ナルガEX 2012-03-27 18:10:33 |
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今し方軽く完成させてみたので確認をお願いします。
全てを使う必要は無いので、そこら辺はさじ加減で……
・名前 サリー・モリガン サリア・モリガン(双子)
・年齢 17歳
・性別 女性
・容姿
かなり小柄で華奢で足長の北欧系少女。 髪型は緩いウェーブの掛かったセミロングで透き通った銀髪で真珠のような白い艶を持つ。 褐色肌に赤紫の瞳で双子らしく容姿は瓜二つだが、サリーは常に目を瞑っていて、二人とも長い前髪で目が殆ど隠れている。
・服装(感覚を共有しているためペアルックが基本)
戦闘時は身体に薄くぴったりと張り付いた紺と白い会社のロゴが入ったレザー調のインナースーツを着ており軽装。 非戦闘時の描写がある場合は白い長袖のブラウスに紺色のフレア調コルセットスカート。 タイツにヒールの高いストラップシューズ。 (非戦闘時は状況に合わせてご自由に変更してください)
・性格
サリアは機械操作に対する特異な才能を持っているが、精神的にはデリケートであり、それが原因で成績も不安定。 一定以上に感情が高まると涙腺の栓が抜けて泣いてしまう。 双子の妹に当たる彼女は一見するとしっかりしているように見えるが、前述した通り感情の起伏がやや激しく、幼い容姿も相まって子ども扱いされる。 基本的に彼女が武器や機体の操作を担当する。
サリーは異常な体質により鋭敏な情報処理能力を持っており、断続的な能力と魔法での補助を主とするオペレーター。 彼女は気が小さく閉鎖的で単調な口調、相手に対する気遣いが強すぎて言葉に出ないことが多いが、精神的には安定して非常に強力な情報支援を提供してくれる。
二人とも能力によって感覚や意識を共有しているため、言葉を交わす事が非常に少ない。 互いに補い合って常に行動を共にしているので、二人で一人と言えるほどに姉妹の仲は良いが、二人ともに恵まれた環境下で生活しているため天然な我侭。 そして視覚を能力が補っているので視力が悪い、魔術や能力を遮断されると殆ど盲目である。
戦闘技能は何一つ習得しておらず、生身だと戦闘能力は皆無であるため、サイキック能力で全てを補っている。 だが相手にも強い意識が感じ取れるため、攻撃の瞬間に相手に勘付かれることがしばしばある。
・口調/口癖
サリア
参考キャラクター、SAO、アスナ
サリー
参考キャラクター、綾波レイ
・ 武器(機体)
大型パワードスーツ、名称はティターン(機体)
無人兵器群(UAV、UGV、USV、UUVなど)
二人共に携行武器は無い。
・ 武器の特徴
大型パワードスーツ、ティターンとは、高さ2~5メートル程度の人型ロボットであり、逆関節形の脚部を活かした驚異的な跳躍力とキック力、高機動ハイパワーを誇る機動兵器である。が、これは武器や誘導兵器を搭載するためのコアユニットに過ぎず、初期は魔法や能力に対する対策は無く先手必勝の戦術に則り総合的な防御力は無いに等しい。 しかもサリー達の能力によって可能となる遠隔操作能力で小型化したために強力な兵装が搭載できず、物理的攻撃以外であっさり撃破される。 それから戦術を変更していき徐々に大型化して超長距離戦闘と最新兵器を搭載する。 最終的には魔法と能力を強力に行使するため二人が機体に乗り込める5メートルクラス、魔術波動を無力化する装甲と攻撃を手に入れるが、対魔術を意識しすぎたため物理攻撃に対して脆くなっている。 駆動系は人口筋肉なので破損すると燃料となるたんぱく質、白い血を流す。
搭載兵器のバッテリーで動くため熱源が少なく、赤外線暗視装置での視認は非常に難しい。 またブーストやカメラユニットなど未来的なパーツは無く、搭載兵器を操作する事を主眼に置かれているが、パンチやキックなどの原始的な攻撃力が驚異的であり、鉄筋コンクリートの建物でも突き破ったり、10トンダンプを軽く蹴り飛ばせる力と強度を持っている。 初期はそのパワーだけで戦っていたが、徐々に搭載兵器を操作する本来の目的で使われていく。
搭載武器
ティターンが小型である初期は背部にグレネードマシンガンM19を2丁装備しており、両肩後方から砲身が伸びていて、射撃時は前方に展開、構えて連射する。
弾薬の危害範囲は、弾着地点から半径5m以内の人員を殺害、半径15m以内ならば負傷する。直撃ならば約5cmの装甲を貫通でき、歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車に有効な打撃を与えられる。集団で行動する歩兵に対して特に有効である。 40mm擲弾を最大で毎分300-400発の連射速度で発射し、持続連射速度は毎分40発程度の性能である。 最大射距離は2200mだが、有効射程は1600m、銃口のフラッシュハイダーの効果と発射ガスの少なさから、射撃位置の秘匿性に優れている。
中期である中型の場合はメタルストーム銃をアームガンとして基本装備。 36連装の銃身から分速100万発以上の速度で連射できるが射程距離は短い。
両手持ちの武器は30mmガトリング砲のGAU-8。 劣化ウラン弾頭を分速3000発でばら撒くが、単発の貫徹力はロシア旧主力戦車T72の正面装甲を抜く威力を誇り、建物や障害物越しに掃射して全てを薙ぎ払う。 射程距離は1km前後あり、建物を切り裂くように一閃して倒壊させることもできる。
片手持ちはモーターガンスレイと呼ばれる二等辺三角形の形をした銃剣で、20mmの砲弾を秒速2kmという高速で発射する小型レールガンである。 弾頭は魔法系をある程度貫通するサファイヤのようなクリスタルが弾芯とされるAPFSDS方式、二等辺部分は単分子カッターになっていて、物理的に切断できないものが無いが、魔方陣が武器全体に刻まれており、相手の波動に波長を合わせて擦り抜ける共振・貫通系の魔法。 これは脚部に装着されており、収納時はカッターも銃口も変形して収められている。 この機体の切り札といえる性能。
背部装備はより巨大なものを搭載する。 ボフォース57mm砲を右側に、無人兵器群への攻撃指示も可能な照準システムが左側に突き出ており、精度を上げる時は構え動作を取る。 弾種は徹甲弾、曲射用のサーモパリック弾(気化爆発弾)二つを使い、17kmの射程距離を持っている。 砲の部分だけ旋回するので突発的にサリーが使用することもあり、その場合は正面をサリアが手持ちの武器で、サリーが正面以外を背面の武器でカバーする。
最後に二人が搭乗する大型の場合は前後に厚みがあり、搭載する武装が未来的なものになっている。
超大型レールキャノン。 名称はシケリア
射程距離は半径1500kmもあり、秒速20kmで発射される。 弾種は金属水素榴弾(1kt)、反物質弾(100Mt以上)、魔装弾(魔法系を全て貫通)だが、弾頭の威力以上に通過時の衝撃波やプラズマ、放射能や電磁波の威力が計り知れず、200m離れていても放射能汚染や衝撃波の影響を受ける。 EMP効果もあるので、対策されていない電子機器は通過するだけ全て破壊される。
この武器を使うために魔力や能力を操る謎の動力炉を左肩後方に積んでおり、その恩恵で魔力や能力を一切受け付けない。 だが、動力炉に物理的装甲が殆ど無いため、物理攻撃で内部のサファイヤ調のクリスタルを傷付けて動力炉を破壊する事は意外に簡単である。 魔力を持つ波動を吸収し射撃に使用されるため、付近に波動が強力な人間もしくは人数が多い程、その威力、弾速、連射速度は飛躍的に上がる。 その恩恵は敵味方構わず受けているので、戦闘が激しくなればなるほど強くなっていく。
やや右背部に搭載されており、3つに分割されている。 それを展開し腰だめに構えて射撃体勢を取る。 エネルギーを充填する時から周囲に巨大な魔方陣が形成され、砲身の先にいくつもの加速系魔法を展開する。
近距離防衛用に半径20mに有効なマイクロ波を常に発していて、榴弾は全て爆破されるが、徹甲弾を破壊する事はできないため、それに気付かれるまでは鉄壁と認識される。 動力炉が破壊されても通常の砲撃は可能だが、その性能は10分の1程度まで減少する。
専用の六芒星と五芒星の魔方陣より召還する異世界の武器、マグナ・マデル・イーディア。 (形状はMHP3のスラッシュアックスが参考)
シケリアが使えない、または破壊された場合に両手持ちで装備する。 その外見は機械的であり、120mm戦車砲に無理矢理刀身を装備させたその全長は機体の身長を超えており、重厚長大を体現したような巨大剣兼用の大砲である。
専用の使用方法があり、アニマ・グラディウス(魂の剣)と二人して唱える事で光の刀身が巨大化して全てを打ち砕き、アルス・マグナ(大いなる秘法)と唱え撃ち出せば、正面の存在を光と共に消失させることが可能で、この威力は神の使いであるフェイ・オルテウス・ヴェリアでさえまともに喰らうと塵も残らず消し飛ばされる。
巨大な機体を使ってもその重量を制御下に置くことは難しいようで、動きはかなり緩慢になる、が、デメリットに打ち勝つメリットがあるので奥の手として最後まで取ってある必殺の武器である。
無人兵器群は索敵や監視ではなく火力支援タイプで、最終的には近距離レーザー兵器を搭載する。 サリーがバックアップ用として操作しているため、サリアをサポートする目的でトリガーを握っている。
・ 使用可能魔術
サリア
詠唱形式、常用系、浮遊(機体の浮遊移動用)跳躍(機体の出現・武装の切り替え)
その他魔術系、物体移動、それを用いた物理攻撃や弾道制御
サリー
詠唱型式、常用系、跳躍(背部武装の切り替え・無人兵器群の召還)望遠(機体操作時の視覚)通信(他人の通信を傍受可能)
特殊系(開眼時は常時発動)読心(敵や目標の識別)
禁止系(開眼時は常時発動)透視(見る相手に覗かれる感覚が伝わる)
・特殊能力
サリー、サリア共にサイキック(遠隔操作、空間把握、相手の視聴覚操作など)、幽体離脱(遠方偵察・探索・観光)感覚・意識の共有(サリーとサリアの二人にのみ常時有効)魔法系が使え無くなってもサイキックだけで行動可能。
・住居
円形のメガフロート。 名称は神話の海神から取ってポセイドン
半径5kmの巨大移動都市であり、円形の都市部には六芒星の魔方陣が巡らされ、その中心に六角形の中世風宮殿がそびえたっている。 金色の魔方陣は文字通り金属製の道路となっていて、その他は緑豊かな森林地帯となっている。
これは偽装であり、水面下の施設は巨大な要塞となっている。 発電や真水、食料や物資の精製や搬入は完全無人化された無人潜水艦を始めとする無人施設で維持され、二人の意思が無い限り半径20km以内に近付くもの全てに自動防衛。 無人兵器群が空中、水上、水中を常時監視している。
・二人の生い立ち
物心付いた頃には自分達の能力を使いこなす術を“とある人物”から学んでおり、それを使い仕事をするよう教育されそのまま就職、現状は遠隔操作を基本とする傭兵活動で兵器の実働テストを生業としている。
rairasさん
メカニックやべぇwww 大佐クラスwww
設定も申し分ありませんw
ですが、魔術の詠唱ははぶかせて頂くかもしれません。
最近、詠唱式の戦闘に少し疑問を持ちまして……。
「イメージとしてはスピード重視の戦闘を繰り広げるものにしようと思っているのに詠唱ってなんか矛盾してるなー」 みたいにすこし心が揺らいでいますw
まだ、こちらの設定が確定的に決まってないんです………σ(^_^;)
いい加減に決めた方がいいんですけどねwww
返信遅れました、詠唱無しでいけるというのであれば、その方が好都合でです。
設定上、魔法と超能力を駆使して機械を扱うコンセプトなので、最初から詠唱した状態、もしくは詠唱無しの方を前提としてました。 詠唱ではなく掛け声のようにしてしまった方がそれらしいと思っています。
でも、敢えて詠唱や紋章を使う事で戦闘の緩急を作り出せます。 大きな攻撃ほど時間を掛ける…… そう、簡単に言えばかめはめ波や元気玉です。 小攻めと大攻め、戦いには緩急があれば、より速度間や臨場感を出せます。
詠唱や紋章を使えば大きな攻撃力を出せる、そのような使い分けで味に風味を持たせると良いと思います、N氏の小説にある起現力を参考にするといいかもしれませんね。
私としてはナルガさんの小説独特の魔法と科学の区分けや意識は、大切にした方が良いと思います。
ナルガさん、返信が遅くなりました、了解です(^-^)
その辺りは、いずれ出来上がったものをご覧頂きましょう
実はそれほど変更点は出ませんでしたw
それでは、また~
黒魔術よ、永遠に
私、黒木ミキ。中1の女の子。はあ、中学ってマジつまんないー。勉強ばっかだし、テスト多すぎ…。こんなとき、授業抜け出して行くのはやっぱり
「黒魔術ブラックカフェ」
ここは私みたいな勉強嫌いな黒魔術師が黒魔術と魔術師生活をするところ。
ここは天国!
しかし、いつも行くこのカフェはミキを恐怖のどん底につきおとされてしまう?続く
黒魔術よ、永遠に 第2話
5分休みの学校を抜け出して、私は学校近くの古墳の穴に向かった。実はここが私達黒魔術師の集まり場、そう
「黒魔術ブラックカフェ」
私は古墳にむかってささやく。
「黒魔術よ黒魔術。君の心を永遠に」
すると、古墳がギギギと音をたてて開く。この言葉は合言葉。人間がよく言う「開け、ゴマ!」みたいなもの。まあそんな事はおいといて、私は古墳の中に入る。するとそこには自由気ままに過ごしている黒魔術師達がいる。すると見知らぬ男が私に言う。
「やあ、キミーナ」
キミーナ、それは黒魔術ブラックカフェでの私の名前。自分では気に入っているのよ、自分では。私は皆に挨拶をする。すると私はあることに気づいた。それはまず、皆が私の名前を知っているということ。私はまだ自己紹介していないから、皆は知らないはず。なんで皆は知っているのか。次に男が次々にこっちに来て、私の隣に座る。なんか気持ち悪い。
私は疑いながら周りを見渡す。すると隣の男が「ははは。やっと気づいたのか。遅いじゃないか。さあ、僕の世界につれていってあげるよ。」
私は怖くなった。逃げようとしても、男が手をつかんでいて逃げられない。すると壁に紫色のゲートが開く。ゴゴゴゴ…。音をたてて大きくなっていくゲート。私は男に手をつかまれ、引きずられる。ゲートの中に。怖い。怖い。誰か…。もがいているうちにゲートが一瞬にして私を飲み込んだ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ミキはどうなる?続く。
ナルガさんメリークルシミマス…… げふん、メリークリスマス♪
今回は新しく書きあがった話を確認していただきたく、参りました。書置きして置きますので、暇があるときにお返事くださいませ~ それでは、以下のとおりです
=C rimson Blaze=
第八十四話 異界の存在が交錯する時
「異界より来た者の力、興味深い。私自ら…… 抗するに値するか否か、試させて貰う」
クレイズの真の目的である言葉を聞いたジェノスとウルは、彼の声色と雰囲気、そして隣に決定的な言葉を放つウォーダンを擁していることから本気である事を確信、各々の武器を取って戦闘体勢に移ろうとしていた。四人の戦意があふれ出す事で、張り詰めていく戦いの感覚、空気。移り変わっていく場面が、エインにはゆっくりに見えていた。……ただし。
(さっきの一撃を見た感じじゃあ、本気でやって何とか勝負になるかと思ったが……)
伝わってくる感覚に対して、本能的に思考が大幅に加速していたが故に。ただ、この場にある空気に身体が触れているだけで痺れるような感覚に。まだ合わせてもいないが、見るだけで己の心を殺せるのではないかと思えるほど、圧倒的な威圧感を放つクレイズとウォーダンの視線。
(ヤバい…… こいつら、俺らとは地力が決定的に違う……ッ!)
そして、同様の次元に達する圧力を相手に放つジェノスとウルの姿を見て、津波のように戦慄が押し寄せる。居るだけで襲われる清冽な圧力に、エインの身体は思考より早く動いており、今もこの様相を見ないように咄嗟にトールを庇っている。
「トール、お前は茂みに隠れて、今から起こることは全部見たり聴いたりしないようにしろ。……俺でさえ潰れかけてるんだ、お前じゃどうなるか解ったもんじゃない」
「う、うん、わかった」
行動にようやく思考が追いついてきたエインは、トールに対して遠くに避難するように指示を出すが、これは彼にとって賭けであった。エインがトールを庇っていたのは、彼に戦いの心得がないためであり、実力に興味があるというなら捨て置く対象と見なす可能性がある…… そこに賭けたのだ。実際にはない事もないのだが、そこはここでは語らずに置こう。
人質、という線もやはり一度は考えたが、不思議とそれはないという考えがあった。何故確信できたのか、エイン自身にもわからなかったが、実際に彼らは離れていくトールに意識を向ける様子はない。
「さてと、涙と鼻水とガタガタ震える準備は良いか? そこのガキんちょ」
賭けには勝った…… そう思った瞬間に、クレイズの眼がエインの眼と合ってしまう。そして、彼が言葉を紡ぎ始めた瞬間に、“来る”と悟った。その前に対処策をと行動を起こそうとするが……
「させて……」
「たまるかぁっ!」
「甘いわ」
その前に遥かに早く、ジェノスとウルが相手を妨害する為にフォーメーションを組もうとしていた。しかし、同様にウォーダンもまた動きを見せており、動き出した二人の眼前にその巨大な槍を突き立てて雷光を走らせ、閃光で二人の目を奪う!
「チィッ」
エインもこの閃光の影響を受けてしまい、やや眼をくらませながらも右手で防ごうとした…… が。
「残念、チェックメイトだな」
その前にクレイズがエインを捕まえようとする体勢になって、既に眼前にまで迫っていた。思考を極限まで早め、体感時間を無意識にほぼ停滞させている中で、ゆっくりとクレイズの勝利を確信した言葉が漏れ、エインを捕らえようとする手は確実に迫ってきている。この瞬間、エインは……
(あれを、使えば――)
そして、刹那の時が流れる。
「――手応えが…… いや、一瞬動きが変わった? お前、何をした」
捕縛した、と確信したはずのクレイズだったが、結果としては手が空を切った姿勢で立ち尽くしているのみだった。そして、クレイズの眼前に居たはずのエインは左側に飛び退いたようで、付いている片手と両足の方の地面がいくらか抉れている。しかし、飛び退いただけにしては少し息を荒げたり歯を食いしばったりしている。
「もういっちょ、試すぜ!」
エインが何らかの力を使ったのか…… しかし攻撃ではないならいくらか試してみようという考えに至ったクレイズ。もう一度空いた手で掴みかかる…… 例えプロの軍人であろうと捉えられない神速の手だが、最早居るだけである種極限状態になっているエインは、走馬灯さえ見えかねないほどに体感時間を遅くしていた。そして……!
