モフィ 2012-08-07 19:20:58 |
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「また会おうね」
そんな言葉を聞いたあの日。
…それが君の声を聞いた最後だった。
「亜里沙?何ボーっとしてんの?」
「えっ?あ、ごめんごめん…」
私は亜里沙。こちらは彼氏の三浦君。
「ほらっ、早く帰ろうよ。」
手を繋ぎ帰路を歩く。こんな何気ない日常が私は好き。
「ふふ…」
「何笑ってんの亜里沙。さすがに変だよ。」
「ごめんねっ!だって楽しくてさ!」
「変なの…」
笑いながら答える三浦君。
こんな日常、続けばいいと思っていた。何もない、ごく普通な生活が。
夜、今日は夏祭りらしい。
…友達の写メが殺到している。しかも彼氏と撮っている。
実は私は行っていない。三浦君は塾で忙しいみたいなので今年は我慢…
「はぁ…つまんないなぁ…」
ピンポーン…
「亜里沙!お客さんよ!」
「はいは~い。今行きます!」
ドアを開け、顔を確認…すると…
「何してんの亜里沙、行こうよ」
「行くって?まさか三浦君の塾に?」
「バカ。夏祭りに決まってるだろ…」
…一瞬ビックリした。もしかして…
「時間割いて来てくれたの?」
「当たり前だろ。今頃泣いてるんじゃないかって思ってな」
…そうだった。三浦君は…私のために来てくれた。私は思わず抱きついてしまった。
「おっ…おい、早く行くぞ!」
「うん…!」
照れてる三浦君をもう少し見ていたいけど、夏祭りが先かな…!
だが楽しみにしてる二人に衝撃が走るのをまだ知らない…
ここまででーす!
「うわ…すごい人ごみ」
「手つなぐか」
さりげなく繋がれた手。こういうさりげないことが好き…
その後、友達と会ったり…
花火見ていったり…
屋台でいろいろ買ったり…
とにかく満載な一日だった。
「さ、そろそろ帰るか!」
「そうだね!人少なそうだよこっち!こっちから帰ろう!」
私はとっさに裏路地の道を選んだ。私は三浦君の手をひき走っていく。
「ぬけたよ!さ、早く帰ろ……」
振り返った瞬間、目の前には大型トラックが。
やばい、私轢かれる…!!
「亜里沙!!」
強く押された私の体。一瞬何がおきたのか全くわからなかった。
「…危ない……三浦君、大丈夫……」
三浦くんに声をかけたときはもう遅かった。
「…あ、あり……さ……また…会おう…ね…」
「なんていってるのよ…聞こえないよ…!」
三浦君の肩を揺さぶる私。かろうじて息してる…!
トラックの運転手がようやく出てきて、すぐに救急車を呼んでくれた。
だが……………三浦君は助からなかった。
次の日。トラックの運転手は逮捕されたというニュースが流れた。
そんなニュースより、大切にしていた人を失った傷は大きかった。
「……最後の言葉、何よ…」
そんなに優しい言葉かけられたら泣きたくても泣けなかった。
私はお葬式……行けなかった。
次の日。三浦君が事故死した事は、全校集会で告げられた。
私はその話を聞き、気分を悪くし倒れてしまった。
もう……あの日のことは忘れたい。思い出したくない。
頭の中で聞こえる…三浦君の声。
……いつまでも私の気持ちに引っかかってる。
なんだろう…このモヤモヤは……
…私も**ばいいのかな……
…どうしよ…
……私は覚悟を決めた。
「………亜里沙…?」
私は保健室にあったピンセットなどを使い、体を傷だらけにし、体力を消耗させた。
そして…コットンを飲み込み、息できないようにした。
そんな私は今、保健室のベットの上で死んでいた。
あまり苦しまなかった。
三浦君のもとに行きたかった。
遺書も書いた。
もう……することはない。
遺書にはこう書いた。
「…みんな、私は旅立つね。
また会える、その日まで……またね。」
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