マタタビ 2012-08-07 00:21:14 |
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第1世代生命・・・神々の世界・・・
今から遠く離れた昔・・・まだ、神々でさえ人類など生まれると想像もできなかった頃・・・
神々が平穏に暮らしていたある日・・・突如、神々に異変が起こった・・・
死と破壊を司る神『オーディン』が数千極人の第2世代生命『神族』を連れて、
別の次元を切り開き、そこに自らの世界を作り上げたのだ・・・
神々はこれに対し、反感を持ち、後の魔界史上の戦記を大きく揺るがした・・・
しかし、オーディン・・・後の『大魔神王サタン』の親族を種に作り上げた第3世代生命・・・『魔族』・・・
これらには魔力という生命力を創造し、凡ゆる『現象』を力として魔法を魔族たちに与え、
自身の体をも魔力によって変異させた・・・
これらには神々を手を焼き・・・仕舞いには『大魔神王サタン』の作り上げた魔法兵器・・・
『魔神』や『サタン』自身との衝突により完全に消滅した・・・
これは・・・この『ゲヘナ』で・・・王を目指す・・・一人の男の物語・・・
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全次元の全てを手に入れた男・・・『魔神王ルシファー』・・・
彼が全次元に向けて言った一言は・・・この世の魔族を大きく駆り立てた・・・
『お前らァ!!w何が欲しィ??・・・金かァ??・・・権力かァ!?w・・・力かァ?!w・・・
そんなもんだったら幾らでもくれてやる・・・
だがァ・・・俺ァ・・・満足出来ねぇなァ・・・
そんなもんの為に誰かに縛られんのかァ??てめぇら・・・世界を求めろォォォォォォォォ!!w』
エピローグ:夢
『ん・・・』
・・・きろォ・・・ォきろよォ・・・
『ルシィ、起きろってェのw』
『ん・・・ふァァ・・・』
聞き馴れた声が・・・重い瞼を叩く・・・
鉄製の車輪と線路が擦れる音が向こうに見える山に木霊しているようだった。
『どうしたんだァ??お前らしくもないw・・・
今朝も寝坊してたし・・・大丈夫かァ??w・・・』
『煩い・・・ってか・・・顔近い・・・;』
『うがっ・・・?!何ふるんら・・・!?;』
むさい顔を押しのけて、席に押し戻す・・・
銀色の髪が昼の日の光に反射して、寝起きの俺には普段増しに眩しく感じた・・・。
この男、『アスモデウス=ノーエミネルヴァ』・・・
食欲旺盛で何でも食べる。俺の幼馴染であり、俺と唯一の同い年。
正直、こんな奴が幼馴染とは・・・我ながらどうなんだろう・・・
『あんたら・・・煩い・・・。』
前の席に座っているドレスローブの紺碧色の長髪の女が言い、何か手が光った・・・
『・・・?!・・・ゥっ・・・』
『ぁっ!!コラ!!ヴァル!!太陽の幻影はルシィにはダメだって・・・;』
『煩いね・・・先に煩くしたのはそっちでしょ??・・・自業自得・・・w』
この女、『ヴァルモス=ディアマンテ』・・・
幻影の魔法を使う魔族。自称魔性の女らしいが詳細は不明。旅の仲間。
『だからってなァ・・・;』
『煩いねぇ・・・』
『はぁ・・・全くどうしてこいつは・・・ん・・・??何か臭い・・・様な・・・??;』
『今日のおべんとはぁ~・・・何だ!!☆』
ヴァルモスの隣で、短髪の少女がビニールを漁っている。
『だぁぁぁぁ!?お前がそれはぁぁぁぁ!!・・・』
アスモデウス焦って止めると、少女は無邪気な微笑を浮かべた。
だが、アスモデウスは石像と化したかの如く硬直していた。