(……もう一度、止める!)
普通ではまず身動きが取れない刹那の世界で、“動く”ためにエインはあるものを止めていた。……そう、“時間”である。
「ああいう感覚の中で動く為に、んな考えでコレを使ったのは初めてだ。しかし……ッ!」
時間に干渉さえできれば如何に早く、かつ正確な動き。これにたとえフェイントを仕掛けようとも危機を脱することが出来る。更に言い換えればどれだけ経験差があろうと…… 本来ならエイン自身もそう言いたい所であろうが、残念ながらそんなわけには行かなかった。
「使うたびに今までにねぇぐらいのフィードバック…… 反動があった。こいつら、何故かは知らないが間違いなく時間干渉に耐性を持ってやがる」
強力な能力ではあるものの、エインの様子を見るに厳しい使用制限、正確に言うと彼らに使った際に重大な使用制限が課せられているようだった。一応、最初から使用制限そのものはあるが、クレイズを始めとする者達を影響下に置いた際、凄まじいほどに体力と集中力を磨耗していたのである。エインからすると、一瞬使っただけで自分の内側から衝撃が走ったような感覚を受けたようなもので、連続使用時間、総使用時間共に大幅に制限されることになる事を、余儀なく理解する事となった。
「我らもまた、この世界特有の力を有している。一筋縄で行かせるつもりは無い」
「貴方の相手はこっち!」
エインの言葉を拾っていたウォーダンが、ウルと刃を交えながら言葉を返していた。彼もまた推測で言っているのだろうが、確かならば起現者は時間干渉にある程度の耐性を持っているという事になる。しかし、エイン自身は起現者のことなど全く知る由も無いので、最低限の状況把握にとどまることとなった。
「下がってろ、俺がやる……ッ!」
「おっと。流石に力をぶつけ合えるようになっただけあるな、やるじゃねぇか」
このままでは掴まるのは時間の問題、という考えがよぎっていた頃、突風のように黒い塊が眼前に現れ、クレイズの身体を弾き飛ばしていた。その正体はジェノスであり、クレイズをエインから引き剥がす為に、無駄のない素早い剣撃と共に突撃を仕掛けていたのだ。
弾いたクレイズを追撃し、そのまま剣撃で打ち合っていくジェノス。距離が開いた隙に、エインは先ほど使った力を応用して周囲の時間を“緩めて”いた。
それでも多少の反動を感じるものの、極限状態になって体感時間を本能的に緩めていた時よりは集中力を削がれてはいなかった。お蔭で少しの余裕を生む事に成功したエインは、冷静に状況を確認する。
まずはジェノスとクレイズだが、初動の勢いがあって今でこそジェノスが押しているようだが、技量そのものはクレイズの方が上回っているようで、集中して見るとやや押し返され始めている。対してウルとウォーダンだが、一見するとウルが高い機体性能を持ってウォーダンの進行方向に回り込みつつ食い止めているように見える。しかし、実際のところはウォーダンが白麒共々手を抜いている様子で、所々にあからさまな余裕が見受けられる。如何なる考えに基づいているかまでは不明だが。
「ジェノス達も相当なバケモノだが、援護が要るか。だが、あの騎士気取りを下手に刺激すると逆に詰むな。なら狙うは……!」
完全とは行かずとも、おおよその推移を確かめる事ができたエインは、ジェノスの援護を中心に立ち回る考えに至る。とはいえ、彼は一見武装が無い。堅牢な強化装甲に身を包んだ彼らに、どのように対策するというのだろうか。
「見た限り、武器を振り下ろしただけであの威力。防御力も下手すればあの威力に対応しているかもしれねぇ。だが、あんなレベルを連発したらこっちが持たねぇ……」
やはりエインも懸念していたところであるようで、どうすれば想定できる防御を突破できるかに頭を悩ませていた。だが、その口振りは何らかの攻撃手段を持っているかのようである。
(アイツに“魔術”を当てるには、止めたとしても半端じゃねぇ集中力が要る。それで連発が効く程度の力で、最高の効果を得る…… 点…… いや、足りない。考えろ……)
「スペルソニック(超音速)……」
思考を巡らせながら、支援に効果的な位置取りを考えて動きつつ、エインは右手を顔の正面手前に上げてから少し呟く。すると、彼の手が青白い光を僅かに帯びていた……! 彼の思考から読み取ると彼は、大半の者が聞けばフィクションの産物だろうと考えるであろう“魔術”なる超常的な術を扱えるようで、口に出た言霊と手に宿った光はその一端であるようだ。
(そうか、徹甲弾……! 術式書き換え、弾芯形成……)
最小限の力で最大限の効力を発揮する…… それを前提とした思考をめぐらせていると、青白い光に包まれた手を中心に、同じ光で編まれた紋様、彼の言う“術式”が徐々に展開されていく。そして、出現したと同時に書き換えられていくようにして、模様の形が刻々と変化していた。
(後は止めるタイミング……! 集中しろ、ヤツは生半可な狙いじゃ当たらねぇ…… 俺に今出来る全てを懸ける!)
この間度々時間を緩めることで、エインは四人の、主にジェノスとクレイズの戦いをつぶさに見ていた。互いに周囲を衝撃で破壊するほどの大胆さと、敵を正確に捉える緻密さを併せ持っていながらも、リアルタイムで柔軟に動きや一手一手を変えることで繊細な脆さを打ち消している。一見動きに無駄がなく、全ての動作が最速で行われているようだが、良く見ればそれさえも巧みに操っている。もはや見ている世界が違うのではという超次元の技と力のぶつかり合いに対して、エインは内心素直に感嘆し、それに応ずる為の最善の策を取ろうとしていた。
「オラッ!」
「させねーよっ」
ジェノスとウルの強固な守りに助けられながら、粘り強く戦況を窺ったエインに好機が訪れる。ジェノスとクレイズが互いを弾きあい、僅かに間合いを離したのである。
(……射線に余裕が出来た、狙わせてもらうッ!)
――刹那、エイン以外の全てが凍結したかのように、動きが止まった。絶好の機会だととらえたエインが、光を宿した手をかざすと同時に能力を使ったのである。しかし、クレイズらを範囲内に捉えた時の消耗はやはり激しい。故にエインは動きを止めることなどは考えずに“当てる”ことのみに集中し、光を宿した右手で冷静に、かつ素早くクレイズを捉える。今や銃身にも例え得る右手がぶれないように、左手で肘辺りをしっかりと押さえながら。
「ペネトラーテ・ブレッテゥ(徹甲弾)! 行けぇッ!」
ついにエインの右手から複数の光弾が放たれた……! そして時は再び動き出す。エインが照準を定める時間を極限まで絞った結果、この間彼の過ごした時間で換算しても五分の一秒ほどである。だが、エインが放った光弾は動き出した時の中で、凄まじい速度でクレイズに迫り、その牙を剥く!
「……! なんとぉっ!」
しかし、彼らの世界に限って言えば、そう簡単には行かないようだ。超人的な反応速度で己の危機を察知したクレイズは、刹那の時の中で正確な判断を下し、機体のスラスターを炸裂させて回避行動に移ったのだ……! 最早一瞬の猶予も無い世界で、彼は完全回避とは行かずとも機体外殻に当たる程度に損傷を抑え、凌いだのである。
「アレでかわすって…… マジで化け物かアイツはっ!」
「いや、装甲を抜くのが分かっただけで上出来だ」
まさに超人と呼んで差し支えないクレイズの回避能力を、ついに自身で体感したエインは、当たってほしくなかった予想の的中に驚愕する。しかし、今の攻撃を見たジェノスは目がやや笑っており、収穫があったとばかりに声をかけつつクレイズを追撃して戦況を押し返す。
前述した通り、エインの放った光弾はクレイズが纏う強力な特殊装甲を穿っている。そして、クレイズらを時間停止の範囲に収めた際の、集中力や体力の消費を考えても数回は行使できる。
「いつも通りのやつも紛れ込ませてたが、あれは完全に弾きやがった…… 物理防御だけでここまでとは、なんて装甲だ。あそこで機転が利いて助かった」
「エイン、狙撃を考えねぇなら、アレはどれだけ撃てる!」
「負荷はそこまで大きくはない、それなりに叩き込めるぜ」
そして、クレイズ達の纏っている装甲の防御力に対してぼやいているエインに対し、ジェノスが行った問答により、エインが非常に高い継続火力を持っている事が判明することになった。この要素は戦況を押し返し得るとジェノスは考え、エインに対して即座に指示を出す。
「当てようと思わなくて良い、弾幕で釘付けにしろ!」
「仕方ねぇな、言う通りにしてやるよ!」
そう、無視できない威力・効果があるというのであれば制圧射撃による支援をさせることで、敵の動きを大幅に制限し得る。今まさに、ジェノス達を魚にたとえるなら、後方からの強力な火力支援という水を得たのである!
「少し時間が掛かる、引き付けてくれ!」
「さっきので勢いが乗った、任せろ」
「エマヴェベラーレ(無数の)……!」
次いで、エインはジェノスらに対して時間稼ぎを頼み、快諾を受けると同時に複雑な光の紋様を素早く描くと、両足を肩幅程度に開き、両腕を広げた。すると、エインのやや後方の空間におびただしい数の魔方陣のような紋様が出現する……!
「ペネトラーテ(貫き通す)……!」
次の言葉を紡いだ時、現れた紋様に対して、最初に発動した術式のように変化が起こる。次々と柄が変化している魔方陣に力が注がれていくと、徐々に青白い光が強まっていく……!
「イッヌメッラブレス(弾幕)ッ!!」
そして、最後の詠唱が紡がれたそのとき、おびただしい数の魔方陣が文字通り弾ける! 個々の魔方陣に加えられた力は、青白い光の雨のような砲火となって草木や大地を砕き、クレイズ、そしてウォーダンに対しても容赦なく降り注ぐ!
「んなっ!? これいつまで降りっぱなしなんだよ!」
「ほう、流石に無視は出来んな」
降り注ぐ光の雨は止むことを知らず、クレイズには驚き、ウォーダンには感嘆の感情が表れる。それ単体は彼らにとって脅威とは言えないが、ここに如何なく有効活用を行う前衛戦力がいると話は違ってくる。
「ビッグウェンズデイって奴か、乗らせてもらうぜ」
「チャンス、畳み込むよ!」
「させん」
ジェノスが例えたとおり、まさに戦況の大波に乗る絶好の好機。これを逃す手はないと動き始める。当然大きく動き始めようとするのだが、そこでウォーダンが自らウルに突っ込み、右手の巨大な盾で弾き飛ばして体勢を崩させると、彼女から一気に間合いを取る。
(……!)
ここで背筋に悪寒が走ったエインは、直感的にウォーダンの方を見る。見れば彼は槍をやや後方に構えて力を蓄えており、今までに無いほど強大な雷光を纏い始めていた。しかも、最初に見た青白いものではなく、紫電となって力を強めている。
恐らく強力な一手を繰り出そうとしている、そう考えたエインは集中してタイミングを見計らう。そして、キリンの白麒が一歩を踏み出して前進の勢いを付けた瞬間、時間を止めにかかるが……
「中々面白い力を見せてもらった、実に見事だ…… と言いたいところだが、相手が最悪だったな」
エインが完全に時間を停止させた…… にもかかわらず、ウォーダンの声が彼の聴覚に確実に響いていく。すると、何故かエインが見ていると待った景色に、徐々に日々が入って行くような視覚的錯覚が起き始め、彼自身に走る悪寒が加速度的に増していく……!
「貴様は知るまい、この世界には“起現力”…… 道を極めし者が道中にて手にする、一撃で全てを決する力がある事を」
ウォーダンが言葉を並べていけばいくほど、エインが作り出した止まった世界は崩壊し続けていく。だが、エイン自身には指一本動かすことすら敵わず、それどころかひとつの言葉が脳裏によぎる。
――このままでは殺られる、と。
「我が力は純粋ではない無粋な力を全て打ち砕き、世の原理たる純然な力の闘争のみを是とする。この力によってこの闘争は終焉を迎える…… ひいては貴様の抵抗もここで、 ――終わりだ」
そうとわかっていても、身体はまったく動かせず、割れる世界を止めることもできない。そしてなおもウォーダンの言葉は続いていく…… そして。
「貫き尽くす銀狼の牙(ヒルドルブ)ッッ!!」
ウォーダンが己の力の名を唱えた瞬間、停滞した世界は砕け散り、強制的に時が動き出す! そして、眼前には眩しいほど強い光を放つ紫電を宿したウォーダンが、筆舌に尽くしがたい速度と勢い、圧力で迫る! ……文字通り、絶体絶命の状況だった。
(チィ……ッ!)
「させないよっ!」
絶対的な力の前に最早ここまでかと思われたそのとき、一瞬ウルの声が聞こえたと思うと、スラスターから発せられた爆炎とともに現れ、ウォーダンとエインの間に割って入る。彼女だけがエインの時間干渉の外に居たのが幸いし、一瞬の隙をついてエインらの彼我の距離が開いている間に割り込む事に成功したのだ。
「ラージブースト、限界突破ぁ!!」
ウォーダンの銃槍、グングニルの切っ先が盾に衝突する瞬間、ウルは後部スカートアーマーを展開、そこから特大の炎が爆ぜる! すると、持ち前の大推力がウォーダンの、引いては白麒の突撃速度を一気に殺していく……! その間にエインは何とかその場から離れ、難を逃れていた。
「コレを受け止める盾だと……!?」
「余所見してんなよ」
突撃体勢のために即応した行動が出来なくなったウォーダンのそばから、爆炎と共に迫るジェノスの姿。彼の腕からは真紅の炎が走っており、眩い光で大剣ジークムント・グラムを覆っていた!
「行け、“波打つ業火の大剣(フランベルジュ)”ッッ!」
「そうは問屋が卸さないぜ、“王の太陽(テスカ・デル・ソル)”ッッ!」
フェイから与えられた仮初の力名をジェノスが放ち、脇に構えていた剣を振り上げるが、その少し前に今度はクレイズが、ウォーダンとの間に割って入る。いつの間にか大剣を入れ替えており、緋色の大剣テスカ・デル・ソルを持って振り被ると、力名を唱えて白紫色の炎の刀身を現出させる! 更に、クレイズはジェノスの力を止める為に上半身の捻りまで加えて振り下ろし、真紅の刀身と衝突させたッ!
「これは、好機かっ!」
ウォーダンは自身の力を受け止められ、それ自体が彼にとって予想外だった為に反応が遅れ気味、クレイズはジェノスの力を食い止めるのに全力を注いでいる為に動くことが出来ない。これは二度とないチャンスと踏んだエインはある行動に出る。
「紋章展開!」
エインは自分のジャンパーの懐から何かを取り出し、地面に叩きつけるように投げ付ける。破裂音のような音を立てて地面に置かれたそれは、何かが描かれた紙のようで、まるで護符のようだった。ここで、エインが鍵となるであろう言葉を発すると、根を張るかのように護符から緋色の光の筋が走り、飛竜一頭分近い巨大な紋章を大地に描き出した……!
「相応の返礼だ、取っときな! ファラゴラ(爆発)!」
「む……!」
直接力を送り込むように、エインは屈んだ姿勢で護符に強く手を当てると、描かれた紋章が一気に輝く! その瞬間、ウォーダンたちの居た場所を起点にして一帯を砕くほどの大爆発を起こす!
当然一切の打ち合わせ無しだが、ジェノス達はエインの行動をつぶさに見てから勘付き、その場から一気に離れていた。エインの方も彼らならやってのけるだろうと信じての判断であり、出会って間もないにしては良く出来た連携であった。
「やった…… のか?」
「……多分それはないな。だが悪くない判断だった」
噴煙が立ち上る中、撃破確認の為に様子を見るジェノスとウル、そしてエイン。先ほどのエインの手腕に賛辞を送って労いつつ、ジェノスは警戒しながら噴煙が晴れるのを待つ。
そして、晴れていく噴煙からはジェノスが予想していた通り、薄っすらと輪郭が見えてくる。視界の先にあったのは宙に浮いて停滞しているウォーダンと白麒、そして、片腕で白麒にしがみ付いているクレイズの姿だった。だが、これ以上は戦う気がないのか、戦場を支配していた気迫がなりを潜めている。
「流石に札を切りすぎた。退くぞ」
「りょーかいっと」
そして、彼らは眩い雷光と共に姿を消した。この中でもっとも感覚が人機共に鋭いウルが完全に気配がなくなった事を確認し、目配せをするとジェノスは大剣を収め、エインも構えを解くのだった。
「まぁ、撃退は成功したな」
「お、終わった……?」
状況が一段落し、結果は似たような物だとジェノスがエインに話すと、距離を開けて隠れていたトールが姿を現して、辺りを見回しながら歩いてくる。その間、ウルは後方との連絡を取り、以後の行動の指示を仰いでいる。
「ああ、もう大丈夫だ。ったく最近はバケモノじみた奴によく会うわ、知らん場所に飛ばされるわ……」
「本当にこう、何ていうか…… 波乱万丈? ……エインに会ってから」
「なんか言ったか?」
「ナンデモナイヨ」
エインがトールに、もう周囲に危険は無いと伝えると、最近は厄日だったのか愚痴のような言葉を呟いていく。トールも似たような事を口走るが、無いようにエインが気を悪くするような内容があったのか、エインがやや睨み目でトールを見ると、即座に明後日の方向を向いてしらばっくれていた。
「……了解。二人とも、ここからは私達が保護したいところなんだけど、どうする?」
「この場所の事は知らない以上、選択の余地はない。お前もそれぐらい分かるな、トール」
「うん。この人達についていこう」
エイン達の漫才のような会話の間に連絡を終えたウルは、彼らを保護し、ミナガルデに帰還するよう指示を受けていた。そこで、エイン達の意思確認を行うのだが、既に答えが決まっていた彼らは殆ど即答で応じた。意思を確認したジェノス達も彼らに応じ、かくしてシキ国における大筋の状況はほぼ終了という形で幕を閉じるのだった。
確認遅れてすみませんでした!
