青葉 2012-01-06 22:03:27 |
![]() |
通報 |
前の二人は楽しそうに話をしている。たまに自分に話を振ってきたが、時間と共にそれもなくなった。
こうなると、本の続きが気になる。悪いと少し思いながらも本をバックから出して読むことにした。自分は今まで車酔いをしたことがない。本を読んでも全く差し障りない体質だ。
本を読み始めたが、前の二人は気づきもせず楽しそうに話をしている。
良かった!
そう思い、いよいよ本に集中した。
本は面白かった。
何があったのか助手席で彼女が、驚いたような声をあげたのが聞こえたが、どうでもいい。本が面白い。車がコンビニの駐車場に入ったが直ぐに駐車場を出て来た道を引き返したが、それもどうでもいい。本が楽しい。
しかし待てよ?
違和感を感じる。
彼女が驚いたような声を出したのは、さっきが初めてじゃない気がする。
それに、コンビニの駐車場でUターンしたのも、さっきが初めてか?何回かやってないか?
急に心が本から離れていく。現実の世界が戻ってくる。
ええぇぇーーーっ!!!
(|| ゜Д゜)
青葉さん!
なんでいっつも「これから!!」って時にお休みっ?!?!
すっごい気になるぅーーっ!!!O(>_<)O
道に迷ったのか?
本を閉じて窓の外の風景を見る。
知っている道だ。迷って困っているなら教えられる。
前の二人の様子を伺うと、楽しそうに話をしている。困っている様子ではない。
違和感は気のせいかな、と思い再び本を開く。
徐々に本の中に引き込まれていく。
しかし、完全に意識が現実からなくなる前に彼女が驚いたような声を出す。
「£%&*今の!」
意識は9割がた本の中にあったが、これまでと違い少し声が気になる。でも彼女が何を言ったのかは分からなかった。
交差点でハンドルをきりながら友人も何かを言っている。
「何かΨΩωУよ」
それまでと雰囲気が変わって、あまり楽しそうではない。
「♀ωФΩ§£←ÅΘΠ……顔を見たら………………………………同じ…………三回…………」
彼女は何やら説明をしている。
「…………だよ。…………………ない。」
「…………ホント…………よ!」
二人の会話が暫くある。友人は少し困っているようだった。
二人の会話は、途切れ途切れに耳に入る。内容を把握する程は聞こえない。いや、聞いていない。それは、もう本に心が傾いていたからじゃない。本はいつの間にか無意識に閉じている。他の事を考えていたからだ。
さっきの違和感…そして今は恐怖…
このまま真っ直ぐ行くとすぐにコンビニがある。もう看板が見えてきた。きっとこの車はコンビニの駐車場でUターンする。そんな確信がある。
だけど、どうかこのままコンビニを通り過ぎてくれ。
そんな考えが頭を占めていた。
車は願い虚しく、予想通りコンビニの駐車場に入っていく。
「わかった!戻って確かめよう。」
友人が彼女にそう言ったのがハッキリ聞こえた。
そして友人は道を引き返すよう、車を操作した。
ひとまず様子を見ることにした。何だか怖いことが起きているようだが、まだ確信がない。まだ気のせいの可能性がある。
トピック検索 |