青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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匿名さんとエイン・アルバートさん、こんばんは
パン屋さんとお蕎麦屋さん、どちらも好きです!
大変な事もあると思いますが、頑張って下さいね
青葉さん、蕎麦湯割りって初めて聞きました!
う~ん、オトナなんですね^^
優くんはとうとうケガしちゃった模様(;;)
あんまりケガひどくないといいけど…
マイナーってことはないと思いますよ
焼酎も蕎麦なのかが気になるところですが
やはり、米か麦でしょうか?
主人公だから心配ないって魔法の言葉ですね
校門から昇降口を繋ぐアスファルトの道を歩き始めた僕だったが、今は突き飛ばされて仰向けになっている。勢いよく突き飛ばされたので、アスファルトの道と校庭の境目あたりの校庭側に倒れていた。正面には青空が広がっている。
猛スピードであろう車が僕の方へ近づいてくる音がして恐怖を感じた。それから一体なにがどうなったのか考えようとしたが、どうも思考が上手くいかない。
急ブレーキをかける音が響き
直ぐに、
ガシャ!
と車がぶつかる音が続いた。
体が飛ばされてから倒れる前の一瞬の間にそれらの音を聞いた気がするが定かではない。もしかしたら倒れた後に聞いたのかもしれない。
「一色!大丈夫か!」
先生は倒れている僕に駆け寄ってきて、 上半身を起こしてくれた。先生は屈みながら僕の体を調べるように見回し、
「どこか痛いか?」
と訊いてきた。
「背中が痛いです……。」
声が震えていることから思ったより自分が動揺していることが分かる。
僕の言葉に、それは当然だというように先生は頷き、
「他は?」
とさらに訊いてくる。
僕は全身に神経を行き渡らせる。その結果、背中以外に痛みは感じられなかった。ただ心臓の鼓動が大きく速く聞こえた。
「他は痛くありません。」
そう言うと、
「ならば大丈夫だな。背中は先生が突き押しただけだから、まあ、すぐに痛みは消えるだろう。思いっきり押したけど、そうしないと、あの車に跳ねられただろうから仕方ない。」
そう言いながら先生は昇降口へと続くアスファルトの道の先を指差した。僕はその方向に顔を向ける。校舎の前にはイチョウが並んで植わっているが、その一番手前の木の前に車が止まっていた。国産の高級車だ。木にぶつがって止まったようで不自然な止まり方をしている。ぶつかる前にブレーキを踏んだからか、イチョウはへし折られることを免れている。
「あれは教頭の車だな。一色、ちょっと待ってろ、教頭の様子を見てくる。」
そう言うと先生は車の方へ駆け出した。
(車に跳ねられたんじゃないのか。そうだよな、こうして話ができるくらいなんだから。)
僕は安堵した。しかし、まだ動揺があり立ち上がる気になれず校庭に座っていると、後ろから声がした。
「運が良かったな、一色。」
座りながら振り返ると、新里が立っていた。顔は車の方へ走る先生の方を向いていて、僕をみていない。
「あの体育教師、度胸があるぜ。車があれだけのスピードでお前に近づいてきてんのに、迷わず助けに行った。さらにあの身のこなしだ。お前を突き飛ばし、その反動を利用して自分も退いてお前だけじゃなく自身も守った。なかなか出来ることじゃない。今日、門に立っていたのが違う奴だたったらお前は生きてたかな。」
「……。」
新里の話を聞き、先生が危険を顧みず僕を救ってくれたことを知った。
「とは言え、俺は、お前を大ケガさせようとしただけだからな。跳ねられても命はとりとめたか。」
新里は視線を僕に移し嫌な笑顔をしながら言った。
そして、
「一色、これで安心してたら大間違いだ。お前は今日必ず大ケガをするぜ。」
そう続けた。
僕は元々動揺がおさまらない上に薄気味悪さを感じ、無言でいる。すると新里は少し困った顔をして独り言を言い出した。
「でもなぁ、先生が生徒を、しかも教頭が自分の学校の生徒を車で跳ねたというと学校の印象が悪くなるな。しかも校内でだ。そういうのは甲子園に出る時に影響するかな。あまり応援してもらえなくなるかもしれない。」
そう言うと少し考え込む。
事故の音を聞きつけて、先生が何人か職員室から出てきた様だ。教頭の車の周りに集まってきて、驚きの声をあげている。その声が僕の耳にも入ってきた。
「駐車場は裏門なのに!どうして正門から……」
「教頭先生!大丈夫ですか?ケガは……」
「……はしておくから、君は校長の指示を……」
「……生徒への説明はどうします……」
僕のことが話しに上がっている様子はなく、先生達は混乱しているみたいだ。
僕が聞き耳を立てていると、新里は考えが纏まったようで、正面に回り込んできて僕を見下ろしながら、こう言った。
「一色、決めたぞ。お前が今日大ケガするのは落下物に当たってだ。早い方がいいから、学校でな。先生が生徒を車で跳ねたよりは、落下物に当たった事故の方が世間の印象が、まだいいだろう。今日で暫くお別れだ。じゃあな。」
言い終わると新里は校舎に向かって歩いていった。
僕は、さらに薄気味悪くなった。
(教頭の車を暴走させたのは自分だと言いたいのか?大丈夫か、新里。)
僕には新里が冗談を言っているとは思えなかった。何か自分に特別な力が宿っていると信じこんでいる。