コメントのしようがないくらい良く出来上がってますね。
詠唱式の魔術が上手に文章で表現されてる……。
もう言葉が見つかりませんw
携帯から~
そう言っていただいて嬉しいです(≧∇≦)
ちょっと術に改造を加えたり独自の解釈を交えて能力を使ってみたりしましたが、問題ないようで何より♪
そうだ、後ほどいくつかの質問をさせていただきます~ エイン達の今後を左右することなので
それでは今はこれで失礼します(^∀^)ノ
では、質問の書置きを記しておきますので、時間のあるときに返答をお願いしますね↓
①エイン・トールの住まいはいかがしましょうか? こちらでは以下の二つの案を用意しています
A ヴェリア家(フェイやガルドたちが住んでいる家)に居候する
B 独自にマンションの一室を手配してもらい、そこで定住する
②エイン・トール両名の容姿が現状では不透明な部分が多く、実は描写に苦戦している現状を抱えております(苦笑) 以下にテンプレを載せますので、回答をお願いします
名前:エイン・レチェンド
名前のローマ字のスペル(特に決まっていなければこちらで設定します):
種族名:人間
年齢:17歳
性別:男
身長:cm
体重:kg
髪型:
髪の色:
瞳の色:
普段の主な服装:
武器:ソルダートアサルト・カービン(正式名称:新62式突撃小銃) 老山龍砲・極
防具:ハプルシリーズ型機動装甲にフルフルZ(頭部以外)装備を着込んでいる
名前:トール・マクライシス
名前のローマ字のスペル(特に決まっていなければこちらで設定します):
種族名:人間
年齢:14歳
性別:男
身長:cm
体重:kg
髪型:
髪の色:
瞳の色:
普段の主な服装:
空白を埋める形でご回答ください。なお、エインの項目にある武具類は最低限のモンハン要素確保のために現在こちらで予定しているものです。
エインの主な役割は、彼の能力の特性をこちらの世界観と相対的に加味した上で、後方火力支援及び諜報・破壊工作員としての立場が有力になっていますw 長く入り浸ると…… メタルギアのスネークのような人に育つかもしれませんねぇ…… フフフ
それでは、ご回答宜しくお願いしますね~
お久しぶりです。
長々と構想を練りまくっていたら、
こんなに月日が・・・
新小説ですが、プロローグ半端ねぇ下手くそであります
小防の6年ですがよろしくお願い申し上げます。
因みに、歳をごまかしたりあやふやにしていたりなのは、
pcがカクカクしすぎて、小説の台詞がコピーされてた時がありました
まぁ小説の方じゃんじゃんダメだしかけていいですからww
2080年、世界規模の大災害が人類を襲った。
その災害は、パンゲア・ア・クエイクと後に呼ばれた。
原因不明の大地震が起き、世界の大陸は災害の名前の通りパンゲア大陸になった。
世界の海は、大きな湖になった。
そして、今のような社会は崩壊して新しい社会の渦ができ、世界はひとつの国になり、
言語の違い、文化の違い、思想の違い、人種の違いは、少しずつ歴史から、なくなり始めた。
だけど、歴史に歩み寄らない、人もいた。
それは、世界が人工知能に統制される時代。
2090年人類が機械に、抗う時がきた。
■■
機械はアンドロイドの形になり、人類はロストテクノロジーを蘇らす。
■■
(爆発音)
「にっ逃げるぞ!」
【目標移動】
【航空爆撃を、行う】
(ミサイル爆発音)
「うわっ」
【目標消滅】
【攻撃評価です。】
【BOSS…】
〔人類を消せ!!〕
==レッド・ガンズ・ソー==プロローグ 終
レッド・ガンズ・ソー「始まりの道」
あの日から、人は管理され始めた。
国際連合が2085年に解体され、新評議会「イディア」が2086年に発足された。
そう、イディアはAIだけが中心となって世界を管理するシステムである。
発足当初、旧世界各政府幹部が中心となっていた。
だが、疑問に残る。
いつから、AIは人類の上に立ったのか…
2080年の、大災害の影響により使用不可能な、研究所や会社の中に放棄された、
機械達が、人の手から独立しAIとなった。
その中心…イディアの評議長、カルマはアメリカのピッツバーグAI研究センターから、生まれた。
2050年代、急速に進化した科学は、ニューテクノロジー…人工知能そう、AIである。
AIは、人類の希望であった。
…だけど、アメリカのアラスカで極秘に行われた、実験…
「AI実践仮想起動テスト-衛星システム-」
打ち上げ成功した。…だが、暴走した。
衛星に積んでいた、ミサイルが誤射しAIへの評価は、下がった。
そのテストに使用された、AIこそがカルマだったんだ。
カルマは、合成ヴォイスにより人間と対話が可能だった。
生みの親にも、信用されず孤立していった。
まるで、一人の子供のように…
ここまでは、AIの話だ。 (次に、お詫び:プロローグがへたくそですいませんでした)
■■
そして、この物語の中心…
エデンと呼ばれた、青年…
体をアンドロイドに蝕まれても…人間としていき続けた男がいた。
天野 文人(FUMITO AMANO)
カルマの創製者の孫に当たる人物だ。
カルマは、文人をいろんな手段で、命を狙う
始まりの道 終 =レッド・ガンズ・ソー=
あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
NIGHTMAREs
質問に回答ですが、
①の質問に関してはAでお願いします
②の質問なのですが、少し問題が発生しております。
その問題ってのは、己のファッションセンスがゼロを下回ってるということです(笑)
エインの身長とトールの身長は決まっているのですが、(エ:179cm ト:156cm)
髪型、特に服装に関しての知識は、例えるならばサハラ砂漠のど真ん中にコップを置いて1年間放置したようなものです(意味不)
小一時間考えたものの、夏休みの日に暑さに倒れこんでぐうたらしているようなイメージしか浮かばないような服装しか思い浮かびませんでした(これも意味不)
何か参考になるような物があるのであれば、教えてもえますか?
ヘルシオs
おぉ!お久しぶりです!
今度、ゆっくりお話でもどうですか?(笑)
新小説、期待してますよ!頑張ってください!
明けましておめでとうございます。
エイン・トールの容姿については、N氏と共同で執筆している私も描写で頭を悩ませています。
現状では出来るだけこちらのキャラクターと関わらない部分を進めてもらっていますが……
ここはひとつ、一番イメージに近いゲームかアニメのキャラクターを挙げてみてはどうでしょうか?
あと、予定していた三人目のキャラクターの設定を軽く完成させてみましたが、こちらでも使ってしまおうかとも思っている癖の強いキャラクターに仕上がりました。 煮詰めは必要ですが、とりあえずは載せてみます。
名前 レイブン(本名は不明)
年齢 30代前半と思われる外見(不明)
性別 男性
身長 180cm
体重 不明(筋肉の塊のような体格)
髪型 短髪の癖毛
髪の色 黒
目の色 茶色
性格 参考キャラクター、MGS3ビッグボス
典型的な西洋系の白人でハンサムな外見通りの余裕を持っているフランクな性格だが、実際に戦闘技術や洞察力では超能力と言える程に研ぎ澄まされている。 用意周到、電光石火、傍若無人と名高い隠密戦闘のスペシャリストであり、彼の手の届く範囲イコール負け、という構図が完成するのだが、接近にすら気付ける者が殆ど居ないため、狙われること自体を避けるべき危険人物である。 基本の戦闘スタイルは柔術を基本とするCQCとシステマの複合系。
流れの傭兵よろしく、サバイバル生活に精通しており、毒の無いものなら何でも食べてしまう上に味のこだわりも無い。 自分が食べたものが話題に出ると笑顔で味の感想を話し、食べていないものだと味を聞く。
三大欲求に従順であり、女性を見ると顔がにやける、何処でも寝る、暴飲暴食家で、一見すると動物並みに馬鹿である。 が、彼にも一種の思想があり、傭兵の収入は国連が公認するPMC組織の結成に向けて貯金している。 そのため国連の依頼、禁止系の魔法を始めとする条約に抵触している違法者の監視・拘束や粛清を基本的な生業として関係と信頼性の強化を図りながら同志を募っている野心家な一面も存在する。
備考
サリアの禁止系魔法への注意を促す為に、彼女らの戦闘に横槍を入れることがあるが、国連から調達される装備や資金源が彼女らを雇っている会社であるため、国連から黙認され、レイブンもそれに渋々従っている。 仕事でバッティングした際には必ず茶々入れして悪戯するのだが、サリーを本気で怒らせてしっぺ返しを喰らうことも。
極めて優秀なオペレーターがハッキングや偵察などの通信を行う。 小型の無人偵察機で同行しサポートを行う際、名前をHAL(ハル)と名乗っている。
使用可能魔術 なし
特殊能力 なし(ステルス・ハッキング技術が噂されているが能力ではない)
武装
参考キャラクター、MGS4 ソリッドスネーク、雷電
MK23ソーコムピストル(サイレンサー・レーザーエイミングモジュール搭載)右太股にホルスター
カーボンスローイングナイフ×2(MK23とセットで使うCQC用)胸元とMK23のホルスターに装備
NRSナイフ形消音拳銃(腰に装備)
リキッドマッスルスーツ(有機素材筋力強化スーツ)
ステルスポンチョ(熱光学・対特殊能力迷彩)
大型パワードスーツ、ティターン(2mタイプのものを改良した装着型)
トラップ(仕掛け爆弾や地雷、ブービートラップなど)
その他現地調達・鹵獲物を使用。
ナルガさんへ
服装についてはrairasさんとほぼ同様の意見ですが、“メンズ ファッション”で画像検索するのもひとつの手段です
また、エインの服装以上に、より判明してないトールの服装を優先させていただけると助かります( ̄∀ ̄)
時間がかかりそうなら、先に今回答出来る部分からテンプレート通りに回答をお願いしますね~ その方がフォローがききますので
それでは引き続き回答を焦らず、迅速にお願いしますm(__)m
どうもお久しぶりです。
1ヶ月放置してましたがwプロフィールが完成しました。
名前:エイン・レチェンド
名前のローマ字のスペル(特に決まっていなければこちらで設定します): 特に決まってません
種族名:人間
年齢:17歳
性別:男
身長:179cm
体重:62kg
髪型: ショートヘアー
髪の色: ナチュラルブラウン
瞳の色: 黒
普段の主な服装: 黒色のGジャンに黄土色のカジュアルパンツ(ポケット多) Gジャンの下はTシャツ
武器:ソルダートアサルト・カービン(正式名称:新62式突撃小銃) 老山龍砲・極
防具:ハプルシリーズ型機動装甲にフルフルZ(頭部以外)装備を着込んでいる
名前:トール・マクライシス
名前のローマ字のスペル(特に決まっていなければこちらで設定します):特に決まってません
種族名:人間
年齢:14歳
性別:男
身長:156cm
体重:44kg
髪型: リフレッシュショート
髪の色: ブラック
瞳の色: 薄い青
普段の主な服装:デザインポロシャツにブルーのGパン 赤色のロングコート
色々とサボってましたが、Amazonで洋服を探しました。
どこか不自然な点がありましたらご指摘をお願いします
あのよかったら、あたしも恋愛小説のほうを今、書いて見てるんで見てもらえませんか?
途中ですけど;
『恋愛小説書いて見るから見てねww』っていうトピに行けばありますので。
ナルガさんこんばんは、お久しぶりです~
先ほど確認しました、ようやくナルガさんのイメージに基づいて容姿を描くことが出来ますね。あくまでどうイメージして彼らを小説で描写しているのかをお聞きしたかったので、とくに指摘などはありませんよ(^^)
それにしても、中背という身長描写がなされていたエインの身長は予想以上ではありましたね~ 数字を見た瞬間の私は↓
(゜д゜)ド イ ツ 人 か w
と思わず感じてしまいましたw 海外でも平均身長約180cm以上の国はほぼ北欧や、アフリカ部族などと極めて限られてまして、エインの身長はドイツ人のそれに限りなく近い数字だったりしますw
とにかく、これでようやく安心して進める事が出来ます、ご協力感謝です(^^)
それでは、今回はこんなところで~ノシ
こんばんは、NIGHTMAREです
忙しくて大分遅れてしまいましたが、新しい話が書きあがりました~ ご確認をお願いしますm(__)m
=C rimson Blaze=
第八十五話 越界者の行方
もう日が沈みきって、赤く染まっていた空が漆黒に飲まれる…… そう、夜といえる時間になった頃。任務を完了し帰還したジェノスとウル、そして彼らの手により保護されたエインとトールは、ある場所に呼ばれて大宮殿の中で歩を進めていた。普段ならブリーフィングルームか、ガルドの執務室に向かうが、今回は事情が事情であるためか“第一大老執務室”に呼び出されていた。
「うわぁ、もう何から驚いて良いのかわからない」
道中、やはり周囲の景色や建物の造りなど、全てがエインたちにとって違和感の塊であるせいか、二人ともずっと辺りを見渡していた。設備などは彼らが想像していたほど基本は変わっていないらしいが、景色が放つ雰囲気があからさまに未来的であるようで、トールは時折感嘆の声を上げている。言葉の内容から察するに、もう具体的に何が違うという風に説明できるレベルではないらしい。
「……というか、所々半端じゃねぇぐらい面積取ってるんだが。大勢の人間が使うにも不自然なぐらいだ」
だが、エインにとっては…… いや、実際はトールも言いたいところだろう。はっきりと違う構造として、一部あからさまに広すぎる場所があるという事。移動の際に街並みを見ていたときも道が広すぎたり、そもそもこの大宮殿自体があまりに巨大であったり。この特徴による違和感は頭一つ抜けているようである。
「そいつは、この街に“龍”が住んでいるのが理由だな」
「風翔龍から始まって、炎龍、霞龍、黒龍、紅龍、祖龍…… 他にも煌黒龍、嵐龍、極龍とか、色んな種族の龍が住んでるからね、この街。流石に老山龍とかあの辺は大きすぎて動けても住めるレベルじゃないけど」
「……どれもこれも見聞きした覚えがある感じがする」
エインの挙げた、不自然なほど大きなスペースを設けている理由について、ジェノスとウルは歩きながらすぐに答えを返す。特にウルは携帯端末を使い二次元式立体映像でモニターを表示しながら、彼らにより掘り下げた話を映像や記録を交えてわかりやすくしていくのだが、エインは何故か既に知っている気がするという妙な感覚を覚えていた。
「……着いた。面倒は起こすなよ」
「そりゃアンタら次第でもあるだろ」
「……フン」
長々と話をしている間にだいぶ時間が過ぎていたようで、ジェノスら四人は既に目的地の執務室を前にしていた。一応、最高責任者の前になるわけなので、口数少なめに粗相の無いように告げるジェノスだが、それに対してドライに返すエイン。そこでジェノスは返事を軽く受け流すわけだが……
「なんか、空気重くない?」
「そう? 気のせいじゃないかな」
無愛想な二人に挟まれているような気分であるトールは、その二人の間が張り詰めているように認識しているようで、この場にいる事を息苦しく思っていた。しかし、内心ジェノスとエインは互いに認め合っている部分がある事を知っているためか、ウルの主観は全く別の風景を映し出していたようだ。……もしかしたら普段の正確になっているゆえの、天然である可能性も否定できないのだが。
ウルとトールがコソコソと話をしている間に、ジェノスは中に到着した事を伝えており、直後に目の前の物々しい扉が静かな機械音を鳴らして横にスライドして開いた。ジェノス達に先導されるままにエイン達も歩を進めていくが、そこで彼らは今までで最も大きな驚愕をする事になる。
「お二人とも、こんばんは。無事で何よりです」
「……ッッ!? 何でアンタがここに!」
彼らの前に率先して姿を現してきたのはなんと、フェイであった。歩きながら浅葱色の髪とクリーム色のロングスカートをなびかせながら、相も変わらず神々しいほどに美しく、暖かい笑みを浮かべて、ジェノス達よりも先にエイン達に挨拶を交わす。まるで、最初から顔見知りであるかのように。
事実、エイン達はフェイと顔見知りの間柄であったようで、何故別の世界であるこの場所にいるのか、と言いながら声を荒げている。その驚きようは、部屋に響く大声だけで充分明白である。
「その質問にはなんといいますか、私がこちら側の存在だから、と言えばそれで終わりなんですけれど」
「今度は俺達の方が、そっちの世界に来ちゃったって事? 滅茶苦茶だよ……」
エインからの動揺と共にぶつけられた質問にフェイは思わず苦笑してしまい、左手に頬杖をつきながらあっさりと返事をしていた。その後のトールのつぶやきやエインとの会話内容から、フェイは彼らの世界に行った事があるようだ。
「今回の件に、アンタは関わってないんだよな」
「少なくとも直接の関わりがない事は、貴方が一番理解しているはずですよ」
ともかく、状況を明らかにしたい二人だが、トールではうまく話せる状況ではない。なのでエインが率先して話を進めていく流れになる。まずはこの転移…… 事実上の世界間移動に対し、フェイが手を引いているかどうか。これにももっともな理由付けを加えながらフェイが応じていくと、エインが表情を曇らせながらトールの方に少しだけ視線を移す。だが、ここから二人の心象が移る前にフェイが先に切り出した。
「ところでエインさんが感じている、見覚えのような感覚…… その訳を知りたくはありません?」
「アンタ、心でも読めんのかよ……」
「時折見せる不自然な挙動で、なんとなく解りますよ」
エインはここに来るまでに、ウルが見せた情報を既に知っているような感覚、そしてこの場所の事を“ゲームの世界”と呟いたことがあった。彼がそれ故に、歯車がかみ合わない歯痒さのようなものを感じている事を看破したフェイ。それをかみ合わせるための話をするつもりなのだろうが、その前に……
「アシュター、それにガルドさん。今からする話は忘れるつもりでお願いします」
「仰せのままに」
「わかった」
フェイにばかり気を取られて意識していなかったが、後ろには腕を組んで立っているガルド、そして顔の前に手を組んで上座に座っているアシュターの姿があった。口外無用を伝えているのは確かだろうが、それにしてはフェイの表情はやや緩んでいる。
