
と、紅。
「何故、あの時に言わなかったんですか!」
一人興奮して問う。まったく、なんでラオシャンロン戦の時に言ってくれなかったんだ。ぶぅ・・・
こっちだって、準備しなきゃやダメなのに・・・あいさつ考えなきゃ・・・って、何考えてんだ?俺。
「あの時とは・・・何時だ?」
流石に、あの時だけじゃ分からなかったらしく、ジョーカーが問い返してくる。
「ラオシャンロン戦の時ですよ。なんであの時に教えてくれなかったんですか!」
自分でも驚くほどに興奮している。そんな俺を見ても、動揺どころか顔色一つ変えずにジョーカーがくちを動かす。
「ああ、その時か。なら、逆に聞かせて貰おう。仮に私がその時に言ったとする。その時、君は驚いてラオシャンロン戦に、落ち着いて望めなくなっていたのではないか?」
それ以前に、キャップを被っていて見えなかったんだがな。と、続ける。
う・・・。反論できずに口ごもってしまう。それを見た紅が、慌ててフォローに入る。
「ま、待っておにいちゃん。レウスくんは、お馬鹿さんだから、そ、そういう事に気付かなかったんだよ。うん」
グサッ。っと、本当に音が出るんじゃないかと思うぐらいに、胸に突き刺さってくる言葉だった。
「こ、紅。それ・・・フォローになってないんだけど・・・」
突き刺されたかの如く痛みを覚える胸を押さえながら、口を最小限に動かして喋る。
「あ、ご、ゴメン・・・と、お、おにいちゃん、さっきのは嘘でね。じ、実はね・・・」
紅が慌てて訂正に入る。が、他に何も考えていなかったようで、先程の俺のように口ごもる。
「実は?」
ジョーカーが追い打ちをかける。すると紅は顔を曇らせた。が、その3秒後には、パアァっと、明るく顔を煌めかせる。
「実はね、レウスくんはね、ドジで、うっかり屋さんで、おっちょこちょいなんだよ。だからね、そんなことにも気付かなかったんだよ~」
傷口にハバネロ塗られたときって、こんな感じの痛みなんだろうな・・・・
「こ、紅・・・も、もう・・・いいよ・・・」
一人ぐったりとしていると、紅がなだめるかのように優しく話しかけてくる。
「ご、ごめんね。レウスくん・・・」
大丈夫、きっと、紅はド天然なだけなんだから、きっと。・・・じゃないと、いろいろと困る。
「紅・・・お前は、そうやって周りを潰していっていたのか・・・」
ジョーカーがため息混じりに呟く。
「え?え?ど、どうしておにいちゃんまで?」
慌ててる紅を横目にジョーカーは、先程出した茶を軽く啜ると、表情を変えた。
「取り敢えず、今日尋ねたのには2つの理由がある。一つは、俺が無事に生きているという報告だ。そして、もう1つは・・・」
茶を濁しながら、話す。しかし、今の俺にとっては、別に焦らせたり怒らせたりはしない。
どちらかと言えば、不安を抱かせているかのようだった。しかし―――
「・・・もう1つは、レウス。お前の遺伝子についてだ」
――――しかし、この言葉には、俺を恐怖のどん底に陥れるのには十分なものだった。
「ど・・・どういう意味ですか?」
だが、俺は至って落ち着いていた。それは、これから起きることに備えるかのように俺を守っていた。
「意味、か・・・簡単に言おう。君のその炎は、リオレウスの炎では・・・いや、この先はやめておこう」
歯切れが悪くさせる。それに、反応せざるをえないを俺を制し、話を続ける。
「とりあえず、君に・・・いや、君達に紹介したい奴らがいる。この家に入れてもいいか?」
「いいですけど・・・」
今、俺の炎の事を聞いても何も答えてくれない。そう判断した俺はぎこちなくだが、頷く。
「ありがたい。では」
そういうと、柏手を行った。刹那、室内に二つの影が現れる。しかし、その影もすぐに形を持ってその姿を現す。
その二人は、ただ、そこに佇むだけで、特に何かをしようとするわけではなかった。
代わりに、ジョーカーが話を始める。
「紅、お前は分かってるとは思う。だが、レウスもいることだ、改めて挨拶をさせてもらう。俺の名前、本名はナルク。そして、こいつ等は、ユールとルイス。
そして、これからお前たち二人に入ってもらいたいのは、現在100人程度の遺伝子持ちによって、結成された騎士団。
その名も『創刻の騎士団』にな」
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