ゼロ 2012-08-12 16:50:55 |
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竜の遺伝子
第18話
前レス>19191
真実
「これが、俺の遺伝子だ」
そう突然に言われた。遺伝子・・・つまり、彼、ジョーカーは生まれた時よりモンスターの血を引いている。もしくは成長過程でなにかしらの影響によりその血を埋めこまれたことになる。
さらに、今彼がこの世界に映しだしているモンスター―――ナルガクルガは、どこか消えかかっている。それが表している理由は二つ考えられた。
一つはジョーカーの能力〔ちから〕が弱いから。二つ目は、ナルガクルガが透明になれる。その二択だった。
少なくとも前者ではないと考える。なぜなら、先の戦いでラオシャンロンに踏まれたのにもかかわらず今こうして健康的に赴いているということから、相当な力をもっているからとしか、思えないからだ。しかし、そうなると、透明になれるナルガクルガ。つまりはその希少種の血を引いていることになる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
普通に考えたら有りえないことに対し、答が何も見つからず、時間を要求する。ジョーカーは、まるで俺の心を悟ったかのように、喋りだす。
「・・・そうか、俺のこの遺伝子について考えるんだな?」
そういわれ、俺はあまりにも鋭い切り返しをされ、若干だが後ずさりをしてしまった。
流石、というべきか。ジョーカーは俺の後ずさりを見落としたりはせず、続ける。
「フッ・・・俺の遺伝子はナルガクルガ希少種の物だ。だから、今もこいつは透けて見える」
ジョーカーはそう言いながら自分の後ろにいる、透けているナルガクルガを指差す。
「加えて言えば、ナルガクルガの遺伝子を持っているから、俺自身が透明になったりも可能だ」
その言葉を聞いた途端、背中をつめたくなっている汗が伝った。
「どうした、そんなに、驚きか?」
そう言いながら、ジョーカーは右手を天高くかざす。その行動がなんのためか知っている。
遺伝子を持っている人ならだれでもこの行動を知っている。手を天高くかざすということは、いまから、なにかしらの技を行うためだ。((戦闘中に手を挙げない理由はまた後日
「な、何する気だよ・・・ッ」
不意に語気が強まる。知らずの内の右手を固く握り占めていた。拳の中は汗でぬれているのが、良くわかる。そう、考えている中、俺はあることに気付く。
つい先ほどまで目の前にいたはずのジョーカーが消えていたからだ。
「どうした・・・俺は、ここにいるぞ」
ジョーカーの声だ。後ろから響いてくるその声に反応し反射的に振り向く。しかし、後ろにはだれもいない。すると、今度は―――
「フッ・・・こっちだぞ」
―――先程まで、前を向いていた方から聞こえる。
慌てて、そちらを向く。するとそこには先程まで、かぶっていた帽子を取っているジョーカーの姿があった。
「どうだ?これが俺の能力〔のうりょく〕だ」
確かに、それも凄い。だが今は、それ以上に気になることがあった。
誰かに似ている顔の輪郭。髪は丈夫そうで艶のある黒髪。目は透き通る白。
この顔を自分の知っている人物と照らし合わせる。
すると、頭に浮かんでくるのは、一人。
そう、その人物は―――紅。俺と同じ家に暮らし、先程も謎の行動をとってきた彼女。
だが、彼女とも、一か所だけ、違う部分がある。
紅の目の色は黒だったはず。
「どうした?顔色が悪いぞ?」
ジョーカーが話しかけてくる。―――俺、どんだけ顔白くなってんだろ・・・
不意にそんなことを言われ、戸惑っていると家の中から誰かが走ってくる音がした。
その足音の人物が誰かはすぐに分かった。だが、そいつにひたすら一つの事を願う。
頼むから、服を着て出てきてくれ!!!
と。
そう考えるのもつかの間。ドアが開かれる。
そこに現れたのは、今の今まで見ていた、黒く艶のある髪が風を浴びて靡かせていた紅。
まぁね、俺の予想通りになんなくてよかったよ。フラグ回収されなくて、ホント良かった・・・
でも、でもさ。なんで、タオル一枚だけ羽織って出てくるかなぁ!!!
それが、俺の人生を狂わせる真実だった。
「――――いちゃん?」
そんな俺に届いた声は紅の物だったが、ハッキリとは、聞こえなかった。
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