「結論から言うと“こちら側”の根本的な世界観は、貴方がいた世界でもあるもので表現されています」
告げ終わったフェイは再びエインたちの方に向き直り、一旦中のソファーに座るように促す。彼等が適当に場所を見繕って座ると、その反対側にフェイは両手を膝に揃えて座り、エインの頭の中にあるピースを合わせる為の話を始めた。
「貴方達の世界で数十年前に実在したビデオゲーム…… ある国では国民的ゲームソフトとまで言われた“モンスターハンター”…… この媒体で舞台となった世界観が、私達の世界です」
「そんなもんが、本当に実在する…… こんな馬鹿な話、誰も信じねぇだろうな」
まず、フェイ達の世界観がエインたちの世界ではどういうものになっているのか、それをはっきりさせる。更には、厳密に言うと舞台となった世界から数百年経った、未来の一つが形になったものであることを告げた。たかがゲームというレベルに収まったタイトルではない為、大きく年代が経った時代でも、何らかの形で残っていたのだろうかと、エインも考察を巡らせる。
「こちらの文明はそうですね…… エインさん達の世界で言えば、二十世紀末から文明が充分進化している計算で、西暦二一〇〇年半ばから二二〇〇年半ばほどに相当します」
「なるほど、道理でSFの空気がすると思ったぜ」
「百年ぐらい先の時代…… 想像できないや」
いつの間にかフェイは、この世界の世界観に関する話題に流れるようにすり替えており、これが彼らの理解を一層早く深めることになった。彼等二人が知りたかった状況は、これでほとんど明らかになったと言っても良いだろう。
「まぁ、大体分かった。ところでだ、俺達は帰れるのか?」
「私なら転移した時間軸も場所も合わせて、時空間転移する事によって、連れ帰ることが出来ます。……ん?」
最後に、エインたちにとって最も重要な命題である、この世界から元の世界に帰還する事ができるのかを確認し、その件に関しても何一つ問題はない事を付け加えた上で、フェイは可能だと返答する。が、その直後に何かを感じ取ったように軽く頭を押さえ、視線も別の方にいったん逸らす。これがしばらくの間経ったわけだが……
「ふぅ、また“向こう側”からの依頼ですか。どうやら貴方達は、数日単位で“こちら側”と“向こう側”を行き来する事になりそうです」
「……は? ちょっと待て、どういう事だ。そもそも俺達の世界の何からの依頼だってんだ」
「今回は“語り手”、と言ったところです」
頭から手を離したフェイは、やれやれと少し呟きながら首を横に振る。そして、ただ単にここからエイン達を帰す、というわけにはいかなくなったようだ。事情については不明だが、彼らはこれから以下のように行動する事になったという。
――数日ごとにお互いの世界を行き来する…… それも、時空間の矛盾が出ぬよう、転移・帰還の時間は同時刻に合わせるようにする条件でだ。こちらの世界でいくら時間を過ごしても、時間さえ合わせれば元の世界の時間は経過していない事になる。その逆も然り。
「……ここんとこの俺らの境遇、横暴過ぎんだろ。ってことは衣食住の確保が要るぜ」
「でも、どうするのさ。俺達だけじゃ……」
元の世界のことまで含めると、あまりに多くのことが一度に起こっているらしく、エインは半ば状況を受け入れられずにうなだれたような様子になっていた。トールも途方に暮れており、両手で頭を抱えている。
「それについては、既に戸籍の用意などは進めているところだ。だが、完成には君達が何処に居を構えるかを決める必要がある。……よろしいか?」
そこで助け舟があるという事を語り始めたのは、手を組んだままエイン達を見ていたアシュターである。フェイは転移に関する関わりは無くとも予見はしていたらしく、事前に依頼をする形で手を回していたらしい。流石に精神的に未成熟な未成年であるエイン達には、重役の持つ貫禄は重いようで、返事は静かにうなずくだけであった。
「うむ、ガルド准将」
「はっ。君達が我々の敵対勢力に狙われているという報告を鑑み、適切な場所に移住してもらいたいのだが…… 君達にも意思というものがある。よって選択肢を与えようと思う」
「エインさん達の身の安全に関する配慮です。行動に制限が掛かったりはしないので安心してください」
エイン達の返事を確認したアシュターは、以後の説明をガルドに促す。そして、彼らの住まいもある程度既に手配していること、そしてその理由までを簡単に説明、補足としてフェイが、基本的にミナガルデ市街地内に居れば安全であることと、軟禁などの状態にはならないという事を伝える。
「一つは俺の家だな。最も近い位置で保護しやすいから理想的であるし、場所など未だかなりの余裕があるのだから、君達にとっても住み易いだろう。昔はジェノスも養子にしていたしな」
「あの頃か…… 懐かしいっすね」
「ふふ、そうだな。もう一つはこちらでマンションの一室を用意する。その際は君達だけで自立して生活して貰う事になる」
続いて、この世界に滞在するにあたり、エイン達に住んでもらう住居についての説明を、ジェノスと昔を懐かしみながら行っていくのだった。とはいえ、こちらの世界に飛ばされて急な話であるので、エイン達の方はすぐに答えを出せずに考え込んでいる。
「すぐに答えを出さなくても構わない。先にセーフハウスとしているあるホテルの一室を手配している。決まるまではそこで生活するといい」
「わかった。こうも至れり尽くせりだと流石に感謝するしかねぇな」
このことも既にエイン達以外にとっては想定済みであり、察したガルドが仮住まいの方の説明まで行う。高級ホテル並みの居住感に従業員のサポートなどもあるので快適な生活を保障…… 仮住まいとしては贅沢すぎる条件に、二人は承諾の意を表し、当面の生活面についての問題はこれで解決した。
「さて、次は商談といこうか…… エイン・レチェンドと言ったな」
返答を受けたガルドはややあって、何かかすかに呟いていた。そして、一旦間を置いてからフェイと席を替わり、エインと正面から話を始める。
「君の戦闘データはすでに確認済みだが…… 流石にあのような力は公にすれば混乱を招く。いいか、緊急時以外は決して使うな」
「元々魔術師ってのは日陰者だ、それぐらいはわきまえるさ」
まず最初に告げたのは、報告を受けている“魔術”の使用制限…… というより、事実上の使用禁止というものだった。あれが起現力と同様に超常能力であることは誰の目にも明らかであるので、無用な混乱を避ける為に釘まで刺して敢えて一番最初に厳命したのだ。エインの方も元の世界でも似たような立場であったことを話し、ガルドの話に十分理解を示して承諾するのだった。
「しかし、我々の持つ力とは違った強さは、俺としては欲しいと考えている」
「……何が言いたいんだよ」
とはいえ、エインの持つ魔術という特別な力は、起現力と比較した際の利点…… 強力な力を継続して使用できるというところに着目すべきところである。ガルドは“それ”が欲しいと感じており、ある程度口に出すが、聞き手側のエインにとっては何が言いたいのかが不透明であった。
「俺が見る限り、エイン・レチェンドという人間は…… “戦場でしか生きられない”」
「……っ!」
そんなエインの眼を真っ直ぐに見据えたガルドは、自分から見たエインの人間像を、一切飾り付けずに直球でぶつける。これにエインは図星のような、あるいは他の感情…… 様々な複雑な思いに駆られるが、否定する言葉を出すどころか思いつくことすら出来ず、噛み殺しながら黙るしかなかった。
「もう言いたい事は、分かるな?」
「……嫌でも、な」
彼らが交わしていた会話の意味…… それはトールただ一人を除き、全員が理解していた。ガルドが行っていたのは一種のスカウト。そして、エインは“闘争”こそが自分の生きる術の中で、唯一無二に近いほど最も優れた要素であることを嫌でも理解していた。加えてガルドが放っている覇気にも近い圧力が、選択の余地を与えていない。
「商談成立、と受け取るぞ」
「先に色々整理させてもらうけどな。そこまでさせないほど、アンタも鬼じゃねぇだろ?」
暫く続いた長い沈黙の後立ち上がったガルドは、承諾と受け取ったことをエインに伝える。それに対して、今のところは仮承諾という事にしておいて欲しいとエインは頼み、ガルドは一も二も無く承諾する形となった。
「今日のところはこれで充分だろう。仮住まいには部下が案内する。既に用意は出来て居るから、部屋を出たらついていくと良い。ジェノス、ウル、お前たちも下がって良いぞ」
以上で、全ての用件が済んだことをガルドがエインに告げると、同時に執務室の扉が開き、そこにはSPを思わせる黒服の男性が数名ほど控えていた。言われたとおりにエイン達が彼らに先導されて部屋を去ると、ジェノス達も後に続くようにこの場を後にする。それぞれ、自分が向かうべき場所に行くのだが、ふとウルが呟く。
「私達、影薄くなかった?」
「……気にしたら負けだ」
第八十五話 終 To be continued…
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お久しぶりです。ナルガEXです。
確認しました!
先が完全に見えなくなりましたねw
次回が楽しみです!
あと、ペンネームを変えました!
次の話が完成したらストーリーテラーでこの名前を使うつもりですw
ご確認ありがとうございます(^-^)
更新間隔が遅れていますが、地道に進めているのでご安心くださいね♪
それでは、また~(^∀^)ノ
こんばんは~ 今回はナルガさんにもう一つ確認していただきたいものが出来たので参りました
こちら側の人物紹介に合わせた、エインとトールのプロフィールです 問題が無ければこちらの人物紹介にそのまま掲載する予定です
内容は以下のとおりです~ では(゜ω゜)ノ
名前:エイン・レチェンド Ein Rechained
種族名:人間
年齢:17歳
性別:男
身長:175cm
体重:62kg
髪型: ショートヘアー
髪の色: ナチュラルブラウン
瞳の色: 黒
武器:ソルダートアサルト・カービン(正式名称:新62式突撃小銃) 老山龍砲・極
防具:ハプルシリーズ型機動装甲にフルフルZ(頭部以外)装備を着込んでいる
愛想の無さや口の悪さ、特に反抗的な口調が目立つバッドガイ。
必要以上に他人を寄せ付けようとしないが、その裏には困った人間が居ると助けずには居られないという、お人好しな面が隠されている。面倒見のよさという違いはあるもののジェノスと人格的に似通っており、内心馬は合っているのだが、他人から見るとあまりそうは見えない。また、周囲の人間の性格上、表面の性格がなりを潜めたり、調子を狂わせることが多い。
戦闘時は相手が強いほうが燃えるタイプで、これが災いして自己判断での引き際はあまり良くないという傾向がある。とはいえ若年ながら後述の理由で戦闘経験が豊富らしく、兵士としてはプロフェッショナルと言える実力を備える。
服装には気を遣うが、面倒くさがり屋なために他の身だしなみにはそれほど気を遣っておらず、服はしっかりしているが髪がぼさぼさなど、やや偏った容姿を持つ。
実は、私達で言う“現実世界の未来(その平行世界の一つ)”から転移してきた人間であり、その世界の“魔術師”である。実戦経験の豊富さは賞金稼ぎや傭兵を生業としてきたが故のもの。
そのため、この世界には基本的に無い“魔術”の行使をはじめ、武装は支給されたもの以外にも実在する銃器を愛用するなどの特徴もあり、持っている知識なども実在のものに準ずる。ただし、それゆえに常識のズレが生じており、人生の多くを実戦経験に捧げたために、それに拍車をかけてしまう場合も。趣味の銃器いじりなどがまさにいい例
戦闘能力に於いても、両世界観では身体能力の基準が大きくズレている。そのため身体能力では大きく水を開けられており、それを魔術や特殊能力で補う。また、過酷な状況ゆえの急成長も見込めると言える。
名前:トール・マクライシス Thor Ma Crisis
種族名:人間
年齢:14歳
性別:男
身長:156cm
体重:44kg
髪型: リフレッシュショート
髪の色: ブラック
瞳の色: 薄い青
人見知りで気の弱い性格が特徴の少年。
出来るだけ当たり障りの無いように接しがちだが、他人を遠ざける傾向が薄い分エインよりは社交的。思春期真っ只中の普通の少年なため、やや繊細なところもあり、そういった面ではリオンとの共通点が目立つ。また、同じ理由で端麗な女性ないしはその容姿に弱く、緊張しやすい。ただし、調子に乗ると態度が大きくなったりなど、お調子者の面が見られることも。
容姿は年齢相応に幼い印象。他に大きな特徴は無いが、人並みに身だしなみに気を遣っているようで、エインのようにぼさぼさ髪だったりはしないようだ。
エインと同様、彼も“現実世界の未来”から転移してきている。転移は彼が原因と考えられており、何らかの力を秘めているようだが、その片鱗が見られることはこちら側では特にない模様。
エインと違って民間人であるものの、学校などの教育機関に身を置いたことがないのか、学問的な知識の欠如が見られる。このため、年齢相応の中等部に必要な知識までは教え込まれてから学校に通う事になるが、通学後もエインと同様の理由で身体能力に悩まされる。ただし、彼は並外れた努力家であるという一面を備えており、結果的に驚異的な猛追をする事になる。
お返事確認させていただきました~
それでは、この内容で進めさせていただきますね(^^) もう少し本編が進んでから掲載します
今日はこの辺で失礼しますね~
どうもこんばんは、NIGHTMAREです~
今回もご確認いただきたい話が書きあがりましたので、よろしくお願いします(出来れば二週間以内?)m(__)m
注:現在掲載しているものの一話先の話となります
=C rimson Blaze=
第八十八話 エグゼクター
「よし、ジェノスは勝ったみたいだね。この感じで囮に遭遇し無かったっていう事は、多分残りは通常戦力……」
ジェノスによる起現者、即ちシアーズの撃破を確認したウルは、彼が最進行した事に安心感を覚え、予定通りに索敵を続行する。他のメンバーの二倍以上を誇る巡航速度と裂く敵範囲を活かし、凄まじい効率で索敵を進めていたため、居場所についてほぼ当たりをつけていたウルは、その箇所を一つ一つ調べているところであった。
「ただ、これは喜んでいいやら悲しんでいいやら……」
ジェノスの勝利を喜んでいる心の片隅で、微妙な心境もウルは抱えていた。あのチンピラもどきコンビまでも障害を排除し、こちらを目指していたのである。彼らでさえ仮にも同じ部隊に所属する起現者なので、実力“だけ”は確かなのである。脅威を排除してくれたことは確かに助かることであり、実際それが彼らの唯一役に立ってくれるところではあるが、それ以外では何をしでかすか分かったものではない……
「まぁあんなの、相手に直接護衛してるのが居なければ、どうとでもなるか。……と、怪しげな反応見っけ」
とはいえ、そういう連中だからこそ手綱を引く手段は用意していると言うもの。元よりそのつもりだと心を切り替えた頃、センサーに多数の人間らしき反応を見つけた。彼らは付近の洞窟に隠れようとしているように動いており、ほぼ間違いなく当たりを引いたと確信する。瞬時に先回りするルートを構築し、ラージブーストを展開して動力伝達を集中、亜音速巡航を開始する。
「あの二人も近いなぁ…… ええい、ままよっ」
ウルの索敵情報は随時他の三人にも伝わっている為、当然ながら問題児共も接近していた。嫌がるように顔をしかめたが、寧ろ先に到着しておく事を最優先とした。
「もう少しで身を隠せるところに辿り着ける、正念場だぞ」
正面に巨大な岩を臨みながら、森の中をゆっくりと行軍している兵士達がいた。彼らの半数ほどは応急処置を施された負傷兵であるらしく、素早く行動をするのは困難であるようだ。彼らは一帯の地図を端末で表示しつつ、身をおける場所として選んだ洞窟を目指している、というところだ。
「隊長代理、本当に大丈夫なんですか? ここらの洞窟内は極寒だって聞いた覚えがあるんですが」
「シアーズ殿の話を信じるしかない。今はそれにすがらねば、彼らを助けられん」
戦闘にいる者のすぐ後ろに控えている兵士が、歩きながら不安そうな表情で口を開く。確かにメタペ湿密林の洞窟の多くは、内部気温が極めて低く、寒冷地での体温安定剤であるホットドリンクの類が無ければ逆に体力を消耗する事になる。しかし、隊長代理と呼ばれた兵士は気温による影響が無い場所を聞いているようで、今向かっている場所はまさにそこだった。
「周辺の偵察が完了しました、特に脅威は無い模様」
「解った、このまま行けば――」
一通りの受け答えを終えた頃に、斥候として放っていたと思われる兵士が合図をしながら正面から現れ、一帯に危険なモンスターなどは存在しないことを報告する。希望を見出せた隊長――便宜上こう呼称する――は安堵の笑みを浮かべ、案内を受けながら移動を始める。
――しかし、異変が起きたのはその時だった。
異常な量と圧力を伴った“水”が、突如彼らの目の前を掠めるように薙ぎ払ったのだ。これを目で認識した直後、衝撃波の余波である突風と爆音が彼らを襲う。音はともかく突風と自分自身の驚愕に身体を押し込まれた面々は、体勢を崩して尻餅を付いてしまう。
兵士たちの眼前に、飛び越えるなど無謀なほどの巨大な溝を作り出した水は炸裂し、周囲に雨のように降り注いでいた。すると、徐々に視界が晴れていき、何者かの姿が見えてくる。
そこいる者は人間大の大きさでありながら溝上を滞空しており、前にいる者たち、とりわけ隊長にとっては想像していた通り機動装甲を身に纏っていた。上半身は直線、下半身は曲線的なフォルムをもつ重厚な装甲、特に腰から広がっている巨大な花弁のようなスカートアーマーが特徴的であり、空中をブレずに滞空していることから、高性能な機動装甲を装備していると想定できた。
「……!」
「よせ、今の俺達じゃ機装兵は相手に出来ん。それに今のは、例の“力”だろう」
一部の兵士が突如現れた正体不明の存在に銃口を向けるが、隊長が立ち上がりながら後ろの兵たちに右手をかざして制止する。そして、彼はシアーズから受けていた伝言を思い出す。
――追っ手は恐らく君達では勝算の無い相手だ。遭遇したら投降したまえ、相手が人格者であることを祈ってな。