それもそのはずだ・・・弁当が丸々一つ腐海になってしまっていたのだから・・・。
『せ、折角駅で買った弁当がぁぁ・・・』
アスモデウスが情けない声をあげると、ヴァルモスが本から目を動かさずに言った。
『いいじゃない・・・弁当の一つや二つw・・・』
『・・・?!お前正気か?!弁当がなくなったんだぞ!!;』
『煩い、むさい、寄るな、それに・・・あんた・・・駅で弁当50個位頼んでたでしょ!!;』
『煩い!!こっちはこれだけが楽しみで・・・ぅぅ~・・・』
等々泣き始めてしまった・・・こうなるとこいつは、非常に面倒臭い。
食べ物の恨みは本当に恐ろしい・・・と、此奴を見ていると腐る程実感出来る・・・
『えへへ~・・・;あっちゃん・・・ごめんね??;・・・』
紹介が遅れたが、この少女『パイモン=マドリド』・・・
腐食の魔法を使う魔族。どんなに難易なものでも触れれば確実に・・・
触れなくとも周囲は腐食していく。
『おのれぇ・・・はむ・・・もぐもぐ・・・』
言い忘れたが、
アスモデウスは本当に『何でも』食べられる・・・ちょっと変わった魔法使いだ。
『ん・・・??起きたか??wルシィw』
『あァwそろそろ弁当でも食うかww』
『ぅぅ~・・・』
泣くアスモデウスと腐臭で大体の検討は着いた。
『あァ~w泣くなってw;俺の弁当半分やるよォw;;』
『うぉ!!マジか・・・!!wありがとう親友!!w』
単純な奴・・・。
だが、俺自身も割と小食なので別に構わなかった・・・。
『あんた・・・本当に小食ねぇ~w・・・』
『大丈夫だよォw足りてんだからァww』
『はぁ・・・いつ倒れても知らないよ??w・・・;』
『次は~・・・ニヴルヘイム~・・・ニヴルヘイム~・・・
お降りの際は、お忘れ物御座いません様ご注意下さい・・・』
車掌の声と車輪の鈍い音が重なってよくわからなかった・・・が、
確かに・・・昔、俺が嗅いだ匂いと全く同じ匂いが嗅覚をつついた。
来たんだ・・・都市ニヴルヘイムに・・・
親父の言葉が胸を打つ毎日・・・俺はずっとこの街を目指していた・・・
どうだ・・・来るか??坊主・・・
今でも・・・残っている・・・あの情景・・・俺は・・・まだ行けなかった・・・
そうか・・・じゃぁ、お前は来れるようになったら来いw・・・あばよ・・・wルシフェルw・・・
そう言って・・・親父は姿を消した・・・
あれから・・・2千万極年・・・この時を・・・ずっと待ち詫びていた・・・
『さて・・・』
『御馳走さん・・・w』
『ほぇ??w・・・』
『うしィ・・・行くかァw・・・』
俺は・・・親父に・・・この世の全てを統べる男に・・・
見せてやるんだ・・・俺が・・・あの人の息子だって所を・・・!!・・・
第一話:仲魔
・・・駅の中に生温い風が、臭い匂いと人混みの雑音を乗せて、
列車を降りた俺たちを迎え入れた・・・。
過去にあんなことがあったとは思えないほど、街は賑わっているようだ・・・
街の賑わう音と、駅の風が乗せて来た雑音が俺の耳を遮った・・・
しかし・・・
「さて・・・」
メモを見見直し、銀髪を掻きながら一人の少年が眉を寄せている。
我が幼馴染、アスモデウス=ノーエミネルヴァ。
「取り敢えず・・・どっかで飯でも・・・」
「って、あんたはさっきも食べたでしょ!!;」
そう言って、紺碧色の長髪を靡かせ一人の女性が我が幼馴染の後頭部を殴りつけた。
「いってぇぇ!!・・・」
涙目で叫んではいるが、基本いつものことなのでスルー。
二人の会話を無視して、俺は眠い目を擦った。
列車内の睡魔は未だに消えず、俺の脳内を駆けずり回っていた・・・
