青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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新里くん、それは善ではないよ…
記憶にない事でこれほど恨まれるのは恐いですね
うぅ、この先どうなっちゃうのか気になります><
いつも降りる駅に着くと、いつもしない行動を僕はとった。といっても、ただ駅のホームの普段は視界にすら入らない自動販売機で缶ジュースを買い、ホームでそれをゆっくりと飲んでいるだけ。何故そんなことをしているかといえば、さっき電車を降りた時、車内のドアの近くにいた新里は先に下車して改札口に向かって歩いていた。が、腹立たしい程にのんびりと歩いていた。僕は新里を追い抜くのも、後ろから追い付かないように気を使いながら歩くのも嫌なのでホームで時間を潰すことにしたからだ。
ホームにあるイスは全て人で埋まっているので座ることはできず、僕はホームの片隅に立った。そして、電車の中での会話中に感じた新里に対する違和感について考えた。
でも何故そんなものを感じたかは、もう解っている。僕は新里が雪見のことを本気で好きなんだと思っていた。でもそれは間違っていた。でも僕は間違いに気づかずに新里と話していた為に違和感を持った。それだけのことだ。
(雪見、新里は雪見のこと本当に好ではなかったみたいだな。あいつこそ雪見があんなことになっても何とも思っていないよ。)
僕は新里が雪見の事件のことでショックを受けていると思っていたし、そう聞いていた。だけど、さっきの様子からはそんなふうには伺えなかった。
(それに僕が今日中に大ケガをすると、子供のようなことを言っていた。あの頃とあまり変わらない。)
新里は僕と雪見の小学校に転校
してきてすぐの頃、自分には超能力があるとかUFOに乗ったことがあるとか虚言を吐いていた。とにかく、有りもしない経験を語ったり、出来もしないことを出来ると言って注目を集めていた。最初は興味を持たれていたが、そのうち嫌われるようになっていった。
(成長しない奴だ。)
でも当時の僕は新里を悪く言いはしなかった。なのに露骨に嫌う奴よりも、新里は僕を嫌った。当時とても不条理を感じた。いや、今も感じている。
小学校、中学校と新里は嫌われ者だった。虚言癖があったからもそうだが、それ以上の問題は性格が悪いことだった。自分を特別扱いする。嫌われて当然だった。
(それが、今では有名人で人気者か。)
新里は高校生になってからは虚言癖は鳴りを潜めたようだが持ち前の性格の悪さでやはり嫌われていた。ところが最近は状況がうって変わっている。
雪見と付き合い始める少し前頃だろうか。新里は野球部の投手として目を見張る活躍をし始めた。
僕の学校は甲子園には全く縁がなく、強さはいわゆる中堅校の部類だが野球にはそこそこ力を入れており専用のグラウンドが学校の敷地内にあり、よく練習試合を他校と組んでいた。
新里はそれまでレギュラーをとれる程の力はなかく、ベンチを温める存在だった。しかし突然ポジションを本人たっての希望でファーストからピッチャーにコンバートすると、めきめきと頭角を現した。最初は紅白戦の控え組で投げレギュラー相手に完封。それを切っ掛けにその後の他校との練習試合で使われることになる。最初は試合の途中から出場したが、投げると必ず抑えた。そんなことが続き、とうとう先発を言い渡されるまでになる。そして新里は他校との試合で初めて先発した試合で完封勝利する。その後の試合でも投げたイニングは失点しない。そのうち、甲子園にも何度か出たことがある有名校の二軍と試合することになった。この時は新里ではなく今はその座を新里に奪われた当時のエースが投げる予定だったが風邪の為試合に出ることが出来ず新里が当番。そして被安打三で完封という結果を出した。相手は二軍とはいえ強豪、格上だ。この試合で新里は完全にエースとなった。その後も新里は試合で快投を続け、新里が投げたイニングは全て失点ゼロを続けた。
新里の活躍の話は校内中に広がり、新里がいれば甲子園もあるかもしれないと噂されるようになった。
新里は学校のヒーローになっていくサクセスストーリーを体現してみせた。
しかしその間、僕は何ともおかしな感じがしていた。
おかしいと思ったのは、新里が突然に才能を開花させたことではない。新里のことではなく、周囲の反応に解せない何かを感じた。新里は小学生や中学生の頃に比べればましにはなったが、変わらず嫌われていた。しかし、まだ新里がピッチャーを始めた頃から新里の悪口は聞かなくなった。また、新里がまだ先発をし始めた頃から野球部の話題が校内で多くなり、女子からの人気も高まっていった。雪見はこの頃から新里と付き合い始めている。雪見のことは兎も角、野球部に好投手が現れ練習試合で強いことくらいで学校中が騒ぎ始めるだろうか。この時はまだ有名校の二軍と試合していない。その有名校との試合後には、甲子園と周囲は騒ぎだしたが、それ程のことだろうか。強豪で格上とはいえ何せ相手は二軍だ。完封は凄いことだと思うが一軍に勝ったわけじゃない。甲子園を夢見るには早すぎる。僕には、学校中がおかしな熱に包まれているように見えた。
さらにおかしいと思うことがある。僕自身のことだ。
新里くん、才能だといいな。悪い事してないといいけど…
豪雨に打たれるのは意外と気持ちいいですよね
受け入れた時に世界が変わる、のも
でも風邪など引きませんように!