「こちらクルセイド、ドンドルマ方面軍第五一九二小隊隊長代理、アロフ・E・マクラーレン曹長。そちらの所属は?」
「PHADUO特殊作戦軍、第零独立多目的特殊部隊、第十機装兵隊“オルトロス隊”所属、ウルスラグナ・ジルクロフト中佐。こちらに攻撃の意思はない、直ちに武装を解除して投降せよ」
今となっては遺言となった彼の言葉に従う前に、隊長はまず所属を明らかにするためコンタクトを計る。それに対し、形式的ながらもやや安堵したような女性の声色で所属を明かす彼女は、当然と言えば当然、先行していたウルであった。相手の安心感を高める為、バイザーを上げて素顔を晒すと――
「了解、勧告に応じ、武装解除の後投降する」
「賢明な判断、助かるよ。安心しきるには早いけど」
ウルの降伏勧告に応じた隊長、アロフは、全員に武装解除を促して抵抗の意思がない事を表明する。しかし、その直後にウルは鋭い目つきになって彼らの左後方を睨み、同時に右腕のライトカノンを展開してそこへ砲口を向ける。
「ハッ、さっきは面倒だったが、今度はザコ共か!」
「ヒャッハー! 今度は楽しめるぜ兄弟!」
そこからは血走った目を投降した兵士たちに向けて、猛進している類人猿が二匹、もといセンチュリーチームが居た。ウルが降伏勧告を行うことは、各機のネットワークから伝わっているはずだというのに、己の狂気を剥き出しにしている。このままでは、彼らが持っている柄の長いトゲ付き鉄球と短く巨大なトゲ付鉄球が、兵士たちを虐殺の対象にしかねない…… 完全にウルの意向に添わない行動である。
だが、暴虐の徒が意向に沿わない以上、そこで何もしないウルではない。
「エイン君、“コード・コンドル”」
ウルが兵士たちの降伏勧告を行う少し前、作戦区域から十キロ近く離れた岩場の高台に伏せ、ウルたちの様子をつぶさに見ていた者が居た。そう、作戦の現場に一切姿を現さなかったもう一人の存在、エイン・レチェンドである。
「いつも思うが、機動装甲ってのはスゲェな…… こんなバカみてぇな距離なのに、楽に相手を追える」
彼は普段着で参加する羽目になった初戦とは違い、“こちら側”の装備で完全に染まっていた。装備しているのは、構成素材がモンスター素材である割合が多く、ハンター工房で受注生産される特殊な生産形態を持った、“ハンター用装備”のギルドウォリアーによる独自改良型。高い生存性と軍用機に近い兵装運用能力から、軍の一部上位部隊でも使用されている“ハプルXシリーズ”…… のみならず、鎧と言うより外骨格に近いスマートな構造を利用して、その上からフルフル亜種の素材を使った繊維装甲を主体とした、“フルフルZシリーズ”の装備を上から着込んでいる、二重装備状態である。ハプルXをフレームとして扱い、フルフルZを外装として利用しているのだ。
余談だが、長時間どころか数ヶ月単位の長期間の狩猟活動という過酷な運用に耐えることを前提とした“ハンター用装備”である為、連続稼働時間と信頼性に限って言えば、ジェノス達の装備をも凌駕するどころか、天地程も差があると言っても過言ではない。
「それにしてもこいつ…… どう見てもデカくして老山龍の皮を被せたバレットM82…… アンチマテリアルライフルだよな」
そして、伏せながらスコープを覗きつつ狙撃兵のように構えている、身の丈を遥かに超える大きさの得物…… こちらは老山龍が自主提供している素材をふんだんに使って造られた、三十ミリ大型ヘヴィカノン、“老山龍砲・極”を対オーバーG用に改良したものだ。とはいえ、元々が対超大型モンスター用の強力なものなので、こちらは素のままで充分すぎるほどで、使用する弾頭によっては戦場を瞬時に火の海にする事さえ可能である。
「にしても、アレはヤバいんじゃないのか? あの二人の考えガン無視する気満々じゃねぇか」
スコープでジェノスやウル、そしてあの二人の様子を見ていたため、ウルが敗残兵達を見つけたのも把握していたエイン。しかし、例のあの二人の動き方を見て勝手な行動を取り得るのはエインから見ても明白であった。
ここで、エインはブリーフィングルームで、最後にガルドに呼び出された時の事を思い出す。
「ロクでもないって、俺に何させる気だ?」
「……お前の役目は基本的に先ほどマキが言ったとおり、現場チーム四人のサポートだが、もう一つ仕事がある。これは俺のお前に対する“小手調べ”でもある」
時はブリーフィング直後、ガルドがエインを呼び出したところまで巻き戻る。ガルドとマキが猛獣二匹のことで愚痴りあっているところにエインが割り込み、本題に入ったところである。ガルドにはエインに命じることがあるようだが、表情はやや険しい。
「センチュリーチーム、まぁ柄の悪いあの二人が居ただろう。あいつらがジェノス達の意向に沿わない行動をした時の為に、お前に対して出すコードを用意している」
ガルドがエインを呼び出した理由は、モヒカンとスキンヘッドの両名に関係する事であるようだ。エインとしても予想の内にはあったが、あの連中を俺にどうしろと、という意思を目で訴えている。
「コード・コンドル…… これが発令されたときにお前が取る行動は一つ、奴らを行動不能にすることだ。……命を奪ってでもな」
「今回の作戦は、貴方が指令に対して躊躇無く行動に出るための痛みを緩和するための、いわば最後の試練です。 更に言えば、貴方への指揮権はこちらとウルスラグナ中佐、ジェノス中佐です。 持てる力を遺憾なく発揮して目標を撃破してください」
「本気、か? 仮にも味方なんだよな、アレでも」
しかし、その意思をほぼ流して淡々と説明を続けるガルドだった。だが、その内容は例の二人が命令違反、もしくはそれに準じた行動を取った際の、事実上の抹殺命令だった。恐らく、表情が険しいのはジェノス達と正式に組む初の任務で、いきなり汚れ仕事をやってもらうことになり得るという事が原因だろう。しかし、この命令を下す言葉そのものには全く躊躇が見られない。 マキすらも朱色の目を輝かせて嘲笑の下、確実に殺害するよう限り無くストレートに命令している。 この二人、気持ちは抹殺してほしい方向に傾いているであろうことは見て取れる。 マキはセンチュリーチームの機動装甲の弱点を表すシミュレート画像を見せ、確実に撃ちぬける部位を指差していた。
対するエインは雇われたばかりの部隊で、いきなりこのような命令が飛んできた事にやや戸惑っている様子だった。この手の任務遂行の経験があるかは不明であるが。
「連中を“味方”だと思うな。“人”であるとさえ思うな。奴らは強力なだけが取り柄のただの“力”、人の形をした兵器。最も簡単に言えば道具に過ぎん」
そこでガルドはエインの眼とマキの眼を交互に見据え、センチュリーチームのように平時は監禁状態にしている者たちに対しての見解を伝える。人の手で直接制御される銃器や戦車などと言うよりは、どちらかと言うと使い捨ての銃弾やミサイルなどといった存在として見ているようである。貴重ではあっても容赦なく切り捨てるところで一層強調している。
「じゃあ、あのぶっ飛んだ連中は基本的には敵でも味方でもなく、指揮権に服さないなら敵と見なして対処しろってとこか」
「概ねその認識で構わん」
「わかった、気乗りするって程じゃねぇが、身内の不安要素の対処と思えばやりやすい」
エインはガルドやマキの話を聞いて、自分なりにどう認識したかを命令の確認とあわせて話す。そして、問題ないというガルドの返答を受けた彼は指示を受諾、任務に向けて準備を進めるのだった。
――そして時は戻り、今。
「エイン君、“コード・コンドル”」
その不安要素が今まさに、無抵抗の敗残兵に対して猛進している中、エインの予想通りウルによるコード発令が行われた。瞬間、エインは老山龍砲を構え直し、ウルがネットワークを通して指定したターゲットに対して砲口を向ける。
(いいか、あのクラスには同格の者による牽制でもなければ、初撃で当てるのは物理的に不可能と言えるレベルだ。だが――)
「警戒が薄い相手なら…… だから小手調べか」
出撃前に聞かされたガルドの言葉を思い出しつつ、彼の言っていた小手調べの意味を理解するエイン。そして、マキに言われたとおり自分に出来る全てを懸けようと深呼吸をする。
「確実にブチ抜く…… エンチャント・アルムス(兵装・魔術強化)」
エインが呟くように言霊を唱えた時、手にしている老山龍砲が紫色に輝く。更にストックの方から銃身の先にかけてゆっくりと、内側からより強い光を放つようになり、それまでとは雰囲気を一変させていた……!
「加えて…… コッレクティオ(改装)、ブレット・アクセル(弾体加速)」
相手の位置情報を捉え続けながら、続けて詠唱を行い、可能な限り砲の強化を図るエイン。二度目の詠唱が掛かると砲口からうっすらとした紫色の光が伸びていき、一定の間隔を置いて弾道に沿った魔法陣を一つ一つ展開していく。やがてそれは、積層された魔法陣によるもう一つの砲身となるのだった。
「ターゲット・インサイト、時間停止…… くっ、やはり重い……」
発射する準備が整ったエインは、次に違反者の片割れを自分の力と火器管制システムの力を総動員してスコープの中央に納める。そして、限界まで集中する事によって自分の体感時間を刹那の世界に落とし、その上で時間を停止させる。久しぶりに感じる反動の重さを感じながらも、時間を止めた一瞬に全力を懸ける。
(後は、トリガーを引いて点火するのみ……!)
「照準固定、ディールプティオ(破壊する力)・シュート!」
エインが狙っている事…… それは、一瞬の間で少しでも砲弾を前に通過させることにより、相手の視点では“砲身の遥か先”から砲弾が撃ち出されているという状況を作り出すことである。相対的に着弾までの距離・時間が短縮されるので、命中率を底上げできると言うものである。
その準備が全て整い、停止している相手に完全に照準を固定したエインは、最後の詠唱と共にトリガーを引く……! 瞬間、砲口の光が眩い輝きを放ち、エインの魔術で強化された老山龍砲の砲弾が、周囲の岩盤を抉るほどの強烈な衝撃波を伴って射出・飛翔する!
「あ? この感じは…… ――あべし!」
猛獣の域すら凌駕する超反応で、何かの気配を察知したのは柄の短いトゲ付き鉄球を持ったスキンヘッドのほうだった。いや、反応そのものはモヒカンもしていたが、もう遅い。……首を一瞬傾けた時には、その首はおろか胴の上半分近くまで消し飛んでいた。断末魔を挙げる間もないはずなのに断末魔が聞こえたのは謎だが。
その一、二秒ほど間を置いてから彼の遥か先の場所で粉塵が巻き上がり、モヒカンが居るところまで炸裂音が鳴り響く! その振動に揺らされたかは不明だが、時を同じくしてスキンヘッドだったものはゆっくり膝を付き、その場に倒れ伏すのだった。
「ターゲット、ヘッドショット」
「一旦コード停止ね、ナイスキルだったよエイン君」
対象の撃破を確認したエインは、砲の右側に付いているボルト――ここではレバーの一種と捉えて差し支えない―ーを引き、役目を終えた薬莢を排出、弾薬の再装填を行う。老山龍砲に限らず大半のヘヴィカノンは、一発目を撃ってからの再発射時にトリガーを引く以外の動作が不要であるセミオート方式だが、彼はスライドストップ機能を使用して一部機構の稼動を抑制、現在の方式であるボルトアクション方式に切り替えていた。これは、発射サイクルの動作を簡略化し、少しでも精度を向上させる措置である。
曰く、兄弟であったものの無残な姿を見て固まった状態になっているモヒカンを見て、ウルは彼に砲口を向けたままエインへの命令を一旦解除する。そして、平時では到底聞けないであろう言葉でエインを労った。
「今の、まさかあの――」
「いつまでも喚くな駄犬、耳が腐る。安心しなさい、粒子は回収できてるから」
後から感情が追いついてきたモヒカンは、怒りの感情と共に自分の兄弟の命を奪った者を探そうとするが、そこでウルが心に杭を刺す勢いで辛辣な言葉を言い放つ。戦場に身を置いている上に狂気の塊を相手にしている彼女は、これ以上ないほど言葉に容赦が無かった。
「向こうに起現者が居ない以上、貴方を起現力も使わせずに終わらせてあの人達を確保するのは簡単だよ。……それでもまだやる?」
今の言葉で怒りの矛先を変えてきたモヒカンに対して、ウルは先程の射撃が味方のものであることを半ば明かし、一対一の実力差が大きい事も利用して、置かれている状況を思い知らせる。実際、それが真実であることが何よりの脅威であることを認めざるを得ない彼は、悪態を付くことしか出来なかった。ウルの考えとしては無駄な争いを避ける意図もあったが、それ以上にこのような下衆に使う弾が勿体無いと言うものだった。
「丁度ジェノス君も来たみたいだね。こちらオルトロス2、状況終了」
現状の現場責任者であるジェノスが来た事がトドメになったと判断し、ウルは回収部隊の要請を行う。そして、捕虜の負傷者が多いことを考慮し、合流地点の変更も要請するのだった。
それから暫く時間が経過し、捕虜の一団の収容、エイン及びモヒカンの回収まで完了し、残るはジェノスとウルの帰還を残すのみとなった頃。最後の回収機を待っていたジェノス達に、ガルドから連絡が入る。
「緊急事態だ。メタペタット付近に異常個体のラージャンが二頭確認された。移送部隊は、もう近いな。到着次第、急行してもらう」
やや急ぎ足の口調で、ガルドから市街地近くにモンスターが出現したという情報がもたらされる。このままでは市街地が巻き込まれる危険性があるとの事で、もっとも近い位置にいるジェノス達に緊急指令が下ったのだ。
「了解、ミッションアップデート。忙しくなりそうだ」
「えー、もう終わりだと思ってたのに~」
それをなにくわぬ顔で引き受けるジェノス。しかし、ウルは無線が切れた後に、ようやく戦場気分を抜け出したのに、とその場でへたり込んでしまうのだった。
第八十八話 終 To be continued…
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お返事確認しました、とても早い回答で助かりました(^^)
また新しい形での描写でしたが、エインの描写がうまくいっていれば何よりです
それではまた~(^-^)/
こんばんは、かなりご無沙汰してます~ 今回は少し質問があって来ました
今エインとトールが登場する話を描いているのですが、彼らはフェイの事をどう呼んでいるのでしょうか?
他にも特定の人物によって呼び方の指標などはどのようになっているでしょうか?
ご覧になっていましたら回答よろしくお願いしますm(__)m
ご無沙汰で〜す!
そこは、普通に「フェイ」で大丈夫だと思います!
他の人物に対しては......普通に苗字で大丈夫だと思いますw
最近はオフラインで文書の練習をしてます。
またいつか、一緒に何か書きましょう!w
返信ありがとうございます~ なるほど、呼び捨てなのですねぇ
とすれば名字で被る人は名前で呼ぶという感じで良いとして、もう少し詳しい質問をしても良いですか?
例えば、呼び捨てか敬称(さん、など)をつけるとかそういうものですね。目上、目下、年上、年下といった相手、尊敬できる相手などにどう呼んでいるのか教えていただけるとありがたいです~
こちらで決めたほうがいい状況があれば対応させていただきますね
それでは、練習頑張ってください^^ 共同執筆楽しみにしてますね~
遅れてすみません;;
エインの場合は、基本呼び捨て&タメ語ですかね?
こちらの頭の中のイメージでエインが敬語使ってる場面が思い浮かばないのでw
トールの場合であれば基本的に敬称(さん)&敬語ですね。
まぁ、細かい部分はそちらの方で決めてしまってもあまり問題は無いと思います。
ナルガさん、ご回答ありがとうございますm(__)m これで大体の指標が固まりました~
これならスムーズに進められそうですので、近いうち(うまくいけば明日)に一話ぶんのサンプルをこちらに提示しますね(^^)
それではまた~
こんばんは、多忙でかなり遅くなってしまいましたorz
例のストーリーが書き終わりましたので、一話こちらに置いていきますね
トールの視点による一人称なので、ナルガさんにとっては新鮮かも? 彼の設定を考慮し、敬称はつけますが敬語は使わずに描きました。少し後(多分二話あと?)になってから使わせようかと思います
それでは、ご確認お願いします
~Peace Planet~
第九十三話 脳裏を埋め尽くす毛力(もうりょく)
やあ。
え、いきなりそんな挨拶されてもわからない? あはは、俺なんて分からない事だらけさ。
自己紹介が遅れたね…… 俺はトール・マクライシスっていうんだ。元々は身寄りも無くて、食いつなぐ為に盗賊まがいのこともしていた身の上なんだけど、そこから何をどうしたのか……
色々と良く分からない事に巻き込まれて、挙句の果てには自分が住んでいた世界と別の世界に飛ばされてくるっていう破天荒な人生を、若くして送っちゃってますよ。詳しいことは思い出すだけで頭がぐちゃぐちゃになりそうだから勘弁してくれるかな。
しかも、元の世界とこの世界で同時にすごさなきゃいけないっていう意味分からない事になったもんだから…… で、住む場所が必要になったのをいろんな人が手を回してくれて、それで苦労せずにこの場所での家を見つけることができて、と言っててなんだか良く分からない感じになってきたけど、まぁそんな感じ。
それで、今ジェノスっていうコワモテなにーさんに連れられて、その家の前まで来たんだけど……
「思ったよりかなりでけぇ家だな……」
「うん、遠くからだと普通かと思ったけど」
思った事を先に言われた…… と思って俺は隣を見る。そこに居るのはエイン・レチェンドっていう、まぁ俺の連れ…… っていうか俺の方がエインの連れって立場なんだけど。夏日に厚着でこの世界に来たもんだから、脱いだ黒のジャンパーを肩にかけて暑そうにしてる。エインって基本的に無愛想だから、俺が上手く話を切り出さないとめんどくさいんだよなぁ。元の世界では世話になってるしありがたいんだけどさ。
それにしても、ほんとでかいなぁ。飾り気も無い三角屋根の家ってぐらいしか説明しようが無い、何の変哲も無い見た目だから分からなかったけど、近くに来るといわゆるえーっと、豪邸? みたいな大きさだから距離感がおかしくなるよ、この家。傍にある庭もものすごく広いし、さっきから空飛んでる龍が降りてきて普通に歩きまわれるくらいあるんじゃない?