「あぁ??大丈夫か??ルシィw」
「んァ~・・・ちょっと眠ィ・・・」
「大丈夫か??w・・・カバン・・・持ってやろうか??w」
「い、いい!!;;」
此奴に渡してしまっては、俺の携行品が全て食われてしまう・・・;。
「取り敢えず、行こう・・・。向こうの確認もしたい・・・w」
「そうだなァw・・・取り敢えず・・・行くかァw・・・って、何やってんだァ??wさっきからァ??w」
「ほぇ??wべ、別になんでもないよ??・・・;;」
紅い短髪を揺らして、童顔の少女が難しく可愛いらしい顔でこちらを振り向いた。
馴染み深いその笑顔には、どこか焦りが混ざっているようで何かを隠している事は、
最初に提案を出した、紺碧の髪色の女性はヴァルモス=ディアマンテ。
俺と歳は大して変わらないが、俺よりも年上だ・・・だから、
俺から見れば、とても少女とは言えない・・・
なーんてこと言ったらキレることは承知の上なんで、黙っておく。
そして、俺の前で作り笑いをして、明らかに何かを隠していること丸出しで、
当の本人は隠しているつもりであろう状態の、この幼げな赤毛の少女・・・
パイモン=マドリド・・・。
そして俺・・・ルシフェル=N=ゴート・・・
俺たちは、この表面上幸せそうで裏に大量の問題や謀略が渦巻いている・・・らしい街。
この街、ニヴルヘイムは過去魔神王の庭と言われた場所だ。
俺たちはまず、魔神王に近づく旅の初めに、この街に拠点を置くことにした。
「パイモン・・・別にさっきの気にしてないからw;;」
「で、でも・・・」
「いいってェのォw・・・」
先程の弁当の事を気にしているようで、何かを考えていたようだ。
俺は本当に小食なので別に構わなかった・・・。
「ほら、あんたら行くよ・・・」
「うィ・・・w」
「あぃよ・・・w」
「ほいさっw」
ここで与太話をしていても仕方がないので、取り敢えず一番冷静な案を飲んだ。
暫く歩くこと数10分、一軒の巨大な豪邸に着いた。
「ここかァ??購入したってのはァ??w」
「あぁ・・・知り合いに少し安めに譲って貰ったw無論、自己管理も込みだがなw」
「そうかァ・・・wお前の人脈には驚かされるぜィ・・・wふァァ・・・」
「惚けるなw・・・どうせ裏でお前が糸引いたんだろ??w」
「さァ・・・知らんなァw・・・」
と、向こうの会話が気になって耳を傾ける。
「いいか??お前は、ルシィのいないところでは食料には触るな??解った??w」
「はぁ~い///」
「本当にわかってんだか・・・;;」
笑いが込み上げる腹を抱え、ヴァルが涙目になっている。
「さて・・・取り敢えず・・・入るかw」
「そうだなァw・・・」
全員連なって部屋に入る・・・。
後ろで二人がいつもと同じやり取りをしているが、これも平和である証拠なのだろう。
門の鍵を開け、部屋に入って俺たちは息を飲んだ・・・。
「っ・・・」
「これは・・・」
「なんとも・・・」
「すっごーい!!w大豪邸だね~!!w//」
大きな扉の先に広がったのは、中央の広間であろう数百畳の巨大な空間だった。
奥に向かって真ん中を貫き、奥で二つに割る紅い絨毯。
奥で怪しく光る黒い魔導シャンデリア。どう考えても、俺たちが住まうには大きすぎ、
尚且つ、俺たちが購入するには高貴すぎる住まいだったのだ・・・。
確かに安くして頂く契約はした記憶があるが、ここまでの物を要求した記憶は無いし、
安くなったとして、俺達に売るはずもなく、第一俺達が買える様な値段になるわけがないのだ。
しかし・・・
「うわぁぁぁ・・・あははは~・・・♪あは~♪」