(小学生の頃は虚言だったけど、今や妄想じゃないか。前より重篤化してる。やっかいな奴に嫌われているな僕は。)
そんな奴の対処法をぼくは知らない。それだけに薄気味悪かった。
後から登校してきた何人もが、校庭の隅で座っている僕を不思議そうに見て、さらに教頭の車を見て驚いている。いつまでも座っていられないと気持ちを切り替えて僕は立ち上がる。すると、僕を助けた先生が気付き走り寄ってきた。
「すまん、一色!大丈夫そうか?」
僕は頷き、
「先生、ありがとうございました。」
とお礼を言った。
すると先生は手を振って
「いやいや、危ない目に遭わせて申し訳なかったな。悪いが教頭はハンドルに胸を打って動けない。救急車を今よんだところだ。いずれ教頭から謝罪があると思うが、今日は勘弁してくれ。怖かっただろう。本当に済まなかったな。」
と教頭に代わってのつもりか申し訳なさそうに謝罪してきた。
「教頭先生は大丈夫なんですか?」
僕は教頭を責める気は更々なかった。それは新里を不気味に思う気持ちが強かったせいかもしれない。
「胸を打っているから少々苦しそうだな。でも意識はハッキリしてるし、どっからも出血してない。素人目には大丈夫そうだが詳しくは病院に行ってからだ。まあ、心配しなくていい。それより一色、お前の担任の先生から保護者にこのことを報告をしよう思うんだが、いまの時間は誰か家にいるか?」
僕は制服のズボンをハタキながら、
「母がいます。けど僕はケガしてないし家に連絡しなくて大丈夫です。」
と答えた。
すると先生は少し戸惑い顔をする。
「そうもいかないさ。生徒を危険な目に遭わせて保護者に何も言わないわけにはいかないだろう。」
先生を困らせるつもりもないので、
「わかりました。電話すれば母が出るとおもいます。もう教室に行きます。」
と言って一礼した。
「そうか。じゃあ、何処か痛いとか、何かあったら言いにきてくれ。」
先生はそう言うと、再び教頭の車の方に走りだし、集まり出した野次馬の生徒達に向かって、
「さあ、ホームルームの時間になるぞ!教室に行くんだ!」
と声を張り上げた。
僕は少し戻り門の近くに落ちている自分の鞄を拾い上げると、昇降口に向かって歩き出した。僕を跳ねそうになった教頭の車に近づくと、運転席に教頭が座っているのが判ったが、他の先生に阻まれて表情は見えなかった。が、なんだかグッタリしている感じがした。
前のバンパーが凹んだ車を通りすぎ暫く校舎の横を歩いていると上から声がした。
「お~い、一色!大丈夫か。」
声の主は、同じクラスの幸島だ。声を聞くだけで判る。ちょうど僕は、二階の自分の教室の横を歩いている所だった。
足を止めて二階を見上げる。
上を見ると、各階の教室という教室の窓から皆が鈴なりに顔を出して事の推移を伺っているのを知った。
次の瞬間、僕の視界に飛び込んで来る物があった。僕が見上げた二階より上から、下に落ちて来る物。落下物だ。
旅斗さんだ!来てくれたかんだ。
評価ありがとう(^ー^)
またね(^^)/
匿名さん、
パン屋さんの匿名さんかな?今日も仕事だったのかな。青葉は仕事だったよ(+_+)
僕の脳が危険と判断し回避運動の指令を足に送った頃には落下物は地面に到達していた。
グシャッ!
と大きな鈍い音をたてて、落下物は液体を辺りに撒き散らす。
アスファルトの上に潰れた青い物体が、太陽の光と数秒前迄自らの中にあった液体を浴びて光っている。落下物の正体は350ミリリットルの清涼飲料水の青い缶だった。どうも全くプルタブを動かしていない、中身が全て入っている状態で落ちてきた様だ。
落ちる様子を見てか、音を聞いてか、
「うわ!」
という叫び声や
「なんだ!?」
とか
「危ねぇな!」
やらの、窓から鈴なりに顔を出していた誰か達の声が複数聞こえる。
結果だが、僕は落下物である缶には当たっていない。落ちたのは僕の前方数メートル先だった。脳からの危険回避運動の指令に従い、遅れながらの意味がない一歩後退をしたが、時間的にだけでなく距離的にも意味がなかった様だ。後退しなくても落下してきた缶にぶつかることはなかった。被害は撒き散った中身のジュースが、靴やズボンの裾を濡らした程度だ。が、もし幸島に呼び掛けられ足を止めなければどうなっただろう。僕の心に再び動揺が生まれた。
(直撃してたな……)
何故か確信めいたものがあった。
何処から落ちてきたのか?そう思い僕は校舎を見上げた。
缶は二階より上から落ちてきた。
三階を見ると、三階から顔を出している多くの鈴たちが最上階の四階を見ている。身を乗り出して危険な格好をしている者もいる。
どうやら缶は四階から落ちてきた様だ。
(四階からか。当たっていれば無事には済まない。)
四階は一年生の教室しかない。
「今度はどうした!?」
そう大声をあげながら教頭の車の周りにいた先生が二人こちらに駆けてきた。
僕は四階を見上げながら、
(きっと、狙って当てられるもんじゃないな。まあ、実際ぶつかってないけど、でも歩きつづけたら直撃だった。)
と思う。僕は故意で狙われたなら、まだいいような気がした。例えば新里や新里の取り巻きが缶を投げてきたなら納得がいく。
(故意でないならば……)
新里の妄言が頭を掠めた。
(僕の理解を超えた何か起こっていることになる。)
それは抗う術がない絶望に繋がる何かだと思えた。
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