「そいつも、ここに白羽の矢が立った理由だな」
「しらは……?」
「要するにここに決まったって意味だ」
俺達が家を見上げていると、前で案内してた赤コートのコワモテさん…… ジェノスが、こっちに少し振り向いてから、なんか難しい言葉で説明してきた。よくわからなかった言葉はエインがフォローしてくれたけど。なんか、今のジェノスってちょっと得意気な感じだった気がする。まるで自分の事みたいだ。
――なんてこと考えてる時だった。
「つっ!」
「うわぁ!?」
突然俺の身体の中を、一瞬で電気が走ったように痺れが走った。エインもそうだったのか、一瞬身構えてから辺りを警戒しながら、ジェノスにも食ってかかろうとしてるけど……
「ん? ああ、心配すんな。大した事じゃねぇから落ち着け」
なにこの全然余裕な顔。この様子だと、何か知ってるみたいなんだけど。なんて事を考えているうちに、ジェノスはさっさと家の玄関前まで歩いていって、呼び鈴を鳴らしていた。エインはあまり納得してないのか、舌打ちしながら渋々ついてってる。
「はーい。あら、ジェノス? 時間通りね」
呼び鈴を鳴らしてから少し待っていると、すぐに玄関が開いて誰か出てきた…… 女の人の声、と思ったらなんだか物凄い美人が出て来たんですけど!? なんていうか、若いんだけどとんでもなくボン、うぁぁ、説明できるかぁ! しかもそんな見た目を薄着なシャツとやたら短いスカートで見せ付けてるし……
「エルさん……」
「ああ、言おうとしてることは解ってるわよジェノス。まぁ、性分だから仕方ないっしょ。リオンも慣れてるんだし大丈夫」
「いや、エルさんが親だからでしょうそいつぁ」
俺の反応を見てから出てきた女の人に、呆れたような話し方で呼びかけていた。女の人も俺を一瞬面白そうなもののように見てから、ノリの軽い笑い声を交えてジェノスに手を振り、平気平気と返してる。いや、全然平気じゃないから勘弁してよ。
「あら、ジェノスにとってのお母さんでもあるつもりよ? いつでも遠慮なく甘えてきて良いんだから」
「いや、もうそんな歳じゃねぇつーか、話を摩り替えられても困るっす。……オイお前ら、挨拶ぐらいしねぇか」
「家族、か」
どうもジェノスもこの人にはたじたじみたいだね。楽しげに自分のペースに巻き込んじゃってるけど、今の話をしてるときは凄く優しそうな雰囲気だった。そういえばこの雰囲気と顔を見てると、頭の中でフェイとダブるなぁ。
フェイかぁ、そもそもあの人に元の世界で最初に会った時からして何から驚いて良いか訳がわからなかったな。青緑っぽい髪と目をした綺麗な人が出てきたと思ったら、バケモノみたいな強さを何度か見せ付けられたし、見透かしたようなわけ分からない事をいってくるし。お蔭で何度か助けられたこともあったけど。
そんなときに、ジェノスは俺達を逃げ道にするようにこっちを見て、小さく声をかけてくる。っていってもこんな人相手にまともに顔見て話せるか…… すると、さっき上を見ながら何か呟いてたエインが反応して、次にガチガチになってる俺の様子を見てからため息を付くと、代わりにと不遜な感じを変えずに女の人へ向く。立場が逆になっちゃったな、しかたないけどさ。
「今日からここで世話になる、エインだ。で、こいつはトール」
「話は聞いてるわ。私はエルグリアス・ヴェリア、ガルドの妻よ。面倒だと思うから、エルって呼んでね」
なるほど、どうりで。さっきこの人が言ってたガルドさんは、俺達の暮らしについて色々と協力してくれた人だ。確かあの人のフルネームがガルデリウス・ヴェリアだから、フェイと苗字が同じなわけで。あの人の奥さんなら顔が似てても少しは納得が行く。
気さくに愛称まで教えてくれると、ここで立ち話もなんだからと俺達みんなに家に上がるようにと、手で招きながら伝えてきた。まぁ俺はあの人を目に入れないようにしながら、エインたちについていくんだけどね。
「広っ!?」
中に入ってすぐにある居間を見て、俺は思わず思った事を思いっきり声に出してしまった。いや、だってホントに広すぎるんだから。“家”って言える建物でこんなに広いとこ、俺知らないんですけど。見るからに食卓っぽいでかいテーブル、奥にはくつろぐ為のソファがこれまたでかいテーブルを囲んでるところがあるし。それでもってなにあの真っ白なクッショ、ン……? にしてはやけにでかいような。
「あ、ジェノスお兄ちゃんっ」
「おかえりなさい」
「ただいまレナ、リオン。今日は客を連れてきてる」
いつも通り何から驚いて良いのか解らない気分でいると、ソファに座ってた二人の女の子がジェノスを出迎えようとしてた。片方はオレンジ色の長い髪で明るい感じ、金髪の方は大人しそうだけど柔らかい笑顔を浮かべて、どっちもいかにも美少女って感じ。どっちもフェイを思い出すような顔だけど、特に長い髪の方はフェイとあのエルさんを混ぜて小さくしたみたいな見た目だなぁ。
「……で、俺も初めて顔合わせるのがいるな」
「そうなの?」
こういう時、どうすれば良いのか分かっているみたいに二人は奥のソファに向かって行く。そんなときになんとなくジェノスを見上げると、ジェノスも見慣れないのがいたのか、少ししかめたような顔っていうのかな。そんなのになってる。
視線の先には、なんだかレナって呼ばれた女の子の髪に光沢が付いたような髪色の美人が後ろ向きで誰かと話して…… ってあれフェイじゃん!? フェイがその人の肩を叩くとこっち向いて…… え、なにあれ? 何ていえば…… とにかく美人だ。
っていうかさ。女子率高いどころじゃなくない? 今のところ男の人誰も居ないんだけど。ええぇぇ!?
「ささ、座って座って~ 別口からまた新しい家族が出来たし、まずは顔合わせと行きましょっ」
俺の頭がぐちゃぐちゃになりそうになるところで、エルさんの声が入ってきた。どうもあのソファでとりあえずは挨拶しようって事みたいだけどさ、俺ちゃんとできるかな。すっごい自信ない。
「改めて名乗らせてもらう。ここで世話になるエイン・レチェンド、聞いていると思うが魔術師だ」
「と、トール・マクライシス…… よろしく」
それでいつの間にかフェイが用意した飲み物とお菓子がテーブルにたっぷりと用意されて、それを囲んで皆ソファに座って自己紹介って流れに。俺は白い巨大クッションの隣に座って、その隣にエイン、ジェノスって続く感じ。他は大体反対側に座って俺達と向かい合ってる感じだ。エインは相変わらず愛想なしの自己紹介で通ってるけど、俺の方はこんな環境じゃ緊張して、まともに話が出来なかった。つ、辛い……
ここの家の人も順番に、あ、フェイはもう知ってるから無かったけど、していく。エルさんはいかにも気さくな感じで、レナって子は元気そうな雰囲気で名乗ってた。ただ、リオンって子は俺と同じように緊張してるのか、途切れ途切れに自己紹介してた。この子だけが俺より年下みたいだ。緊張してるのが俺だけじゃないって思うと、少し安心する。
「フェイさん、もしかしてあの時の――」
「あー、うん。あの時の」
そんな自己紹介の間にフェイの隣に座ってる人がこっち側を、たぶんジェノスの方を見ながらヒソヒソ話してる。 子供っぽいけど綺麗な笑顔で凄く楽しそうだけど、ちょっとだけ声が聞こえたから、たぶんジェノスが初めて見る人なんだと思う。 でもあっちの方は話しでも聞いてたんだな。 でも、受け答えてるフェイはなんか微妙な顔をしてるんだけど。なんだろう、この雰囲気は。
「俺まで名乗る事になるとは思ってなかったが、初顔合わせがいるんだったらしかたねぇ。俺はジェノス、ジェノス・ウェルナードだ。どれくらい顔を合わせるかはわからねぇが、よろしく頼む」
自分まで自己紹介するのは考えても見なかったみたいで、少し頭を掻いてからあの綺麗な人に向かい合うと、気を取り直して自己紹介と挨拶をする。流石にエインよりしっかりしてるなぁ、うん。
「初めましてっ、ここでお世話になっています、グレイス・アダム・ヴェリアです。 お話はかねがね伺っています、これからよろしくお願いしますっ!」
ジェノスの自己紹介が終わった瞬間ってくらいに反応した綺麗な人は、ソファから飛び上がる勢いで立ち上がると、まるで太陽みたいに眩しい笑顔で、でもしっかりした自己紹介で応えてきた。 声高いなぁ、ていうか髪ながっ! 上で留めてるけど膝くらいまであるんじゃない?
「ん……? 俺も少しウルから聞いてる。ま、これからもこいつらと仲良くしてやってくれ」
ジェノスはあんな綺麗な見た目の人相手でも平気な顔で話できるのか、って回りも凄いから当たり前…… ってエインもそうか。いや、エインは根本的に何か違ってる気がする。気を楽にしたのか、顔を緩めてあのレナさんとリオンさんを見渡してからソファにもたれる。見渡されたほうも嬉しそうに顔を見合わせてて、名字が違うけど、あの二人にとってジェノスはしっかりとした兄貴分なんだなぁ。ってあれ? 顔が違うけどこの人も同じ苗字って思ってたら、それを見透かしたみたいにあのエルさんが、この人がフェイと夫婦関係だからって言ってた。あぁ、だから同じなわけね。
「で、ここの男女比率ってどんなもんなんだ。一応聞いとく」
「え、エイン?」
「フェイの前例があるだろ」
向こう側の自己紹介も一通り終わったときに、エインが唐突に質問を投げつける。いきなりの流れだからつい呼んじゃったけど、ここでエインがフェイを見る。あ、そういえばフェイってあの見た目で男だったんだっけ…… だったら何人か居てもおかしく…… おかしいよね。
なんだか俺の中で何かが音を立てて壊れそうな気がするよ、うん。
「はっはーん、あのトールって子が縮こまってるのはそのせいなのね。えっと――」
「エルさんが言うとややこしくなりそうなので、私が。そうですね、この場では私を含めて三人が男性…… いえ、一人は両方ですか。ここに居ない面々まで含めると後一人。女性は三人ですね」
ここであのエルさんが嫌な予感全開のにやけ顔で反応すると、それをすぐにフェイが止めてくれた。うん、また助けられたね、ありがとう。そして、この中ではフェイとリオンさん、そしてガルドさんが男で、他が女の人。グレイスさんが両方って言ってたけど、両方って何? 考えたり口に出そうとしたけど、なんかヤバい気がしたので考えるのをやめた。ともかく、意外にも男女半々なのは安心だ、うん。
「エイン、助か…… ん? あれ、これ――」
一通り見渡してからエインに振り向こうとした直前に、隣にあったでかいクッションが見えたんだけど、なんかおかしい感じがした。それで、それが何かとおもって少し眺めていると、微妙に膨らんだり縮んだりして…… 息してないこれ?
「もう“一人”女の子が居ましたね、そういえば。フェルミ、お客さんだよ~」
「んきゅ、エインにトール、さっきさわった」
そこで、フェイが今思い出したかのように、左の手の平を握った右手でぽんと叩くと、この息してる毛玉に声をかけた。
そしたらでかいクッションが動いた! モサモサしたと思ったら猫みたいな顔が出てきて、凄いユルユルした声で喋った! え、これなんて生き物? というか女って…… 動物じゃないのこれ?
「フェルミは、フェルミっ! ビリビリもフェルミっ!」
とか思ってたらなんか電気ピリピリしながら高い声で叫んだ。 あ、もしかして入り口前でビリビリしたのってこれが?
「あの痺れは、フェルミの自己紹介代わりだ。好きに撫でてやれ、喜ぶから」
「手触りは保証しますよ、まさに見た目どおりです」
「天にも昇るって、あんな感じよねぇ」
「そうそう、まさにそれ」
「ふわふわ……」
ジェノスから始まって、フェイ、エルさん、レナさん、リオンさんが続いて、このフェルミって言う何かをもふもふする事を進めてくる。一斉に勧めてくるもんだから戸惑っちゃって、それでフェルミという名の毛玉の方も見たら……
にぱー。
こ、これはやるしかない、やるしかないんだ……!
……もふ。
――……
――――……
――――――……
「……なにこれしあわせ。そうか、ここが天国なんだ」
「にゃうー、トール、げっとだぜ」
フェルミに触れたその瞬間俺の頭はもふもふで支配された。埋め尽くされた。焼き尽くされた。癒された。もう俺なに言ってるのかわからない。しかもフェルミは擦り寄りながらのどを鳴らしたり、猫みたいに気持ち良さそうな鳴き声だしたり、耳動かしたりしてる。なにこれかわいい。あはは、あはははは。
第九十三話 終 To be continued…
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いやぁ、流石ですね!
私にとってはとても新鮮な物でしたww
トール視線で物語を考えたとがありませんでしたからねぇ......。
参考にさせて頂きます!
あ、特に問題はないですよ!
こんばんは、NIGHTMAREです。またも間を空いちゃいました
以前こちらに上げた話の後編が上がりましたので、確認をよろしくおねがいします~
~Peace Planet~
第九十四話 嫌な予感しかしない……
「あら、早速フェルミに懐いたのね」
フェルミをもふもふして頭が吹っ飛んでたら、いつの間にか銀髪? いや、微妙に違う…… まぁそんな感じの綺麗な髪を横で縦ロールにしてる、またいかにも美少女な子がもう向かいのソファで座ってた。エインに聞いたら、軽く十分ぐらいはもう経っていると言われて俺は慌てて正気に戻る。でも片手はフェルミから離せなかった。いわれていたように、本当にゲットされてしまったのかもしれない。
「わたくしの名前はアテナ・レオンハルト・ヴェリア、お見知り置いて頂戴」
「……ああ、仕事の時に資料で見せてもらったな」
あまり年は離れて無さそう…… アテナと名乗った子の自己紹介は、他の人の自己紹介と比べても結構丁寧な気がした。初対面のフェイも似たような風だけど、やっぱり人それぞれなのか、この子にしかない感じがある。
なんて事を、フェルミを撫で回しながら思っていると、隣のエインがやっぱりぶっきらぼうに自己紹介を返して、けどその後に何かを思い出したかのように呟いていた。直に会ったのは初めてだけど、別の意味では見覚えがあったんだね。
ついでにいうと、俺も自己紹介を返したときは最初に比べてあまり緊張しなかった。多分フェルミのお蔭でほぐれたって言うかゆるくなったのかもしれない。
「しかし、お前こういうのにそこまで弱いんだな。すげぇ意外なんだが」
「いや仕方ないじゃん、エインも触ったらわか――」
「……やめとく」
自己紹介をまたひとつ済ませると、珍しくエインが少し不思議そうな顔で俺を見てから、さっきまでの俺の事に驚いてたことを言う。こいつはフェルミがどんなにもふもふかわかってないと思って、ちょっと言い返してみたりしたんだけど、スルー。はっはーん、まさかキャラが崩れるのが怖いとか思ってるのか?
「さて、これで一通り紹介は終わりましたね。実は、ちょっと提案があるんですけど、いいですか?」
なにか打ち鳴らしたような音が聞こえたと思ったら、フェイが両手の平を合わせていた。そのときの目は俺の方に向いていて、どうも俺の事について話があるような気がしたので、つい自分に指を差す。
「自己紹介にあったようにエインさんは十七、トールさんは十四歳ですが、エインさんはすでに仕事もなさっているので問題ありません。しかし、向こうでも民間人同然だったトールさんは中等部の学校に編入させたほうが良いのではと思いますが……」
フェイは俺達の年をもう一度確かめると、エインはともかく俺はこの世界で学校に通って普通に暮らせるようにする、みたいなことを言ってる。そうか、普通俺くらいの年だったら、学校なんてとこに通ってるんだよな。でも俺は…… なんて思ったときにはもう、フェイが俺の身の上について話し始めていた。俺が元々貧しい場所で親兄弟も無く、エインに拾われるまでは盗人みたいなことをしなきゃ生きてはいけなかった、そんな感じで生き続けてきたこと。だから俺は、学校とかそういうのは何とか聞いた事があるくらいで、ぶっちゃけ通ったことなんてない。だから、どういうところなのかもほとんど知らないんだ。
「最低限、中等部程度の学校に通うための教養を積む必要があるんです。出来るだけ短期間で終わらせられればいいんですけれど……」
だから、まずはそこから知らないといけないという事を、周りの皆に話していた。ここに来た時、いやその前に元の世界から、何で俺達に対してそこまでしてくれるんだと声に出そうとしたとき、丁度フェイがアイコンタクトをしてきて…… それで向こう側で初対面の時に言われたことを思い出す。
――上手くやっていきたいですから。
こんなことを言われていたら、もうぐうの音も出ない。しかもそれを解っているみたいに優しく笑いかけてくるし。くそ、あのときみたいにプレッシャーのあるときならともかく、今みたいな普通の時間でその顔は反則だっての。
「学力以前に礼節倫理道徳、常識と法律は一通り習わせた方が良さそうね。 貧しい空気が見るに耐えないわ……」
アテナさんはそんなフェイの顔を遮るように覗き込んで一通り俺達を見回すと、大きなため息を付きながらソファに戻っていった。 そしてかわいそうな者を見る目でもっと基本的に教える事が多いみたい、な事を言ってるんだけど…… わざとなのかな? 凄く馬鹿にされてるような言葉が聞こえたんだけど。
「僕はエインさんの方が心配というか、鉄と火薬と油の臭いを振り撒いてるのは……」
「ほっとけ」
そして誰も入る隙が無いくらいの勢いでグレイスがエインの事を話す、んだけど…… 隣に居てもそんな臭いしないんだけどな。 こっちの方も苦笑いって感じで微妙な空気になってた。 そういえばエインはいつも銃持ってるんじゃないかな。
「コイツはもう手遅れレベルだ、諦めたほうがいいかもしれねぇ」
「てめぇ…… いつか覚えてろ」
なんて思ってたら、いつの間にかジェノスはエインから銃をスってて、少しの間指で回しながらからかうように笑ってた。そして、エインが気付いて取り返そうと振り向いたら元の鞘に収まっている。カンペキに手玉に取られてたエインは気分のやり場がわからなくなるけど、やがてジェノスにドスの効いた声で唸っていた。お、重い……
「わたくしはあまり寛容ではないの、せめて家の中では持ち歩かないでほしいものね。 汚いし臭いし危険なのよ?」
「あ、アテナは潔癖症だから、ちょっと厳しいですよ」
アテナさんはエインにも言いたい放題って感じで銃を持たないように、少し不機嫌そうにして武器を指差していた。 グレイスさんはアテナさんがどんな人なのかを簡単に説明したみたいなんだけど、潔癖症ってなんだっけ?