この走り回ってヴァルが何も言わない情景を見ると、恐らく本当なのだろう。
本当だとして契約相手は誰なのだろうか・・・俺は知り合いの人脈を宛にしてここを買い取ったが、
少なくとも俺の居た修道院よりは安いだろう・・・それにしてもこの違いは大き過ぎる。
修道院はこの建物よりも遥かに小さく老いているはず・・・。
「・・・;」
「ま、いい所手に入ったみたいだなw」
「あ、あァ・・・取り敢えず、部屋割りをしよう。荷物が重ェw;」
「そうだなw・・・」
「はいは~い!!w僕、もう大人だから一人部屋がいいで~す!!w」
「却下だ。お前は一人でいると建物が崩落する。パイモンはルシィと同室な;」
「解ったァ・・・w」
「え~・・・むぅ・・・」
態とらしく頬を膨らますが、撫でて宥める。
何でも、俺の付近に居れば、腐蝕が止まり逆に清潔になるんだそうだ。
「えへぇ~・・・////」
そして、基本なでると弛れる。
「んじゃ、私達は一人ずつでいいなw」
「解ったw」
こうして荷物を置き、各自必要なものを買い揃えることになり、
玄関を出て7時を目安に解散した・・・。
「ようw嬢ちゃんw」
「ほぇっ??・・・あ、あの・・・」
「ハハ!!きゃ~わいい~ww」
「俺等と一緒に遊びに行かな~い??w」
ガラの悪い三人の魔族が・・・少女の周りに並び視界を遮る。
恐らくこの街の下級の無法魔族であろう。
「いいじゃんかよ~w!!」
「暗くなって来ちゃったな~・・・」
赤毛の少女は・・・小走りで帰っている途中・・・先の見えない暗闇に・・・道を違えていた・・・
「ぅ~・・・ここ、どこだろ~・・・??・・・」
少女は目の上に揺れる涙を浮かべ、彷徨う・・・
少女の上の魔導街灯は、本来道を照らすものだが・・・今は只々不気味なだけであった・・・
と、男が無理矢理腕を引っ張る・・・。
「やっ!!止めて下さい!!・・・」
少女は腕を振り解き、男の頬を張った。
「ってぇな・・・このクズ虫がぁ!!・・・
此奴・・・女だからってもう容赦しねぇ・・・w取り押さえろっ!!」
「っや!!止めて下さい!!・・・」
男達は少女を取り押さえ、中央の短髪の男が長い刃物を持って少女の前髪を引っ張り上げた。
しかし、取り押さえた一人が逆に怯え始めた・・・
「ぜ、ゼイルさんもういいんじゃ・・・;」
「煩ぇ!!・・・」
ゼイルと呼ばれた中央の男は、仲間と思われる魔族の顔を持っていた刃物で突き刺した。
「ぅ?!うぁぁぁぁ!?!!?・・・」
男は甲高い叫び声を上げた。中央の男はそれを無視し、再び少女に刃物を向ける。
「さぁて・・・口が広がるか??w耳が削げるか??wwそれとも、目玉が潰れるかな??w
ヒャハハハハハハハハハハハ!!wwwww」
「(こ、この人・・・本当に悪魔っ・・・!?・・・)」
怯える少女を相手に高笑いする男・・・。
少女は声にならない叫びで助けを求める・・・。
と、暗い闇の向こうに影が一つ・・・見えないようで揺れるその影は・・・
「遅いと思って来てみれば・・・w」
「ビンゴか・・・w」
「あァ・・・夕飯が冷めねェ内に・・・帰ろうぜェw・・・」
━━━━━━━━魔族の神の王━━━━━━━━
「お前ェ・・・」
「あァ??w・・・」
「俺の仲魔だァ・・・返して貰おうかァ・・・w」
「ヒャハハハハハハ!!何を言ってんだ!?wてめぇは!!黙ってくたばれぇ!!w」
「死なねェ・・・」
「あぁ!?wそもそも誰なんだてめぇはよォ!!」
男が長い刃物を少年に向かって振りかざした。
「俺ァ・・・魔神王になる男だァ!!・・・」
刹那・・・。
突如、男が碧く燃えがったのだ・・・。