無理のないペースで続けていってほしいですm(_ _)m
大人になると、長靴がぽがぽさせながら歩いたこととか、わざと雨に濡れながら帰ったこととか、楽しかったことが洗濯やら風邪ひくやらで楽しめなくなりますよね
たまにはわざと水溜まりに入りたいものです
という訳で、上げておきますね
izmさんと同意見ですが、身体に気をつけて進めてくださいね
でも、続きが気になる!
僕は、新里が皆から期待され人気者になってからも変わりなく過ごしていた。これは僕にとって嬉しい誤算だった。でも、そこを疑問に感じている。何故僕はこんなにも、嫌われることもなく嫌がらせをされることもないのだろう。いつも一人でいることが多かった新里だが、最近は人が集まるようになり必ず周囲に人がいる。校内で取り巻きを連れた新里に遭遇してしまうこともある。そんな時、新里は僕に決まって罵声を浴びせてくる。僕は何事もなかったかのように完全無視でその場を去る。それを取り巻き連中は見ているので、新里が僕を嫌っているのはよく知っている。取り巻きだけでなく、その場に居合わせたら誰でも新里が僕を大声で罵っている光景を見ることができる。新里に気に入られるため、または嫌われないため、僕に嫌がらせしてくる奴がいてもおかしくない。いや、いないのがおかしい。僕に嫌がらせをすれば新里は間違いなく喜ぶ。新里はそんな奴だ。
(雪見、どこが良かったんだよ?)
新里は高校生になってからは虚言癖がおさまり前ほどは嫌われていなかったが、あくまで前に比べればで、十分に嫌われ者だった。今は人気者だが、そのお陰でチヤホヤされ調子づいている。人間性の悪さは拍車をかけ、以前より性格の悪さはより完成度を高めたと僕はみている。
空いた缶をゴミ箱の中に入れ、僕は改札口に向かって歩き出した。学校までは駅から歩いて15分くらい。いつもより遅くなったが、遅刻を気にするまでの時間にはなっていない。
改札を出ると新里の姿は見当たらなかった。安心して歩き出す。駅に隣接してある交番の前を通ると警察官が立っている。事件後は学校内でも姿をよく見たが、最近は巡回に来ているものの時間とともに姿をみせる頻度が減っている気がする。
(まだ犯人は捕まってないんだよな。)
雪見は爆発物を投げつけられたことになっている。本当に犯人が爆発物を使用したのか、そこに僕は疑問を感じているし、事件自体まだまだ未解決だ。
(そういえば新里は犯人を責めることはなかったな。誰が犯人かなんて話題にも出さなかった。)
僕に食って掛かるだけの新里を思い出すと、雪見の存在が新里にとってどれ程のものだったのかと思う。
(雪見、いったい誰にあんな目に遭わされたんだ?)
何だか雪見のことが、とても不憫に思えてやりきれなくなった。
とある人に教えてもらいました
自分の欠点、足りないもの
僕は人に嫌われたくない生き方をしてました
だからいけなかった 僕のせいだった
しっかりしていればなことにはならなかった
だから僕は変わる 今の僕を殺す いや捨てる
今の僕はさびしいだろうけど
ごめんね 僕を生み出してしまって
でももう終わらせる 僕は消えるんだ
そして新しい僕になる さよなら僕
続きだ、嬉しいです!
新里くんは哀れな位「ヤな奴の成長」の道を辿ってしまってますねぇ;
雪見ちゃんもかわいそう(;;)
活字大好きさん、「長靴がぽがぽ」感を思い出しました
いい感覚ですね、ありがとうございます!
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