「ちっ、そういう事情か…… 場所が場所でもあるか、努力はする」
エインは解ったみたいだけど、そういうわざわざ突っ掛かるような言い方とか、直らないのかな…… と思ってたら、ちょうど目が合ったジェノスは目を閉じて黙って首を横に振る。無駄に楽しそうな感じだけど。まぁ、時々見るお人好しが出てきた分まだましかもしれない。なんだかんだ言って、困った人はほっとけないらしいからね、元の場所で他の人から聞いたんだけどさ。
「さて、教養というものが必要なトール・マクライシス君、わたくしとフェイでしっかりと人としての基礎を叩き込んで差し上げるわ、といっても、わたくしもこの世界の事をそこまで知らないのだけれど」
「ふふ、お呼ばれされちゃいました。というわけで、改めてよろしくお願いします」
今度は話が俺に戻ってきて、意地悪そうな目で勉強を教えるって言ってるけど、後で冗談みたいに表情が柔らかくなっていた。 この人達も別世界から来たってことなんだ。さっきまでは正直気圧されて、苦笑いするしかなかったんだけど、今の顔を見ると思ったよりはきついことにはならないのかもしれないって思える。さりげなく呼ばれてたフェイもなんか嬉しそうにしてるし。
いや、そもそもきついことだったとしたって…… もしかしたら向こうに居る時よりは気持ちよく生きられるかもしれない。正直、ろくな目に遇ってなかったし…… 向こう側では、ずっと。
「“普通”に生きる、かぁ」
俺はそんな風に、エインに拾われる前の事を思い出しながらそんな事を考えていた…… 時だった。
「軽々しく普通という言葉を使わない方が良くてよ。 あなたの世界の普通はイコールこの世界の普通ではないのよ?」
「うーん、よくわからないや…… ってあれ、この手は?」
「普通以前に、この家で暮らしていけるよう、早急に享受してもらいたい事が山のようにあるのよ、さ、わたくしの部屋ですぐに始めるわよ?」
俺の手にアテナさんが触るような感じで掴んで軽く引っ張り始めた。 それからアテナさんの目を見て、触るくらいにしか握っていない手を絶対に離せなくなった。 この人は俺を良く思っていないのかもしれない、その気に入らない部分を叩き直してやろうと怒っている…… そうだ、ピリピリしてるって感じなんだこれ。
「え、こういうのって普通、一日間を置いたりとかそういうのってないの!?」
「あぁ、アテナに火がついていますから、諦めるしかないと思いますよ」
「そ、そんな、気持ちの整理くらいさせてぇぇ」
うぅ、ジェノスとエインが鉢合わせするのを見るのが少なくなりそうだから、重い空気とはおさらばと思ったのに。いきなりこれじゃ先が心配だよ。これからどうなるのさ、俺は……
とか思ってても、この手はもう俺を離してくれず、そのまま地下の部屋まで引き摺られていくのだった。
トールの奴が引き摺られていった――いや、一応は歩いて行ったんだが抵抗出来無かったってとこか――あたりで一旦解散って話になった。トールがここに居ねぇから、俺一人が予定されていた個室に案内されて、そのせいであいつの荷物まで俺が持っていく羽目になっちまった。何で俺がこんなことを……
だが、部屋に俺を案内した奴が、色々と想定外だったことには気付くべきだったかも知れねぇ……
「――といった感じで、僕から説明できることはこれくらいです。 これから一緒に生活する家族としてよろしくお願いしますっ」
まずおかしいと気付いたのは、俺達の居た世界とこの世界の文明の違い、そして俺の生活の仕方だ。 アテナって奴の方は仕事先の上司からも聞いていたから、多分あいつの方も知っててトールだけ連れていったんじゃないか、と思う。 でもこいつ、グレイスは初対面のはずだ、何で俺とトールの荷物とか気になってるとこ全部に説明が入るんだ? あっちの世界で会ったフェイならともかく、どう考えても出来過ぎだろ。
俺の荷物を整理した頃にはトールの荷物は片付いてるし……
「ところで、エインさんはいつも武器を持っているんですよね? どんな武器を持っているんですかっ?」
振り向いたらグレイスは鼻がくっ付きそうなくらい密着していた。 俺が後ろを取られたってのか! っていうか俺の武器がそんなに気になるのか、満面の笑みって顔でストレートに聞いてきやがった。 この見た目で武器に興味があるのか……?
「近ぇ。……まぁ、そんなに見てぇなら好きにしろ」
とにかく、考えたことが顔に出ないように振舞うことにする。俺は今まで相槌を打つか、最低限の返事をするだけだったが、喋る、といえるほどに物を言ったのは今が初めてかもな。本当ならおいそれと見せるなんざ、その気はさらさら無かったんだが、この妙に強烈な“押し”の感覚を覚えてからは考えが変わった。口に出して居ない時でこれじゃあ、下手な断り方をすると後が面倒になるのは間違いねぇ。
俺は表情一つ変えねぇのを意識してこいつから一旦離れて、とりあえずは常に携帯しているやつを近くのテーブルに適当に置いておく。持ってきている物を考えれば、こいつを一丁、護符を一枚出しときゃ良いだろ。
「わぁ、ありがとうございますっ! これが魔法の武器で、こっちが機械の武器ですね。 対人戦用の武器ってこんなに小さいんですか」
俺の返事を聞いてまた満面の笑み。 で、早速護符の方を先に見る。ま、普通は銃より魔術の方が興味あるはずだ。 特にこいつは表から見てもお花畑だし、中身もファンタジーな想像でもしてんだろうな。 これだから付いていけない、想定内さ、銃の話なんてこの家じゃタブーってやつか。
「そいつは滅多に使わねぇがな。ただ使うだけなら礼装だ、媒体だなんてのは要らん」
見た目と文字通り、マジになったときの切り札みたいなもんだしな。つっても、そこまでやってもまともにぶつかれねぇ奴が居るってのはたまったもんじゃねぇんだが。
適当にグレイスに返しながら、俺はこれからどうするかだとか、この先の仕事だとか、そんなもんに考えが移っていた。生きている時間の大半を戦場で生きてきた俺にとっちゃ、民間区域で長期間暮らすなんて状況には、正直まだ慣れてねぇからな。まぁ、下手に慣れ合わねぇのが最善なのはハナからわかってるし、性分としてそんな気は最初からねぇ。
そんなことを考えていたわけだが、グレイスの独り言が妙に耳に入ってきたんで、俺は椅子に座ったままグレイスを見てみる……
「弾倉はこれで外れて、入れるだけで再装填とはではなさそうですね。 あ、やっぱりここが後ろにスライドして排夾、スプリングの力で戻る時に給弾…… スライドが最初に引っ掛かるような感じになるのは、弾丸が銃身から射出されるまで銃身を固定するための抵抗なんですね。 弾倉が空になったらこのレバーが弾倉のスプリングで押し上げられてスライドを引いたまま固定、弾倉を再装填してこのレバーを引けば初弾が膨張室に装填されて素早く射撃ができるんですね。 後ろのレバーがハンマーになっていて、引き金を引くとハンマーが薬莢の信管を叩き着火、爆発して発射…… 銃身は六条螺旋の施条式ですか」
想定外だった。 こいつ、初めて見るはずのハンドガンを物凄いスピードで理解してやがる……! 銃自体は多少知っていたらしいからマガジンを最初に抜いて安全を確認、スライドを引いてその動きが何を意味しているのか、っていうか俺の銃っていう機械って奴を見て解るスピードで使いこなしていく!
「少し見ただけでそこまでわかったのかよ……」
物を言う手間は省けてんのはいいんだが、流石に注釈一つ入れる間すら殆どねぇレベルまで行かれると、何とも言えねぇ気分だ。見た目格好との滅茶苦茶なギャップまであるしな。銃にまで尋常じゃねぇ興味を抱くに飽きたらず、その構造をいじり倒してあっさり理解するとか、信じられねぇ。
「妙ないじり方して壊すなよ。パッと見でそこまでわかるなら、心配するだけ無駄だと思うが」
「あはっ、すみません、機械のことになるとつい」
まぁ、考えれば別に何か言う必要は無いわけだ。そういう風に頭を切り替えて、適当に釘を刺した後にもう一度物思いに耽ってみる。
「あ、ここに刻みの合いマークが――これが引き金とハンマーの機構で――あ、やっぱり撃針があるんですね――それにしても、部品点数が多くて繊細ですね、だから鉄と油の臭いが出ちゃうんですねっ」
「……マジで大丈夫か不安になってきた」
さっき止めておいた方が良かったかもしれんな…… まさかこの着飾った人形みたいな奴が、こんなスピードで銃をバラすとかまでやっちまうなんて思ってもみなかった。 もう一度振り返った時には…… 俺の銃は完全に分解され尽されてた。 工具使わないとバラせないところまで完全に外されてテーブルに並べられ、何故か艶が出るくらい磨き上げられて…… 新手の手品か?
「お前、戻すこと考えてんだろうな……」
「――組み立ても面白そうですねっ、では、これから組み立ててみますかっ!」
ふと不安の原因になっていたことを実際に口にして見たんだが、夢中になりすぎて何も考えてなかった。 絶対そんな顔で俺を見た…… そして間を置いてまたお花畑な笑顔に戻って、俺を不安にさせる一言を言い放ったんだ……
グレイス・アダム・ヴェリア、こいつがヤバいってことは覚えておこう。
しかし、一つでも話題が合う奴だということは…… いや、また嫌な勘が働いてきた。やめとくか。
第九十四話 終 To be continued…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
大丈夫でーす!
確認するだけなのに、いつも楽しく読ませて頂いております(笑)
そろそろこっちも何か書き始めないとなぁ...。
近々、ストテラにうp予定です!
ナルガさんこんばんは~
書いている側としては嬉しい反応ですね
これからもそういう話をかけるように頑張ります♪
ナルガさんの小説も楽しみにしていますね、アーマードコアもやりつつ…(オイ
こんにちは、NIGHTMAREです。久しぶりに確認していただきたい話が出来上がりましたので参りました。
今回の部分はエインが主軸となる話になっております。期待しているものとは異なる内容とは思いますが、是非とも確認をお願いします。
二話分あるのでよろしくお願いしますね(^-^)
=C rimson Blaze=
第百一話 魔術師は現の隠者となりて
事は二大老、アベル・テルミナートル執務室から始まった。
一つの立体映像が立ち上がり、各所の詳細情報が表示されていくのだが、点々と隠れた砲台が存在するのと、何らかの人工構造物らしき不確定情報が映されるのみ。天然の視界効果と自然現象による磁気などにより巧妙に拠点そのものが隠されているのだ。だが、最近の起現力の発生数がここに集中していること、そして他のめぼしい拠点は制圧が完了したかさしたる脅威を示していない為、こちらに最も戦力が集まっていると断定するのは容易であった。
「アベル殿、多すぎると思いませんか?」
「ああ。そもそも、当初からクルセイドは起現者の総力が最初から異常なほど多い」
マキからのある指摘に、アベルは訝しげに答えながら、両手を後ろに組んで踵を返す。今の指摘はこの場所での推定できる起現者の数のことだったようだが、彼はそれ以上の事も思考し、それに必要な材料を記憶から取得していく。
「彼らが現れる前の、“起現者”の総数。確定ではないがそれに限りなく近いとされた情報を公開しよう」
アベルが過去、現在における己が手中に収めた状況を纏め上げて思索した後、マキに向き直って立体映像を片手で軽く操作する。すると、現情報の上に比率グラフのようなものが表示されるが、絞りきられるほどに纏め上げられたことが窺える極めて簡素であるものである。中には、ギルドウォリアーやPHADUO龍軍部に所属する者、判明はしたが所属を辞退し、要観察の対象者となっている者、そしてまだ発見されていないとされている者が表されており、その調査規模は世界規模であった。ここからクルセイドに一切含まれて居ない龍の数を除外し、更なる絞込みをかけた結果、そこにあったのは戦線に立つものにとって信じられない結果であった。
その総数は人類種全体とモンスター含め推定二百に届かない程度な上に、過半数がギルドウォリアーに所属しているというものである。
「クルセイド勢力は戦場の殆どに起現者、あるいはそれらのカテゴリーに位置する反応が検知されています。 同勢力から検知された反応とこれまでの戦績を見るに、戦力の質の差は歴然であると、私は思います」
アベルの提示したグラフや数字を確認したマキは、数回頷いた後に、これまでの敵勢力と認識されたエネルギー反応の累積を見て、これを全て起現者と仮定した上で戦力、特に質の差は油断ならないと反すのだった。
過去に渡る起現者の総数と現状の敵勢力の総数を比較し、それをPHADUO戦力と比較、これまで倒してきた起現者を数から外したとしても現状の敵予想戦力の方がまだ上回っているであろう事が伺える。
「そもそも、だ。一転攻勢に入る前、こちら側は平均的な起現者の能力差と、ガルドの采配…… これら要素によって戦力をほぼ損耗しないまま撃破には成功していた。つまりスコアレースではほぼ一方的だったわけだ。にもかかわらず何故反撃が出来なかったか? その度に起現者のみを出し、脅威となる数で波状攻撃を続けてきたからだ」
これを見たまえ、とアベルはマキに促しながら彼女に立体モニターの映像を転送する。そこには、彼女が赴任する前にギルドウォリアーが交戦・撃破した敵の総数が示されている。この時点でギルドウォリアーの全保有戦力の数倍という常識外れの数であり、亀のように身を固めるしかなかった様子がマキには簡単に想像する事ができた。このことから、アベルは最初からクルセイドの起現者の数と扱い方に疑問を持っており、今までつねに思索を続けて来た事が明らかとなる。
「情報で見た限り、敵は戦術で言うところの陽動作戦を行い、通常戦力の消耗を抑えるため囮となる特殊な戦力、起現者を使い捨てています。 こちらの起現者は兵器で言うところの戦術クラス、それによる戦略的影響力を鑑みて丁重な扱い、敵は近いクラスの者を尖兵として惜しみなく使い、戦線を維持しない程に戦力を温存させています、それも通常戦力の方を大事にしているようにさえ見える……」
マキはアベルの話と情報を総合して頬杖を付きながら首を傾げる。 そして全体的に視点を広く見てから素直な感想を述べる、実際にクルセイドは重要な起現者をまるで掃いて捨てるように戦線へ送り込んでいる、逆にこちら側は尖兵を各個撃破する形で最小限の人数を向かわせている、この結果として敵の通常戦力を掃討戦に入る頃にやっとのところで特定できた。 それほどに起現者を前面に押し出した作戦を取っているという事になるのだが、それは戦略的に考えてみると、こちらと敵の方針は逆になっていると見える。 敵は通常戦力を大事に、起現者の存在を前提とした作戦案、逆にこちら側は起現者の存在を隠し、通常戦力とは完全に独立した通常戦闘基本の思想。 これは“起現者”の位置付けが逆で、クルセイドはその位置が尖兵という消耗を前提にした作戦から、数が無ければ使えない策なのだ。
「こちらからすれば、戦力の影響面で見れば大量生産できない戦略核を超える兵器を大量投入しているような、実に馬鹿げた発想だ。まるで子供の遊びのようにな。……そして、当初から現在までの結果から、私は三つの疑念を抱いた」
アベルはクルセイドの動き方に、肩まで手を挙げてから盛大にため息を付き、首を横に振っていた。敵に軍師というものが居るなら、あからさまに馬鹿にするように。しかし、全てが馬鹿な行動ではない事を見抜いていた彼は次の話題に移り、親指から指を立てていく。
「まず一つ、敵に元ギルドウォリアーがいること。これはガルドやジェノス中佐の交戦記録で確認された。そして二つ、敵はこちらに対して時間稼ぎを行い、何らかの目的を遂行しようとしている事。これもジェノス中佐が交戦した敵が仄めかす発言をした上に、一度は謎の手段で保護されたことから確定だろう。……目的までは知らんがな」
最初からこちらを押し留めて下手に動かせない状況を作る数を、巧妙に送ってきた手口から、一つ目の疑念を説明する。次に人差し指を立て、何故こちらを目の仇にした割にはわざわざ動けないようにするのみに留めたか、という点から二つ目の疑念を話していた。と、真面目に話していたかと思うと最後の言葉だけは飄々としたような軽い口調で、ジョークのように流してしまう。
「そして三つ目だが…… 敵には起現力を“創り出す”輩がいること。だがこれについては、フェイ様以外にそんなイカれてるバケモノがいてたまるかと言いたくなって来るんだがな」
そして、最後の疑念も同じような調子で語っていくのだった。あまりにも現実的ではないものであったために、出来ればこれまでは当たって欲しくないという考えの裏返しだろう。因みにフェイの名前が出たのはうっかりでは無い。この状況と言葉の流れならば問題ないはずだと意識してのことである。
「……では実際に、中身の分からない玉手箱を開けて、事実を見たいとは思いませんか? 玉手箱という程対価は大きくありませんよ」
フェイの名前が出て動じる他無いマキだが、ここでは例え話であるが故にため息一つで落ち着く事が出来た。 そしてここから本題に入っていくように立体映像を操作し、件の隠蔽された基地への作戦を提示する。
「潜入、囮捜査の類で基地へ潜入する策です。 運良くあちらのスパイを拾ったので、彼に取引としてこちらの情報をある程度提供します。そして基地の情報と身の安全を引き換えにして、潜入作戦の骨子を立てていきたいところなのですが……」
基地の情報を入手するために敵のスパイを捕まえた、とのことだが、スパイの情報は殆ど伏せられている。 そして作戦に就く人員はエインただ一人であり、兵員の動きが殆ど無いハイリターンだが、こちらの情報をわざとリークさせなければ成功は難しいというリスクを背負っていた。 マキは最初から裏工作の話をするためにアベルを訪ねたのだ。
「ああなるほど、その件か。大方目星は付いていたから、すぐに手筈を整えよう。上手くやれよ」
多くをベールに覆われたこの話題が出た瞬間、アベルの口元の端が釣りあがり、マキとの奇妙な波長の一致が起きる。彼にとっては想像できた事であるようで、マキの切り出し方にしては随分とあっさりした返答である。それどころか後押しさえする始末、もしかすると二人は余程相性が良いのかもしれない。
「許可さえ頂ければ、彼が上手くやってくれるでしょう。 何せ彼の力は起現力ではなく“魔法”ですからっ」
「あ? 人を万屋みてぇに言ってんじゃねぇぞ」
アベルの許可が確信できていたマキは不敵な笑みで彼、エインの入室を許可して紹介する。 そうすると、エインは明らかに扱いに不満そうな荒げ気味な口調で部屋に入ってきて、今にも噛み付きそうな犬のようにマキを睨みつけている。無礼もへったくれもあったものではない。
だが、エインはそんなマキに逆らうことができず、彼女がアベルと話していたときに考案していたであろう任務を命令という名の圧力で押し付けられていた。事実、いくらか時が経った頃のエインはあの二人が話しているときに立体映像で映されていた場所に身をおいている状況にあった。
「――随分とあっさりたどり着けたもんだ。さて、始めるとするか」
初めてジェノス達と任務を共にしてからというもの、エインはマキの管轄下に置かれてからその多くの時間を諜報・破壊工作員などといった、まさに特殊部隊の一員同然の扱いを良くも悪くも受けて費やしていた。身体能力こそ、この世界の水準としては一般兵(元の世界の約三倍)に辛うじて到達したレベルであるが、ガルドが睨んだ通りの実戦経験と機動装甲を難なく扱うセンス、強大な異能の力を伴った特化型の総合力がガルド達の思惑通りに働き、今では多くの任務を成功させている。