「うがぁぁぁぁぁ!!・・・・・・熱ぃ!!熱ぃぃ!!」
「悪いなァ・・・こいつァ・・・俺の仲間だァ・・・返して貰うぜィ??・・・」
「クッソ━━━━!!覚えてやがれ!!」
男は全力で炎の灯ったまま走り去って行った・・・
「ふゥ・・・バカ野郎がァw・・・」
「ぅ・・・ぅぅ・・・」
少女は、先程の冷たい涙とは違う熱の篭った雫を目の上に浮かべた・・・。
「うわぁぁぁぁぁん!!・・・ぅぅ・・・グスッ・・・こ、怖かったよぉ・・・」
「よしよし・・・泣くなァw・・・家に帰ろォ??なァ・・・??w」
「ぅ・・・ぅん!!////」
「さぁて・・・腹減ったし帰るかw・・・」
「あんたはいつもそれじゃない・・・;w」
少年たちは、楽しげな笑い声と共に明かりの方へと消えて行った・・・
この事件が運命とは知らずに・・・
少年少女達が去ったあと・・・空中に不気味な影が浮く・・・
椅子に座っているのだろうか??・・・その椅子さえも浮いていて影だけではよくわからない。
「やってくれますねぇw・・・少しは興味が湧きました・・・w」
少年は・・・何をしたのか・・・。少女は・・・何を思うのか・・・。
そして、これは本当に偶然なのだろうか・・・。
彼らに、これらを知る術はない・・・。
だが・・・一つだけ断定出来ることは・・・彼らは・・・『仲魔』だ。
素敵な感想有難うございますw
後、僕に厨二以外は書けないのでご了承頂ければ幸いかとw
これに関しては結構長期戦なので、時間が経ったら
第二話も投稿するつもりで御座いますwm(_ _)m
こんなつもりじゃ無かった・・・
過ぎたことを引き摺っても仕方ないのは解ってる・・・
でも・・・頭では理解していても・・・胸の奥底ではよく解っていない・・・
優しげに降り注ぐ雨も・・・今は少年を打ちのめしているかの様で・・・
重い体は・・・まるで・・・逃げられないことを示すかの様に・・・
俺の意思には従わなかった・・・
目の前の光景は信じられなくて・・・でも・・・逃げられない現実で・・・
後悔はしていても・・・それを・・・信じたくなくて・・・
少年は・・・最後の涙を流す・・・。
第二話:マ族
「っは!!・・・はァ・・・はァ・・・なんだァ・・・夢かァ・・・」
「るーちゃん、大丈夫??////」
「あ、あァ・・・」
「んじゃ、僕先に下行ってるねw////」
どうやら、昨晩は早々に眠りについてしまった様だ・・・。
いつもと違う天井を見上げて、昨晩の事を思い出す・・・。
自分でも、正直、理解出来てはいなかった・・・
只、後ろから誰かが支えてくれた気がして・・・なんとなく大丈夫な気がした・・・。
昨晩の無法魔族はどう考えてもおかしかった・・・そして、あの碧い炎・・・
全てが幻の様で・・・でも、全ては現実で・・・そういう所は昔も今も変わらない・・・か。
と・・・思いつつ起き上がり、天井から窓際に目を移した・・・。
朝日が燦々と照りつけるが、俺には嬉しくもなんともなく、眩しくて目を薄くした。
「よしっwここも終わりっ!!w」
窓の外から、完全に良からぬ声がして、窓の外を見た。
「しまったァw・・・;・・・」
そう、先程の赤毛の少女、パイモン=マドリド。
彼女を一人にすると、必然的に周囲の物が・・・
「俺の朝飯ぃぃぃぃ!!!!」
腐蝕する。
これは、意志的な魔法ではなく、自然的に出るものだと当人は言っている。
下はいつもの事として、窓の外を見る・・・。
庭には腐臭が蔓延し、それが二階まで立ち上って部屋に入って来た・・・。
そして、本来庭であったであろう場所は、キノコやカビや菌類の腐敗物質が
