日菜子 2012-01-23 12:38:10 |
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盲目の蛾に屠られて
揺らぐ水屑にまた滴り落ちて行く
湿る風は野蛮な声をまだ纏ったままで
喪服の列に響く産声
奏葉ざわめき耳を塞ぐ老婆
滲む手汗の不快感が何度でも扉を叩く
巣立つ小夜啼鳥 霧を払う歌よ
ほんの僅かな晴れ間を羽ばたいて
朝は祈り捧げ宵に紛れ消える
その姿に救われていたのに
曇天の空の涕涙は道に迷わせ
記憶を錆び付かせて行く
想いをはらんだ雨粒は
どこへ流れ着いて消えていくのでしょうか
呟いた呪いの音 止め処なく問い掛ける
耳障りな掃き溜めから
借り物の墓石に穴を穿つ有漏の笑み
腕に絡みもつれた薔薇の棘もやがて枯れた
水面揺らす鱒のうろつきに
影を重ね憐れみの餌を一欠片
胸の中に押し込めた手紙は
まだ貴方の手元にありますか
花壇を踏み荒らし川を泥で濁す
あてにならない約束手放した
去り際の夕べに戦ぐ勿忘草
その色に救いも求めずに
曇天の涕涙に道はぬかるみ
飛沫を上げ押し流す
椅子を蹴り倒す気概も無いくせに
首に縄をかけるのはもう何度目だろうか
枯れ果てた目の奥で揺らめいた希望の灯
羊飼いの指笛 丘の上からその音を攫う
寂寥の風は松の種を乗せて荒れて
窓枠を揺するだけ
蜂蜜色の壁は無漏を誘い記憶を蘇らせる
想いを託した水鳥の行方を
追って逝くのはわがままなのでしょうか
呟いた呪いの音 止め処なく問い掛ける
呟いた救いの音 止め処なく差し伸べては
響かせ給え
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