攻略・制圧部隊に先立った拠点や基地へ潜入しての諜報活動、作戦に応じてその助けとなる施設破壊や、弾薬庫などの爆破。いかに厳しい状況でも起現者関連の偵察をこなしている。ジェノスらと同行しての狙撃支援以外にもこのような活躍を見せているあたり、元々あった実力を過酷な状況下でさらに磨いているようだ。
今回の任務も以前までと同様の潜入任務だが、拠点の詳細が特に明らかではない関係から少々事情が異なっている。ここに来るまでの間、エインはマキに同行するよう指示された人物と行動を共にしており、その者から案内や巧妙な根回しといった協力を受けてたどり着いている。さらに機動装甲の上から敵兵が使っている装備を着込んでおり、ある程度堂々と歩けるようにカモフラージュしているため、普段以上に潜入行動が楽になるように。今回の目標となる場所が特殊であるゆえに、事前準備をより万端にして任務に臨むことになったといえよう。
「さて、……っ! これは結構な数がいやがる。自然かつ慎重に、か」
エインは施設内に入る前に、一旦“時間停止”の力を使う。これは時間停止そのものを使う用法ではなく、範囲に入れた際に強い抵抗力による反動から起現者の位置と数を割り出すという、いわば起現者の“索敵”を行う為に使っている。
これ自体が起現者の数と配置という情報を入手する行為ではあるが、エインからすると身の安全を確保しやすくする目的が強い。流石に単独で遭遇してしまうと、いかにエインといえど捕捉されれば撤退さえ困難になる。彼らは洞察力も人外であるため、近づくこと自体が潜入行動においてはタブーといえるので、今入手した情報はエインの今後の行動の指標にもなる。
「普段ならこんなことは性に合わないが、そうも言ってられねぇ。……とか言ってるうちに妙な方向性に鍛えられたもんだ」
施設内への潜入を開始したエインは敵兵のフリをしつつ、前の世界での戦闘スタイルやこの世界に来てから今までのことを思い返しながらつぶやいていた。普段なら堂々と正面から大立ち回りをするのが彼の好むスタイルだったようだが、相手にする者の平均的な能力が跳ね上がっているこの場所ではそういうわけには行かず、ここに来てからはそれとはまるで逆の行動が大半を占めている。
それは、彼にとって今までに無い技術の獲得を助けている。根本的に気配を消す能力の向上や潜入技術の獲得、彼の異能である魔術や能力の応用性が増し、戦術に幅広い柔軟性を持たせることができるようになった。以上のことから直接戦闘の選択肢も増え、多数を相手に派手な立ち回りをするだけでなく、今では一つ一つの相手を掻い潜りつつスマートかつ確実に各個撃破していくといった戦法をも扱う。マキに課された試練は大きな経験となって結実しているのは間違いなく、今の彼ならある程度の力の差など、今も鍛え続けられている技量で覆しうるだろう。
それが元の世界で大きく役立つようになる…… というのはまた別の話である。
「それにしても、やっぱ未来臭がすげぇな、っと」
エインがゆっくりと歩く廊下は地下であることもあり、内装は窓さえ存在しない、まさに殺風景という言葉が似合うほど無機質なものだ。しかしエインからすると文明の差が激しすぎるため、単純に洗練された雰囲気が形容し難い未来的な印象をもたらす。視線だけを向けて文字通り目移りしているが、完全には集中力を途切れさせてはおらず、奥から来る兵士の姿をしっかりと捉えている。
「ん? このあたりの巡回は俺だけのはずだが」
「他所から流れてきた負け組ってヤツさ、といえばわかるだろ?」
外に続く廊下から人が歩いてきたことに不思議そうな表情を見せた兵士は、案の定エインに声をかけてきた。しかし、エインはすでにこの手の潜入も訓練と実戦を何度も経て慣れている。戸惑う様子を欠片ほども見せずに応対してみせていた。
「あぁ、あの人が言ってた奴か。司令なら奥だ、案内は要るか?」
「いや、見取り図があればいい。下見もしておきたいしな」
早速根回しの効果が現れる。エインは制圧されたほかの基地からここに配属された者として扱われており、自然な流れでこの場をパスしていくのだった。それだけでなく、この基地の見取り図のデータもあっさりと入手していく。
「最近はPHADUO加盟国、ぶっちゃけ世界中から名を上げるための当て馬にされちまってるからな」
「クルセイドも、流石に終わりかも知れねぇな」
「ヘクス・ブレイン・フォートレスが潰されたのもまずかったんじゃね?」
「あぁ、タコウィンナーにされたやつか」
各エリアの境を見張っている警備兵も軽くやり過ごしていくエイン。次々とすんなり歩を進めていくが、これには今まで語ったこと以外にも理由はある。現状、クルセイドは今の警備兵が言っていた通り国際的なテロリスト扱いであり、今では世界を敵に回した挙句に連戦連敗を続けている。いくら起現者を多数擁するクルセイドでも通常戦力まで特別強大であるわけではない以上、局地的には対処できても大局的には押しつぶされているも同然。
それが原因で凄まじい勢いで軍事力を急速に失っており、敗残兵も残った基地に次々と流れていっている現状がある。あまりの流れの激しさに、この問題に対処できていないため、軍備の再編もままならず、組織の動きが精彩を欠いてしまっているのだ。これでは余程決定的な行動を取らない限り、余計にエインを侵入者だと判断する余裕は無い。
(負け続けて、士気が大分下がってるな。これなら連中も、ちっとは楽に戦えるか)
兵士達の目をすり抜けていくエインは、彼らの雰囲気をつぶさに見ながら情報を仕入れつつそれをつなぎ合わせ、クルセイドが如何な状況におかれているのかを把握していった。恐らく、通常の戦力で構成されている兵士達はすでに戦えるほどの士気はあまり残っていない。実際、脱走兵まで少なからずいるという話さえある。しかし、起現者などの強者はこういうときほど手負いの猛獣となりうると、エインは思考を巡らせている。
(さて、そろそろセキュリティがかかってきやがる。仮の打ち合わせの案内役とか、基地司令からパクるのはリスキーだからな、誰かほかのヤツを――)
さて、奥に行けば何らかの、より高度な認証が必要になってくるものである。入手した見取り図を見てそのエリアを確かめながら歩き回っていると、ちょうど良く士官らしい身なりの整った者がトイレに入っていくのが視界に映る。
「あいつは…… へっ、ちょうどいいぜ」
第百一話 終 To be continued…
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=C rimson Blaze=
第百二話 要の知と識を開示する
相手はエインをよく見ていなかったが、逆にエインは風貌までしっかり記憶に落とし、自分が得ている情報と示し合わせていた。今現れていたのは流れ着いたばかりの人間、しかしその位は高く、確保できれば比較的見返りの大きい相手だ。
「いただく……!」
エインはすぐに周囲の目を確かめ、すぐさま身のこなしを変化させると、まるで豹のように瞬発力のある、それでいて静かな動きで素早く中に入り、士官の背面を取る。そして、懐に忍ばせていた何かを彼に向け――
「……っ!」
「はいおやすみ、と」
――引き金を引いた。何も知らず銃撃を受けた士官は成す術も無く、全身から力を失って床に倒れ伏す。彼が向けていたのは拳銃と呼ぶには大きく、サブマシンガン…… 短機関銃と呼ぶにもやや小さめで拳銃に近いスタイルの銃。試験運用も兼ねて彼のために作られたそれは、“L-PDW”と呼ばれていた。それが意味するのは軽量型・個人防衛火器で、マシンガンのようにフルオートで連射できる拳銃、マシンピストルよりも高い威力と射程を、それと同様に扱うことができるところから来ている。
弾薬が強力になれば反動が大きくなるのが自然なことだが、なぜそのように扱えるのか、その秘密は弾丸を放つ銃身の位置にあった。普通に構えて撃つ場合、銃身の位置は持つ場所(グリップ)より上になり、腕より上にずれた位置になる。そのため、銃は撃つ度に反動で上に跳ねるのだ。
「相変わらず扱いやすいなこいつは」
だが、L-PDWは銃身の軸線にグリップが並び、拳の先から銃身が伸びるような形になる。真っ直ぐに持てば自然と腕と銃身の軸が同じ位置になるのだ。こうすると反動は腕に向かってまっすぐ向かうため吸収しやすく、特定の箇所に跳ねることも押さえられるので、単発、連発問わず安定した銃撃を行うことができる。このような構造の銃は一世紀以上に渡って洗練され続けられており、彼が持つのは最新型の一種。拳銃をはるかに上回る威力・射程・精度・連射性能を拳銃のように扱える強力な火器だ。総弾数は扱う弾薬によるが平均四十発から五十発で、それが詰まった弾倉は寝かせた形で銃身の上に装填される。
「カードキー確保、指紋・網膜情報取得、こんなもんか」
「……zzz」
今回、その弾倉には麻酔弾が使用されており、直撃した対象に束の間の眠りをもたらしていた。この方が、殺傷するよりも異変と判断されるリスクを抑えられる、それ故の選択。その間に、しめしめとエインは横たわった彼の持ち物を調べて、セキュリティを突破するための物と情報を取得していく。用が済めば、自らの足跡をより隠蔽するため、適当な個室の中に座らせてから閉じ込め、何事も無かったかのようにその場を後にした。
「ん? お前、何でここにいる」
(さすがにごまかしが聞く場所じゃねぇ。後ろにも一人、か)
しかし、さすがに相手の兵士の姿をしているとは言っても、配置や構造の問題で全てをパスできるとは限らない。他の兵士がいること自体が不自然な場所に踏み入れれば怪しまれるのは必定。
「ふっ――」
「なっ」
「お……!」
新たに手に入れた情報から、より詳細な情報を手に入れていたため、エインはそのような箇所も把握している。承知で乗り込んだ彼はすぐさま前の兵士のわき腹を掠めるように懐に飛び込み、後ろに回りこみながら後ろにいた兵士を左手のL-PDWで銃撃……! と思えば、同時に回り込んだ対象の兵士もゆっくりと倒れていく。
「コッレクティオ(改装)、ソムヌス(睡眠)…… 仲良くねんねしてな」
同時に、もう一つの銃をエインは懐から引き出していた。右手にあるこちらは彼が元の世界から持ち込んでいた正真正銘の拳銃“Cz75”である。こちらは銃身の先にサイレンサーを装着して音を消しただけで、弾薬は変わっていないはずだが、なぜかどちらも普通に眠っており、この銃から放たれた弾丸は相手に触れた後にすぐ下に転がっている。これは、彼が魔術により殺傷効果を消滅させて麻酔効果を付与したためだ。起現力とは異なるこの力によって、エインはガルドやマキから重用されているのである。
「さて、こいつらはこんなところでいいか」
この調子でエインは必要な相手を眠らせていき、足がつかないよう対処していくわけだが、たまに彼の遊び心がここで出てしまうことがある。普通ならどこかの部屋に適当に隠しておいたり、サボって寝ているように見せかけるが、他の者があまり寄り付かない、影響の薄い場所では、眠らせた相手をロッカーに幽閉したり、ダンボールをかぶせて荷物と紛れ込ませてしまったりと面白い目に遭わせてしまう。無論やられた相手からすれば脱出に苦労したり恥をかいたりと散々なことになる。
そんなこんなで、順調に潜入任務をこなしていくのだが……
「なんか見覚えのあるデータばかりだな…… やっぱり、該当データばっかだ。簡単にシステムに侵入できる時点で怪しかったが、ここ自体はそれほど重要じゃないのか?」
幾人の兵士達を眠りに誘った後、エインは各所の情報集積施設を手当たり次第に漁っていた。だが、さしたる収穫は無いようでエインの表情はどこか不満げである。起現者が最も集まっていると目されている場所のはずがこの手ごたえ、施設の重要度としては空振り感を強く受けている。
「ここは陽動だってのか? いや、情報網の形態も含めて、連中の基地の位置情報からして考えにくい…… いや、そこは俺の考えるところじゃねぇな」
あまりにも肩透かし過ぎて逆に怪しく思えてきていたエインだが、とにかくここでできることは完了したと判断し、作戦の最終段階へと移る。すぐにその場を後にし、自然に、かつ速やかに上へと向かっていった。
「クソッ、俺にこんなことをしたのは誰だ!? 誰か出してくれ!」
「お前、何でダンボールに隠れてんだ」
「んぉ…… おお!?」
エインが移動を続けていく中、一部のものは目が覚めたようで、それが小さな騒ぎを起こしていた。身に覚えの無いサボりを叱咤されるもの、内側から開かないロッカーで喚くもの、置かれた状況が原因で恥さらしに遭うもの…… 一部では侵入者の疑惑を挙げているものもいるが、そういう点では大きな騒ぎになっていなかった。
「さて、最後の仕上げだな。ファラゴラ(爆発)」
無事に外に出たエインは、施設に背を向けたまま歩きながら、得意気な笑みを浮かべて何かをつぶやく。途端に地響きのような音が連続で轟き、かすかに大地を揺らしていた。情報収集をするために各所を回ると同時に、弾薬庫を中心に護符を貼り付けておいてあり、これを爆薬代わりにして施設内の武装や連絡網などを爆破したのである。大体、エインは必要な場合のみ潜入の締めにこの手を使っているが、今回の相手はただでさえ事態が錯綜しているため、更なる混乱は回避できないだろう。
「よし、じゃあ――」
「じゃあ? 次はどうするつもり」
施設内の爆破工作も完了、次の行動に移ろうとしたその時だ。突然女性らしき声が、エインの背後から聴覚を冷たく突き刺す。初めてクレイズたちと戦ったときと同じような、途端に周囲の景色が遅くなるような感覚を覚えながら、エインが恐る恐る視線を向けていくと、そこにはエインな身の背丈と、羽衣を纏う和装が特徴的な女性がいた。しかし、猫のような目と耳、毛に覆われた手を見る限り……
(あの姿は、“ボレアス”!? 俺の手に負えるヤツじゃねぇ……!!)
「妙な手品を使うけど、それも終わり。はじめまして、そしてさようなら」
一瞬だけ時間を止めてわずかに距離を離すエインだったが、すでに能力の負荷は限界まで来ていた。それを見越していた相手、チェフィは刃の見えない剣を抜いて戦闘体勢に入っていた。
(クソッ、どうする、どうすれば――)
時の流れを遅くしたエインは、この中でどうすべきかを考えていた…… だが、実状ではチェフィに遭った時点でほとんど“詰み”に近く、エインも持っている情報から知り得るチェフィの戦闘能力でそれを悟っていた。もはや奇跡でも待つしかないのか、そう考えたとき。
いきなり二人の間を飛竜らしき影が尋常ではない速度で通り抜けてきて、それ自体が周囲に突風を巻き起こした。しかし、問題はその後である。
「“逃れ得ぬ死の宿命(グングニル)”!!」
「きゃあ!?」
「うぉぉ!!」
猛々しい叫び声が聞こえてきたと思えば、その飛竜らしきものの背後から瞬時に巨大な“光の槍”が飛び込み、辺りを空間ごと揺るがすような衝撃と閃光で掌握する!! 直撃した飛竜は肉の一片すら残らず、周囲の空気や大地と共に巨大な光となって、盛大に砕け散る……!!
「……くっ、逃がした。あと少しだったのに」
「すまんな、異常個体に逃げ込まれた上、手が滑った」
「普通、手と一緒に口も滑るかしら、ウォーダン?」
選考が晴れたその時には、既にチェフィが捉えていたはずのエインの姿は既になかった。先ほどの現象に巻き込まれていないのは気配で理解していたので、何らかの手段で脱出に成功したのだろうと推測する。代わりに姿を現したのは白麒に跨ったウォーダンで、先ほどの攻撃を見舞ったのは彼であるようだ。チェフィからすれば非常に悪いタイミングでの出来事で、ウォーダンを睨み付けていたが、彼は外見に似合わずひらひらとチェフィの追及をかわしていくのだった。
「てなわけで、起現者の数は恐らく十と少し。うちアネモイ級が二つ。普通の兵のやる気もだいぶ磨り減ってたし、そこら辺を投降させるのは楽だろうよ」
潜入作戦から命辛々舞い戻ってきたエインは、いつもの如く礼儀も何もない態度で、しかし重要な点から内容を伝えていくのだった。両手を頭の後ろに組みながら、正面の卓に足を乗せており、行儀すらお世辞にもいいとは言えない。
ちなみにその場所は二大老であるアベルの執務室であり、当然アベル本人も居るわけで、いわばミナガルデの首長、即ち国際連合の元首に足を向けているのである。
「……空振りですね」
「らしいな。微妙に無視出来んのは中々のやり口だが」
それを完全無視している二人は、エインの機動装甲で録画された映像と分析資料を前にして、清々しいほどあっさりと失敗であると結論付ける。 だが、全てが的外れでもないために、真剣な面持ちで次の判断に思考を巡らせる。 この二人はエインの苦労を全く考慮していないのは、半ば彼の態度へのお返しと言える。
「で、帰っていいか?」
二人の態度で、最早己の役目がないと悟ったエインは、天井に向いていた顔をマキに向けて、投げやりに退室許可を求める。どうせこの連中はこんなヤツだと心の中で思っている彼は、慣れていると言うより最初からそういう人格だと認識しているようだ。
「ん? ああ、任務そのものは成功しているので構いません、報酬は帰還した時点で送金しているので、理容店にでも行って身なりを整えてみては?」
マキとしても既にエインが眼中に無かったらしく、今気付いたとばかりに彼を見て少し思考が停止する。 そしてようやく言葉の意味を知って頷いて許可を下すが、一瞬だけアベルと姿を見比べてから、苦笑しつつ理容店に行くことを推奨する。 それだけにエインの髪が乱れている事を物語っている。
「ヘイヘイ、いつもボサボサですんませんね。……面倒くせぇ」
マキの言葉を半分聞き流すようにしながら足を下ろし、両膝に手を当てて立ち上がる所作は、いかにもここに居るのが面倒というのを物語っている。更には理容店の話も適当に返す形で遠まわしに蹴り飛ばしながら、出口に向かってまっしぐら。彼は身なりには割りと気を使っているが、髪は伸びすぎたときに切るくらいにしか考えていないので、最初から興味などないのであった。
第百二話 終 To be continued…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
NIGHTMAREさん
お久しぶりですw
いやあ、なんかもう。凄いw とにかく情景描写凄いw
しかも、メタギアめいた潜入方法www
内容としては大丈夫です。問題ありません。
あ、あと、ストテラでまた連載を始めようとプロット作成中。各話の箱書きまで進行しています。
もしよろしければ、また昔のように批評をしていただけないでしょうか?
最近はエースコンバットで空を飛んでいるNIGHTMAREです。お久しぶりです~
確認を確認いたしました。やっぱり気づきましたね~ メタルなギアっぽい雰囲気はわりと意識して描写してましたw
こちらではまさに諜報・工作員が板に付いてきてますw エインの新装備、そして戦術や魔術の開拓が進んでおりますが、いかがでしょう? そちら側で力に慢心した相手(以前出てたもう一人の自分みたいな相手とか?)に鍛え抜かれた技量で勝利する展開も見てみたいですねぇ(^^)
描写の幅が増えたエインを、生みの親であるナルガさんにぜひ使いこなしていただきたいm(__)m
以前にやったことがあるのはどちらかというと監修のような気がw 堅苦しいのは苦手なのでそのあたりご容赦いただければ喜んで(^-^)/
それでは、また近いうち確認の依頼をすると思いますのでそのときによろしくお願いしますね(^.^/~~~
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