所狭しと敷き詰められている・・・。
俺は早足で階段を降りて、庭に出た。
「パイモン!!・・・パイモォン!!・・・」
「はぁ~いっ!!w」
菌類の固まった壁から一人の少女が顔を出した。
恐らく花などの水やりでもしていたのだろう。
いや、本人はそのつもりだったのかも知れないと言ったほうが正しいだろう。
「こっちに来いィw朝ご飯だァw;」
「いえっさぁ!!w」
そう言って近づいてきた・・・。
そして、近づくにつれ菌類は消え、俺の前まで来ると腐臭諸共完全に無くなった。
「助かったぁ!!w俺の飯ぃ!!w」
無論あちらの方も。
これはパイモンの腐蝕と同じで無条件で出る。
気づけば出来る様になっていた・・・。
しかし、修道院では問題ばかり起こしていた俺は、神父からも避けられていた。
しかし、昔から無法魔族や不良などには何故か普通の人よりも絡まれ安かった。
それが、偶然なのか必然なのか・・・そんなことはどうでもよかった・・・。
只、死にたくなかった・・・だから、戦った・・・
悔しかった・・・戦ってしまう自分を抑えられないことが・・・。
と、過去を振り返っていると、朝食が運ばれてきた。
「ほら、あんたらw出来たよw」
「ん・・・ありがとなァw・・・頂きます・・・」
「頂きま~す!!////」
「はぐっ・・・!!んぐ・・・むしゃむしゃ・・・」
「・・・;」
「召し上がれw・・・;」
食事を取りつつ皆で約一名を見る。
自分たちの10倍以上の量を自分たちの10倍の速度で食べているのだ。
一般的な魔族では考えられないことだが、幼馴染の俺は特に違和感を持たなかった。
魔族にも色々な種族がいて、魔獣の血を引くハーフなども多く存在する。
「ご馳走様w・・・」
それでもいつも一番先に席を経つのはアスモデウスだ・・・。
その後、俺達は食事を済ませた。
途中でアスモデウスが「食わないならくれ!!」と言ってきたので、
俺はOKを出したが、何やらヴァルは不服そうな顔でこちらを見ていた。
その後、俺達は食事を終えて居間でこれから今日どうするかを話し合い始めた。
「ん~・・・魔導皇貴族でさえ簡単には会えないのにどうするんだ??w;」
「取り敢えずはァ・・・魔法評議会『グリゴリ』に行くw」
「だが、あそこに行って何の得が??w」
「なんでなんで~??w////」
「あいつらは国内の魔法ほ全体的に管理している・・・皇族の奴らだって奴らの管理下だろォ・・・」
「「あぁ~w!!」」
「成る程なw」
どうやら全員に納得してもらえた様なので、今日はグリゴリの支部に行くことになった。
しかし、昨日の今日なので無理もないんだろうか、あの値段にこの屋敷は
いくらなんでも合わないと思い、未だに落ち着かない。
全員、必要携行品を各自部屋で用意して、玄関を出た・・・。
と、鍵を締め終わって振り返ると、一話の白い鳥が飛んできた。
よくよく見ると、一通の手紙を加えていて、旋回しながらこちらに飛んできた。
「な、なんだァ??w」
「ん??・・・」
「どうした??w」
「ほぇ??////」
「ディアー・・・ルシフェル・・・お前当てじゃないか??・・・」
ヴァルが鳥が運んできた手紙を俺に回した。
「何が書いてあったの~??////」
「あ、あァ・・・w;」
俺は手紙を書いてあるその儘に読み上げた。
「Deer Lucifer
皆様、お元気でしょうか??
アースガルズでの噂を聞きつけ早急に連絡させて頂きました。
その件も御座いまして、その館も極端な破格で提供させて頂きました。
その見返りというわけでは御座いませんが、
一度、投函に来ては頂けないでしょうか??
マスターがお会いしたいそうなのです。
お時間ご都合の調整が付けて頂けるのであれば、
お考えになって頂きたいです。
ギルド:ニルヴァーナ 」
「に、ニルヴァーナだと・・・??・・・」
「なんだァ??知ってんのかァ??w・・・」
「国家的に働く魔族が最も多いギルド・・・称号授与の魔族も多数所属する最高峰のギルド・・・」
「はぁ・・・そうなのかw・・・そんじゃぁどうするかw・・・」
「一日の計画変更ォw・・・ギルド・・・ニルヴァーナに向かう・・・」
「了解w・・・」
「へいへい・・・ww」
「りょーかーい!!w////」
俺達は早速、必要な物を持ってギルドへと向かった・・・。
しかし、これで朝のモヤモヤした疑念も解けた。
国家都市ニヴルヘイムが誇る最高峰のギルドが仲介役を引き受けたのだ。
どんな状況下にあっても納得がいく。
しかし、見返り等ないとあって安心したが、なら何故俺達の様な下級魔族が
そんな最高峰のギルドに呼んで貰えたのか、少し疑念が渦を巻いた。
そして、数十分後・・・
「ついたか・・・」
「ついたなァ・・・」
「着いた・・・w」
「でっか~い!!w////」
そう、俺達が着いた先には、真ん中に聳える建造物から、更に左右に伸びる巨大な紅い屋根。
真ん中の屋根の少し下の壁には緑の旗だろうか??・・・
兎に角、旗の様な物が垂れていて、旗の中心にはギルドのマークであろう紋章が刺繍してある。
「と、取り敢えず、中に入ろォ・・・;w」
震える手を扉に掛け全員で頷き合い扉を押した・・・。
扉の奥に広がったのは、大きな集会所・・・いや、この大きさは集会所どころの大きさではない。
数百人・・・いや、数千人は優に超えているだろう。
その内、入口付近の数人が不思議そうにこちらを見ている。
俺達が気まずそうにしていると、
奥から耳の長い顎に髭を生やしニヤついた表情の痩せた白いタキシード姿の男が現れた。
「やぁやぁ・・・こんにちわw・・・私はここ・・・
ニルヴァーナのマスターをしています・・・『メフィスト=フェレス』と申しますw・・・」
後方で皆は口を閉ざして固まっていた、普通用事があったとしても、
受付嬢の方から要件を言い渡されるだけで、マスターが出てくるというのは、
ギルド全体に関わるようなことでもない限り、滅多に起こることではないのだ。
それが、この様な最高峰のギルドで起こってしまった。
周囲のギルドメンバー達も、口を閉ざして固まっていた。
すると、マスターと名乗った男は背後のメンバー達に向けて口を開いた・・・。
「皆さんは、気にせず続けて下さ~いw・・・」
その一言で、再びギルドの中はガヤに包まれた。
男は再びこちらを向いて口を開く。
「ギルド・・・ニルヴァーナへようこそ~w・・・
君たちを今日、ここに招かせて頂いたのは、他でもない・・・
君達・・・ニルヴァーナに入りませんかぁ??ww・・・」
「はァっ!?」
「はいっ?!」
「えっ!?」
「ほぇっ?!」
全員が驚愕だった・・・普通、下級魔族の俺たちが、何の審査もなく入れるような場所ではないのだ。
ましてや、ギルドに履歴も審査も必要ないなんてそんなことは基本的に常識外だ。
しかし、これは俺たちにとってまたとないチャンスでもあった。
ここで功績を上げれば、少なくとも魔王位には近づけると思った。
俺達は話し合う期間を与えられたが、迷う間も無く即刻所属することを望んだ。
「それではぁ、お願いしますねぇw・・・
チーム:ルシフェルw・・・」
俺達は登録証を発行してもらい、ここに招待された理由を聞かされた。
なんでも俺が知り合いに行った時に俺の知り合いとこの男が偶々知り合って、
格安の物件が一つ余っているんだがといったところ、
俺たちが丁度欲しがっているところと重なって、
過去の経歴からここで働くことで、ギルドに貢献していただきたい。
無論、その為の処置などは惜しまずやるし、報酬なども普通の倍以上に出るらしい。
俺達は、ここで夢への第一歩を踏み出した・・・。
待っていろ・・・魔神王・・・。
俺達の夢は、ここから始まった・・・。
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